説明

抜取用スリットを有するシート、シート打抜装置及びシート抜取方法

【課題】シートの抜取用スリットの内側部分を抜き取る際に、その抜取用スリットの外側部分に破れが生じることを抑制できる抜取用スリットを有するシート、このシートを形成するための装置、方法を提案すること。
【解決手段】本発明のシート打抜装置1を用いたシート抜取方法によって形成されるシート2は、一部が非連続となった略環状の第一抜取用スリット20を備える。このシート2はさらに、第一抜取用スリット20の非連続部21の外周側または内周側に位置する第二抜取用スリット22を備える。そして、シート2の第二抜取用スリット22のスリット長さL2は非連続部21の長さL1以上である。このシート2から第一抜取用スリット20の内側部分を抜き取ることで、第一抜取用スリット20の外側部分に破れが生じることを抑制できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抜取用スリットを有するシート、このシートを形成するための装置、方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、環状の打抜刃60によってシート2に環状のスリット7を打ち抜くシート打抜装置6が提案されている(図6(a),図6(b)参照)。
【0003】
このシート打抜装置6によってスリット7が形成されたシート2は、スリット形成後、抜取手段(図示せず)によって、スリット7の内側部分が抜き取られる。
【0004】
しかし、シート2の厚みが薄い場合、スリット形成後、抜取手段によって抜き取る前に、図6(c)に示すように、スリット7の内側部分がスリット7の外側へとずれてしまう場合があった。その場合、スリット7の内側部分が定位置にないため、抜取手段による抜き取りができないという問題があった。
【0005】
この問題を解決するものとして、図7(a)に示すように一部を切り欠いた略環状の打抜刃80を備えたシート打抜装置8が提案されている(特許文献1等参照)。
【0006】
このシート打抜装置8では、図7(b)に示すように、一部(図では2箇所)が非連続となった略環状のスリット9をシート2に打ち抜くことができる。このシート打抜装置8でスリット9を打ち抜いたシート2は、スリット9の非連続部90によってスリット9の外側部分と内側部分とが繋がっている。そのため、スリット形成後、スリット9の内側部分がスリット9の外側へとずれることを防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−319533号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、このスリット9が形成されたシート2では、抜取手段によってスリット9の内側部分を抜き取る際に、図7(c)に示すように、スリット9の端部から、スリット9の外側部分へと破れ91が発生するおそれがあった。
【0009】
そこで、上記事情を鑑みて、本発明は、シートの抜取用スリットの内側部分を抜き取る際に、その抜取用スリットの外側部分に破れが生じることを抑制できる抜取用スリットを有するシートや、このシートを形成するための装置、方法を提案することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するための本発明の抜取用スリットを有するシートは、一部が非連続となった略環状の第一抜取用スリットと、この第一抜取用スリットの非連続部の外周側または内周側に位置する第二抜取用スリットとを備え、この第二抜取用スリットのスリット長さが前記非連続部の長さ以上であることを特徴とする。
【0011】
また、上記課題を解決するための本発明のシート打抜装置は、前記第一抜取用スリットを形成するための、一部を切り欠いた略環状の第一打抜刃と、前記第二抜取用スリットを形成するための、前記第一打抜刃の切欠部の外周側または内周側に位置する第二打抜刃とを備え、この第二打抜刃の刃渡りが前記切欠部の切欠長さ以上であることが好ましい。
【0012】
また、上記課題を解決するための本発明のシート抜取方法は、前記第一打抜刃によってシートに前記第一抜取用スリットを打ち抜くとともに、前記第二打抜刃によって前記シートに前記第二抜取用スリットを打ち抜き、前記シートから前記第一抜取用スリットの内周側の部分を抜き取ることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、シートの抜取用スリットの内側部分を抜き取る際に、その抜取用スリットの外側部分に破れが生じることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】(a)は本発明の第一実施形態のシート打抜装置を示す断面図であり、(b)はシート打抜装置の打抜刃の形状を示す下面図であり、(c)は打抜刃を用いてスリットを形成したシートの平面図である。
【図2】(a)はシートからスリットの内側部分を持ち上げて抜き取る状態を示す説明図であり、(b)はスリットの内側部分を抜き取った状態の一例を示す平面図である。
【図3】本発明の第二実施形態のシート打抜装置を示す断面図である。
【図4】(a)は本発明の第三実施形態のシート打抜装置の打抜刃の形状を示す下面図であり、(b)は同上の打抜刃を用いてスリットを形成したシートの平面図であり、(c)は本発明の第四実施形態のシート打抜装置の打抜刃の形状を示す下面図であり、(d)は同上の打抜刃を用いてスリットを形成したシートの平面図である。
【図5】(a)(b)(c)は本発明の第五乃至第七実施形態のシート打抜装置によってスリットを設けたシートの平面図である。
【図6】(a)は従来例のシート打抜装置を示す断面図であり、(b)は同装置の打抜刃を用いてスリットを形成したシートの平面図であり、(c)はスリットの内側部分がずれる状態を示す説明図である。
【図7】他の従来例のシート打抜装置を示す断面図であり、(a)はシート打抜装置の打抜刃の形状を示す下面図であり、(b)は同装置の打抜刃を用いてスリットを形成したシートの平面図であり、(c)はシートからスリットの内側部分を抜き取る状態の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明する。
【0016】
図1(a)には、本発明の第一実施形態のシート打抜装置1が示されている。このシート打抜装置1は、PET、PP、PE、PVC等のプラスチックシートやフィルムからなるシート2に、所定の形状の抜取用スリットを形成するための装置である。この抜取用スリットの内側部分が吸引機等の抜取手段によって抜き取られて、抜取用スリットの外側部分が製品として用いられる。シート2としては、雨樋アンテナ用金属素子板をラミネート加工したもの等も挙げられる。
【0017】
シート打抜装置1は、パンチプレート13に外側打抜刃14と内側打抜刃15とを固定した上型と、その両打抜刃14,15の刃先を当てるための台座3からなる下型とで構成されている。さらに、内側打抜刃15の内側のパンチプレート13には、スプリング18を介して押し当て部17が設けられている。この押し当て部17によって、シート2を台座3に押し当てながら、両打抜刃14,15によってシート2を打ち抜くことができる。
【0018】
外側打抜刃14(第一打抜刃10)は、図1(a)及び図1(b)に示すように、一部(本実施形態では2箇所の部分)を切り欠いた略円環状の刃であり、刃先の両側に刃がついた両刃である。以下ではこの切り欠いた部分を外刃切欠部16(切欠部11)という。また、内側打抜刃15(第二打抜刃12)は、略環状の外側打抜刃14と同じ中心の円弧状の両刃であり、外刃切欠部16の内周側に位置する。この内側打抜刃15の刃渡りL2(周方向の長さ)は、外刃切欠部16の切欠長さL1(周方向の長さ)よりも長くなるように形成されている。なお、この刃渡りL2は切欠長さL1以上の長さであればよい。内側打抜刃15の周方向の両端部はそれぞれ、外側打抜刃14の各端部に径方向に重なる箇所に位置している。
【0019】
上述したシート打抜装置1を用いて、シート2に抜取用スリットを形成する方法について説明する。
【0020】
まず、台座3にシート2を載せ、上型を下方に移動させる。すると、上型の押し当て部17によってシート2が台座3に押し当てられながら、両打抜刃14,15の刃先がシート2を打ち抜いていく。この両打抜刃14,15でシート2を打ち抜いたら、上型を上方に移動させる。
【0021】
以上のようにして両打抜刃14,15によってシート2を打ち抜くと、図1(c)に示すように、外側打抜刃14によって、一部(本実施形態では2箇所の部分)が非連続となった略円環状の外側抜取用スリット23(第一抜取用スリット20)が形成される。外側抜取用スリット23の非連続部21の周方向の長さは、外側打抜刃14の外刃切欠部16の切欠長さL1と同じ長さとなる。そして、内側打抜刃15によって、外側抜取用スリット23の非連続部21の内周側に内側抜取用スリット24(第二抜取用スリット22)が形成される。内側抜取用スリット24のスリット長さ(周方向の長さ)は、内側打抜刃15の刃渡りL2と同じ長さとなる。そのため、内側抜取用スリット24のスリット長さL2は、外側抜取用スリット23の非連続部21の周方向の長さL1以上の長さとなる。
【0022】
上述のようにして形成されるシート2の各抜取用スリット23,24の内側部分25を、図2(a)に示すように、抜取手段によって持ち上げると、外側抜取用スリット23と内側抜取用スリット24との間のブリッジ部分に応力が集中する。これにより、図2(b)に示すように、外側抜取用スリット23と内側抜取用スリット24との間のブリッジ部分が破れることとなり、シート2の外側抜取用スリット23の外側(製品として使用される側)に破れが発生することを抑制できる。また、シート2の各抜取用スリット23,24の内側部分25と外側部分とを非連続部21で連続することによって、内側部分25を抜取手段によって抜き取る前に、内側部分25の位置がずれてしまうことを抑制できる。これによりシート2の内側部分25の抜き取りを確実に行うことができるため、各抜取用スリット23,24の外側部分に重なって見えなくなった内側部分25を探す手間等がなくなり作業効率が向上する。
【0023】
加えて本実施形態では、外側抜取用スリット23と内側抜取用スリット24とが径方向に長さL3離れている。つまり、外側打抜刃14と内側打抜刃15とは、図1(a)に示す刃先が最下位置にある状態(シート2を打ち抜いた状態)で、シート2の表面における外側打抜刃14と内側打抜刃15との間の距離が、長さL3となるように各打抜刃14,15の刃先の位置関係が調整されている。
【0024】
本実施形態では、この外側抜取用スリット23と内側抜取用スリット24間の長さL3と、内側抜取用スリット24のスリット長さL2と、外側抜取用スリット23の非連続部21の周方向の長さL1とを、L3<L1<L2としている。さらに、外側抜取用スリット23と内側抜取用スリット24間の長さL3はシート2の厚みよりも小さいことが好ましい。
【0025】
このような寸法関係にすることで、図2(a)に示すように、シート2の内側部分25を抜き取る際に、外側抜取用スリット23と内側抜取用スリット24との間のブリッジ部分が非連続部21よりも細いため、このブリッジ部分が破断されやすくなる。
【0026】
続いて、図3に示す本発明の第二実施形態のシート打抜装置1について説明する。第一実施形態のシート打抜装置1と同じ構成については説明を省略し、異なる構成についてのみ詳しく説明する。
【0027】
第二実施形態のシート打抜装置1では、外側打抜刃14が外側にのみ刃が付いた片刃であり、内側打抜刃15が内側にのみ刃が付いた片刃である。両打抜刃14,15間にはスペーサ5が配置されており、これにより外側抜取用スリット23と内側抜取用スリット24とが径方向に長さL3離れるように調整されている。そのため、第二実施形態のシート打抜装置1では、第一実施形態のシート打抜装置1のように、両抜取用スリット23,24間の距離を長さL3とするために、各打抜刃14,15の刃先の位置関係を調整する必要がなく、構造を簡素化することができる。
【0028】
続いて、図4に示す本発明の第三及び第四実施形態のシート打抜装置1について説明する。第一実施形態のシート打抜装置1と同じ構成については説明を省略し、異なる構成についてのみ詳しく説明する。
【0029】
図4(a)には、第三実施形態のシート打抜装置1の両打抜刃14,15が示されており、図4(b)には、第四実施形態のシート打抜装置1の両打抜刃14,15が示されている。第三及び第四実施形態では、内側打抜刃15(第一打抜刃10)が、一部(第三実施形態では2箇所の部分、第四実施形態では3箇所の部分)を切り欠いた略円環状の刃であり、刃先の両側に刃がついた両刃である。以下ではこの切り欠いた部分を内刃切欠部19(切欠部11)という。そして、外側打抜刃14(第二打抜刃12)が、略環状の内側打抜刃15と同じ中心の円弧状の両刃であり、内刃切欠部19の外周側に位置する。この外側打抜刃14の刃渡りL2(周方向の長さ)は、内刃切欠部19の切欠長さL1(周方向の長さ)よりも長くなるように形成されている。なお、この刃渡りL2は切欠長さL1以上の長さであればよい。外側打抜刃14の周方向の両端部はそれぞれ、内側打抜刃15の各端部に径方向に重なる箇所に位置している。なお、両打抜刃14,15は第二実施形態のように片刃で形成されてもよい。
【0030】
上述した第三及び第四実施形態の両打抜刃14,15によってシート2を打ち抜くと、図4(b)及び図4(d)に示すように、内側打抜刃15によって、一部(第三実施形態では2箇所の部分、第四実施形態では3箇所の部分)が非連続となった略円環状の内側抜取用スリット24(第一抜取用スリット20)が形成される。内側抜取用スリット24の非連続部21の周方向の長さは、内側打抜刃15の内刃切欠部19の切欠長さL1と同じ長さとなる。そして、外側打抜刃14によって、内側抜取用スリット24の各非連続部21の外周側に外側抜取用スリット23(第二抜取用スリット22)が形成される。外側抜取用スリット23のスリット長さ(周方向の長さ)は、外側打抜刃14の刃渡りL2と同じ長さとなる。そのため、外側抜取用スリット23のスリット長さL2は、内側抜取用スリット24の非連続部21の周方向の長さL1以上の長さとなる。
【0031】
第三及び第四実施形態においても、シート2の各抜取用スリット23,24の内側部分25を、抜取手段によって持ち上げると、外側抜取用スリット23と内側抜取用スリット24との間のブリッジ部分に応力が集中する。これにより、外側抜取用スリット23と内側抜取用スリット24との間のブリッジ部分が破れることとなり、シート2の外側抜取用スリット23の外側(製品として使用される側)に破れが発生することを抑制できる。
【0032】
続いて、図5に示す本発明の第五乃至第七実施形態のシート打抜装置1について説明する。第一実施形態のシート打抜装置1と同じ構成については説明を省略し、異なる構成についてのみ詳しく説明する。
【0033】
図5(a)には、第五実施形態のシート打抜装置1の両打抜刃14,15によってシート2を打ち抜いた状態が示されている。第五実施形態では、外側打抜刃14(第一打抜刃10)は、一部(第五実施形態では2箇所の部分)を切り欠いた略T字の環状の刃である。また、内側打抜刃15(第二打抜刃12)は、略環状の外側打抜刃14に沿った刃であり、外側打抜刃14の切欠部の内側に位置する。この内側打抜刃15の刃渡りL2(周方向の長さ)は、外側打抜刃14の切欠部の切欠長さL1(周方向の長さ)よりも長くなるように形成されている。なお、この刃渡りL2は切欠長さL1以上の長さであればよい。内側打抜刃15の周方向の両端部はそれぞれ、外側打抜刃14の各端部に内側に重なる箇所に位置している。
【0034】
上述した第五実施形態の両打抜刃14,15によってシート2を打ち抜くと、図5(a)に示すように、外側打抜刃14によって、一部(本実施形態では2箇所の部分)が非連続となった略T字の環状の外側抜取用スリット23(第一抜取用スリット20)が形成される。外側抜取用スリット23の非連続部21の周方向の長さは、外側打抜刃14の外刃切欠部の切欠長さL1と同じ長さとなる。そして、内側打抜刃15によって、外側抜取用スリット23の非連続部21の内側に内側抜取用スリット24(第二抜取用スリット22)が形成される。内側抜取用スリット24のスリット長さは、内側打抜刃15の刃渡りL2と同じ長さとなる。そのため、内側抜取用スリット24のスリット長さL2は、外側抜取用スリット23の非連続部21の周方向の長さL1以上となる。なお、両打抜刃14,15の形状は、図5(a)に示す抜取用スリット23,24の形状と同じ形状となる。
【0035】
また、図5(b),図5(c)には、第六及び第七実施形態のシート打抜装置1の両打抜刃14,15によってシート2を打ち抜いた状態が示されている。第六及び第七実施形態では、内側打抜刃15(第一打抜刃10)は、一部(第六実施形態では2箇所の部分、第七実施形態では3箇所)を切り欠いた略T字の環状の刃である。以下ではこの切り欠いた部分を内刃切欠部という。また、外側打抜刃14(第二打抜刃12)は、略T字の環状の内側打抜刃15に沿った刃であり、内刃切欠部の外側に位置する。この外側打抜刃14の刃渡りL2(周方向の長さ)は、内刃切欠部の切欠長さL1(周方向の長さ)よりも長くなるように形成されている。なお、この刃渡りL2は切欠長さL1以上の長さであればよい。外側打抜刃14の周方向の両端部はそれぞれ、内側打抜刃15の各端部に外側に重なる箇所に位置している。
【0036】
上述した第六及び第七実施形態の両打抜刃14,15によってシート2を打ち抜くと、図5(b)及び図5(c)に示すように、抜取用スリット23,24が形成される。すなわち、内側打抜刃15によって、一部(第六実施形態では2箇所の部分、第七実施形態では3箇所)が非連続となった略T字の環状の内側抜取用スリット24(第一抜取用スリット20)が形成される。内側抜取用スリット24の非連続部21の周方向の長さは、内側打抜刃15の切欠部の切欠長さL1と同じ長さとなる。そして、外側打抜刃14によって、内側抜取用スリット24の非連続部21の外側に外側抜取用スリット23(第二抜取用スリット22)が形成される。外側抜取用スリット23のスリット長さは、外側打抜刃14の刃渡りL2と同じ長さとなる。そのため、外側抜取用スリット23のスリット長さL2は、内側抜取用スリット24の非連続部21の周方向の長さL1以上となる。なお、第六及び第七実施形態の両打抜刃14,15の形状はそれぞれ、図5(b)、図5(c)に示す抜取用スリット23,24の形状と同じ形状となる。
【0037】
第五乃至第七実施形態においても、シート2の各抜取用スリット23,24の内側部分25を、抜取手段によって持ち上げると、外側抜取用スリット23と内側抜取用スリット24との間のブリッジ部分に応力が集中する。これにより、外側抜取用スリット23と内側抜取用スリット24との間の部分が破れることとなり、シート2の外側抜取用スリット23の外側(製品として使用される側)に破れが発生することを抑制できる。
【0038】
なお、上述した各実施形態では、外側打抜刃14あるいは内側打抜刃15の形状を、シート2に円形の開口やT字の開口を設けるために略円環状や略T字の環状に形成していたが、その他の形状の開口を設ける場合、それに対応した形の環状に形成すればよい。
【0039】
以上まとめると、上述した各実施形態のシート打抜装置1等によって抜取用スリットが設けられるシート2は、一部が非連続となった略環状の第一抜取用スリット20を備える。このシート2はさらに、第一抜取用スリット20の非連続部21の外周側または内周側に位置する第二抜取用スリット22を備える。そして、シート2の第二抜取用スリット22のスリット長さL2は非連続部21の長さL1以上である。
【0040】
このような構成とすることで、シート2には、第一抜取用スリット20の非連続部21の外周側または内周側に、非連続部21の長さL1以上のスリット長さL2の第二抜取用スリット22が位置する。これによれば、シート2から第一抜取用スリット20の内側部分を引っ張って抜き取る際に、第一抜取用スリット20と第二抜取用スリット22との間に応力を集中させることができる。そのため、シート2の第一抜取用スリット20の外側部分に破れが発生することを抑制できる。
【0041】
また、上述した各実施形態のシート打抜装置1は、第一抜取用スリット20を形成するための、一部を切り欠いた略環状の第一打抜刃10を備える。このシート打抜装置1はさらに、第二抜取用スリット22を形成するための、第一打抜刃10の切欠部11の外周側または内周側に位置する第二打抜刃12を備える。そして、第二打抜刃12の刃渡りL2は切欠部11の切欠長さL1以上である。
【0042】
このシート打抜装置1を用いることで、第一打抜刃10によってシート2に第一抜取用スリット20を打ち抜くことができる。そして、第二打抜刃12によってシート2に第二抜取用スリット22を第一抜取用スリット20の非連続部21の長さL1以上のスリット長さL2で打ち抜くことができる。そのため、第一抜取用スリット20の非連続部21の外周側または内周側に、非連続部21の長さL1以上のスリット長さL2の第二抜取用スリット22が位置するシート2を形成することができる。これによれば、シート2から第一抜取用スリット20の内側部分を引っ張って抜き取る際に、第一抜取用スリット20と第二抜取用スリット22との間に応力を集中させることができる。そのため、シート2の第一抜取用スリット20の外側部分に破れが発生することを抑制できる。
【0043】
また、上述した各実施形態のシート打抜装置1を用いたシート抜取方法は、第一打抜刃10によってシート2に第一抜取用スリット20を打ち抜くとともに、第二打抜刃12によってシート2に第二抜取用スリット22を打ち抜き、シート2から第一抜取用スリット20の内周側の部分を抜き取る。
【0044】
このようにすることで、第一抜取用スリット20の非連続部21の外周側または内周側に、非連続部21の長さL1以上のスリット長さL2の第二抜取用スリット22が位置するシート2を形成することができる。そして、そのシート2から第一抜取用スリット20の内周側の部分を抜き取ることができる。これによれば、シート2から第一抜取用スリット20の内側部分を引っ張って抜き取る際に、第一抜取用スリット20と第二抜取用スリット22との間に応力を集中させることができる。そのため、シート2の第一抜取用スリット20の外側部分に破れが発生することを抑制できる。
【0045】
以上、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の意図する範囲内であれば、適宜の設計変更が可能である。
【符号の説明】
【0046】
1 シート打抜装置
10 第一打抜刃
11 切欠部
12 第二打抜刃
2 シート
20 第一抜取用スリット
21 非連続部
22 第二抜取用スリット
L1 非連続部の長さ(切欠部の切欠長さ)
L2 第二抜取用スリットのスリット長さ(第二打抜刃の刃渡り)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一部が非連続となった略環状の第一抜取用スリットと、
この第一抜取用スリットの非連続部の外周側または内周側に位置する第二抜取用スリットとを備え、
この第二抜取用スリットのスリット長さが前記非連続部の長さ以上であることを特徴とする抜取用スリットを有するシート。
【請求項2】
請求項1に記載のシートを形成するシート打抜装置であって、
前記第一抜取用スリットを形成するための、一部を切り欠いた略環状の第一打抜刃と、
前記第二抜取用スリットを形成するための、前記第一打抜刃の切欠部の外周側または内周側に位置する第二打抜刃とを備え、
この第二打抜刃の刃渡りが前記切欠部の切欠長さ以上であることを特徴とするシート打抜装置。
【請求項3】
請求項2に記載のシート打抜装置を用いたシート抜取方法であって、
前記第一打抜刃によってシートに前記第一抜取用スリットを打ち抜くとともに、
前記第二打抜刃によって前記シートに前記第二抜取用スリットを打ち抜き、
前記シートから前記第一抜取用スリットの内周側の部分を抜き取ることを特徴とするシート抜取方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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