説明

抵抗スイッチング半導体メモリー

本発明の目的は、CBRAMメモリーセルを有し、上記CBRAMメモリーセルが、AgドープされたGeSe層とAGトップ電極との間に、化学的に不活性な境界層を有し、上記境界層が、CBRAMメモリーセルの切り替え特性を改善する不揮発性半導体メモリーを提供することである。この目的は、本発明に基づいて、メモリーセルを活性マトリックス材料層が、ガラス状のGeSe層とアモルフGe:H層とを有するGeSe/Ge:H二重層を備え、アモルフGe:H層が、GeSe層と第2電極との間に配置されていることによって達成される。その結果、Agドーピング層および/または電極層におけるAgSe塊の形成が抑制される。その結果、堆積が防止され、銀ドーピング層を均一に堆積できる。GeSe/Ge:H二重層組織により、一方ではCBRAMメモリーセルの抵抗不揮発性メモリー作用が得られ、他方では、薄いGe:H層を用いて、薄いGe:H層上に設けられる上部電極の化学的安定性が保証される。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、抵抗スイッチングメモリーセルを有する半導体メモリーに関するものである。さらに、本発明は、不揮発性の抵抗スイッチングメモリーセルを有する半導体メモリー構成素子(Halbleiter-Speicherbaueleemnts)の製造方法に関する。
【0002】
通常、半導体メモリー構成素子には、多数のメモリーセルと、列配線および行配線すなわちワード線およびビット線のマトリックスとからなるセルアレイが形成されている。導電性の材料からなる供給線の交差点には、実際の(eigentliche)メモリーセルが存在する。列配線および行配線すなわちワード線およびビット線は、それぞれ、上部電極すなわちトップ電極と、下部電極すなわちボトム電極とを介して、メモリーセルと電気的に接続されている。ある特定のメモリーセルにおける情報内容の変化をアドレスされた交差点において生成する(書き込む)ため、または、メモリーセル内容を問い合わせる(読み出す)ために、当該ワード線およびビット線を選択し、書き込み電流または読み込み電流を流す。このため、ワード線およびビット線を、相当する制御装置によって駆動する。
【0003】
複数の種類の半導体メモリーが知られている。
半導体メモリーの例としては、コンデンサを有するようにそれぞれ形成されている多数のメモリーセルを含み、コンデンサがいわゆる選択トランジスタと接続されているRAM(Random Access Memory)があげられる。列配線および行配線を介して、相当する選択トランジスタに、目的を絞って電圧を印加することにより、書き込み操作では、電荷を情報ユニット(Bit)としてコンデンサに蓄積し、読み込み操作では、選択トランジスタを介して、再び照会する(問い合わせる)ことができる。RMAメモリー構成素子は、ランダムアクセスのメモリーである。すなわち、データをある特定のアドレスに格納し(書き込み)、後に、このアドレスから、再びデータを読み出すことができる。
【0004】
また別の種類の半導体メモリーセルとしては、DRAM(Dynamic Random Access Memory)があげられる。DRAMは、一般的に、トレンチコンデンサなどの適切に駆動される単一の容量性の素子を備え、その容量によって、それぞれ1つのビットを、電荷として蓄積できる。しかしながら、この電荷がDRMAメモリーセルに保持されるのは、比較的短時間である。それゆえ、定期的に(例えば、約64ms毎に)いわゆる「リフレッシュ」を行う必要がある。このとき、情報内容が、メモリーセルに改めて書き込まれる。
【0005】
これに対し、いわゆるSRAM(Static Random Access Memorry)の複数のメモリーセルは、通常、それぞれ多数のトランジスタを備えている。DRAMとは対照的に、SRAMでは「リフレッシュ」をする必要はない。なぜなら、メモリーセルのトランジスタに蓄積されたデータは、SRAMに適当な供給電圧が供給されるまで保持されているからである。EPROM、EEPROM、フラッシュメモリーなどの不揮発性メモリー構成素子(NVSすなわちNon-Volatile Memories)の場合のみ、たとえ供給電圧が遮断されても蓄積されたデータは蓄積されたままである。
【0006】
現在一般的な半導体メモリー技術は、大抵の場合、標準的なCMOSプロセス(complement metal oxide semiconductor)によって生成された材料に電荷を蓄積するという原則に基づくものである。DRAMメモリーコンセプトの問題は、メモリーコンデンサにおける漏れ電流である。この問題は、電荷損失すなわち情報損失につながるものであり、蓄積された電荷を常時リフレッシュしても、これまでのところ十分には解決されていない。フラッシュメモリーコンセプトの問題は、書き込みサイクルおよび読み込みサイクルがバリヤ層によって分離されていることである。この場合、電圧が高くなり、また、読み込みサイクルおよび書き込みサイクルが遅くなってしまう。この問題に対して、現在のところは最適な解決策が見出されていない。
【0007】
一般的には、RAMメモリー構成素子には、出来るだけ多くのメモリーセルを搭載したほうがよいので、メモリーセルを出来るだけ簡単に、かつ、最小の空間に実現する、すなわち、縮小する努力をすることは意味のあることである。これまで使用されてきたメモリーコンセプト(フラッシュおよびDRAMのようなフローティングゲートメモリー)は、その操作方法(Funktionsweise)が電荷の蓄積に基づくものなので、近い将来、物理的な縮小の限界に達するであろう。さらに、フラッシュメモリーコンセプトでは、切り替え電圧が高いことと、読み込みサイクルおよび書き込みサイクルの数が限られていることとが問題となる。また、DRAMメモリーコンセプトでは、電荷状態での蓄積の期間が限られていることが問題となる。
【0008】
これらの問題を解決する手段(Loesungsansatz)としては、従来技術では、最近、いわゆるCBRAMメモリーセル(CB=Conductive Bridging RAM)も知られている。このCBRAMメモリーセルには、抵抗切り替え工程によってデジタル情報を蓄積できる。CBRAMメモリーセルは、バイポーラ電気パルスによって異なる電気抵抗値間を切り替えられる。最も簡単な実施では、このような素子を、短い電流パルスまたは電圧パルスを印加することにより、非常に高い(例えば、Gオーム域の)抵抗値と、著しく低い(例えば、kオーム域の)抵抗値との間で切り替えることができる。この場合、切り替え速度はマイクロ秒未満のこともある。
【0009】
CBRAMメモリーセルでは、上部電極すなわちトップ電極と、下部電極すなわちボトム電極との間の体積に、電気化学的な活性材料が存在する。電気化学的な活性材料の例としては、例えばGeSe化合物、GeS化合物、AgSe化合物またはCuS化合物中のゲルマニウム(Ge)、セレニウム(Se)、銅(Cu)、硫黄(S)、および/または、銀(Ag)からなるいわゆるカルコゲニド材料があげられる。上記切り替え工程は、CBRAMメモリーセルでは、原則として、「特定の強度すなわち高さおよび期間の適当な電流パルスまたは電圧パルスを電極間に配置された活性材料中の電極に印加することにより、いわゆる分離クラスタ(Abscheide-Clusters)の素子の体積は、双方の電極が最終的に導電性に架橋される(すなわち、相互に導電接続される)まで次第に増加し、このことは、CBRAMセルの導電状態に相当する」ということに基づいている。
【0010】
相当して逆転した電流パルスまたは電圧パルスを印加することにより、この工程を逆に後戻りするように行える。これにより、当該CBRAMセルを、元の伝導していない状態に戻せる。このように、CBRAMメモリーセルのより高い導電性を有する状態と、CBRAMメモリーセルのより低い導電性を有する状態との間の「切り替え」を達成できる。
【0011】
CBRAMメモリーセルにおける切り替え工程は、本質的に、化学的な組成物の変性(Modulation)と、金属によってドープされたカルコゲニド材料の局部的なナノパターニングとに基づいており、カルコゲニド材料は、固体電解質および拡散マトリックスとしての役割を果たす。純粋なカルコゲニド材料は、一般的に、半導電性の特性を示し、室温では、電気抵抗が非常に高い。この電気抵抗は、数桁(Groessenordnungen)、すなわち、オーム抵抗値の十進桁だけ、導電性金属の電気抵抗よりも高い。電極を介して印加される電流パルスまたは電圧パルスによって、拡散マトリックスにおける移動性素子の、イオンとしておよび金属として存在する成分(Bestandteile)の立体構成および局部的な密集を変更できる。これにより、いわゆるブリッジングを行える。すなわち、金属を豊富に堆積すること(metallreichen Ausscheidungen)により電極間の体積を電気的に架橋できる。ブリッジングは、オーム抵抗値が数十進桁だけ低減されることにより、CBRAMメモリーセルの電気的な抵抗を、数桁だけ変更する。
【0012】
カルコゲニド材料の、スパッタ法によって堆積された、ガラス状のGeSe層の表面は、常に、アモルフ構造も有しており、多くの場合、ゲルマニウムとの価電子結合についてはあまり良好な結合ではない過剰なセレニウムを含んでいる。文献US2003/0155606に記載の方法では、セレニウムをGeSe層の層表面において酸化し、蒸着するために、酸素大気中で250℃でアニールプロセス(Temperprozess)が行われる。この方法の欠点は、アニーリングの際に、メモリー素子全体が加熱されることにより、層特性が不都合に変性する可能性があり、または、界面相互拡散の生じる可能性がある点である。さらに、この方法ではセレニウム堆積物(Selenanlagerungen)を溶解するために使用される熱エネルギーが、meV域に達している。しかしながら、このエネルギー域では、非常に弱く結合している(つまり、実質的には結合していない)セレニウム原子しか不活性化できない。弱く結合した、または、クラスタ状に塊となったセレニウム原子を、この周知の方法では除去できず、その結果、Agドーピング層および電極層においてAgSeの塊が形成されてしまう。
【0013】
US2003/0045049に記載の方法では、GeSe層上にパッシベーション層を生成するために、酸素プラズマ、水素プラズマまたは他の化学剤(Chemikalien)によって表面を処理することが提案されている。しかしながら、この方法は、パッシベーション層をAgドープされたGeSe層の表面に形成するという目的だけを有している(ausschliesslich zum Ziel)。様々な酸素処理によって形成される酸化物パッシベーション層は、低い温度でも結晶化する傾向がある。したがって、酸化物層は、Ag電極に対して化学的に不活性ではない。すなわち、Ag電極を有するGe酸化物層の界面においては、酸化銀が形成される可能性がある。これは、CBRAMメモリーセルの機能にとっては不都合なことである。さらに、化学的に十分に閉鎖されている(geschlossen)必要があり、その結果、塊の生成を防止できるパッシベーション層は、トップ電極に対する接触およびそれに伴う切り替え特性を変更(modifiziert)するすなわち妨害する電気的なバリヤを形成する。
【0014】
本発明の一般的な目的は、良好なスケーリング可能性(ナノスケールの寸法)を特徴とする不揮発性半導体メモリーを提供することである。本発明の目的は、短い切り替え時間における低い切り替え電圧を保証し、良好な温度安定性における多数の切り替えサイクルを可能にする不揮発性半導体メモリー素子を提供することである。さらに、本発明の目的は、AgドープされたGeSe層とAgトップ電極との間に、化学的に不活性な境界層を有し、この境界層によって切り替え特性が改善されるCBRAMメモリーセルを提供することである。
【0015】
本発明では、上記目的は、請求項1に記載の特徴を有する抵抗スイッチングCBRAM半導体メモリーによって達成される。さらに、上記目的は、請求項10に記載の特徴を有する不揮発性の抵抗スイッチングCBRAMメモリーセルの製造方法によって達成される。本発明の有利な形態は、従属請求項に定義されている。
【0016】
上記目的は、本発明によれば、複数の不揮発性の抵抗スイッチングメモリーセルを有する半導体メモリーによって達成される。上記不揮発性の抵抗スイッチングメモリーセルは、電気的な供給線からなるメモリーセルマトリックスの交差点にそれぞれ配置されている。上記電気的な供給線は、第1電極と第2電極とを介して、上記メモリーセルと接続されている。上記メモリーセルは、少なくとも1つの活性マトリックス材料層を有する複数の金属層を備えている。このマトリックス材料層は、上記メモリーセルのイオン導体として上記マトリックス材料層におけるイオンドリフトを利用することにより、2つの安定した状態の間の抵抗スイッチング特性を有している。上記メモリーセルは、ガラス状のGeSe層と、アモルフGe:H層とを有するGeSe/Ge:H二重層を備え、上記アモルフGe:H層が、上記GeSe層と上記第2電極との間に配置されている。
【0017】
したがって、本発明の解決手段は、列配線と行配線との間すなわちワード線とビット線との間に配置された、CBRAMメモリーセルの層マトリックスの特別な構造に基づくものである。CBRAMメモリーセルのイオン導体は、GeSe/Ge:H二重層組織として形成されている。GeSe/Ge:H二重層組織は、ガラス状のGeSe層と、その上に配置されたアモルフGe:H層とを備えている。GeSe/Ge:H二重層組織によって、一方では、CBRAMメモリーセルの抵抗不揮発性(non-volatile)メモリー作用が得られ、他方では、ゲルマニウム(Ge)と水素(H)とを含む薄いGe:H層を用いて、その上に配置されているトップ電極の化学的な安定性が保証される。トップ電極は、最後の皮膜プロセスで銀(Ag)から生成されることが好ましい。本発明のGeSe/Ge:H二重層組織を用いることにより、Agドーピング層および/または電極層におけるAgSeの塊の形成が抑制される。その結果、堆積が防止され、銀ドーピング層を均一に堆積できる。
【0018】
さらに、上記目的は、電気化学的な切り替え工程によって導電状態を多少変更可能な活性材料を有する抵抗スイッチングメモリーセルの製造方法において、第1電極を生成する工程と、GeSe/Ge:H二重層を堆積することによって活性マトリックス材料層を生成する工程と、1つのドーピングプロセスにおいて、上記活性材料(3)に移動性ドーピング材料と共に、上記活性マトリックス材料層(3)を、ドーピングする工程と、上記移動性ドーピング材料を、上記活性マトリックス材料層に注入拡散する工程と、第2電極を生成する工程とを含む方法によって達成される。
【0019】
上記の従来技術の方法とは異なり、本発明の方法では、GeSe/Ge:H二重層は、Agドーピングのための工程の前に堆積される。これにより、活性メモリー層マトリックスの全体を形成する。次に、この活性メモリー層マトリックスに、好ましくはフォト拡散によってAgイオン導体を埋設する。その結果、アモルフGe:H化合物からなる二重層の表面層が生じる。Ge:H化合物は温度安定性があり、銀に対して化学的に不活性である。本発明のCBRAMメモリーセルの製造方法では、ドープされた銀が制御されないままGeSeマトリックスを通して拡散してしまう。その結果、CBRAMメモリーセルが短絡する可能性のあるアニールプロセス工程を実施しなくてよい。
【0020】
本発明の製造方法では、酸化物パッシベーション層およびAgトップ電極において形成されたような電子バリヤは、GeSe/Ge:H二重層と電極との間の界面においては形成不可能である。なぜなら、Agフォト拡散は、薄いアモルフGe:H層による影響を受けないからであり、Ge:H層は、このGe:H層中の高濃度のAg原子またはAgイオンによって、Agトップ電極と良好に導電しているからである。
【0021】
本発明の方法により生成されたGeSe/Ge:H二重層のさらに他の利点は、二重層を、同じ装置において、間が空気に触れることなく、1つのプロセス工程で、希ガスまたは希ガス/水素混合物におけるGeSeターゲットおよびGeターゲットの反応スパッタリングによって製造できる点である。これにより、GeSe/Ge:H二重層組織を、1つの共通のプロセス工程でGeSe層上に堆積でき、間に空気に触れることがなく、または、他の装置を使用する必要がない。あるいは、GeSe/Ge:H二重層の第2部分を、GeH反応ガスのプラズマ活性化によって、1つの反応スパッタリングプロセスで、または、PECVD(Plasma Enhanced Chemical Vapor deposition)で堆積してもよい。
【0022】
上記で説明した従来技術の方法では、パッシベーション層をフォト拡散後に最初に堆積し、続いて、酸素大気中でアニールプロセスを実施する。これに対して、本発明の方法では、AgドープされたGeSe層は、酸化物層ではないため、既にAgドープされたGeSe層上に、Ge:H層を堆積することも基本的には可能である。
【0023】
さらに、GeSe/Ge:H二重層組織の利点は、界面の化学的に不活性な特性、GeSe/Ge:Hマトリックス層におけるトップ電極とイオン導体との間の電子的に妨害されていない接続、および、改善された温度耐性、および、低減された製造コストである。
【0024】
したがって、本発明のCBRAMメモリーセルの製造方法の利点は、基本的に、Agイオン導体が注入拡散されるGeSe/Ge:H二重層マトリックスの形成である。グラス状のアモルフGeSe層とアモルフGe:H層との構造は類似しているので、銀をGeSe/Ge:H二重層マトリックスに埋設する後続のフォト拡散プロセスは、影響を受けない。Ge:H層によって形成されている、Agトップ電極に対して化学的なバリヤによって、Ge:H層とAgトップ電極との間は空間的に分離されているので、銀に対する反応対象、特に、セレニウムは存在していない。その結果、Ag電極層における塊の形成が防止される。CBRAMメモリーセルの不揮発性抵抗メモリー効果の基礎となっている、上記したGeSe層マトリックスの切り替え特性は、薄いアモルフGe:H層によって補正されない。さらに、アモルフGe:H層は、GeSe層または付加的な酸化物のパッシベーション層よりも温度安定性があり、したがって、本発明のCBRAMメモリー素子の温度耐性を、続くプロセス工程において改善する。
【0025】
GeSe/Ge:H二重層の上記利点は、CBRAMメモリー素子の安定した機能のために重要である。GeSe/Ge:H二重層を、GeSe/Ag抵抗不揮発性CBRAMメモリー素子を生成するための既知のプロセスを補正することによって形成できる。スパッタ被膜装置(たとえば、Leybold社の装置ZV6000またはKDF社の類似の装置など)では、真空を中断することなく、異なる3つのスパッタターゲットを使用できる。GeSe/Ge:H:Agメモリー素子を製造するために、たとえば、この種のスパッタ装置に、GeSeターゲット、Geターゲット、および、Agターゲットを設ける。
【0026】
好ましい一実施例では、使用されるウエハーは、Wボトム電極と、相当する寸法を有する絶縁層におけるヴィアとのためのパターンを有している。二重層を生成するためのプロセス工程のこの第1部分では、GeSe化合物ターゲットをrfマグネトロンスパッタリングすることにより、メモリー素子のあらかじめ完成されたヴィアにGeSe層を堆積する。このため、通常は、圧力を約4〜5×10−3mbarとし、HFスパッタ電力を1〜2kW域とし、アルゴンをスパッタガスとして使用する。この場合に生成される層の厚みは、約40nm〜45nmである。プロセス工程の第2部分では、GeSeターゲットの代わりに、初期Geターゲットを噴霧する。
【0027】
Ge:H層を層堆積するために、反応性希ガス/水素混合物を使用する。この場合、水素を、層表面上で、ゲルマニウムと反応させてGe:Hにする。スパッタプロセスのこの第2サブ工程では、最初の第2サブ工程と同じ圧力および同じrf電力を使用できる。この場合、第2サブ工程で生成される層の厚みは、5nm〜10nm域であることが好ましい。Ge:Hを堆積するために、薄層太陽電池(Duennschicht-Solarzellen)に対して吸収性材料を堆積するためと同様のスパッタプロセスを使用できる。このプロセスの結果、GeSe/Ge:H二重層マトリックスが、本発明に基づいて生成される。
【0028】
後続のプロセスにおいて、得られたGeSe/Ge:H二重層上に、銀(Ag)をドーピング材料として堆積し、続いて、フォト拡散によってGeSe/Ge:Hマトリックスに注入拡散する。CBRAMメモリー素子を完成するために、希ガス中でAg素子ターゲットをdcマグネトロンスパッタリングすることにより、Agトップ電極を堆積する。
【0029】
以下で、好ましい実施例と添付の図を参照して、本発明を説明する。図1は、本発明の好ましい一実施形態のGeSe/Ge:H二重層マトリックスを有するCBRAMメモリーセルの概略的な構造を示す図である。図1に、特に、本発明のCBRAMメモリー素子のヴィアへのGeSe/Ge:H二重層の堆積を概略的に示す。使用されるウエハーは、Wボトム電極のためのパターンと、必要な寸法を有する絶縁層における相当するヴィアとを既に有していることが好ましい。
【0030】
図に示すCBRAMメモリーセルは、基板上に形成されている材料層からなる層スタックを備えている。これらの層は、複数の方法工程において、本発明に基づいて、上記のように製造される。最下層は、第1電極すなわちボトム電極1である。一方、最上層は、第2電極すなわちトップ電極2からなる層である。2つの電極1・2を介して、CBRAMメモリーセルの層スタックは、半導体メモリーの電気的な供給配線と、列配線および行配線すなわちワード線およびビット線とに接続されている。電極1・2は、それぞれ、スパッタ方法で、Agスパッタターゲットを使用して銀から形成される。
【0031】
電極1・2間に、GeSe/Ge:H二重層を含む活性マトリックス材料層3が設けられている。マトリックス材料層3は、銀イオンによってドーピングされており、アモルフ結晶構造、マイクロモルフ結晶構造、または、マイクロ結晶構造を備えている。マトリックス材料層3上に、ドーピング層(図示せず)が設けられている。このドーピング層は、マトリックス材料層3を銀イオンによってドーピングする役割を果たし、ドーピング層上には、第2電極2の層が設けられている。
【0032】
CBRAMメモリーセルの材料層1・2・3の付近の側方に、コンタクトホール6が設けられている。このコンタクトホール6により、ボトム電極1に上方から接触できる。メモリーセルの材料層は、誘電体4・5によって側部が規定されており、誘電体4・5は、メモリーセルのコンタクトホール6と材料層との間に配置されている。
【0033】
GeSe/Ge:H二重層は、GeSe層とその上に配置されたGe:H層とを備えている。その結果、Ge:H層は、GeSe層と第2電極すなわちトップ電極2との間に配置されている。この製造方法では、まず、GeSe/Ge:H二重層マトリックスを生成する。次に、このGeSe/Ge:H二重層マトリックスに、フォト拡散プロセスでAgイオン導体を注入拡散する。ガラス状のアモルフGeSe層とアモルフGe:H層とは構造が似ているので、銀をGeSe/Ge:H二重層マトリックスに埋設するために使用される後続のフォト拡散プロセスは、影響を受けない。
【0034】
薄いアモルフGe:H層の化学的なバリヤによるGeSe層とAgトップ電極との空間的な分離は、銀の塊が、活性マトリックス材料層3上に形成されることを効果的に防止し、その結果、CBRAMメモリーセルの切り替え特性が改善される。さらに、Ge:H層は、GeSe層よりも温度安定性があり、それゆえ、続くプロセス工程において、本発明のCBRAMメモリー素子の温度耐性を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の好ましい一実施形態のGeSe/Ge:H二重層マトリックスを有するCBRAMメモリーセルの概略的な構造を示す図である。
【符号の説明】
【0036】
1 第1電極すなわちボトム電極
2 第2電極すなわちトップ電極
3 GeSe/Ge:H二重層すなわち活性材料
4 誘電体
5 誘電体
6 ボトム電極2に対するコンタクトホール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の不揮発性の抵抗スイッチングメモリーセルを有し、
上記不揮発性の抵抗スイッチングメモリーセルは、電気的な供給線によって形成されているメモリーセルマトリックスの交差点にそれぞれ配置されており、
上記電気的な供給線は、第1電極(1)と第2電極(2)とを介して、上記抵抗スイッチングメモリーセルと接続されており、
上記抵抗スイッチングメモリーセルは、少なくとも1つの活性マトリックス材料層を有する複数の金属層を備え、上記活性マトリックス材料層は、上記抵抗スイッチングメモリーセルのイオン導体として上記活性マトリックス材料層におけるイオンドリフトを利用することにより、2つの安定した状態間の抵抗スイッチング特性を有している、半導体メモリーにおいて、
上記抵抗スイッチングメモリーセルが、ガラス状のGeSe層とアモルフGe:H層とを有するGeSe/Ge:H二重層(3)を備え、上記アモルフGe:H層が、上記GeSe層と上記第2電極(2)との間に配置されていることを特徴する半導体メモリー。
【請求項2】
上記活性マトリックス材料層は、パターンのない場所を有する化学的に不活性な、多孔質結晶、アモルフ結晶、マイクロモルフ結晶、またはマイクロ結晶のマトリックス材料からなり、
上記活性マトリックス材料層は、そのイオン導電性により、双安定特性を有しており、
その結果、上記抵抗スイッチングメモリーセルは、電気的な供給線を介して印加される電場の影響を受けて、活性マトリックス材料層にあるイオンの移動性および電気抵抗が異なる2つの安定した状態になることが可能な、請求項1に記載の半導体メモリー。
【請求項3】
シリコンの上記活性マトリックス材料層は、アルカリイオン、アルカリ土類イオン、および/または、金属イオン、特に銀イオンによってドープされている請求項1または2に記載の半導体メモリー。
【請求項4】
上記抵抗スイッチングメモリーセルの上記材料層(1,2,3)は、半導体基板上に、重なり合うか、または、隣り合うか、または、異なる方向に、好ましくはサンドイッチ状の層スタックとして配置されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の半導体メモリー。
【請求項5】
上記抵抗スイッチングメモリーセルは、一方の第1側から、第1電極すなわちボトム電極(1)を介して、電気的な供給配線によって電気的に接触され、上記第1電極(1)とは反対の側であることが好ましい他方の側から、第2電極すなわちトップ電極(2)を介して、電気的な供給配線によって電気的に接触されるようになっている請求項1〜4のいずれか1項に記載の半導体メモリー。
【請求項6】
上記抵抗スイッチングメモリーセルの上記材料層(1,2,3)の付近の側方に、上記ボトム電極(1)に接触するための少なくとも1つのコンタクトホール(6)が設けられている請求項1〜5のいずれか1項に記載の半導体メモリー。
【請求項7】
上記抵抗スイッチングメモリーセルの上記材料層(1,2,3)は、誘電体(4,5)によって側部が規定されており、上記誘電体(4,5)は、上記抵抗スイッチングメモリーセルの上記コンタクトホール(6)と上記材料層(1,2,3)との間に配置されていることが好ましい請求項6に記載の半導体メモリー。
【請求項8】
上記不揮発性の抵抗スイッチングメモリーセルを、少なくとも
第1電極(1)と、
アルカリイオン、アルカリ土類イオン、または、金属イオンによってドープされた、アモルフ結晶、マクロモルフ結晶、または、マイクロ結晶のマトリックス材料層と、
GeSe層と、
Ge:H層と、
ドーピング層と、
第2電極(2)と、
からなる材料層から形成する請求項1〜7のいずれか1項に記載の半導体メモリー。
【請求項9】
上記マトリックス材料層は、銀イオンによってドープされており、上記ドーピング層は、シルバードーピング層である請求項1〜8のいずれか1項に記載の半導体メモリー。
【請求項10】
電気化学的な切り替え工程によって導電状態を多少変更可能な活性材料(3)を有する抵抗スイッチングメモリーセルの製造方法において、少なくとも、
第1電極(1)を生成する工程と、
GeSe/Ge:H二重層を堆積することによって活性マトリックス材料層(3)を生成する工程と、
1つのドーピングプロセスにおいて、上記活性材料(3)に移動性ドーピング材料と共に、上記活性マトリックス材料層(3)を、ドーピングする工程と、
上記移動性ドーピング材料を、上記活性マトリックス材料層(3)に注入拡散する工程と、
第2電極(2)を生成する工程とを含む方法。
【請求項11】
銀を、好ましくはフォト拡散によって上記活性マトリックス層(3)へ注入拡散される移動性材料またはドーピング材料として使用する請求項10に記載の方法。
【請求項12】
上記GeSe/Ge:H二重層を生成するための上記堆積を、
第1サブ工程におけるGeSe層の堆積と、
第2サブ工程におけるGe:H層の堆積と、の2つのサブ工程で行う請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
上記Ge:H層の堆積を、GeH反応ガスのプラズマ活性化による反応性スパッタリングプロセス、または、PECVD法(Plasma Enhanced Chemical Vapor deposition)にて行う請求項10〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
上記GeSe層を、GeSe化合物ターゲットを用いるスパッタプロセスによって、好ましくはあらかじめ完成したヴィアに堆積する請求項10〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
上記GeSe層を生成するために、圧力を約4〜5×10−3mbarとし、HFスパッタ電力を1〜2kW域とし、好ましくはアルゴンをスパッタガスとして使用したrfマグネトロンスパッタプロセスを行う請求項10〜14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
上記GeSe層のために上記生成された層厚は、約40nm〜45nmである請求項10〜15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
上記Ge:H層を生成するために、初期Geターゲットと反応性希ガス/水素混合物とを使用して、スパッタプロセスを行う請求項10〜16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
上記Ge:H層を生成するために、圧力を約4〜5×10−3mbarとし、HFスパッタ電力を1〜2kWとした、rfマグネトロンスパッタプロセスを行う請求項10〜17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
上記Ge:H層のために上記生成された層厚は、約5〜10nmである請求項10〜18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
上記第2電極(2)を、Ag素子ターゲットと希ガスとをスパッタガスとして使用するDCマグネトロンスパッタによって、銀から生成する請求項10〜19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
請求項1〜9のいずれか1項に記載のメモリーセルを有する少なくとも1つの半導体を含むメモリー素子を有するシステム。
【請求項22】
請求項10〜20のいずれか1項に基づいて生成されたメモリーセルを有する少なくとも1つの半導体メモリーを有するメモリー構成素子を有するシステム。

【図1】
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【公表番号】特表2007−509509(P2007−509509A)
【公表日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−537324(P2006−537324)
【出願日】平成17年9月7日(2005.9.7)
【国際出願番号】PCT/EP2005/054410
【国際公開番号】WO2006/034946
【国際公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【出願人】(501209070)インフィネオン テクノロジーズ アクチエンゲゼルシャフト (331)
【Fターム(参考)】