説明

押下スイッチ機構

【課題】押下操作の際の力量の変化を実使用上無視することのできる程度に抑えつつ、異音の発生を防止することのできる押下スイッチ機構を提供する。
【解決手段】筐体11に設けられた押下ボタン34の押下操作により操作信号を出力する押下スイッチ機構30であって、筐体11と押下ボタン34との間で筐体11に対する押下ボタン34の押下操作方向に沿って設けられた圧縮コイルスプリング33と、押下操作方向に押し下げられた押下ボタン34により押されることで操作信号を出力するスイッチ装置36と、圧縮コイルスプリング33の端部(33a)の短間隔箇所(Au1)において、圧縮コイルスプリング33を形成する線材間に挟まれて設けられた弾性吸収部材35と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルカメラ等の電子機器に用いられる押下スイッチ機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、デジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラ(以下、「デジタルカメラ」という)等の撮像装置では、例えば、シャッターボタンを押し下げる押下操作により撮影を実行させる押下スイッチ機構を用いるものが知られている。この押下スイッチ機構では、シャッターボタンとしての押下ボタンを圧縮コイルスプリングで支持することにより、押下ボタン(シャッターボタン)の押下操作を可能とするものがある。このような押下スイッチ機構では、圧縮コイルスプリングが圧縮されるもしくは復帰すること(弾性変形)に起因して当該圧縮コイルスプリングに振動が生じてしまう虞がある。この圧縮コイルスプリングの振動は、異音を生じさせてしまったり、押下ボタンに伝わることで操作感触の悪化を招いてしまったりする虞がある。
【0003】
このため、上記した押下スイッチ機構では、圧縮コイルスプリングの内方に、圧縮変形されるゴム製の柱状体を挿入することが考えられている(特許文献1参照)。この押下スイッチ機構では、圧縮コイルスプリングが圧縮変形されて柱状体が圧縮変形されると、その柱状体が圧縮コイルスプリングに押し当てられるので、圧縮コイルスプリングにおける振動を抑制することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した押下スイッチ機構では、押下ボタンの押下操作により圧縮コイルスプリングが圧縮変形され、その後に圧縮コイルスプリングとともに柱状体が圧縮変形されることにより、その柱状体が圧縮コイルスプリングに押し当てられる構成であることから、押し下げた押下ボタンが初期位置へと復帰する際に圧縮コイルスプリングに生じる振動を抑制することが困難である。このため、押下ボタンが初期位置へと復帰する際に、異音が生じてしまう虞がある。
【0005】
また、上記した押下スイッチ機構では、押下ボタンが押下操作される際、先ず圧縮コイルスプリングが圧縮変形され、その後に圧縮コイルスプリングとともに柱状体が圧縮変形されることから、押下ボタンを押し下げるための力量に変化を生じさせてしまう。このことは、押下操作を行っている使用者に違和感を与えてしまい、押下操作における操作感触を損ねてしまう虞がある。
【0006】
本発明は、上記の事情に鑑みて為されたもので、押下操作の際の力量の変化を実使用上無視することのできる程度に抑えつつ、異音の発生を防止することのできる押下スイッチ機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の押下スイッチ機構は、筐体に設けられた押下ボタンの押下操作により操作信号を出力する押下スイッチ機構であって、前記筐体と前記押下ボタンとの間で前記筐体に対する前記押下ボタンの押下操作方向に沿って設けられた圧縮コイルスプリングと、前記押下操作方向に押し下げられた前記押下ボタンにより押されることで操作信号を出力するスイッチ装置と、前記圧縮コイルスプリングの端部の短間隔箇所において、前記圧縮コイルスプリングを形成する線材間に挟まれて設けられた弾性吸収部材と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載の押下スイッチ機構では、押下操作の際の力量の変化を実使用上無視することのできる程度に抑えつつ、異音の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係る撮像装置の一例としてのデジタルカメラ10におけるレンズ鏡胴13の状態の変化の様子を示す説明図であり、(a)は収納位置を示し、(b)は繰出位置を示す。
【図2】デジタルカメラ10における制御ブロックを示す説明図である。
【図3】押下スイッチ機構30の構成を模式的な断面で示す説明図である。
【図4】押下スイッチ機構30の構成を説明するための模式的な斜視図であり、押下ボタン34(シャッターボタン15)を取り付ける前であって圧縮コイルスプリング33が無負荷状態とされている様子を示す。
【図5】押下スイッチ機構30において押下ボタン34(シャッターボタン15)を取り付ける前であって圧縮コイルスプリング33が無負荷状態とされた図4と同様の様子を模式的な断面で示す説明図である。
【図6】実施例2の押下スイッチ機構30Bの構成を模式的な断面で示す図3と同様の説明図である。
【図7】押下スイッチ機構30Bにおいて押下ボタン34(シャッターボタン15)を取り付ける前であって圧縮コイルスプリング33が無負荷状態とされた様子を模式的な断面で示す図5と同様の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本願発明に係る押下スイッチ機構、およびその押下スイッチ機構が設けられる撮像装置の各実施例について図面を参照しつつ説明する。
【実施例1】
【0011】
本発明に係る押下スイッチ機構の一実施例としての押下スイッチ機構30およびそれが設けられる撮像装置の一実施例としてのデジタルカメラ10の概略的な構成を、図1から図5を用いて説明する。以下の説明では、デジタルカメラ10を基準として、後述する撮影光学系12の光軸(図1(b)の矢印参照)方向を前後方向(被写体側が前方(F側))とし(矢印FB参照)、デジタルカメラ10を正面視した高さ方向を上下方向とし(矢印UD参照(上側がU))、前後方向および上下方向を含む面に直交する方向を左右方向(デジタルカメラ10を正面視して左手が右側方向(R側)となる)とする(矢印LR参照)。
【0012】
まず、押下スイッチ機構30が設けられる撮像装置の一例としてのデジタルカメラ10を、図1および図2を用いて説明する。デジタルカメラ10は、図1に示すように、筐体11の前面(図1を正面視して手前側の面)側に撮影光学系12(図1(b)参照)を有するレンズ鏡胴13が設けられている。この撮影光学系12は、最も被写体側に配置される対物レンズ12aや、図示は略すが、固定レンズ、ズームレンズ、シャッタユニットおよび絞りユニット等の複数の光学部材を備える。対物レンズ12aを含む撮影光学系12としての各光学部材は、レンズ鏡胴13により撮影光学系12の光軸方向(図1(b)の矢印参照)に移動可能に保持される。そのレンズ鏡胴13は、撮影光学系12の光軸に沿って、所定の収納位置(図1(a)参照)と所定の繰出位置(撮影待機状態(図1(b)参照))との間で進退移動(繰り出しおよび繰り入れ)可能とされている。レンズ鏡胴13では、所定の収納位置(図1(a)参照)と所定の繰出位置(図1(b)参照)とで移行することにより、撮影光学系12(図1参照)の各光学部材(図示せず)を所定のごとく移動させる。
【0013】
筐体11では、上面(図1を正面視して上側の面)に、操作部としての電源ボタン14(図2参照)、シャッターボタン15、モード切替ダイアル16が設けられている。電源ボタン14は、デジタルカメラ10を起動するための操作(起動操作)と、デジタルカメラ10を停止するための操作(停止操作)と、をするものである。シャッターボタン15は、被写体の撮影動作を実行するために、上下方向の下方へと押し下げる操作(以下、押下操作ともいう)をするものである。実施例1では、シャッターボタン15は、本発明に係る押下スイッチ機構30により構成されている。これについては、後に詳細に説明する。モード切替ダイアル16は、各種のシーンモード、静止画モード、動画モード等を設定するものである。また、筐体11では、明確な図示は略すが背面に表示部24(その表示面)やその他の操作スイッチ17が設けられている(図2参照)。この表示部24は、撮像された画像データや記録媒体に記録された画像データに基づき画像を表示する。また、操作スイッチ17は、各メニュー等の設定のための方向指示用スイッチや各種スイッチである。
【0014】
このデジタルカメラ10は、図2に示すように、制御部21と、撮像素子22と、レンズ鏡胴駆動ユニット23と、表示部24と、を有する。制御部21は、操作部としての電源ボタン14、シャッターボタン15、モード切替ダイアル16および操作スイッチ17に為された操作に基づく駆動処理や、撮像素子22からの信号に基づく画像データの生成処理や、レンズ鏡胴駆動ユニット23および表示部24の駆動等の制御を、記憶部21aに格納されたプログラムにより統括的に行う。
【0015】
撮像素子22は、CCDイメージセンサやCMOSイメージセンサ等の固体撮像素子で構成されており、撮影光学系12を通して受光面(図示せず)上に結像された被写体像を電気信号(画像データ)に変換して出力する。その出力された電気信号(画像データ)は、制御部21へと伝送される。
【0016】
レンズ鏡胴駆動ユニット23は、レンズ鏡胴13を収納位置(図1(a)参照)と繰出位置(図1(b)参照)とで移行させることにより、撮影光学系12の各光学部材を各々支持する光学部材保持枠(図示せず)を移動させる。
【0017】
デジタルカメラ10では、制御部21がシャッターボタン15に後述する1段階の押下操作が為されたこと認識すると、レンズ鏡胴駆動ユニット23を制御してピント調節の動作を実行する。また、デジタルカメラ10では、制御部21がシャッターボタン15に後述する2段階の押下操作が為されたこと認識すると、撮影光学系12を通して撮像素子22(図2参照)の受光面で受光した被写体像の画像データを記録処理する。さらに、デジタルカメラ10では、制御部21の制御下で、記録処理した画像データに基づく画像を表示部24に適宜表示させることができる。制御部21は、押下スイッチ機構30から後述する第1操作信号が出力されると、シャッターボタン15における1段階の押下操作が為された旨を認識し、押下スイッチ機構30から後述する第2操作信号が出力されると、シャッターボタン15における2段階の押下操作が為された旨を認識する。
【0018】
次に、本発明に係る押下スイッチ機構30の特徴部分の概略的な構成を、図3から図5を用いて説明する。なお、図3の説明図は、図4に示すI−I線で得られた断面に相当する。
【0019】
押下スイッチ機構30は、実施例1では、シャッターボタン15における押下操作を可能とするとともに、その押下操作による操作信号の出力を可能とすべく設けられている。この押下スイッチ機構30は、図3に示すように、筐体11の上面を構成するカバー31に設けられた取付凹所32に、圧縮コイルスプリング33と押下ボタン34(図3参照)と弾性吸収部材35とが設けられ、その下方にスイッチ装置36とスイッチ基板37とが設けられて構成されている。
【0020】
その取付凹所32は、図4に示すように、カバー31の表面(筐体11の上面)を上下方向の下方へ向けて凹ませて形成されている。取付凹所32は、上下方向で見ると、デジタルカメラ10(その外形を形作る筐体11)の左右方向に長尺であり、その左右方向の両端の端壁部32aが半円形状とされている。その取付凹所32の底壁32bには、図4および図5に示すように、操作穴部41と、環状凹所42と、一対のガイド穴部43と、一対の引掛穴部44と、が設けられている。
【0021】
その操作穴部41は、取付凹所32の底壁32bにおいて、左右方向で見た中央位置を上下方向に貫通する貫通穴として形成されている。操作穴部41には、実施例1では、その周辺を取り巻いてバネ取付ボス部分41aが設けられている。このバネ取付ボス部分41aは、取付凹所32の底壁32bの上面(取付凹所32の底面)よりも上方へと突出する筒状とされている。このバネ取付ボス部分41aを取り巻いて環状凹所42が設けられている。
【0022】
その環状凹所42は、バネ取付ボス部分41aを取り巻きつつ取付凹所32の底壁32bの上面(取付凹所32の底面)を下方へ向けて凹ませて形成されており、上下方向で見て環状を呈している。環状凹所42には、環状部材45が配置される。この環状部材45は、円板状の部材の中央に円形の穴が設けられて形成された環状を呈し、環状凹所42への挿入が可能な大きさ寸法とされている。環状部材45は、圧縮コイルスプリング33の台座(設置箇所)を形成する。環状凹所42は、環状部材45が配置されることにより、取付凹所32の底壁32bの上面(取付凹所32の底面)と、略等しい平坦面とされる。この環状凹所42(環状部材45)の左右方向で見た外側に一対のガイド穴部43が設けられている。
【0023】
その両ガイド穴部43は、取付凹所32の底壁32bを上下方向に貫通する貫通穴として形成されている。両ガイド穴部43には、実施例1では、その周辺を取り巻いてガイドボス部分43aが設けられている。このガイドボス部分43aは、取付凹所32の底壁32bの上面(取付凹所32の底面)よりも上方へと突出する筒状とされている。また、実施例1では、一方のガイド穴部43(図4等を正面視して左側)は、上下方向で見て、左右方向に長尺な長穴とされており、内周面に一対の平坦箇所43bが形成されている。その両平坦箇所43bは、前後方向に直交する面に沿って設けられており、前後方向で対向されている。その各ガイド穴部43の左右方向で見た外側に一対の引掛穴部44が設けられている。
【0024】
その両引掛穴部44は、取付凹所32の底壁32bにおける左右方向で見た両端箇所を上下方向に貫通する貫通穴として形成されており、取付凹所32の半円形状の端壁部32aと上下方向で連続するものとされている。このため、両引掛穴部44は、取付凹所32における左右方向で見た両端箇所において、端壁部32aに沿って底壁32bを貫通している。この取付凹所32の底壁32bに圧縮コイルスプリング33が設けられる。
【0025】
その圧縮コイルスプリング33は、螺旋状とされた線材により構成され、その軸線方向で見た線材の間隔(ピッチ)が所定のものとされている。圧縮コイルスプリング33は、取付凹所32の底壁32bに設けられたバネ取付ボス部分41aの外径寸法よりも大きな内径寸法とされている。圧縮コイルスプリング33は、無負荷状態において最も伸びて、一端33aと他端33bとを接近させる動作に抗する弾性力を発揮する。この圧縮コイルスプリング33は、一端33aと他端33bとが、自らの軸線に直交する面に沿う環状とされている。このため、圧縮コイルスプリング33では、軸線方向で見て、一端33aからの所定の領域Au1と、他端33bからの所定の領域Au2と、において、線材の間隔が上述した所定の間隔よりも短い短間隔箇所とされている(図5参照)。この圧縮コイルスプリング33は、一端33aがバネ取付ボス部分41aを取り巻きつつ環状凹所42に設けられた環状部材45上に配置されて、取付凹所32の底壁32b上に設けられる。その圧縮コイルスプリング33の他端33bに押下ボタン34(図3参照)が取り付けられる。このため、圧縮コイルスプリング33では、一端33aを含むその近傍が一方の端部となり、他端33bを含むその近傍が他方の端部となる。
【0026】
その押下ボタン34は、図3に示すように、筐体11(カバー31)の表面に対して押下操作される箇所を形成するものであり、実施例1ではシャッターボタン15を形成している。押下ボタン34は、ボタン本体34aと、押下ガイド軸部34bと、一対の補助ガイド軸部34cと、一対の引掛部34dと、を有する。
【0027】
ボタン本体34aは、押下操作のために筐体11(カバー31)の表面から露出される箇所を形成するものである。このボタン本体34aは、実施例1では、板状を呈し、上下方向で見た形状が取付凹所32の内周面に倣うものとされている(図1参照)。ボタン本体34aは、上下方向に直交する面に沿う状態で、取付凹所32の内方に嵌め入れることが可能とされている。
【0028】
押下ガイド軸部34bは、円柱形状を呈し、ボタン本体34aの中央位置において、当該ボタン本体34aに直交する方向へと突出されて設けられている。その押下ガイド軸部34bは、取付凹所32の操作穴部41へと挿入することが可能な大きさ寸法とされている。
【0029】
一対の補助ガイド軸部34cは、円柱形状を呈し、ボタン本体34aに直交する方向へと突出されて設けられている。一対の補助ガイド軸部34cは、左右方向で見て押下ガイド軸部34bの外側に設けられており、上下方向で見て取付凹所32の一対のガイド穴部43に対応されている。この各補助ガイド軸部34cは、対応する取付凹所32のガイド穴部43へと挿入することが可能な大きさ寸法とされている。補助ガイド軸部34cは、実施例1では、一方のガイド穴部43(図3等を正面視して左側)に挿入されると、前後方向で見て対向する両平坦箇所43b(図4参照)に接触する径寸法とされている。このため、押下ボタン34(ボタン本体34a)は、押下ガイド軸部34bもしくは他方の補助ガイド軸部34c(図3等を正面視して右側)を中心として回転することが防止されている。
【0030】
一対の引掛部34dは、柱形状を呈し、ボタン本体34aに直交する方向へと突出されて設けられている。その一対の引掛部34dは、左右方向で見てボタン本体34aの両端部に設けられており、上下方向で見て取付凹所32の一対の引掛穴部44に対応されている。一対の引掛部34dでは、突出端にフック部34eが形成されている。そのフック部34eは、引掛部34dの突出端から左右方向で見た外側へと突出されて形成されている。各引掛部34dは、フック部34e側から対応する取付凹所32の引掛穴部44へと挿入することが可能な大きさ寸法とされている。また、一対の引掛部34dは、それぞれが対応する引掛穴部44へと挿入されると、フック部34eが上下方向で見て取付凹所32の両端の端壁部32a(その下端)に引っ掛かる位置関係とされている。
【0031】
この押下ボタン34は、圧縮コイルスプリング33の他端33bが、押下ガイド軸部34bを取り巻くようにボタン本体34aに設けられて、カバー31(筐体11)の取付凹所32に取り付けられる。この取付状態において、押下ボタン34では、押下ガイド軸部34bが取付凹所32の操作穴部41へと挿入され、一対の補助ガイド軸部34cが取付凹所32の対応するガイド穴部43へと挿入され、一対の引掛部34dが取付凹所32の対応する引掛穴部44へと挿入されてフック部34eが端壁部32a(その下端)に引っ掛けられる。この押下ボタン34(ボタン本体34a)は、押下ガイド軸部34bと操作穴部41との案内作用と、両補助ガイド軸部34cと両ガイド穴部43との案内作用と、により、筐体11の取付凹所32において上下方向へと移動することが可能とされている。また、押下ボタン34(ボタン本体34a)は、圧縮コイルスプリング33により取付凹所32から上下方向の上側に突出する方向へと押されているとともに、両フック部34eが取付凹所32の両端壁部32a(その下端)に上下方向で引っ掛かることにより取付凹所32から上側へと離脱することが防止されている。このため、押下ボタン34は、ボタン本体34a(その表面)を筐体11(カバー31)から露出させつつ、その筐体11(カバー31)に対して圧縮コイルスプリング33の押す力に抗して上下方向の下側へと押下操作することが可能とされている。その圧縮コイルスプリング33に弾性吸収部材35が設けられている。
【0032】
その弾性吸収部材35は、外部から衝撃が入力されると弾性変形することにより当該衝撃のエネルギーを吸収する低反発な弾性材料から為るものであり、少なくとも圧縮コイルスプリング33と接した状態において当該圧縮コイルスプリング33が振動すると、その振動により弾性変形する圧縮荷重とされている。弾性吸収部材35は、実施例1では、PORON((株)イノアックコーポレーション商品名)で形成されている。
【0033】
この弾性吸収部材35は、無負荷状態の圧縮コイルスプリング33における一端33a側の所定の領域Au1あるいは他端33b側の所定の領域Au2において、軸線方向で隣り合う線材の間に挟み込ませることのできる大きさ寸法とされている(図5参照)。すなわち、弾性吸収部材35は、無負荷状態の圧縮コイルスプリング33において、所定の間隔(ピッチ)よりも短い短間隔箇所の間隔よりも大きな大きさ寸法とされている。弾性吸収部材35は、実施例1では、図5に示すように、直方体形状を呈し、無負荷状態の圧縮コイルスプリング33の一端33a側の所定の領域Au1における線材の間隔よりも大きな高さ寸法hとされ、バネ取付ボス部分41aとガイドボス部分43aとの間隔よりも大きな幅寸法wとされている。
【0034】
この弾性吸収部材35は、実施例1では、圧縮コイルスプリング33の一端33aの内方に存在されるバネ取付ボス部分41a(操作穴部41)から見て、他方のガイド穴部43(図5等を正面視して右側)のガイドボス部分43aとの間に嵌め込ませつつ、左右方向で見た一端部35aを圧縮コイルスプリング33の一端33a側の所定の領域Au1における線材の間に挟み込ませて配置される。このとき、弾性吸収部材35の一端部35aには、圧縮コイルスプリング33の一端33aの線材に挟まれて支持されることによりくびれるように変形した被支持箇所35bが形成されている。この弾性吸収部材35は、一端部35aにおける被支持箇所35bよりもバネ取付ボス部分41a側が、左右方向で見て圧縮コイルスプリング33(その一端33a)とバネ取付ボス部分41aとの間を充填している。このことから、弾性吸収部材35は、左右方向でバネ取付ボス部分41aとガイドボス部分43aとの間を充填しつつ、上下方向で圧縮コイルスプリング33の一端33aの線材の間を充填している。このことから、操作穴部41のバネ取付ボス部分41aと他方のガイド穴部43のガイドボス部分43aとの間の位置が、圧縮コイルスプリング33の一端33aが取り付けられる箇所(面)に連続しつつバネ取付ボス部分41aおよびガイドボス部分43aの先端(上面)に対して押下操作方向へと凹む第1の設置凹所として機能する。その圧縮コイルスプリング33等が設けられた取付凹所32の操作穴部41の下方にスイッチ装置36が設けられている。
【0035】
スイッチ装置36は、スイッチ本体部36aとスイッチ突起部36bとを有し、そのスイッチ突起部36bが操作穴部41の上下方向の下側に存在して設けられている。このスイッチ装置36は、スイッチ本体部36aに対してスイッチ突起部36bが押し込まれると(図示の例では下側へ押し下げる)、スイッチ本体部36aが信号を出力する。また、スイッチ装置36では、押し込みが解除されると、スイッチ突起部36bが初期位置に復帰する構成とされている。実施例1では、スイッチ装置36は、スイッチ本体部36aに対するスイッチ突起部36bの押し込み量が2段階に設定されており、段階毎に異なる信号を出力する構成とされている。すなわち、スイッチ装置36は、スイッチ本体部36aに対してスイッチ突起部36bが押し込まれて1段階の位置となると第1信号を出力し、そこからさらにスイッチ突起部36bが押し込まれて2段階の位置となると第2信号を出力する。また、スイッチ装置36では、スイッチ突起部36bの押し込みに要する力量(復帰力に抗する力量)の変化で、スイッチ突起部36bが1段階の位置となったことの把握を可能としている。さらに、スイッチ装置36では、スイッチ突起部36bにおける復帰力に抗する力量が、上述した圧縮コイルスプリング33における復帰力に抗する力量よりも大きなものとされている。このスイッチ装置36は、上述したように取付凹所32に取り付けられた押下ボタン34が押下操作されると、その押下ガイド軸部34b(その先端)がスイッチ突起部36bを押し込む位置関係とされている。このスイッチ装置36は、スイッチ基板37に取り付けられている。
【0036】
そのスイッチ基板37は、板状を呈し、図示は略すがコンデンサや抵抗等の電子部品が実装されており、筐体11に固定されている。スイッチ基板37には、スイッチ装置36のスイッチ本体部36aが電気的に接続されて実装されている。このスイッチ基板37では、それぞれに設けられた電子部品により所定の電子回路を構成しており、スイッチ本体部36aから信号(実施例1では、第1信号および第2信号)が出力されると、シャッターボタン15における押下操作が為されたことを示す操作信号(実施例1では、後述する第1操作信号および第2操作信号)を制御部21に出力する。
【0037】
この押下スイッチ機構30では、ボタン本体34a(その表面)を筐体11(カバー31)から露出させつつ、その筐体11(カバー31)に対して上下方向の下側へと押下操作することを可能とした押下ボタン34でシャッターボタン15を形成している。押下スイッチ機構30では、筐体11(カバー31)から露出させたシャッターボタン15(押下ボタン34)が押下操作されると、そのボタン本体34aと取付凹所32の底壁32bとの間で圧縮コイルスプリング33が圧縮され、その押下ガイド軸部34b(その先端)がスイッチ装置36のスイッチ突起部36bをスイッチ本体部36aに押し込む。その押し込み量が1段階の位置となると(所謂半押し状態)、スイッチ装置36のスイッチ本体部36aがスイッチ基板37へと第1信号を出力し、そのスイッチ基板37がシャッターボタン15における1段階の押下操作が為されたことを示す第1操作信号を制御部21に出力する。その後、押し込み量が2段階の位置となると(所謂全押し状態)、スイッチ装置36のスイッチ本体部36aがスイッチ基板37へと第2信号を出力し、そのスイッチ基板37がシャッターボタン15における2段階の押下操作が為されたことを示す第2操作信号を制御部21に出力する。また、押下スイッチ機構30では、シャッターボタン15(押下ボタン34)への押下操作が解除されると、圧縮コイルスプリング33の復帰力(復元力)によりシャッターボタン15(押下ボタン34(その表面))を筐体11(カバー31)から露出させる初期位置に戻す。押下スイッチ機構30では、圧縮コイルスプリング33の一端33aの線材間に弾性吸収部材35を挟んでいることから、圧縮されるもしくはそこから復帰すること(弾性変形)により圧縮コイルスプリング33に生じる得る振動を弾性吸収部材35で吸収することができる。
【0038】
実施例1の押下スイッチ機構30では、圧縮コイルスプリング33の線材間に挟んで弾性吸収部材35を設けていることから、圧縮コイルスプリング33の圧縮量に拘らず常に線材間に弾性吸収部材35を挟ませているので、シャッターボタン15(押下ボタン34)を押し下げる過程(押下操作)において圧縮コイルスプリング33に生じる得る振動を弾性吸収部材35で吸収することができるとともに、そのシャッターボタン15(押下ボタン34)が初期位置へと復帰する際にも圧縮コイルスプリング33に生じる得る振動を弾性吸収部材35で吸収することができる。このため、圧縮コイルスプリング33の振動に起因して異音が生じることを確実に防止することができる。
【0039】
また、実施例1の押下スイッチ機構30では、圧縮コイルスプリング33において、軸線方向で見た線材の間隔が短い短間隔箇所とされた一端33a側の所定の領域Au1の線材間で弾性吸収部材35を挟んでいることから、小さな弾性吸収部材35であっても確実に圧縮コイルスプリング33の線材間に挟むことができる。
【0040】
さらに、実施例1の押下スイッチ機構30では、圧縮コイルスプリング33の線材間に挟む弾性吸収部材35を、圧縮コイルスプリング33と接した状態において当該圧縮コイルスプリング33が振動すると、その振動により弾性変形する圧縮荷重としていることから、圧縮コイルスプリング33を圧縮させるための荷重への影響を小さなものとすることができる。このため、シャッターボタン15(押下ボタン34)の押下操作の際の力量の変化を実使用上無視することのできる程度に抑えることができる。特に、実施例1の押下スイッチ機構30では、圧縮コイルスプリング33における復帰力に抗する力量が、スイッチ突起部36bにおける復帰力に抗する力量よりも小さなものとされていることから、圧縮コイルスプリング33の線材間に弾性吸収部材35を挟んだことによるシャッターボタン15(押下ボタン34)の押下操作の力量への影響を極めて小さなものとすることができ、より効果的である。
【0041】
実施例1の押下スイッチ機構30では、圧縮コイルスプリング33において、軸線方向で見た線材の間隔が短い短間隔箇所とされた一端33a側の所定の領域Au1の線材間で弾性吸収部材35を挟んでいることから、圧縮コイルスプリング33を圧縮させるための荷重への影響を小さなものとすることができる。
【0042】
実施例1の押下スイッチ機構30では、軸線方向で見て線材間で挟んだ弾性吸収部材35により圧縮コイルスプリング33の振動を吸収するものであることから、接触する線材自身の振動を弾性吸収部材35で吸収することができるとともに、当該線材間の軸線方向での間隔の変化を弾性吸収部材35で吸収することができるので、より効果的に圧縮コイルスプリング33の振動を抑制することができる。
【0043】
実施例1の押下スイッチ機構30では、弾性吸収部材35が無負荷状態の圧縮コイルスプリング33の一端33a側の所定の領域Au1における線材の間隔よりも大きな高さ寸法hとされていることから、圧縮コイルスプリング33の圧縮量に拘らず常に線材間で弾性吸収部材35を挟んだ状態とすることができる。
【0044】
実施例1の押下スイッチ機構30では、弾性吸収部材35がバネ取付ボス部分41aとガイドボス部分43aとの間隔よりも大きな幅寸法wとされているとともに、そのバネ取付ボス部分41aとガイドボス部分43aとの間(第1の設置凹所)に弾性吸収部材35を嵌め込んでいることから、圧縮コイルスプリング33(その線材)における上下方向に直交する方向への振動を弾性吸収部材35でより効果的に吸収することができるので、より効果的に圧縮コイルスプリング33の振動を抑制することができる。
【0045】
実施例1の押下スイッチ機構30では、弾性吸収部材35がバネ取付ボス部分41aとガイドボス部分43aとの間隔の幅寸法よりも大きな幅寸法wとされているとともに、バネ取付ボス部分41a(操作穴部41)から見て他方のガイド穴部43(図5等を正面視して右側)のガイドボス部分43aとの間(第1の設置凹所)に弾性吸収部材35を嵌め込んでいることから、圧縮コイルスプリング33における押下ボタン34(シャッターボタン15)のボタン本体34aの長尺方向への振動をより効果的に吸収することができるので、より効果的に圧縮コイルスプリング33の振動を抑制することができる。
【0046】
実施例1の押下スイッチ機構30では、弾性吸収部材35をバネ取付ボス部分41aとガイドボス部分43aとの間(第1の設置凹所)に嵌め込んでいることから、圧縮コイルスプリング33が圧縮もしくはそこからの復帰の動作が繰り返されることに伴って、弾性吸収部材35が圧縮コイルスプリング33の線材間から脱落することを防止することができる。
【0047】
実施例1の押下スイッチ機構30では、無負荷状態の圧縮コイルスプリング33の一端33a側の所定の領域Au1における線材間で弾性吸収部材35を挟むことによりくびれるように変形した被支持箇所35bに圧縮コイルスプリング33の線材が嵌りこんでいるとともに、その弾性吸収部材35をバネ取付ボス部分41aとガイドボス部分43aとの間(第1の設置凹所)に嵌め込んでいることから、取付凹所32内で圧縮コイルスプリング33が上下方向に直交する面に沿う方向、特に左右方向へと移動することを防止することができる。
【0048】
実施例1の押下スイッチ機構30では、圧縮コイルスプリング33の取り付けのためにその一端33aへの挿入が可能とされたバネ取付ボス部分41aと、他方のガイド穴部43(図5等を正面視して右側)を補強するためのガイドボス部分43aとで、弾性吸収部材35を嵌め込む第1の設置凹所を形成していることから、弾性吸収部材35の配置のためだけに新たな凹所を形成する必要がないので、簡易な構成とすることができる。
【0049】
実施例1の押下スイッチ機構30では、押下操作のための力量の変化を防止した押下ボタン34でシャッターボタン15を形成していることから、シャッターボタン15としての操作感触を良好なものとすることができる。これは、シャッターボタン15では、押下操作における押込操作量の差異(1段階の位置(半押し状態)および2段階の位置(全押し状態))により、ピント調節の実行と撮影の実行とを別個に行うことが可能とされており、その押込操作量の差異の把握がスイッチ装置36におけるスイッチ突起部36bの押し込みに要する力量の変化によるものとされていることから、筐体11(カバー31(その取付凹所32))に対するシャッターボタン15(押下ボタン34)の押下操作のための力量がスイッチ突起部36bにおける復帰力に抗する力量よりも小さなものとされていることにより、そのシャッターボタン15を押下操作している使用者がスイッチ装置36におけるスイッチ突起部36bの押し込みに要する力量の変化を容易に把握できることによる。
【0050】
実施例1の押下スイッチ機構30が設けられたデジタルカメラ10では、シャッターボタン15の操作感触を良好なものとすることができるとともに、シャッターボタン15での異音の発生を防止することができる。このため、より品質を向上させることができる。
【0051】
したがって、実施例1の押下スイッチ機構30では、シャッターボタン15(押下ボタン34)の押下操作の際の力量の変化を実使用上無視することのできる程度に抑えつつ、異音の発生を防止することができる。
【0052】
なお、上記した実施例1では、圧縮コイルスプリング33における一端33a側の所定の領域Au1の線材間に弾性吸収部材35を挟み込ませていたが、他端33b側の所定の領域Au2の線材間に弾性吸収部材35を挟み込ませてもよく(図5に二点差線で示す弾性吸収部材35参照)、上記した実施例1に限定されるものではない。
【実施例2】
【0053】
次に、実施例2の押下スイッチ機構30Bについて、図6および図7を用いて説明する。この実施例2は、押下スイッチ機構30Bの構成が上記した実施例の押下スイッチ機構30(デジタルカメラ10)とは異なる例である。この実施例2の押下スイッチ機構30B(デジタルカメラ10)は、基本的な構成は上記した実施例1の押下スイッチ機構30(デジタルカメラ10)と同様であることから、等しい構成の個所には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。図6は、押下スイッチ機構30Bの構成を模式的な断面で示す図3と同様の説明図である。図7は、押下スイッチ機構30Bにおいて押下ボタン34(シャッターボタン15)を取り付ける前であって圧縮コイルスプリング33が無負荷状態とされた状態を模式的な断面で示す図5と同様の説明図である。
【0054】
実施例2の押下スイッチ機構30Bでは、図6および図7に示すように、弾性吸収部材38が設けられている。この弾性吸収部材38は、弾性吸収部材35と同様の部材から形成されており、圧縮コイルスプリング33の一端33aの内方に存在されるバネ取付ボス部分41a(操作穴部41)から見て、一方のガイド穴部43(図6等を正面視して左側)のガイドボス部分43aとの間に嵌め込ませることのできる幅寸法とされている。弾性吸収部材38は、実施例2では、直方体形状を呈し、バネ取付ボス部分41aと一方のガイド穴部43のガイドボス部分43aとの間隔から圧縮コイルスプリング33の線材の径寸法を減算した大きさ寸法よりも大きな幅寸法w´(図7参照)とされている。
【0055】
この弾性吸収部材38は、実施例2では、圧縮コイルスプリング33の一端33aの内方に存在されるバネ取付ボス部分41a(操作穴部41)から見て、一方のガイド穴部43(図5等を正面視して右側)のガイドボス部分43aと圧縮コイルスプリング33の一端33aとの間に嵌め込んで配置される。このため、弾性吸収部材38は、圧縮コイルスプリング33の軸線に関して弾性吸収部材35と反対側の位置、すなわち圧縮コイルスプリング33の軸線を挟んで弾性吸収部材35と対向する位置で、左右方向で圧縮コイルスプリング33(その一端33a)を介在させてバネ取付ボス部分41aとガイドボス部分43aとの間を充填している。また、弾性吸収部材38は、圧縮コイルスプリング33の外周面に押し当てられている。このことから、弾性吸収部材35を第1の弾性吸収部材として、弾性吸収部材38が第2の弾性吸収部材として機能する。また、操作穴部41のバネ取付ボス部分41aと一方のガイド穴部43のガイドボス部分43aとの間の位置が、圧縮コイルスプリング33の一端33aが取り付けられる箇所(面)に連続しつつバネ取付ボス部分41aおよびガイドボス部分43aの先端(上面)に対して押下操作方向へと凹む第2の設置凹所として機能する。
【0056】
実施例2の押下スイッチ機構30Bでは、圧縮コイルスプリング33の一端33aの線材間に挟んでいる弾性吸収部材35と、その反対側で圧縮コイルスプリング33(その一端33a)を介在させてバネ取付ボス部分41aとガイドボス部分43aとの間を充填している弾性吸収部材38と、で、圧縮されるもしくはそこから復帰すること(弾性変形)により圧縮コイルスプリング33に生じる得る振動を弾性吸収部材35で吸収することができる。
【0057】
実施例2の押下スイッチ機構30B(デジタルカメラ10)では、基本的に実施例1の押下スイッチ機構30(デジタルカメラ10)と同様の構成であることから、基本的に実施例1と同様の効果を得ることができる。
【0058】
それに加えて、実施例2の押下スイッチ機構30Bでは、弾性吸収部材35に加えて弾性吸収部材38でも圧縮コイルスプリング33の振動を吸収することができるので、より効果的に圧縮コイルスプリング33の振動を抑制することができる。
【0059】
また、実施例2の押下スイッチ機構30Bでは、弾性吸収部材38が圧縮コイルスプリング33の外周面に押し当てられているものであることから、圧縮コイルスプリング33の圧縮への影響を殆ど無くすことができる。このため、シャッターボタン15(押下ボタン34)を押し下げる過程(押下操作)において力量が変化することを実使用上無視することのできる程度に抑えることができ、その力量の設定を容易なものとすることができる。
【0060】
さらに、実施例2の押下スイッチ機構30Bでは、弾性吸収部材38がバネ取付ボス部分41aとガイドボス部分43aとの間隔から圧縮コイルスプリング33の線材の径寸法を減算した大きさ寸法よりも大きな幅寸法w´とされているとともに、そのバネ取付ボス部分41aとガイドボス部分43aとの間(第2の設置凹所)に圧縮コイルスプリング33(その一端33a)を介在させて弾性吸収部材38を嵌め込んでいることから、圧縮コイルスプリング33(その線材)における上下方向に直交する方向への振動をより効果的に吸収することができるので、より効果的に圧縮コイルスプリング33の振動を抑制することができる。
【0061】
実施例2の押下スイッチ機構30Bでは、圧縮コイルスプリング33の軸線に直交する方向で見て、当該圧縮コイルスプリング33を挟み込んで弾性吸収部材35と弾性吸収部材38とが設けられていることから、圧縮コイルスプリング33(その線材)におけるその軸線に直交する方向への振動をより効果的に吸収することができ、より効果的に圧縮コイルスプリング33の振動を抑制することができる。
【0062】
実施例2の押下スイッチ機構30Bでは、左右方向で見て、当該圧縮コイルスプリング33を挟み込んで弾性吸収部材35と弾性吸収部材38とが設けられていることから、圧縮コイルスプリング33における押下ボタン34(シャッターボタン15)のボタン本体34aの長尺方向への振動をより効果的に吸収することができるので、より効果的に圧縮コイルスプリング33の振動を抑制することができる。
【0063】
実施例2の押下スイッチ機構30Bでは、圧縮コイルスプリング33を挟み込む弾性吸収部材35と弾性吸収部材38とが、バネ取付ボス部分41aと各ガイドボス部分43aとの間(第1の設置凹所および第2の設置凹所)に嵌め込んで設けられていることから、取付凹所32内で圧縮コイルスプリング33が上下方向に直交する面に沿う方向、特に左右方向へと移動することをより効果的に防止することができる。
【0064】
実施例2の押下スイッチ機構30Bでは、圧縮コイルスプリング33の取り付けのためにその一端33aへの挿入が可能とされたバネ取付ボス部分41aと、各ガイド穴部43を補強するためのガイドボス部分43aとで、弾性吸収部材35を嵌め込む第1の設置凹所および弾性吸収部材38を嵌め込む第2の設置凹所を形成していることから、弾性吸収部材35の配置のためだけに新たな凹所を形成する必要がないので、簡易な構成とすることができる。
【0065】
したがって、実施例2の押下スイッチ機構30Bでは、シャッターボタン15(押下ボタン34)の押下操作の際の力量の変化を実使用上無視することのできる程度に抑えつつ、異音の発生を防止することができる。
【0066】
なお、上記した各実施例では、本発明に係る押下スイッチ機構の一例としての押下スイッチ機構30、30Bについて説明したが、筐体に設けられた押下ボタンの押下操作により操作信号を出力する押下スイッチ機構であって、前記筐体と前記押下ボタンとの間で前記筐体に対する前記押下ボタンの押下操作方向に沿って設けられた圧縮コイルスプリングと、前記押下操作方向に押し下げられた前記押下ボタンにより押されることで操作信号を出力するスイッチ装置と、前記圧縮コイルスプリングの端部の短間隔箇所において、前記圧縮コイルスプリングを形成する線材間に挟まれて設けられた弾性吸収部材と、を備える押下スイッチ機構であればよく、上記した各実施例に限定されるものではない。
【0067】
また、上記した各実施例では、押下スイッチ機構30、30Bの押下ボタン34でシャッターボタン15を形成するものとされていたが、圧縮コイルスプリング33を用いて押下操作が可能とされた押下ボタン34であればよく、上記した各実施例に限定されるものではない。
【0068】
さらに、上記した各実施例では、弾性吸収部材35がバネ取付ボス部分41aとガイドボス部分43aとの間(第1の設置凹所)に嵌め込まれて設けられていたが、圧縮コイルスプリング33の一端33a側の所定の領域Au1の線材間もしくは圧縮コイルスプリング33の他端33b側の所定の領域Au2の線材間に挟み込ませて弾性吸収部材35が設けられていればよく、上記した各実施例に限定されるものではない。
【0069】
上記した各実施例では、弾性吸収部材35が、その一端部35aにおける被支持箇所35bよりもバネ取付ボス部分41a側で圧縮コイルスプリング33(その一端33a)とバネ取付ボス部分41aとの間を充填していたが、圧縮コイルスプリング33の一端33a側の所定の領域Au1の線材間もしくは圧縮コイルスプリング33の他端33b側の所定の領域Au2の線材間に挟み込ませて弾性吸収部材35が設けられていればよく、上記した各実施例に限定されるものではない。
【0070】
上記した各実施例では、弾性吸収部材35が、バネ取付ボス部分41a(操作穴部41)から見て他方のガイド穴部43(図5等を正面視して右側)のガイドボス部分43aとの間に嵌め込まれて設けられていたが、圧縮コイルスプリング33の一端33aが取り付けられる箇所に連続しつつシャッターボタン15(押下ボタン34)の押下操作方向に凹んで設けられた設置凹所に嵌め込まれて設けられていればよく、上記した各実施例に限定されるものではない。
【0071】
上記した各実施例では、操作穴部41のバネ取付ボス部分41aと他方のガイド穴部43のガイドボス部分43aとで第1の設置凹所を構成していたが、圧縮コイルスプリング33の一端33a(一方の端部)が取り付けられる箇所(面)に連続しつつ押下操作方向へと凹んで形成されて、かつ押下操作方向に直交する方向で見た弾性吸収部材35の両端を嵌め込ませることができるものであれば、例えば、バネ取付ボス部分41aと取付凹所32の側壁部(前後方向に存在し両端壁部32aを掛け渡す箇所)とで第1の設置凹所を構成してもよく、上記した一端33aが取り付けられる箇所(面)を取り囲む凹所を形成して第1の設置凹所を構成してもよく、上記した各実施例に限定されるものではない。
【0072】
上記した実施例2では、弾性吸収部材38が圧縮コイルスプリング33(その一端33a)の外周面に接して設けられていたが、弾性吸収部材35と同様に圧縮コイルスプリング33の一端33a側の所定の領域Au1の線材間に挟み込ませて弾性吸収部材38が設けられていてもよく、上記した実施例2に限定されるものではない。
【0073】
上記した実施例2では、弾性吸収部材38が、バネ取付ボス部分41a(操作穴部41)から見て一方のガイド穴部43(図5等を正面視して右側)のガイドボス部分43aとの間に嵌め込まれて設けられていたが、圧縮コイルスプリング33の軸線に関して弾性吸収部材35と反対側の位置すなわち圧縮コイルスプリング33の軸線を挟んで弾性吸収部材35と対向する位置で、圧縮コイルスプリング33に接触して設けられていればよく、上記した実施例2に限定されるものではない。
【0074】
上記した実施例2では、操作穴部41のバネ取付ボス部分41aと一方のガイド穴部43のガイドボス部分43aとで第2の設置凹所を構成していたが、圧縮コイルスプリング33の軸線に関して弾性吸収部材35と反対側の位置で、その一端33a(一方の端部)が取り付けられる箇所(面)に連続しつつ押下操作方向へと凹んで形成されて、かつ押下操作方向に直交する方向で見た弾性吸収部材38の両端を嵌め込ませることができるものであれば、例えば、バネ取付ボス部分41aと取付凹所32の側壁部(前後方向に存在し両端壁部32aを掛け渡す箇所)とで第2の設置凹所を構成してもよく、上記した一端33aが取り付けられる箇所(面)を取り囲む凹所を形成して第2の設置凹所を構成してもよく、上記した実施例2に限定されるものではない。
【0075】
上記した各実施例では、スイッチ装置36がスイッチ本体部36aに対するスイッチ突起部36bの押し込み量が2段階に設定されており、段階毎に異なる信号を出力する構成とされていたが、筐体11(カバー31)に対して圧縮コイルスプリング33の押す力に抗して上下方向の下側へと押下操作された押下ボタン34(その押下ガイド軸部34b)によりスイッチ突起部36bが押し込まれることで、操作信号を出力するものであればよく、上記した各実施例に限定されるものではない。
【0076】
上記した各実施例では、デジタルカメラ10に押下スイッチ機構30、30Bが設けられていたが、カメラ機能を組み込んだPDA(personal data assistant)や携帯電話機等の携帯型情報端末装置に搭載されていてもよく、上記した各実施例に限定されるものではない。これは、このような携帯型情報端末装置も外観は若干異にするもののデジタルカメラ10と実質的に全く同様の機能・構成を含んでいるものが多いことによる。同様に、本発明に係る押下スイッチ機構(30、30B)を画像入力装置に採用してもよい。
【0077】
以上、本発明の押下スイッチ機構、およびその押下スイッチ機構が設けられた撮像装置を各実施例に基づき説明してきたが、具体的な構成については各実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【符号の説明】
【0078】
10 (撮像装置の一例としての)デジタルカメラ
11 筐体
15 シャッターボタン
30、30B 押下スイッチ機構
31 (筐体の一部を構成する)カバー
33 圧縮コイルスプリング
33a (圧縮コイルスプリングの一方の端部の一例としての)一端
33b (圧縮コイルスプリングの端部の一例としての)他端
34 押下ボタン
35 (第1の弾性吸収部材の一例としての)弾性吸収部材
36 スイッチ装置
38 (第2の弾性吸収部材の一例としての)弾性吸収部材
41a (一例としての第1の設置凹所および第2の設置凹所を構成する)バネ取付ボス部分
43a (一例としての第1の設置凹所および第2の設置凹所を構成する)ガイドボス部分
Au1 (短間隔箇所の一例としての)所定の領域
Au2 (短間隔箇所の一例としての)所定の領域
【先行技術文献】
【特許文献】
【0079】
【特許文献1】特開平08−115632号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体に設けられた押下ボタンの押下操作により操作信号を出力する押下スイッチ機構であって、
前記筐体と前記押下ボタンとの間で前記筐体に対する前記押下ボタンの押下操作方向に沿って設けられた圧縮コイルスプリングと、
前記押下操作方向に押し下げられた前記押下ボタンにより押されることで操作信号を出力するスイッチ装置と、
前記圧縮コイルスプリングの端部の短間隔箇所において、前記圧縮コイルスプリングを形成する線材間に挟まれて設けられた弾性吸収部材と、を備えることを特徴とする押下スイッチ機構。
【請求項2】
前記弾性吸収部材は、前記圧縮コイルスプリングにおいて前記筐体への取付側となる一方の端部に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の押下スイッチ機構。
【請求項3】
前記筐体は、前記圧縮コイルスプリングの一方の端部が取り付けられる箇所に連続しつつ前記押下操作方向に凹む設置凹所を有し、
前記弾性吸収部材は、前記押下操作方向に直交する方向で見た両端を前記設置凹所に嵌め込んで該設置凹所に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の押下スイッチ機構。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の押下スイッチ機構であって、
前記弾性吸収部材を第1の弾性吸収部材として、
さらに、前記圧縮コイルスプリングの軸線を挟んで前記第1の弾性吸収部材と対向する位置において、前記圧縮コイルスプリングに接触して設けられた第2の弾性吸収部材を備えることを特徴とする押下スイッチ機構。
【請求項5】
前記筐体は、前記圧縮コイルスプリングの一方の端部が取り付けられる箇所に連続しつつ前記押下操作方向に凹む第1の設置凹所と、前記圧縮コイルスプリングの軸線を挟んで前記第1の設置凹所と対向する位置において前記圧縮コイルスプリングの一方の端部が取り付けられる箇所に連続しつつ前記押下操作方向に凹む第2の設置凹所と、を有し、
前記第1の弾性吸収部材は、前記押下操作方向に直交する方向で見た両端を前記第1の設置凹所に嵌め込んで該第1の設置凹所に設けられ、
前記第2の弾性吸収部材は、前記押下操作方向に直交する方向で見た両端を前記第2の設置凹所に嵌め込んで該第2の設置凹所に設けられていることを特徴とする請求項4に記載の押下スイッチ機構。
【請求項6】
前記第2の弾性吸収部材は、前記圧縮コイルスプリングの一方の端部の短間隔箇所において、前記圧縮コイルスプリングを形成する線材間に挟まれて設けられていることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の押下スイッチ機構。
【請求項7】
前記押下ボタンは、撮影動作の実行のためのシャッターボタンであることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の押下スイッチ機構。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の押下スイッチ機構が設けられていることを特徴とする撮像装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2013−80589(P2013−80589A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−219171(P2011−219171)
【出願日】平成23年10月3日(2011.10.3)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】