押出形材と他部材との連結構造
【課題】押出形材と他部材との連結に際し、他部材を貫通した連結用のボルトを、押出形材の押出方向と直交する方向に容易、正確で且つ強固にねじ込め、且つカバー用の別部材を不要とする押出形材と他部材との連結構造を提供する。
【解決手段】金属からなり、連結すべき他部材20に面接触する外側面2aに有する連結片2と、該連結片2の内側面2bから係る連結片2と直角で且つ互いに平行に延びた一対の内側片4a,4bと、これらの対向する内面に形成された一対の雌ネジ面6a,6bと、を含む断面形状を押出方向の全長に沿って有する押出形材E1において、連結片2の外側面2aと一対の内側片4a,4bの基部との間を貫通する通し孔9を形成し、上記外側面2aに、連結すべきブレーカー20のベース板22を面接触させ、係るベース板22を貫通したボルトB1の雄ネジ部b1を通し孔9に貫通させると共に、一対の雌ネジ面6a,6bにネジ結合する。
【解決手段】金属からなり、連結すべき他部材20に面接触する外側面2aに有する連結片2と、該連結片2の内側面2bから係る連結片2と直角で且つ互いに平行に延びた一対の内側片4a,4bと、これらの対向する内面に形成された一対の雌ネジ面6a,6bと、を含む断面形状を押出方向の全長に沿って有する押出形材E1において、連結片2の外側面2aと一対の内側片4a,4bの基部との間を貫通する通し孔9を形成し、上記外側面2aに、連結すべきブレーカー20のベース板22を面接触させ、係るベース板22を貫通したボルトB1の雄ネジ部b1を通し孔9に貫通させると共に、一対の雌ネジ面6a,6bにネジ結合する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押出形材と他部材との強固で且つ意匠性に優れた連結構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、クリーンルーム内のケーシングの骨格を構成する支柱として、断面角形の中空押出形材からなり、四辺の各側面に断面ほぼU字形で且つ対向する一対の内側面に凹凸条を有する受溝を押出方向に沿って一対ずつ平行に形成したものを用い、該支柱と直角に連結すべき横桟との内隅部に配置した連結ブラケットを貫通した複数の取付ねじを、上記支柱の各受溝内に進入させてネジ結合した後、上記連結ブラケットがない位置の受溝の開口部にカバー用の目板を嵌め込むようにしたケーシング及びそれに用いる構造用柱部材が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
前記構造用柱部材によれば、現場において取付ねじ用の孔明け加工が不要となるため、組立作業が簡単になる、という効果を奏することができる。
しかし、前記構造用柱部材と前記横桟のような他部材とを連結する場合、取付ねじは、上記構造用柱部材の受溝の開口部付近ではフリーであるため、あるいは、不用意な外力によって、係る受溝の長手(押出)方向に沿って傾き易く、当該受溝の深さ(垂直)方向に沿ってねじ込みにくい、という問題がある。
しかも、前記受溝は、他部材や連結ブラケット以外の位置では、その開口部が外部に露出するため、これをカバー(目隠し)すべく、前記のような目板を別途用意し、これを所定長さに切断して、受溝の開口部に嵌め込む作業が必要となる。その結果、所要の断面を有する目板の用意やその嵌め込み作業によって、施工数が増えて且つコスト高になる、という問題もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−31381号公報(第1〜10頁、図1〜11)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、背景技術において説明した問題点を解決し、押出形材と他部材との連結に際し、他部材を貫通した連結用のボルト(ビス)を、押出形材の押出方向と直交する方向に容易に、正確で且つ強固にねじ込め、且つカバー用の別部材を不要とする押出形材と他部材との連結構造を提供する、ことを課題とする。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0006】
本発明は、前記課題を解決するため、他部材を貫通した連結用のボルトを押出形材の外側に露出する連結片に明けた通し孔に貫通させ、且つ係るボルト雄ネジ部を前記通し孔の内側に位置する一対の雌ネジ面とネジ結合させる、ことに着想して成されたものである。
即ち、本発明による押出形材と他部材との連結構造(請求項1)は、金属からなり、少なくとも、連結すべき他部材に面接触する外側面に有する連結片と、係る連結片の内側面から係る連結片と直角で且つ互いに平行に延びた一対の内側片と、係る一対の内側片の対向する内面に形成された一対の雌ネジ面と、を含む断面形状を押出方向の全長に沿って有する押出形材において、上記連結片の外側面と一対の内側片の基部との間を貫通する通し孔を形成し、上記押出形材における連結片の外側面に、連結すべき他部材またはその一部を面接触させ、係る他部材またはその一部を貫通したボルトの雄ネジ部を上記通し孔に貫通させると共に、上記一対の雌ネジ面にネジ結合してなる、ことを特徴とする。
【0007】
これによれば、他部材を貫通したボルト(ビス)は、その雄ネジ部が押出形材における連結片の通し孔を貫通した後、一対の内側片の内面に対向して形成された一対の雌ネジ面に、係る雄ネジ部の径方向における両端付近の雄ネジの周面が先端側から基端側に向かって順次ネジ結合される。この際、ボルトの雄ネジ部は、そのネジ山・谷が一対の雌ネジ面ごとのネジ谷・山を係る雌ネジ面の幅(深さ)方向に沿って若干かじりつつ、順次ネジ結合している。その結果、他部材は、上記ボルトによって、押出形材の連結片における外側面に面接触ししつ強固に結合される。しかも、上記ボルトは、押出形材の連結片に予め設けた通し孔を貫通するので、一対の雌ネジ面からなる雌ネジ溝の深さ方向(押出方向と直交する方向)に沿って正確にねじ込まれると共に、不用意な外力により傾くことがない。しかも、従来のように、一対の雌ネジ面からなる雌ネジ溝が外部に露出しないため、これを外部から目隠しする目板を嵌め込む必要もなくなる。従って、押出形材の連結片に通し孔を予め設けだけで、他部材を押出形材の押出方向と直交する方向に容易、正確で且つ強固にねじ込んで連結でき、且つカバー用の目板などを不要とすることができる。
【0008】
尚、前記押出形材は、アルミニウム合金からなるものに限らず、その他の金属(鉄、チタン、マグネシウムなど)や合金(鋼、ステンレス鋼など)からなるものでも良く、且つ、引抜加工により成形される形材や型鋼なども含まれる。
また、前記押出形材と連結される他部材には、別の押出形材のほか、型鋼や、金属製の条材、棒材、板材、あるいは、各種の製品(例えば、ブレーカー(遮断器))または部品(例えば、連結用のブラケット)も含まれ、他部材の一部には、例えば、製品(ブレーカー)のベース板やフランジが挙げられる。
更に、前記他部材は、前記押出形材における連結片の外側面に対して、直角を含む任意の角度で交差するように面接触するほか、上記外側面に当該他部材の一部が上記同様にして面接触するものでも良い。
【0009】
また、前記押出形材における一対の内側片の各内面に対向して形成される一対の雌ネジ面は、当該押出形材の押出方向と直交する深さ方向に沿って、互いに半ピッチずれてネジ山およびネジ谷が形成され、係るネジ山およびネジ谷が押出方向の全長に沿って刻設されている。係る一対の雌ネジ面は、一つの雌ネジ溝を構成し、前記ボルトやビスの雄ネジ部の周面のうち直径方向で対向する位置のネジ山およびネジ谷とネジ結合する。
更に、前記押出形材において、前記連結片、一対の内側片、および一対の雌ネジ面は、当該押出形材で一組のみを配置した形態、断面で対向する辺に対称に2組を配置した形態、あるいは、断面矩形(正方形または長方形)状の押出形材における3辺毎または4辺毎の内側に3組または4組を配置した形態としても良い。
また、押出形材の連結片に設ける前記通し孔の内径は、前記ボルトのネジ山径よりも若干大きいことが望ましい。
加えて、他部材に設けられる前記ボルト用の貫通孔の内径も、そのネジ山径よりも若干大きいことが望ましい。
【0010】
また、本発明には、前記一対の内側片の先端部は、互いに接近するように傾斜している、押出形材と他部材との連結構造(請求項2)も含まれる。
これによれば、他部材および押出形材の連結片の通し孔を貫通したボルトの雄ネジ部が、それぞれ雌ネジ面を有する一対の内側片の間に螺旋状にねじ込まれつつ進入した際に、係る一対の内側片の先端部が互いに接近するように傾斜しているので、一対の内側片の先端側が弾性変形によって互いに離れる事態を防止できる。従って、ボルトの雄ネジ部と、押出形材側の一対の雌ネジ面とのネジ結合を一層強固で且つ安定したものにできる。
【0011】
更に、本発明には、前記一対の内側片の先端部は、直角に交差する底片を介して連結され、係る底片、前記一対の雌ネジ面、および前記連結片の内側面に囲まれた中空部が形成されている、押出形材と他部材との連結構造(請求項3)も含まれる。
これによれば、他部材および押出形材の連結片の通し孔を貫通したボルトの雄ネジ部が、それぞれ雌ネジ面を有する一対の内側片の間に螺旋状にねじ込まれつつ進入した際に、一対の内側片の先端側が直交する底片により連結され、且つ一対の雌ネジ面を含む中空部内に進入する。そのため、係るボルトの雄ネジ部と、押出形材側の一対の雌ネジ面とのネジ結合を強固で且つ安定したものとなる。
しかも、屋外などで用いた際には、他部材と押出形材の連結片の通し孔とを貫通して該押出形材の中空部に進入したボルトの雄ネジ部を伝って雨水が浸透した場合でも、該雄ネジ部は中空部内に留まるため、屋内側への漏水を防止することもできる。
【0012】
加えて、本発明には、前記一対の雌ネジ面に挟まれた位置における前記連結片の外側面と内側面との間の厚みは、係る一対の雌ネジ面におけるネジ谷径の40%以上である、押出形材と他部材との連結構造(請求項4)も含まれる。
これによれば、前記押出形材における一対の雌ネジ面に挟まれた位置における前記連結片の外側面と内側面との間の厚みが、係る一対の雌ネジ面におけるネジ谷径の40%以上である。そのため、他部材を貫通したボルトの雄ネジを一対の雌ネジ面にねじ込む際に、押出方向に沿って傾く事態を確実に防止できる。その結果、係るボルトの雄ネジ部を、一対の雌ネジ面の幅(深さ)方向に沿って、容易且つ確実にねじ込むことができる。
尚、前記連結片の外側面と内側面との間の厚みは、より望ましくは、一対の雌ネジ面におけるネジ谷径の60%以上、更により望ましくは、80%以上である。但し、上記厚みの上限は、金属材料の節約のため、ネジ谷径の約100%が適当である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に用いる一形態の押出形材を示す孔明け前後の斜視図。
【図2】上記押出形材の孔明け前後の断面図。
【図3】上記押出形材とブレーカー(製品)との連結構造を示す概略図。
【図4】上記押出形材とブレーカーとの連結構造の概略を示す部分斜視図。
【図5】上記押出形材の応用形態の押出形材を示す断面図。
【図6】上記応用形態の押出形材とブレーカーとの連結構造を示す部分断面図。
【図7】異なる形態の押出形材を示す断面図。
【図8】上記押出形材と下地材との連結構造を含む建物外装用格子ルーバーを示す斜視図。
【図9】図7で示した押出形材の応用形態の押出形材を示す断面図。
【図10】更に異なる形態の押出形材を示す断面図。
【図11】上記押出形材とブレーカーとの連結構造を示す部分断面図。
【図12】別な形態の押出形材を示す断面図。
【図13】別異な形態の押出形材を示す断面図。
【図14】更に別異な形態の押出形材を示す断面図。
【図15】図13の押出形材同士をブラケットを介して連結した構造の斜視図。
【図16】別個の形態の押出形材を示す断面図。
【図17】図9で示した押出形材の応用形態を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下において、本発明を実施するための形態について説明する。
図1は、本発明に用いる一形態の押出形材E1を示す孔明け前後の斜視図、図2は、その断面図である。
押出形材E1は、アルミニウム合金(例えば、A6063−T5)などの金属からなり、図1,図2中で白抜き矢印の左側に示すように、他部材を連結すべき外側面2aを有する連結片2、その一端から直角に延びた長片10、および係る長片10の一端から更に直角に延び且つ上記連結片2と平行な短片11を備え、これらからなるコ字形状の断面を、押出方向(図示の前後方向)の全長に沿って有する。
上記連結片2の内側面2bの中央付近には、係る連結片2と直角で且つ互いに平行にして図示で垂直方向に延びた一対の内側片4a,4bが突設され、これらの内面には、一対の雌ネジ面6a,6bが対向して形成されている。係る一対の雌ネジ面6a,6bによって雌ネジ溝6が構成されている。この雌ネジ面6a,6bは、押出形材E1の押出方向と直交する深さ(幅)方向に沿って、互いに半ピッチずれており、例えば、M5またはM6のネジ山およびネジ谷が形成され、係るネジ山およびネジ谷が押出方向の全長に沿って刻設されている。
【0015】
図1,図2中の左側に示すように、前記一対の内側片4a,4bごとの先端には、これらから直角で且つ互いに離れるように延びた一対のフランジ5が個別に突設されている。また、一対の内側片4a,4bに挟まれた位置における連結片2の外側面2aの中央には、断面ほぼV字形のノッチnが全長に沿って形成されている。更に、図2の左側に示すように、前記一対の雌ネジ面6a,6bに挟まれた位置における連結片2の内側面2cと外側面2aとの間の厚みtは、一対の雌ネジ面6a,6bのネジ谷径dの40%以上(例えば、3mm)となるように、他の部分(例えば、1.5mm)よりも厚肉とされている。
上記ノッチnに軸心が一致するように、連結片2に対して垂直で且つその外側面2aと内側面2cとの間に、図示しないドリルによって孔明け加工を施す。
その結果、図1,図2中で白抜き矢印の右側に示すように、連結片2の外側面2aと内側面2cとの間に、円形の通し孔9が穿孔される。該通し孔9は、押出形材E1の押出(長手)方向に沿った所望の位置に複数個が形成され、その内径は、後述するボルトB1の雄ネジ部b1のネジ山径よりも若干大きくされている。
【0016】
次に、前記押出形材E1と他部材であるブレーカー(製品)20との連結構造S1について、図3,図4により説明する。
先ず、図示しない建物などに鋼製の複数のアングル26を水平で且つ平行に固定する。該アングル26は、水平片27と垂直片28からなり、係る垂直片28には、予め、長円形の貫通孔29がその長手方向に沿って複数個穿設されている。
次に、図3,図4に示すように、前記通し孔9が形成された左右一対の押出形材E1,E1を対称な姿勢とし、それらの短片11ごとに設けた図示しない貫通孔と、アングル26ごとの垂直片28における貫通孔29とに、ボルトB2を貫通し且つその雄ネジ部b2にナットNを締結する。その結果、図示のように、一対の押出形材E1,E1は、水平な複数のアングル26に対し、垂直で且つ互いに所定間隔をおいて対称に固定される。
次いで、図3に示すように、一対の押出形材E1の連結片2ごとの外側面2a,2aに跨って、ブレーカー20のベース板22を添接し、且つ外側面2aごとに面接触させる。該ブレーカー20は、スイッチ23を表面に突設する本体21と、平板で且つ四角形状のベース板22と、バック部25とを備え、ベース板22の各コーナー付近には、内径が前記通し孔9と同様の貫通孔24が穿設されている。
【0017】
更に、図3中の右側の矢印で示すように、バネ座金w1と平座金w2とを装着したボルトB1の雄ネジ部b1を、ブレーカー20のベース板22の貫通孔24と、押出形材E1の連結片2の通し孔9とに挿通した後、雄ネジ部b1のネジ山・ネジ谷を雌ネジ溝6の雌ネジ面6a,6bにおけるネジ谷・ネジ山に順次ネジ結合させてねじ込む。
その結果、図3中の左側および図4に示すように、ブレーカー20のベース板(製品の一部)22と、押出形材E1の連結片2とは、ボルトB1の雄ネジ部b1と、押出形材E1側の雌ネジ面6a,6bとのネジ結合により構成される連結構造S1により、強固連結される。尚、ボルトB1は、ステンレス鋼製が好ましい。
以上のような押出形材E1とブレーカー20のベース板22との連結構造S1によれば、ボルトB1の雄ネジ部b1は、押出形材の雌ネジ溝6に対し、その深さ方向に沿って傾くことなく確実にねじ込まれ、雌ネジ面6a,6bと強固にネジ結合されると共に、従来のように、一対の雌ネジ面6a,6bからなる雌ネジ溝6を外部から目隠しするカバーを嵌め込む必要もなくなる。従って、施工数およびコストを低減できると共に、外観の意匠性も向上させることができる。
【0018】
図5は、前記押出形材E1の応用形態である押出形材E2の断面図である。
この押出形材E2は、図5に示すように、前記同様の連結片2、長片10、短片11、一対の内側片4a,4b、一対のフランジ5、および一対の雌ネジ面6a,6bからなる雌ネジ溝6を備えている。係る押出形材E2が前記押出形材E1と相違するのは、一対の内側片4a,4bの先端部3a,3bが、内面の雌ネジ面6a,6bと共に互いに接近するように傾斜している点である。
図6に示すように、前記ブレーカー20のベース板22を連結片2の外側面2aに面接触させ、前記同様のボルトB1の雄ネジ部b1をブレーカー20のベース板22の貫通孔24と、押出形材E2の連結片2の通し孔9とに貫通させた後、そのネジ山・ネジ谷を雌ネジ溝6の雌ネジ面6a,6bにおけるネジ谷・ネジ山に順次ネジ結合させてねじ込む。この際、内側片4a,4bの先端部3a,3bは、図6中のカーブした矢印で示すように、上記雄ネジ部b1の進入に伴って互いに離れるように若干外側に弾性変形すると共に、これらの雌ネジ面6a,6bに対して雄ネジ部b1の先端側が強固にネジ結合する。
その結果、図6に示すように、前記ブレーカー20のベース板22と押出形材E2との連結構造S2が得られる。該連結構造S2によれば、前記連結構造S1に比べて一層強固で且つ安定させて、ブレーカー20を一対の押出形材E2間に固定することができる。
【0019】
図7は、異なる形態の押出形材E3の断面図である。
押出形材E3は、図7に示すように、前記同様の連結片2、短片11、一対の内側片4a,4b、および一対の雌ネジ面6a,6bからなる雌ネジ溝6を備えると共に、連結片2と短片11との両端同士を図示で左右一対の長片10a,10bにより連結することで、内側に長方形状の中空部12を押出方向の全長に沿って内設している。即ち、押出形材E3は、中空押出形材である。
図7に示すように、前記ブレーカー20のベース板22を連結片2の外側面2aに面接触させた後、図中の矢印で示すように、前記同様のボルトB1の雄ネジ部b1をブレーカー20のベース板22の貫通孔24と、押出形材E3の連結片2の通し孔9とに貫通させ、更に、そのネジ山・ネジ谷を雌ネジ溝6の雌ネジ面6a,6bにおけるネジ谷・ネジ山に順次ネジ結合させてねじ込む。その結果、前記連結構造S1,S2と同様な連結構造を得ることができる。
【0020】
図8は、垂直姿勢で且つ互いに平行な複数の前記押出形材E3と、これらに直角に連結された上下一対の水平な下地材(他部材)30とから構成された建物外装用の格子ルーバーRを示す斜視図である。上記下地材30は、前記同様の押出形材(別の押出形材)あるいは型鋼からなり、上下一対のフランジ32,33とこれらの間を接続する垂直なウェブ31とからなる断面コ字形を呈する。
予め、ウェブ31に複数の貫通孔(図示せず)が等間隔に穿設された上下一対の下地材30を、図示しない建物における所望の外装部分に水平で且つ互いに離しつつ平行に固定する。次に、図8で奥側のウェブ31が前記押出形材E3の連結片2の外側面2aに面接触するように、下地材30と押出形材E3とを直角に交差させる。
次いで、前記同様の座金w1,w2が装着されたボルトB1の雄ネジ部b1を、各下地材30のウェブ31の貫通孔と、押出形材E3の連結片2の通し孔9とに貫通させた後、そのネジ山・ネジ谷を雌ネジ溝6の雌ネジ面6a,6bにおけるネジ谷・ネジ山に順次ネジ結合させてねじ込む。その結果、係るボルトB1を介して押出形材E3と下地材30とを直角に連結した連結構造S3が得られると共に、複数の係る連結構造S3により、建物外装用の格子ルーバーRが構成される。
【0021】
以上のような連結構造S3により構成される格子ルーバーRは、予め、押出形材E3の通し孔9と下地材30の貫通孔とを孔明けしておくだけで、所要数のボルトB1以外に何らの金具などを用いることなく、押出形材E3と下地材30とを直角に且つ強固に連結する連結構造S3によって、少ない工数および低コストで施工可能であり、外観の意匠性にも優れている。
尚、複数の前記押出形材E3と下地材30とを、前記同様の連結構造S3により直角に連結することで、ビルの外側に取り付けたジグザグ式の非常階段の周りを囲む防護壁としたり、建物の窓外側の面格子、あるいは、柵やフェンスを構成することもできる。この際、下地材30を平面視で円弧形に曲げることで、曲面状の格子ルーバー、防護壁、面格子などを構成することも可能である。更に、柵やフェンスを構成する場合には、複数の平行な前記押出形材E3に対し、前記同様の連結構造S3によって下地材30を斜めに連結することで、傾斜地への設置も可能である。
【0022】
また、単数または複数の下地材30を平面視で円形に曲げることで、ビルの外側に取り付けた螺旋式の非常階段の周りを囲む防護壁を構成することも可能である。加えて、前記押出形材E3を横向きとし、下地材30を縦桟として、複数の連結構造S3を形成することで、水平模様の格子ルーバーRを構成しても良い。
更に、図9に示すように、前記押出形材E3の応用形態である押出形材E4を用いても良い。係る押出形材E4は、前記同様の連結片2、長片10a,10b、短片11、一対の内側片4a,4b、および一対の雌ネジ面6a,6bからなる雌ネジ溝6を備えると共に、一対の内側片4a,4bの先端部3a,3bを、内面の雌ネジ面6a,6bと共に互いに接近するように傾斜させている。
係る押出形材E4に前記ブレーカー20のベース板22をボルトB1を介して連結することで、前記同様の連結構造を得たり、あるいは、複数の押出形材E4と前記下地材30と併用して、前記格子ルーバーRを施工することもできる。
【0023】
図10は、本発明に用いる更に異なる押出形材E5の断面図である。
押出形材E5は、前記同様のアルミニウム合金からなり、図10に示すように、前記同様の連結片2、長片10、短片11、一対の内側片4a,4b、および一対の雌ネジ面6a,6bからなる雌ネジ溝6を備えている。係る押出形材E5が前記押出形材E1〜E4と相違するのは、一対の内側片4a,4bの先端部が、これらと直角に交差する底片7を介して連結され、該底片7、雌ネジ面6a,6b、および連結片2の内側面2cに囲まれた中空部8を有する点である。
図11に示すように、前記同様に、連結片2に通し孔9を穿設し、その外側面2aに前記ブレーカー20のベース板22を面接触させ、ボルトB1の雄ネジ部b1を、ベース板22の貫通孔24と連結片2の通し孔9とを貫通させる。更に、上記ボルトB1の雄ネジ部b1のネジ山・ネジ谷を雌ネジ溝6の雌ネジ面6a,6bにおけるネジ谷・ネジ山に順次ネジ結合させてねじ込む。この際、雌ネジ溝6の雌ネジ面6a,6b間の距離が全面において不変であるため、上記雄ネジ部b1と雌ネジ面6a,6bとのネジ結合が強固且つ正確に行われる。
その結果、図11に示すように、前記ブレーカー20のベース板22を一対の押出形材E5に強固に連結した連結構造S4が得られる。該連結構造S4も前記連結構造S1〜S3などと同様な効果を奏することができる。
【0024】
また、図12に示すように、前記押出形材E5の応用形態である押出形材E6としても良い。係る押出形材E6は、前記同様の連結片2、長片10a,10b、短片11、一対の内側片4a,4b、一対の雌ネジ面6a,6bからなる雌ネジ溝6、底片7、これら囲まれた中空部8、および大きな中空部12を備えている。
係る押出形材E6に前記ブレーカー20のベース板22をボルトB1を介して連結することで、前記同様の連結構造を得ることができる。あるいは、押出形材E6と前記下地材30と併用して、前記格子ルーバーRを施工することもできる。
【0025】
図13は、本発明に用いる別異の押出形材E7の断面図である。
係る押出形材E7は、前記同様のアルミニウム合金からなり、図13に示すように、前記同様の連結片2により四辺を形成し、且つ中空部13を内設した断面ほぼ正方形を呈し、各連結片2の内側面2bごとに、一対の内側片4a,4b、一対のフランジ5、および一対の雌ネジ面6a,6bからなる2組の雌ネジ溝6を互いに対称とし、且つ図示の前後方向(押出方向)の全長に沿って有している。
図14は、上記押出形材E7の変形形態である押出形材E8の断面図を示す。
係る押出形材E7は、図14に示すように、前記同様の連結片2により四辺を形成し、且つ中空部14を内設した断面ほぼ正方形を呈し、各連結片2の内側面2bごとに、一対の内側片4a,4b、一対の雌ネジ面6a,6bからなる雌ネジ溝6、底片7、および中空部8を2組ずつ互いに対称にして、且つ図示の前後方向(押出方向)の全長に沿って有している。
【0026】
図15は、前記押出形材E7同士を直角に連結した構造を示す斜視図である。
図15に示すように、垂直姿勢とした押出形材E7において、垂直方向が同じ位置で且つ隣接する一対の連結片2に対し、水平姿勢とした左右一対の押出形材E7を互いに直交するように配置し、これらの上側の内隅部に配設した他部材のブラケット(部品)40を介し、前記ボルトB1を用いた複数の連結構造S5によって、3つの押出形材E7を互いに直角に連結したものである。
上記ブラケット40は、鋼材などからなり、互いに直角の垂直片41および水平片42と、これらの一辺間を接続する三角片43とからなり、垂直片41,水平片42には、複数の貫通孔(図示せず)が穿設されている。
【0027】
先ず、図15に示すように、水平姿勢とした左右一対の押出形材E7の上側の連結片2の端部に、ブラケット40の水平片42を面接触させ、且つ垂直姿勢とした押出形材E7において隣接する連結片2に対し、上記ブラケット40の垂直片41を面接触させる。次に、各ブラケット40の垂直片41および水平片42の貫通孔と、各押出形材E7の連結片2に設けた前記通し孔9とに、複数のボルトB1の雄ネジ部b1を個別に貫通させ、更に、係る雄ネジ部b1のネジ山・ネジ谷を、押出形材E7ごとの雌ネジ溝6の雌ネジ面6a,6bにおけるネジ谷・ネジ山に順次ネジ結合させてねじ込む。
その結果、図15に示すように、各押出形材E7と2個のブラケット40とは、前記同様である複数の連結構造S5を介して連結されると共に、3つの押出形材E7を、各ブラケット40を介して互いに直角にして強固に連結できる。
【0028】
以上のような連結構造S5によれば、複数のブラケット40およびボルトBのみによって、3つの押出形材E7を互いに直角にして強固に連結できると共に、従来のような雌ネジ溝6をカバーする目板などを嵌め込む作業が不要となり、且つ外観の意匠もシンプルで良好なものとできる。これにより、例えば、棚などのラックや、クリーンルーム内のケーシングの骨格を構成したり、あるいは、建物のベランダや室内の間仕切りなどの柱および梁を構成できる。
尚、図15において、3つの押出形材E7の全て、あるいは何れかを前記押出形材E8に替えても良い。
また、前記ブラケット40は、図15において水平姿勢とした左右一対の押出形材E7と、垂直姿勢の押出形材E7との下側の内隅部にのみ配置したり、あるいは4箇所の内隅全てに配置して、ボルトB1により連結構造S5を構成しても良い。
【0029】
本発明は、以上において説明した各形態に限定されるものではない。
例えば、図16に示すように、前記同様の連結片2、長片10、一対の内側片4a,4b、一対の雌ネジ面6a,6bからなる雌ネジ溝6、底片7、および中空部8を備え、断面全体がほぼL字形を呈する押出形材E9を用いても良い。尚、該形材E9は、底片7および中空部8がなく、内側片4a,4bの先端に一対のフランジ5を突設した形態でも良い。
また、図17に示すように、前記同様で且つ左右一対ずつの連結片2、および一対の長片10a,10bからなり、断面全体が長方形状で且つ中空部15を内設していると共に、連結片2ごとの内側片2cに設けた一対の内側片4a,4b、一対のフランジ5、および一対の雌ネジ面6a,6bからなる雌ネジ溝6を左右対称に有する押出形材E10を用いても良い。尚、該押出形材E10は、一対の雌ネジ溝6に底片7および中空部8を有する形態でも良い。
更に、前記押出形材E2,E5と押出形材E9とを用いて、前記ブレーカー20などを支持するようにしても良い。
また、前記押出形材E4,E6と押出形材E9とを用いて前記格子ルーバーなどを構成しても良い。この際、押出形材E4,E6を横向きとし、且つ押出形材E9を縦方向の下地材としても良い。
加えて、本発明において、押出形材に連結される他部材には、金属製の板材、各種断面のパイプ、各種断面を有し且つ比較的厚肉の条材なども含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明によれば、押出形材の連結片および他部材に孔明け加工し、これらの孔に貫通させたボルトの雄ネジ部を上記押出形材の内側に位置する雌ネジ溝を構成する一対の雌ネジ面にネジ結合することで、上記ボルトを所要の姿勢にして強固な連結が得られると共に、カバー用の目板などの嵌め込み作業を不要とし、且つ外観の意匠性を高めることに貢献できる。
【符号の説明】
【0031】
S1〜S5……連結構造
E1〜E10…押出形材
2………………連結片
2a……………外側面
2b,2c……内側面
3a,3b……先端部
4a,4b……内側片
6a,6b……雌ネジ面
7………………底片
8………………中空部
9………………通し孔
20……………ブレーカー(他部材:製品)
22……………ベース板(製品の一部)
30……………下地材(他部材)
40……………ブラケット(他部材:部品)
B1……………ボルト
b1……………雄ネジ部
【技術分野】
【0001】
本発明は、押出形材と他部材との強固で且つ意匠性に優れた連結構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、クリーンルーム内のケーシングの骨格を構成する支柱として、断面角形の中空押出形材からなり、四辺の各側面に断面ほぼU字形で且つ対向する一対の内側面に凹凸条を有する受溝を押出方向に沿って一対ずつ平行に形成したものを用い、該支柱と直角に連結すべき横桟との内隅部に配置した連結ブラケットを貫通した複数の取付ねじを、上記支柱の各受溝内に進入させてネジ結合した後、上記連結ブラケットがない位置の受溝の開口部にカバー用の目板を嵌め込むようにしたケーシング及びそれに用いる構造用柱部材が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
前記構造用柱部材によれば、現場において取付ねじ用の孔明け加工が不要となるため、組立作業が簡単になる、という効果を奏することができる。
しかし、前記構造用柱部材と前記横桟のような他部材とを連結する場合、取付ねじは、上記構造用柱部材の受溝の開口部付近ではフリーであるため、あるいは、不用意な外力によって、係る受溝の長手(押出)方向に沿って傾き易く、当該受溝の深さ(垂直)方向に沿ってねじ込みにくい、という問題がある。
しかも、前記受溝は、他部材や連結ブラケット以外の位置では、その開口部が外部に露出するため、これをカバー(目隠し)すべく、前記のような目板を別途用意し、これを所定長さに切断して、受溝の開口部に嵌め込む作業が必要となる。その結果、所要の断面を有する目板の用意やその嵌め込み作業によって、施工数が増えて且つコスト高になる、という問題もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−31381号公報(第1〜10頁、図1〜11)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、背景技術において説明した問題点を解決し、押出形材と他部材との連結に際し、他部材を貫通した連結用のボルト(ビス)を、押出形材の押出方向と直交する方向に容易に、正確で且つ強固にねじ込め、且つカバー用の別部材を不要とする押出形材と他部材との連結構造を提供する、ことを課題とする。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0006】
本発明は、前記課題を解決するため、他部材を貫通した連結用のボルトを押出形材の外側に露出する連結片に明けた通し孔に貫通させ、且つ係るボルト雄ネジ部を前記通し孔の内側に位置する一対の雌ネジ面とネジ結合させる、ことに着想して成されたものである。
即ち、本発明による押出形材と他部材との連結構造(請求項1)は、金属からなり、少なくとも、連結すべき他部材に面接触する外側面に有する連結片と、係る連結片の内側面から係る連結片と直角で且つ互いに平行に延びた一対の内側片と、係る一対の内側片の対向する内面に形成された一対の雌ネジ面と、を含む断面形状を押出方向の全長に沿って有する押出形材において、上記連結片の外側面と一対の内側片の基部との間を貫通する通し孔を形成し、上記押出形材における連結片の外側面に、連結すべき他部材またはその一部を面接触させ、係る他部材またはその一部を貫通したボルトの雄ネジ部を上記通し孔に貫通させると共に、上記一対の雌ネジ面にネジ結合してなる、ことを特徴とする。
【0007】
これによれば、他部材を貫通したボルト(ビス)は、その雄ネジ部が押出形材における連結片の通し孔を貫通した後、一対の内側片の内面に対向して形成された一対の雌ネジ面に、係る雄ネジ部の径方向における両端付近の雄ネジの周面が先端側から基端側に向かって順次ネジ結合される。この際、ボルトの雄ネジ部は、そのネジ山・谷が一対の雌ネジ面ごとのネジ谷・山を係る雌ネジ面の幅(深さ)方向に沿って若干かじりつつ、順次ネジ結合している。その結果、他部材は、上記ボルトによって、押出形材の連結片における外側面に面接触ししつ強固に結合される。しかも、上記ボルトは、押出形材の連結片に予め設けた通し孔を貫通するので、一対の雌ネジ面からなる雌ネジ溝の深さ方向(押出方向と直交する方向)に沿って正確にねじ込まれると共に、不用意な外力により傾くことがない。しかも、従来のように、一対の雌ネジ面からなる雌ネジ溝が外部に露出しないため、これを外部から目隠しする目板を嵌め込む必要もなくなる。従って、押出形材の連結片に通し孔を予め設けだけで、他部材を押出形材の押出方向と直交する方向に容易、正確で且つ強固にねじ込んで連結でき、且つカバー用の目板などを不要とすることができる。
【0008】
尚、前記押出形材は、アルミニウム合金からなるものに限らず、その他の金属(鉄、チタン、マグネシウムなど)や合金(鋼、ステンレス鋼など)からなるものでも良く、且つ、引抜加工により成形される形材や型鋼なども含まれる。
また、前記押出形材と連結される他部材には、別の押出形材のほか、型鋼や、金属製の条材、棒材、板材、あるいは、各種の製品(例えば、ブレーカー(遮断器))または部品(例えば、連結用のブラケット)も含まれ、他部材の一部には、例えば、製品(ブレーカー)のベース板やフランジが挙げられる。
更に、前記他部材は、前記押出形材における連結片の外側面に対して、直角を含む任意の角度で交差するように面接触するほか、上記外側面に当該他部材の一部が上記同様にして面接触するものでも良い。
【0009】
また、前記押出形材における一対の内側片の各内面に対向して形成される一対の雌ネジ面は、当該押出形材の押出方向と直交する深さ方向に沿って、互いに半ピッチずれてネジ山およびネジ谷が形成され、係るネジ山およびネジ谷が押出方向の全長に沿って刻設されている。係る一対の雌ネジ面は、一つの雌ネジ溝を構成し、前記ボルトやビスの雄ネジ部の周面のうち直径方向で対向する位置のネジ山およびネジ谷とネジ結合する。
更に、前記押出形材において、前記連結片、一対の内側片、および一対の雌ネジ面は、当該押出形材で一組のみを配置した形態、断面で対向する辺に対称に2組を配置した形態、あるいは、断面矩形(正方形または長方形)状の押出形材における3辺毎または4辺毎の内側に3組または4組を配置した形態としても良い。
また、押出形材の連結片に設ける前記通し孔の内径は、前記ボルトのネジ山径よりも若干大きいことが望ましい。
加えて、他部材に設けられる前記ボルト用の貫通孔の内径も、そのネジ山径よりも若干大きいことが望ましい。
【0010】
また、本発明には、前記一対の内側片の先端部は、互いに接近するように傾斜している、押出形材と他部材との連結構造(請求項2)も含まれる。
これによれば、他部材および押出形材の連結片の通し孔を貫通したボルトの雄ネジ部が、それぞれ雌ネジ面を有する一対の内側片の間に螺旋状にねじ込まれつつ進入した際に、係る一対の内側片の先端部が互いに接近するように傾斜しているので、一対の内側片の先端側が弾性変形によって互いに離れる事態を防止できる。従って、ボルトの雄ネジ部と、押出形材側の一対の雌ネジ面とのネジ結合を一層強固で且つ安定したものにできる。
【0011】
更に、本発明には、前記一対の内側片の先端部は、直角に交差する底片を介して連結され、係る底片、前記一対の雌ネジ面、および前記連結片の内側面に囲まれた中空部が形成されている、押出形材と他部材との連結構造(請求項3)も含まれる。
これによれば、他部材および押出形材の連結片の通し孔を貫通したボルトの雄ネジ部が、それぞれ雌ネジ面を有する一対の内側片の間に螺旋状にねじ込まれつつ進入した際に、一対の内側片の先端側が直交する底片により連結され、且つ一対の雌ネジ面を含む中空部内に進入する。そのため、係るボルトの雄ネジ部と、押出形材側の一対の雌ネジ面とのネジ結合を強固で且つ安定したものとなる。
しかも、屋外などで用いた際には、他部材と押出形材の連結片の通し孔とを貫通して該押出形材の中空部に進入したボルトの雄ネジ部を伝って雨水が浸透した場合でも、該雄ネジ部は中空部内に留まるため、屋内側への漏水を防止することもできる。
【0012】
加えて、本発明には、前記一対の雌ネジ面に挟まれた位置における前記連結片の外側面と内側面との間の厚みは、係る一対の雌ネジ面におけるネジ谷径の40%以上である、押出形材と他部材との連結構造(請求項4)も含まれる。
これによれば、前記押出形材における一対の雌ネジ面に挟まれた位置における前記連結片の外側面と内側面との間の厚みが、係る一対の雌ネジ面におけるネジ谷径の40%以上である。そのため、他部材を貫通したボルトの雄ネジを一対の雌ネジ面にねじ込む際に、押出方向に沿って傾く事態を確実に防止できる。その結果、係るボルトの雄ネジ部を、一対の雌ネジ面の幅(深さ)方向に沿って、容易且つ確実にねじ込むことができる。
尚、前記連結片の外側面と内側面との間の厚みは、より望ましくは、一対の雌ネジ面におけるネジ谷径の60%以上、更により望ましくは、80%以上である。但し、上記厚みの上限は、金属材料の節約のため、ネジ谷径の約100%が適当である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に用いる一形態の押出形材を示す孔明け前後の斜視図。
【図2】上記押出形材の孔明け前後の断面図。
【図3】上記押出形材とブレーカー(製品)との連結構造を示す概略図。
【図4】上記押出形材とブレーカーとの連結構造の概略を示す部分斜視図。
【図5】上記押出形材の応用形態の押出形材を示す断面図。
【図6】上記応用形態の押出形材とブレーカーとの連結構造を示す部分断面図。
【図7】異なる形態の押出形材を示す断面図。
【図8】上記押出形材と下地材との連結構造を含む建物外装用格子ルーバーを示す斜視図。
【図9】図7で示した押出形材の応用形態の押出形材を示す断面図。
【図10】更に異なる形態の押出形材を示す断面図。
【図11】上記押出形材とブレーカーとの連結構造を示す部分断面図。
【図12】別な形態の押出形材を示す断面図。
【図13】別異な形態の押出形材を示す断面図。
【図14】更に別異な形態の押出形材を示す断面図。
【図15】図13の押出形材同士をブラケットを介して連結した構造の斜視図。
【図16】別個の形態の押出形材を示す断面図。
【図17】図9で示した押出形材の応用形態を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下において、本発明を実施するための形態について説明する。
図1は、本発明に用いる一形態の押出形材E1を示す孔明け前後の斜視図、図2は、その断面図である。
押出形材E1は、アルミニウム合金(例えば、A6063−T5)などの金属からなり、図1,図2中で白抜き矢印の左側に示すように、他部材を連結すべき外側面2aを有する連結片2、その一端から直角に延びた長片10、および係る長片10の一端から更に直角に延び且つ上記連結片2と平行な短片11を備え、これらからなるコ字形状の断面を、押出方向(図示の前後方向)の全長に沿って有する。
上記連結片2の内側面2bの中央付近には、係る連結片2と直角で且つ互いに平行にして図示で垂直方向に延びた一対の内側片4a,4bが突設され、これらの内面には、一対の雌ネジ面6a,6bが対向して形成されている。係る一対の雌ネジ面6a,6bによって雌ネジ溝6が構成されている。この雌ネジ面6a,6bは、押出形材E1の押出方向と直交する深さ(幅)方向に沿って、互いに半ピッチずれており、例えば、M5またはM6のネジ山およびネジ谷が形成され、係るネジ山およびネジ谷が押出方向の全長に沿って刻設されている。
【0015】
図1,図2中の左側に示すように、前記一対の内側片4a,4bごとの先端には、これらから直角で且つ互いに離れるように延びた一対のフランジ5が個別に突設されている。また、一対の内側片4a,4bに挟まれた位置における連結片2の外側面2aの中央には、断面ほぼV字形のノッチnが全長に沿って形成されている。更に、図2の左側に示すように、前記一対の雌ネジ面6a,6bに挟まれた位置における連結片2の内側面2cと外側面2aとの間の厚みtは、一対の雌ネジ面6a,6bのネジ谷径dの40%以上(例えば、3mm)となるように、他の部分(例えば、1.5mm)よりも厚肉とされている。
上記ノッチnに軸心が一致するように、連結片2に対して垂直で且つその外側面2aと内側面2cとの間に、図示しないドリルによって孔明け加工を施す。
その結果、図1,図2中で白抜き矢印の右側に示すように、連結片2の外側面2aと内側面2cとの間に、円形の通し孔9が穿孔される。該通し孔9は、押出形材E1の押出(長手)方向に沿った所望の位置に複数個が形成され、その内径は、後述するボルトB1の雄ネジ部b1のネジ山径よりも若干大きくされている。
【0016】
次に、前記押出形材E1と他部材であるブレーカー(製品)20との連結構造S1について、図3,図4により説明する。
先ず、図示しない建物などに鋼製の複数のアングル26を水平で且つ平行に固定する。該アングル26は、水平片27と垂直片28からなり、係る垂直片28には、予め、長円形の貫通孔29がその長手方向に沿って複数個穿設されている。
次に、図3,図4に示すように、前記通し孔9が形成された左右一対の押出形材E1,E1を対称な姿勢とし、それらの短片11ごとに設けた図示しない貫通孔と、アングル26ごとの垂直片28における貫通孔29とに、ボルトB2を貫通し且つその雄ネジ部b2にナットNを締結する。その結果、図示のように、一対の押出形材E1,E1は、水平な複数のアングル26に対し、垂直で且つ互いに所定間隔をおいて対称に固定される。
次いで、図3に示すように、一対の押出形材E1の連結片2ごとの外側面2a,2aに跨って、ブレーカー20のベース板22を添接し、且つ外側面2aごとに面接触させる。該ブレーカー20は、スイッチ23を表面に突設する本体21と、平板で且つ四角形状のベース板22と、バック部25とを備え、ベース板22の各コーナー付近には、内径が前記通し孔9と同様の貫通孔24が穿設されている。
【0017】
更に、図3中の右側の矢印で示すように、バネ座金w1と平座金w2とを装着したボルトB1の雄ネジ部b1を、ブレーカー20のベース板22の貫通孔24と、押出形材E1の連結片2の通し孔9とに挿通した後、雄ネジ部b1のネジ山・ネジ谷を雌ネジ溝6の雌ネジ面6a,6bにおけるネジ谷・ネジ山に順次ネジ結合させてねじ込む。
その結果、図3中の左側および図4に示すように、ブレーカー20のベース板(製品の一部)22と、押出形材E1の連結片2とは、ボルトB1の雄ネジ部b1と、押出形材E1側の雌ネジ面6a,6bとのネジ結合により構成される連結構造S1により、強固連結される。尚、ボルトB1は、ステンレス鋼製が好ましい。
以上のような押出形材E1とブレーカー20のベース板22との連結構造S1によれば、ボルトB1の雄ネジ部b1は、押出形材の雌ネジ溝6に対し、その深さ方向に沿って傾くことなく確実にねじ込まれ、雌ネジ面6a,6bと強固にネジ結合されると共に、従来のように、一対の雌ネジ面6a,6bからなる雌ネジ溝6を外部から目隠しするカバーを嵌め込む必要もなくなる。従って、施工数およびコストを低減できると共に、外観の意匠性も向上させることができる。
【0018】
図5は、前記押出形材E1の応用形態である押出形材E2の断面図である。
この押出形材E2は、図5に示すように、前記同様の連結片2、長片10、短片11、一対の内側片4a,4b、一対のフランジ5、および一対の雌ネジ面6a,6bからなる雌ネジ溝6を備えている。係る押出形材E2が前記押出形材E1と相違するのは、一対の内側片4a,4bの先端部3a,3bが、内面の雌ネジ面6a,6bと共に互いに接近するように傾斜している点である。
図6に示すように、前記ブレーカー20のベース板22を連結片2の外側面2aに面接触させ、前記同様のボルトB1の雄ネジ部b1をブレーカー20のベース板22の貫通孔24と、押出形材E2の連結片2の通し孔9とに貫通させた後、そのネジ山・ネジ谷を雌ネジ溝6の雌ネジ面6a,6bにおけるネジ谷・ネジ山に順次ネジ結合させてねじ込む。この際、内側片4a,4bの先端部3a,3bは、図6中のカーブした矢印で示すように、上記雄ネジ部b1の進入に伴って互いに離れるように若干外側に弾性変形すると共に、これらの雌ネジ面6a,6bに対して雄ネジ部b1の先端側が強固にネジ結合する。
その結果、図6に示すように、前記ブレーカー20のベース板22と押出形材E2との連結構造S2が得られる。該連結構造S2によれば、前記連結構造S1に比べて一層強固で且つ安定させて、ブレーカー20を一対の押出形材E2間に固定することができる。
【0019】
図7は、異なる形態の押出形材E3の断面図である。
押出形材E3は、図7に示すように、前記同様の連結片2、短片11、一対の内側片4a,4b、および一対の雌ネジ面6a,6bからなる雌ネジ溝6を備えると共に、連結片2と短片11との両端同士を図示で左右一対の長片10a,10bにより連結することで、内側に長方形状の中空部12を押出方向の全長に沿って内設している。即ち、押出形材E3は、中空押出形材である。
図7に示すように、前記ブレーカー20のベース板22を連結片2の外側面2aに面接触させた後、図中の矢印で示すように、前記同様のボルトB1の雄ネジ部b1をブレーカー20のベース板22の貫通孔24と、押出形材E3の連結片2の通し孔9とに貫通させ、更に、そのネジ山・ネジ谷を雌ネジ溝6の雌ネジ面6a,6bにおけるネジ谷・ネジ山に順次ネジ結合させてねじ込む。その結果、前記連結構造S1,S2と同様な連結構造を得ることができる。
【0020】
図8は、垂直姿勢で且つ互いに平行な複数の前記押出形材E3と、これらに直角に連結された上下一対の水平な下地材(他部材)30とから構成された建物外装用の格子ルーバーRを示す斜視図である。上記下地材30は、前記同様の押出形材(別の押出形材)あるいは型鋼からなり、上下一対のフランジ32,33とこれらの間を接続する垂直なウェブ31とからなる断面コ字形を呈する。
予め、ウェブ31に複数の貫通孔(図示せず)が等間隔に穿設された上下一対の下地材30を、図示しない建物における所望の外装部分に水平で且つ互いに離しつつ平行に固定する。次に、図8で奥側のウェブ31が前記押出形材E3の連結片2の外側面2aに面接触するように、下地材30と押出形材E3とを直角に交差させる。
次いで、前記同様の座金w1,w2が装着されたボルトB1の雄ネジ部b1を、各下地材30のウェブ31の貫通孔と、押出形材E3の連結片2の通し孔9とに貫通させた後、そのネジ山・ネジ谷を雌ネジ溝6の雌ネジ面6a,6bにおけるネジ谷・ネジ山に順次ネジ結合させてねじ込む。その結果、係るボルトB1を介して押出形材E3と下地材30とを直角に連結した連結構造S3が得られると共に、複数の係る連結構造S3により、建物外装用の格子ルーバーRが構成される。
【0021】
以上のような連結構造S3により構成される格子ルーバーRは、予め、押出形材E3の通し孔9と下地材30の貫通孔とを孔明けしておくだけで、所要数のボルトB1以外に何らの金具などを用いることなく、押出形材E3と下地材30とを直角に且つ強固に連結する連結構造S3によって、少ない工数および低コストで施工可能であり、外観の意匠性にも優れている。
尚、複数の前記押出形材E3と下地材30とを、前記同様の連結構造S3により直角に連結することで、ビルの外側に取り付けたジグザグ式の非常階段の周りを囲む防護壁としたり、建物の窓外側の面格子、あるいは、柵やフェンスを構成することもできる。この際、下地材30を平面視で円弧形に曲げることで、曲面状の格子ルーバー、防護壁、面格子などを構成することも可能である。更に、柵やフェンスを構成する場合には、複数の平行な前記押出形材E3に対し、前記同様の連結構造S3によって下地材30を斜めに連結することで、傾斜地への設置も可能である。
【0022】
また、単数または複数の下地材30を平面視で円形に曲げることで、ビルの外側に取り付けた螺旋式の非常階段の周りを囲む防護壁を構成することも可能である。加えて、前記押出形材E3を横向きとし、下地材30を縦桟として、複数の連結構造S3を形成することで、水平模様の格子ルーバーRを構成しても良い。
更に、図9に示すように、前記押出形材E3の応用形態である押出形材E4を用いても良い。係る押出形材E4は、前記同様の連結片2、長片10a,10b、短片11、一対の内側片4a,4b、および一対の雌ネジ面6a,6bからなる雌ネジ溝6を備えると共に、一対の内側片4a,4bの先端部3a,3bを、内面の雌ネジ面6a,6bと共に互いに接近するように傾斜させている。
係る押出形材E4に前記ブレーカー20のベース板22をボルトB1を介して連結することで、前記同様の連結構造を得たり、あるいは、複数の押出形材E4と前記下地材30と併用して、前記格子ルーバーRを施工することもできる。
【0023】
図10は、本発明に用いる更に異なる押出形材E5の断面図である。
押出形材E5は、前記同様のアルミニウム合金からなり、図10に示すように、前記同様の連結片2、長片10、短片11、一対の内側片4a,4b、および一対の雌ネジ面6a,6bからなる雌ネジ溝6を備えている。係る押出形材E5が前記押出形材E1〜E4と相違するのは、一対の内側片4a,4bの先端部が、これらと直角に交差する底片7を介して連結され、該底片7、雌ネジ面6a,6b、および連結片2の内側面2cに囲まれた中空部8を有する点である。
図11に示すように、前記同様に、連結片2に通し孔9を穿設し、その外側面2aに前記ブレーカー20のベース板22を面接触させ、ボルトB1の雄ネジ部b1を、ベース板22の貫通孔24と連結片2の通し孔9とを貫通させる。更に、上記ボルトB1の雄ネジ部b1のネジ山・ネジ谷を雌ネジ溝6の雌ネジ面6a,6bにおけるネジ谷・ネジ山に順次ネジ結合させてねじ込む。この際、雌ネジ溝6の雌ネジ面6a,6b間の距離が全面において不変であるため、上記雄ネジ部b1と雌ネジ面6a,6bとのネジ結合が強固且つ正確に行われる。
その結果、図11に示すように、前記ブレーカー20のベース板22を一対の押出形材E5に強固に連結した連結構造S4が得られる。該連結構造S4も前記連結構造S1〜S3などと同様な効果を奏することができる。
【0024】
また、図12に示すように、前記押出形材E5の応用形態である押出形材E6としても良い。係る押出形材E6は、前記同様の連結片2、長片10a,10b、短片11、一対の内側片4a,4b、一対の雌ネジ面6a,6bからなる雌ネジ溝6、底片7、これら囲まれた中空部8、および大きな中空部12を備えている。
係る押出形材E6に前記ブレーカー20のベース板22をボルトB1を介して連結することで、前記同様の連結構造を得ることができる。あるいは、押出形材E6と前記下地材30と併用して、前記格子ルーバーRを施工することもできる。
【0025】
図13は、本発明に用いる別異の押出形材E7の断面図である。
係る押出形材E7は、前記同様のアルミニウム合金からなり、図13に示すように、前記同様の連結片2により四辺を形成し、且つ中空部13を内設した断面ほぼ正方形を呈し、各連結片2の内側面2bごとに、一対の内側片4a,4b、一対のフランジ5、および一対の雌ネジ面6a,6bからなる2組の雌ネジ溝6を互いに対称とし、且つ図示の前後方向(押出方向)の全長に沿って有している。
図14は、上記押出形材E7の変形形態である押出形材E8の断面図を示す。
係る押出形材E7は、図14に示すように、前記同様の連結片2により四辺を形成し、且つ中空部14を内設した断面ほぼ正方形を呈し、各連結片2の内側面2bごとに、一対の内側片4a,4b、一対の雌ネジ面6a,6bからなる雌ネジ溝6、底片7、および中空部8を2組ずつ互いに対称にして、且つ図示の前後方向(押出方向)の全長に沿って有している。
【0026】
図15は、前記押出形材E7同士を直角に連結した構造を示す斜視図である。
図15に示すように、垂直姿勢とした押出形材E7において、垂直方向が同じ位置で且つ隣接する一対の連結片2に対し、水平姿勢とした左右一対の押出形材E7を互いに直交するように配置し、これらの上側の内隅部に配設した他部材のブラケット(部品)40を介し、前記ボルトB1を用いた複数の連結構造S5によって、3つの押出形材E7を互いに直角に連結したものである。
上記ブラケット40は、鋼材などからなり、互いに直角の垂直片41および水平片42と、これらの一辺間を接続する三角片43とからなり、垂直片41,水平片42には、複数の貫通孔(図示せず)が穿設されている。
【0027】
先ず、図15に示すように、水平姿勢とした左右一対の押出形材E7の上側の連結片2の端部に、ブラケット40の水平片42を面接触させ、且つ垂直姿勢とした押出形材E7において隣接する連結片2に対し、上記ブラケット40の垂直片41を面接触させる。次に、各ブラケット40の垂直片41および水平片42の貫通孔と、各押出形材E7の連結片2に設けた前記通し孔9とに、複数のボルトB1の雄ネジ部b1を個別に貫通させ、更に、係る雄ネジ部b1のネジ山・ネジ谷を、押出形材E7ごとの雌ネジ溝6の雌ネジ面6a,6bにおけるネジ谷・ネジ山に順次ネジ結合させてねじ込む。
その結果、図15に示すように、各押出形材E7と2個のブラケット40とは、前記同様である複数の連結構造S5を介して連結されると共に、3つの押出形材E7を、各ブラケット40を介して互いに直角にして強固に連結できる。
【0028】
以上のような連結構造S5によれば、複数のブラケット40およびボルトBのみによって、3つの押出形材E7を互いに直角にして強固に連結できると共に、従来のような雌ネジ溝6をカバーする目板などを嵌め込む作業が不要となり、且つ外観の意匠もシンプルで良好なものとできる。これにより、例えば、棚などのラックや、クリーンルーム内のケーシングの骨格を構成したり、あるいは、建物のベランダや室内の間仕切りなどの柱および梁を構成できる。
尚、図15において、3つの押出形材E7の全て、あるいは何れかを前記押出形材E8に替えても良い。
また、前記ブラケット40は、図15において水平姿勢とした左右一対の押出形材E7と、垂直姿勢の押出形材E7との下側の内隅部にのみ配置したり、あるいは4箇所の内隅全てに配置して、ボルトB1により連結構造S5を構成しても良い。
【0029】
本発明は、以上において説明した各形態に限定されるものではない。
例えば、図16に示すように、前記同様の連結片2、長片10、一対の内側片4a,4b、一対の雌ネジ面6a,6bからなる雌ネジ溝6、底片7、および中空部8を備え、断面全体がほぼL字形を呈する押出形材E9を用いても良い。尚、該形材E9は、底片7および中空部8がなく、内側片4a,4bの先端に一対のフランジ5を突設した形態でも良い。
また、図17に示すように、前記同様で且つ左右一対ずつの連結片2、および一対の長片10a,10bからなり、断面全体が長方形状で且つ中空部15を内設していると共に、連結片2ごとの内側片2cに設けた一対の内側片4a,4b、一対のフランジ5、および一対の雌ネジ面6a,6bからなる雌ネジ溝6を左右対称に有する押出形材E10を用いても良い。尚、該押出形材E10は、一対の雌ネジ溝6に底片7および中空部8を有する形態でも良い。
更に、前記押出形材E2,E5と押出形材E9とを用いて、前記ブレーカー20などを支持するようにしても良い。
また、前記押出形材E4,E6と押出形材E9とを用いて前記格子ルーバーなどを構成しても良い。この際、押出形材E4,E6を横向きとし、且つ押出形材E9を縦方向の下地材としても良い。
加えて、本発明において、押出形材に連結される他部材には、金属製の板材、各種断面のパイプ、各種断面を有し且つ比較的厚肉の条材なども含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明によれば、押出形材の連結片および他部材に孔明け加工し、これらの孔に貫通させたボルトの雄ネジ部を上記押出形材の内側に位置する雌ネジ溝を構成する一対の雌ネジ面にネジ結合することで、上記ボルトを所要の姿勢にして強固な連結が得られると共に、カバー用の目板などの嵌め込み作業を不要とし、且つ外観の意匠性を高めることに貢献できる。
【符号の説明】
【0031】
S1〜S5……連結構造
E1〜E10…押出形材
2………………連結片
2a……………外側面
2b,2c……内側面
3a,3b……先端部
4a,4b……内側片
6a,6b……雌ネジ面
7………………底片
8………………中空部
9………………通し孔
20……………ブレーカー(他部材:製品)
22……………ベース板(製品の一部)
30……………下地材(他部材)
40……………ブラケット(他部材:部品)
B1……………ボルト
b1……………雄ネジ部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属からなり、少なくとも、連結すべき他部材に面接触する外側面に有する連結片と、係る連結片の内側面から係る連結片と直角で且つ互いに平行に延びた一対の内側片と、係る一対の内側片の対向する内面に形成された一対の雌ネジ面と、を含む断面形状を押出方向の全長に沿って有する押出形材において、上記連結片の外側面と一対の内側片の基部との間を貫通する通し孔を形成し、
上記押出形材における連結片の外側面に、連結すべき他部材またはその一部を面接触させ、係る他部材またはその一部を貫通したボルトの雄ネジ部を上記通し孔に貫通させると共に、上記一対の雌ネジ面にネジ結合してなる、
ことを特徴とする押出形材と他部材との連結構造。
【請求項2】
前記一対の内側片の先端部は、互いに接近するように傾斜している、
ことを特徴とする請求項1に記載の押出形材と他部材との連結構造。
【請求項3】
前記一対の内側片の先端部は、直角に交差する底片を介して連結され、係る底片、前記一対の雌ネジ面、および前記連結片の内側面に囲まれた中空部が形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の押出形材と他部材との連結構造。
【請求項4】
前記一対の雌ネジ面に挟まれた位置における前記連結片の外側面と内側面との間の厚みは、係る一対の雌ネジ面におけるネジ谷径の40%以上である、
ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の押出形材と他部材との連結構造。
【請求項1】
金属からなり、少なくとも、連結すべき他部材に面接触する外側面に有する連結片と、係る連結片の内側面から係る連結片と直角で且つ互いに平行に延びた一対の内側片と、係る一対の内側片の対向する内面に形成された一対の雌ネジ面と、を含む断面形状を押出方向の全長に沿って有する押出形材において、上記連結片の外側面と一対の内側片の基部との間を貫通する通し孔を形成し、
上記押出形材における連結片の外側面に、連結すべき他部材またはその一部を面接触させ、係る他部材またはその一部を貫通したボルトの雄ネジ部を上記通し孔に貫通させると共に、上記一対の雌ネジ面にネジ結合してなる、
ことを特徴とする押出形材と他部材との連結構造。
【請求項2】
前記一対の内側片の先端部は、互いに接近するように傾斜している、
ことを特徴とする請求項1に記載の押出形材と他部材との連結構造。
【請求項3】
前記一対の内側片の先端部は、直角に交差する底片を介して連結され、係る底片、前記一対の雌ネジ面、および前記連結片の内側面に囲まれた中空部が形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の押出形材と他部材との連結構造。
【請求項4】
前記一対の雌ネジ面に挟まれた位置における前記連結片の外側面と内側面との間の厚みは、係る一対の雌ネジ面におけるネジ谷径の40%以上である、
ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の押出形材と他部材との連結構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2011−74636(P2011−74636A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−226119(P2009−226119)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【出願人】(000250432)理研軽金属工業株式会社 (89)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【出願人】(000250432)理研軽金属工業株式会社 (89)
【Fターム(参考)】
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