説明

押出用スチレン系樹脂粒子及びスチレン系樹脂発泡シートの製造方法

【課題】 本発明は、押出機の押出量を安定させることができる押出用スチレン系樹脂粒子を提供する。
【解決手段】 本発明の押出用スチレン系樹脂粒子は、懸濁重合によって得られたスチレン系樹脂粒子に粉砕処理を施して得られ且つ安息角が25〜45°であることを特徴とするので、表面の摩擦係数が適度に調整されており、押出機のホッパ内に充填された状態から押出機のバレル内への移動が円滑に行われ、押出機への供給速度を略均一なものとすることができると共に、押出機のスクリューフライトに対する引っ掛かりを良好なものとして押出機内における押出用スチレン系樹脂粒子の押出方向への送り込みを安定的なものとしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押出変動が少なくて押出安定性に優れた押出用スチレン系樹脂粒子及びこの押出用スチレン系樹脂粒子を用いたスチレン系樹脂発泡シートの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、スチレン系樹脂発泡シートは熱成形性に優れており、得られる成形品は、その外観が美麗で軽量性及び断熱性に優れていることから、即席麺用の容器などの食品容器をはじめとして種々の用途に広く用いられている。
【0003】
一方、スチレン系樹脂発泡シート中には、スチレン系樹脂の重合過程で発生するスチレンダイマーやスチレントリマーが微量ながら残存しており、スチレン系樹脂発泡シートを成形して得られる成形品を即席麺用の容器として用いる場合には、特に、スチレン系モノマー、スチレンダイマー及びスチレントリマーの合計量が1200ppm以下とする要望があり、これら化合物はできるだけ低減させることが試みられている。
【0004】
そこで、特許文献1では、懸濁重合にて製造されたスチレン系樹脂粒子は、それに含まれるスチレンダイマーやスチレントリマーの含有量が少ないことが開示されている。
【0005】
ここで、スチレン系樹脂発泡シートは、一般的に、スチレン系樹脂を押出機に供給して溶融混練すると共に押出機に発泡剤を圧入して押出発泡させることによって製造されている。
【0006】
ところが、上述した懸濁重合で製造されたスチレン系樹脂粒子は、その表面が滑らかで摩擦抵抗が小さいことから、上述のように、スチレン系樹脂粒子を押出機にホッパを通じてバレル内に供給した場合、スチレン系樹脂粒子が押出機のスクリューフライトに引っ掛かりにくく、スクリューとこれに対向するバレル内面との間においてスチレン系樹脂粒子が滑りを生じて押出方向に規則的に進まずにホッパ付近にて滞留し、その結果、押出機の押出量が変動して押出安定性が低下し、得られるスチレン系樹脂発泡シートの厚みが不均一となるなどの問題点が発生していた。
【0007】
【特許文献1】特開2000−95888号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、押出機の押出量を安定させることができる押出用スチレン系樹脂粒子及びこの押出用スチレン系樹脂粒子を用いたスチレン系樹脂発泡シートの製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の押出用スチレン系樹脂粒子は、懸濁重合によって得られた球状スチレン系樹脂粒子に粉砕処理を施して得られ且つ安息角が25〜45°であることを特徴とする。
【0010】
本発明の押出用スチレン系樹脂粒子を構成するスチレン系樹脂としては、特に限定されず、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、クロロスチレン、エチルスチレン、i−プロピルスチレン、t−ブチルスチレン、ジメチルスチレンなどのスチレン系モノマーの単独重合体又はこれらの共重合体などが挙げられる。
【0011】
又、上記スチレン系樹脂としては、上記スチレン系モノマーを主成分とする、上記スチレン系モノマーとこのスチレン系モノマーと共重合可能なビニルモノマーとの共重合体であってもよく、このようなビニルモノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、ジメチルマレエート、ジメチルフマレート、ジエチルフマレート、エチルフマレートなどが挙げられる。なお、ジビニルベンゼンやアルキレングリコールジメタクリレートなどの二官能性モノマーを併用してもよい。
【0012】
そして、粉砕処理を施すスチレン系樹脂粒子は、これに含有されるスチレンモノマー、スチレンダイマー、スチレントリマーなどの含有量に特に制限はなく、懸濁重合によって製造されたものであればよく、上記懸濁重合は一般的な要領で行われる。具体的には、スチレン系モノマーを必要に応じて上記ビニルモノマーと共に重合開始剤の存在下にて水中に分散させて懸濁液を作製し、この懸濁液を重合開始剤の分解温度以上に加熱してモノマーを重合させることによってスチレン系樹脂粒子を製造することができる。
【0013】
なお、本発明で用いられるスチレン系樹脂粒子としては、別の用途に用いるために懸濁重合によって製造されたスチレン系樹脂粒子であって、通常であれば分級後に廃棄されるスチレン系樹脂粒子を用いてもよく、このように通常であれば処分されているスチレン系樹脂粒子を用いればリサイクル化を図ることができ好ましい。
【0014】
又、上記重合開始剤としては、汎用のものが用いられ、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、オルソクロロベンゾイルパーオキサイド、オルソメトキシベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、キュメンハイドロパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシビバレート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシアセテート、2,2−t−ブチルパーオキシブタン、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイドなどの過酸化物系重合開始剤、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス( 2,4−ジメチルバレロニトリル) 、2,2’−アゾビス( 2,3−ジメチルブチロニトリル) 、2,2’−アゾビス( 2−メチルブチロニトリル) 、2,2’−アゾビス( 2,3,3−トリメチルブチロニトリル) 、2,2’−アゾビス( 2−イソプロピルブチロニトリル) 、1,1’−アゾビス( シクロヘキサン−1−カルボニトリル) 、2,2’−アゾビス( 4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル) 、2−( カルバモイルアゾ) イソブチロニトリル、4,4’−アゾビス( 4−シアノバレリン酸) 、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレートなどが挙げられる。
【0015】
そして、上述のようにして得られたスチレン系樹脂粒子に粉砕処理を施すことによって押出用スチレン系樹脂粒子を得ることができる。上記粉砕処理としては、粉砕機を用いて一つのスチレン系樹脂粒子を複数個に分割する分割処理の他に、スチレン系樹脂粒子を分割することなく、スチレン系樹脂粒子の表面に傷をつけて、スチレン系樹脂の表面を粗面とする処理も含まれる。
【0016】
上記粉砕機としては、一つのスチレン系樹脂粒子を複数個に分割し、或いは、スチレン系樹脂粒子の表面を粗面とすることができれば、特に限定されず、例えば、衝撃タイプ粉砕機、ディスクタイプ粉砕機、ボールミル、ピンミル、ハンマーミル、ジェットミルなどの一般的な粉砕機の他に、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサーなどの高速攪拌機を粉砕機として用いてもよい。
【0017】
このようにスチレン系樹脂粒子に粉砕処理を施すことによって、スチレン系樹脂粒子の表面を粗面とし或いはスチレン系樹脂粒子を複数個の粒子に分割して、得られる押出用スチレン系樹脂粒子の表面を凹凸面として摩擦抵抗が大きくなるようにしている。
【0018】
そして、本発明の押出用スチレン系樹脂粒子では、その表面の凹凸の度合いの目安として安息角を用いており、本発明の押出用スチレン系樹脂粒子の安息角は25〜45°に限定され、25〜40°が好ましい。
【0019】
これは、押出用スチレン系樹脂粒子の安息角が小さ過ぎると、押出機のスクリューフライトに対する引っ掛かりが少なくなり、押出用スチレン系樹脂粒子がスクリューフライトに対して滑りを生じて押出量に変動を生じるからである。
【0020】
一方、押出機のホッパ内に供給された押出用スチレン系樹脂粒子は、互いに接触し合う押出用スチレン系樹脂粒子同士が擦れ合いながら相対位置を変化させつつ押出機のバレル内に向かって落下していく。
【0021】
しかしながら、押出用スチレン系樹脂粒子の安息角が大き過ぎると、互いに接触し合う押出用スチレン系樹脂粒子間における滑りが悪くなり、押出用スチレン系樹脂粒子同士がそれらの相対位置を変化させることができず、その結果、押出用スチレン系樹脂粒子がホッパ内に滞留してしまい押出機のバレルに向かって落下せず、押出用スチレン系樹脂粒子がホッパ内において詰まった状態となったり、或いは、押出用スチレン系樹脂粒子がそれらの相対位置を変化させることができても、押出用スチレン系樹脂粒子同士の相対位置の変化が不規則に発生し、押出用スチレン系樹脂粒子が押出機のホッパ内に不規則に流入するといった現象が生じて、押出機への押出用スチレン系樹脂粒子の供給速度が不規則となる虞れがあるからである。
【0022】
このように、本発明の押出用スチレン系樹脂粒子では、所定範囲の安息角となるように、スチレン系樹脂粒子に粉砕処理を施し、押出機のホッパからバレル内への単位時間当たりの押出用スチレン系樹脂粒子の落下量を略一定なものとして、押出機への押出用スチレン系樹脂粒子の供給を安定なものとしていると共に、押出用スチレン系樹脂粒子の凹凸面による押出機のスクリューフライトへの引っ掛かりを良好なものとして、押出用スチレン系樹脂粒子を押出機のバレル内においてスクリューによって押出方向に円滑に且つ確実に送り込んで、押出機からのスチレン系樹脂の押出量の安定化を図っている。
【0023】
次に、上記押出用スチレン系樹脂粒子を用いてスチレン系樹脂発泡シートを製造する要領について説明する。先ず、スチレン系樹脂発泡シートの製造において用いられる押出機としては、単軸押出機、複数の押出機を連結させたタンデム型の押出機が挙げられ、タンデム型の押出機が好ましい。
【0024】
そして、上記押出機のホッパ内に押出用スチレン系樹脂粒子を供給し、押出機のホッパ内の押出用スチレン系樹脂粒子をバレル内に連続的に落下させることによって押出機内に供給して押出用スチレン系樹脂粒子を溶融混練する。
【0025】
又、押出機としてタンデム型の押出機を用いる場合には、一段目の押出機で発泡剤が圧入、分散された溶融状態のスチレン系樹脂は、一段目の押出機と二段目の押出機とを接続している接続管を介して二段目の押出機に連続的に供給される。
【0026】
一段目の押出機は、スチレン系樹脂中に発泡剤を充分に分散させることを目的とするが、このような押出機としては、混合・混練性に優れた二軸押出機、発泡剤の圧入部付近にダルメージやピンのような高混練部分を有するスクリューを備えた単軸押出機が好ましい。加えて、二段目の押出機は、スチレン系樹脂を発泡適正温度に冷却することを主な目的とするが、このような押出機としては、スクリューを低回転で回転させても、発泡剤を含有するスチレン系樹脂を均一に発泡適正温度に冷却することができるスクリュー、例えば、ダルメージ部を有するスクリュー、スクリューフライトの一部を切欠いたスクリューを有する押出機が好ましい。
【0027】
そして、上記押出機にそのホッパを通じて押出用スチレン系樹脂粒子を供給するにあたり、押出機のホッパには押出用スチレン系樹脂粒子だけを供給してもよいが、押出用スチレン系樹脂粒子の他に、スチレン系樹脂ペレットを供給してもよい。
【0028】
このスチレン系樹脂ペレットを構成するスチレン系樹脂は、上記スチレン系樹脂粒子のように製造方法は限定されず、塊状重合などの他の製造方法によって製造されたものであってもよい。なお、スチレン系樹脂としては、上記押出用スチレン系樹脂粒子を構成するスチレン系樹脂と同一であるので、その説明を省略する。
【0029】
スチレン系樹脂ペレットの製造方法としては、例えば、汎用の重合方法によって製造されたスチレン系樹脂を押出機に供給し溶融混練してストランド状(棒状)に押出し、このストランドを所定長さ毎に切断して円柱状としてスチレン系樹脂ペレットを製造する方法、汎用の重合方法によって製造されたスチレン系樹脂を混練リローラーに供給して溶融混練してスチレン系樹脂板を製造し、このスチレン系樹脂板を切断機(ペレタイザー)を用いて直方体形状に切断してスチレン系樹脂ペレットを製造する方法などが挙げられる。
【0030】
そして、押出機に押出用スチレン系樹脂粒子と共にスチレン系樹脂ペレットを供給する場合、押出機に供給されるスチレン系樹脂中、押出用スチレン系樹脂粒子の割合としては、少ないと、得られるスチレン系樹脂発泡シート中のスチレンモノマー、スチレンダイマー及びスチレントリマーの含有量が多くなることがあるので、50重量%以上が好ましい。
【0031】
次に、押出用スチレン系樹脂粒子に必要に応じてスチレン系樹脂ペレットが添加されてなるスチレン系樹脂は、押出機内において溶融混練されて発泡適性温度に調整された上で押出機の先端に取付けられたサーキュラ金型から筒状に押出発泡され、この筒状発泡体は冷却マンドレルに連続的に供給された上で任意の部分において押出方向に連続的に切断、展開されて長尺状のスチレン系樹脂発泡シートが製造される。
【0032】
なお、スチレン系樹脂発泡シートの製造条件としては、通常、スチレン系樹脂発泡シートが、厚み0.7〜3.5mm、坪量70〜400g/m2 、密度0.05〜0.35g/cm3 となるように調整されるのが好ましいが、これら条件に限定されるものではない。
【0033】
又、サーキュラ金型から吐出された筒状発泡体の内外周面に冷却風を吹きつけることによって筒状発泡体を冷却させて、筒状発泡体の内外面にスキン層を形成させれば外観に優れたスチレン系樹脂発泡シートを製造することができ好ましい。
【0034】
更に、上記発泡適正温度は、低いと、スチレン系樹脂中における発泡剤の分散性が低下すると共に発泡剤を含んだ溶融樹脂の粘度が高くなり過ぎて、良好なスチレン系樹脂発泡シートが得られないことがある一方、高いと、発泡速度が速くなり過ぎて、良好なスチレン系樹脂発泡シートが得られないことがあるので、130〜170℃が好ましい。
【0035】
ここで、押出機から押出発泡されるスチレン系樹脂中には発泡剤が含有されているが、この発泡剤は、押出機内に圧入しても、或いは、押出機に供給するスチレン系樹脂に予め含浸させておいてもよい。
【0036】
上記発泡剤としては、例えば、プロパン、ブタン、イソブタン,ペンタン,イソペンタン,ヘキサンなどの脂肪族炭化水素類、シクロペンタン,シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素類、クロロメタン、ジクロロメタン、ジクロロフルオロメタン,クロロフルオロメタン、クロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、トリクロロトリフルオロエタン、ジクロロテトラフルオロエタンなどハロゲン化炭化水素類が挙げられ、単独で用いられても併用されてもよい。
【0037】
そして、押出機内に圧入される発泡剤の量は、少ないと、スチレン系樹脂が発泡しないことがある一方、多いと、破泡することがあるので、スチレン系樹脂100重量部に対して0.5〜6重量部が好ましく、1〜5.5重量部がより好ましく、1.5〜5重量部が特に好ましい。
【0038】
又、押出機中に造核剤を供給してもよく、このような造核剤としては、特に限定されず例えば、タルク、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、シリカ、酸化チタン、クレー、酸化アルミニウム、ベントナイト、ケイソウ土などの無機化合物、クエン酸、酒石酸、シュウ酸などの有機酸からなる粒子、ホウ酸などの酸と、ナトリウム、カリウム、アンモニウムなどの重炭酸塩又は炭酸塩とからなるものなどが挙げられ、無機化合物が好ましく、タルク、炭酸カルシウム、シリカ、アルミナがより好ましい。なお、造核剤は単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。又、無機化合物の平均粒径は0.1〜20μmが好ましく、1〜10μmがより好ましい。
【0039】
上記の如くして製造された長尺状のスチレン系樹脂発泡シートは、巻き取り機にてロール状に一旦巻き取られた上で所定期間だけ熟成され、スチレン系樹脂発泡シート中の発泡剤を散逸させ、スチレン系樹脂発泡シート中の発泡剤量を熱成形に適した量とした上で食品容器などの成形品に熱成形される。
【0040】
そして、上記スチレン系樹脂発泡シート中の発泡剤量は、少ないと、二次発泡が不足して目的とする厚みの成形品が得られなかったり或いはスチレン系樹脂発泡シートを所望形状に成形させることができないことがある一方、多いと、発泡剤によるスチレン系樹脂の可塑化効果が大きすぎて、熱成形時に、スチレン系樹脂発泡シート表面に表面荒れを生じて成形品の外観が低下したり、或いは、熱成形時にスチレン系樹脂発泡シートがドローダウン、波打ちを発生して成形不良となることがあるので、2.0〜3.4重量%が好ましく、2.1〜3.2重量%がより好ましく、2.2〜3.0重量%が特に好ましい。
【0041】
なお、ポリスチレン系樹脂発泡シートには、充填剤、難燃剤、着色剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤などが含有されていてもよい。
【発明の効果】
【0042】
本発明の押出用スチレン系樹脂粒子は、懸濁重合によって得られたスチレン系樹脂粒子に粉砕処理を施して得られ且つ安息角が25〜45°であることを特徴とするので、表面の摩擦係数が適度に調整されており、押出機のホッパ内に充填された状態から押出機のバレル内への移動が円滑に行われ、押出機への供給速度を略均一なものとすることができると共に、押出機のスクリューフライトに対する引っ掛かりを良好なものとして押出機内における押出用スチレン系樹脂粒子の押出方向への送り込みを安定的なものとしている。
【0043】
従って、本発明の押出用スチレン系樹脂粒子を押出発泡などの押出成形に用いることにより、押出機からのスチレン系樹脂の押出量を安定化させて所望形状を有する均質な押出成形品を容易に得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
本発明における評価は下記の通り行った。
(安息角)
スチレン系樹脂粒子を150℃にて30分間に亘って加熱して、樹脂粒子中の水分を蒸発させた後、このスチレン系樹脂粒子の水分量をJIS K0113「電位差・電流・電量・ カールフィッシャー滴定方法通則」に準拠してカールフィッシャー法により電量滴定を行い、スチレン系樹脂粒子の水分量を測定する。なお、スチレン系樹脂粒子の水分量は、三菱化成社から商品名「VA−06型」で市販されている電量滴定式水分測定装置を用いて測定することができる。
【0045】
そして、スチレン系樹脂粒子中の水分量が0.01〜0.5重量%となっていない場合には、再度、スチレン系樹脂粒子を150℃にて30分間に亘って加熱して、スチレン系樹脂粒子中の水分を蒸発させて、スチレン系樹脂粒子中の水分量を上述の要領で測定し、スチレン系樹脂粒子中の水分量が0.01〜0.5重量%となるまで上述の要領を繰り返し行う。
【0046】
次に、振動及び風の影響を受けない環境下に、半径38mmの平面真円形状で且つ厚みが5mmの円盤を水平面上に載置する。次に、この円盤の垂直上方にロートをその下端が円盤の中心に位置するように配置し、このロート内にスチレン系樹脂粒子を供給してロートから円盤上に静かに落下させて、スチレン系樹脂粒子を円錐状に高く積み上げる。そして、円錐状に積み上げられたスチレン系樹脂粒子の山を正面から見た時の、山の二つの稜線のそれぞれが円盤の上面に対してなす角度を分度器を用いて測定し、その角度の平均値を平均角度とし、上述の要領を5回繰り返して行って得られた平均角度の相加平均値を安息角とした。
【0047】
なお、上記安息角の測定は、例えば、ホソカワミクロン社から商品名「パウダテスターPT−E」にて販売されている測定装置を用い、オリフィス径4.6mmのガラス製ロート(PT−E)及び篩として標準篩を用いて振動目盛り4.5の条件にてスチレン系樹脂粒子を落下させ、円錐状に積み上げられたスチレン系樹脂粒子を正面から見た時の、山の二つの稜線のそれぞれが円盤の上面に対してなす角度(測定間隔3°)を測定し、この二つの角度の相加平均値を平均角度として算出し、上述の要領を5回繰り返して行って得られた平均角度の相加平均値を安息角とする。
【0048】
(平均粒径D50
JISに規定された異なる目開きを有する複数種類の篩(目開き3.35mm、目開き2.80mm、目開き2.36mm、目開き2.00mm、目開き1.70mm、目開き1.40mm、目開き1.18mm、目開き1.00mm、目開き0.850mm、目開き、0.710mm、目開き0.600mm、目開き0.500mm、目開き0.425mm、目開き0.355mm、目開き0.300mm、目開き0.250mm、目開き0.212mm、目開き0.180mm)を用意し、測定試料としてスチレン系樹脂粒子25gを、目開きが大きな篩から小さな篩となるように各篩で10分づつ篩う。すると、スチレン系樹脂粒子は、各粒子の粒径に応じて、目開きが所定大きさである篩上で通過することができなくなり、各篩上に残った状態となる。
【0049】
そして、各篩上に残ったスチレン系樹脂粒子の平均粒径を、この篩の目開きと該篩の次に大きな目開きを有する篩の目開きとの相加平均値とした。なお、篩の目開きと、この篩上に残ったスチレン系樹脂粒子の平均粒径との対応を表1に示した。例えば、目開きが0.355mmの篩上に残ったスチレン系樹脂粒子の平均粒径を0.390mmとする。
【0050】
【表1】

【0051】
又、目開きが3.35mmの篩の場合には、この篩の次に大きな目開きを有するJISで規定されている篩の目開きが4.00mmであるので、この篩の目開き4.00mmと目開き3.35mmとの相加平均値3.675mmを採用する。
【0052】
このようにして、篩上に残ったスチレン系樹脂粒子の平均粒径を上述のようにして篩毎に決定すると共に、篩上に残ったスチレン系樹脂粒子の合計重量を篩毎に算出し、各篩毎に測定試料全体に対する重量百分率を算出する。
【0053】
そして、各篩毎に、この篩及びこの篩の目開きよりも小さな目開きを有する全ての篩上に残ったスチレン系樹脂粒子の重量百分率を合計し、この値を累積重量百分率とする。次に、篩毎に決定された、スチレン系樹脂粒子の平均粒径及び累積重量百分率を一組のデータとして、横軸を平均粒径とし、縦軸を累積重量百分率としたグラフ上に点をとり、これら点同士を結んだ近似曲線を作成する。
【0054】
そして、近似曲線上において、累積重量百分率が50重量%となるスチレン系樹脂粒子の平均粒径をスチレン系樹脂粒子の平均粒径D50とする。
【0055】
(スチレン系樹脂発泡シート及びスチレン系樹脂粒子中のスチレンモノマー量)
スチレン系樹脂発泡シート又はスチレン系樹脂粒子1gを精秤し、この精秤したスチレン系樹脂発泡シートをジメチルホルムアミドに溶解させて測定溶液を作製し、この測定溶液からガスクロマトグラフを用いてクロマトグラムを得、予め測定しておいた、スチレンモノマーの検量線に基づいて上記クロマトグラムからスチレンモノマー量を算出する。
【0056】
なお、スチレン系樹脂発泡シート又はスチレン系樹脂粒子中のスチレンモノマー量の測定は、例えば、島津製作所社から商品名「GC−14A」にて市販されているガスクロマトグラフを用いて下記条件下にて測定することができる。
カラム:ジーエルサイエンス社製 PEG−20M PT25% 3mm×2m
カラム温度:100℃
【0057】
(スチレン系樹脂発泡シート及びスチレン系樹脂粒子中のスチレンダイマー量及びスチレントリマー量)
スチレン系樹脂発泡シート又はスチレン系樹脂粒子0.2gをメチルエチルケトン10ミリリットルに溶解させる。この溶液をメタノール100ミリリットル中に滴下してスチレン系樹脂を析出させる。次に、スチレン系樹脂を析出させた溶液をガラス漏斗を用いて濾過してスチレン系樹脂を除去し、得られた濾過液を減圧濃縮する。得られた残渣にメチルエチルケトンを加えて5ミリリットルとすると共に、エイコサン0.1g及びメチルエチルケトン50ミリリットルを均一に混合してなる内部標準液を0.1ミリリットル加えて測定溶液とする。
【0058】
この測定溶液3マイクロリットルを用いてガスクロマトグラフによりクロマトグラムを得、このクロマトグラムのスチレンダイマーのピーク3本及びスチレントリマーのピーク5本の面積と、内部標準液(エイコサン)の相対感度とが同一となるように調整して、スチレンダイマー量及びスチレントリマー量の定量を行う。
【0059】
なお、スチレン系樹脂発泡シート又はスチレン系樹脂粒子中におけるスチレンダイマー量及びスチレントリマー量は、例えば、島津製作所社から商品名「ガスクロマトグラフィーGC−18A」を用いて下記条件下にて測定することができる。
カラム:J&WScientific社 商品名「DB−1」0.25mm×30m
膜圧 :0.25μm
カラム温度:150℃から5℃/分の昇温速度で昇温
【0060】
(押出変動)
得られた長尺状のスチレン系樹脂発泡シートからその押出方向に10cmの幅を有する短冊状(平面長方形状)の試験シートを押出方向に50cmの間隔毎に合計50枚、切り出した。
【0061】
次に、試験シートにおける長辺方向の中央部の厚みを短辺方向に等間隔に10箇所、ノギスを用いて測定し、測定した厚みの相加平均値を試験シートの平均厚みDAVとする。そして、50枚の試験シートの平均厚みDAVのうち、最大の平均厚みDAVを最大平均厚みDMAX とし、最小の平均厚みDAVを最小平均厚みDMIN とし、下記式に基づいて増加変動値及び減少変動値を算出し、これらの絶対値のうち大きい方の値を押出変動とし、この押出変動が5%以下の場合を○、5%を越えている場合を×とした。
増加変動値(%)=100×(DMAX −DAV)/DAV
減少変動値(%)=100×(DMIN −DAV)/DAV
【0062】
(スチレン系樹脂発泡シート中の発泡剤量)
スチレン系樹脂発泡シートを押出発泡してから40日間放置した後、このスチレン系樹脂発泡シートから、縦が5mmで且つ横が35mmの平面横長長方形状の試験片を切り出して、試験片の重量を測定する。
【0063】
そして、試験片中に含有される発泡剤量をガスクロマトグラフを用いて絶対検量線法により測定し、下記式によりスチレン系樹脂発泡シート中の発泡剤量を算出する。
発泡剤量(重量%)=100×発泡剤の総量/試験片の重量
【0064】
なお、具体的には、スチレン系樹脂発泡シート中の発泡剤量は、島津製作所社から商品名「GC−14B」にて市販されているガスクロマトグラフを用いて下記条件にて測定することができる。
カラム温度:100℃ 注入口温度:120℃
検出器温度:120℃ キャリアガス:ヘリウム
ヘリウム流量:1ミリリットル/秒 加熱炉温度:150℃
カラム:WATERS社製 ポラパックQ(80/100)3mmφ×1.5m
検出器:TCD(熱伝導度検出器)
【0065】
(実施例1)
オートクレーブ中に、リン酸三カルシウム120重量部、亜硫酸水素ナトリウム0.24重量部及び過硫酸カリウム0.24重量部を加え、更に、上記オートクレーブ中に、スチレンモノマー40000重量部、ベンゾイルパーオキサイド(純度75%、日本油脂社製 商品名「ナイパーBW」)133重量部、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート(純度90%、日本油脂社製 商品名「パーヘキシルI」)28重量部及びイオン交換水40000重量部を攪拌下に供給して懸濁液を作製した。
【0066】
次に、上記懸濁液を200rpmの撹拌速度で攪拌しながら87℃で8時間、続いて、125℃で2.5時間に亘って懸濁重合を行った。重合反応の終了後に懸濁液を室温まで冷却し、オートクレーブ中から懸濁液を取り出して、懸濁液を遠心分離して球状のポリスチレン粒子を分離しながら洗浄し、得られた球状のポリスチレン粒子を乾燥させた。なお、この球状のポリスチレン粒子は、その安息角が21°、平均粒径D50が0.4mmであり、スチレンモノマー、スチレンダイマー及びスチレントリマーの含有量の合計がポリスチレン粒子の全重量に対して709ppmであった。
【0067】
次に、上記球状のポリスチレン粒子を衝撃タイプ粉砕機(槙野産業社製 商品名「マキノ式粉砕機DD−2−3.7」)に供給して、回転数3500rpm、スクリーン目開き0.8mmの条件下にて各ポリスチレン粒子を複数個に粉砕、分割して、安息角が30°の押出用ポリスチレン粒子を得た。
【0068】
この押出用ポリスチレン粒子100重量部及び平均粒径が8μmのタルク1.0重量部をスクリューフィーダーを用いて、一段目の口径50mmの単軸押出機と二段目の口径65mmの単軸押出機とを接続管を介して接続してなるタンデム型の押出機の一段目の押出機に供給した。
【0069】
そして、押出用ポリスチレン粒子を一段目の押出機にて170〜220℃で溶融、混練すると共に、一段目の押出機の途中からイソブタン1.33重量部及びノルマルブタン2.47重量部を、220℃に加熱され且つ15MPaの圧力が加えられた溶融状態のポリスチレン中に注入ポンプを用いて15MPa以上の圧力でもって圧入して、ピンを備えたスクリューによってポリスチレン中にブタンを均一に分散させた。
【0070】
しかる後、溶融状態のポリスチレンを一段目の押出機から接続管を介して二段目の押出機に連続的に供給した。なお、接続管内におけるポリスチレンの温度は190℃、ポリスチレンに加えられた圧力は13.5MPaであった。
【0071】
そして、二段目の押出機にて溶融状態のポリスチレンは、スクリューフライトが一部切り欠かれたスクリューで樹脂温度159℃に冷却された後、二段目の押出機の先端に取り付けられたサーキュラ金型(スリットクリアランス0.5mm、口径φ190mm)から円筒状に押出発泡された。なお、上記樹脂温度は、二段目の押出機とサーキュラ金型との間にブレーカープレートを挿入し、そのブレーカープレートの中心部に熱電対を挿入することにより測定した。
【0072】
次に、上記円筒状発泡体の内外周面の夫々に30℃の風を吹きつけ、円筒状発泡体の内外周面を冷却した後、30℃の冷却水で冷却されたマンドレルに連続的に供給して冷却した上で、円筒状発泡体をその任意の部分において押出方向に連続的に切断し展開することによって厚みが2.2mmで且つ幅が640mmのスチレン系樹脂発泡シートを連続的に10時間製造し、この長尺状のポリスチレン発泡シートを巻き取り機によってロール状に巻き取った。なお、ポリスチレン発泡シート中に含有されるスチレンモノマー、スチレンダイマー及びスチレントリマーの合計量は、ポリスチレン発泡シートの全重量に対して780ppmであった。
【0073】
(実施例2)
実施例1と同様の要領で作製された球状のポリスチレン粒子を衝撃タイプ粉砕機(槙野産業社製 商品名「マキノ式粉砕機DD−2−3.7」)に供給して、回転数2500rpm、スクリーン目開き0.8mmの条件下にて各ポリスチレン粒子を複数個に粉砕、分割して、安息角が27°の押出用ポリスチレン粒子を得た。
【0074】
そして、押出用スチレン系樹脂粒子として、上述の要領で得られた押出用ポリスチレン粒子を用いたこと以外は、実施例1と同様の要領でポリスチレン発泡シートを得た。なお、ポリスチレン発泡シート中に含有されるスチレンモノマー、スチレンダイマー及びスチレントリマーの合計量は、ポリスチレン発泡シートの全重量に対して785ppmであった。
【0075】
(実施例3)
実施例1と同様の要領で作製された球状のポリスチレン粒子をディスクミル(ツエルマ社製 商品名「PM−300型」)に供給して、回転数9100rpm、ディスククリアランス1.0mmの条件下にて各ポリスチレン粒子を複数個に粉砕、分割して、安息角が37°の押出用ポリスチレン粒子を得た。
【0076】
そして、押出用スチレン系樹脂粒子として、上述の要領で得られた押出用ポリスチレン粒子を用いたこと以外は、実施例1と同様の要領でポリスチレン発泡シートを得た。なお、ポリスチレン発泡シート中に含有されるスチレンモノマー、スチレンダイマー及びスチレントリマーの合計量は、ポリスチレン発泡シートの全重量に対して794ppmであった。
【0077】
(実施例4)
実施例1と同様の要領で作製された球状のポリスチレン粒子をディスクミル(ツエルマ社製 商品名「PM−300型」)に供給して、回転数9100rpm、ディスククリアランス0.4mmの条件下にて各ポリスチレン粒子を複数個に粉砕、分割して、安息角が39°の押出用ポリスチレン粒子を得た。
【0078】
そして、押出用スチレン系樹脂粒子として、上述の要領で得られた押出用ポリスチレン粒子を用いたこと以外は、実施例1と同様の要領でポリスチレン発泡シートを得た。なお、ポリスチレン発泡シート中に含有されるスチレンモノマー、スチレンダイマー及びスチレントリマーの合計量は、ポリスチレン発泡シートの全重量に対して791ppmであった。
【0079】
(実施例5)
実施例1と同様の要領で作製された球状のポリスチレン粒子を衝撃タイプ粉砕機(槙野産業社製 商品名「マキノ式粉砕機DD−2−3.7」)に供給して、回転数3500rpm、スクリーン目開き0.8mmの条件下にて各ポリスチレン粒子を複数個に粉砕、分割して、安息角が30°の押出用ポリスチレン粒子を得た。
【0080】
次に、押出用スチレン系樹脂粒子の代わりに、上述の要領で得られた押出用ポリスチレン粒子50重量%と、ポリスチレンペレット(PSジャパン社製 商品名「G0002」、スチレンモノマー、スチレンダイマー及びスチレントリマーの含有合計量:1300ppm)50重量%とからなるポリスチレンを用いたこと以外は、実施例1と同様の要領でポリスチレン発泡シートを得た。なお、ポリスチレン発泡シート中に含有されるスチレンモノマー、スチレンダイマー及びスチレントリマーの合計量は、ポリスチレン発泡シートの全重量に対して1079ppmであった。
【0081】
(実施例6)
亜硫酸水素ナトリウムを0.24重量部の代わりに0.2重量部とし、過硫酸カリウムを0.24重量部の代わりに0.2重量部としたこと以外は実施例1と同様にして球状のポリスチレン粒子を得た。
【0082】
この球状のポリスチレン粒子は、その安息角が20°、平均粒径D50が0.7mm、スチレンモノマー、スチレンダイマー及びスチレントリマーの含有量の合計がポリスチレン粒子の全重量に対して690ppmであった。そして、ポリスチレン粒子に実施例1と同様の要領で粉砕処理を施して、安息角が30°の押出用ポリスチレン粒子を得た。
【0083】
次に、押出用スチレン系樹脂粒子として、上述の要領で得られた押出用スチレン系樹脂粒子を用いたこと以外は、実施例1と同様の要領でポリスチレン発泡シートを得た。なお、ポリスチレン発泡シート中に含有されるスチレンモノマー、スチレンダイマー及びスチレントリマーの合計量は、ポリスチレン発泡シートの全重量に対して779ppmであった。
【0084】
(比較例1)
実施例1と同様の要領で球状のポリスチレン粒子を作製した。押出用スチレン系樹脂粒子の代わりに、上記ポリスチレン粒子に粉砕処理を施すことなく、このポリスチレン粒子を用いたこと以外は、実施例1と同様の要領でポリスチレン発泡シートを得た。なお、ポリスチレン発泡シート中に含有されるスチレンモノマー、スチレンダイマー及びスチレントリマーの合計量は、ポリスチレン発泡シートの全重量に対して785ppmであった。
【0085】
(比較例2)
押出用スチレン系樹脂粒子の代わりに、実施例1と同様の要領で作製された球状のポリスチレン粒子70重量%と、ポリスチレンペレット(PSジャパン社製 商品名「G0002」、スチレンモノマー、スチレンダイマー及びスチレントリマーの含有合計量:1300ppm)30重量%とからなるポリスチレンを用いたこと以外は、実施例1と同様の要領でポリスチレン発泡シートを得た。なお、ポリスチレン発泡シート中に含有されるスチレンモノマー、スチレンダイマー及びスチレントリマーの合計量は、ポリスチレン発泡シートの全重量に対して976ppmであった。
【0086】
(比較例3)
押出用スチレン系樹脂粒子の代わりに、実施例1と同様の要領で作製された球状のポリスチレン粒子50重量%と、ポリスチレンペレット(PSジャパン社製 商品名「G0002」、スチレンモノマー、スチレンダイマー及びスチレントリマーの含有合計量:1300ppm)50重量%とからなるポリスチレンを用いたこと以外は、実施例1と同様の要領でポリスチレン発泡シートを得た。なお、ポリスチレン発泡シート中に含有されるスチレンモノマー、スチレンダイマー及びスチレントリマーの合計量は、ポリスチレン発泡シートの全重量に対して1084ppmであった。
【0087】
(比較例4)
押出用スチレン系樹脂粒子の代わりに、実施例1と同様の要領で作製された球状のポリスチレン粒子30重量%と、ポリスチレンペレット(PSジャパン社製 商品名「G0002」、スチレンモノマー、スチレンダイマー及びスチレントリマーの含有合計量:1300ppm)70重量%とからなるポリスチレンを用いたこと以外は、実施例1と同様の要領でポリスチレン発泡シートを得た。なお、ポリスチレン発泡シート中に含有されるスチレンモノマー、スチレンダイマー及びスチレントリマーの合計量は、ポリスチレン発泡シートの全重量に対して1235ppmであった。
【0088】
(比較例5)
押出用スチレン系樹脂粒子の代わりに、塊状重合によって製造されたポリスチレンをペレット化してなるポリスチレンペレット(PSジャパン社製 商品名「G0002」、スチレンモノマー、スチレンダイマー及びスチレントリマーの含有合計量:1300ppm、安息角:37°)を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてポリスチレン発泡シートを得た。なお、ポリスチレン発泡シート中に含有されるスチレンモノマー、スチレンダイマー及びスチレントリマーの合計量は、ポリスチレン発泡シートの全重量に対して1425ppmであった。
【0089】
得られた押出用ポリスチレン粒子及びポリスチレン粒子の安息角、押出変動(括弧内に押出変動の値を記載した)を表2,3に示すと共に、ポリスチレン発泡シート中に含有されていたスチレンモノマー、スチレンダイマー及びスチレントリマーの合計量(表2,3では「スチレン含有量」と表記した)が1200ppmを越える場合を×、1200ppm以下の場合を○として表2,3に示した。
【0090】
【表2】

【0091】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
懸濁重合によって得られたスチレン系樹脂粒子に粉砕処理を施して得られ且つ安息角が25〜45°であることを特徴とする押出用スチレン系樹脂粒子。
【請求項2】
懸濁重合によって得られたスチレン系樹脂粒子に粉砕処理を施して得られ且つ安息角が25〜45°である押出用スチレン系樹脂粒子50〜100重量%と、スチレン系樹脂ペレット0〜50重量%とからなるスチレン系樹脂を押出機に供給して溶融混練して押出機から押出発泡させることを特徴とするスチレン系樹脂発泡シートの製造方法。

【公開番号】特開2006−213775(P2006−213775A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−25634(P2005−25634)
【出願日】平成17年2月1日(2005.2.1)
【出願人】(000002440)積水化成品工業株式会社 (1,335)
【Fターム(参考)】