説明

押圧による画像のズームが可能なユーザインタフェース装置、画像ズーム方法及びプログラム

【課題】装置を保持した片手の指でも、表示された画像の拡大動作を確実に、誤動作を十分に抑制しつつ発動させることができるユーザインタフェース装置を提供する。
【解決手段】ユーザインタフェース装置は、画像を表示するディスプレイと、指の接触位置を時間経過に応じて逐次出力するタッチパネルと、指により該タッチパネルに与えられた押圧力を検出する押圧力検出部とを備えている。さらに、指の接触位置がズーム対象画像の表示位置範囲と重畳したか否かを判定する接触位置判定手段と、押圧力が所定閾値以上であるか否かを判定する押圧力判定手段と、接触位置判定手段が真の判定を行い、かつ押圧力判定手段が真の判定を行った際、ズーム対象画像を拡大させるズーム動作制御手段とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像を表示するディスプレイと、ユーザインタフェースとしてのタッチパネルとを備えたユーザインタフェース装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画面に指、スタイラス等で触れることによって入力操作を行う、タッチパネルを搭載したユーザインタフェース装置が広く普及している。特に、スマートフォン、タブレット型コンピュータ、電子書籍、PDA(Personal Digital Assistant)といったユーザインタフェース装置、いわゆる携帯型情報機器では、指による操作を受け入れるユーザインタフェースとしてタッチパネルが積極的に採用されている。
【0003】
携帯型情報機器は、携帯性を高めるべく小型化を必要とする。このため、ユーザインタフェースとして物理的な入力キーを採用した場合、それら入力キー自体のサイズを小さくしなければならず、操作性の低下が懸念される。これに対し、タッチパネルを採用した場合、仮想ボタンのサイズを、アプリケーションの機能に応じて適切に変更することができ、操作性の向上を図ることができる。
【0004】
指によるタッチパネルへの入力では、ディスプレイに表示される所定の画像を拡大するための操作を如何に行うかが、操作性向上のための1つのポイントとなる。特に、携帯型情報機器では、ディスプレイの画面のサイズが限定されているので、例えば、新聞・雑誌、写真又は地図等の画像もさほど大きく表示され得ない。その結果、所望の文字列又はイメージ部分の情報を認識するのが困難である場合も多い。従って、このような画像を拡大するための操作が重要となる。
【0005】
従来、画像を拡大するための操作として、いわゆるピンチアウトが知られている。ピンチアウトは、2本の指(例えば、右手の親指及び人差し指)をタッチパネルに接触させつつ、これら指の間隔を広げる操作である。これに対して、画像を縮小するための操作は、2本の指の間隔を狭める操作であるインチインとなる。
【0006】
例えば、特許文献1では、表示画像中の部分画像を拡大表示するのに、2本の指を同時にタッチパネル上に触れさせる特定のタッチ操作を行う技術が開示されている。また、この拡大表示された部分画像を、2本の指を広げるような摺動操作で、より拡大する技術も開示されている。
【0007】
また、特許文献2では、マルチタッチ検出(複数の接触位置の同時検出)が可能なマルチポイント感知装置を用いて、ジェスチャーを実施する技術が開示されている。具体的には、ジェスチャーイベントが所与の入力取り合せで遂行される際、ジェスチャーイベントに関連した入力アクションが開始される。ここで、入力取り合せ(コード)として、隣接する2本の指を広げる(閉じる)入力操作が挙げられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2011−13861号公報
【特許文献2】特表2010−517197号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述したような従来技術の下、携帯型情報機器を保持した片手の指で操作を行って、画像を拡大することは困難であった。
【0010】
特に、特許文献1及び2にも開示されているような従来のピンチアウトによって画像を拡大しようとすると、機器を保持していないもう一方の手の指を使用せざるを得ない。すなわち、必然的に両手を用いての操作となってしまう。
【0011】
さらに、このようなピンチ操作に依らず、機器を保持した片手の指で操作を行うことにしても、誤動作の回避が大きな課題となる。例えば、画面(タッチパネル)に指を単に接触させることによって画像を拡大するように設定したとする。この場合、意図しない接触によって画像が拡大したり、接触位置によっては、意図しない別の動作が発動したりする。
【0012】
そもそも、機器を保持した片手の指で行うことのできる操作の種類は、マルチタッチ検出が可能なタッチパネルを用いたとしても尚、限られている。そのため、例えば、アイコンの選択、対応動作の発動、画像移動(スクロール)等を行う操作と区別して、画像の拡大・縮小(ズーム)を行うための操作を確実に、誤動作を十分に抑制しつつ実行することは決して容易ではない。
【0013】
そこで、本発明は、装置を保持した片手の指でも、表示された画像の拡大動作を確実に、誤動作を十分に抑制しつつ発動させることができるユーザインタフェース装置、画像ズーム方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明によれば、拡大を行う対象であるズーム対象画像を表示するディスプレイと、該ディスプレイの画面上に配置され、指の接触位置を時間経過に応じて逐次出力するタッチパネルと、当該指により該タッチパネルに与えられた押圧力を検出する押圧力検出部とを備えたユーザインタフェース装置であって、
当該指の接触位置が当該ズーム対象画像の表示位置範囲と重畳したか否かを判定する接触位置判定手段と、
押圧力が所定閾値以上であるか否かを判定する押圧力判定手段と、
接触位置判定手段が真の判定を行い、かつ押圧力判定手段が真の判定を行った際、当該ズーム対象画像を拡大させるズーム動作制御手段と
を有するユーザインタフェース装置が提供される。
【0015】
また、本発明のユーザインタフェース装置における他の実施形態として、接触位置判定手段が真の判定を行い、かつ押圧力判定手段が真の判定を行った際、押圧力の大きさに応じて、当該ズーム対象画像を拡大する際の拡大速度を決定するズーム速度決定手段を更に有しており、
ズーム動作制御手段は、当該ズーム対象画像を、決定された拡大速度で拡大させることも好ましい。
【0016】
さらに、本発明のユーザインタフェース装置における他の実施形態として、接触位置判定手段が真の判定を行い、かつ押圧力判定手段が真の判定を行った際、押圧力の大きさに応じて、当該ズーム対象画像の拡大率を決定する拡大率決定手段を更に有しており、
ズーム動作制御手段は、当該ズーム対象画像を、決定された拡大率にまで拡大させることも好ましい。
【0017】
また、本発明のユーザインタフェース装置における他の実施形態として、ズーム動作制御手段は、当該ズーム対象画像を、当該指の接触位置を基点にして拡大させることも好ましい。
【0018】
さらに、本発明のユーザインタフェース装置における他の実施形態として、ズーム動作制御手段は、当該ズーム対象画像を拡大させる際、ディスプレイの画面内に、当該ズーム対象画像を縮小するための縮小オブジェクトを表示させ、
接触位置判定手段は、当該指の接触位置が縮小オブジェクトの表示位置範囲と重畳したか否かを判定し、
接触位置判定手段が縮小オブジェクトに係る真の判定を行い、かつ押圧力判定手段が真の判定を行った際、ズーム動作制御手段は、当該ズーム対象画像を、拡大時の基点を基点として縮小させることも好ましい。
【0019】
ここで、上記の実施形態において、接触位置判定手段が当該ズーム対象画像に係る真の判定を行い、かつ押圧力判定手段が真の判定を行った際、押圧力の大きさに応じて、当該ズーム対象画像を拡大する際の拡大速度を決定するズーム速度決定手段を更に有しており、
接触位置判定手段が縮小オブジェクトに係る真の判定を行い、かつ押圧力判定手段が真の判定を行った際、ズーム速度決定手段は、押圧力の大きさに応じて、当該ズーム対象画像を縮小する際の縮小速度を決定し、
ズーム動作制御手段は、当該ズーム対象画像を、決定された縮小速度で縮小させることも好ましい。
【0020】
さらに、上記の実施形態において、接触位置判定手段が当該ズーム対象画像に係る真の判定を行い、かつ押圧力判定手段が真の判定を行った際、押圧力の大きさに応じて、当該ズーム対象画像の拡大率を決定する拡大率決定手段を更に有しており、
接触位置判定手段が縮小オブジェクトに係る真の判定を行い、かつ押圧力判定手段が真の判定を行った際、拡大率決定手段は、押圧力の大きさに応じて、当該ズーム対象画像の拡大率を決定し、
ズーム動作制御手段は、当該ズーム対象画像を、決定された拡大率にまで縮小させることも好ましい。
【0021】
また、本発明のユーザインタフェース装置における他の実施形態として、ズーム動作制御手段は、当該ズーム対象画像を拡大させた後、当該指がタッチパネルから離隔した際に、当該ズーム対象画像を拡大前の状態に戻させることも好ましい。
【0022】
また、本発明のユーザインタフェース装置において、ユーザの操作から見て、ユーザインタフェース装置を保持した片手の指で、当該ズーム対象画像を押し込んだ場合、ズーム動作制御手段は、当該ズーム対象画像を、当該指の接触位置を基点にして拡大させることも好ましい。
【0023】
本発明によれば、さらに、拡大を行う対象であるズーム対象画像を表示するディスプレイと、該ディスプレイの画面上に配置され、指の接触位置を時間経過に応じて逐次出力するタッチパネルと、当該指により該タッチパネルに与えられた押圧力を検出する押圧力検出部とを備えたユーザインタフェース装置に搭載されたプログラムであって、
当該指の接触位置が当該ズーム対象画像の表示位置範囲と重畳したか否かを判定する接触位置判定手段と、
押圧力が所定閾値以上であるか否かを判定する押圧力判定手段と、
接触位置判定手段が真の判定を行い、かつ押圧力判定手段が真の判定を行った際、当該ズーム対象画像を拡大させるズーム動作制御手段と
してコンピュータを機能させるユーザインタフェース装置用のプログラムが提供される。
【0024】
本発明によれば、さらにまた、拡大を行う対象であるズーム対象画像を表示するディスプレイと、該ディスプレイの画面上に配置され、指の接触位置を時間経過に応じて逐次出力するタッチパネルと、当該指により該タッチパネルに与えられた押圧力を検出する押圧力検出部とを備えたユーザインタフェース装置における画像のズーム方法であって、
当該指の接触位置が当該ズーム対象画像の表示位置範囲と重畳したか否かを判定する第1のステップと、
押圧力が所定閾値以上であるか否かを判定する第2のステップと、
第1のステップで真の判定がなされ、かつ第2のステップで真の判定がなされた際、当該ズーム対象画像を拡大させる第3のステップと
を有する画像ズーム方法が提供される。
【発明の効果】
【0025】
本発明のユーザインタフェース装置、画像ズーム方法及びプログラムによれば、装置を保持した片手の指でも、表示された画像の拡大動作を確実に、誤動作を十分に抑制しつつ発動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】ズーム対象画像の拡大を行う「クリックズーム」操作を示す携帯型情報機器の前面図、及び指による押し込みの様子を示す概略図である。
【図2】押圧力pの関数としての拡大速度vZIにおける種々の態様を示すグラフである。
【図3】拡大されたズーム対象画像の縮小を行う操作を示す携帯型情報機器の前面図、及び指による押し込みの様子を示す概略図である。
【図4】「クリックズーム」操作とドラッグ操作とが区別して実行される様子を説明するための、携帯型情報機器の前面図、及びズーム対象画像の概略図である。
【図5】本発明による携帯型情報機器の一実施形態を概略的に示す斜視図及び機能構成図である。
【図6】本発明による画像ズーム方法の一実施形態を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0028】
本発明によるユーザインタフェース装置は、指によるタッチパネルに対する押圧力が所定閾値以上である場合に、拡大を行う対象であるズーム対象画像を拡大する点に特徴を有する。さらに、当該装置の一実施形態では、ズーム対象画像を拡大させる際、ディスプレイの画面内に、ズーム対象画像を縮小するための縮小オブジェクトを表示させ、拡大動作の後、指でこの縮小オブジェクトを押し込んでズーム対象画像を縮小させる。
【0029】
尚、画像の「ズーム」は、画像の拡大及び縮小のいずれをも含めた動作を指すものとする。また、本発明によるユーザインタフェース装置では、ユーザの指がタッチパネルに接触することによって情報が入力される。そのため、当該装置の多くは、手で携帯して操作可能である、スマートフォンやタブレット型コンピュータのような携帯型情報機器である。従って、以下、本発明の実施形態として、携帯型情報機器を説明する。
【0030】
図1(A)及び(C)は、ズーム対象画像の拡大を行う「クリックズーム」操作を示す、携帯型情報機器1の前面図である。また、図1(B)は、指による押し込みの様子を示す概略図である。尚、以下に説明する実施形態では、ズーム対象画像として写真が表示されているが、本発明は当然にこれに限定されるものではなく、例えば、新聞・雑誌、書籍又は地図等の画像が表示されていてもよい。
【0031】
図1(A)によれば、携帯型情報機器1は、拡大を行う対象の人物写真であるズーム対象画像104を表示するディスプレイ101と、ディスプレイ101の画面上に配置されたタッチパネル100とを備えている。尚、本実施形態では、ズーム対象画像104は、ディスプレイ101の画面全体を占めているが、画面の一部をなす所定の領域を占めるものであってもよい。
【0032】
最初に、ユーザは、指を、ズーム対象画像104(タッチパネル100)における拡大して詳細を認識したい領域に接触させる。本実施形態では、詳細を認識したい領域は表示された人物の胸ポケットであり、指の接触位置105が、胸ポケット画像内に含まれる。次いで、ユーザは、図1(B)に示すように、指を、接触位置105で、ズーム対象画像104(タッチパネル100)に押し込む。この押し込みに応じて、図1(C)に示すように、ズーム対象画像104が、拡大されて表示される。
【0033】
ユーザは、所望の拡大がなされると、指の押し込みを止め、指を接触位置105(タッチパネル100)から離すか、又は接触させたままで止める。これにより、拡大動作が終了する。尚、ズーム対象画像104の拡大率αが所定の上限値αMAXに達した段階で、拡大動作が終了することも好ましい。
【0034】
上述した押し込み操作を、以後、「クリックズーム」操作と称する。指による押し込みが「クリックズーム」操作となる条件は、
a)指の接触位置105がズーム対象画像104の表示位置範囲と重畳し、
b)指による押し込みの際の、タッチパネル100に対する押圧力pが、所定の押圧力閾値をpTHとして、次式
(1) p≧pTH
の条件を満たすことである。尚、押圧力閾値pTHは、例えば、0.5N(ニュートン)乃至2.0Nの範囲内の値に設定可能である。
【0035】
上記の条件b)を設けることによって、ユーザの指等が意図せずにタッチパネル100に触れてズーム対象画像104が拡大されてしまう、といった誤動作を回避することが可能となる。すなわち、ズーム対象画像104を、ユーザの意図する通り確実に拡大することができる。さらに、後に図4を用いて詳述するように、例えば、ズーム対象画像104全体の移動(スクロール)動作の発動と、ズーム対象画像104の拡大動作の発動とを、操作によって仕分けることも可能となる。
【0036】
この「クリックズーム」操作によって、ズーム対象画像104は、指の接触位置105を基点として拡大される。その結果、拡大したい領域である胸ポケット全体が拡大されて表示され、ユーザによって細部の情報まで認識し易くなる。この際、図1(C)に示すように、接触位置105と、拡大前の胸ポケットに挿されたペンの頭部の位置106aと、拡大後のペンの頭部の位置106bとは、この順で一直線上に並ぶ。接触位置105と位置106aとの距離をdP0とし、接触位置105と位置106bとの距離をdP1とすると、ズーム対象画像104の拡大率αは、次式
(2) α=dP1/dP0
で表される。
【0037】
ここで、ユーザは、指の押し込みの強さ、すなわち押圧力pの大きさを加減しながら画像拡大の拡大速度(ズームインスピード)vZIを調整することができる。拡大速度vZIは、次式
(3) vZI=dα/dt(αの時間微分)
で定義される。この際、後に図2を用いて詳述するように、押圧力pが大きくなるほど、ズーム対象画像104が、より高い速度vZIで拡大される。
【0038】
また、変更態様として、押圧力pの大きさに応じて、拡大率αが決定されることも好ましい。例えば、拡大率αが、押圧力pの単調増加関数であってもよく、押圧力pについてpに係る係数が正値である一次関数であってもよい。この場合、ユーザが指で押し込むほど(押圧力pが大きくなるほど)、より拡大率αの高いズーム対象画像104が表示される。
【0039】
さらに、後述する触覚応答機構部102(図5)が、指に、拡大速度vZIに応じた触覚応答を与えることも好ましい。例えば、ユーザが指をより強く押し込んで、拡大速度vZIがより高くなるほど、より強い振動が指に与えられる。この場合、所望の拡大画像が得られた段階(vZI=0)で振動は停止する。これにより、ユーザは、拡大速度vZIの増減を指から体感でき、リアルな操作感を得ることができる。また、画面内に、ズーム対象画像104の各時点での拡大率αを示すインジケータ107を表示することも好ましい。インジケータ107は、拡大率αが変化している期間中、及び/又は拡大率αの変化が終わった時点から所定時間のみ、表示されてもよい。
【0040】
以上に述べたように、本発明によれば、ズーム対象画像104を、指によって所定閾値pTH以上の押圧力pで押し込む「クリックズーム」操作により、拡大させることが可能となる。この際の指は、例えば、携帯型情報機器1を保持した片手の指(図1(A)及び(C)では右手の親指)である。すなわち、「クリックズーム」操作は、従来のピンチアウトのように複数本の指を必要としない。さらに、指がズーム対象画像104に単に接触しただけでは(p<pTHでは)、拡大動作が発動することもない。その結果、機器1を保持した片手の指でも、ズーム対象画像104の拡大動作を、確実に、誤動作を十分に抑制しつつ発動させることができる。
【0041】
図2は、押圧力pの関数としての拡大速度vZIにおける種々の態様を示すグラフである。
【0042】
図2には、押圧力pと拡大速度vZIとの関係として、2a、2b、2c、2d及び2eの5種類が示されている。関係2aでは、指の押圧力pがpTH≦p<pTH1の区間内にあるとき、拡大速度vZIはvZI1に設定され、押圧力pがpTH1≦p<pTH2の区間内にあるとき、拡大速度vZIはvZI2(>vZI1)であり、pTH2≦pの区間内にあるとき、vZI3(>vZI2)に設定される。この場合、指を押し込んでいくと、拡大速度vZIは、段階的に増加していく。
【0043】
また、関係2bでは、拡大速度vZIは、押圧力pと正の傾きの線形関係にあり、押圧力pの増加に応じて連続的により高い値に設定される。この場合、指を押し込めば押し込むほど、その分に比例して拡大速度vZIは増加していく。
【0044】
さらに、関係2cでは、拡大速度vZIは、押圧力pが小さい間はそれほど高くないが、押圧力pが大きくなるにつれて急に増大する。この場合、ズーム対象画像104は、指を押し込んだ当初緩やかに拡大するが、より強く押し込んでいくにつれて急に拡大する。また、関係2dでは、拡大速度vZIは、押圧力pが当初増加するにつれて急に高くなり、その後、押圧力pがより大きくなってもほぼ一定値に収束する。この場合、ズーム対象画像104は、指を押し込んだ当初から急に拡大するが、ある程度押し込んだ辺りから概ね拡大を止め、ほぼ一定の拡大率αに落ち着く。
【0045】
さらに、関係2eでは、指の押圧力pが押圧力閾値pTH以上であれば(p≧pTH)、拡大速度vZIは、押圧力pによらず、一定値(vZI4)に設定される。この場合、指をある強さ以上で押し込めば、ズーム対象画像104の拡大が、ある一定の拡大速度(vZI4)で行われることになる。
【0046】
尚、上述した関係以外の態様も可能である。しかしながら、いずれにおいても、拡大速度vZIは、押圧力pの単調増加関数であることが好ましい。すなわち、押圧力pを増加させても拡大速度vZIはむしろ低く設定される、といったことはないように設定されるのが好ましい。これにより、ユーザは、より強く押し込むことがより速い画像拡大動作をもたらす、という感覚を維持できる。
【0047】
図3(A)及び(C)は、拡大されたズーム対象画像の縮小を行う操作を示す、携帯型情報機器1の前面図である。また、図3(B)は、指による押し込みの様子を示す概略図である。
【0048】
図3(A)によれば、ディスプレイ101の画面には、拡大されたズーム対象画像104が表示されている。さらに、ズーム対象画像104を縮小するための縮小オブジェクトである縮小ボタン108が表示されている。また、拡大される前の(拡大率α=1の)ズーム対象画像104に戻すための戻しボタン109も表示されていることも好ましい。
【0049】
これら縮小ボタン108及び戻しボタン109は、ズーム対象画像104を拡大する際に表示されることができる(図6のステップS614参照)。また、これらボタンは、ズーム対象画像104を視認する際の障害にならないように、半透明で表示されることも好ましい。
【0050】
ユーザは、指を、画像拡大のために接触していた接触位置105(タッチパネル100)から離して、縮小ボタン108に接触させる。次いで、図3(B)に示すように、この縮小ボタン108(タッチパネル100)を指で押し込む。この押し込みに応じて、図3(C)に示すように、ズーム対象画像104が、縮小されて表示される。
【0051】
ユーザは、所望の縮小がなされると、指の押し込みを止め、指を縮小ボタン108(タッチパネル100)から離すか、又は接触させたままで止める。これにより、縮小動作が終了する。尚、ズーム対象画像104の拡大率αが1に戻った段階で、縮小動作が終了することも好ましい。
【0052】
上述した縮小のための押し込み操作によって、ズーム対象画像104が縮小される条件は、
c)指の接触位置105′が縮小ボタン108の表示位置範囲と重畳し、
d)指による押し込みの際の、タッチパネル100に対する押圧力pが、所定の押圧力閾値をpTH′として、次式
(4) p≧pTH
の条件を満たすことである。尚、押圧力閾値pTH′は、式(1)の押圧力閾値pTHと同一の値に設定されることができる。
【0053】
この縮小のための押し込み操作によって、ズーム対象画像104は、元の(拡大時の)接触位置105を基点として縮小される。その結果、拡大前の(拡大率α=1の)画像と拡大終了後の画像との間に表示された、所望のズームの程度を有するズーム対象画像104に戻ることが可能となる。
【0054】
また、ユーザは、指の押し込みの強さ、すなわち押圧力pの大きさを加減しながら画像縮小の縮小速度(ズームアウトスピード)vZOを調整することができる。縮小速度vZOは、次式
(5) vZO=−dα/dt(αの時間微分)
で定義される。この際、押圧力pが大きくなるほど、ズーム対象画像104が、より高い速度vZOで縮小される。尚、押圧力pと縮小速度vZOとの関係として、図2において拡大速度vZIを縮小速度vZOに置き換え、閾値pTHを閾値pTH′に置き換えたものを用いることができる。
【0055】
また、変更態様として、押圧力pの大きさに応じて、拡大率αが決定されることも好ましい。例えば、拡大率αが、押圧力pの単調減少関数であってもよく、押圧力pについてpに係る係数が負値である一次関数であってもよい。この場合、ユーザが指で押し込むほど(押圧力pが大きくなるほど)、より拡大率αの低い(より1に近い拡大率αの)ズーム対象画像104が表示される。
【0056】
尚、画像を縮小するための縮小オブジェクトは、仮想ボタンである縮小ボタン108に限定されるものではなく、例えば、表示された画像内の所定の領域、例えば画面の右下角の領域、であってもよい。
【0057】
さらに、ユーザは、戻しボタン109を押し込むことによって、拡大されたズーム対象画像104を、拡大前の(拡大率α=1の)ズーム対象画像104に一挙に戻すことができる。この押し込みによって、ズーム対象画像104が拡大前の状態に戻る条件は、
e)指の接触位置105′′が戻しボタン109の表示位置範囲と重畳し、
f)指による押し込みの際の、タッチパネル100に対する押圧力pが、所定の押圧力閾値をpTH′′として、次式
(6) p≧pTH′′
の条件を満たすことである。尚、押圧力閾値pTH′′は、式(1)の押圧力閾値pTHと同一の値に設定されることができる。
【0058】
また、更なる変更態様として、画像拡大のために接触させていた指を、接触位置105(タッチパネル100)から離隔させることによって、拡大されたズーム対象画像104を、拡大前の(拡大率α=1の)ズーム対象画像104に一挙に戻すことも好ましい。この場合、縮小ボタン108又は戻しボタン109を用いずに、すなわち指の接触位置を移動させることなく、(拡大率α=1への)画像の縮小が可能となる。
【0059】
図4(A)乃至(C)は、「クリックズーム」操作とドラッグ操作とが区別して実行される様子を説明するための、携帯型情報機器1の前面図、及びズーム対象画像の概略図である。尚、以下に説明する実施形態では、ズーム対象画像として地図が表示されているが、本発明は当然にこれに限定されるものではなく、例えば、新聞・雑誌、書籍又は写真等の画像が表示されていてもよい。
【0060】
図4(A)によれば、ディスプレイ101の画面には、ズーム対象画像であり、移動(スクロール)対象画像でもある地図画像204が表示されている。この地図画像204を拡大する場合、図1(A)乃至(C)を用いて説明したように、ユーザは「クリックズーム」操作を行う。その結果、図4(B)に示すように、地図画像204は、指の接触位置205を基点として拡大される。この際、上述したように、指による押圧力pは、式(1)p≧pTHの条件を満たす。
【0061】
一方、この地図画像204全体を移動させる場合(スクロールする場合)、ユーザは、最初に、指を地図画像204内の一点(本実施形態では接触位置205)に接触させる。次いで、指を接触させたまま移動(スライド)させる。すなわち、いわゆるドラッグ操作を行う。その結果、図4(C)に示すように、指の動きに合わせて、地図画像204全体が移動する(スクロールされる)。
【0062】
ここで、この指による押圧力pが式(1)の条件を満たさずp<pTHとなるように設定することによって、このドラッグ操作を、上述した「クリックズーム」操作から確実に区別して実行させることができる。これは、通常のドラッグ操作時での指による押圧力p値を求め、この値よりも十分に大きな押圧力閾値pTHを採用することによって可能となる。
【0063】
尚、本実施形態において、地図画像204は、ディスプレイ101の画面の一部をなす所定領域を占めるものである。この地図画像204が拡大される場合でも、また、この地図画像204が移動する(スクロールされる)場合でも、その占める領域の位置及び大きさは変化しないように設定されている。
【0064】
以上に述べたように、本発明による「クリックズーム」操作では、地図画像(ズーム対象画像)204を、指によって所定閾値pTH以上の押圧力pで押し込むことにより、拡大させる。従って、「クリックズーム」操作と、所定閾値pTH未満の押圧力pで接触する操作とを確実に実行し分けることができる。この結果、携帯型情報機器1を保持した片手の指でも、「クリックズーム」操作を含む多様な操作を実行し分けることが可能となる。
【0065】
図5は、本発明による携帯型情報機器1の一実施形態を概略的に示す斜視図及び機能構成図である。
【0066】
図5によれば、携帯型情報機器1は、タッチパネル100と、ディスプレイ101と、触覚応答機構部102と、押圧力検出部103と、プロセッサ・メモリとを有する。ここで、プロセッサ・メモリは、プログラムを実行することによってその機能を実現させる。
【0067】
ディスプレイ101は、画面にズーム対象画像104(204)を表示する。また、タッチパネル100は、ディスプレイ101の画面上に配置されており、ユーザの指の接触位置を時間経過に応じて逐次出力する。このタッチパネル100としては、投影型静電容量方式タッチパネル、表面型静電容量方式タッチパネル、抵抗膜方式タッチパネル、超音波表面弾性波方式タッチパネル、又は赤外線走査方式タッチパネル等を採用することができる。
【0068】
触覚応答機構部102は、タッチパネル100に接触した指に対して、タッチパネル100を振動させることにより触覚応答を与える。例えば、ユーザが指をより強く押し込んで、拡大速度vZI(縮小速度vZO)がより高くなるほど、より強い振動が指に与えられる。触覚応答機構部102は、例えば、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)等の圧電材料を用いて形成された圧電アクチュエータとすることができる。
【0069】
押圧力検出部103は、指によってタッチパネル100に与えられる押圧力pを検出する。押圧力検出部103は、例えば、タッチパネル100の四隅下に設置されており、指を押し付けられて撓んだタッチパネル100が自身に及ぼす押圧の合計を、押圧力pとして検出する。押圧力検出部103は、例えば、PZT等の圧電材料を用いて形成された圧電センサとすることができる。また、圧電アクチュエータで構成された触覚応答機構部102を設ける代わりに又は設けると共に、この押圧力検出部103を触覚応答機構部として利用することも可能である。
【0070】
プロセッサ・メモリは、タッチパネル100から出力される指の接触位置信号と、押圧力検出部103から出力される押圧力信号とを入力し、これらの信号に基づいてユーザの指による「クリックズーム」操作等を認知する。次いで、それらの操作の内容に合わせてズーム対象画像104(204)を拡大・縮小(ズーム)する。
【0071】
同じく図5によれば、このプロセッサ・メモリは、接触位置判定部121と、押圧力判定部122と、ズーム速度決定部123と、ズーム動作制御部124と、触覚応答制御部125と、表示制御部111と、アプリケーション処理部112とを有している。
【0072】
接触位置判定部121は、タッチパネル100から出力される指の接触位置信号を入力し、指の接触位置がズーム対象画像104(204)の表示位置範囲と重畳したか否かを判定する。また、この判定結果を、ズーム速度決定部123及びズーム動作制御部124に出力する。さらに、接触位置判定部121は、指の接触位置が縮小ボタン108の表示位置範囲と重畳したか否かを判定する。また、この判定結果を、ズーム速度決定部123及びズーム動作制御部124に出力する。さらに、接触位置判定部121は、指の接触位置情報をズーム動作制御部124に出力する。
【0073】
押圧力判定部122は、押圧力検出部103から出力される押圧力信号を入力し、指による押圧力pが所定の押圧力閾値pTH(pTH′)以上であるか否かを判定する。また、この判定結果及び検出された押圧力p値を、ズーム速度決定部123に出力する。
【0074】
ズーム速度決定部123は、指の接触位置がズーム対象画像104(204)の表示位置範囲と重畳したとの判定結果を入力し、押圧力pが所定の押圧力閾値pTH以上であるとの判定結果を入力した際、拡大速度vZIを決定する。拡大速度vZIは、押圧力判定部122から入力した押圧力pの大きさに応じて決定される。ズーム速度決定部123は、図2に示したような、押圧力pと拡大速度vZIとの所定の関係を、例えばメモリに保持している。ズーム速度決定部123は、この保持した関係を用いて、押圧力判定部122から入力した押圧力p値に対応する拡大速度vZIを、逐次算出し、ズーム動作制御部124に逐次出力する。
【0075】
ズーム速度決定部123は、さらに、指の接触位置が縮小ボタン108の表示位置範囲と重畳したとの判定結果を入力し、押圧力pが所定の押圧力閾値pTH′以上であるとの判定結果を入力した際、縮小速度vZOを決定する。縮小速度vZOは、押圧力判定部122から入力した押圧力pの大きさに応じて決定される。ズーム速度決定部123は、図2において速度vZIを速度vZOに置き換え、閾値pTHを閾値pTH′に置き換えたような、押圧力pと縮小速度vZOとの所定の関係を、例えばメモリに保持している。ズーム速度決定部123は、この保持した関係を用いて、押圧力判定部122から入力した押圧力p値に対応する縮小速度vZOを、逐次算出し、ズーム動作制御部124に逐次出力する。
【0076】
ズーム動作制御部124は、指の接触位置がズーム対象画像104(204)の表示位置範囲と重畳したとの判定結果を入力し、(p≧pTHの条件下で決定された)拡大速度vZIを入力した際、ズーム対象画像104(204)を拡大するように表示制御部111に指示する。この際、画像拡大の基点は、接触位置判定部121から入力した指の接触位置情報に基づき、接触位置105とされる。また、ズーム対象画像104(204)を、入力した拡大速度vZIで拡大させる。ここで、この画像拡大の基点(接触位置105)は、例えばメモリに格納され、ズーム対象画像104(204)の表示位置範囲内の新たな指の接触位置が検出されるまで保存される。
【0077】
また、ズーム動作制御部124は、ズーム対象画像104(204)を拡大させる際、ディスプレイ101の画面内に、ズーム対象画像104(204)を縮小するための縮小ボタン108を表示するように表示制御部111に指示する。
【0078】
ズーム動作制御部124は、さらに、指の接触位置が縮小ボタン108の表示位置範囲と重畳したとの判定結果を入力し、(p≧pTH′の条件下で決定された)縮小速度vZOを入力した際、ズーム対象画像104(204)を縮小するように表示制御部111に指示する。この際、画像縮小の基点は、画像拡大の際に例えばメモリに保存された接触位置105とされる。また、ズーム対象画像104(204)を、入力した縮小速度vZOで縮小させる。
【0079】
尚、変更態様として、押圧力pの大きさに応じて、拡大・縮小速度ではなく、拡大率αが決定される場合、ズーム速度決定部123の代わりに拡大率決定部が設けられる。ズーム動作制御部124は、この拡大率決定部から決定された拡大率αを入力し、ズーム対象画像104(204)をこの拡大率αの状態にまでズームするように表示制御部111に指示する。
【0080】
また、他の変更態様として、画像拡大のために接触させていた指を接触位置105(タッチパネル100)から離隔させることによって、拡大されたズーム対象画像104を拡大前(拡大率α=1)に一挙に戻す形態の場合を説明する。この場合、ズーム動作制御部124は、ズーム対象画像104(204)を拡大させた後に、接触位置判定部121から指の接触位置が存在しない(指がタッチパネル100から離隔した)との情報を入力すると、ズーム対象画像104(204)を拡大率α=1の状態に戻すように表示制御部111に指示を行う。
【0081】
ズーム動作制御部124は、さらにまた、触覚応答機構部102に、拡大速度vZI及び縮小速度vZOの情報を出力する。ここで、触覚応答制御部125は、ズーム動作制御部124から入力した拡大速度vZI又は縮小速度vZOの情報に基づき、拡大速度vZI又は縮小速度vZOに応じた触覚応答(例えば振動)を指に対して与えるべく触覚応答機構部102を制御する。
【0082】
表示制御部111は、アプリケーション処理部112からのアプリケーション処理情報を入力して、アプリケーションの実行に応じた画像をディスプレイ101に表示させる。また、表示制御部111は、ズーム動作制御部124から出力される、ズーム対象画像104(204)を拡大・縮小(ズーム)させる指示情報を入力する。次いで、指示された拡大速度vZI又は縮小速度vZOで、ズーム対象画像104(204)をズームするようにディスプレイ101に表示させる。
【0083】
図6は、本発明による画像ズーム方法の一実施形態を示すフローチャートである。
【0084】
図6によれば、最初に、ディスプレイ101にズーム対象画像104(204)が表示される(ステップS601)。次いで、タッチパネル100により指の接触が検知される(ステップS602)。次いで、接触位置判定部121が、指の接触位置がズーム対象画像104(204)の表示位置範囲と重畳したか否かを判定する(ステップS603)。ズーム対象画像104(204)の表示位置範囲と重畳したと判定された際、押圧力検出部103が、指による押圧力pを測定する(ステップS604)。一方、ズーム対象画像104(204)の表示位置範囲と重畳していないと判定された際、ステップS602に戻って、指の接触の検知が行われる。
【0085】
指による押圧力pの測定(ステップS604)後、押圧力判定部122が、押圧力pが所定の押圧力閾値pTH以上であるか否かを判定する(ステップS611)。押圧力閾値pTH以上であると判定された際、ズーム速度決定部123が、押圧力pの大きさに応じて、ズーム対象画像104(204)を拡大する際の拡大速度vZIを決定する(ステップS612)。次いで、ズーム動作制御部124が、ズーム対象画像104(204)を、検出された指の接触位置105を基点にして、決定された拡大速度vZIで拡大させる(ステップS613)。
【0086】
また、ズーム動作制御部124は、ディスプレイ101の画面内に、ズーム対象画像104(204)を縮小するための縮小ボタン108を表示させる(ステップS614)。ここで、画像拡大の基点(接触位置105)が、後に発動し得る縮小動作に備えて、メモリに保存されることも好ましい。次いで、押圧力検出部103は、再度、指による押圧力pを測定する(ステップS615)。次いで、押圧力判定部122は、再度、押圧力pが所定の押圧力閾値pTH以上であるか否かを判定する(ステップS616)。
【0087】
以上に述べたステップS611乃至ステップS616は、式(1)p≧pTHを繰り返し条件とする画像拡大ループを形成する。ここで、式(1)に加えて、ズーム対象画像104(204)の拡大率αが所定の上限値αMAX未満であることを繰り返し条件に挙げることも好ましい。この場合、ズーム対象画像104(204)が拡大し、その拡大率αが所定の上限値αMAXに達した段階で、画像拡大ループ(画像拡大動作)は終了する。
【0088】
画像拡大ループ(ステップS611乃至ステップS616)の終了後、タッチパネル100により、再度、指の接触が検知される(ステップS621)。次いで、接触位置判定部121は、指の接触位置が縮小ボタン108の表示位置範囲と重畳したか否かを判定する(ステップS622)。縮小ボタン108の表示位置範囲と重畳したと判定された際、押圧力検出部103は、再度、指による押圧力pを測定する(ステップS623)。一方、縮小ボタン108の表示位置範囲と重畳していないと判定された際、後述するステップS641に進む。
【0089】
指による押圧力pの測定(ステップS623)後、押圧力判定部122は、押圧力pが所定の押圧力閾値pTH′以上であるか否かを判定する(ステップS631)。押圧力閾値pTH′以上であると判定された際、ズーム速度決定部123は、押圧力pの大きさに応じて、ズーム対象画像104(204)を縮小する際の縮小速度vZOを決定する(ステップS632)。
【0090】
次いで、ズーム動作制御部124は、ズーム対象画像104(204)を、メモリに保存されていた指の接触位置105を基点にして、決定された縮小速度vZOで拡大させる(ステップS633)。次いで、押圧力検出部103は、再度、指による押圧力pを測定する(ステップS634)。次いで、押圧力判定部122は、再度、押圧力pが所定の押圧力閾値pTH′以上であるか否かを判定する(ステップS635)。
【0091】
以上に述べたステップS631乃至ステップS635は、式(4)p≧pTH′を繰り返し条件とする画像縮小ループを形成する。ここで、式(4)に加えて、ズーム対象画像104(204)の拡大率αが1よりも大きいことを繰り返し条件に挙げることも好ましい。この場合、ズーム対象画像104(204)が縮小し、その拡大率αが1にまで戻った段階で、画像縮小ループ(画像縮小動作)は終了する。
【0092】
画像縮小ループ(ステップS631乃至ステップS635)の終了後、接触位置判定部121は、再度、指の接触位置がズーム対象画像104(204)の表示位置範囲と重畳したか否かを判定する(ステップS641)。ズーム対象画像104(204)の表示位置範囲と重畳したと判定された際、ステップS604に戻り、再度、指による押圧力pが測定される。一方、ズーム対象画像104(204)の表示位置範囲と重畳していないと判定された際、本画像ズーム方法は終了する。
【0093】
以上に述べた本発明の種々の実施形態について、本発明の技術思想及び見地の範囲の種々の変更、修正及び省略は、当業者によれば容易に行うことができる。前述の説明はあくまで例であって、何ら制約しようとするものではない。本発明は、特許請求の範囲及びその均等物として限定するものにのみ制約される。
【符号の説明】
【0094】
1 携帯型情報機器(ユーザインタフェース装置)
100 タッチパネル
101 ディスプレイ
102 触覚応答機構部
103 押圧力検出部
104 ズーム対象画像
105、105′、205 指の接触位置
106a、106b ペンの頭部の位置
107 インジケータ
108 縮小ボタン(縮小オブジェクト)
109 戻しボタン
111 表示制御部
112 アプリケーション処理部
121 接触位置判定部
122 押圧力判定部
123 ズーム速度決定部
124 ズーム動作制御部
125 触覚応答制御部
204 地図画像(ズーム対象画像)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
拡大を行う対象であるズーム対象画像を表示するディスプレイと、該ディスプレイの画面上に配置され、指の接触位置を時間経過に応じて逐次出力するタッチパネルと、当該指により該タッチパネルに与えられた押圧力を検出する押圧力検出部とを備えたユーザインタフェース装置であって、
当該指の接触位置が当該ズーム対象画像の表示位置範囲と重畳したか否かを判定する接触位置判定手段と、
前記押圧力が所定閾値以上であるか否かを判定する押圧力判定手段と、
前記接触位置判定手段が真の判定を行い、かつ前記押圧力判定手段が真の判定を行った際、当該ズーム対象画像を拡大させるズーム動作制御手段と
を有することを特徴とするユーザインタフェース装置。
【請求項2】
前記接触位置判定手段が真の判定を行い、かつ前記押圧力判定手段が真の判定を行った際、前記押圧力の大きさに応じて、当該ズーム対象画像を拡大する際の拡大速度を決定するズーム速度決定手段を更に有しており、
前記ズーム動作制御手段は、当該ズーム対象画像を、決定された前記拡大速度で拡大させる
ことを特徴とする請求項1に記載のユーザインタフェース装置。
【請求項3】
前記接触位置判定手段が真の判定を行い、かつ前記押圧力判定手段が真の判定を行った際、前記押圧力の大きさに応じて、当該ズーム対象画像の拡大率を決定する拡大率決定手段を更に有しており、
前記ズーム動作制御手段は、当該ズーム対象画像を、決定された拡大率にまで拡大させる
ことを特徴とする請求項1に記載のユーザインタフェース装置。
【請求項4】
前記ズーム動作制御手段は、当該ズーム対象画像を、当該指の接触位置を基点にして拡大させることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のユーザインタフェース装置。
【請求項5】
前記ズーム動作制御手段は、当該ズーム対象画像を拡大させる際、前記ディスプレイの画面内に、当該ズーム対象画像を縮小するための縮小オブジェクトを表示させ、
前記接触位置判定手段は、当該指の接触位置が前記縮小オブジェクトの表示位置範囲と重畳したか否かを判定し、
前記接触位置判定手段が前記縮小オブジェクトに係る真の判定を行い、かつ前記押圧力判定手段が真の判定を行った際、前記ズーム動作制御手段は、当該ズーム対象画像を、拡大時の基点を基点として縮小させる
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のユーザインタフェース装置。
【請求項6】
前記接触位置判定手段が当該ズーム対象画像に係る真の判定を行い、かつ前記押圧力判定手段が真の判定を行った際、前記押圧力の大きさに応じて、当該ズーム対象画像を拡大する際の拡大速度を決定するズーム速度決定手段を更に有しており、
前記接触位置判定手段が前記縮小オブジェクトに係る真の判定を行い、かつ前記押圧力判定手段が真の判定を行った際、前記ズーム速度決定手段は、前記押圧力の大きさに応じて、当該ズーム対象画像を縮小する際の縮小速度を決定し、
前記ズーム動作制御手段は、当該ズーム対象画像を、決定された前記縮小速度で縮小させる
ことを特徴とする請求項5に記載のユーザインタフェース装置。
【請求項7】
前記接触位置判定手段が当該ズーム対象画像に係る真の判定を行い、かつ前記押圧力判定手段が真の判定を行った際、前記押圧力の大きさに応じて、当該ズーム対象画像の拡大率を決定する拡大率決定手段を更に有しており、
前記接触位置判定手段が前記縮小オブジェクトに係る真の判定を行い、かつ前記押圧力判定手段が真の判定を行った際、前記拡大率決定手段は、前記押圧力の大きさに応じて、当該ズーム対象画像の拡大率を決定し、
前記ズーム動作制御手段は、当該ズーム対象画像を、決定された拡大率にまで縮小させる
ことを特徴とする請求項5に記載のユーザインタフェース装置。
【請求項8】
前記ズーム動作制御手段は、当該ズーム対象画像を拡大させた後、当該指が前記タッチパネルから離隔した際に、当該ズーム対象画像を拡大前の状態に戻させることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のユーザインタフェース装置。
【請求項9】
ユーザの操作から見て、前記ユーザインタフェース装置を保持した片手の指で、当該ズーム対象画像を押し込んだ場合、ズーム動作制御手段は、当該ズーム対象画像を、当該指の接触位置を基点にして拡大させることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載のユーザインタフェース装置。
【請求項10】
拡大を行う対象であるズーム対象画像を表示するディスプレイと、該ディスプレイの画面上に配置され、指の接触位置を時間経過に応じて逐次出力するタッチパネルと、当該指により該タッチパネルに与えられた押圧力を検出する押圧力検出部とを備えたユーザインタフェース装置に搭載されたプログラムであって、
当該指の接触位置が当該ズーム対象画像の表示位置範囲と重畳したか否かを判定する接触位置判定手段と、
前記押圧力が所定閾値以上であるか否かを判定する押圧力判定手段と、
前記接触位置判定手段が真の判定を行い、かつ前記押圧力判定手段が真の判定を行った際、当該ズーム対象画像を拡大させるズーム動作制御手段と
してコンピュータを機能させることを特徴とするユーザインタフェース装置用のプログラム。
【請求項11】
拡大を行う対象であるズーム対象画像を表示するディスプレイと、該ディスプレイの画面上に配置され、指の接触位置を時間経過に応じて逐次出力するタッチパネルと、当該指により該タッチパネルに与えられた押圧力を検出する押圧力検出部とを備えたユーザインタフェース装置における画像のズーム方法であって、
当該指の接触位置が当該ズーム対象画像の表示位置範囲と重畳したか否かを判定する第1のステップと、
前記押圧力が所定閾値以上であるか否かを判定する第2のステップと、
第1のステップで真の判定がなされ、かつ第2のステップで真の判定がなされた際、当該ズーム対象画像を拡大させる第3のステップと
を有することを特徴とする画像ズーム方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−58149(P2013−58149A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−197202(P2011−197202)
【出願日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(000208891)KDDI株式会社 (2,700)
【復代理人】
【識別番号】100141313
【弁理士】
【氏名又は名称】辰巳 富彦
【Fターム(参考)】