説明

押圧キー構造体およびこれを備えた電子機器

【課題】簡易な構成によって、キートップの隙間から機器内部が見えることを防止する。
【解決手段】第2の操作部20は、複数のキートップ224、キートップ支持部26、およびシート材24を備える。複数のキートップ224は、互いに隙間を設けて横方向に連続的に配列される。キートップ支持部26は、複数の支持体261、フレーム体30、および接続部35を備える。複数の支持体261は、キートップ224をそれぞれ下から支持する。フレーム体30は、横枠34および縦枠32を有するとともに支持体261のそれぞれの配置領域を画定する。接続部35は、支持体261がフレーム体30に弾性支持されるように支持体261とフレーム体30とを接続する。キートップ224の隙間の幅よりも幅広な、帯状カバー部241をフレーム体30の縦枠の上端部を覆うように配置することで、隙間を介して機器内部が見えてしまうことを防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数のスイッチ接点を有する基板の上に配置されるとともに、ユーザによるキー操作を受け付けるための押圧キー構造体およびこれを備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
電話機、ファクシミリ装置、マルチファンクションプリンタ等の電子機器の操作部の構成例の1つとして、基板実装タイプのスイッチ接点を押圧キー構造体を介して押圧する構成が挙げられる。このような構成では、押圧キー構造体におけるキートップ部が、電子機器の筐体の外部に露出するように配置される。このため、このキートップ部やこれを支持する支持部のデザイン性が、電子機器の外観に影響を与えることが多い。
【0003】
このため、従来技術の中には、デザイン性向上のために、スイッチノブ(キートップ部)の後面にシート状の透光板を固着し、スイッチノブ(キートップ部)の周囲が照明光により縁取られるように構成した照明式押ボタン装置がある(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】実開平2−102623号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の特許文献1に係る発明は、照明式の押圧キー構造体に関するものであるため、キートップ部の周囲の隙間を外観性向上に利用している。しかしながら、照明式でない押圧キー構造体の場合には、キートップ部の周囲の隙間が逆に電子機器の外観を悪くすることもある。例えば、単一の孔から連続した複数のキートップ部が突出するように配置される押圧キー構造体においては、キートップ部の隙間から電子機器内部が見えてしまうことがあり、電子機器の外観性を損ねることがあった。これに対する対策として、キートップ部の隙間を極力狭くすることが挙げられるが、金型作成の都合上、キートップの隙間を狭くするのには限界がある。このため、キートップ部の隙間から電子機器内部が見えないように工夫をすることが重要であると言える。
【0005】
この発明の目的は、簡易な構成によって、キートップの隙間から機器内部が見えることを防止できる押圧キー構造体およびこれを備えた電子機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る押圧キー構造体は、複数のスイッチ接点を有する基板の上に配置されるとともに、ユーザによるキー操作を受け付けるための押圧キー構造体である。この押圧キー構造体は、複数のキートップ、キートップ支持部、およびシート材を備える。複数のキートップは、互いに隙間を設けて第1の方向に連続的に配列される。
【0007】
キートップ支持部は、基板の上で複数のキートップを下から弾性支持することによって、押し下げられたキートップに対応するスイッチ接点をオンにするように構成される。キートップ支持部は、複数の支持体、フレーム体、および接続部を備える。複数の支持体は、複数のキートップをそれぞれ下から支持する。フレーム体は、第1の方向に延びる第1の枠および第1の枠に直交する方向に延びる第2の枠を有するとともに複数の支持体のそれぞれの配置領域を画定する。接続部は、複数の支持体がフレーム体に弾性支持されるように複数の支持体とフレーム体とを接続する。
【0008】
シート材は、キートップとキートップ支持部とに挟まれるように配置される。シート材は、キートップの隙間の幅よりも幅広であるとともに第2の枠の上端部を覆うように構成された帯状カバー部を備える。
【0009】
キートップが連続的に配列される場合、キートップの間に必ず隙間が生じる。この隙間は、キートップの配列方向に直交する方向、つまり第2の方向に延びるように生じる。この隙間の下には、通常、第2の枠が配置される。この第2の枠の幅が隙間の幅よりも狭い場合には、隙間を介して機器内部が見える可能性があり、その結果、電子機器のデザイン性が損なわれる可能性がある。しかも、キートップや支持体やフレーム体の設計上、第2の枠の幅を必ずしもキートップ部の隙間よりも大きくできるわけではない。
【0010】
本発明では、第2の枠の上に、キートップ部の隙間の幅よりも幅広の帯状カバー部が配置されるため、第2の枠の幅を広くできない場合であっても、隙間を介して機器内部が見えてしまうことがない。
【0011】
キートップ部が第1の方向に2つ配列される場合には、帯状カバー部は1つで足りる。これに対して、キートップ部が第1の方向に3つ以上配列される場合には、帯状カバー部が2つ以上あることが好ましい。この場合、2つ以上の帯状カバー部を所望間隔で配置しつつ連結部で連結しておけば、シート材をフレーム体上に配置する際の作業効率が向上する。さらに、シート材とフレーム体とを、位置決め用の部材を介して係合させることにより、シート材をフレーム体における不適切な位置に置くことが回避される。
【発明の効果】
【0012】
本願発明によれば、簡易な構成によって、キートップの隙間から機器内部が見えることを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1は、本発明の電子機器の実施形態であるファクシミリ装置10の外観図である。ファクシミリ装置10は、基板を収容する筐体100および通話部12を備える。筐体100は、開閉自在に設けられた蓋体18を上部に備える。蓋体18は、図示しない給紙口および排紙口をカバーするとともに、給紙トレイおよび排紙トレイとして機能するように構成される。
【0014】
筐体100の上面には、表示部14、第1の操作部16、および第2の操作部20を備える。本実施形態では、第2の操作部20に本発明の押圧キー構造体を適用している。
【0015】
図2は、ファクシミリ装置10の概略構成を示すブロック図である。ファクシミリ装置10は、制御部80およびインタフェース部90を有する基板28を備える。基板28には、電源ケーブルを介して商用電源50から電力が供給される。制御部80は、CPU、ROM、RAM等を備えており、ファクシミリ装置10の動作を統括的に制御する機能を有する。インタフェース部90は、公衆回線に接続されており、公衆回線を介する通話またはFAX送受信を制御する。
【0016】
基板28には、第1の操作部16、第2の操作部20、表示部14、通話部12、プリント部60、スキャナ部65、および搬送部70が接続される。プリント部60は、入力された画像データに基づいて記録紙に対して印刷処理を実行する。スキャナ部65は、搬送される原稿の画像を読み取って画像データを取得する。搬送部70は、ファクシミリ装置10の内部に形成された搬送路における記録紙または原稿の搬送処理を行う。
【0017】
図3を用いて、第2の操作部20の概略構成を説明する。第2の操作部20は、基板28における複数のスイッチ接点(図示せず)の上に配置される。第2の操作部20は、ユーザによるキー操作を受け付けるように構成される。
【0018】
第2の操作部20は、筐体100に支持される。図3に示すように、第2の操作部20は、キートップ部22、キートップ支持部26、およびシート材24を備える。以下、図4〜図6を用いて、キートップ部22、キートップ支持部26、およびシート材24について説明する。
【0019】
まず、図4を用いて、キートップ部22について説明する。キートップ部22は、外枠222と、外枠に弾性支持された複数のキートップ224とを備える。キートップ部22は、ポリメチルメタクリレート(PMMA)およびスチレンブタジエンゴム(SBR)からなる透明部材で構成される。この実施形態では、キートップ224が縦方向に4段配置されている。キートップ224の各段は、互いに隙間を設けて横方向に連続的に配列された5つのキートップ224で構成される。これらの5つのキートップ224のうち、図中の左側の4つが、同一のキートップ用孔に挿入される。キートップ224のそれぞれには、「0」〜「9」、「*」、「#」、「再生」、「停止」、「内線/保留」、「FAXスタート」、「コピー/印刷」、「キャッチ/消去」、および「オンフック」など各キーの機能を示す情報が印刷されている。
【0020】
図5を用いて、キートップ支持部26について説明する。キートップ支持部26は、基板28の上で複数のキートップ224を下から弾性支持することによって、押し下げられたキートップ224に対応するスイッチ接点をオンにするように構成される。本実施形態では、キートップ支持部26は、白色のABS樹脂によって構成される。
【0021】
キートップ支持部26は、複数の支持体261、フレーム体30、および接続部35を備える。複数の支持体261は、キートップ224の配置位置に1対1対応するように配置されており、キートップ224をそれぞれ下から支持するように構成される。
【0022】
フレーム体30は、縦方向に延びる6本の縦枠32と、横方向に延びる5本の横枠34からなる格子状を呈している。この実施形態では、横枠34が本発明の第1の枠に対応し、縦枠32が本発明の第2の枠に対応する。フレーム体30の縦枠32および横枠34によって、複数の支持体261のそれぞれの配置領域が画定される。
【0023】
接続部35は、複数の支持体261がフレーム体30に弾性支持されるように、複数の支持体261とフレーム体30とを連結する。本実施形態では、接続部35は、複数の支持体261と縦枠32とを連結するように構成される。
【0024】
フレーム体30は、縦枠32と横枠34との交差箇所に4つの突起片262,264,266,268を備える。突起片262,264,266,268は、その上面が支持体261の上面と同一平面上に配置されるように構成される。突起片262,264,266,268を設ける理由は、キートップ部22の垂れ下がりを防止するためである。また、本実施形態では、後述するように、突起片262,264,266,268をシート材24の位置決めの用途に利用している。なお、縦枠32および横枠34のうち、フレーム体30の外枠を構成する枠は、その上面が支持体261の上面と同一平面上に配置されており、その他の枠はその上面が支持体261の上面よりも1ミリ程度低い位置に配置される。なお、図5(A)において、シート材24の置かれるべき位置を一点鎖線にて示している。
【0025】
図6を用いて、シート材24について説明する。シート材24は、白色のポリエチレンテレフタレート(PET)によって構成される。ただし、シート材24の素材は、PETに限定されるものではなく、コシが強く、かつ、日焼けしにくい用紙(例えば、コート紙)であればPETに代えて用いることも可能である。シート材24は、キートップ部22とキートップ支持部26とに挟まれるように配置される。
【0026】
シート材24は、キートップ224の隙間の幅よりも幅広である帯状カバー部241を備える。帯状カバー部241は、縦枠32の上端部を覆うように配置される。本実施形態では、帯状カバー部241が3つ設けられており、これらの帯状カバー部241を5つの帯状の連結部243によって連結している。このとき、帯状カバー部241および連結部243によって、複数の支持体261が通過する空白領域が画定される。この結果、シート材24が格子状を呈するように構成される。
【0027】
さらに、連結部243には、突起片262,264,266,268に係合する係合部242,244,246,248が形成される。また、シート材24の裏面には、シート材24をフレーム体30に貼り付けるための両面テープ245が設けられている。
【0028】
ここで、図7を用いて、シート材24をフレーム体30に貼り付けることにより得られる効果を説明する。連続したキートップ224を作成する際に、金型作成の都合上、図7(A)に示すように、キートップ224の隙間はある程度広くする必要がある。このとき、キートップ224の隙間がキートップ支持部26の縦枠32の幅よりも広い場合には、キートップ224の隙間からファクシミリ装置10の内部が見える虞がある。
【0029】
上述の実施形態では、図7(B)に示すように、キートップ224の隙間よりも幅広の帯状カバー部241を縦枠32の上端部に配置している。さらに、シート材24の色調とキートップ224の印刷面の色調とを合せることにより、キートップ224の隙間を目立たせないようにしている。
【0030】
シート材24をフレーム体30に取り付ける際には、シート材24の係合部242,244,246,248の位置を、フレーム体30の突起片262,264,266,268の位置に合せつつ、両面テープ245を利用してシート材24をフレーム体30に固定する。これにより、複数の帯状カバー部241を縦枠32に順次貼り付ける作業に比較して、シート材24をフレーム体30に固定する作業を効率よく行うことができる。
【0031】
なお、本発明の電子機器は、ファクシミリ装置に限定されるものではなく、電話機、マルチファンクションプリンタ等のその他の電子機器も含まれる。
【0032】
最後に、上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施形態に係るファクシミリ装置の外観図である。
【図2】ファクシミリ装置の概略構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の押圧キー構造体の一例を示す図である。
【図4】キートップの構成の一例を示す図である。
【図5】キートップ支持部の構成の一例を示す図である。
【図6】シート材の構成の一例を示す図である。
【図7】本実施形態に係るシート材の作用効果を説明するための図である。
【符号の説明】
【0034】
10−ファクシミリ装置
20−第2の操作部
22−キートップ部
24―シート材
26−キートップ支持部
30−フレーム体
224−キートップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のスイッチ接点を有する基板の上に配置されるとともに、ユーザによるキー操作を受け付けるように構成された押圧キー構造体であって、
互いに隙間を設けて第1の方向に連続的に配列される複数のキートップと、
前記基板の上で前記複数のキートップを下から弾性支持することによって、押し下げられたキートップに対応するスイッチ接点をオンにするキートップ支持部と、
前記キートップと前記キートップ支持部とに挟まれるように配置されるシート材と、
を備え、
前記キートップ支持部は、前記複数のキートップをそれぞれ下から支持する複数の支持体と、第1の方向に延びる第1の枠および第1の枠に直交する方向に延びる第2の枠を有するとともに前記複数の支持体のそれぞれの配置領域を画定するフレーム体と、前記複数の支持体が前記フレーム体に弾性支持されるように前記複数の支持体と前記フレーム体とを接続する接続部と、を備えており、
前記シート材は、前記キートップの隙間の幅よりも幅広であるとともに第2の枠の上端部を覆うように構成された帯状カバー部を備えることを特徴とする押圧キー構造体。
【請求項2】
前記フレーム体は、前記シート材の位置決めをするための位置決め部を有しており、
前記シート材は、前記位置決め部に係合するように構成された係合部を有することを特徴とする請求項1に記載の押圧キー構造体。
【請求項3】
前記位置決め部は、その上面が前記支持体の上面と同一平面上に配置されており、前記キートップ部を下から支持するように構成されることを特徴とする請求項2に記載の押圧キー構造体。
【請求項4】
前記シート材は、前記隙間の幅よりも幅広であるとともに第2の枠の上端部を覆うように構成された複数の帯状カバー部と、前記複数の帯状カバー部を連結する連結部とを備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の押圧キー構造体。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の押圧キー構造体と、
前記押圧キー構造体を支持する筐体と、
を備えたことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−10185(P2008−10185A)
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−176744(P2006−176744)
【出願日】平成18年6月27日(2006.6.27)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】