説明

担体

ビタミンE誘導体、陰イオン性リン脂質結合タンパク質、陰イオン性リン脂質、およびステロールを含む医薬組成物が提供される。対象に輸送物を送達するための組成物を調製する方法であって、a)ビタミンE誘導体、アネキシンなどの陰イオン性リン脂質結合タンパク質、ホスファチジルセリンなどの陰イオン性リン脂質、およびステロールからリポソームを形成すること、ならびにb)リポソーム組成物中に輸送物をカプセル化することを含む方法も提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬作用物質または他の作用物質の眼および中枢神経系への送達のための担体に関する。
【背景技術】
【0002】
眼への局所的薬物送達は、常に魅力的な投与経路であるが、物理的および生理的な障壁を効果的に乗り越えて薬物が前眼部および後眼部に到達できる効果的な担体を見いだすのに、ある程度しか成功していない。本発明者らは、以前の特許出願PCT/GB2008/004233において、眼への通常の局所的薬物投与経路である点眼剤の使用時に遭遇する問題を記載した。さらに、本発明者らは、直接的な侵襲性投与を必要とすることなく、後眼部への薬物送達を可能にする局所的薬物投与に使用される担体を提供した。
【0003】
AMD(加齢性黄斑変性症)およびDR(糖尿病性網膜症)などの失明に至る状態においてVEGF(血管内皮増殖因子)を標的にする治療が出現し、現在その治療は、投与経路として眼内(硝子体内)注射を使用しており、非侵襲性送達系のさらなる需要がある。老齢疾患および糖尿病の罹患率の増加に伴い、治療、特に非侵襲性で、投与が容易で、かつ安価である、治療法の必要性が急激に高まっている。VEGFを抑制し、AMD、DR、および他の類似した状態を治療する薬剤の局所的送達のための改善された担体が有用であろう。
【0004】
中枢神経系(CNS)および眼の治療法の開発は、薬物開発において、特に全身投与に関して、最も難しい領域の一つである。その原因は、主として、眼における血液網膜関門(BRB)およびCNSにおける血液脳関門(BBB)である。最近の進歩にもかかわらず、BBBの実質的な問題は依然として、多くの可能性のある治療剤がCNSに到達するのを妨げることである。現在の課題は、薬物がBBBを安全かつ効果的に通過することを確実にする薬物送達系を開発することである。
【0005】
現在までCNS治療に使用されている薬物は、膜貫通拡散によってBBBを通過する小さな、比較的に脂溶性の化合物でなければならないことによって、限定されている。加えて、アルツハイマー病の場合のように、受動免疫法および能動免疫法が使用されているが、この場合もやはり、主要な困難は抗体がBBBをあまり通過しないことであり、特に、IgG分子はそのサイズが大きいため透過しにくい。
【0006】
本発明者らは、作用物質がBBBおよびBRBを通過するのを可能にする担体を開発した。そのような担体は、静脈内、経鼻的、経皮的、および局所的投与などの様々な方法で投与される医薬品に使用することができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、ビタミンE誘導体、陰イオン性リン脂質結合タンパク質、陰イオン性リン脂質、およびステロールを含む医薬組成物が提供される。
【0008】
この組成物を使用して、生物活性または医薬活性化合物などの輸送物(cargo)を対象の身体の領域に輸送することもできる。特に、この組成物を使用して、そのような輸送物を、BRBまたはBBBを通過して輸送することもできる。したがって、組成物は、輸送される輸送物も含んでもよい。
【0009】
ビタミンE誘導体、陰イオン性リン脂質、およびステロールは、脂質膜(脂質二重層)を形成することができる。陰イオン性リン脂質結合タンパク質は、脂質二重層の表面に結合することができる。組成物は、脂質二重層を形成することができる成分をさらに含んでもよい。
【0010】
本明細書では、ビタミンE誘導体という用語は、α−トコフェロールに類似した生物活性を有するトコールまたはトコトリエノール誘導体を指すものとして使用される。特に、その用語は、トコフェロールおよびトコトリエノールを指す。8つのビタミンE異性体分子がある:4つのトコフェロールは、4’,8’,12’−トリメチルトリデシルフィトール側鎖を有し、4つのトコトリエノールは、側鎖の3’位、7’位、および11’位の二重結合の存在によって異なる。その用語はまた、わずかに異なる構造を有するが類似した機能性を有する、トコフェロール誘導体およびトコトリエノール誘導体、またはそれらの分子の変異体である分子も包含する。
【0011】
ビタミンEは、「トコフェロール」および「トコトリエノール」と呼ばれる、トコクロマノールの2つの同属の系列で構成される。特に、トコフェロールは、ビタミンE活性を有し得る、モノ、ジ、またはトリ−メチルトコールである。その用語は、当技術分野においてよく知られている。トコフェロールの誘導体、特に機能的誘導体、すなわち、親分子の担体機能を保持するものも、本明細書で意図されたトコフェロールの定義に含まれる。トコフェロール誘導体の例は、TPGS(ポリエチレングリコール1000とエステル結合したコハク酸D−α−トコフェロール)である。トコトリエノールは、側鎖に3つの二重結合を有するトコール、すなわち、フィチル鎖に3つの追加の二重結合を有し、したがって、6−(3’,7’,11’,15’−テトラメチル−2’,6’,10’,14’−ヘキサデカテトラエニル)−1,4−ヒドロキノンまたは2−メチル−2−(4,8,12−トリメチルトリデカ−3,7,11−トリエニル)クロマン−6−オールである。天然生成物は、クロマノールの5、7、および8位のうちの1以上にメチルを有し、したがって、フィチル様側鎖における不飽和を除いて、トコフェロールと同一である;クロマノール誘導体を形成する環化およびトコトリエノールキノン(またはクロメノール)を形成する酸化も類似している。トコトリエノールという専門用語は、トコールおよびトコエノール(ビタミンE様)との関係を示すために使用され、クロマノールという専門用語は、ビタミンKおよびコエンザイムQ系列のイソプレノイド化合物との関係を示すために使用される。
【0012】
上記に示されているように、ビタミンE誘導体、陰イオン性リン脂質、およびステロールは、存在してもよい任意の他の脂質二重層形成成分、例えば、追加のリン脂質と共に、脂質膜(脂質二重層)を形成することができる。ビタミンE誘導体のモル組成は、好ましくは、脂質二重層成分の0.1%から20%の間である。より好ましくは、モル組成は、0.1〜15%のビタミンE誘導体、さらにより好ましくは、0.1〜10%のビタミンE誘導体、なおより好ましくは、0.1〜5%のビタミンE誘導体、さらにより好ましくは0.1〜5%のビタミンE誘導体、なおさらにより好ましくは0.1〜2%のビタミンE誘導体、最も好ましくは、約1%のビタミンE誘導体である。低い方の濃度範囲において、ビタミンE誘導体は、酸化コレステロールを中和する能力が限られており、抗酸化活性も低下している。しかしながら、そのスケールの高い方の末端においては、それは、膜の相(秩序)に干渉する。
【0013】
陰イオン性リン脂質結合(APLB)タンパク質という用語は、当技術分野において知られている。本発明に有用なAPLBタンパク質は、天然であっても組換えであってもよい。APLBタンパク質は、全体であってもよく、機能性断片、すなわち、タンパク質全体と同じ分子に特異的に結合する、タンパク質の断片または領域であってもよい。そのようなタンパク質の機能的誘導体も含まれる。特に、前記用語は、機能的に類似した結合ドメインを含有する分子を包含するとみなされる。アネキシンは、APLBタンパク質の例である。米国特許出願公開第2006/0134001A号に記載されたものなどの様々なアネキシンが利用可能である。好ましいアネキシンはアネキシンVであり、それは当技術分野においてよく知られている。他の陰イオン性リン脂質結合タンパク質には、シナプトタグミン、第V因子、第VIII因子、およびラクトアドヘリンが挙げられる。
【0014】
APLBタンパク質の濃度は、好ましくは、100μg/mlから2mg/mlの間である。より好ましくは、APLBタンパク質の濃度は、100μg/mlから1mg/mlの間、さらにより好ましくは、200μg/mlから400μg/mlの間、最も好ましくは、約300μg/mlである。
【0015】
脂質二重層成分(すなわち、任意の他の追加の脂質二重層形成成分と共に、ビタミンE誘導体、陰イオン性リン脂質、およびステロール)の濃度は、好ましくは、0.1mg/mlから30mg/mlの間、より好ましくは、0.1mg/mlから20mg/mlの間、さらにより好ましくは、1mg/mlから10mg/mlの間、なおより好ましくは、3mg/mlから7mg/mlの間、最も好ましくは約5mg/mlである。
【0016】
陰イオン性リン脂質(APL)という用語も当技術分野においてよく知られている。例としてホスファチジルセリンが挙げられる。
【0017】
組成物の調製中、APLBタンパク質の濃度は、陰イオン性リン脂質(APL)より超過していることが好ましい。組成物は、好ましくは、リポソームを形成することによって調製される。APLレベルがAPLBタンパク質と比較して過剰にある場合、リポソームが不十分なコーティングになるであろう。
【0018】
APLのモル組成は、生体膜におけるその正常な生理的レベルに関連している。例えば、APLである、ホスファチジルセリンは、哺乳類細胞膜のリン脂質含有量の約10%を構成している。したがって、APLがホスファチジルセリンである場合、組成は、好ましくは、約10%ホスファチジルセリンを含む。より一般的には、組成は、好ましくは、約10%の陰イオン性リン脂質を含む。これは、単一の陰イオン性リン脂質で構成することもできるし、1つより多い陰イオン性リン脂質で構成することもできる。
【0019】
APLのモル組成は、好ましくは、脂質二重層成分の1%から30%の間、より好ましくは、5%から20%の間、さらにより好ましくは、5%から15%の間、なおより好ましくは、8%から12%の間、最も好ましくは、約10%である。
【0020】
組成は、ステロール、特にコレステロール、または6−ケトコレスタノールなどの類似した成分を含む。モル組成は、好ましくは、脂質二重層成分に対して5%から40%の間のステロール、より好ましくは、10%から30%の間、さらにより好ましくは、10%と20%の間、なおより好ましくは、13%と17%の間、最も好ましくは、約15%である。好ましくは、ステロールはコレステロールである。使用されるコレステロールの量は、輸送物の放出速度に影響するように選択することができ、コレステロールのより高い濃度は、輸送物のより遅い放出をもたらすであろう。
【0021】
パーセンテージ組成は、モル組成に基づいている。
【0022】
本発明の組成物は、輸送物の封入の前に、リポソームの形に調製される。その後、輸送物は、好ましくはエレクトロポレーションを使用して、リポソーム組成物中にカプセル化されるが、凍結融解などの代替方法も適切である場合がある。
【0023】
本発明の組成物はまた、追加の成分を含んでもよい。一実施形態において、組成物はさらに、追加の脂質を含む。組成物は、ホスファチジルコリンなどの1つまたは複数のさらなるリン脂質を含んでもよい。一実施形態において、本発明の脂質二重層成分は、トコフェロールなどのビタミンE誘導体、ホスファチジルセリンなどの陰イオン性リン脂質、コレステロールなどのステロール、およびホスファチジルコリンなどの別のリン脂質を含み、これらの成分は以下の割合である:
ビタミンE誘導体:0.1〜20%
陰イオン性リン脂質:5〜20%
ステロール:15〜30%
リン脂質:30〜80%。
【0024】
本発明はまた、対象に輸送物を送達するための組成物を調製する方法であって、
a)ビタミンE誘導体、アネキシンなどの陰イオン性リン脂質結合タンパク質、ホスファチジルセリンなどの陰イオン性リン脂質、およびステロールからリポソームを形成すること、ならびに
b)リポソーム組成物中に輸送物をカプセル化すること
を含む方法を提供する。
【0025】
好ましくは、輸送物は、リポソーム形成時に存在することによって、またはエレクトロポレーション、凍結融解、超音波処理、もしくはボルテックスによってカプセル化される。より好ましくは、輸送物は、リポソーム形成時に存在することによって、またはエレクトロポレーション、凍結融解、もしくは超音波処理によってカプセル化される。
【0026】
好ましくは、カプセル化は、リポソームの脂質濃度が比較的高い場合に実行される。これはカプセル化効率を増加させるのに役立ち、より多くの輸送物がリポソーム中にカプセル化される。好ましくは、脂質濃度は、10mg/ml以上、より好ましくは、脂質濃度は20mg/ml以上、さらにより好ましくは、脂質濃度は30mg/ml以上、最も好ましくは、脂質濃度は40mg/ml以上である。
【0027】
血液脳関門を通過して、または血液網膜関門を通過して作用物質を送達するための担体としての、特に本発明の組成物の形をとる、ビタミンE誘導体の使用も提供される。
【0028】
本発明による医薬組成物と組み合わせて作用物質を眼に投与することを含む、後眼部領域への作用物質の送達方法がさらに提供される。
【0029】
本発明はまた、中枢神経系への作用物質の送達方法であって、それを必要とする患者に作用物質をビタミンE誘導体と組み合わせて、特に本発明による組成物の形をとって投与することを含む方法も提供される。
【0030】
後眼部という用語は、例えば、レンズ、線維柱帯網、(毛様体を含む)ブドウ膜、硝子体、および網膜を含む眼の裏側における構造を指す。特に、本発明は、網膜への送達の向上を可能にする。
【0031】
本発明の組成物を使用して、他の分子、作用物質、または組成物を送達することができる。したがって、組成物は、送達される1つまたは複数の作用物質(輸送物)をさらに含有してもよい。そのような作用物質として、例えば、治療的または生物学的に活性のある作用物質を挙げることができる。特に好ましい作用物質には、神経保護薬(メマンチンなど)、増殖因子および(抗血管新生分子を含む)増殖因子アンタゴニスト、抗体(LucentisおよびAvastinなど)、アプタマー(Macugenなど)、ステロイド(Triamcinoloneなど)、分子作用物質が挙げられる。一実施形態において、輸送物はアルファ−ブンガロトキシン(αBT)である。これは、網膜における動脈を特異的に標識することが見いだされている。したがって、それは、網膜送達を評価するために使用することができる。αBTは、より容易な検出を可能にするために標識されてもよい。αBTは、任意の適切なイメージング部分で標識されてもよい。特定の実施形態において、αBTはフルオレセインで標識される。
【0032】
本発明の医薬組成物は、その意図された投与経路に適合性があるように製剤化される。投与を達成するための方法は、当業者に知られている。例えば、投与は、静脈内、腹腔内、筋肉内、硝子体内、腔内、皮下、鼻腔内、または局所的であり得る。
【0033】
皮内または皮下適用に使用される溶液または懸濁液は、典型的には、以下の成分の少なくとも1つを含む:水、食塩水、固定油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、または他の合成溶媒などの滅菌希釈液;ベンジルアルコールまたはメチルパラベンなどの抗細菌剤;アスコルビン酸または亜硫酸水素ナトリウムなどの抗酸化剤;エチレンジアミン四酢酸(EDTA)などのキレート化剤;酢酸塩、クエン酸塩、またはリン酸塩などの緩衝液;および塩化ナトリウムまたはブドウ糖などの等張化剤。pHは、酸または塩基で調整することができる。そのような調製物は、アンプル、使い捨て注射器、または複数回投与バイアル中に封入してもよい。
【0034】
静脈内または硝子体内投与に使用される溶液または懸濁液は、生理食塩水、静菌水、CremophorELT””(BASF、Parsippany、NJ)、エタノール、またはポリオールなどの担体を含んでもよい。すべての場合において、組成物は、無菌で、かつ注射容易性の液体でなければならない。適切な流動性は、しばしば、レシチンまたは界面活性剤を使用して得ることができる。組成物はまた、製造および保存の条件下で安定でなければならない。微生物増殖の予防は、抗細菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサールなどで達成することができる。多くの場合、等張剤(糖)、ポリアルコール(マンニトールおよびソルビトール)、または塩化ナトリウムが組成物中に含まれてもよい。組成物の持続的吸収は、吸収を遅らせる作用物質、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを加えることによって達成することができる。
【0035】
本発明による医薬組成物は、好ましくは、局所投与用、すなわち、好ましくは、点眼剤の形または他の局所用の形をとって、眼球の表面に適用される。したがって、医薬組成物は、追加として、塩化ナトリウム、塩化ベンザルコニウム、リン酸二水素ナトリウム一水和物、無水リン酸二ナトリウム、および注射用蒸留水などの他の担体、媒体、または賦形剤を含有してもよい。
【0036】
CNSへの少なくとも1つの作用物質の送達のための担体としてのビタミンE誘導体の使用も提供される。ビタミンE誘導体は、陰イオン性リン脂質結合タンパク質と組み合わせて使用することができ、例えば、上記の医薬組成物を担体として使用することができる。担体は、治療剤、診断剤、または他の作用物質を脳に送達するために使用することができる。そのような作用物質を送達するための方法も提供される。
【0037】
本発明はまた、対象の網膜血管系を標識するのに使用するアルファ−ブンガロトキシン(αBT)も提供する。これはインビボ標識である。αBTは、ニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)に結合することが知られており、エクスビボで神経筋接合部の終板を標識するのに容易に使用される。αBTは、全身性に使用される場合に潜在的な神経筋阻害効果があるため、インビボでの標識に適用されていない。しかしながら、それを眼に直接的に使用する場合、そのような問題は見られない。網膜血管系、特に動脈の壁は、nAChRを収容する筋肉環境である。それゆえに、αBTはそれらを特異的に標識する。眼におけるこのパターン化された標識は、他の方法では達成するのが非常に困難であるようなことである。好ましくは、αBTは、眼の網膜血管系へ、例えば硝子体内注射によって、直接投与される。好ましくは、αBTは、フルオレセインなどのイメージング部分で標識される。
【0038】
対象の網膜血管系を標識するための薬剤の製造におけるアルファ−ブンガロトキシン(αBT)の使用も提供される。
【0039】
さらに、本発明は、対象の網膜血管系を標識する方法を提供し、その方法は、対象の眼にαBTを投与することを含む。好ましくは、αBTは、眼の網膜血管系に、例えば硝子体内注射によって、直接投与される。標識することにより、網膜血管系、特に網膜動脈の画像を作成することが可能になる。
【0040】
ここで、本発明を、ほんの一例として、図を参照して詳細に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】Lucentis488のイメージングの図である。ベースラインにおけるイメージング(左に示す)は、95%強度に設定されたアルゴンレーザーを使用して、弱い固有の488自己蛍光があることを示す。ベースライン記録と同じレーザー強度における局所的488標識Lucentisから40分後の同じ眼のイメージングは、上に示されている(右に示す)。はるかに多い蛍光が見られる−全体の像ははるかに明るい−ことに注目されたい。この蛍光活性における変化は、網膜における488フルオロフォアの増加を反映しており、それは488標識Lucentisの眼底への通過に起因するのみであり得る。これは、488標識Lucentisがユニバーサルドラッグデリバリーシステム(UDDS)担体によって輸送され、角膜、前房および後房、レンズ、ならびに硝子体構造を通って眼の網膜神経線維層に到達していることを示している。
【図2】Cy3標識IgGのイメージングを示す図である。ベースラインにおけるイメージング(左に示す)は、95%強度に設定されたアルゴンレーザーを使用して、弱い固有の488自己蛍光があることを示す。ベースライン記録と同じレーザー強度における局所的Cy3標識IgGから1時間後の同じ眼のイメージングは、上に示されている(右に示す)。はるかに多い蛍光が見られる−全体の像ははるかに明るい−ことに注目されたい。さらに、高蛍光の焦点領域(白色スポット)が見られ、IgGが網膜上の特定の構造に結合していることを示している。この蛍光活性における変化は、Cy3標識IgGの眼底への通過に起因するのみであり得る。
【図3】超遠心についての様々な試料に関連した蛍光を示すチャートである。
【図4】サイズ排除についての様々な試料に関連した蛍光を示すチャートである。
【図5】カプセル化についての様々な試料に関連した蛍光のレベルを示すチャートである。
【図6】Superdex75カラムを使用したリポソームおよびFITC−aBTの溶出特性を示す図である。
【図7】図6の溶出特性に関連した蛍光を示すグラフである。
【図8】吸光度に対するリン酸濃度を示すグラフである。
【図9】吸光度に対するホスファチジルコリン濃度を示すグラフである。
【図10】FPLC superdex75およびsuperdex200カラムから溶出された1.5mlの画分に関連した吸光度を示すグラフである。
【図11】G−50の粗いカラムに流したリポソーム、フルオレセイン、およびα−BTの溶出特性を示す図である。溶出特性は、600nmにおける濁度および488nmにおける蛍光によって、それぞれ、測定された。
【図12】超遠心についての様々な試料に関連した総タンパク質の量を示すチャートである。
【図13】脂質濃度を変化させることのカプセル化への効果を示すチャートである。
【図14】脂質濃度の増加による光散乱の効果を示すチャートである。
【図15】多くの界面活性剤がある場合のフルオレセインレベルに対する蛍光を示すチャートである。
【図16】αBTが網膜における動脈を特異的に標識することを示す眼の画像である。
【図17】αBTおよびアネキシンV−776の放出の成功を示す図である。(A)は、リポソームの存在下でのアネキシンの放出を示し、(B)はカプセル化αBTの放出を示し、一方、(C)および(D)は、リポソームの存在なしに注射された1mg/mlのアネキシンV−776および50μg/mlのαBTの効果をそれぞれ、示す。
【図18】高発現レベルのアネキシンV−GSTを示すゲルの図である。
【図19】図D、E、およびFに示されているように、図19はフルオレセインは無傷の血液網膜関門を通過することができず、血管に隔離されたままであることを示す図である。34分間(B)においてカプセル化処理された眼に少量の動脈壁蛍光があるものの、網膜血管は、それらがカプセル化材料を含まない場合(D〜F)は見えるけれども、カプセル化材料(A〜C)がある場合は見えなかったことを強調することは重要である。しかしながら、図Aにおける円によって強調表示されているように、カプセル化材料で処理された眼が、7分後に、網膜において蛍光の焦点パッチまたはスポットを示した。これらの蛍光パッチの頻度は、図Cに示されているように74分後に分散し始める前に、図Bに示された30分後にピークに達するように思われた。
【図20】RTおよびHAT低酸素動物におけるBBB破壊のマーカーとしてのフルオレセインナトリウム(NaFl)漏れを示す図である。NaFlを注射された対照ラット由来の切片は、前頭皮質(上部)および頭頂葉皮質(下部)の脳組織における漏れを示していない。対照的に、RT低酸素ラットの1日目または2日目の脳由来の切片は、前頭皮質および頭頂葉皮質における中程度の単焦点漏れを示している。HATプラス低酸素の1日目または2日目の脳由来の切片は、脳組織におけるNaFlの多焦点領域を示している。スケールバー、100μm。
【図21】眼におけるカプセル化リポソームからの輸送物の治療的放出を評価するために、眼あたり500ngの組換えヒトVEGF(rhVEGF165)を使用するVEGFモデルを開発し、そのモデルは、血管蛇行の増加(A、反射画像)、VEGF注射から24時間後にとられたフルオレセイン血管造影後に見られる、血管の漏れおよび肥厚(B、蛍光画像)を示した。これらの効果の逆転は、2.5μlの治療グレードのLucentisの硝子体内注射を使用して達成された(C〜D)。Lucentis処理された眼は、未処理のVEGFモデルに対して、血管サイズを正常に縮小し(C、反射画像)、漏れがなく正常な血管組織(D、蛍光画像)を示している。
【図22】左硝子体内VEGF処理眼から24時間(A、C)および48時間(B、D)時点でとられたフルオレセイン血管造影図の画像である。第一に、VEGFと同時のLucentis処理は、24時間、激しい漏れ、血管肥厚のような蛇行を含む大きな炎症性変化を誘発したことは明らかである(A、C)。しかしながら、48時間で、カプセル化lucentis処理動物(B)は、静脈注射臨床グレードlucentis動物における大量の漏れ、血管新生、および出血と比較して、血管炎(静脈炎)を示しているが、焦点漏れの領域を示していないという大きな違いがある。
【図23】カプセル化lucentis処理された眼は、蛇行の低下、血管サイズの正常への低下(A、反射画像)、漏れなし、およびより正常な血管組織(B、蛍光画像)を示している。
【図24】通常の静脈注射のフルオレセインナトリウムを用いた動物(C〜D)と比較した、カプセル化フルオレセインナトリウムの静脈注射を用いた動物(A〜B)由来の脳における同様の領域から得られたいくつかの画像である。蛍光画像(A、C)および透過画像(B、D)の両方が示されている。明らかに、カプセル化材料のみが蛍光を示し(A)、通常のフルオレセインナトリウム静脈注射を用いた脳からのシグナルは全くない(C)。
【実施例】
【0042】
輸送の機構
角膜上皮ならびに血液脳関門および血液網膜関門の内皮などの物理的障壁は、密に接着した細胞のシートで構成されている。細胞間の接合部(角膜またはBBBのいずれでも)は、化合物の移動を制限する、タイトジャンクションを形成するタンパク質複合体によって制御される。これらの接合部の選択性は、上皮組織の特定の型に依存するが、一般的には、低分子量(100〜200Da)の親水性薬物またはイオンのみが傍細胞経路を利用することができる。親油性薬物は、BBBの内皮を透過することができるが、それらの通過は、やはり、400Da未満の分子に制限される。角膜において、角膜実質は、親油性薬物にさらなる障壁を与え、それらの後眼部への透過を阻止する。
【0043】
経細胞輸送は、上皮を通過する分子の選択的輸送を可能にする。それは、使用されるリポソームとの類似性(100nmのリン脂質閉鎖構造)を示す大きな分子複合体やウイルスでさえも上皮を通過することができる機構であると提案されている。
【0044】
経細胞輸送は、クラスリン被覆ピットか、またはカベオラと呼ばれる、上皮組織の表面上に存在するフラスコ状陥入部のいずれかを経由して進行する。クラスリン被覆ピットは、受容体媒介性エンドサイトーシスに依存するが、カベオラは、コレステロールおよび膜タンパク質、カベオリンによって媒介される。カベオラにおけるコレステロールの本質的な性質は、担体系における観察されるステロール依存性とよく相関する。
【0045】
特定の理論にとらわれるものではないが、本発明の組成物は、上皮細胞および内皮細胞を通過するためにカベオラ経細胞輸送経路を刺激/利用し得ることは、本発明者らの確信である。酸化コレステロールの存在も、正常なコレステロールの機能に対抗して、カベオラ機能を阻害することが提案されているが、ビタミンE誘導体の存在は、酸化コレステロールの阻害効果を中和する。その仮説は、カベオラ関連タンパク質としてアネキシンVを同定する最近の報告によってさらに支持される。
【0046】
BBBの通過
脳薬物の世界市場は、主に、薬物の大部分がインビボでBBBを通過せず、通過するものは、高脂溶性および400〜500ダルトン(Da)未満の低分子量を有する小分子に限定されるという事実により低開発分野である。これらの化学的性質を有する小分子の数は、全薬物の2%未満である。他の薬物はBBBを通過しない。BBBの解決がなければ、脳を治療する可能性があり得る全薬物の98%より多くは、開発されない。これは、神経保護薬を含む新薬が不足している、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン病、パーキンソン病、脳卒中、脳脊髄損傷、脳癌、および多発性硬化症などの重篤な疾患における障害となっている。大分子を輸送する能力により、組換えタンパク質、抗体、およびRNA/DNA分子のCNS内の標的部位への送達も可能となるであろう。
【0047】
BBBが問題であるという認識において、化合物を血液から脳へ送達するために多くのストラテジーが使用されている。これらには、非常に侵襲性の、脳室内注入または脳内移植片による脳神経外科に基づいたストラテジーが挙げられ、高張液またはブラジキニンなどの生物活性剤を注入することによる血管内皮のタイトジャンクションの一時的破壊も使用されているが、感染および神経病理学的変化のリスクがあり、問題がある。BBBを通過しての輸送を可能にするために、水溶性薬物上の極性官能基の脂溶性部分もしくは脂溶性薬物担体とのコンジュゲーション、または脂溶性プロドラッグを作製する薬物再製剤化を通しての脂質化を用い得ることが示唆されている。
【0048】
本発明の組成物を使用して、神経保護薬および他の活性の作用物質を、BBBを通過して輸送することができる。
【0049】
組成物を作製する方法
リポソーム調製
リポソームを、脂質フィルム再水和方法によって調製した。クロロホルム:メタノール(5:1 v/v)中に溶解した関心対象の脂質(ホスファチジルコリン(PC)、ホスファチジルセリン(PS)、コレステロール、およびα−トコフェロール)を、適切な量で混合し、溶媒を定常窒素流下で除去した。使用範囲は、15〜30%のコレステロール(好ましくは15%)、5〜20%のPS(好ましくは10%)、および0.1〜20%のビタミンE誘導体(好ましくは1%)であることが示され、残りはPCで構成された。その結果生じた脂質フィルムを、適切な容量の緩衝液(PBS±フルオロフォア/輸送物)中で再水和した。52mMの貯蔵濃度のリポソームを調製し、その後、それをUDDSに使用するのに6.5mMに希釈した。
【0050】
Lucentisまたは任意のタンパク質の蛍光標識
Lucentis(ラニビズマブ)は、血管内皮増殖因子A(VEGF−A)を標的にするヒト化モノクローナル抗体断片である。その抗体のタンパク質性質により、蛍光色素の特定のアミノ酸へのコンジュゲーションが可能になる。Lucentis(10mg/ml)を0.1Mの重炭酸ナトリウム緩衝液、pH8.3中で洗浄し、約2mg/mlに濃縮した。標識反応については、タンパク質を任意の一級アミン部位(リシン残基およびN末端)で標識する100μgのalexafluor−488(DMSO中に溶解したスクシンイミジルエステル)を使用して室温で行った。その薬物はまだ特許権下であり、そのタンパク質のアミノ酸配列はパブリックドメインで入手できないため、標識に利用できる一級アミン基の数はわからない。コンジュゲートしていない色素をゲル濾過で除去し、標識されたLucentisを1×PBS pH7.4へ溶出した。分光法によるそのタンパク質の分析は以下の結果を生じた。
【0051】
280nm(0.215AU)および488nm(0.128AU)におけるピークは、標識が十分なレベルであることを示した。しかしながら、実際のタンパク質濃度および標識の化学量は、配列情報がないため確立することができなかった。
【0052】
エレクトロポレーション(好ましい方法)によるカプセル化
薬物が組成物を使用して眼底へ送達され得るかどうかを決定するために、過剰のLucentis−488を、エレクトロポレーションのプロセスを使用して組成物によってカプセル化した。カプセル化の通常の方法である、凍結/融解は、これまで、タンパク質の変性を引き起こしていた。15μlのLucentisを50μlの組成物に加え、細菌細胞および哺乳類細胞の形質転換に通常使用する、0.1cmギャップのGene Pulserキュベットに移した。キュベットに、以下の条件:2.5kV、25μF、および200Ω下でBioRad Gene Pulserを使用して電気パルスをかけた。通常の使用において、電気パルスは、小分子(一般的にはプラスミドDNA)が細胞のリン脂質膜を通過するのを可能にする。リポソームは細胞膜と構造的類似性を有するので、その方法は、凍結/融解に代わる良好なカプセル化方法である可能性が高いと判断された。
【0053】
凍結融解によるカプセル化
凍結/融解によるカプセル化を、液体窒素中、輸送物の存在下で担体を凍結し、その後、迅速に、温水の定常流下で試料を融解することによって行った。そのプロセスを10回繰り返して、妥当な時間スケール内で最適なカプセル化がもたらされた。そのプロセスは、単純な分子についてはうまくいくが、タンパク質などの複雑な分子には変性をもたらし得る。
【0054】
取り込まれなかったフルオロフォアの除去
取り込まれなかったフルオロフォアを、60,000×gで45分間の超遠心によって除去した。上清を捨て、ペレットを新鮮なPBS中に再懸濁した。
【0055】
陰イオン性リン脂質結合タンパク質の添加
投与前に、負荷されたリポソームを、陰イオン性リン脂質結合タンパク質アネキシンVと、5mg/mlのリポソームおよび300μg/mlのアネキシンVの最終濃度が達成されるように混合した。リポソームおよびアネキシンの濃度のバリエーションを使用して、異なる送達レベルを達成することができる。安定性問題により、最大濃度の2mg/mlのアネキシンを使用することができるが、20mg/mlを超えるリポソームの用量は塞栓形成を増加させるであろう。
【0056】
インビボでのイメージング
麻酔された動物(ダークアグーチ系(Dark Agouti)ラット)を、共焦点レーザー走査型検眼鏡(cSLO)を使用してイメージングした。各動物の蛍光ベースライン画像をとった。簡単に述べれば、動物を、眼内がイメージングされるようにcSLOの前に位置づける。488nmのアルゴンレーザー波長を小さなスポットへと集中させ、1対のミラーによって網膜にわたってスキャンし、その波長においてフルオロフォアを励起させる。生じた蛍光を、関心対象の深さの面より上または下の面における不要な蛍光を排除する効果を生じる共焦点開口に光学的に集中させる。網膜神経線維層の面においてイメージングを行った。したがって、ベースライン画像は、95%強度に設定されたアルゴンレーザーでの固有の488自己蛍光のみを記録する。
【0057】
ベースライン画像が記録された後、10μlのカプセル化488標識Lucentisを、ラット眼上に局所的に投与した。局所処置から40分後、ベースラインと同じ設定、すなわち、アルゴンレーザー488nmの波長、95%強度で眼を再びイメージングした。その後、得られた画像は、(ベースラインとしての)固有の488自己蛍光、加えて、網膜神経線維層の面に到達した任意の488標識Lucentisを記録する。
【0058】
Cy3標識IgGのイメージング
ベースライン画像が記録された後、10μlの本発明のカプセル化Cy3標識IgGをラット眼上に局所的に投与した。Cy3は、アルゴンレーザー励起後、検出することができる、よく知られた蛍光色素である。局所処置から1時間後、ベースラインと同じ設定、すなわち、アルゴンレーザー488nmの波長、95%強度で眼を再びイメージングした。その後、得られた画像は、(ベースラインとしての)固有の488自己蛍光、加えて、網膜神経線維層の面に到達した任意のCy3標識IgGを記録する。
【0059】
この結果は、後眼部に機能性抗体を送達する系の可能性を例示し、それにより、抗体由来治療剤の送達における可能性を示している。
【0060】
A.ユニバーサルドラッグデリバリーシステム(UDDS)テクノロジーの開発
1.輸送物を送達するためのUDDSの改良
輸送物送達の成功のための成分は、ビタミンE誘導体、ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、コレステロール、およびアネキシンを含む。異なる輸送物/構成物比を可能にするためのプロセスの改良において、精製方法およびカプセル化方法を、下記のように最適化した:
【0061】
(i)取り込まれなかった材料の除去
カプセル化の成功を評価することにおける主な課題は、取り込まれなかった材料の除去のための信頼でき、かつ効率的な方法を生み出すことである。下記に概要を示したいくつかの方法が選択されている。
【0062】
a)超遠心
60,000gでのリポソームの超遠心は、リポソームをペレット化し、それらと共にいかなるカプセル化された材料も沈降するであろう。しかしながら、個々の分子は、この速度ではペレット化する能力がなく、上清中のままである。上清を除去し、ペレットを新鮮な緩衝液中に再懸濁する。試料を洗浄するこのプロセスを、上清がもはや有意な量のカプセル化されなかった材料を含有しなくなるまで、繰り返す。
【0063】
各洗浄は、45分間のステップであり、5回の洗浄後でさえも、除去されるべき著しい量のカプセル化されなかった材料がある(図3参照)。図3における∞は、蛍光測定値が飽和度に達している場合を表す。
【0064】
b)サイズ排除
カラム
試料を、分子をそれらのサイズに基づいて分離するカラムに入れる。リポソームなどの巨大分子構造は、迅速にカラムを通過するが、より小さな分子の進行は遅延する。フルオレセインについて、例えば、5,000daの分子カットオフを有する使い捨てのPd−10カラムを用いた。
【0065】
1回カラムを通すことによって、カプセル化されなかった材料の大部分が除去されるが、精度向上のためには2回目の通過が推奨されることが、これらの方法の最適化によって示されている(図4参照)。
【0066】
透析
試料を、適切な分子量に対応するポアを含む透析チューブに入れた。リポソームなどのこのカットオフより大きい粒子は、チューブ内に保持され、一方、そのポアより小さい粒子は、より大きいバルク溶液中へ自由に拡散することができる。透析を一晩行い、2回の透析ステップ後でさえも、かなりのバックグラウンド蛍光があった。
【0067】
b)カプセル化
精製のための最も適切な方法を決定したので、低分子量の化合物のカプセル化のための異なる方法も調べた。これらの方法には、以下の工程を含む:
(i)化合物の存在下でリポソームを作製する工程、
(ii)ボルテックス工程、
(iii)超音波処理、
(iv)凍結融解工程、および
(v)エレクトロポレーション。
【0068】
フルオレセインの高イオン性の性質により、それは、低塩環境に依存するエレクトロポレーションと適合しないことがわかった。
【0069】
ボルテックスされた試料はほんの少しのカプセル化しか生じなかったが、超音波処理、凍結融解、および予め形成されたリポソームはすべて、顕著なカプセル化を生じた(図5参照)。
【0070】
2.異なる輸送物のための組成物の最適化
輸送物を分子量によって類別すると、以下の3つのバンドが同定された:低分子量蛍光化合物、例えば、フルオレセインナトリウム(分子量:376.28da)、中位の分子量、例えば、aBT(8,000da)およびLucentis(48,000da)、ならびに高分子量、例えば、Avastin(149,000da)。サイズ排除カラムシステムを使用することの一つの利点は、特定の分子量のカットオフを有する異なる樹脂を使用することが可能であることである。
【0071】
カプセル化されなかったαBTの分離について、本発明者らは、3,000〜70,000daの範囲でタンパク質を分離することができるSuperdex75カラムを試しに選んだ。最初に、フルオレセインカプセル化リポソームを使用して、カラムに加え、リポソームがカラムから流出している画分を同定した。リポソームピークは、図6(上部)においてボックスで示されている。その後、カラムにFITC−aBTの試料を入れた。図6(下部)におけるボックスは、αBTがカラムから流出している画分を示している。
【0072】
図7における結果は、Superdex75カラムが、カプセル化されたαBTとカプセル化されなかったαBTの分離のための十分な分割能を与えていることを示している。
【0073】
特に関心のあるのは、抗体、特に、Lucentis(48,000da)およびAvastin(149,000da)などの治療剤に関しての抗体などの高分子量タンパク質からリポソームを分離する能力であろう。これは、10,000〜600,000daの範囲にわたって機能するSuperdex200カラムを使用して達成可能であるはずである。
【0074】
重力送りのPd10カラムからFPLC流動用Superdexカラムまで主要なサイズ排除カラムを適応させるにおいて、本発明者らは、試料損失を伴ういくつかの問題に遭遇した。これは、リポソーム破裂などの様々な理由により得る。これを調査するのを可能にするために、本発明者らは、リン脂質レベルを同定するためにリン酸レベルをモニターするアッセイを適応させた。
【0075】
リン脂質定量化
リン酸濃度に対応する吸光度値を提供するために、試料を5MのHClによって処理し、ローダミンBおよびヘプタモリブデン酸アンモニウムの混合物とインキュベートすることができる。溶液中のリン酸の量は、存在するリン脂質のレベルに直接反映する。
【0076】
本発明者らは、リン脂質アッセイを最適化した。図8は、555nmにおける吸光度および対応するリン酸濃度を示す。
【0077】
この方法は、下記に示されたリン脂質分子の「頭部」内のリン酸基を検出するのに適応している。これは、サイズ排除カラムから排出されたどの画分がカプセル化リポソームを含有するかを同定することを可能にするだろう。したがって、それは、カプセル化効率を検出するために使用することができる(図9参照)。
【0078】
FPLC Superdex−75およびSuperdex−200カラム
リポソーム試料を、FPLC Superdex75およびSuperdex200カラムに流し、溶出液を1.5mlの画分に収集した。超遠心された場合、いずれの画分も予想されたリポソームペレットを生じず、リン脂質アッセイは、図10に示されているように、緩衝液対照と比較して無視できる量のリン酸しか示さなかった。
【0079】
図10に表された吸光度値は、感度の下限より下であり、FPLCカラムがリポソーム精製と適合しないことを確認している。
【0080】
G50の粗い樹脂
重力送りPD−10カラムに関する限界は、5,000Daの分子量カットオフ(MWCO)であり、それは、5,000Daより大きい任意の化合物間の差を分割することはできないことを意味していた。したがって、30,000Daのより高いMWCOを有するG−50の粗い樹脂などの他の樹脂は、リポソーム破裂を引き起こすことなくリポソームから小タンパク質を分離することができるはずである。
【0081】
脂質濃度を決定するためのより正確かつより複雑ではない方法を、溶液の濁度に基づいて発案し、その方法により、リポソームの600nmの光を散乱する能力を使用して、それらの濃度を決定した。
【0082】
リポソーム、フルオレセイン、およびα−BTの試料を、個々にG−50の粗いカラムに通し、それらの溶出特性を、600nmにおける濁度および488nmにおける蛍光についてそれぞれ、測定した。
【0083】
図11に示されているような、フルオレセインを分離するカラムの能力は、カラムが正しくパッキングされ、漏出性ではないことを示しているが、リポソームとαBTとの間の分割は、十分な分割を与えていない。この問題は、より長いカラムを使用することによって解決される可能性があり得る。大きなクロマトグラフィーカラムおよびそれに伴う高価な樹脂の量の費用のかかる性質により、分離の方法として超遠心を再考することに決定した。
【0084】
超遠心
フルオレセインに関して超遠心を用いようと試みたときに遭遇した問題は、主に濃度依存性であった。存在する色素の莫大な量は、プロセスの効率を制限したが、α−BTおよびLucentisなどのタンパク質ははるかに低い濃度で使用されることになっているので、必要とされる洗浄の回数はより少ないはずである。
【0085】
最初のカプセル化プロトコールは、超音波処理を使用して行われ、ペレットの蛍光は、総カプセル化タンパク質の量を示すように最終容量について補正された。
【0086】
超遠心は遊離タンパク質を除去し得ること、および約10%カプセル化の値が、ペレット中に残存する最初に加えられた10μgのうちのおよそ1μgで達成されていたことが見いだされた(図12参照)。
【0087】
本発明者らのインビボのα−BT用量設定の結果に基づいて、0.25μgの添加を表す、50μg/mlの5μlが、最適な用量であった。これらのカプセル化結果から、200μl中に1μgを有し、それゆえに、50μlの点眼剤の100%透過が必要とされるであろう。
【0088】
カプセル化効率
より現実的な透過標的を作製するために、本発明者らは、カプセル化効率をさらに増加させようと試みた。これを行うための以下の3つの可能な方法がある:
→最初のα−BT濃度を増加させる
→脂質濃度を増加させる
→凍結融解およびエレクトロポレーションなどのカプセル化の代替方法を適用する
【0089】
α−BTの濃度を増加させることだけが、カプセル化においてわずかな向上を示した。
【0090】
図13において、A&BからC&Dへ、E&Fへ移動する差が、A&B、C&D、またはE&Fの2つのバー間の差より顕著であり、脂質濃度を増加させることが、カプセル化の程度の明らかな増加を生じたことを示している。
【0091】
光散乱
カプセル化の程度の正確な値は計算することが困難であるとはいえ、高脂質溶液の濁度による光散乱の増加が、蛍光測定値に干渉し、蛍光シグナルを低下させる(図14参照)。
【0092】
図14における結果から、より低い脂質値においてさえも、光散乱は蛍光の有意な効果をもたらし、カプセル化効率が、最初に示唆された10%より大きくあり得ることを示唆していることが示される。
【0093】
リポソーム破壊
カプセル化値を正確に決定するために、フルオレセインを、緩衝液およびリポソームの両方と、単独で、ならびにSDS、NP40、Tween−20、およびTriton X−100を含む様々な界面活性剤の存在下で、インキュベートした。
【0094】
図15において、界面活性剤の存在は、緩衝液およびフルオレセインを含有する試料において全蛍光シグナルを低下させることが示され、より高い蛍光強度において最も顕著であるという効果であった。界面活性剤、特にSDSの存在は、脂質光散乱による蛍光シグナルの損失を低下させた。1%SDSを用い、測定される蛍光収率を200000AU未満に制限することによって、本発明者らは、輸送物のカプセル化効率を正確に測定することができた。
【0095】
B.UDDSのインビボ試験
1.成功した網膜への送達をスクリーニングするための新規な方法
異なるUDDS組成物の効力を評価するために、本発明者らは、網膜送達を評価するための新規な標識アルファ−ブンガロトキシン(αBT)を同定した。(Sigma(T9641)から入手した)αBTは、図16に示されているように、網膜における動脈を特異的に標識し、それにより、優れたマーカーを代表している。
【0096】
2.輸送物の放出
カプセル化材料の放出を利用するために、カプセル化αBTおよびアネキシンV−776を含有するリポソームを、硝子体内注射によって投与し、3時間後、眼をイメージングした。
【0097】
図17における結果は、αBTおよびアネキシンV−776の放出の成功を示している。(A)は、リポソームの存在下でのアネキシンの放出を示し、(B)はカプセル化αBTの放出を示し、一方、(C)および(D)は、リポソームの存在なしに注射された1mg/mlのアネキシンV−776および50μg/mlのαBTの効果をそれぞれ、示す。カプセル化αBTのシグナル強度は、遊離αBTと比較して低下しているが、動脈の特異的な標識を誘発するのに十分な放出が見られる。
【0098】
3.アネキシン産生
本発明者らは、アネキシンについてのコドン最適化配列を入手した。図18が示しているように、新しい系は、高レベルのアネキシンV−GSTを発現し、静脈内送達のための十分な量のアネキシンの生成を可能にする。
【0099】
4.静脈内送達−血液脳関門(BBB)および血液網膜関門(BBB)ための意味
A.血液網膜関門(BRB)
a)フルオレセインナトリウムの網膜への静脈内送達
主要な目的は、血液脳関門および血液網膜関門を通過するカプセル化材料の送達の成功を示すことであった。UDDSのために最適化されたカプセル化および放出を確立したので、UDDSのフルオレセインナトリウムを網膜および脳へ送達する能力を評価した。
【0100】
300μlの5%フルオレセインナトリウムまたは1mlの0.2%カプセル化フルオレセインナトリウムを、ラットに尾静脈を通して投与し、網膜をモニターした。遊離フルオレセインを、前に概要を示したように、超遠心およびPD−10カラムを使用することによって除去した。
【0101】
上記および図19(D、E、およびF)に示されているように、フルオレセインは、無傷の血液網膜関門を通過することができず、血管に隔離されたままである。34分間(B)においてカプセル化処理された眼に少量の動脈壁蛍光があるものの、網膜血管は、それらがカプセル化材料を含まない場合(D〜F)は見られるけれども、カプセル化材料(A〜C)が存在する場合には見られない、ことを強調することは重要である。しかしながら、図Aにおける円によって強調表示されているように、カプセル化材料処理された眼が、7分後に、網膜において蛍光の焦点パッチまたはスポットを示した。これらの蛍光パッチの頻度は、図Cに示されているように74分後に分散し始める前に、図Bに示された30分後にピークに達するように思われた。それらは、カプセル化材料処理されていない眼には存在しなかった。これらの蛍光の焦点パッチは、フルオレセインを含有する無傷リポソームであると考えられる。これらの蛍光パッチの局在化は、無傷リポソームの網膜への送達を示唆する。それはまた、カプセル化フルオレセインのみがBRBを通過したことを確認している。蛍光パッチまたはフルオレセインナトリウムの「単焦点漏れ」の出現は、脳においてBBB破壊が生じた場合に記載されているものと同様である(Natah,S.S.ら、J Appl Physiol 107:1348〜1356 2009からの図20を参照)。
【0102】
b)治療的放出を評価するためのVEGFモデルの開発
眼におけるカプセル化リポソームからの輸送物の治療的放出を評価するために、眼あたり500ngの組換えヒトVEGF(rhVEGF165)を使用するVEGFモデルを開発した。図21は、血管蛇行の増加(A、反射画像)、VEGF注射から24時間後にとられたフルオレセイン血管造影後に見られる、血管の漏れおよび肥厚(B、蛍光画像)を有する眼を示す。これらの効果の逆転は、2.5μlの治療グレードのLucentisの硝子体内注射を使用して達成された(C〜D)。Lucentis処理された眼は、未処理のVEGFモデルに対して、血管サイズを正常に縮小し(C、反射画像)、漏れがない正常な血管組織(D、蛍光画像)を示す。
【0103】
c)Lucentisの網膜への静脈内送達
Lucentisの分子量が高いため、血液網膜関門を通過することができず、静脈内投与には適しないものとなっている。この研究は、カプセル化lucentis(lucentis UDDS)が、静脈内投与によって、BRBを通って網膜にうまく送達され得るかどうかを調べるために設計された。1つの眼をVEGF処理し、対側眼を未処理のままにしておいた動物を調製した。VEGF処理の時点で、ラットはまた、1mlのカプセル化Lucentis(A、B)か300μlの臨床グレードLucentis(C、D)のいずれかの静脈内注射を受けた。より多い容量のカプセル化材料を投与し、カプセル化効率によるLucentis濃度の低下を考慮した。
【0104】
図22は、左硝子体内VEGF処理眼から24時間(A、C)および48時間(B、D)でとられたフルオレセイン血管造影図を示す。第一に、VEGFと同時のlucentis処理は、24時間で、激しい漏れ、血管肥厚としての蛇行を含む大きな炎症性変化を誘発したことは明らかである(A、C)。しかしながら、48時間で、カプセル化lucentis処理動物(B)は、静脈注射臨床グレードlucentis動物における大量の漏れ、血管新生、および出血と比較して、血管炎(静脈炎)を示しているが、焦点漏れを示す領域はない大きな違いがある。これは、カプセル化lucentisが、48時間までには放出されており、劇的な変化を逆転するという治療効果を生じたことを強く示唆している。これは、BRBをうまく通過して、その時間にわたるlucentisの持続/遅延放出を意味するものである。
【0105】
硝子体内VEGFから24時間後にカプセル化lucentisを静脈内に与えることの効果も評価した(図23参照)。VEGF注射から28時間後にとられたフルオレセイン血管造影(B、蛍光画像)によれば、VEGF効果の逆転が達成された。カプセル化lucentis処理された眼は、蛇行の減少、血管サイズを正常に低下させ(A、反射画像)、漏れがなく、およびより正常な血管組織(B、蛍光画像)を示している。
【0106】
これはすべて、カプセル化LucentisがBRBを通過して、治療に役立っていることを示唆する。
【0107】
B.血液脳関門
フルオレセインの脳への静脈内送達
300μlの5%フルオレセインナトリウムまたは1mlの0.2%カプセル化フルオレセインナトリウムを、ラットに尾静脈を通して投与し、網膜をモニターした。遊離フルオレセインを、前に概要を示したように、超遠心およびPD−10カラムを使用することによって除去した。2時間後、一般的な麻酔下で、動物は、4%パラホルムアルデヒドでの固定灌流を受けた。脳を4%パラホルムアルデヒド中に一晩、保存し、その後、800umのスライスに切断し、共焦点蛍光顕微鏡下で調べた。
【0108】
フルオレセインナトリウムは、無傷の血液脳関門を通過することができない。これは、Natah,S.S.ら、J Appl Physiol 107:1348〜1356 2009によって以前に言及された研究を含むいくつかの実験の根拠になっている。
【0109】
図24における画像は、通常の静脈注射のフルオレセインナトリウムを用いた動物(C〜D)と比較した、カプセル化フルオレセインナトリウムの静脈注射を用いた動物(A〜B)由来の脳における同様の領域から得られた。蛍光画像(A、C)および透過画像(B、D)の両方が示されている。明らかに、カプセル化材料のみが蛍光を示し(A)、通常のフルオレセインナトリウム静脈注射を用いた脳からのシグナルは全くない(C)。これは、カプセル化が、フルオレセインナトリウムがBBBを通過するのを可能にするという事実を確認している。
【0110】
さらに、対応する透過画像(それぞれ、F、H)と共に代表的な蛍光画像(E、G)において示されているように、カプセル化材料のみが脳質において明らかな蛍光のパッチを有した。フルオレセインナトリウムの蛍光パッチまたは「単焦点漏れ」の出現は、前に論じられているように(Natah,S.S.ら、J Appl Physiol 107:1348〜1356 2009)、脳においてBBB破壊が生じた場合に記載されているものと同様である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビタミンE誘導体、陰イオン性リン脂質結合タンパク質、陰イオン性リン脂質、およびステロールを含む医薬組成物。
【請求項2】
輸送される輸送物をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記ビタミンE誘導体がトコフェロールである、請求項1または請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記陰イオン性リン脂質結合タンパク質がアネキシンである、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記陰イオン性リン脂質がホスファチジルセリンである、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記ステロールがコレステロールまたは6−ケトコレスタノールである、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記ビタミンE誘導体の量が、脂質二重層を形成することができる成分に対し0.1〜20%である、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記陰イオン性リン脂質の量が、脂質二重層を形成することができる成分に対し5〜20%である、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記ステロールの量が、脂質二重層を形成することができる成分に対し15〜30%である、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
追加のリン脂質をさらに含み、前記追加のリン脂質の量が、脂質二重層を形成することができる成分に対し30〜80%である、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
追加のリン脂質をさらに含み、各成分の相対量が、脂質二重層を形成することができる成分に対し、以下の通りである、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物:
ビタミンE誘導体:0.1〜20%
陰イオン性リン脂質:5〜20%
ステロール:15〜30%
追加のリン脂質:30〜80%。
【請求項12】
前記輸送物がアルファ−ブンガロトキシンである、請求項2に記載の組成物。
【請求項13】
対象に輸送物を送達するための組成物を調製する方法であって、
a)ビタミンE誘導体、アネキシンなどの陰イオン性リン脂質結合タンパク質、ホスファチジルセリンなどの陰イオン性リン脂質、およびステロールからリポソームを形成すること、ならびに
b)リポソーム組成物中に前記輸送物をカプセル化すること
を含む方法。
【請求項14】
前記輸送物がカプセル化される場合、リン脂質濃度が20mg/ml以上である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記輸送物が、リポソーム形成時に存在することによって、またはエレクトロポレーション、凍結融解、超音波処理、もしくはボルテックスによってカプセル化される、請求項13または請求項14に記載の方法。
【請求項16】
治療に使用するための、請求項1から12のいずれかに記載の組成物。
【請求項17】
血液脳関門を通過して、または血液網膜関門を通過して作用物質を送達するための担体としての、ビタミンE誘導体または請求項1から12のいずれかに記載の組成物の使用。
【請求項18】
請求項1から12のいずれかに記載の医薬組成物と組み合わせて作用物質を眼に投与することを含む、後眼部領域への作用物質の送達方法。
【請求項19】
中枢神経系への作用物質の送達方法であって、それを必要とする患者に作用物質を、ビタミンE誘導体または請求項1から12のいずれかに記載の医薬組成物と組み合わせて投与することを含む方法。
【請求項20】
対象の網膜血管系を標識するのに使用するためのアルファ−ブンガロトキシン(αBT)。
【請求項21】
対象の眼にαBTを投与することを含む、対象の網膜血管系を標識する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公表番号】特表2012−521977(P2012−521977A)
【公表日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−501385(P2012−501385)
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【国際出願番号】PCT/GB2010/000595
【国際公開番号】WO2010/109212
【国際公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(507153999)ユーシーエル ビジネス ピーエルシー (6)
【Fターム(参考)】