拡底バケット

【課題】杭施工用縦穴の底部に下部がテーパー形に拡大された拡底部を掘削するアースドリル用拡底バケットにおいて、比較的小さい軸径の場合にも大きな拡底率が得られるものを提供する。
【解決手段】左右の各縦軸1eを中心にそれぞれバケットの内外方向に第1のアーム6を第1の油圧シリンダ9により回動可能に取付ける。各第1のアーム6の先端にそれぞれバケットの内外方向に第2のアーム8を第2の油圧シリンダ10により回動可能に取付ける。第2のアーム8の先端にそれぞれ拡底翼2を取付ける。各第1のアーム6の下方に縦軸1eを中心としてバケットの内外方向に回動可能に第1のスクレーパ30を取付ける。各第1のスクレーパ30の先端にそれぞれバケットの内外方向に第2のスクレーパ31を回動可能に取付ける。拡底翼2にリンク36により第2のスクレーパ31を連結する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アースドリルにより掘削される縦穴の底部にテーパー形の拡底部を掘削する拡底バケットに関する。
【背景技術】
【0002】
基礎打杭施工等のための縦穴を掘削するアースドリルは、ケリーバの下端に軸掘バケットを取付けてこの軸掘バケットにより所定の深さに縦穴を掘削した後、ケリーバに取付けていた軸掘バケットを拡底バケットに換えて穴底部をテーパー形に拡大掘削する。この拡底バケットは、バケットの側面に、油圧シリンダにより開閉される掘削爪付きの拡底翼が設けられ、該油圧シリンダがベースマシンから油圧ホースを介しての圧油の供給を受けて伸縮することにより、拡底翼が開閉される。このような拡底バケットは、本出願人により、例えば特許文献1、2等で提案している。
【0003】
拡底バケットにより掘削され造成された杭の支持力は、拡底径に比例する。拡底部の拡底率(拡底径/軸径)を大きくすることは、支持力増大とコンクリート量低減が可能となる上で有利となる。そこで特許文献1の発明は、拡底バケットの拡底翼を高さ方向に複数段に分割し、分割された各拡底翼を回転軸回りにそれぞれ独立に回動可能に取付け、最上段の拡底翼の最大拡底状態からバケット内収容状態に至る回動角を、最上段の拡底翼より下の段の拡底翼の前記回動角より小さく設定したものである。このように構成すれば、バット内収容状態において、最上段の拡底翼の上端がバケットの枠に接触することを防止することができ、拡大率を大きくすることができる。
【0004】
特許文献2に記載の発明は、拡底バケットの左右の縦軸に下段拡底翼と上段拡底翼とをそれぞれ下段支持アーム、上段支持アームを介して回動可能に取付け、上段拡底翼は下段拡底翼の回動により押されて開閉されるように構成し、上段支持アームのうち、最上段の支持アームに、補助拡底翼を設け、上段拡底翼より上方の部分をこの補助拡底翼によって掘削するようにしたものである。これにより、軸径が130cm以上のものでは、2倍の拡底率を得ることが可能となった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−213270号公報
【特許文献2】特開2009−114624号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述した従来の拡底バケットは、軸径が130cm以上のものでは構造的に余裕があるため、拡底率が2倍のものを得ることが可能であった。しかしながら軸径の小さい形式のもの、例えば120cm以下の拡底バケットでは拡底率が2倍のものを得ることができなかった。
【0007】
本発明は、上記の問題点に鑑み、軸径が比較的大きい場合のみならず、比較的小さい軸径の場合にも大きな拡底率が得られる拡底バケットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の拡底バケットは、杭施工用縦穴の底部に下部がテーパー形に拡大された拡底部を掘削するアースドリル用拡底バケットにおいて、
前記拡底バケットの枠に互いにバケット中心を挟んで対向するように設けられた2本の縦軸と、
前記各縦軸を中心にそれぞれバケットの内外方向に回動可能に取付けられた第1のアームと、
前記各縦軸を中心に前記各第1のアームをそれぞれ回動させる第1の油圧シリンダと、
前記各第1のアームの先端にそれぞれバケットの内外方向に回動可能に取付けられた第2のアームと、
前記各第2のアームを前記各第1のアームに対して回動させる第2の油圧シリンダと、
前記各第2のアームの先端にそれぞれ取付けられた拡底翼と、
前記各第1のアームの下方に縦軸を中心としてバケットの内外方向に回動可能に取付けられた第1のスクレーパと、
前記各第1のスクレーパの先端にそれぞれバケットの内外方向に回動可能に取付けられ、かつ対応する前記拡底翼にリンクにより連結された第2のスクレーパとを備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項2の拡底バケットは、請求項1に記載の拡底バケットにおいて、
前記各縦軸の下部における前記スクレーパ取付け側の周方向反対側に設けられた弧状の胴部と、
前記各第1のスクレーパの内側に固定して取付けられた弧状の固定ガイドプレートと、
前記各拡底翼に前端が固定されると共に、拡底翼の開閉に伴って前記胴部の内壁に沿って摺動可能に引き出し押し込みされる1枚または複数枚の弧状をなす可動ガイドプレートとを備え、
前記拡底翼の開閉に伴って前記可動ガイドプレートの後端が前記固定ガイドプレートの内面に摺動しながら押し込まれる構成を有することを特徴とする。
【0010】
請求項3の拡底バケットは、請求項1または2に記載の拡底バケットにおいて、
前記枠のバケット中心に設けられた軸に中心部が枢着されたセンターリンクと、
一端を前記各第1のアームにピンにより連結し、他端を前記各第2のアームの長孔に摺動可能に挿着したピンにより前記各第2のアームに連結したアーム連動用第1のリンクと、
前記各第1のリンクに一端をピンにより連結し、他端を前記センターリンクの対応する端部にピンにより連結したアーム連動用第2のリンクとからなるイコライザリンクを備えたことを特徴とする。
【0011】
請求項4の拡底バケットは、請求項1から3までのいずれかに記載の拡底バケットにおいて、前記各縦軸の下部に、前記各第1のアームと前記各第2のアームとかなる複数組の中折れ式支持アームにより支持して回動可能に取付けられた下段拡底翼と、
前記各縦軸の上部に、前記下段拡底翼に隣接し、かつ複数本の非中折れ式支持アームにより支持して回動可能に取付けられた上段拡底翼と、
拡底翼を開く際に、前記第2の油圧シリンダの伸長により前記第2のアームを所定の回動角にわたって拡底翼開き側に回動させた後に、前記第1の油圧シリンダの伸長により前記第1のアームを拡底翼開き側に回動させ、一方、拡底翼を閉じる際には、前記第1の油圧シリンダの収縮により前記第1のアームを拡底翼閉じ側に回動させた後、前記第2の油圧シリンダの収縮により前記第2のアームを内側に回動させる油圧シリンダの作動順序設定手段と、
前記第2のアームの拡底翼開き側回動終了後、前記第1の油圧シリンダの伸長開始により、前記下段拡底翼側当接部材を上段拡底翼側当接部材に当接させて、上段拡底翼を下段拡底翼と共に開く動作連動用動力伝達手段と、
下段拡底翼を閉じる際に下段拡底翼側の前記と異なる当接部材を上段拡底翼側の前記と異なる当接部材に当接させて上段拡底翼を下段拡底翼と共に閉じる閉じ動作連動用動力伝達手段とを備えたことを特徴とする。
【0012】
請求項5の拡底バケットは、請求項4に記載の拡底バケットにおいて、
前記油圧シリンダの作動順序設定手段として、前記第1、第2の油圧シリンダの油圧回路にシーケンス弁を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明においては、拡底翼を支持するアームを、縦軸に回動可能に取付けた第1のアームと、この第1のアームの先端に回動可能に取付けた第2のアームとからなる中折れ式の2段構成にすると共に、スクレーパも、縦軸に回動可能に取付けた第1のスクレーパと、この第1のスクレーパに回動可能に取付けた第2のスクレーパとからなる中折れ式の2段構成としたので、拡底翼のバケット外側への到達範囲が拡大され、拡底率の大きな拡底バケットを得ることができる。
【0014】
請求項2の発明によれば、第1のアームの内側に弧状の固定ガイドプレートを取付けたので、拡底翼を閉じる際に、固定ガイドプレートの作用により土砂を確実にバケット内に収容することができる。また、拡底翼に結合した可動ガイドプレートの内端を固定ガイドプレートの内面に摺動させながら可動ガイドプレートを引き込む構成としたので、可動ガイドプレートの引き込みを円滑に行なうことができ、可動ガイドプレートが収容土砂により無理な力を受けて変形する等の事故を防止することができる。
【0015】
請求項3の発明によれば、アームを同調して連動させるイコライザリンクを設けたので、各縦軸に第1のアーム、第2のアームを介して回動可能に取付けた左右の拡底翼がガタつくことなく常に同じ回転半径で開閉され、品質の良い拡底部を施工することが可能となる。
【0016】
請求項4の発明によれば、下段拡底翼を閉じた状態から開く時、この下段拡底翼が所定角度回動してから上段拡底翼が開き始める構成であるため、上段拡底翼全体をバケット中心から離した閉じ構造が実現でき、上段拡底翼の上端がバケットの枠に接触することが防止され、拡底率が増大した拡底バケットの実現が容易となる。また、縦軸に回動可能に取付けた第1のアームと、同じく縦軸に回動可能に取付けた上段拡底翼とを連動させる構成としたので、同じ縦軸を中心とした連動動作となり、下段拡底翼と上段拡底翼との連動が円滑に行なえる。
【0017】
請求項5の発明によれば、シーケンス弁により、第2の油圧シリンダが第1の油圧シリンダに先行して伸縮するため、ケリーバに添設する油圧ホースを2本とすることができ、油圧回路が簡素化でき、油圧ホースの取付けが容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明による拡底バケットの一実施の形態を拡底翼が閉じた状態で示す正面図である。
【図2】図1の部分拡大図である。
【図3】この実施の形態の拡底バケットを開いた状態で示す正面図である。
【図4】図3の部分拡大図である。
【図5】図1のA−A断面図である。
【図6】図1のB−B断面図である。
【図7】この実施の形態の形態にガイドプレートおよびスクレーパと下段拡底翼の支持アームとの位置関係を示す平面図である。
【図8】図1のC−C断面図である。
【図9】図8に示すイコライザリンクの側面図である。
【図10】この本実施の形態における下段拡底翼開閉用油圧シリンダの油圧回路図である。
【図11】この本実施の形態の下段拡底翼の開き工程の途中段階における油圧シリンダおよび支持アームを示す平面図である。
【図12】この本実施の形態の下段拡底翼の開き工程の途中段階におけるガイドプレートおよびスクレーパを示す平面図である。
【図13】この本実施の形態の下段拡底翼の開き工程の最終段階におけるガイドプレートおよびスクレーパを示す平面図である。
【図14】この本実施の形態の下段拡底翼の開き工程の最終段階における油圧シリンダおよび支持アームを示す平面図である。
【図15】この本実施の形態の下段拡底翼の開き工程の途中段階におけるイコライザリンクを示す平面図である。
【図16】この本実施の形態の下段拡底翼の開き工程の最終段階におけるイコライザリンクを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は本発明による拡底バケットの一実施の形態を示す正面図、図2はその要部拡大図、図3は拡底バケットの拡底翼を開いた状態を示す正面図、図4はその要部拡大図、図5は図1のA−A断面図である。
【0020】
図1ないし図5において、1は拡底バケットの枠、1bはその中心軸であり、この中心軸は、上端に設けたフランジ1aを介してスタビライザ中心の回転軸が接続され、その回転軸に駆動軸であるケリーバ(図示せず)が接続される。この中心軸1bと、中心軸1bから側方に突出して多段に設けられる横枠1cと、横枠1c間に固定される縦枠1dと、各横枠1dの両端部にそれぞれ拡底バケットの全長にわたって設けられた縦軸1eとにより枠1が構成される。拡底翼は、枠1の下部に取付けられる下段拡底翼2と、その上側に設けられる上段拡底翼3とからなる。
【0021】
下段拡底翼2は、左右の縦軸1e,1eにそれぞれ回動可能に取付けられた複数組の中折れ式支持アーム4の先端に傾斜して取付けられる。上段拡底翼3は、左右の縦軸1e,1eにそれぞれ複数本ずつ回動可能に取付けられた支持アーム5の先端に傾斜して取付けられる。これらの拡底翼2,3の開閉方向の先端縁にはそれぞれカッタ2a,3a(図5参照)を有する。
【0022】
図5に示すように、下段拡底翼2を支持する支持アーム4は、各縦軸1eを中心にそれぞれバケットの内外方向に回動可能に取付けられた第1のアーム6と、各第1のアーム6の先端にピン7を中心にバケットの内外方向に回動可能にそれぞれ取付けられた第2のアーム8とからなり、第2のアーム8の先端に溶接等により下段拡底翼2が取付けられる。そして最下段の支持アーム4に、縦軸1eを中心に第1のアーム6をそれぞれ回動させる第1の油圧シリンダ9と、第2のアーム8を第1のアーム6に対して回動させる第2の油圧シリンダ10とを設ける。第1の油圧シリンダ9は、枠1に溶接等により固定したブラケット11に一端をピン12により連結し、他端をピン13により第1のアーム6に連結して取付けられる。第2の油圧シリンダ10は、一端を第2のアーム8に設けたブラケット14にピン15により連結し、他端を第1のアーム6に設けたブラケット16にピン17により連結して取付けられる。
【0023】
図1〜図4に示すように、縦軸1eの下端部における周方向の片側には、土砂を収容する胴部20が固定されている。前記枠1および胴部20によりバケット本体が構成される。図6(図1のB−B断面図)に示すように、胴部20の外径φ1は、軸掘削径(縦穴の径)φ2(例えば120cm)より例えば12cm小さくし(φ1=108cm)、これにより拡底バケット引き上げ時の泥水流れによる穴内壁の崩壊を防止する。21は胴部20の下部に開閉可能に取付けられた底蓋である。この底蓋21は、不図示の油圧シリンダまたは人力によりバーを介して開閉されるものである。
【0024】
図1、図3に示すように、下段拡底翼2と上段拡底翼3との間には、下段拡底翼2の上端に設けた突起状の当接部材23と、上段拡底翼3の下端に設けた突起状の当接部材24とにより、拡底翼2が図1の矢印X方向に開く時の開き方向の連動用動力伝達手段が構成される。拡底翼の全閉時において、これらの当接部材23,24間には開閉方向に間隔G(図1参照)が設定される。
【0025】
図1に示すように、下段拡底翼2の上端の第1のアーム6と、上段拡底翼3の下端の支持アーム5には、下段拡底翼2を閉じる時に互いに接触する当接部材25,26が固定され、これらの当接部材25,26により、拡底翼が閉じる時の閉じ方向の連動用動力伝達手段が構成される。
【0026】
図1〜図4および図6において、30は縦軸1eを中心として周方向に見て胴部20の反対側に回動可能に取付けられた第1のスクレーパ、31はこの第1のスクレーパ30の先端にピン32により外側に回動可能に連結された第2のスクレーパ、33はこの第2のスクレーパ31の先端にピン34により矢印Sで示すように内側にのみ回動可能に取付けられた補助スクレーパである。
【0027】
36は下段拡底翼2と第2のスクレーパ31とを連結するリンクである。このリンク36は、その一端を下段拡底翼2にピン37により連結し、他端を、第2のスクレーパ31に設けた長孔38にピン39により連結している。40は第1のスクレーパ30の内側に取付けられた弧状をなす固定ガイドプレートであり、掘削時やバケットを閉じる際に、第1のスクレーパ30や第2のスクレーパ31の内側への土砂の集積を防止すると共に、後述のガイドプレート43の後端をガイドするものである。
【0028】
図7は前記第1、第2のアーム6,8と第1、第2のスクレーパ30,31との位置関係を示す図である。図7に示すように、縦軸1eとピン32の各軸心間の距離は縦軸1eとピン7との軸心間の距離に等しく設定され、第1、第2のアーム6,8を連結するピン7の真下に第1、第2のスクレーパ30,31を連結するピン32が位置する。
【0029】
図3、図6および図7において、42は下段拡底翼2に固定して設けられた平面視が弧状をなす第1のガイドプレートである。43はこの第1のガイドプレート42と胴部20との間に設けた第2のガイドプレートである。この第2のガイドプレート43も平面視が弧状をなす。図3に略示するように、第1のガイドプレート42の上下にガイド溝42a,42aを互いに上下に対向させて設け、これらのガイド溝42a,42aに、第2のガイドプレート43に設けた摺動片43a,43aを摺動可能に嵌合させることにより、第1のガイドプレート42と第2のガイドプレート43とが相対的に移動可能に組み合わせる。
【0030】
第1のガイドプレート42には、下段拡底翼2が閉じる際に第2のガイドプレート43の前端を当接させるストッパ44を設ける。また、下段拡底翼2が開く際に互いに当接するストッパ45,46が、それぞれ第1のガイドプレート42、第2のガイドプレート43に固定して設けられる。前記固定ガイドプレート40は、第2のガイドプレート43をバケット内に押し込む際に、第2のガイドプレート43の後端をガイドする役目を果たす。
【0031】
次に対をなす拡底翼2,3を等しい作業半径で開閉するためのイコライザリンクについて説明する。図8は図1のC−C断面図であり、イコライザリンクの構成を示す。図9はこのイコライザリンクの側面図である。図1〜図4および図8、図9において、50は枠1のバケット中心に設けられた中心軸1bに中心部が枢着されたセンターリンクである。51はアーム6,8間を連結する第1のリンクであり、この第1のリンク51は、一端を第1のアーム6の中間部にピン52により連結し、他端をピン53により第2のアーム8に連結する。第2のアーム8側に第1のリンク51を連結するピン53は、第2のアーム8の長手方向に設けた長孔54に摺動可能に挿着する。55は第2のリンクであり、この第2のリンク55は一端をセンターリンク50の一端に連結し、他端を第1のリンク51の中間部にピン57により連結する。
【0032】
図10は第1のアーム6、第2のアーム8をそれぞれ回動させる第1、第2の油圧シリンダ9,10の伸縮動作を行なわせるための油圧回路図である。60はアースドリル本体(図示せず)に搭載した油圧ポンプ、61,62は同じくアースドリル本体に設置したコントロール弁および油タンクである。
【0033】
63は拡底バケット、64,65はこの拡底バケット63とコントロール弁61との間を接続する油圧管路であり、第1の油圧シリンダ9および第2の油圧シリンダ10に共通に設けられる。66,67は拡底バケット63内に油圧管路64,65にそれぞれ接続して設けられた油圧管路である。68は下段拡底翼2を開く際に、第2の油圧シリンダ10を第1の油圧シリンダ9に先行して伸長させるためのシーケンス弁である。69は拡底翼2,3を閉じる際に、第1の油圧シリンダ9を第2の油圧シリンダ10に先行して収縮させるためのシーケンス弁である。
【0034】
油圧管路66は第2の油圧シリンダ10,10のボトム室10a,10aに共通に接続される。また、この油圧管路66は、シーケンス弁68、油圧管路70を介して第1の油圧シリンダ9,9のボトム室9a,9aに共通に接続される。油圧管路67は、第1の油圧シリンダ9,9のロッド室9b,9bに共通に接続される。また、この油圧管路67は、シーケンス弁69、油圧管路71を介して第2の油圧シリンダ10,10のロッド室10b,10bに共通に接続される。72,73はそれぞれシーケンス弁68,69に並列接続された逆止弁である。
【0035】
次にこの拡底バケットの開閉に伴う掘削および土砂収容動作について説明する。拡底バケットによる拡底部の掘削は、バケットが地底部に着地した状態において、ケリーバを介して拡底バケットを回転させながら下段拡底翼2を徐々に開く。この下段拡底翼2を開く作業は、図10に示したコントロール弁61を図示の左位置にした状態として行ない、油圧ポンプ60からの作動油は、油圧管路64,66を通して第2の油圧シリンダ10,10のボトム室10a,10aに供給され、油圧シリンダ10,10が伸長し、第2のアーム8,8が外側に開く。一方、第2の油圧シリンダ10,10が開き方向に動作している間は、第1の油圧シリンダ9,9に対する作動油の供給は、シーケンス弁68により阻止され、第1の油圧シリンダ9,9は不動作のままであり、第1のアーム6は外側に開くことない。図11はこのように第2の油圧シリンダ10のみが伸長して下段拡底翼2がその分だけ開いた状態を示す。
【0036】
このように下段拡底翼2を開く動作において、図12に示すように、下段拡底翼2が矢印Rに示すように徐々に開きながらバケットを矢印Xで示すように回転させて掘削を行なうとき、リンク36により、第2のスクレーパ31も矢印r方向に開く。一方、補助スクレーパ33は土砂の圧力や地面の抵抗により矢印s方向に回動して土砂をバケット内に導入する。
【0037】
第2の油圧シリンダ10,10がストロークエンドまたは機械的な停止位置(第1のアーム6に対して第2のアーム8の回動範囲を規制した場合の停止位置)に達すると、第2の油圧シリンダ10,10の伸長が停止する。この第2の油圧シリンダ10,10の停止と同時に、油圧管路66の油圧の上昇によりシーケンス弁68が開き、油圧管路70を通して第1の油圧シリンダ9,9のボトム室9a,9aに作動油が供給され、第1の油圧シリンダ9,9の伸長が開始され、第1のアーム6が外側に開く。
【0038】
一方、スクレーパ30,31は、その連結ピン32が、アーム6,8を連結するピン7の真下に位置し、第2のアーム8の外側への開き動作から第1のアーム6の開き動作に移行すると同時に、第2のスクレーパ31の開き動作から第1のスクレーパ30の開き動作に移行する。
【0039】
ここで、図1に示した当接部材23,24の当接は、第2のアーム8の第1のアーム6に対する開き動作が終了した状態における下段拡底翼2の開き度合となった時点で行なわれるように、バケット全閉時の当接部材23,24の間隔Gが構成されている。このため、第2のアーム8の開き動作が開始されると同時あるいは後に、下段拡底翼2のみならず、上段拡底翼3も下段拡底翼2に連動して開く。このように拡底翼2,3が開く際に、第1、第2のガイドプレート42,43にそれぞれ設けたストッパ45,46どうしが当接し、第2のガイドプレート43は第1のガイドプレート42に引かれて引き出される。そしてバケットの回転に伴ない、第1、第2のガイドプレート42,43の内壁に沿って掘削土砂がバケット内に導入される。図13、図14は下段拡底翼2が最も開いた状態を示す。具体例について述べると、図6に示す胴部20の例えば直径φ1が108cm、縦穴の軸径φ2が120cmである場合に、図14に示す拡底径φ3として240cmの拡底部を形成することができる。
【0040】
このような拡底翼2,3の開き動作中、図8に示したイコライザリンクは、2枚の下段拡底翼2,2のバケット中心からの半径が常時同じになる役目を果たす。すなわち、まず第2のアーム8が矢印aに示すように回動すると、第1のリンク51を第2のアーム8に連結するピン53が長孔54に沿って矢印bで示すように移動する。これにより、第1のリンク51がピン52を中心として矢印cで示すように回動するので、第2のリンク55は矢印dで示すように移動し、この第2のリンク55を移動と同時にセンターリンク50は矢印eで示すように回動するため、2枚の下段拡底翼2,2は常にバケット中心から同じ半径を保ったまま移動する。
【0041】
図15に示すように、第2のアーム8の回動の終点において、第1のリンク51を第2のアーム8に連結しているピン53は長孔54の端部に達する。その後、第1のアーム6が矢印fで示すように回動すると、第1のアーム6と第2のアーム8と第1のリンク51は一体になった状態で回動し、これにより前述と同様に、第2のリンク55が矢印dで示すように移動し、センターリンク50が矢印eで示すように回動して下段拡底翼2,2がバケット中心からの半径を同じにした状態で開く。図16は拡底翼2,3が最も開いた状態でのイコライザリンクの状態を示す。
【0042】
図13、図14で示すように最大拡底径φ3まで掘削した後の閉じ動作は次のようにして行なわれる。拡底翼2,3の閉じ動作を行なう際には、図10に示したコントロール弁61を右位置に切換える。これによりバケット63内の油圧管路67に作動油が供給されるが、拡底翼2,3の最初の閉じ動作中は、シーケンス弁69の作用により、第2の油圧シリンダ10により作動油の供給が阻止され、第1の油圧シリンダ9,9のロッド室9b,9bに作動油が供給され、第1のアーム10,10が収縮するので、第1のアーム6が閉じ方向に回動する。ここで、図1に示したように、閉じ動作においては、下段拡底翼2の最上部の第1のアーム6に設けた当接部材25が上段拡底翼3の支持アーム5に設けた当接部材26に当接し、下段拡底翼2が上段拡底翼3を閉じ方向に押すため、上段拡底翼3は下段拡底翼2と連動して閉じ方向に回動する。
【0043】
図13に示すように、下段拡底翼2が反R方向に閉じながらバケットを矢印Xで示す方向に回転させると、第1のスクレーパ30、第2のスクレーパ31は反r方向に回動し、補助スクレーパ33は土砂の抵抗により反s方向に回動して土砂がバケット内に導入される。このとき、固定ガイドプレート40は、第1のスクレーパ30および第2のスクレーパ31の内側への土砂の集積を防止する。
【0044】
拡底翼2,3の閉じ動作が進行して第1の油圧シリンダ9の収縮がストロークエンドに達するか、または機械的な停止位置(枠1に対して第1のアーム6の回動範囲を規制した場合の停止位置)に達すると、図10に示す油圧管路67の油圧が上昇し、シーケンス弁69を通して第2の油圧シリンダ10,10のロッド室10b,10bに作動油が供給され、第2の油圧シリンダ10,10が収縮し、第2のアーム8が第1のアーム6に対して閉じ方向に回動する。
【0045】
このような閉じ動作の後期において、図12の反R方向に下段拡底翼2を閉じると、第1のガイドプレート42のストッパ44が第2のガイドプレート43の前端に当接して第2のガイドプレート43を押し込む。このように第2のガイドプレート43を押し込むと、第2のガイドプレート43の後端は固定ガイドプレート40の内面にガイドされて移動する。
【0046】
上述のように、この実施の形態においては、拡底翼を支持するアームを、縦軸に回動可能に取付けた第1のアーム6と、この第1のアーム6の先端に回動可能に取付けた第2のアーム8とからなる中折れ式の2段構成にすると共に、スクレーパも、縦軸に回動可能に取付けた第1のスクレーパ30と、この第1のスクレーパ30に回動可能に取付けた第2のスクレーパ31とからなる中折れ式の2段構成としたので、拡底翼のバケット外側への到達範囲が拡大され、拡底率の大きな拡底バケットを得ることができる。特に本発明は、軸径の比較的小さな拡底バケットにおいて、小形でありながら大きな拡底部を形成することが可能なものを提供することが可能となる。
【0047】
また、第1のスクレーパ6の内側に弧状の固定ガイドプレート40を取付けたので、拡底翼2を閉じる際に、固定ガイドプレート40の作用により土砂を確実にバケット内に収容することができる。また、拡底翼2に結合した可動ガイドプレート43の後端を固定ガイドプレート40の内面に摺動させながら可動ガイドプレート43を押し込む構成としたので、可動ガイドプレート43の押し込みを円滑に行なうことができ、可動ガイドプレート43が収容土砂により無理な力を受けて変形する等の事故を防止することができる。
【0048】
また、この実施の形態においては、アーム6,8を同調して連動させるイコライザリンクを設けたので、各縦軸1eに第1のアーム6と、第2のアーム8を介して回動可能に取付けた左右の拡底翼2,2がガタつくことなく常に同じ回転半径で開閉され、品質の良い拡底部を施工することが可能となる。
【0049】
また、本発明は、拡底翼が1段構成のものにも適用可能であるが、この実施の形態においては、下段拡底翼2を閉じた状態から開く時、この下段拡底翼が所定角度回動してから上段拡底翼3が開き始める構成としたので、上段拡底翼3全体をバケット中心から離した閉じ構造を実現することができ、上段拡底翼3の上端がバケットの枠1に接触することが防止され、拡底率が増大した拡底バケットの実現が容易となる。また、縦軸1eに回動可能に取付けた第1のアーム6と、同じく縦軸1eに非中折れ式支持アーム5により回動可能に取付けた上段拡底翼3とを連動させる構成としたので、これらが同じ縦軸1eを中心とした連動動作となり、下段拡底翼2と上段拡底翼3との連動が無理なく円滑に行なえる。
【0050】
また、シーケンス弁68,69により、第1、第2の油圧シリンダ9,10の作動順序を設定したので、ケリーバに添設する油圧ホースを2本とすることができ、油圧回路が簡素化でき、油圧ホースの取付けが容易になる。
【0051】
本発明を実施する場合、上記実施の形態に示したもの以外に、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の変更、付加が可能である。
【符号の説明】
【0052】
1:枠、1b:中心軸、1c:横枠、1d:縦枠、1e:縦軸、2:下段拡底翼、2a:カッタ、3:上段拡底翼、3a:カッタ、4:支持アーム装置、5:支持アーム、6:第1のアーム、7:ピン、8:第2のアーム、9:第1の油圧シリンダ、10:第2の油圧シリンダ、20:胴部、21:底蓋、23,24:突起、25,26:ブラケット、30:第1のスクレーパ、31:第2のスクレーパ、33:補助スクレーパ、36:リンク、40:固定ガイドプレート、42:第1のガイドプレート(可動ガイドプレート)、43:第2のガイドプレート(可動ガイドプレート)、44〜46:ストッパ、50:センターリンク、51:第1のリンク、52,53,56,57:ピン、55:第2のリンク、54:長孔、60:油圧ポンプ、61:コントロール弁、68,69:シーケンス弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
杭施工用縦穴の底部に下部がテーパー形に拡大された拡底部を掘削するアースドリル用拡底バケットにおいて、
前記拡底バケットの枠に互いにバケット中心を挟んで対向するように設けられた2本の縦軸と、
前記各縦軸を中心にそれぞれバケットの内外方向に回動可能に取付けられた第1のアームと、
前記各縦軸を中心に前記各第1のアームをそれぞれ回動させる第1の油圧シリンダと、
前記各第1のアームの先端にそれぞれバケットの内外方向に回動可能に取付けられた第2のアームと、
前記各第2のアームを前記各第1のアームに対して回動させる第2の油圧シリンダと、
前記各第2のアームの先端にそれぞれ取付けられた拡底翼と、
前記各第1のアームの下方に縦軸を中心としてバケットの内外方向に回動可能に取付けられた第1のスクレーパと、
前記各第1のスクレーパの先端にそれぞれバケットの内外方向に回動可能に取付けられ、かつ対応する前記拡底翼にリンクにより連結された第2のスクレーパとを備えたことを特徴とする拡底バケット。
【請求項2】
請求項1に記載の拡底バケットにおいて、
前記各縦軸の下部における前記スクレーパ取付け側の周方向反対側に設けられた弧状の胴部と、
前記各第1のスクレーパの内側に固定して取付けられた弧状の固定ガイドプレートと、
前記各拡底翼に前端が固定されると共に、拡底翼の開閉に伴って前記胴部の内壁に沿って摺動可能に引き出し押し込みされる1枚または複数枚の弧状をなす可動ガイドプレートとを備え、
前記拡底翼の開閉に伴って前記可動ガイドプレートの後端が前記固定ガイドプレートの内面に摺動しながら押し込まれる構成を有することを特徴とする拡底バケット。
【請求項3】
請求項1または2に記載の拡底バケットにおいて、
前記枠のバケット中心に設けられた軸に中心部が枢着されたセンターリンクと、
一端を前記各第1のアームにピンにより連結し、他端を前記各第2のアームの長孔に摺動可能に挿着したピンにより前記各第2のアームに連結したアーム連動用第1のリンクと、
前記各第1のリンクに一端をピンにより連結し、他端を前記センターリンクの対応する端部にピンにより連結したアーム連動用第2のリンクとからなるイコライザリンクを備えたことを特徴とする拡底バケット。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれかに記載の拡底バケットにおいて、
前記各縦軸の下部に、前記各第1のアームと前記各第2のアームとかなる複数組の中折れ式支持アームにより支持して回動可能に取付けられた下段拡底翼と、
前記各縦軸の上部に、前記下段拡底翼に隣接し、かつ複数本の非中折れ式支持アームにより支持して回動可能に取付けられた上段拡底翼と、
拡底翼を開く際に、前記第2の油圧シリンダの伸長により前記第2のアームを所定の回動角にわたって拡底翼開き側に回動させた後に、前記第1の油圧シリンダの伸長により前記第1のアームを拡底翼開き側に回動させ、一方、拡底翼を閉じる際には、前記第1の油圧シリンダの収縮により前記第1のアームを拡底翼閉じ側に回動させた後、前記第2の油圧シリンダの収縮により前記第2のアームを内側に回動させる油圧シリンダの作動順序設定手段と、
前記第2のアームの拡底翼開き側回動終了後、前記第1の油圧シリンダの伸長開始により、前記下段拡底翼側当接部材を上段拡底翼側当接部材に当接させて、上段拡底翼を下段拡底翼と共に開く動作連動用動力伝達手段と、
下段拡底翼を閉じる際に下段拡底翼側の前記と異なる当接部材を上段拡底翼側の前記と異なる当接部材に当接させて上段拡底翼を下段拡底翼と共に閉じる閉じ動作連動用動力伝達手段とを備えたことを特徴とする拡底バケット。
【請求項5】
請求項4に記載の拡底バケットにおいて、
前記油圧シリンダの作動順序設定手段として、前記第1、第2の油圧シリンダの油圧回路にシーケンス弁を設けたことを特徴とする拡底バケット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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