拡張可能なデバイス用の展開システム
【課題】自己拡張性腔内デバイス用展開システムを提供する。
【解決手段】展開システムは、展開時にカテーテル(19)内部に収容された内部展開ラインへとシースが移行するように、圧縮された腔内デバイス(14)の周りに配置された拘束シース(12)を含む。展開システムは、展開ラインの作動中に、展開ラインに対するカテーテルの回転を防止するように構成されている。
【解決手段】展開システムは、展開時にカテーテル(19)内部に収容された内部展開ラインへとシースが移行するように、圧縮された腔内デバイス(14)の周りに配置された拘束シース(12)を含む。展開システムは、展開ラインの作動中に、展開ラインに対するカテーテルの回転を防止するように構成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して移植可能な医療デバイスアセンブリに関する。特に、本発明は、移植レシピエントの脈管構造、心臓構造又は他の生物学的構造の内部に拡張可能な医療デバイスを展開するための手段に関する。
【背景技術】
【0002】
心臓構造、脈管構造又は他の生物学的構造(例えば胆道系構造)を修復又は強化するための、様々な移植可能な医療デバイスが近年開発されている。これらのデバイスのいくつかは、いわゆる介入性技術、又は血管内技術によって、特定の脈管構造又は心臓構造の内側に移植可能である。介入性技術は、便利な位置にある動脈又は静脈を介して脈管系に外科的に接近すること、及びその動脈又は静脈の接近点を介して医療デバイスアセンブリの遠位部分を脈管系に導入することを伴う。医療デバイスアセンブリを脈管系に導入したら、手動操作の制御手段を有するアセンブリの近位部分を、移植レシピエントの体外に残したまま、脈管構造を通して移植部位へとそのアセンブリを通す。次に、アセンブリの医療デバイス部品を移植部位に置き、接近点を介して医療デバイスアセンブリの遠位部分の残りを脈管系から取り除く。
【0003】
典型的な介入性医療デバイスアセンブリとしてカテーテルが挙げられる。カテーテルは、医療デバイスを移植部位に正確に配置することに加えて、移植部位における医療デバイスの展開に関与するように使用できる。あるカテーテルは、医療デバイスの配置及び展開を補助するために、カテーテルの長さにわたって走るガイドワイヤを有する。ガイドワイヤの代替として、カテーテルが、カテーテルの長さ方向で内側を走るインナースリーブを備えた同軸構造であってもよい。インナースリーブは、アウターカテーテルを引き戻してデバイスを展開させつつ、移植可能な医療デバイスを所定位置に保持するために使用される。ハンドル、ノブ又は他の手動操作の制御手段が、この種類のアセンブリにおいてカテーテルの反対端に取り付けられる。
【0004】
ある移植可能な医療デバイス、例えばステント、ステントグラフト又は他の腔内デバイスは、デバイスを移植部位で展開する際に、初期の圧縮形状から拡張した円筒形状へと、再び形状変化させる必要があることが多い。これらのデバイスは、その構造要素の設計及び構成によってそれ自体で拡張可能であるか、あるいはデバイスの内側に配置された膨張性バルーンを使用することによって拡張可能である。
【0005】
自己拡張性腔内医療デバイスは、様々な方法で圧縮形状に維持される。あるデバイスは、カテーテル又は同様の道具の内側に、圧縮したデバイスを単に拘束することにより、その圧縮形状に維持される。他のデバイスは、圧縮後にシース内側に配置される。これらのアセンブリにおいては、シースからの腔内デバイスの解放を補助するために、制御ラインを使用することが多い。
【0006】
Leopoldらの米国特許第6352561号では、シースが拡張可能な腔内デバイスの周りに形成され、制御ラインがシースを腔内デバイスの周りに維持するために使用される。シースは、ある長さのポリマー材料を半分に折り畳み、制御ラインと一緒に両端を縫い合わせることによって形成される。縫い合わせパターンにより、制御ラインの近位端を引くことによりシースから制御ラインを除去することが可能になる。制御ラインがシースから解かれるにつれ、腔内デバイスはシース内部の拘束から次第に解放される。制御ラインはアセンブリから別個の物として取り除かれ、同時にシースは移植部位に残る。
【0007】
Andersonらの米国特許第5647857号では、腔内デバイスが、シースによってカテーテル上でつぶれた形状で保持される。アセンブリには、自由な端部及びカテーテルのカラー(襟)部品に取り付けられた端部を有する制御ラインが備わっている。シースは、制御ラインを引くことによって腔内デバイスから除去される。制御ラインを引くと、制御ラインはシース材料を遠位端から近位端へと切り開いて分裂させる。シースが分裂して開くと、腔内デバイスは自由になって半径方向に拡張する。Leopoldらとは異なり、制御ラインは、腔内デバイスの展開後も、シース及びカテーテルアセンブリに機械的に取り付けられたままでいる。
【0008】
Fontaineらの米国特許第6447540号では、Andersonらと非常に類似して、医療従事者によって引かれたときにシース材料を切り開いて分裂させる制御ラインを用いて、拘束シースが腔内デバイスの周りから除去される。Leopoldらと同様に、制御ラインはアセンブリから別個の物として完全に除去可能である。
【0009】
St. Germainらの米国特許第5534007号では、つぶして長さ方向に沿って短くできる単壁シースがステントの周りに配置される。シースの遠位部分が引き込まれるとステントがむき出しになる。むき出しのステントは自由になって拡張する。取り付けられた制御ラインは、シースをステントから除去する手段として、つぶすことが可能なシースに引く力を及ぼすために使用可能である。制御ラインは、ステントの展開中及び展開後も、シースに取り付けられたままでいる。
【0010】
Vrbaらの米国特許第6059813号では、腔内デバイス用の二重壁拘束シースが記載されている。これらの部品から作られるアセンブリでは、腔内デバイスがつぶれた形状でカテーテルシャフト上に配置される。アウターチューブは、カテーテル上を摺動自在な関係で配置される。アウターチューブの遠位端は腔内デバイスを覆うように延在せず、二重壁シースがつぶれた腔内デバイスの上に配置される。シースの内部壁は、腔内デバイスの近位端近くのカテーテルシャフトに取り付けられる。二重壁シースの外部壁は、アウターチューブに機械的に取り付けられる。カテーテルに対してアウターチューブを動かすことによって、シースの外部壁がシースの内部壁を過ぎて移動する。近位方向にアウターチューブを動かすと、シースが引っ込んで下にある腔内デバイスをむき出しにする。シースが引っ込むと、腔内デバイスが自由になって拡張するようになる。制御ラインは、アウターチューブに機械的に取り付けられ、アウターチューブを動かしシースを引き込むように機能する。
【0011】
これらの医療デバイスアセンブリのいずれも、シースと一体化した制御ラインを利用していない。また、これらのアセンブリは、拡張可能な医療デバイス、例えば腔内デバイスの周りからシースが除去されたときに、制御ラインへと変換可能なシースを特徴としてもいない。そのような一体化した制御ライン及び拘束シースであれば、連続の薄壁材料又はその複合材料から作られることが好ましい。その薄壁材料は可撓性であり、下にある拡張可能な医療デバイスの可撓性に及ぶ制約は最小限に留まる。また、薄壁材料は、シース及び拡張可能な医療デバイスの組み合わせの外形を小さくする。一体化した制御ライン及び拘束シースは、制御ラインをシースに機械的に取り付ける必要性をなくすことによって、制御ライン−シース構造物の製造を簡略化する。また、一体化した制御ライン及び拘束シースは、制御ラインをシースに機械的に取り付ける信頼性に関する懸念も解消する。さらに、適応性(compliance)、圧縮性、回復弾性(resilience)及び/又は拡張性を示す、材料、複合材料、構造物及び/又はアセンブリを、シースに拘束された拡張可能な医療デバイスと送達カテーテルの間に包含させることは、拡張可能な医療デバイスを送達カテーテル上に衝撃を和らげて保持することに役立つだけでなく、ある実施態様では拡張可能な医療デバイスの拡張を補助することにも役立つ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
拘束シースが徐々に拡張可能な医療デバイスから除去されるときに、拡張可能な医療デバイスを正確に展開する、信頼性の高い展開システムが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、拡張可能な医療デバイス用、好ましくは腔内医療デバイス用の展開システムを対象とする。好ましい実施態様では、拡張可能な医療デバイスは、デバイス内部に配置された「内部人工器官取付部材」又は他の拡張手段を用いて拡張可能である。さらに別の実施態様では、拡張可能な医療デバイスは膨張性バルーンである。拡張可能な医療デバイスは、好ましくは引き込み可能なシース形状の、除去可能な拘束具によって、圧縮された形状、又はつぶれた形状に維持される。好ましい実施態様では、拘束具に取り付けられた又は組み入れられた展開ラインに張力を与えることによって、拡張可能な医療デバイスの周りからシースが除去される。最も好ましい実施態様では、展開ラインは、拘束シースと一体化し連続した延長部分であって、シースと同じ材料で作られる。展開ラインが引かれると、シースは拡張可能な医療デバイスの周りから次第に除去される。拡張可能な医療デバイスの一部の周りからシースが除去されると、拡張可能な医療デバイスのその部分は自由になって、下にある内部人工器具取付部材によって拡張可能になる。拡張可能な医療デバイスの全体が、半径方向の拘束から自由になって、内部人工器官取付部材によって自己拡張または拡張するまで、シースの除去は継続される。残存するシース材料があればその材料と一緒に、展開ライン及び内部人工器官取付部材が、シースに覆われた拡張可能な医療デバイス及び下にある内部人工器官取付部材を移植部位に送達するために使用したカテーテルを通して、その部位から除去される。
【0014】
ステント形状の拡張可能な医療デバイスを使用する実施態様では、内部人工器官取付部材、又は他の拡張手段、好ましくはバルーンを膨張することによって、シースをステントの周りから除去してもよい。本発明の展開ライン部分及び/又は運動エネルギーを保存し解放することが可能な機構の助けを借りて、シースが除去される。図13に見られるように、その機構を本明細書では「能動弾性要素(25)」と呼び、その機構は、本発明の展開ライン部分及び/又はシース部分に組み込まれたスプリング要素の形状を取ることが好ましい。その代わりに、能動弾性要素が、ゴムバンドの形状、及びフルオロエラストマーなどの弾性ポリマー状であってもよい。
【0015】
除去可能なシースは、1又は複数の薄くて可撓性のポリマー材料(それらの複合材料を含む)から作られる。シースは、拡張可能な医療デバイス、例えば腔内デバイスを拘束する場合に、普通は連続の薄壁チューブの形状を取る。
【0016】
本発明の薄壁シースの及ぼす、下にある拡張可能な医療デバイスの長手方向の屈曲に対する抵抗は最小限である。また、薄壁シースは、従来の拘束具と比較して、シース−拡張可能な医療デバイスの組み合わせの外形を小さくする。好ましい実施態様では、二重壁のチューブ状シースを使用する。二重壁は、ある壁を他の壁に対して摺動させて、拡張可能な医療デバイスの周りからシースを引き込むことを可能にする。このようにして、シースを引き込む、又は広げる(unroll)時に、シース部分は、下にある拡張可能な医療デバイスを擦ったり引っかいたりしない。このことは、シースを拡張可能な医療デバイスから除去する際に、そのデバイスを擦ったり引っかいたりするシースによって乱されうる拡張可能な医療デバイスの表面に、潤滑剤、薬剤及び/又は医薬品を含有する被膜を配置する場合に特に有利である。
【0017】
展開ラインは、除去可能なシースと同じ材料から形成され、シース材料の一体化延長部分である。ある実施態様では、展開ライン部分(16)は、シース部分(12、12a)から送達カテーテル(19)を通って、カテーテル(図3〜7)の近位端に位置する展開アセンブリ(図14〜17)まで延在する。これらの実施態様では、シース部分は、拡張可能な医療デバイスを超え展開システムの遠位端に向かって、近位方向に延在する(図5)。好ましい実施態様では、シースは、下にある送達カテーテルを覆って、シース部分が展開ライン部分へと変形する点まで、所望の長さ延在する(図7)。より好ましい実施態様では、シース部分は、展開ラインへと変形する前に、送達カテーテルの実質的に全長にわたって延在する。最も好ましい実施態様(図11)では、シース−展開ライン構造物(12)の少なくとも一部分が、第2カテーテル(19a)又はカテーテル管腔の内部、あるいは延伸多孔質ポリテトラフルオロエチレンチューブなどの他の拘束デバイスの内部に封入される。本発明では、展開ラインを作動させつつ同時に内部人工器官取付部材を拡張する展開アセンブリが提供される。展開ラインを作動させると、除去可能なシースが、拡張可能な医療デバイスの周りから移動し始める、あるいは引き込まれ始める。
【0018】
ある実施態様では、除去されたシース材料がシースの後退端(receding end)を超えて移動すると、シースは展開ラインへと変換され始める。シースから展開ラインへの変換は、チューブ状シースが分裂し、分離して、展開ライン材料へと収束する点から一般に開始する。好ましい実施態様では、シースから展開ラインへの変換を開始又は維持するための手段が提供される。これらの手段は、シース材料に導入された、孔、応力集中部、又は他の機械的弱点の形状を取ってよい。また、これらの手段は、送達カテーテル上にある刃先又は鋭い表面であってもよい。
【0019】
好ましい実施態様では、適応性、圧縮性、回復弾性及び/又は拡張性を示す、材料、複合材料、構造物及び/又はアセンブリが、腔内デバイスと送達カテーテルの間に配置されて、「内部人工器官取付部材」を提供する。内部人工器官取付部材は、シースによって拘束されたときに拡張可能な医療デバイスの衝撃を和らげるのに役立つものであり、解放されたときにデバイスの拡張を補助してもよい。また、内部人工器官取付部材は、下にあるカテーテルシャフトの周りで拡張可能な医療デバイスを所定位置に固定して保持するために役立つ。内部人工器官取付部材を用いて拡張可能な医療デバイスを固定すると、拡張可能な医療デバイスの両端にバリア手段又は保持手段を必要としなくなる。バリア手段がないことは、展開システムの外形を小さくすることに加えて、システムの遠位部分の可撓性を増大することに寄与する。また、送達カテーテルにより作られた一般経路から展開ライン部分が外れることを防ぐために、本発明物に、シース−展開ライン用の追加カテーテル又はカテーテル管腔を付与することも可能である。好ましい内部人工器官取付部材の形状は、膨張性バルーン、あるいは拡張可能なバルーンである。また、本発明は、単独で又は他の拡張可能な医療デバイス送達手段と組み合わせて使用することが可能である。また、本発明を用いて、複数の拡張可能な医療デバイスを送達することも可能である。
【0020】
本発明では、展開システムは、カテーテル型送達システムのシース部品をその下にある拡張可能な医療デバイスの周りから引き込みながら、同時に、その送達システムの内部人工器官取付部材部品を使用してその上にある拡張可能な医療デバイスに半径方向の力を及ぼす。このようにして拡張可能な医療デバイスを徐々に展開させることにより、患者の脈管構造中におけるデバイスの位置調整を、デバイスが最終的に展開する前に行うことができる。その上、完全に拡張しないか所望するほど素早く拡張しない拡張可能な医療デバイスを用いる場合に、この展開システムは特に有用である。ある実施態様では、展開アセンブリは、内部人工器官取付部材の内部に配置されたコントラスト媒体を含んで、拡張可能な医療デバイスをより良好に画像化可能にするバックグラウンドを提供する。
【0021】
従って、本発明の一実施態様は、内部人工器官取付部材と、前記内部人工器官取付部材上に配置された拡張可能な医療デバイスと、前記拡張可能な医療デバイスの少なくとも一部を覆って配置された拘束具と、前記内部人工器官取付部材、拘束具及び拡張可能な医療デバイスを組み入れた送達カテーテルとを含む医療デバイス用の移植システムであって、前記拡張可能な医療デバイスが、前記拘束具を前記拡張可能な医療デバイスから引き込みつつ同時に前記内部人工器官取付部材を拡張することによって展開される。
【0022】
他の実施態様では、本発明は、近位端、ある長さ、及び遠位端を有するカテーテルチューブと、前記カテーテルチューブの遠位端に配置された内部人工器官取付部材と、前記内部人工器官取付部材を覆って配置され、そして上にある引き込み可能なシースで覆われた、拡張可能な医療デバイスとを含む、医療デバイス展開システムであって、前記シースには、前記カテーテルチューブの内側を走って前記カテーテルチューブの近位端でアクチュエータに取り付けられた展開ラインが組み入れてあり、前記アクチュエータが、前記内部人工器官取付部材を拡張するために、前記人工器官取付部材の管腔と流体連通した手段と結合しており、それによって、上にある前記シースが前記拡張可能な医療デバイスから引き込まれると同時に、前記内部人工器官取付部材が拡張する。
【0023】
さらに別の実施態様では、本発明は、第1の加圧可能室を画定する容器であって、前記第1の加圧可能室が開口部を有し、前記開口部が、内部人工器官取付部材を組み付けた送達カテーテルに取り付けられかつ前記第1の加圧可能室と前記内部人工器官取付部材の管腔の間に流体の連通を提供するように構成されている、容器と、前記第1の加圧可能室の内部に配置された移動可能なプランジャであって、前記プランジャを動かしたときに、前記内部人工器官取付部材の管腔中に流体圧を作り出して維持するためのプランジャと、前記移動可能なプランジャに結合された展開ラインアクチュエータとを含む、カテーテル型送達システム用展開アセンブリである。
【0024】
さらに別の実施態様では、同軸シースへと移行する展開ラインを含むシース・プル・バック・カテーテルの場合、本発明では、カテーテル突き出し部の内部に展開ラインの長さの大部分が包含される。システムの展開精度は、展開ラインをカテーテルの管腔の1つに完全に挿入するための、カテーテル内の長手方向のスリット又は溝を利用することによって改善される。スリットは、シースを引き込むときに、展開ラインとシースとの接合部がカテーテルの長さに沿って移動することを可能にする。展開ライン/シースの接合部の近位の位置でカテーテル内側に展開ラインを位置させる利点は、カテーテルの近位端の外径を、展開中に完全に変化させないことである。
【0025】
さらに別の実施態様では、引き込み可能なシースが高密度ePTFE膜から構築され、その膜の高密度で、滑らかな、潤滑性の接触面のおかげで展開力が低減可能になる。
【0026】
また、これら及び他の実施態様に、内部人工器官取付部材の過圧を防止するための、加圧室と流体連通した圧力解放バルブが含まれてもよい。また、封入された気体袋(gas bladders)又は他の「圧力キャパシタ」が、内部人工取付部材の加圧の維持を補助するように、加圧室内に配置されてもよい。
【0027】
本発明の展開システムの持つ、これらの向上した特徴及び他の属性は、以下の説明を概観することにより、さらに良く理解される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明物の長手方向の横断面を示す。
【図1A】図1の拡大図である。
【図2】本発明物の斜視図である。
【図3】本発明物の長手方向の横断面を示す。
【図3A】図3の拡大図である。
【図4】本発明物の長手方向の横断面を示す。
【図4A】図4の拡大図である。
【図5】本発明物の長手方向の横断面を示す。
【図5A】図5の拡大図である。
【図6】本発明物の長手方向の横断面を示す。
【図6A】図6の拡大図である。
【図7】本発明物の長手方向の横断面を示す。
【図7A】図7の拡大図である。
【図7B】矢印の示す方向から見た、図7Aの実施態様を示す。
【図7C】矢印の示す方向から見た、図7Aの実施態様を示す。
【図8】脈管構造又は心臓構造の内部に配置された、本発明物の長手方向の横断面図を示す。
【図8A】脈管構造又は心臓構造の内部に配置された、本発明物の長手方向の横断面図を示す。
【図9】内部人工器官取付部材を覆って配置されたカバーを備えた、本発明物の長手方向の横断面図である。
【図9A】内部人工器官取付部材を覆って配置されたカバーのない、本発明物の長手方向の横断面図である。
【図10】下にある送達カテーテルと拡張可能な医療デバイスの間に配置された内部人工器官取付部材を備えた、本発明物の長手方向の横断面を示す。
【図10A】内部人工器官取付部材が部分的に拡張した形状であり、シースが部分的に引き込まれた形状であり、拡張可能な医療デバイスが部分的に拡張した形状である、図10の長手方向の横断面を示す。
【図11】シース−展開ライン構造物の実質的に全長を覆うように配置されたアウターカテーテル又はチューブを有する、本発明物の長手方向の横断面を示す。
【図12】本発明のシース−展開ラインを備え、つぶして折り畳まれて第2寸法へと拘束された、第1寸法を有する膨張性バルーン形状の拡張可能な医療デバイスが示された、本発明物の長手方向の横断面を示す。
【図13】拡張可能な医療デバイスの周りからシースを除去する手段として、本発明のシース部分に取り付けられた能動弾性要素が示された、本発明物の横断面を示す。
【図14】内部人工器官取付部材を加圧し膨張させるための、カテーテル管腔と流体連通した室と、その室内にあるプランジャとを有する、本発明の展開アセンブリを示す。プランジャは、軸及びベベルギアを介してラックアンドピニオンギアの組み合わせに結合されている。実際には、プランジャを作動させて、内部人工器官取付部材を同時に加圧し膨張させつつ、ピニオンギアを作動させて、ラックを移動しかつ展開システムのシース部品に取り付けられた、あるいは組み込まれた、展開ライン又はロッドを引き込む。
【図15】内部人工器官取付部材を加圧し膨張させるための、カテーテル管腔と流体連通した室と、その室内にあるプランジャとが示された、本発明の展開アセンブリを示す。プランジャは、軸及びベベルギアを介してスプール、リール又はドラムに結合されている。実際には、プランジャを作動させて、内部人工器官取付部材を同時に加圧し膨張させ、かつスプールを回転させて、展開システムのシース部品に取り付けられた、あるいは組み込まれた、展開ライン又はロッドを引き込む。
【図16】内部人工器官取付部材を加圧し膨張させるための、カテーテル管腔と流体連通した室と、その室内にあるプランジャとが示された、本発明の展開アセンブリを示す。プランジャは、プーリーを介して展開ライン、ロッド又は引き込み可能なシースに結合されている。実際には、プランジャを作動させて、膨張性バルーンを同時に加圧し膨張させ、かつプーリーを介して展開ライン、ロッド又は引き込み可能なシースを移動させて、展開システムの展開ライン、ロッド又は引き込み可能なシース部品を引き込む。
【図17】内部人工器官取付部材を加圧し膨張させるための、カテーテル管腔と流体連通した第1室と、その室内にあるプランジャとが示された、本発明の展開アセンブリを示す。第2室が、第1室及びカテーテル管腔と流体連通した状態で、アセンブリに取り付けられている。ピストンが第2室内に配置され、展開システムの展開ライン、ロッド又は引き込み可能なシース部品に取り付けられている。実際には、プランジャを作動させて、膨張性の内部人工器官取付部材を同時に加圧し膨張させつつ、ピストンを移動させて、展開システムの展開ライン、ロッド又は引き込み可能なシース部品を引き込む。
【図18】本発明の圧力貯蔵部品を示す。
【図19】本発明の圧力貯蔵部品を示す。
【図20】本発明の圧力貯蔵部品を示す。
【図21A】シースを引き込む前の、長手方向の開口部を備えた本発明のシース・プル・バック・カテーテルを示す。
【図21B】シースを引き込む前の、長手方向の開口部を備えた本発明のシース・プル・バック・カテーテルを示す。
【図21C】シースを引き込む前の、長手方向の開口部を備えた本発明のシース・プル・バック・カテーテルを示す。
【図22A】シースを引き込んだ後の、長手方向の開口部を備えた本発明のシース・プル・バック・カテーテルを示す。
【図22B】シースを引き込んだ後の、長手方向の開口部を備えた本発明のシース・プル・バック・カテーテルを示す。
【図23A】腔内デバイスの展開時の本発明における相対的非回転移動を示す。
【図23B】腔内デバイスの展開時の本発明における相対的非回転移動を示す。
【図24】静的状態から動的状態への移行に必要な初期力が材料依存性であることを示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明は、シースの一体化部分である展開ライン又はフィラメントを備えた除去可能なシースを有する、拡張可能な医療デバイス用、例えば腔内デバイス用の展開システムを対象とする。図12の「x」矢印及び「y」矢印の間の空間における相対差によって示されるように、シース部分(12)は、腔内デバイス(18a)を、シースがないときに可能な外形より小さい外形に拘束する。貯蔵中及び患者の脈管系への導入中、シースは、拡張可能な医療デバイスを圧縮された又はつぶれた形状に半径方向に拘束する、あるいは閉じ込める。カテーテルを用いてデバイスが脈管構造内又は心臓構造内の移植部位へ送達されるまで、拘束シースは拡張可能な医療デバイスを圧縮形状に維持する。展開時に、シースは拡張可能な医療デバイスから引き込まれる。ある実施態様では、シースが拡張可能な医療デバイスから除去されるときに、シース材料が展開ライン材料へと変換されてもよい。シースが拡張可能な医療デバイスから除去されると、拡張可能な医療デバイスは自由になって拡張する。拘束シースから自由になると、拡張可能な医療デバイスは自発的に又は内部人工器官取付部材の助けを借りて拡張しうる。残存するシース材料があれば、その材料を展開ラインと一緒に移植部位から除去してもよい。
【0030】
本発明の展開システムは、内部人工器官取付部材の拡張と同時に、拘束シースを引き込むことを可能にする。また、本発明は、内部人工器官取付部材の拡張及び拡張可能な医療デバイスからの拘束シースの除去を同時に達成する展開アセンブリを対象とする。
【0031】
一体化したシース−展開ラインは、構造物の長さに沿って連続した可撓性ポリマー材料であることが好ましい。シース部分の物理的特性及び機械的特性については、拡張可能な医療デバイスを拘束するために使用したシース部分の長さ全体にわたって均一かつ均質であることが好ましい。大半の拡張可能な医療デバイスは一般に円形の円筒形状であるため、大半又は全ての拡張可能な医療デバイスを封入するために、シースがチューブ形状であることが好ましい。シースについて、円錐、先細又は他の適当な形状もまた、本発明において想定される。シースの可撓性は、シースの壁を実施可能な限り薄く作ることによって高められる。本発明の一実施態様(20)では、シース−展開ラインのチューブ状シース部分(12a)は単壁を有する(図3)。展開ライン部分は、単壁シース(12a)の両端から延在してもよい。拡張可能な医療デバイスの周りからシース部分が引き込まれたとき、引き込まれたシースの長さは、拡張可能な医療デバイスの展開中に移動させた展開ラインの長さと実質的に等しい。
【0032】
本発明の他の実施態様(10)では、シース−展開ラインのシース部分(12)は二重壁を有する(図1、2及び4〜11)。好ましい実施態様では、二重壁シース部分(12)は、自身に折り重ねられるポリマー材料から作られる。二重壁シース部分は、折り重ね(22)がシース部分(12)の遠位端(すなわち展開アセンブリから最も遠い点)に位置決めされるように、拡張可能な医療デバイス(14)を覆って配置される。シース部分の内部壁を、拡張可能な医療デバイス(14)に対して近位で下にある送達カテーテル(19)の部分に固定してもよい。好ましい実施態様では、シース部分(12)は送達カテーテル(19)に取り付けられていない。シースの外部壁の近位端は、展開ライン(16)に変換可能な少なくとも1つの部分又は一体化した延長部分を有する。二重壁シース部分の壁の間の空間を、流体、潤滑剤、医薬品組成物及び/又はそれらの組み合わせで満たしてもよい。展開ライン(16)は、送達カテーテル(19)を経由して、展開システム(10)の近位端に位置する本発明の展開アセンブリ(例えば図14〜17)に至る。代わりに、別のカテーテル(13)又はカテーテル管腔(11)が展開ラインのために付与される(それぞれ図4及び1)。特に、小径を有する患者の脈管構造において屈曲又は曲線が予想される場合は、これらの実施態様によって展開ライン部分の付加的な収容部が提供される。最も好ましい実施態様(図11)では、シース−展開ライン構造のシース部分は、送達カテーテル(19)の実質的に全長にわたって延在し、別のカテーテル(19a)又はカテーテル管腔の内部に閉じこめられている。展開ライン部分は、展開システムの近位端の近くに形成されて、展開アセンブリに取り付けられている(例えば図14〜17)。
【0033】
シース部分の物理的特性及び機械的特性については、拡張可能な医療デバイスを拘束するために使用したシース部分の長さ全体にわたって均一かつ均質であることが好ましい。拡張可能な医療デバイスの周りからシース部分が引き込まれた場合、引き込まれたシースの長さは、拡張可能な医療デバイスの展開中に移動させた展開ラインの長さの本質的に半分である。除去された展開ラインの長さと除去されたシース材料の長さの比率をこのように2:1とすることにより、拡張可能な医療デバイスをシースから解放する際に、展開ラインを引くのが速すぎる又は強すぎるといった影響を軽減できる。
【0034】
フルオロポリマー材料が、本発明の引き込み可能なチューブ状拘束シース−展開ライン構造物を作るのに好ましい。本発明で使用されるフルオロポリマー材料は、強く、薄くて潤滑性である。フルオロポリマー材料の潤滑性は、互いに摺動し合う壁又は拡張可能な医療デバイスの上を摺動する壁を有するシース−展開ラインを利用する実施態様において、特に有利である。特に好ましいフルオロポリマー材料は、多孔質延伸ポリテトラフルオロエチレン材料単独、又はフッ素化エチレンプロピレン材料と組み合わせた多孔質延伸ポリテトラフルオロエチレン材料である。最も好ましいフルオロポリマー材料は、強くて薄く、例えば以下の例2で説明するようなものである。シース−展開ラインは、フィルム及び/又は膜の層から適切なチューブを構築することによって作られる。また、シース−展開ラインを、ポリマー材料の押出物から構築してもよい。押出物は、単独で使用してもよく、フィルム/膜材料と組み合わせて使用してもよい。チューブを構築したら、チューブのかなりの部分を丸めて加熱することによってフィラメント状にする。
【0035】
展開ラインを引っ張り、シース材料を分離して単独フィラメントへと収束させることにより、シースを転換ラインへと変換できる。この方法によってシース材料を展開ラインへと変換すると、展開ラインに材料を供給するシースの端部は後退して、拡張可能な医療デバイスの周りからシースが引き込まれる。シースの一部分が引き込まれると、シースによって拘束されていた拡張可能な医療デバイスの部分が自由になって拡張する(図8〜8A)。シースから展開ラインへの変換を開始又は維持する手段が、必要に応じて展開システムに付与される。図7に示すように、その手段として、シース材料に導入された、孔(71)、切り抜き(72)又は他の工作された欠陥が挙げられる。また、図5に示すように、その手段として、送達カテーテル上のカッター(21)又は他の鋭い刃も挙げられる。カテーテル内部から補強ステンレススチールのストランドを露出させ、シース部分に切り込むようにそのストランドを適合させることによって、そのような切断手段を送達カテーテル上に形成してもよい。
【0036】
本発明の好ましい実施態様では、適応性、圧縮性、回復弾性及び/又は拡張性を示す、材料、複合材料、構造物及び/又はアセンブリが、拡張可能な医療デバイスと送達カテーテルの間に配置されて、「内部人工器官取付部材(18)」を形成する。内部人工器官取付部材は、覆われてもよく(15)、むき出しでもよい(図9)。送達カテーテル上に拡張可能な医療デバイスを固定し、かつカテーテルの長さに沿って拡張可能な医療デバイスが動くことを防止するために、拡張可能な医療デバイスの少なくとも一部分は、覆われた又はむき出しの内部人工器官取付部材に押し込まれる。特に、潤滑性シース材料と組み合わせた内部人工器官取付部材を用いる場合、粘着性表面を備えた材料が有用である。内部人工器官取付部材によって、拡張可能な医療デバイスの近位端及び遠位端に配置されたバリア手段又は保持手段を必要としなくなる。バリア手段を用いない展開システムにさらなる可撓性が付与されることに加えて、シース及び拡張可能な医療デバイスの組み合わせの外形もバリア手段がないと小さくなる。さらに別の実施態様では、内部人工器官取付部材は膨張性バルーン形状である(図10、部品18a)。内部人工器官取付部材に適当な材料として、以下に限られないが、シリコーン、シリコーンフォーム、ポリウレタン、ポリウレタンフォーム、及びポリテトラフルオロエチレンフォーム、又はこれらの組み合わせが挙げられる。内部人工器官取付部材は、接着剤、熱又は他の適当な手段を用いて、送達カテーテルの外部壁に取り付けられる。膨張性の内部人工器官取付部材(18a)は、送達カテーテルチューブの少なくとも1つの管腔と流体連通した少なくとも1つの管腔を有し、そして送達カテーテルチューブの少なくとも1つの管腔は、本発明の展開アセンブリ(100)の加圧可能な第1室部品(109)と流体連通している。
【0037】
非膨張性の内部人工器官取付部材は、ポリマー材料の形状のカバー(15)を用いて封入されることが好ましい。ポリマー材料はフルオロポリマー系材料であることが好ましい。多孔質延伸ポリテトラフルオロエチレンが、圧縮可能な材料を封入するために好ましいフルオロポリマーである。他の適当なポリマー材料として、以下に限られないが、シリコーン、ポリウレタン、ポリエステルなどが挙げられる。
【0038】
また、本発明は、拡張可能な医療デバイスを展開するためのシステムも対象とする。上述の拡張可能な医療デバイス展開システムを患者の脈管構造内の所望する位置に移動させたら、システムを作動させて内部人工器官取付部材を拡張しつつ、同時にシースを拡張可能な医療デバイスから引き込む。この工程を徐々に行って、一度に拡張可能な医療デバイスの部分のみを露出させることが多い(図10A)。本発明によって拡張可能な医療デバイスの展開を制御することにより、必要であれば、デバイスを最終的に展開する前に、脈管構造内のデバイスの位置を検証及び調整することが可能になる。一部の展開において、システムのシース部品は、下にある拡張可能な医療デバイスから除去することが困難になる場合がある。本発明の展開システムは、展開ライン−シース部品に引く力を十分に与えてシースを拡張可能な医療デバイスから除去することを可能にする、展開ライン−シース部品への機械的利点を提供することによって、そのような展開を補助する。
【0039】
好ましい内部人工器官取付部材は膨張性である(18a)。膨張性の内部人工器官取付部材は、本発明の展開アセンブリ(100)と流体連通した管腔(32)を有する。気体又は液体状態の流体が、展開アセンブリ(100)内の加圧可能な第1室(109、図14〜20)から内部人工器官取付部材へと導入される。流体圧が第1室(109)内で発生すると、その圧力は内部人工器官取付部材(18a)へと移されて、そこではその圧力が上にある拡張可能な医療デバイス(14)に対して半径方向に力を及ぼす。内部人工器官取付部材が加圧されると、加圧手段(102/109)に結合したアクチュエータ(112、116、118、120/122)が、同時に拡張可能な医療デバイス(14)からのシース(12)の引き込みを開始する。シース(12)がさらに引き込まれることによって、内部人工器官取付部材が、拡張可能な医療デバイスの露出部分が半径方向に拡張することを引き起こす、補助する又は可能にする。シースが拡張可能な医療デバイスから完全に除去されてデバイスが完全に展開したとき、圧力は展開アセンブリによって内部人工器官取付部材内で維持されている。
【0040】
展開ライン−シースの組み合わせの展開ライン部分を、プランジャ、ピストン又は他の流体加圧手段と機械的に結合したアクチュエータに取り付けることによって、本発明において、シースの引き込みが内部人工器官取付部材の拡張と同時に行われる。図14〜20に見られるように、室(109)は、第1ギア(104)又は他のスクリュー手段に取り付けられたプランジャ(102)を収容する。第1ギア(104)は、第1ギア(104)を回転するための、ノブ(106)、ハンドル、モーター駆動連結器、又は他の駆動装置を有する。ベベルギア又は同様のギア(108)は、第1ギア(104)と係合して、軸(110)に取り付けられ、その軸(110)は、拡張可能な医療デバイスからシースを引き込むためのアクチュエータ(112、116、118、120/122)に取り付けられている。ある実施態様(図14)では、アクチュエータは、展開ライン(114)に取り付けられたラックアンドピニオンギアの配置を含む。他の実施態様(図15)では、アクチュエータは、軸(110)とつながれたリール(116)に取り付けられた展開ライン(114)を含む。さらに別の実施態様(図16)では、アクチュエータは、プーリー(118)に取り付けられた展開ライン(114)を含む。
【0041】
好ましい実施態様(図17)では、アクチュエータは、第1室(109)と流体連通した第2室(124)内側のピストン(122)とつながれたロッド(120)に取り付けられた展開ライン(114)を含む。流体圧が第1室(109)内で増加すると、内部人工器官取付部材内及び第2室内の圧力が両方とも増加する。第2室内の圧力の増加によりピストンが動いて展開ラインを引く。そして、このことによって、シースが腔内デバイスから引き込まれる。
【0042】
状況によっては、展開ラインを作動させてシースを引き込む前に、内部人工器官取付部材を加圧して拡張を開始することが望ましい場合がある。図18〜20は、内部人工器官取付部材を加圧及び拡張する際に使用するための、圧力貯蔵装置の例を示す。図18は、ダイアフラム(132)を有し、そのダイアフラム(132)に機械的な力を及ぼすスプリング(134)を有する、第1室(109)と流体連通した第3室(130)を示す。図19は、ダイアフラム(132)と、そのダイアフラム(132)に機械的な力を及ぼす気体(136)とを有する、第1室(109)と流体連通した第3室(130)を示す。図20は、第1室(109)と流体連通した第3室(130)を示し、第3室(130)の中には圧縮可能な材料(138)が含まれている。
【0043】
最後に、コントラスト媒体を内部人工器官取付部材に組み入れて、又は導入して、上にある腔内デバイスをより良好に視覚化してもよい。
【0044】
展開精度を高めることがさらに望ましい。図21A〜C及び22A〜Bは、本発明のシース・プル・バック・カテーテルの実施態様(200)を示す。この実施態様の展開システムは、カテーテル(19)、引き込み可能なシース(12)、展開ライン(16)、及び展開ライン管腔(223)を含む。このデバイスは、少なくとも2つの管腔(222、223)を備えたカテーテル(19)を含む。引き込み可能なシース(12)を、腔内デバイスの少なくとも一部分を取り囲んでそのデバイスを導入外形に拘束するように構成してもよい。展開ライン(16)は、カテーテル内の長手方向の開口部(229)に挿入され、シース(12)と一緒に引かれるように構成される。また、展開ライン(16)が、他の個別の部品を引くように構成されてもよい。カテーテル(19)は、突き出し部のガイドワイヤ管腔(222)の内部に配置された、摺動可能な又は固定されたガイドワイヤ(221)の周りに配置される。シースを使用して、患者にデバイスを送達するためのカテーテル突き出し部の上にデバイス(例えば自己拡張ステント又はフィルタ、不図示)又は複数のデバイスを拘束してもよい。シース(12)につながれた展開ライン(16)を引き込む(すなわち図21A及び22Aの展開ラインに引く力を与える)ことによって、シース(12)をデバイスの上から引っ込めて、デバイスを拡張させることが可能になる。弾性回復によって、第2の機械的手段によって(例えばバルーン又は拡張器)、熱的手段によって、電気的手段によって、又は他の手段によって、この拡張を引き起こしてもよい。図21Aは2つの管腔を備えたカテーテル(19)を示す。長手方向の開口部(229)又はすき間は、展開ライン(16)をシース(12)へと移行させるための管腔の1つと通じている。このシステムの展開精度は、展開ライン(16)をカテーテルの展開ライン管腔(223)に完全に挿入可能にする、カテーテル内の長手方向の開口部(229)によって高まる。デバイス展開中の全ての時間、この展開ライン管腔内部に展開ライン(16)の長さの大部分が保持されることによって、カテーテル突き出し部は、張力の与えられた展開ラインの周りでねじれることができない。展開ライン管腔内の長手方向の開口部(229)によって、シース(12)が引き込まれたときに、展開ラインとシース(12)との接合部(226)が、カテーテルの長さに沿って移動可能になる。展開前に、未だ張力の与えられていない展開ライン(16)が、カテーテル送達の自由度に与える影響は最小限である。展開するために展開ライン(16)に張力が与えられると、そのラインは非常に堅くなり、そしてカテーテル内部に組み込まれると、展開ラインの周りのねじれ量又は短縮量は最小限となる。このようにして、展開ラインを組み込んだ従来の展開デバイスと比較して、展開の信頼性及び精度が非常に改善される。
【0045】
図21A及び22Aは、本発明のシース・プル・バック・カテーテルの実施態様を示す。カテーテルは、ガイドワイヤ管腔(222)を通して供給されるガイドワイヤ(221)の周りに配置される。シース引き込み前の本発明物を示す図21B及び21Cに、2つの横断面領域が示されている。図21A及び21Cに示されるように、長手方向の開口部(229)は、展開ライン(16)を同軸シース内に移行させるための展開ライン管腔(223)への接近経路を提供する。長手方向の開口部によって、シース(12)が引き込まれたときに、展開ラインとシースとの接合部(226)がカテーテルの長さに沿って移動し始める。シース(12)は任意の適当な材料から形成してよく、連続フィルム又は連続材料であることが好ましい。ある例では、低摩擦係数を有する薄壁のシースが有利である。強度、潤滑性及び薄さという属性を合わせ持つ材料として、以下に限られないが、ポリマー材料、ポリテトラフルオロエチレン、高密度ポリエチレン、ポリイミド、ナイロン、ポリアミド、PEEKが挙げられる。ポリテトラフルオロエチレンとして、多孔質延伸ポリテトラフルオロエチレン、例えばePTFEが挙げられる。様々な層を長手方向又は円周方向のいずれかに巻いて、それらを一緒に焼成することによって、チューブ状シースをePTFEフィルムから製造することが可能である。薄くて小型の外形を最適化するためにシース(12)を作り出してもよい。薄い外形を有しており摩擦係数が非常に低いシースを作り出すために、焼成後にシースをさらに高密度化できることが見出されている。このさらなる高密度化を、手でシースの外径を圧縮することによって引き起こしてもよい。圧縮方法の一つでは、大きい垂直力を用いて、シース上のポリマーマンドレルを擦る又は圧迫することが繰り返される。この高密度化処理の最中、シースがマンドレルに載せられていることが好ましい。代わりに高密度ePTFEフィルムをベースフィルムとして使用して、これらの高密度シースを製造してもよい。密度が1.5g/ccを超えるフィルム又は材料が好ましく、密度が2.0g/ccを超える、より好ましくは2.1g/ccを超える、フィルム又は材料がより好ましい。これらのシースは、シースがほぼ完全密度であって、さらにシース内部のステント又は他のデバイスを点検可能にすることを意味する、半透明であることが好ましい。
【0046】
展開ラインは、任意の適当な材料、例えば、以下に限られないが、金属、ポリマー材料、ポリテトラフルオロエチレン、高密度ポリエチレン、ポリイミド、ナイロン、ポリアミド、PEEKから作ってもよい。展開ラインが高強度の潤滑性材料であることが望ましい。展開ラインは、除去可能なシース(12)の第2部分と一緒に引かれるように構成される。送達カテーテル(19)は、単独のカテーテルシャフトを含んでもよく、複数のカテーテルシャフトを含んでもよい。
【0047】
同軸カバー(228)を、カテーテル内の長手方向の開口部を覆って配置してもよい。同軸カバー(228)の密度が1.5g/ccを超えることが好ましい。展開ライン(16)を、単独部品又は複数の接合された部品として、シースと一緒に構成してもよい。展開ラインとシースとが1つの単独部品である場合、少なくとも2つの別個の部分を有するように形成してもよい。小径の加熱したダイによって線の一部分を描くなどの処理、あるいは他の任意の変形処理によって、その部品の別個の部分を変形してもよい。作動力が展開ラインからシースに及ぶと、シースの移動及びデバイスの展開が開始する。デバイスから引き込まれたシース(12)の長さは、自己拡張性腔内デバイスの展開中に移動させた展開ライン(16)の長さと実質的に等しい。
【0048】
展開ライン管腔(223)を、展開ライン(16)の長さの大部分を完全に包んで展開ラインの移動を可能にするように構成してもよい。展開ライン(16)の長さの大部分とは、展開ラインの半分より大きいものと見なされる。包まれている展開ライン(16)の長さの大部分は、展開ラインの長さの90%を超えることが好ましい。特定の実施態様では、包まれている展開ライン(16)の長さの大部分が、展開ラインの長さの95%であることが望ましい。別の特定の実施態様では、包まれている展開ライン(16)の長さの大部分が、展開ラインの長さの99%であることが望ましい場合がある。展開ライン管腔(223)は、展開ライン作動中に、展開ラインに対するカテーテルの回転を防止するように構成される。カテーテルの回転とは、360度未満の任意の回転であると見なされる。カテーテルの回転は、180度未満、好ましくは90度未満であることが望ましい。カテーテル(19)は、展開中に本質的に変化しないままの、同軸カバー(228)の近位の外径を有する。図23Aに示されるように、展開ライン管腔内部に位置する展開ラインに力(F)を与えると、カテーテルが展開ラインに対して回転することが防止される。このように、引き込み可能なシース(12)が引き込まれると、腔内デバイスが解放され、カテーテルの短縮が最小限になる。図23Bは、本発明の教示のような展開ライン管腔を使用しない展開ラインに力を与えると、遠位端で回転するように動くことを示す。このように、図23Bにおけるカテーテルのねじれは遠位端で生じて、展開中に腔内デバイスが余計に動く結果となる。図24は、腔内デバイスとその腔内デバイスに接触した引き込み可能なシース材料とが容易に動くことを可能にする材料を選択することによって、静的状態から動的状態へと引き込み可能なシース(12)を移行させるのに必要な初期力が減少することを示す。腔内デバイスに接触した引き込み可能なシース材料に適した材料には、延伸ポリテトラフルオロエチレンなどのフルオロポリマーが例示されるが、それらに限られないポリマーが含まれる。しかしながら、任意の適当な材料を使用してもよい。また、展開ラインに及ぼす初期力を減少させると、カテーテルに与えられる圧縮力が減少して正確なデバイス配置の助けとなる。
【0049】
自己拡張性腔内デバイス用に好ましい展開システムは、少なくとも1つの管腔を備え、かつ引き込み可能なシース(12)によって少なくとも部分的に封入された、自己拡張性腔内デバイスと;前記シース(12)を引くように構成された展開ライン(16)とを含む。自己拡張性腔内デバイス用展開システムは、シース(12)から展開ライン(16)への変換を開始するための手段をカテーテル上にさらに含んでもよい。展開システムは、除去可能なシースから展開ラインへの変換を開始するための手段によって、引き込み可能なシースが分裂可能なように構成されてもよい。
【0050】
図21Aを図21Cにて横断面で示すと、展開管腔(223)及びガイドワイヤ管腔(222)が送達カテーテル(19)の内部に存在する。シースが、展開前のデバイスの外部を円周状に覆っているため、図21Bにおける展開管腔は展開ラインに占有されていない。この領域において、展開管腔(223)は長手方向の開口部(229)を含み、その開口部は、ここでは展開ライン(16)が位置する管腔へ接近可能にするスリット形状で示される。デバイスが展開されると、シースは展開ライン(16)へと移行し、展開ライン管腔(223)を通って移動する。ガイドワイヤ管腔(222)は、図21B及び21Cに示す領域を通って連続する。
【0051】
本発明は、二重管腔を備えた単独突き出しカテーテルや、ガイドワイヤ用の内部管腔とスリット、すき間又は他の開口部を有するチューブ状の外部管腔とを備えた同軸カテーテルを含むが、これらに限られない、多数のカテーテルの変形例に適用可能である。同軸カテーテルであれば、内部チューブ状ガイドワイヤ管腔の突き出し部と、すき間又はスリットを壁に組み入れた外部チューブ状突き出し部の間に、展開ラインが配置される。
【0052】
所望であれば、付加的な管腔をカテーテルに追加できる。バルーン、第2展開ラインを膨張可能にするため又は他の機能のために、付加的な管腔を使用できる。同様に、拡張可能な医療デバイス又は他の部品を含む変形例も、本発明によって想定される。
【0053】
全長にわたり同軸チューブ配置を使用する、他の従来のシース・プル・バック・システムとは違い、本発明のカテーテルにおいて、カテーテルの近位端外径は展開中に完全に変化しないままである。展開中にこのように動かないことは、外科医がステント又は他のデバイスを正確に配置することをより容易にする。従来のシース・プル・バック・システムに対するさらに別の改良点は、展開ライン/シース移行部の近位になる二重管腔カテーテルのスリットを覆って、同軸カバー(228)を配置できることである。同軸カバーは、シースの動きに伴って近位に摺動するよう設計されている。さらに、展開ラインをカテーテルの慣性中心に近付けて位置させることにより、展開ラインに張力を与えている最中に突き出し部が弓なりに反る傾向を最小限にできる。スリットを展開ライン/シース移行部の近位で近付けて保持するように、この可撓性の同軸カバー又は剛直な同軸カバーの一部分を設計して、確実に展開ラインをカテーテル内部に残すこともできる。同軸カバー(228)は、弾性材料から構成されてもよく、あるいは展開前のシース・プル・バック中にしわが寄る、ひだが付く、あるいは圧縮される材料から形成してもよい。さらに、このカバーの近位端をカテーテル延長部分に取り付けてもよく、取り付けなくてもよい。その近位端を取り付けない場合、デバイス展開中にその近位端がカテーテル延長部分に対して並進可能であるため、カバーが剛直な材料を含んでもよい。カバーに適した材料として、エラストマー、熱可塑性樹脂、熱硬化樹脂(例えばポリイミド)、フルオロポリマー、例えばポリテトラフルオロエチレン、さらに例えば多孔質延伸ポリテトラフルオロエチレンが挙げられる。カバーの近位端は、少なくとも展開されるデバイスの長さであって、壁厚0.020インチ未満と比較的薄いことが好ましい。壁厚が0.005インチ未満であることがより好ましく、壁厚が0.001インチ未満であることが最も好ましい。
【0054】
図22Aは、シース引き込み後の、長手方向のスリットを備えた本発明のシース・プル・バック・カテーテルが引き込まれたところを示す。示されるように、シースの引き込み時に、(シース/展開ライン接合部の近位の)同軸カバーの近位端は圧縮されて、カテーテルの軸に対してシースが長手方向に移動することを許容しつつ、カテーテル内の展開ラインの位置を維持する。図22Bは、展開後の本発明物の横断面を示す。見たとおり、展開ライン管腔(223)は、シース/展開ライン接合部の遠位の位置で空になっている。
【0055】
本発明の特定の実施態様を図示して説明したが、本発明の精神及び範囲から逸脱せずに、展開システム及びアセンブリに変更を加えてもよい。
【実施例】
【0056】
例1:この例では、本発明の展開システムの組み立てを説明する。このシステムの組み立ては、拡張可能なステントを収容するための遠位カテーテルシャフトを用意することから始めた。遠位カテーテルを用意したら、拡張可能なステントをシース−展開ラインの内部に配置した。この組み合わせの遠位カテーテル部分を、プライマリカテーテルシャフトに取り付けた。次に、プライマリカテーテルを経由して制御ノブへと展開ライン部分を通した。制御ノブは、プライマリカテーテルの近位に位置するハブの部分であった。シース−展開ラインのシース部分は単壁チューブ形状であった。
【0057】
長さ3インチのチューブ状材料を遠位カテーテルシャフトとして使用するために、Burnham Polymeric, Inc., Glens Falls, NYから入手した。チューブは、一般にPEBAX(登録商標)樹脂として知られるポリエーテルブロックアミド材料から作られており、ステンレススチール編組で補強されていた。外径(OD)は1.01mmであって、内径(ID)は0.76mmであった。次に、圧縮可能な材料の形状である内部人工器官取付部材をカテーテル上に配置した。
【0058】
内部人工器官取付部材をカテーテル上に配置するため、カテーテルを外径0.74mmのマンドレルに載置した。Brancaの米国特許第5814405号(参照により本明細書の一部とする)の教示に従って、多孔質延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)のフィルムを得た。Campbellらの米国特許第6159565号(参照により本明細書の一部とする)に従って、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)の不連続被膜をePTFE材料の片面に適用した。幅2インチのePTFE−FEP複合材料の端部を加熱してカテーテルシャフトに取り付けた。初期取付後に、軽く張力を与えながら、フィルムをカテーテルシャフトの周りに45回巻き付けた。フィルムを5回巻き付ける毎に、そして最後の層において、半田ごてによって熱を与えて、フィルムをそれ自身にさらに取り付けた。
【0059】
この手順により、圧縮可能な材料の形状である内部人工器官取付部材、又は適応性「枕(pillow)」が、遠位カテーテルシャフト上に提供された。内部人工器官取付部材を覆って拡張可能なステントを取り付けた。内部人工器官取付部材は、貯蔵中、移植部位への送達中、及びその移植部位における拡張可能なステントの展開中に、拡張可能なステントをカテーテルシャフト上に保持する手段を提供する。必要に応じて、内部人工器官取付部材を、シリコーン、ウレタン、及び/又はフルオロエラストマーなどの、弾性材料の薄い被膜で補強してもよい。
【0060】
8セル、直径6mmのニチノールステントを、Medinol Ltd., Tel−Aviv, Israelから入手した。拡張状態のステントをカテーテルの内部人工器官取付部材を覆って配置した。その組み合わせを、アセンブリのステント部分を内部人工器官取付部材上で圧縮する機械的絞り(mechanical iris)を備えた機械内部に配置した。機械的絞り機械の中に保持しながら、ステントの温度を室温(約22℃)から約5℃へ下げた。その下げた温度で絞り装置を作動させて、ステントを内部人工器官取付部材上で圧縮、すなわちつぶした。冷却されかつ圧縮された形状の状態で、カテーテル、内部人工器官取付部材及びステントを、本発明のシース−展開ラインの内部に配置した。
【0061】
最終的な展開システムの長さと等しい長さの、あるいはそれより長い、シース−展開ラインを以下のように作った。直径の測定値が1.89mmである、ある長さのステンレススチールマンドレル(約1m)を、全長が約200cmのチューブ状押出ePTFE材料で覆った。チューブ状ePTFE材料の外径は1.41mm、壁厚は0.05mm、長手方向の平均引張強度は3.52kgf、円周方向の平均強度は0.169kgfであった。また、チューブ状ePTFE材料の平均質量/長さは0.0473g/ft、平均マトリクス引張強度は69125psiであった。一端で(近位端)でチューブ状ePTFE材料はマンドレル上で一緒に集められ、一方、ePTFE材料の他端(遠位端)はマンドレル上で滑らかなままであった。
【0062】
チューブ状ePTFE材料の最初の数センチメートルを捨てた後、押出ePTFE材料の遠位端(滑らかな端)の次の5cmを以下のようにして複合フルオロポリマー材料で補強した。ePTFE被覆マンドレルを、フィルム巻き付け機械の保持チャックに取り付けた。押出ePTFE材料の滑らかな部分の端から約5cmに位置する第1参照線を、油性ペン(SHARPIE(登録商標))を用いてその材料の周りで円周状に描いた。延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)及びフッ素化エチレンプロピレン(FEP)から作られた幅5cmの複合膜を、複合膜のFEP部分が押出ePTFE材料と接するようにして、押出ePTFE材料上で第1参照線から近位に適用した。押出ePTFE材料の主たる強度がマンドレルの長軸に対して垂直方向に向くように、ePTFEで覆ったマンドレルの周りに複合膜を2回巻き付けた。半田ごてで加熱して、複合膜を押出ePTFE材料の所定位置に最初に仮止めした。ePTFE/FEP複合材料の密度は約2.14g/cm3、厚さは0.005mm、第1方向の引張強度は約340kPa(約49000psi)、第2方向(第1方向に垂直)の引張強度は約120kPa(約17000psi)であった。引張測定は、Instron Tensile Machine(Instron Corporation, Canton, MA)にて、荷重速度200mm/分、あご間隔2.5cm(1インチ)で行った。
【0063】
補強部分に隣接するシース−展開ライン構造物の材料のしわをマンドレルに沿って伸ばして、第1参照線から5cmの材料の周りに第2参照線を描いた。
【0064】
シース−展開ライン構造物の第2部分を以下のようにして補強した。第1補強部分の近位端から5cmの押出ePTFE材料の周りに第2参照線を描いた。第2参照線を用いて上述のePTFE/FEP複合膜のストリップ(幅2cm)を位置合せし、押出ePTFE材料の残りの部分の周りに複合膜を1回巻いて、本発明のシース−展開ラインの第2補強部分を形成した。第2補強部分の長さは約2cmであった。補強用複合膜材料の主な強度成分がマンドレルの軸と平行であったことを除き、その補強用複合膜材料を上述のように押出ePTFE材料に取り付けた。
【0065】
ePTFEの犠牲層を構造物の周りへ密接に適用して、構造物中に捕らわれた空気を除去した。構造物の補強部分の周りに、幅1インチ(2.54cm)のePTFEフィルムをらせん状に重ねて巻いた。2層のePTFEフィルムをある方向に適用し、2層を反対方向に適用した。次に、犠牲層を備えた構造物を320℃に加熱したオーブン内に8分間置いた。加熱したオーブンから取り出して、その組み合わせを室温まで放冷した。その後犠牲ePTFE材料を除去した。
【0066】
次に、構造物をマンドレルから取り外し、別のマンドレル(直径1.83mm×長さ30.5cm)を、構造物の補強した端部に挿入した。補強した端部をマンドレルで支持しながら、シース−展開ライン構造物の補強部分に対して近位に長さ5mmのスリットを作った。第2のマンドレルが構造物から出てくる5mmスリットまで、第2のマンドレルを構造物の内側に配置した。近位端をフィルム巻き付けチャックのチャック内に配置し、補強した構造物とマンドレルを動かないようにしながら、フィルム巻き付け機械を約2800回回転することによって、シース−展開ライン構造物の近位部分をフィラメントに変換した。構造物をフィラメントへと紡いだ後、設定450℃の半田ごてでフィラメントをさっと加熱することによりフィラメントを強化した。強化フィラメントを約320℃に加熱された直径1.8cm×長さ3.8cmのだぼ(dowel)上に通すことによって、そのフィラメントを滑らかにしその直径をより均一にした。フィラメントは、かるく張力を与えて、角度45度で加熱しただぼの上を通された。フィラメントの全長にわたってこの処理をあと2回繰り返した。
【0067】
本発明のシース−展開ラインのフィラメント部分を、プライマリカテーテルの管腔に通して制御ノブへつないだ。制御ノブは、プライマリカテーテルの近位端に位置するハブの部分であった。シース−展開ラインの展開ライン部分を引くと、シース部分がステントの周りから引き込まれた。
【0068】
例2:この例では、本発明の展開システムの組み立てを説明する。このシステムの組み立ては、拡張可能なステントを収容するための遠位カテーテルシャフトを用意することから始まる。遠位カテーテルを用意したら、拡張可能なステントをシース−展開ラインの内部に配置した。この組み合わせの遠位カテーテル部分を、プライマリカテーテルシャフトに取り付けた。次に、プライマリカテーテルを経由して制御ノブへと展開ライン部分を通した。制御ノブは、プライマリカテーテルの近位に位置するハブの部分であった。シース−展開ラインのシース部分は二重壁チューブ形状であった。
【0069】
長さ3インチのチューブ状材料を遠位カテーテルシャフトとして使用するために、Burnham Polymeric, Inc., Glens Falls, NYから入手した。チューブは、一般にPEBAX(登録商標)樹脂として知られるポリエーテルブロックアミド材料から作られており、ステンレススチール編組で補強されていた。外径(OD)は1.01mmであって、内径(ID)は0.76mmであった。次に、圧縮可能な材料の形状である内部人工器官取付部材をカテーテル上に配置した。内部人工器官取付部材をカテーテル上に配置するため、カテーテルを外径0.74mmのマンドレルに載置した。Brancaの米国特許第5814405号(参照により本明細書の一部とする)の教示に従って、多孔質延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)のフィルムを得た。Campbellらの米国特許第6159565号(参照により本明細書の一部とする)に従って、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)の不連続被膜をePTFE材料の片面に適用した。幅2インチのePTFE−FEP複合フィルムの端部を加熱してカテーテルシャフトに取り付けた。初期取付後に、軽く張力を与えながら、フィルムをカテーテルシャフトの周りに45回巻き付けた。フィルムを5回巻き付ける毎に、そして最後の層において、熱でフィルムをそれ自身にさらに取り付ける。この手順により、内部人工器官取付部材が遠位カテーテルシャフト上に提供される。内部人工器官取付部材を覆って拡張可能なステントを取り付ける。内部人工器官取付部材は、貯蔵中、移植部位への送達中、及びその移植部位における拡張可能なステントの展開中に、拡張可能なステントをカテーテルシャフト上に保持する手段を提供する。必要に応じて、内部人工器官取付部材を、シリコーン、ウレタン、及び/又はフルオロエラストマーなどの、弾性材料の薄い被膜で補強してもよい。
【0070】
8セル、直径6mmのニチノールステントを、Medinol Ltd., Tel−Aviv, Israelから入手した。拡張状態のステントをカテーテルの内部人工器官取付部材を覆って配置した。その組み合わせを、アセンブリのステント部分を内部人工器官取付部材上で圧縮する機械的絞り(mechanical iris)を備えた機械内部に配置した。機械的絞り機械の中に保持しながら、ステントの温度を室温から約5℃へ下げた。その下げた温度で絞り装置を作動させて、ステントを内部人工器官取付部材上で圧縮、すなわちつぶした。冷却されかつ圧縮された形状の状態で、カテーテル、内部人工器官取付部材及びステントを、本発明のシース−展開ラインの内部に配置した。
【0071】
最終的な展開システムの長さと等しい長さの、あるいはそれより長い、シース−展開ラインを以下のように作った。直径の測定値が1.73mmであるステンレススチールマンドレルを、ePTFEの犠牲層で覆った。犠牲ePTFE材料は、マンドレルからのシース−展開ラインの除去を補助する。薄いポリテトラフルオロエチレン(PTFE)膜を2巻きマンドレルに適用した。フィルムの主たる強度がマンドレルの長軸と平行方向に向くようにePTFE膜を適用した。半田ごてで加熱して、フィルムを所定位置に最初に仮止めした。膜の厚さを測定すると約0.0002インチ(0.005mm)であり、第1方向の引張強度は約49000psi(約340kPa)、第2方向(第1方向に垂直)の引張強度は約17000psi(約120kPa)であった。引張測定は、荷重速度200mm/分、あご間隔1インチ(2.5cm)で行った。膜の密度は約2.14g/cm3であった。Campbellらの米国特許第6159565号(参照により本明細書の一部とする)に従って、FEP被膜を片面に適用することによって、膜をさらに改質した。次に、Bacinoの米国特許第5476589号の教示に従ってePTFEフィルムを作り、そのePTFEフィルムの片面に適用したFEP材料の不連続層を用いてさらに改質した、別のePTFEフィルムを2巻き、その構造物の一端に適用した(幅約1インチ)。米国特許第5476589号は参照により本明細書の一部とする。これらの2巻きの有する、フィルムの主たる強度方向は、マンドレルの長軸と垂直方向に向いていた。これらのフィルム層は、付加的な「輪(hoop)」又は「放射状」の強度をシース−展開ライン構造物に付与する。マンドレル及びシース−展開ライン構造物を、The Grieve Corporation, Round Lake, ILから入手した空気対流式オーブン内に配置し、320℃、12分の熱処理を施した。空冷後、ePTFE/FEPチューブ構造物をマンドレルから取り外し、犠牲ePTFE層を除去した。この例では、ステントの端を超えて延在する長さのシース−展開ラインが提供された。シース−展開ラインの余った長さを、ステントを封入するシース部分の上に折り返して、二重壁構造を形成した。二重壁シース−展開ラインは内部壁及び外部壁を有していた。内部壁はステントと接しており、外部壁は構造物の一体化した展開ライン部分を包含していた。次に、標準的な材料を用いて加熱して、その構造物をプライマリカテーテルシャフトに取り付けた。
【0072】
シース−展開ラインの展開ライン部分は、シース−展開ラインをその長さに沿って近位端からステントを封入するシース部分まで(但しシース部分は含まない)裂くことによって作られた。こうして得られた材料を丸めることによって、その材料をフィラメントへと集束させた。材料を加熱してその材料をフィラメント形状に固定した。展開ラインフィラメントを、プライマリカテーテルの管腔に通して制御ノブへつないだ。制御ノブは、プライマリカテーテルの近位端に位置するハブの部分であった。シース−展開ラインの展開ライン部分を引くと、シース部分がステントの周りから引き込まれた。
【0073】
例3:この例では、シースに孔及び意図的な応力集中部を導入することによる、シース−展開ラインのシース部分から展開ラインへの変換を開始又は維持する手段の導入を説明する。
【0074】
例2からのシース−展開ラインを以下のように変更する。シース部分を二重壁構造物へと丸めてその中にステントを充填する前に、シースに孔を開ける、及び/又は展開ライン部分を引き込む際に、チューブ状シースの分離を容易にする「応力集中部」をシースに提供する。孔又は応力集中部を作るのに適切なレーザーは、Universal Laser Systems, Scottsdale, AZから入手される20ワットのCO2レーザーである。シース部分に孔を形成するために、シースを、サンドブラスト処理ステンレススチールマンドレルに配置し、レーザーに暴露して、二重壁構造物の外部壁として後程機能することになるチューブの部分に一連の穴を切り抜く。穴の寸法は用途に応じて様々であってよい。孔を開けたシース部分を、例2で説明した本発明の展開ラインシステムに使用する。この例では、カテーテルのハブ端において展開ライン部分に与える張力によって、シースがステントの周りから引き込まれ、かつシースが孔の位置で引き離される。シース部分が分離すると、シース材料は展開ラインへと変換可能になる。
【0075】
例4:この例では、適切な分裂手段を使用することによる、シース−展開ラインのシース部分から展開ラインへの変換を開始又は維持する手段の導入を説明する。
【0076】
例2からのプライマリカテーテルを以下のように変更する。カテーテル主部について、展開ライン部分がカテーテル管腔内に進入する点の180度反対で若干遠位の壁に切り抜きを設ける。切り抜きをさらに変更して、切り抜き内に小さい刃先を設ける。ある実施態様では、熱、接着剤などを用いて、刃先が切り抜きに単純に取り付けられる。他の実施態様では、カテーテルシャフトを補強するために使用した金属編組の一部分を露出させて、その編組を刃先に形成することによって、刃先が形成される。この例では、カテーテルのハブ端部において展開ライン部分に与えられた張力により、ステントの周りからシースが引き込まれ、また孔においてシースが分離する。シース部分が分離すると、シース材料は展開ラインへと変換可能になる。
【0077】
例5:この例では、自己拡張性デバイスとバルーン拡張性デバイスの両方を送達及び展開するのに使用される、本発明の展開システムの組み立てを説明する。この例の展開システムは、膨張性バルーン形状の内部人工器官取付部材を利用する。
【0078】
最終的な展開システムの長さと等しい長さの、あるいはそれより長い、シース−展開ラインを以下のように作る。直径の測定値が1.73mmであるステンレススチールマンドレルを、ePTFEの犠牲チューブで覆う。犠牲ePTFE材料は、マンドレルからのシース−展開ラインの除去を補助する。薄いポリテトラフルオロエチレン(PTFE)膜を2巻きマンドレルに適用する。フィルムの主たる強度がマンドレルの長軸と平行方向に向くようにePTFE膜を適用する。半田ごてで加熱して、フィルムを所定位置に仮止めする。膜の厚さを測定すると約0.0002インチ(0.005mm)であり、第1方向の引張強度は約49000psi(約340kPa)、第2方向(第1方向に垂直)の引張強度は約17000psi(約120kPa)であった。引張測定は、荷重速度200mm/分、あご間隔1インチ(2.5cm)で行う。膜の密度は約2.14g/cm3であった。Campbellらの米国特許第6159565号(参照により本明細書の一部とする)に従って、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)被膜を片面に適用することによって、膜をさらに改質する。次に、Bacinoの米国特許第5476589号(参照により本明細書の一部とする)の教示に従って作られたePTFEフィルムの片面に、FEP材料の不連続層を適用してさらに改質した、2巻きの別のePTFEフィルムを、その構造物の一端に適用する(幅約1インチ)。これらの2巻きの有する、フィルムの主たる強度方向は、マンドレルの長軸と垂直方向に向いている。これらのフィルム層は、付加的な「輪(hoop)」又は「放射状」の強度をシース−展開ライン構造物に付与する。マンドレル及びシース−展開ライン構造物を、The Grieve Corporation, Round Lake, ILから入手した空気対流式オーブン内に配置し、320℃、12分の熱処理を施す。空冷後、ePTFE/FEPチューブ構造物をマンドレルから取り外し、犠牲ePTFE層を除去する。この構造物の拡張可能なステント上への配置、及びこの構造物からの展開ライン部分の形成を、以下に説明する。
【0079】
図10に見られるように、Medinol Ltd., Tel−Aviv, Israelから入手可能なバルーン膨張性NIRflex(商品名)ステント(14)を、送達カテーテルシャフト(19)に載置された、収縮しつぶれている血管形成術用バルーンを覆って配置し、その周りで圧縮する。この血管形成術用バルーンは、Campbellらの米国特許第5752934号(参照により本明細書の一部とする)に従って作られており、W.L. Gore & Associates, Inc., Flagstaff, AZから商品名APTERA(登録商標)血管形成術用バルーンとして入手可能である。APTERA(登録商標)血管形成術用バルーンは、圧縮されたステント(14)を収容し保持するための内部人工器官取付部材(18a)として機能する。
【0080】
ステントが圧縮形状に拘束されている間、ある長さのシース−展開ライン(12)が圧縮されたステントを覆って配置され、ステントの端を超えて延在する。シース−展開ラインの余った長さは、ステントを封入するシース部分の上に折り返されて、二重壁構造を形成する。二重壁シース−展開ラインは内部壁及び外部壁を有する。内部壁はステントと接しており、外部壁は構造物の一体化した展開ライン部分を包含する。
【0081】
シース−展開ラインの展開ライン部分は、シース−展開ラインをその長さに沿って近位端から遠位端に向かってある距離裂くことによって作られる。スリットの長さは、約1cmから、ステントを封入するシース部分に至る(但しシース部分は含まない)シース−展開ライン構造物の実質的に全長までの範囲にできる。展開ライン部分を送達カテーテルの近位端の近くに形成することが好ましい。こうして得られた材料を丸めることによって、その材料をフィラメントへと集束させる。材料を加熱してその材料をフィラメント形状に固定する。シース−展開ラインを、送達カテーテル内に用意された管腔を通し、展開ライン部分が制御ノブに取り付けられているハブにて外に出す。制御ノブは、プライマリカテーテルの近位端に位置するハブの部分である。シース−展開ラインの展開ライン部分に張力を与えると、シース部分はステントの周りから引き込まれる。シース部分を下にあるステントから除去すると、ステントは自由に拡張する。この例のNIRflex(商品名)ステントは、APTERA(登録商標)血管形成術用バルーンを膨張させることにより拡張する。ステントが拡張したら、バルーンを収縮し、シース−展開ライン構造物と一緒に送達カテーテルを移植レシピエントから除去する。自己拡張性ステントを本発明において使用する場合、バルーンは内部人工器官取付部材として有用である。
【0082】
例6:この例では、本発明の展開アセンブリを利用した本発明の展開システムの組み立てを説明する。
【0083】
上述の例のいずれかによる展開システムを、本発明の展開アセンブリと一緒に使用できる。説明目的のため、この例では、膨張性バルーン形状の内部人工器官取付部材を有する例5に記載した展開システムを参照して説明する。
【0084】
図14〜17に見られるように、送達カテーテルの管腔(111)が例5に記載の膨張性の内部人工器官取付部材及び展開アセンブリ(100)の第1の加圧可能室(109)と流体連通している(32)ように、本発明の展開アセンブリ(100)が送達カテーテル(101)につながれて構成される。
【0085】
この例では、プラスチックシリンジ形状の第1の加圧可能室(109)を、室内で動かすための手段(104、106)に取り付けられたゴムプランジャ(102)と嵌め合わせて、展開システム内の圧力を発生、維持又は低下させた。展開ライン部分を作動させる手段を、第1の加圧可能室(109)と流体連通した第2の加圧可能室(124)の形状で設けた。プラスチックシリンジ形状の第2の加圧可能室の中に移動可能なゴムピストン(122)を配置し、プラスチックの接続ロッド(120)を介して展開ライン部分に取り付けた。
【0086】
プランジャ(102)を第1の加圧可能室(109)の中に動かすと、室(102)、カテーテル管腔(111)及び内部人工器官取付部材の中の流体圧が増加して、内部人工器官取付部材が、上を覆う拡張可能なバルーンNIRflex(商品名)ステント(14)に対して半径方向の力を及ぼした。同時に、第2の加圧可能室(124)内の流体圧が増加してピストン(122)が動き始めて、取り付けられた展開ライン(114)を作動させ、拡張可能なバルーンNIRflex(商品名)ステント(14)からシースを引き込んだ。
【0087】
例7:この例では、本発明の展開システムに圧力貯蔵装置をさらに取り付ける。図18〜20に示すように、様々な圧力貯蔵装置を、内部人工器官取付部材と流体連通した展開システムに取り付けることができる。
【0088】
この例の圧力貯蔵装置(130)は、シリンジ内を移動可能なゴムプランジャ形状のダイアフラム(132)を有する展開システムにプラスチックシリンジを取り付けることによって作られる。ダイアフラム(132)は、圧縮可能気体(136)を収容する第1の気密室(139)及び膨張性の内部人工器官取付部材(18a)の管腔と流体連通した第2室(137)を画定する。加圧可能室(109)及び内部人工器官取付部材(18a)の中の圧力が増加すると、第1室(139)の圧縮可能気体(136)の圧力が増加する。加圧可能室(109)に圧力を与えるのを止めると、第1の気密室(139)内の圧縮された気体(136)はダイアフラム(132)を押し、展開システム内の流体に圧力を及ぼして、内部人工器官取付部材(18a)内の流体圧を維持又は増加する。
【0089】
本発明の特定の実施態様をここで説明及び記載したが、本発明はそのような説明及び記載に限定されない。以下の特許請求の範囲内で本発明の一部として、変更及び変形を組み合わせて具現化してもよいことは明らかである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して移植可能な医療デバイスアセンブリに関する。特に、本発明は、移植レシピエントの脈管構造、心臓構造又は他の生物学的構造の内部に拡張可能な医療デバイスを展開するための手段に関する。
【背景技術】
【0002】
心臓構造、脈管構造又は他の生物学的構造(例えば胆道系構造)を修復又は強化するための、様々な移植可能な医療デバイスが近年開発されている。これらのデバイスのいくつかは、いわゆる介入性技術、又は血管内技術によって、特定の脈管構造又は心臓構造の内側に移植可能である。介入性技術は、便利な位置にある動脈又は静脈を介して脈管系に外科的に接近すること、及びその動脈又は静脈の接近点を介して医療デバイスアセンブリの遠位部分を脈管系に導入することを伴う。医療デバイスアセンブリを脈管系に導入したら、手動操作の制御手段を有するアセンブリの近位部分を、移植レシピエントの体外に残したまま、脈管構造を通して移植部位へとそのアセンブリを通す。次に、アセンブリの医療デバイス部品を移植部位に置き、接近点を介して医療デバイスアセンブリの遠位部分の残りを脈管系から取り除く。
【0003】
典型的な介入性医療デバイスアセンブリとしてカテーテルが挙げられる。カテーテルは、医療デバイスを移植部位に正確に配置することに加えて、移植部位における医療デバイスの展開に関与するように使用できる。あるカテーテルは、医療デバイスの配置及び展開を補助するために、カテーテルの長さにわたって走るガイドワイヤを有する。ガイドワイヤの代替として、カテーテルが、カテーテルの長さ方向で内側を走るインナースリーブを備えた同軸構造であってもよい。インナースリーブは、アウターカテーテルを引き戻してデバイスを展開させつつ、移植可能な医療デバイスを所定位置に保持するために使用される。ハンドル、ノブ又は他の手動操作の制御手段が、この種類のアセンブリにおいてカテーテルの反対端に取り付けられる。
【0004】
ある移植可能な医療デバイス、例えばステント、ステントグラフト又は他の腔内デバイスは、デバイスを移植部位で展開する際に、初期の圧縮形状から拡張した円筒形状へと、再び形状変化させる必要があることが多い。これらのデバイスは、その構造要素の設計及び構成によってそれ自体で拡張可能であるか、あるいはデバイスの内側に配置された膨張性バルーンを使用することによって拡張可能である。
【0005】
自己拡張性腔内医療デバイスは、様々な方法で圧縮形状に維持される。あるデバイスは、カテーテル又は同様の道具の内側に、圧縮したデバイスを単に拘束することにより、その圧縮形状に維持される。他のデバイスは、圧縮後にシース内側に配置される。これらのアセンブリにおいては、シースからの腔内デバイスの解放を補助するために、制御ラインを使用することが多い。
【0006】
Leopoldらの米国特許第6352561号では、シースが拡張可能な腔内デバイスの周りに形成され、制御ラインがシースを腔内デバイスの周りに維持するために使用される。シースは、ある長さのポリマー材料を半分に折り畳み、制御ラインと一緒に両端を縫い合わせることによって形成される。縫い合わせパターンにより、制御ラインの近位端を引くことによりシースから制御ラインを除去することが可能になる。制御ラインがシースから解かれるにつれ、腔内デバイスはシース内部の拘束から次第に解放される。制御ラインはアセンブリから別個の物として取り除かれ、同時にシースは移植部位に残る。
【0007】
Andersonらの米国特許第5647857号では、腔内デバイスが、シースによってカテーテル上でつぶれた形状で保持される。アセンブリには、自由な端部及びカテーテルのカラー(襟)部品に取り付けられた端部を有する制御ラインが備わっている。シースは、制御ラインを引くことによって腔内デバイスから除去される。制御ラインを引くと、制御ラインはシース材料を遠位端から近位端へと切り開いて分裂させる。シースが分裂して開くと、腔内デバイスは自由になって半径方向に拡張する。Leopoldらとは異なり、制御ラインは、腔内デバイスの展開後も、シース及びカテーテルアセンブリに機械的に取り付けられたままでいる。
【0008】
Fontaineらの米国特許第6447540号では、Andersonらと非常に類似して、医療従事者によって引かれたときにシース材料を切り開いて分裂させる制御ラインを用いて、拘束シースが腔内デバイスの周りから除去される。Leopoldらと同様に、制御ラインはアセンブリから別個の物として完全に除去可能である。
【0009】
St. Germainらの米国特許第5534007号では、つぶして長さ方向に沿って短くできる単壁シースがステントの周りに配置される。シースの遠位部分が引き込まれるとステントがむき出しになる。むき出しのステントは自由になって拡張する。取り付けられた制御ラインは、シースをステントから除去する手段として、つぶすことが可能なシースに引く力を及ぼすために使用可能である。制御ラインは、ステントの展開中及び展開後も、シースに取り付けられたままでいる。
【0010】
Vrbaらの米国特許第6059813号では、腔内デバイス用の二重壁拘束シースが記載されている。これらの部品から作られるアセンブリでは、腔内デバイスがつぶれた形状でカテーテルシャフト上に配置される。アウターチューブは、カテーテル上を摺動自在な関係で配置される。アウターチューブの遠位端は腔内デバイスを覆うように延在せず、二重壁シースがつぶれた腔内デバイスの上に配置される。シースの内部壁は、腔内デバイスの近位端近くのカテーテルシャフトに取り付けられる。二重壁シースの外部壁は、アウターチューブに機械的に取り付けられる。カテーテルに対してアウターチューブを動かすことによって、シースの外部壁がシースの内部壁を過ぎて移動する。近位方向にアウターチューブを動かすと、シースが引っ込んで下にある腔内デバイスをむき出しにする。シースが引っ込むと、腔内デバイスが自由になって拡張するようになる。制御ラインは、アウターチューブに機械的に取り付けられ、アウターチューブを動かしシースを引き込むように機能する。
【0011】
これらの医療デバイスアセンブリのいずれも、シースと一体化した制御ラインを利用していない。また、これらのアセンブリは、拡張可能な医療デバイス、例えば腔内デバイスの周りからシースが除去されたときに、制御ラインへと変換可能なシースを特徴としてもいない。そのような一体化した制御ライン及び拘束シースであれば、連続の薄壁材料又はその複合材料から作られることが好ましい。その薄壁材料は可撓性であり、下にある拡張可能な医療デバイスの可撓性に及ぶ制約は最小限に留まる。また、薄壁材料は、シース及び拡張可能な医療デバイスの組み合わせの外形を小さくする。一体化した制御ライン及び拘束シースは、制御ラインをシースに機械的に取り付ける必要性をなくすことによって、制御ライン−シース構造物の製造を簡略化する。また、一体化した制御ライン及び拘束シースは、制御ラインをシースに機械的に取り付ける信頼性に関する懸念も解消する。さらに、適応性(compliance)、圧縮性、回復弾性(resilience)及び/又は拡張性を示す、材料、複合材料、構造物及び/又はアセンブリを、シースに拘束された拡張可能な医療デバイスと送達カテーテルの間に包含させることは、拡張可能な医療デバイスを送達カテーテル上に衝撃を和らげて保持することに役立つだけでなく、ある実施態様では拡張可能な医療デバイスの拡張を補助することにも役立つ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
拘束シースが徐々に拡張可能な医療デバイスから除去されるときに、拡張可能な医療デバイスを正確に展開する、信頼性の高い展開システムが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、拡張可能な医療デバイス用、好ましくは腔内医療デバイス用の展開システムを対象とする。好ましい実施態様では、拡張可能な医療デバイスは、デバイス内部に配置された「内部人工器官取付部材」又は他の拡張手段を用いて拡張可能である。さらに別の実施態様では、拡張可能な医療デバイスは膨張性バルーンである。拡張可能な医療デバイスは、好ましくは引き込み可能なシース形状の、除去可能な拘束具によって、圧縮された形状、又はつぶれた形状に維持される。好ましい実施態様では、拘束具に取り付けられた又は組み入れられた展開ラインに張力を与えることによって、拡張可能な医療デバイスの周りからシースが除去される。最も好ましい実施態様では、展開ラインは、拘束シースと一体化し連続した延長部分であって、シースと同じ材料で作られる。展開ラインが引かれると、シースは拡張可能な医療デバイスの周りから次第に除去される。拡張可能な医療デバイスの一部の周りからシースが除去されると、拡張可能な医療デバイスのその部分は自由になって、下にある内部人工器具取付部材によって拡張可能になる。拡張可能な医療デバイスの全体が、半径方向の拘束から自由になって、内部人工器官取付部材によって自己拡張または拡張するまで、シースの除去は継続される。残存するシース材料があればその材料と一緒に、展開ライン及び内部人工器官取付部材が、シースに覆われた拡張可能な医療デバイス及び下にある内部人工器官取付部材を移植部位に送達するために使用したカテーテルを通して、その部位から除去される。
【0014】
ステント形状の拡張可能な医療デバイスを使用する実施態様では、内部人工器官取付部材、又は他の拡張手段、好ましくはバルーンを膨張することによって、シースをステントの周りから除去してもよい。本発明の展開ライン部分及び/又は運動エネルギーを保存し解放することが可能な機構の助けを借りて、シースが除去される。図13に見られるように、その機構を本明細書では「能動弾性要素(25)」と呼び、その機構は、本発明の展開ライン部分及び/又はシース部分に組み込まれたスプリング要素の形状を取ることが好ましい。その代わりに、能動弾性要素が、ゴムバンドの形状、及びフルオロエラストマーなどの弾性ポリマー状であってもよい。
【0015】
除去可能なシースは、1又は複数の薄くて可撓性のポリマー材料(それらの複合材料を含む)から作られる。シースは、拡張可能な医療デバイス、例えば腔内デバイスを拘束する場合に、普通は連続の薄壁チューブの形状を取る。
【0016】
本発明の薄壁シースの及ぼす、下にある拡張可能な医療デバイスの長手方向の屈曲に対する抵抗は最小限である。また、薄壁シースは、従来の拘束具と比較して、シース−拡張可能な医療デバイスの組み合わせの外形を小さくする。好ましい実施態様では、二重壁のチューブ状シースを使用する。二重壁は、ある壁を他の壁に対して摺動させて、拡張可能な医療デバイスの周りからシースを引き込むことを可能にする。このようにして、シースを引き込む、又は広げる(unroll)時に、シース部分は、下にある拡張可能な医療デバイスを擦ったり引っかいたりしない。このことは、シースを拡張可能な医療デバイスから除去する際に、そのデバイスを擦ったり引っかいたりするシースによって乱されうる拡張可能な医療デバイスの表面に、潤滑剤、薬剤及び/又は医薬品を含有する被膜を配置する場合に特に有利である。
【0017】
展開ラインは、除去可能なシースと同じ材料から形成され、シース材料の一体化延長部分である。ある実施態様では、展開ライン部分(16)は、シース部分(12、12a)から送達カテーテル(19)を通って、カテーテル(図3〜7)の近位端に位置する展開アセンブリ(図14〜17)まで延在する。これらの実施態様では、シース部分は、拡張可能な医療デバイスを超え展開システムの遠位端に向かって、近位方向に延在する(図5)。好ましい実施態様では、シースは、下にある送達カテーテルを覆って、シース部分が展開ライン部分へと変形する点まで、所望の長さ延在する(図7)。より好ましい実施態様では、シース部分は、展開ラインへと変形する前に、送達カテーテルの実質的に全長にわたって延在する。最も好ましい実施態様(図11)では、シース−展開ライン構造物(12)の少なくとも一部分が、第2カテーテル(19a)又はカテーテル管腔の内部、あるいは延伸多孔質ポリテトラフルオロエチレンチューブなどの他の拘束デバイスの内部に封入される。本発明では、展開ラインを作動させつつ同時に内部人工器官取付部材を拡張する展開アセンブリが提供される。展開ラインを作動させると、除去可能なシースが、拡張可能な医療デバイスの周りから移動し始める、あるいは引き込まれ始める。
【0018】
ある実施態様では、除去されたシース材料がシースの後退端(receding end)を超えて移動すると、シースは展開ラインへと変換され始める。シースから展開ラインへの変換は、チューブ状シースが分裂し、分離して、展開ライン材料へと収束する点から一般に開始する。好ましい実施態様では、シースから展開ラインへの変換を開始又は維持するための手段が提供される。これらの手段は、シース材料に導入された、孔、応力集中部、又は他の機械的弱点の形状を取ってよい。また、これらの手段は、送達カテーテル上にある刃先又は鋭い表面であってもよい。
【0019】
好ましい実施態様では、適応性、圧縮性、回復弾性及び/又は拡張性を示す、材料、複合材料、構造物及び/又はアセンブリが、腔内デバイスと送達カテーテルの間に配置されて、「内部人工器官取付部材」を提供する。内部人工器官取付部材は、シースによって拘束されたときに拡張可能な医療デバイスの衝撃を和らげるのに役立つものであり、解放されたときにデバイスの拡張を補助してもよい。また、内部人工器官取付部材は、下にあるカテーテルシャフトの周りで拡張可能な医療デバイスを所定位置に固定して保持するために役立つ。内部人工器官取付部材を用いて拡張可能な医療デバイスを固定すると、拡張可能な医療デバイスの両端にバリア手段又は保持手段を必要としなくなる。バリア手段がないことは、展開システムの外形を小さくすることに加えて、システムの遠位部分の可撓性を増大することに寄与する。また、送達カテーテルにより作られた一般経路から展開ライン部分が外れることを防ぐために、本発明物に、シース−展開ライン用の追加カテーテル又はカテーテル管腔を付与することも可能である。好ましい内部人工器官取付部材の形状は、膨張性バルーン、あるいは拡張可能なバルーンである。また、本発明は、単独で又は他の拡張可能な医療デバイス送達手段と組み合わせて使用することが可能である。また、本発明を用いて、複数の拡張可能な医療デバイスを送達することも可能である。
【0020】
本発明では、展開システムは、カテーテル型送達システムのシース部品をその下にある拡張可能な医療デバイスの周りから引き込みながら、同時に、その送達システムの内部人工器官取付部材部品を使用してその上にある拡張可能な医療デバイスに半径方向の力を及ぼす。このようにして拡張可能な医療デバイスを徐々に展開させることにより、患者の脈管構造中におけるデバイスの位置調整を、デバイスが最終的に展開する前に行うことができる。その上、完全に拡張しないか所望するほど素早く拡張しない拡張可能な医療デバイスを用いる場合に、この展開システムは特に有用である。ある実施態様では、展開アセンブリは、内部人工器官取付部材の内部に配置されたコントラスト媒体を含んで、拡張可能な医療デバイスをより良好に画像化可能にするバックグラウンドを提供する。
【0021】
従って、本発明の一実施態様は、内部人工器官取付部材と、前記内部人工器官取付部材上に配置された拡張可能な医療デバイスと、前記拡張可能な医療デバイスの少なくとも一部を覆って配置された拘束具と、前記内部人工器官取付部材、拘束具及び拡張可能な医療デバイスを組み入れた送達カテーテルとを含む医療デバイス用の移植システムであって、前記拡張可能な医療デバイスが、前記拘束具を前記拡張可能な医療デバイスから引き込みつつ同時に前記内部人工器官取付部材を拡張することによって展開される。
【0022】
他の実施態様では、本発明は、近位端、ある長さ、及び遠位端を有するカテーテルチューブと、前記カテーテルチューブの遠位端に配置された内部人工器官取付部材と、前記内部人工器官取付部材を覆って配置され、そして上にある引き込み可能なシースで覆われた、拡張可能な医療デバイスとを含む、医療デバイス展開システムであって、前記シースには、前記カテーテルチューブの内側を走って前記カテーテルチューブの近位端でアクチュエータに取り付けられた展開ラインが組み入れてあり、前記アクチュエータが、前記内部人工器官取付部材を拡張するために、前記人工器官取付部材の管腔と流体連通した手段と結合しており、それによって、上にある前記シースが前記拡張可能な医療デバイスから引き込まれると同時に、前記内部人工器官取付部材が拡張する。
【0023】
さらに別の実施態様では、本発明は、第1の加圧可能室を画定する容器であって、前記第1の加圧可能室が開口部を有し、前記開口部が、内部人工器官取付部材を組み付けた送達カテーテルに取り付けられかつ前記第1の加圧可能室と前記内部人工器官取付部材の管腔の間に流体の連通を提供するように構成されている、容器と、前記第1の加圧可能室の内部に配置された移動可能なプランジャであって、前記プランジャを動かしたときに、前記内部人工器官取付部材の管腔中に流体圧を作り出して維持するためのプランジャと、前記移動可能なプランジャに結合された展開ラインアクチュエータとを含む、カテーテル型送達システム用展開アセンブリである。
【0024】
さらに別の実施態様では、同軸シースへと移行する展開ラインを含むシース・プル・バック・カテーテルの場合、本発明では、カテーテル突き出し部の内部に展開ラインの長さの大部分が包含される。システムの展開精度は、展開ラインをカテーテルの管腔の1つに完全に挿入するための、カテーテル内の長手方向のスリット又は溝を利用することによって改善される。スリットは、シースを引き込むときに、展開ラインとシースとの接合部がカテーテルの長さに沿って移動することを可能にする。展開ライン/シースの接合部の近位の位置でカテーテル内側に展開ラインを位置させる利点は、カテーテルの近位端の外径を、展開中に完全に変化させないことである。
【0025】
さらに別の実施態様では、引き込み可能なシースが高密度ePTFE膜から構築され、その膜の高密度で、滑らかな、潤滑性の接触面のおかげで展開力が低減可能になる。
【0026】
また、これら及び他の実施態様に、内部人工器官取付部材の過圧を防止するための、加圧室と流体連通した圧力解放バルブが含まれてもよい。また、封入された気体袋(gas bladders)又は他の「圧力キャパシタ」が、内部人工取付部材の加圧の維持を補助するように、加圧室内に配置されてもよい。
【0027】
本発明の展開システムの持つ、これらの向上した特徴及び他の属性は、以下の説明を概観することにより、さらに良く理解される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明物の長手方向の横断面を示す。
【図1A】図1の拡大図である。
【図2】本発明物の斜視図である。
【図3】本発明物の長手方向の横断面を示す。
【図3A】図3の拡大図である。
【図4】本発明物の長手方向の横断面を示す。
【図4A】図4の拡大図である。
【図5】本発明物の長手方向の横断面を示す。
【図5A】図5の拡大図である。
【図6】本発明物の長手方向の横断面を示す。
【図6A】図6の拡大図である。
【図7】本発明物の長手方向の横断面を示す。
【図7A】図7の拡大図である。
【図7B】矢印の示す方向から見た、図7Aの実施態様を示す。
【図7C】矢印の示す方向から見た、図7Aの実施態様を示す。
【図8】脈管構造又は心臓構造の内部に配置された、本発明物の長手方向の横断面図を示す。
【図8A】脈管構造又は心臓構造の内部に配置された、本発明物の長手方向の横断面図を示す。
【図9】内部人工器官取付部材を覆って配置されたカバーを備えた、本発明物の長手方向の横断面図である。
【図9A】内部人工器官取付部材を覆って配置されたカバーのない、本発明物の長手方向の横断面図である。
【図10】下にある送達カテーテルと拡張可能な医療デバイスの間に配置された内部人工器官取付部材を備えた、本発明物の長手方向の横断面を示す。
【図10A】内部人工器官取付部材が部分的に拡張した形状であり、シースが部分的に引き込まれた形状であり、拡張可能な医療デバイスが部分的に拡張した形状である、図10の長手方向の横断面を示す。
【図11】シース−展開ライン構造物の実質的に全長を覆うように配置されたアウターカテーテル又はチューブを有する、本発明物の長手方向の横断面を示す。
【図12】本発明のシース−展開ラインを備え、つぶして折り畳まれて第2寸法へと拘束された、第1寸法を有する膨張性バルーン形状の拡張可能な医療デバイスが示された、本発明物の長手方向の横断面を示す。
【図13】拡張可能な医療デバイスの周りからシースを除去する手段として、本発明のシース部分に取り付けられた能動弾性要素が示された、本発明物の横断面を示す。
【図14】内部人工器官取付部材を加圧し膨張させるための、カテーテル管腔と流体連通した室と、その室内にあるプランジャとを有する、本発明の展開アセンブリを示す。プランジャは、軸及びベベルギアを介してラックアンドピニオンギアの組み合わせに結合されている。実際には、プランジャを作動させて、内部人工器官取付部材を同時に加圧し膨張させつつ、ピニオンギアを作動させて、ラックを移動しかつ展開システムのシース部品に取り付けられた、あるいは組み込まれた、展開ライン又はロッドを引き込む。
【図15】内部人工器官取付部材を加圧し膨張させるための、カテーテル管腔と流体連通した室と、その室内にあるプランジャとが示された、本発明の展開アセンブリを示す。プランジャは、軸及びベベルギアを介してスプール、リール又はドラムに結合されている。実際には、プランジャを作動させて、内部人工器官取付部材を同時に加圧し膨張させ、かつスプールを回転させて、展開システムのシース部品に取り付けられた、あるいは組み込まれた、展開ライン又はロッドを引き込む。
【図16】内部人工器官取付部材を加圧し膨張させるための、カテーテル管腔と流体連通した室と、その室内にあるプランジャとが示された、本発明の展開アセンブリを示す。プランジャは、プーリーを介して展開ライン、ロッド又は引き込み可能なシースに結合されている。実際には、プランジャを作動させて、膨張性バルーンを同時に加圧し膨張させ、かつプーリーを介して展開ライン、ロッド又は引き込み可能なシースを移動させて、展開システムの展開ライン、ロッド又は引き込み可能なシース部品を引き込む。
【図17】内部人工器官取付部材を加圧し膨張させるための、カテーテル管腔と流体連通した第1室と、その室内にあるプランジャとが示された、本発明の展開アセンブリを示す。第2室が、第1室及びカテーテル管腔と流体連通した状態で、アセンブリに取り付けられている。ピストンが第2室内に配置され、展開システムの展開ライン、ロッド又は引き込み可能なシース部品に取り付けられている。実際には、プランジャを作動させて、膨張性の内部人工器官取付部材を同時に加圧し膨張させつつ、ピストンを移動させて、展開システムの展開ライン、ロッド又は引き込み可能なシース部品を引き込む。
【図18】本発明の圧力貯蔵部品を示す。
【図19】本発明の圧力貯蔵部品を示す。
【図20】本発明の圧力貯蔵部品を示す。
【図21A】シースを引き込む前の、長手方向の開口部を備えた本発明のシース・プル・バック・カテーテルを示す。
【図21B】シースを引き込む前の、長手方向の開口部を備えた本発明のシース・プル・バック・カテーテルを示す。
【図21C】シースを引き込む前の、長手方向の開口部を備えた本発明のシース・プル・バック・カテーテルを示す。
【図22A】シースを引き込んだ後の、長手方向の開口部を備えた本発明のシース・プル・バック・カテーテルを示す。
【図22B】シースを引き込んだ後の、長手方向の開口部を備えた本発明のシース・プル・バック・カテーテルを示す。
【図23A】腔内デバイスの展開時の本発明における相対的非回転移動を示す。
【図23B】腔内デバイスの展開時の本発明における相対的非回転移動を示す。
【図24】静的状態から動的状態への移行に必要な初期力が材料依存性であることを示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明は、シースの一体化部分である展開ライン又はフィラメントを備えた除去可能なシースを有する、拡張可能な医療デバイス用、例えば腔内デバイス用の展開システムを対象とする。図12の「x」矢印及び「y」矢印の間の空間における相対差によって示されるように、シース部分(12)は、腔内デバイス(18a)を、シースがないときに可能な外形より小さい外形に拘束する。貯蔵中及び患者の脈管系への導入中、シースは、拡張可能な医療デバイスを圧縮された又はつぶれた形状に半径方向に拘束する、あるいは閉じ込める。カテーテルを用いてデバイスが脈管構造内又は心臓構造内の移植部位へ送達されるまで、拘束シースは拡張可能な医療デバイスを圧縮形状に維持する。展開時に、シースは拡張可能な医療デバイスから引き込まれる。ある実施態様では、シースが拡張可能な医療デバイスから除去されるときに、シース材料が展開ライン材料へと変換されてもよい。シースが拡張可能な医療デバイスから除去されると、拡張可能な医療デバイスは自由になって拡張する。拘束シースから自由になると、拡張可能な医療デバイスは自発的に又は内部人工器官取付部材の助けを借りて拡張しうる。残存するシース材料があれば、その材料を展開ラインと一緒に移植部位から除去してもよい。
【0030】
本発明の展開システムは、内部人工器官取付部材の拡張と同時に、拘束シースを引き込むことを可能にする。また、本発明は、内部人工器官取付部材の拡張及び拡張可能な医療デバイスからの拘束シースの除去を同時に達成する展開アセンブリを対象とする。
【0031】
一体化したシース−展開ラインは、構造物の長さに沿って連続した可撓性ポリマー材料であることが好ましい。シース部分の物理的特性及び機械的特性については、拡張可能な医療デバイスを拘束するために使用したシース部分の長さ全体にわたって均一かつ均質であることが好ましい。大半の拡張可能な医療デバイスは一般に円形の円筒形状であるため、大半又は全ての拡張可能な医療デバイスを封入するために、シースがチューブ形状であることが好ましい。シースについて、円錐、先細又は他の適当な形状もまた、本発明において想定される。シースの可撓性は、シースの壁を実施可能な限り薄く作ることによって高められる。本発明の一実施態様(20)では、シース−展開ラインのチューブ状シース部分(12a)は単壁を有する(図3)。展開ライン部分は、単壁シース(12a)の両端から延在してもよい。拡張可能な医療デバイスの周りからシース部分が引き込まれたとき、引き込まれたシースの長さは、拡張可能な医療デバイスの展開中に移動させた展開ラインの長さと実質的に等しい。
【0032】
本発明の他の実施態様(10)では、シース−展開ラインのシース部分(12)は二重壁を有する(図1、2及び4〜11)。好ましい実施態様では、二重壁シース部分(12)は、自身に折り重ねられるポリマー材料から作られる。二重壁シース部分は、折り重ね(22)がシース部分(12)の遠位端(すなわち展開アセンブリから最も遠い点)に位置決めされるように、拡張可能な医療デバイス(14)を覆って配置される。シース部分の内部壁を、拡張可能な医療デバイス(14)に対して近位で下にある送達カテーテル(19)の部分に固定してもよい。好ましい実施態様では、シース部分(12)は送達カテーテル(19)に取り付けられていない。シースの外部壁の近位端は、展開ライン(16)に変換可能な少なくとも1つの部分又は一体化した延長部分を有する。二重壁シース部分の壁の間の空間を、流体、潤滑剤、医薬品組成物及び/又はそれらの組み合わせで満たしてもよい。展開ライン(16)は、送達カテーテル(19)を経由して、展開システム(10)の近位端に位置する本発明の展開アセンブリ(例えば図14〜17)に至る。代わりに、別のカテーテル(13)又はカテーテル管腔(11)が展開ラインのために付与される(それぞれ図4及び1)。特に、小径を有する患者の脈管構造において屈曲又は曲線が予想される場合は、これらの実施態様によって展開ライン部分の付加的な収容部が提供される。最も好ましい実施態様(図11)では、シース−展開ライン構造のシース部分は、送達カテーテル(19)の実質的に全長にわたって延在し、別のカテーテル(19a)又はカテーテル管腔の内部に閉じこめられている。展開ライン部分は、展開システムの近位端の近くに形成されて、展開アセンブリに取り付けられている(例えば図14〜17)。
【0033】
シース部分の物理的特性及び機械的特性については、拡張可能な医療デバイスを拘束するために使用したシース部分の長さ全体にわたって均一かつ均質であることが好ましい。拡張可能な医療デバイスの周りからシース部分が引き込まれた場合、引き込まれたシースの長さは、拡張可能な医療デバイスの展開中に移動させた展開ラインの長さの本質的に半分である。除去された展開ラインの長さと除去されたシース材料の長さの比率をこのように2:1とすることにより、拡張可能な医療デバイスをシースから解放する際に、展開ラインを引くのが速すぎる又は強すぎるといった影響を軽減できる。
【0034】
フルオロポリマー材料が、本発明の引き込み可能なチューブ状拘束シース−展開ライン構造物を作るのに好ましい。本発明で使用されるフルオロポリマー材料は、強く、薄くて潤滑性である。フルオロポリマー材料の潤滑性は、互いに摺動し合う壁又は拡張可能な医療デバイスの上を摺動する壁を有するシース−展開ラインを利用する実施態様において、特に有利である。特に好ましいフルオロポリマー材料は、多孔質延伸ポリテトラフルオロエチレン材料単独、又はフッ素化エチレンプロピレン材料と組み合わせた多孔質延伸ポリテトラフルオロエチレン材料である。最も好ましいフルオロポリマー材料は、強くて薄く、例えば以下の例2で説明するようなものである。シース−展開ラインは、フィルム及び/又は膜の層から適切なチューブを構築することによって作られる。また、シース−展開ラインを、ポリマー材料の押出物から構築してもよい。押出物は、単独で使用してもよく、フィルム/膜材料と組み合わせて使用してもよい。チューブを構築したら、チューブのかなりの部分を丸めて加熱することによってフィラメント状にする。
【0035】
展開ラインを引っ張り、シース材料を分離して単独フィラメントへと収束させることにより、シースを転換ラインへと変換できる。この方法によってシース材料を展開ラインへと変換すると、展開ラインに材料を供給するシースの端部は後退して、拡張可能な医療デバイスの周りからシースが引き込まれる。シースの一部分が引き込まれると、シースによって拘束されていた拡張可能な医療デバイスの部分が自由になって拡張する(図8〜8A)。シースから展開ラインへの変換を開始又は維持する手段が、必要に応じて展開システムに付与される。図7に示すように、その手段として、シース材料に導入された、孔(71)、切り抜き(72)又は他の工作された欠陥が挙げられる。また、図5に示すように、その手段として、送達カテーテル上のカッター(21)又は他の鋭い刃も挙げられる。カテーテル内部から補強ステンレススチールのストランドを露出させ、シース部分に切り込むようにそのストランドを適合させることによって、そのような切断手段を送達カテーテル上に形成してもよい。
【0036】
本発明の好ましい実施態様では、適応性、圧縮性、回復弾性及び/又は拡張性を示す、材料、複合材料、構造物及び/又はアセンブリが、拡張可能な医療デバイスと送達カテーテルの間に配置されて、「内部人工器官取付部材(18)」を形成する。内部人工器官取付部材は、覆われてもよく(15)、むき出しでもよい(図9)。送達カテーテル上に拡張可能な医療デバイスを固定し、かつカテーテルの長さに沿って拡張可能な医療デバイスが動くことを防止するために、拡張可能な医療デバイスの少なくとも一部分は、覆われた又はむき出しの内部人工器官取付部材に押し込まれる。特に、潤滑性シース材料と組み合わせた内部人工器官取付部材を用いる場合、粘着性表面を備えた材料が有用である。内部人工器官取付部材によって、拡張可能な医療デバイスの近位端及び遠位端に配置されたバリア手段又は保持手段を必要としなくなる。バリア手段を用いない展開システムにさらなる可撓性が付与されることに加えて、シース及び拡張可能な医療デバイスの組み合わせの外形もバリア手段がないと小さくなる。さらに別の実施態様では、内部人工器官取付部材は膨張性バルーン形状である(図10、部品18a)。内部人工器官取付部材に適当な材料として、以下に限られないが、シリコーン、シリコーンフォーム、ポリウレタン、ポリウレタンフォーム、及びポリテトラフルオロエチレンフォーム、又はこれらの組み合わせが挙げられる。内部人工器官取付部材は、接着剤、熱又は他の適当な手段を用いて、送達カテーテルの外部壁に取り付けられる。膨張性の内部人工器官取付部材(18a)は、送達カテーテルチューブの少なくとも1つの管腔と流体連通した少なくとも1つの管腔を有し、そして送達カテーテルチューブの少なくとも1つの管腔は、本発明の展開アセンブリ(100)の加圧可能な第1室部品(109)と流体連通している。
【0037】
非膨張性の内部人工器官取付部材は、ポリマー材料の形状のカバー(15)を用いて封入されることが好ましい。ポリマー材料はフルオロポリマー系材料であることが好ましい。多孔質延伸ポリテトラフルオロエチレンが、圧縮可能な材料を封入するために好ましいフルオロポリマーである。他の適当なポリマー材料として、以下に限られないが、シリコーン、ポリウレタン、ポリエステルなどが挙げられる。
【0038】
また、本発明は、拡張可能な医療デバイスを展開するためのシステムも対象とする。上述の拡張可能な医療デバイス展開システムを患者の脈管構造内の所望する位置に移動させたら、システムを作動させて内部人工器官取付部材を拡張しつつ、同時にシースを拡張可能な医療デバイスから引き込む。この工程を徐々に行って、一度に拡張可能な医療デバイスの部分のみを露出させることが多い(図10A)。本発明によって拡張可能な医療デバイスの展開を制御することにより、必要であれば、デバイスを最終的に展開する前に、脈管構造内のデバイスの位置を検証及び調整することが可能になる。一部の展開において、システムのシース部品は、下にある拡張可能な医療デバイスから除去することが困難になる場合がある。本発明の展開システムは、展開ライン−シース部品に引く力を十分に与えてシースを拡張可能な医療デバイスから除去することを可能にする、展開ライン−シース部品への機械的利点を提供することによって、そのような展開を補助する。
【0039】
好ましい内部人工器官取付部材は膨張性である(18a)。膨張性の内部人工器官取付部材は、本発明の展開アセンブリ(100)と流体連通した管腔(32)を有する。気体又は液体状態の流体が、展開アセンブリ(100)内の加圧可能な第1室(109、図14〜20)から内部人工器官取付部材へと導入される。流体圧が第1室(109)内で発生すると、その圧力は内部人工器官取付部材(18a)へと移されて、そこではその圧力が上にある拡張可能な医療デバイス(14)に対して半径方向に力を及ぼす。内部人工器官取付部材が加圧されると、加圧手段(102/109)に結合したアクチュエータ(112、116、118、120/122)が、同時に拡張可能な医療デバイス(14)からのシース(12)の引き込みを開始する。シース(12)がさらに引き込まれることによって、内部人工器官取付部材が、拡張可能な医療デバイスの露出部分が半径方向に拡張することを引き起こす、補助する又は可能にする。シースが拡張可能な医療デバイスから完全に除去されてデバイスが完全に展開したとき、圧力は展開アセンブリによって内部人工器官取付部材内で維持されている。
【0040】
展開ライン−シースの組み合わせの展開ライン部分を、プランジャ、ピストン又は他の流体加圧手段と機械的に結合したアクチュエータに取り付けることによって、本発明において、シースの引き込みが内部人工器官取付部材の拡張と同時に行われる。図14〜20に見られるように、室(109)は、第1ギア(104)又は他のスクリュー手段に取り付けられたプランジャ(102)を収容する。第1ギア(104)は、第1ギア(104)を回転するための、ノブ(106)、ハンドル、モーター駆動連結器、又は他の駆動装置を有する。ベベルギア又は同様のギア(108)は、第1ギア(104)と係合して、軸(110)に取り付けられ、その軸(110)は、拡張可能な医療デバイスからシースを引き込むためのアクチュエータ(112、116、118、120/122)に取り付けられている。ある実施態様(図14)では、アクチュエータは、展開ライン(114)に取り付けられたラックアンドピニオンギアの配置を含む。他の実施態様(図15)では、アクチュエータは、軸(110)とつながれたリール(116)に取り付けられた展開ライン(114)を含む。さらに別の実施態様(図16)では、アクチュエータは、プーリー(118)に取り付けられた展開ライン(114)を含む。
【0041】
好ましい実施態様(図17)では、アクチュエータは、第1室(109)と流体連通した第2室(124)内側のピストン(122)とつながれたロッド(120)に取り付けられた展開ライン(114)を含む。流体圧が第1室(109)内で増加すると、内部人工器官取付部材内及び第2室内の圧力が両方とも増加する。第2室内の圧力の増加によりピストンが動いて展開ラインを引く。そして、このことによって、シースが腔内デバイスから引き込まれる。
【0042】
状況によっては、展開ラインを作動させてシースを引き込む前に、内部人工器官取付部材を加圧して拡張を開始することが望ましい場合がある。図18〜20は、内部人工器官取付部材を加圧及び拡張する際に使用するための、圧力貯蔵装置の例を示す。図18は、ダイアフラム(132)を有し、そのダイアフラム(132)に機械的な力を及ぼすスプリング(134)を有する、第1室(109)と流体連通した第3室(130)を示す。図19は、ダイアフラム(132)と、そのダイアフラム(132)に機械的な力を及ぼす気体(136)とを有する、第1室(109)と流体連通した第3室(130)を示す。図20は、第1室(109)と流体連通した第3室(130)を示し、第3室(130)の中には圧縮可能な材料(138)が含まれている。
【0043】
最後に、コントラスト媒体を内部人工器官取付部材に組み入れて、又は導入して、上にある腔内デバイスをより良好に視覚化してもよい。
【0044】
展開精度を高めることがさらに望ましい。図21A〜C及び22A〜Bは、本発明のシース・プル・バック・カテーテルの実施態様(200)を示す。この実施態様の展開システムは、カテーテル(19)、引き込み可能なシース(12)、展開ライン(16)、及び展開ライン管腔(223)を含む。このデバイスは、少なくとも2つの管腔(222、223)を備えたカテーテル(19)を含む。引き込み可能なシース(12)を、腔内デバイスの少なくとも一部分を取り囲んでそのデバイスを導入外形に拘束するように構成してもよい。展開ライン(16)は、カテーテル内の長手方向の開口部(229)に挿入され、シース(12)と一緒に引かれるように構成される。また、展開ライン(16)が、他の個別の部品を引くように構成されてもよい。カテーテル(19)は、突き出し部のガイドワイヤ管腔(222)の内部に配置された、摺動可能な又は固定されたガイドワイヤ(221)の周りに配置される。シースを使用して、患者にデバイスを送達するためのカテーテル突き出し部の上にデバイス(例えば自己拡張ステント又はフィルタ、不図示)又は複数のデバイスを拘束してもよい。シース(12)につながれた展開ライン(16)を引き込む(すなわち図21A及び22Aの展開ラインに引く力を与える)ことによって、シース(12)をデバイスの上から引っ込めて、デバイスを拡張させることが可能になる。弾性回復によって、第2の機械的手段によって(例えばバルーン又は拡張器)、熱的手段によって、電気的手段によって、又は他の手段によって、この拡張を引き起こしてもよい。図21Aは2つの管腔を備えたカテーテル(19)を示す。長手方向の開口部(229)又はすき間は、展開ライン(16)をシース(12)へと移行させるための管腔の1つと通じている。このシステムの展開精度は、展開ライン(16)をカテーテルの展開ライン管腔(223)に完全に挿入可能にする、カテーテル内の長手方向の開口部(229)によって高まる。デバイス展開中の全ての時間、この展開ライン管腔内部に展開ライン(16)の長さの大部分が保持されることによって、カテーテル突き出し部は、張力の与えられた展開ラインの周りでねじれることができない。展開ライン管腔内の長手方向の開口部(229)によって、シース(12)が引き込まれたときに、展開ラインとシース(12)との接合部(226)が、カテーテルの長さに沿って移動可能になる。展開前に、未だ張力の与えられていない展開ライン(16)が、カテーテル送達の自由度に与える影響は最小限である。展開するために展開ライン(16)に張力が与えられると、そのラインは非常に堅くなり、そしてカテーテル内部に組み込まれると、展開ラインの周りのねじれ量又は短縮量は最小限となる。このようにして、展開ラインを組み込んだ従来の展開デバイスと比較して、展開の信頼性及び精度が非常に改善される。
【0045】
図21A及び22Aは、本発明のシース・プル・バック・カテーテルの実施態様を示す。カテーテルは、ガイドワイヤ管腔(222)を通して供給されるガイドワイヤ(221)の周りに配置される。シース引き込み前の本発明物を示す図21B及び21Cに、2つの横断面領域が示されている。図21A及び21Cに示されるように、長手方向の開口部(229)は、展開ライン(16)を同軸シース内に移行させるための展開ライン管腔(223)への接近経路を提供する。長手方向の開口部によって、シース(12)が引き込まれたときに、展開ラインとシースとの接合部(226)がカテーテルの長さに沿って移動し始める。シース(12)は任意の適当な材料から形成してよく、連続フィルム又は連続材料であることが好ましい。ある例では、低摩擦係数を有する薄壁のシースが有利である。強度、潤滑性及び薄さという属性を合わせ持つ材料として、以下に限られないが、ポリマー材料、ポリテトラフルオロエチレン、高密度ポリエチレン、ポリイミド、ナイロン、ポリアミド、PEEKが挙げられる。ポリテトラフルオロエチレンとして、多孔質延伸ポリテトラフルオロエチレン、例えばePTFEが挙げられる。様々な層を長手方向又は円周方向のいずれかに巻いて、それらを一緒に焼成することによって、チューブ状シースをePTFEフィルムから製造することが可能である。薄くて小型の外形を最適化するためにシース(12)を作り出してもよい。薄い外形を有しており摩擦係数が非常に低いシースを作り出すために、焼成後にシースをさらに高密度化できることが見出されている。このさらなる高密度化を、手でシースの外径を圧縮することによって引き起こしてもよい。圧縮方法の一つでは、大きい垂直力を用いて、シース上のポリマーマンドレルを擦る又は圧迫することが繰り返される。この高密度化処理の最中、シースがマンドレルに載せられていることが好ましい。代わりに高密度ePTFEフィルムをベースフィルムとして使用して、これらの高密度シースを製造してもよい。密度が1.5g/ccを超えるフィルム又は材料が好ましく、密度が2.0g/ccを超える、より好ましくは2.1g/ccを超える、フィルム又は材料がより好ましい。これらのシースは、シースがほぼ完全密度であって、さらにシース内部のステント又は他のデバイスを点検可能にすることを意味する、半透明であることが好ましい。
【0046】
展開ラインは、任意の適当な材料、例えば、以下に限られないが、金属、ポリマー材料、ポリテトラフルオロエチレン、高密度ポリエチレン、ポリイミド、ナイロン、ポリアミド、PEEKから作ってもよい。展開ラインが高強度の潤滑性材料であることが望ましい。展開ラインは、除去可能なシース(12)の第2部分と一緒に引かれるように構成される。送達カテーテル(19)は、単独のカテーテルシャフトを含んでもよく、複数のカテーテルシャフトを含んでもよい。
【0047】
同軸カバー(228)を、カテーテル内の長手方向の開口部を覆って配置してもよい。同軸カバー(228)の密度が1.5g/ccを超えることが好ましい。展開ライン(16)を、単独部品又は複数の接合された部品として、シースと一緒に構成してもよい。展開ラインとシースとが1つの単独部品である場合、少なくとも2つの別個の部分を有するように形成してもよい。小径の加熱したダイによって線の一部分を描くなどの処理、あるいは他の任意の変形処理によって、その部品の別個の部分を変形してもよい。作動力が展開ラインからシースに及ぶと、シースの移動及びデバイスの展開が開始する。デバイスから引き込まれたシース(12)の長さは、自己拡張性腔内デバイスの展開中に移動させた展開ライン(16)の長さと実質的に等しい。
【0048】
展開ライン管腔(223)を、展開ライン(16)の長さの大部分を完全に包んで展開ラインの移動を可能にするように構成してもよい。展開ライン(16)の長さの大部分とは、展開ラインの半分より大きいものと見なされる。包まれている展開ライン(16)の長さの大部分は、展開ラインの長さの90%を超えることが好ましい。特定の実施態様では、包まれている展開ライン(16)の長さの大部分が、展開ラインの長さの95%であることが望ましい。別の特定の実施態様では、包まれている展開ライン(16)の長さの大部分が、展開ラインの長さの99%であることが望ましい場合がある。展開ライン管腔(223)は、展開ライン作動中に、展開ラインに対するカテーテルの回転を防止するように構成される。カテーテルの回転とは、360度未満の任意の回転であると見なされる。カテーテルの回転は、180度未満、好ましくは90度未満であることが望ましい。カテーテル(19)は、展開中に本質的に変化しないままの、同軸カバー(228)の近位の外径を有する。図23Aに示されるように、展開ライン管腔内部に位置する展開ラインに力(F)を与えると、カテーテルが展開ラインに対して回転することが防止される。このように、引き込み可能なシース(12)が引き込まれると、腔内デバイスが解放され、カテーテルの短縮が最小限になる。図23Bは、本発明の教示のような展開ライン管腔を使用しない展開ラインに力を与えると、遠位端で回転するように動くことを示す。このように、図23Bにおけるカテーテルのねじれは遠位端で生じて、展開中に腔内デバイスが余計に動く結果となる。図24は、腔内デバイスとその腔内デバイスに接触した引き込み可能なシース材料とが容易に動くことを可能にする材料を選択することによって、静的状態から動的状態へと引き込み可能なシース(12)を移行させるのに必要な初期力が減少することを示す。腔内デバイスに接触した引き込み可能なシース材料に適した材料には、延伸ポリテトラフルオロエチレンなどのフルオロポリマーが例示されるが、それらに限られないポリマーが含まれる。しかしながら、任意の適当な材料を使用してもよい。また、展開ラインに及ぼす初期力を減少させると、カテーテルに与えられる圧縮力が減少して正確なデバイス配置の助けとなる。
【0049】
自己拡張性腔内デバイス用に好ましい展開システムは、少なくとも1つの管腔を備え、かつ引き込み可能なシース(12)によって少なくとも部分的に封入された、自己拡張性腔内デバイスと;前記シース(12)を引くように構成された展開ライン(16)とを含む。自己拡張性腔内デバイス用展開システムは、シース(12)から展開ライン(16)への変換を開始するための手段をカテーテル上にさらに含んでもよい。展開システムは、除去可能なシースから展開ラインへの変換を開始するための手段によって、引き込み可能なシースが分裂可能なように構成されてもよい。
【0050】
図21Aを図21Cにて横断面で示すと、展開管腔(223)及びガイドワイヤ管腔(222)が送達カテーテル(19)の内部に存在する。シースが、展開前のデバイスの外部を円周状に覆っているため、図21Bにおける展開管腔は展開ラインに占有されていない。この領域において、展開管腔(223)は長手方向の開口部(229)を含み、その開口部は、ここでは展開ライン(16)が位置する管腔へ接近可能にするスリット形状で示される。デバイスが展開されると、シースは展開ライン(16)へと移行し、展開ライン管腔(223)を通って移動する。ガイドワイヤ管腔(222)は、図21B及び21Cに示す領域を通って連続する。
【0051】
本発明は、二重管腔を備えた単独突き出しカテーテルや、ガイドワイヤ用の内部管腔とスリット、すき間又は他の開口部を有するチューブ状の外部管腔とを備えた同軸カテーテルを含むが、これらに限られない、多数のカテーテルの変形例に適用可能である。同軸カテーテルであれば、内部チューブ状ガイドワイヤ管腔の突き出し部と、すき間又はスリットを壁に組み入れた外部チューブ状突き出し部の間に、展開ラインが配置される。
【0052】
所望であれば、付加的な管腔をカテーテルに追加できる。バルーン、第2展開ラインを膨張可能にするため又は他の機能のために、付加的な管腔を使用できる。同様に、拡張可能な医療デバイス又は他の部品を含む変形例も、本発明によって想定される。
【0053】
全長にわたり同軸チューブ配置を使用する、他の従来のシース・プル・バック・システムとは違い、本発明のカテーテルにおいて、カテーテルの近位端外径は展開中に完全に変化しないままである。展開中にこのように動かないことは、外科医がステント又は他のデバイスを正確に配置することをより容易にする。従来のシース・プル・バック・システムに対するさらに別の改良点は、展開ライン/シース移行部の近位になる二重管腔カテーテルのスリットを覆って、同軸カバー(228)を配置できることである。同軸カバーは、シースの動きに伴って近位に摺動するよう設計されている。さらに、展開ラインをカテーテルの慣性中心に近付けて位置させることにより、展開ラインに張力を与えている最中に突き出し部が弓なりに反る傾向を最小限にできる。スリットを展開ライン/シース移行部の近位で近付けて保持するように、この可撓性の同軸カバー又は剛直な同軸カバーの一部分を設計して、確実に展開ラインをカテーテル内部に残すこともできる。同軸カバー(228)は、弾性材料から構成されてもよく、あるいは展開前のシース・プル・バック中にしわが寄る、ひだが付く、あるいは圧縮される材料から形成してもよい。さらに、このカバーの近位端をカテーテル延長部分に取り付けてもよく、取り付けなくてもよい。その近位端を取り付けない場合、デバイス展開中にその近位端がカテーテル延長部分に対して並進可能であるため、カバーが剛直な材料を含んでもよい。カバーに適した材料として、エラストマー、熱可塑性樹脂、熱硬化樹脂(例えばポリイミド)、フルオロポリマー、例えばポリテトラフルオロエチレン、さらに例えば多孔質延伸ポリテトラフルオロエチレンが挙げられる。カバーの近位端は、少なくとも展開されるデバイスの長さであって、壁厚0.020インチ未満と比較的薄いことが好ましい。壁厚が0.005インチ未満であることがより好ましく、壁厚が0.001インチ未満であることが最も好ましい。
【0054】
図22Aは、シース引き込み後の、長手方向のスリットを備えた本発明のシース・プル・バック・カテーテルが引き込まれたところを示す。示されるように、シースの引き込み時に、(シース/展開ライン接合部の近位の)同軸カバーの近位端は圧縮されて、カテーテルの軸に対してシースが長手方向に移動することを許容しつつ、カテーテル内の展開ラインの位置を維持する。図22Bは、展開後の本発明物の横断面を示す。見たとおり、展開ライン管腔(223)は、シース/展開ライン接合部の遠位の位置で空になっている。
【0055】
本発明の特定の実施態様を図示して説明したが、本発明の精神及び範囲から逸脱せずに、展開システム及びアセンブリに変更を加えてもよい。
【実施例】
【0056】
例1:この例では、本発明の展開システムの組み立てを説明する。このシステムの組み立ては、拡張可能なステントを収容するための遠位カテーテルシャフトを用意することから始めた。遠位カテーテルを用意したら、拡張可能なステントをシース−展開ラインの内部に配置した。この組み合わせの遠位カテーテル部分を、プライマリカテーテルシャフトに取り付けた。次に、プライマリカテーテルを経由して制御ノブへと展開ライン部分を通した。制御ノブは、プライマリカテーテルの近位に位置するハブの部分であった。シース−展開ラインのシース部分は単壁チューブ形状であった。
【0057】
長さ3インチのチューブ状材料を遠位カテーテルシャフトとして使用するために、Burnham Polymeric, Inc., Glens Falls, NYから入手した。チューブは、一般にPEBAX(登録商標)樹脂として知られるポリエーテルブロックアミド材料から作られており、ステンレススチール編組で補強されていた。外径(OD)は1.01mmであって、内径(ID)は0.76mmであった。次に、圧縮可能な材料の形状である内部人工器官取付部材をカテーテル上に配置した。
【0058】
内部人工器官取付部材をカテーテル上に配置するため、カテーテルを外径0.74mmのマンドレルに載置した。Brancaの米国特許第5814405号(参照により本明細書の一部とする)の教示に従って、多孔質延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)のフィルムを得た。Campbellらの米国特許第6159565号(参照により本明細書の一部とする)に従って、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)の不連続被膜をePTFE材料の片面に適用した。幅2インチのePTFE−FEP複合材料の端部を加熱してカテーテルシャフトに取り付けた。初期取付後に、軽く張力を与えながら、フィルムをカテーテルシャフトの周りに45回巻き付けた。フィルムを5回巻き付ける毎に、そして最後の層において、半田ごてによって熱を与えて、フィルムをそれ自身にさらに取り付けた。
【0059】
この手順により、圧縮可能な材料の形状である内部人工器官取付部材、又は適応性「枕(pillow)」が、遠位カテーテルシャフト上に提供された。内部人工器官取付部材を覆って拡張可能なステントを取り付けた。内部人工器官取付部材は、貯蔵中、移植部位への送達中、及びその移植部位における拡張可能なステントの展開中に、拡張可能なステントをカテーテルシャフト上に保持する手段を提供する。必要に応じて、内部人工器官取付部材を、シリコーン、ウレタン、及び/又はフルオロエラストマーなどの、弾性材料の薄い被膜で補強してもよい。
【0060】
8セル、直径6mmのニチノールステントを、Medinol Ltd., Tel−Aviv, Israelから入手した。拡張状態のステントをカテーテルの内部人工器官取付部材を覆って配置した。その組み合わせを、アセンブリのステント部分を内部人工器官取付部材上で圧縮する機械的絞り(mechanical iris)を備えた機械内部に配置した。機械的絞り機械の中に保持しながら、ステントの温度を室温(約22℃)から約5℃へ下げた。その下げた温度で絞り装置を作動させて、ステントを内部人工器官取付部材上で圧縮、すなわちつぶした。冷却されかつ圧縮された形状の状態で、カテーテル、内部人工器官取付部材及びステントを、本発明のシース−展開ラインの内部に配置した。
【0061】
最終的な展開システムの長さと等しい長さの、あるいはそれより長い、シース−展開ラインを以下のように作った。直径の測定値が1.89mmである、ある長さのステンレススチールマンドレル(約1m)を、全長が約200cmのチューブ状押出ePTFE材料で覆った。チューブ状ePTFE材料の外径は1.41mm、壁厚は0.05mm、長手方向の平均引張強度は3.52kgf、円周方向の平均強度は0.169kgfであった。また、チューブ状ePTFE材料の平均質量/長さは0.0473g/ft、平均マトリクス引張強度は69125psiであった。一端で(近位端)でチューブ状ePTFE材料はマンドレル上で一緒に集められ、一方、ePTFE材料の他端(遠位端)はマンドレル上で滑らかなままであった。
【0062】
チューブ状ePTFE材料の最初の数センチメートルを捨てた後、押出ePTFE材料の遠位端(滑らかな端)の次の5cmを以下のようにして複合フルオロポリマー材料で補強した。ePTFE被覆マンドレルを、フィルム巻き付け機械の保持チャックに取り付けた。押出ePTFE材料の滑らかな部分の端から約5cmに位置する第1参照線を、油性ペン(SHARPIE(登録商標))を用いてその材料の周りで円周状に描いた。延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)及びフッ素化エチレンプロピレン(FEP)から作られた幅5cmの複合膜を、複合膜のFEP部分が押出ePTFE材料と接するようにして、押出ePTFE材料上で第1参照線から近位に適用した。押出ePTFE材料の主たる強度がマンドレルの長軸に対して垂直方向に向くように、ePTFEで覆ったマンドレルの周りに複合膜を2回巻き付けた。半田ごてで加熱して、複合膜を押出ePTFE材料の所定位置に最初に仮止めした。ePTFE/FEP複合材料の密度は約2.14g/cm3、厚さは0.005mm、第1方向の引張強度は約340kPa(約49000psi)、第2方向(第1方向に垂直)の引張強度は約120kPa(約17000psi)であった。引張測定は、Instron Tensile Machine(Instron Corporation, Canton, MA)にて、荷重速度200mm/分、あご間隔2.5cm(1インチ)で行った。
【0063】
補強部分に隣接するシース−展開ライン構造物の材料のしわをマンドレルに沿って伸ばして、第1参照線から5cmの材料の周りに第2参照線を描いた。
【0064】
シース−展開ライン構造物の第2部分を以下のようにして補強した。第1補強部分の近位端から5cmの押出ePTFE材料の周りに第2参照線を描いた。第2参照線を用いて上述のePTFE/FEP複合膜のストリップ(幅2cm)を位置合せし、押出ePTFE材料の残りの部分の周りに複合膜を1回巻いて、本発明のシース−展開ラインの第2補強部分を形成した。第2補強部分の長さは約2cmであった。補強用複合膜材料の主な強度成分がマンドレルの軸と平行であったことを除き、その補強用複合膜材料を上述のように押出ePTFE材料に取り付けた。
【0065】
ePTFEの犠牲層を構造物の周りへ密接に適用して、構造物中に捕らわれた空気を除去した。構造物の補強部分の周りに、幅1インチ(2.54cm)のePTFEフィルムをらせん状に重ねて巻いた。2層のePTFEフィルムをある方向に適用し、2層を反対方向に適用した。次に、犠牲層を備えた構造物を320℃に加熱したオーブン内に8分間置いた。加熱したオーブンから取り出して、その組み合わせを室温まで放冷した。その後犠牲ePTFE材料を除去した。
【0066】
次に、構造物をマンドレルから取り外し、別のマンドレル(直径1.83mm×長さ30.5cm)を、構造物の補強した端部に挿入した。補強した端部をマンドレルで支持しながら、シース−展開ライン構造物の補強部分に対して近位に長さ5mmのスリットを作った。第2のマンドレルが構造物から出てくる5mmスリットまで、第2のマンドレルを構造物の内側に配置した。近位端をフィルム巻き付けチャックのチャック内に配置し、補強した構造物とマンドレルを動かないようにしながら、フィルム巻き付け機械を約2800回回転することによって、シース−展開ライン構造物の近位部分をフィラメントに変換した。構造物をフィラメントへと紡いだ後、設定450℃の半田ごてでフィラメントをさっと加熱することによりフィラメントを強化した。強化フィラメントを約320℃に加熱された直径1.8cm×長さ3.8cmのだぼ(dowel)上に通すことによって、そのフィラメントを滑らかにしその直径をより均一にした。フィラメントは、かるく張力を与えて、角度45度で加熱しただぼの上を通された。フィラメントの全長にわたってこの処理をあと2回繰り返した。
【0067】
本発明のシース−展開ラインのフィラメント部分を、プライマリカテーテルの管腔に通して制御ノブへつないだ。制御ノブは、プライマリカテーテルの近位端に位置するハブの部分であった。シース−展開ラインの展開ライン部分を引くと、シース部分がステントの周りから引き込まれた。
【0068】
例2:この例では、本発明の展開システムの組み立てを説明する。このシステムの組み立ては、拡張可能なステントを収容するための遠位カテーテルシャフトを用意することから始まる。遠位カテーテルを用意したら、拡張可能なステントをシース−展開ラインの内部に配置した。この組み合わせの遠位カテーテル部分を、プライマリカテーテルシャフトに取り付けた。次に、プライマリカテーテルを経由して制御ノブへと展開ライン部分を通した。制御ノブは、プライマリカテーテルの近位に位置するハブの部分であった。シース−展開ラインのシース部分は二重壁チューブ形状であった。
【0069】
長さ3インチのチューブ状材料を遠位カテーテルシャフトとして使用するために、Burnham Polymeric, Inc., Glens Falls, NYから入手した。チューブは、一般にPEBAX(登録商標)樹脂として知られるポリエーテルブロックアミド材料から作られており、ステンレススチール編組で補強されていた。外径(OD)は1.01mmであって、内径(ID)は0.76mmであった。次に、圧縮可能な材料の形状である内部人工器官取付部材をカテーテル上に配置した。内部人工器官取付部材をカテーテル上に配置するため、カテーテルを外径0.74mmのマンドレルに載置した。Brancaの米国特許第5814405号(参照により本明細書の一部とする)の教示に従って、多孔質延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)のフィルムを得た。Campbellらの米国特許第6159565号(参照により本明細書の一部とする)に従って、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)の不連続被膜をePTFE材料の片面に適用した。幅2インチのePTFE−FEP複合フィルムの端部を加熱してカテーテルシャフトに取り付けた。初期取付後に、軽く張力を与えながら、フィルムをカテーテルシャフトの周りに45回巻き付けた。フィルムを5回巻き付ける毎に、そして最後の層において、熱でフィルムをそれ自身にさらに取り付ける。この手順により、内部人工器官取付部材が遠位カテーテルシャフト上に提供される。内部人工器官取付部材を覆って拡張可能なステントを取り付ける。内部人工器官取付部材は、貯蔵中、移植部位への送達中、及びその移植部位における拡張可能なステントの展開中に、拡張可能なステントをカテーテルシャフト上に保持する手段を提供する。必要に応じて、内部人工器官取付部材を、シリコーン、ウレタン、及び/又はフルオロエラストマーなどの、弾性材料の薄い被膜で補強してもよい。
【0070】
8セル、直径6mmのニチノールステントを、Medinol Ltd., Tel−Aviv, Israelから入手した。拡張状態のステントをカテーテルの内部人工器官取付部材を覆って配置した。その組み合わせを、アセンブリのステント部分を内部人工器官取付部材上で圧縮する機械的絞り(mechanical iris)を備えた機械内部に配置した。機械的絞り機械の中に保持しながら、ステントの温度を室温から約5℃へ下げた。その下げた温度で絞り装置を作動させて、ステントを内部人工器官取付部材上で圧縮、すなわちつぶした。冷却されかつ圧縮された形状の状態で、カテーテル、内部人工器官取付部材及びステントを、本発明のシース−展開ラインの内部に配置した。
【0071】
最終的な展開システムの長さと等しい長さの、あるいはそれより長い、シース−展開ラインを以下のように作った。直径の測定値が1.73mmであるステンレススチールマンドレルを、ePTFEの犠牲層で覆った。犠牲ePTFE材料は、マンドレルからのシース−展開ラインの除去を補助する。薄いポリテトラフルオロエチレン(PTFE)膜を2巻きマンドレルに適用した。フィルムの主たる強度がマンドレルの長軸と平行方向に向くようにePTFE膜を適用した。半田ごてで加熱して、フィルムを所定位置に最初に仮止めした。膜の厚さを測定すると約0.0002インチ(0.005mm)であり、第1方向の引張強度は約49000psi(約340kPa)、第2方向(第1方向に垂直)の引張強度は約17000psi(約120kPa)であった。引張測定は、荷重速度200mm/分、あご間隔1インチ(2.5cm)で行った。膜の密度は約2.14g/cm3であった。Campbellらの米国特許第6159565号(参照により本明細書の一部とする)に従って、FEP被膜を片面に適用することによって、膜をさらに改質した。次に、Bacinoの米国特許第5476589号の教示に従ってePTFEフィルムを作り、そのePTFEフィルムの片面に適用したFEP材料の不連続層を用いてさらに改質した、別のePTFEフィルムを2巻き、その構造物の一端に適用した(幅約1インチ)。米国特許第5476589号は参照により本明細書の一部とする。これらの2巻きの有する、フィルムの主たる強度方向は、マンドレルの長軸と垂直方向に向いていた。これらのフィルム層は、付加的な「輪(hoop)」又は「放射状」の強度をシース−展開ライン構造物に付与する。マンドレル及びシース−展開ライン構造物を、The Grieve Corporation, Round Lake, ILから入手した空気対流式オーブン内に配置し、320℃、12分の熱処理を施した。空冷後、ePTFE/FEPチューブ構造物をマンドレルから取り外し、犠牲ePTFE層を除去した。この例では、ステントの端を超えて延在する長さのシース−展開ラインが提供された。シース−展開ラインの余った長さを、ステントを封入するシース部分の上に折り返して、二重壁構造を形成した。二重壁シース−展開ラインは内部壁及び外部壁を有していた。内部壁はステントと接しており、外部壁は構造物の一体化した展開ライン部分を包含していた。次に、標準的な材料を用いて加熱して、その構造物をプライマリカテーテルシャフトに取り付けた。
【0072】
シース−展開ラインの展開ライン部分は、シース−展開ラインをその長さに沿って近位端からステントを封入するシース部分まで(但しシース部分は含まない)裂くことによって作られた。こうして得られた材料を丸めることによって、その材料をフィラメントへと集束させた。材料を加熱してその材料をフィラメント形状に固定した。展開ラインフィラメントを、プライマリカテーテルの管腔に通して制御ノブへつないだ。制御ノブは、プライマリカテーテルの近位端に位置するハブの部分であった。シース−展開ラインの展開ライン部分を引くと、シース部分がステントの周りから引き込まれた。
【0073】
例3:この例では、シースに孔及び意図的な応力集中部を導入することによる、シース−展開ラインのシース部分から展開ラインへの変換を開始又は維持する手段の導入を説明する。
【0074】
例2からのシース−展開ラインを以下のように変更する。シース部分を二重壁構造物へと丸めてその中にステントを充填する前に、シースに孔を開ける、及び/又は展開ライン部分を引き込む際に、チューブ状シースの分離を容易にする「応力集中部」をシースに提供する。孔又は応力集中部を作るのに適切なレーザーは、Universal Laser Systems, Scottsdale, AZから入手される20ワットのCO2レーザーである。シース部分に孔を形成するために、シースを、サンドブラスト処理ステンレススチールマンドレルに配置し、レーザーに暴露して、二重壁構造物の外部壁として後程機能することになるチューブの部分に一連の穴を切り抜く。穴の寸法は用途に応じて様々であってよい。孔を開けたシース部分を、例2で説明した本発明の展開ラインシステムに使用する。この例では、カテーテルのハブ端において展開ライン部分に与える張力によって、シースがステントの周りから引き込まれ、かつシースが孔の位置で引き離される。シース部分が分離すると、シース材料は展開ラインへと変換可能になる。
【0075】
例4:この例では、適切な分裂手段を使用することによる、シース−展開ラインのシース部分から展開ラインへの変換を開始又は維持する手段の導入を説明する。
【0076】
例2からのプライマリカテーテルを以下のように変更する。カテーテル主部について、展開ライン部分がカテーテル管腔内に進入する点の180度反対で若干遠位の壁に切り抜きを設ける。切り抜きをさらに変更して、切り抜き内に小さい刃先を設ける。ある実施態様では、熱、接着剤などを用いて、刃先が切り抜きに単純に取り付けられる。他の実施態様では、カテーテルシャフトを補強するために使用した金属編組の一部分を露出させて、その編組を刃先に形成することによって、刃先が形成される。この例では、カテーテルのハブ端部において展開ライン部分に与えられた張力により、ステントの周りからシースが引き込まれ、また孔においてシースが分離する。シース部分が分離すると、シース材料は展開ラインへと変換可能になる。
【0077】
例5:この例では、自己拡張性デバイスとバルーン拡張性デバイスの両方を送達及び展開するのに使用される、本発明の展開システムの組み立てを説明する。この例の展開システムは、膨張性バルーン形状の内部人工器官取付部材を利用する。
【0078】
最終的な展開システムの長さと等しい長さの、あるいはそれより長い、シース−展開ラインを以下のように作る。直径の測定値が1.73mmであるステンレススチールマンドレルを、ePTFEの犠牲チューブで覆う。犠牲ePTFE材料は、マンドレルからのシース−展開ラインの除去を補助する。薄いポリテトラフルオロエチレン(PTFE)膜を2巻きマンドレルに適用する。フィルムの主たる強度がマンドレルの長軸と平行方向に向くようにePTFE膜を適用する。半田ごてで加熱して、フィルムを所定位置に仮止めする。膜の厚さを測定すると約0.0002インチ(0.005mm)であり、第1方向の引張強度は約49000psi(約340kPa)、第2方向(第1方向に垂直)の引張強度は約17000psi(約120kPa)であった。引張測定は、荷重速度200mm/分、あご間隔1インチ(2.5cm)で行う。膜の密度は約2.14g/cm3であった。Campbellらの米国特許第6159565号(参照により本明細書の一部とする)に従って、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)被膜を片面に適用することによって、膜をさらに改質する。次に、Bacinoの米国特許第5476589号(参照により本明細書の一部とする)の教示に従って作られたePTFEフィルムの片面に、FEP材料の不連続層を適用してさらに改質した、2巻きの別のePTFEフィルムを、その構造物の一端に適用する(幅約1インチ)。これらの2巻きの有する、フィルムの主たる強度方向は、マンドレルの長軸と垂直方向に向いている。これらのフィルム層は、付加的な「輪(hoop)」又は「放射状」の強度をシース−展開ライン構造物に付与する。マンドレル及びシース−展開ライン構造物を、The Grieve Corporation, Round Lake, ILから入手した空気対流式オーブン内に配置し、320℃、12分の熱処理を施す。空冷後、ePTFE/FEPチューブ構造物をマンドレルから取り外し、犠牲ePTFE層を除去する。この構造物の拡張可能なステント上への配置、及びこの構造物からの展開ライン部分の形成を、以下に説明する。
【0079】
図10に見られるように、Medinol Ltd., Tel−Aviv, Israelから入手可能なバルーン膨張性NIRflex(商品名)ステント(14)を、送達カテーテルシャフト(19)に載置された、収縮しつぶれている血管形成術用バルーンを覆って配置し、その周りで圧縮する。この血管形成術用バルーンは、Campbellらの米国特許第5752934号(参照により本明細書の一部とする)に従って作られており、W.L. Gore & Associates, Inc., Flagstaff, AZから商品名APTERA(登録商標)血管形成術用バルーンとして入手可能である。APTERA(登録商標)血管形成術用バルーンは、圧縮されたステント(14)を収容し保持するための内部人工器官取付部材(18a)として機能する。
【0080】
ステントが圧縮形状に拘束されている間、ある長さのシース−展開ライン(12)が圧縮されたステントを覆って配置され、ステントの端を超えて延在する。シース−展開ラインの余った長さは、ステントを封入するシース部分の上に折り返されて、二重壁構造を形成する。二重壁シース−展開ラインは内部壁及び外部壁を有する。内部壁はステントと接しており、外部壁は構造物の一体化した展開ライン部分を包含する。
【0081】
シース−展開ラインの展開ライン部分は、シース−展開ラインをその長さに沿って近位端から遠位端に向かってある距離裂くことによって作られる。スリットの長さは、約1cmから、ステントを封入するシース部分に至る(但しシース部分は含まない)シース−展開ライン構造物の実質的に全長までの範囲にできる。展開ライン部分を送達カテーテルの近位端の近くに形成することが好ましい。こうして得られた材料を丸めることによって、その材料をフィラメントへと集束させる。材料を加熱してその材料をフィラメント形状に固定する。シース−展開ラインを、送達カテーテル内に用意された管腔を通し、展開ライン部分が制御ノブに取り付けられているハブにて外に出す。制御ノブは、プライマリカテーテルの近位端に位置するハブの部分である。シース−展開ラインの展開ライン部分に張力を与えると、シース部分はステントの周りから引き込まれる。シース部分を下にあるステントから除去すると、ステントは自由に拡張する。この例のNIRflex(商品名)ステントは、APTERA(登録商標)血管形成術用バルーンを膨張させることにより拡張する。ステントが拡張したら、バルーンを収縮し、シース−展開ライン構造物と一緒に送達カテーテルを移植レシピエントから除去する。自己拡張性ステントを本発明において使用する場合、バルーンは内部人工器官取付部材として有用である。
【0082】
例6:この例では、本発明の展開アセンブリを利用した本発明の展開システムの組み立てを説明する。
【0083】
上述の例のいずれかによる展開システムを、本発明の展開アセンブリと一緒に使用できる。説明目的のため、この例では、膨張性バルーン形状の内部人工器官取付部材を有する例5に記載した展開システムを参照して説明する。
【0084】
図14〜17に見られるように、送達カテーテルの管腔(111)が例5に記載の膨張性の内部人工器官取付部材及び展開アセンブリ(100)の第1の加圧可能室(109)と流体連通している(32)ように、本発明の展開アセンブリ(100)が送達カテーテル(101)につながれて構成される。
【0085】
この例では、プラスチックシリンジ形状の第1の加圧可能室(109)を、室内で動かすための手段(104、106)に取り付けられたゴムプランジャ(102)と嵌め合わせて、展開システム内の圧力を発生、維持又は低下させた。展開ライン部分を作動させる手段を、第1の加圧可能室(109)と流体連通した第2の加圧可能室(124)の形状で設けた。プラスチックシリンジ形状の第2の加圧可能室の中に移動可能なゴムピストン(122)を配置し、プラスチックの接続ロッド(120)を介して展開ライン部分に取り付けた。
【0086】
プランジャ(102)を第1の加圧可能室(109)の中に動かすと、室(102)、カテーテル管腔(111)及び内部人工器官取付部材の中の流体圧が増加して、内部人工器官取付部材が、上を覆う拡張可能なバルーンNIRflex(商品名)ステント(14)に対して半径方向の力を及ぼした。同時に、第2の加圧可能室(124)内の流体圧が増加してピストン(122)が動き始めて、取り付けられた展開ライン(114)を作動させ、拡張可能なバルーンNIRflex(商品名)ステント(14)からシースを引き込んだ。
【0087】
例7:この例では、本発明の展開システムに圧力貯蔵装置をさらに取り付ける。図18〜20に示すように、様々な圧力貯蔵装置を、内部人工器官取付部材と流体連通した展開システムに取り付けることができる。
【0088】
この例の圧力貯蔵装置(130)は、シリンジ内を移動可能なゴムプランジャ形状のダイアフラム(132)を有する展開システムにプラスチックシリンジを取り付けることによって作られる。ダイアフラム(132)は、圧縮可能気体(136)を収容する第1の気密室(139)及び膨張性の内部人工器官取付部材(18a)の管腔と流体連通した第2室(137)を画定する。加圧可能室(109)及び内部人工器官取付部材(18a)の中の圧力が増加すると、第1室(139)の圧縮可能気体(136)の圧力が増加する。加圧可能室(109)に圧力を与えるのを止めると、第1の気密室(139)内の圧縮された気体(136)はダイアフラム(132)を押し、展開システム内の流体に圧力を及ぼして、内部人工器官取付部材(18a)内の流体圧を維持又は増加する。
【0089】
本発明の特定の実施態様をここで説明及び記載したが、本発明はそのような説明及び記載に限定されない。以下の特許請求の範囲内で本発明の一部として、変更及び変形を組み合わせて具現化してもよいことは明らかである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自己拡張性腔内デバイス用展開システムであって、
少なくとも1つの管腔を有するカテーテルと;
前記腔内デバイスを導入外形に拘束する、前記腔内デバイスの少なくとも一部を取り囲むように適合させた、引き込み可能なシースと;
作動時に、展開ラインの引き込みと一緒に前記デバイスから前記シースが引き込まれるように、前記シースと一緒に引いてデバイスを展開するように構成された、展開ラインと;
前記展開ラインの長さの大部分を包みかつ展開ラインを移動可能にする、展開ライン管腔と
を含み、前記展開ライン管腔が、展開ライン作動中に、前記展開ラインに対する前記カテーテルの回転を防止するように構成されている、自己拡張性腔内デバイス用展開システム。
【請求項2】
前記展開ラインが、他の個別の部品を引くように構成されている、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項3】
前記展開ラインが、1つの単独部品として、前記シースと一緒に引かれるように構成されている、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項4】
前記1つの単独部品が少なくとも2つの別個の部分を有する、請求項3に記載のカテーテル。
【請求項5】
長さの大部分とは、前記展開ラインの長さの90%である、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項6】
長さの大部分とは、前記展開ラインの長さの95%である、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項7】
長さの大部分とは、前記展開ラインの長さの99%である、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項8】
前記回転が360度未満の動きである、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項9】
前記回転が180度未満の動きである、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項10】
前記回転が90度未満の動きである、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項11】
前記シースが連続フィルムである、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項12】
前記展開ライン管腔が、前記カテーテルの長手方向の開口部に挿入されている、請求項1に記載の展開デバイス。
【請求項13】
前記長手方向の開口部によって、前記シースが引き込まれるときに、前記展開ラインと前記シースとの接合部が前記カテーテルの長さに沿って移動可能である、請求項12に記載の展開デバイス。
【請求項14】
前記カテーテルが、展開中に完全に変化しないままの、前記カテーテルの近位端における外径を有する、請求項1に記載の展開デバイス。
【請求項15】
前記カテーテルの長手方向の開口部を覆って配置された同軸カバーをさらに含む、請求項2又は3のいずれかに記載の展開デバイス。
【請求項16】
前記同軸カバーが、密度が1.5g/ccを超える壁を含む、請求項1に記載の展開システム。
【請求項17】
前記シースが、前記腔内デバイスの少なくとも一部を取り囲む連続フィルムを含む、請求項1に記載の展開システム。
【請求項18】
前記シースの少なくとも一部が半透明である、請求項17に記載の展開システム。
【請求項19】
単独のカテーテルシャフトをさらに含む、請求項1に記載の展開システム。
【請求項20】
前記自己拡張性腔内デバイスから引き込まれるシースの長さが、前記自己拡張性腔内デバイスの展開中に移動させる展開ラインの長さと実質的に等しい、請求項1に記載の展開システム。
【請求項21】
少なくとも1つの管腔を有するカテーテルシャフトと;
前記カテーテルシャフトを少なくとも部分的に取り囲む、引き込み可能なシースと;
展開ラインに対する前記カテーテルシャフトの回転を防止するように、前記引き込み可能なシースと一緒に引かれるように構成された、展開ラインと
を含む、自己拡張性腔内デバイス用展開システム。
【請求項22】
前記展開ラインに対する前記カテーテルシャフトの回転が360度未満である、請求項21に記載の展開システム。
【請求項23】
前記展開ラインに対する前記カテーテルシャフトの回転が180度未満である、請求項21に記載の展開システム。
【請求項24】
前記展開ラインに対する前記カテーテルシャフトの回転が90度未満である、請求項21に記載の展開システム。
【請求項25】
前記カテーテル上に、除去可能な前記シースから前記展開ラインへの変換を開始するための手段をさらに含む、請求項1に記載の自己拡張性腔内デバイス用展開システム。
【請求項26】
前記引き込み可能なシースが、除去可能な前記シースから前記展開ラインへの変換を開始するための手段によって分裂する、請求項22に記載の自己拡張性デバイス用展開システム。
【請求項27】
前記展開ラインが金属である、請求項1又は21のいずれかに記載の展開システム。
【請求項28】
前記展開ラインがポリマー材料を含む、請求項1又は21のいずれかに記載の展開システム。
【請求項29】
前記ポリマー材料がポリテトラフルオロエチレンである、請求項28に記載の展開システム。
【請求項30】
前記シースがポリマー材料で作られている、請求項1又は21のいずれかに記載の展開システム。
【請求項31】
前記ポリマー材料がポリテトラフルオロエチレンを含む、請求項30に記載の展開システム。
【請求項32】
前記シースがチューブ形状である、請求項1又は25のいずれかに記載の自己拡張性腔内デバイス用展開システム。
【請求項33】
前記シースの少なくとも第1の部分が、前記自己拡張性腔内デバイスの少なくとも一部を実質的に取り囲み、前記シースの第2の部分が前記第1の部分を実質的に覆う、請求項1又は21のいずれかに記載の自己拡張性腔内デバイス用展開システム。
【請求項34】
前記展開ラインが、除去可能な前記シースの第2の部分と一緒に引かれるように構成されている、請求項33に記載の自己拡張性腔内デバイス用展開システム。
【請求項35】
前記シースがカテーテルシャフトに取り付けられていない、請求項1又は21のいずれかに記載の展開システム。
【請求項36】
前記シースの密度が2.0を超える、請求項1又は21のいずれかに記載の展開システム。
【請求項37】
導入外形に腔内デバイスを拘束するように、前記腔内デバイスの長さの少なくとも一部を完全に取り囲むチューブ状シースに適合させた高密度シート膜を含む、引き込み可能なシース。
【請求項38】
前記高密度膜が延伸PTFEである、請求項37に記載の引き込み可能なシース。
【請求項39】
前記延伸PTFEの密度が2.1g/ccを超える、請求項38に記載の引き込み可能なシース。
【請求項40】
前記延伸PTFEの密度が2.0g/ccを超える、請求項38に記載の引き込み可能なシース。
【請求項41】
前記延伸PTFEの密度が1.5g/ccを超える、請求項38に記載の引き込み可能なシース。
【請求項1】
自己拡張性腔内デバイス用展開システムであって、
少なくとも1つの管腔を有するカテーテルと;
前記腔内デバイスを導入外形に拘束する、前記腔内デバイスの少なくとも一部を取り囲むように適合させた、引き込み可能なシースと;
作動時に、展開ラインの引き込みと一緒に前記デバイスから前記シースが引き込まれるように、前記シースと一緒に引いてデバイスを展開するように構成された、展開ラインと;
前記展開ラインの長さの大部分を包みかつ展開ラインを移動可能にする、展開ライン管腔と
を含み、前記展開ライン管腔が、展開ライン作動中に、前記展開ラインに対する前記カテーテルの回転を防止するように構成されている、自己拡張性腔内デバイス用展開システム。
【請求項2】
前記展開ラインが、他の個別の部品を引くように構成されている、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項3】
前記展開ラインが、1つの単独部品として、前記シースと一緒に引かれるように構成されている、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項4】
前記1つの単独部品が少なくとも2つの別個の部分を有する、請求項3に記載のカテーテル。
【請求項5】
長さの大部分とは、前記展開ラインの長さの90%である、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項6】
長さの大部分とは、前記展開ラインの長さの95%である、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項7】
長さの大部分とは、前記展開ラインの長さの99%である、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項8】
前記回転が360度未満の動きである、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項9】
前記回転が180度未満の動きである、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項10】
前記回転が90度未満の動きである、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項11】
前記シースが連続フィルムである、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項12】
前記展開ライン管腔が、前記カテーテルの長手方向の開口部に挿入されている、請求項1に記載の展開デバイス。
【請求項13】
前記長手方向の開口部によって、前記シースが引き込まれるときに、前記展開ラインと前記シースとの接合部が前記カテーテルの長さに沿って移動可能である、請求項12に記載の展開デバイス。
【請求項14】
前記カテーテルが、展開中に完全に変化しないままの、前記カテーテルの近位端における外径を有する、請求項1に記載の展開デバイス。
【請求項15】
前記カテーテルの長手方向の開口部を覆って配置された同軸カバーをさらに含む、請求項2又は3のいずれかに記載の展開デバイス。
【請求項16】
前記同軸カバーが、密度が1.5g/ccを超える壁を含む、請求項1に記載の展開システム。
【請求項17】
前記シースが、前記腔内デバイスの少なくとも一部を取り囲む連続フィルムを含む、請求項1に記載の展開システム。
【請求項18】
前記シースの少なくとも一部が半透明である、請求項17に記載の展開システム。
【請求項19】
単独のカテーテルシャフトをさらに含む、請求項1に記載の展開システム。
【請求項20】
前記自己拡張性腔内デバイスから引き込まれるシースの長さが、前記自己拡張性腔内デバイスの展開中に移動させる展開ラインの長さと実質的に等しい、請求項1に記載の展開システム。
【請求項21】
少なくとも1つの管腔を有するカテーテルシャフトと;
前記カテーテルシャフトを少なくとも部分的に取り囲む、引き込み可能なシースと;
展開ラインに対する前記カテーテルシャフトの回転を防止するように、前記引き込み可能なシースと一緒に引かれるように構成された、展開ラインと
を含む、自己拡張性腔内デバイス用展開システム。
【請求項22】
前記展開ラインに対する前記カテーテルシャフトの回転が360度未満である、請求項21に記載の展開システム。
【請求項23】
前記展開ラインに対する前記カテーテルシャフトの回転が180度未満である、請求項21に記載の展開システム。
【請求項24】
前記展開ラインに対する前記カテーテルシャフトの回転が90度未満である、請求項21に記載の展開システム。
【請求項25】
前記カテーテル上に、除去可能な前記シースから前記展開ラインへの変換を開始するための手段をさらに含む、請求項1に記載の自己拡張性腔内デバイス用展開システム。
【請求項26】
前記引き込み可能なシースが、除去可能な前記シースから前記展開ラインへの変換を開始するための手段によって分裂する、請求項22に記載の自己拡張性デバイス用展開システム。
【請求項27】
前記展開ラインが金属である、請求項1又は21のいずれかに記載の展開システム。
【請求項28】
前記展開ラインがポリマー材料を含む、請求項1又は21のいずれかに記載の展開システム。
【請求項29】
前記ポリマー材料がポリテトラフルオロエチレンである、請求項28に記載の展開システム。
【請求項30】
前記シースがポリマー材料で作られている、請求項1又は21のいずれかに記載の展開システム。
【請求項31】
前記ポリマー材料がポリテトラフルオロエチレンを含む、請求項30に記載の展開システム。
【請求項32】
前記シースがチューブ形状である、請求項1又は25のいずれかに記載の自己拡張性腔内デバイス用展開システム。
【請求項33】
前記シースの少なくとも第1の部分が、前記自己拡張性腔内デバイスの少なくとも一部を実質的に取り囲み、前記シースの第2の部分が前記第1の部分を実質的に覆う、請求項1又は21のいずれかに記載の自己拡張性腔内デバイス用展開システム。
【請求項34】
前記展開ラインが、除去可能な前記シースの第2の部分と一緒に引かれるように構成されている、請求項33に記載の自己拡張性腔内デバイス用展開システム。
【請求項35】
前記シースがカテーテルシャフトに取り付けられていない、請求項1又は21のいずれかに記載の展開システム。
【請求項36】
前記シースの密度が2.0を超える、請求項1又は21のいずれかに記載の展開システム。
【請求項37】
導入外形に腔内デバイスを拘束するように、前記腔内デバイスの長さの少なくとも一部を完全に取り囲むチューブ状シースに適合させた高密度シート膜を含む、引き込み可能なシース。
【請求項38】
前記高密度膜が延伸PTFEである、請求項37に記載の引き込み可能なシース。
【請求項39】
前記延伸PTFEの密度が2.1g/ccを超える、請求項38に記載の引き込み可能なシース。
【請求項40】
前記延伸PTFEの密度が2.0g/ccを超える、請求項38に記載の引き込み可能なシース。
【請求項41】
前記延伸PTFEの密度が1.5g/ccを超える、請求項38に記載の引き込み可能なシース。
【図1】
【図1A】
【図2】
【図3】
【図3A】
【図4】
【図4A】
【図5】
【図5A】
【図6】
【図6A】
【図7】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8】
【図8A】
【図9】
【図9A】
【図10】
【図10A】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21A】
【図21B】
【図21C】
【図22A】
【図22B】
【図23A】
【図23B】
【図24】
【図1A】
【図2】
【図3】
【図3A】
【図4】
【図4A】
【図5】
【図5A】
【図6】
【図6A】
【図7】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8】
【図8A】
【図9】
【図9A】
【図10】
【図10A】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21A】
【図21B】
【図21C】
【図22A】
【図22B】
【図23A】
【図23B】
【図24】
【公開番号】特開2012−120847(P2012−120847A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−288501(P2011−288501)
【出願日】平成23年12月28日(2011.12.28)
【分割の表示】特願2008−529022(P2008−529022)の分割
【原出願日】平成18年6月26日(2006.6.26)
【出願人】(598123677)ゴア エンタープライズ ホールディングス,インコーポレイティド (279)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−288501(P2011−288501)
【出願日】平成23年12月28日(2011.12.28)
【分割の表示】特願2008−529022(P2008−529022)の分割
【原出願日】平成18年6月26日(2006.6.26)
【出願人】(598123677)ゴア エンタープライズ ホールディングス,インコーポレイティド (279)
【Fターム(参考)】
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