説明

拡張専用チャンネル送信に対するデータライフスパンタイマーの実装実施

【課題】送信レイテンシを制限するメカニズムを提供する。
【解決手段】無線通信システムは、拡張専用チャンネル(E−DCH)データ送信を支援し、無線送受信装置(WTRU)(102)、少なくとも1つのノードB(104)および無線ネットワーク制御装置(RNC)(106)を含む。WTRUは、バッファ(126)、ライフスパンタイマー(124)、データ再送カウンタ(130)、ハイブリッド自動再送要求(H−ARQ)プロセス(128)、および制御装置(122)を含む。ライフスパンタイマーは、バッファ内に格納された少なくとも1つのデータブロックにライフスパン(寿命)を設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの無線送受信装置(WTRU)、少なくとも1つのノードBおよび無線ネットワーク制御装置(RNC)を含む無線通信システムに関する。より詳細には、本発明は拡張専用チャンネル(E−DCH)送信を支援するためのデータライフスパンタイマーを実装実施する方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上りリンク(UL)のカバレッジ、スループット、および送信レイテンシを改善する方法は現在、第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP:第3世代移動体通信システムの標準化プロジェクトによる移動体通信システムの標準規格)のリリース6で検討されている。この目標を達成するため、WTRUに対するULのスケジューリングおよび割り当てを行う責任責務をノードBが引き継ぐであろう。ノードBは短期間方式ではRNCよりも効率的な決定を行い、ULの無線リソースを管理することができる。RNCは、拡張上りリンク(EU)サービスを用いてセルを全体的に大まかに制御し続け、その結果RNCは呼承認制御(call admission control)および輻輳制御(congestion control)のような機能を実行できる。
【0003】
ハイブリッド自動再送要求(H−ARQ)技術は、低いレイテンシ(待ち時間)で送信および再送信を生成する手続きを提供する。H−ARQ技術の主な態様は、送信失敗したデータを後続の再送信に滑らかに組み合わせて、受信が成功する確率を高めることである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
送信に対するH−ARQ方式とノードBのスケジューリングとを使用するとき、データ送信を成功させるために必要な時間は様々であろう。非常に低いレイテンシの送信を要求するアプリケーションに対しては、著しく遅延した送信によって逆効果悪影響を受ける可能性がある。例えば、遅延したデータは失敗した送信と考えられ、最終的にアプリケーションにより不必要に再送信される可能性がある。従って、送信レイテンシを制限するメカニズムが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、E−DCHデータ送信を支援する無線通信システムで実装実施される。無線通信システムは、無線送受信装置(WTRU)、少なくとも1つのノードBおよび無線ネットワーク制御装置(RNC)を含む。WTRUはデータバッファ、データライフスパンタイマー、データ再送カウンタ(data transmission counter)、ハイブリッド自動再送要求(H−ARQ)プロセスおよび制御装置を含む。ライフスパンタイマーは、バッファ内に格納された少なくとも1つのデータブロックにライフスパン(寿命)を設定する。WTRUは以下のように構成される。即ち、(i)ライフスパンタイマーが満了したか否かを定期的に判定すること、(ii)データブロックが前もって送信すでに送信されたか否かを判定すること、(iii)ライフスパンタイマーが満了直前であるか否かを判定すること、および(iv)物理リソース(物理資源)が割り振られているか否かを判定することである。物理リソースが、満了直前のライフスパンタイマーに関連付けられたデータブロックに割り振られていない場合、WTRUは緊急チャンネル割り振り(allocateアロケーション)要求をノードBに送る。物理リソースが割り振られている場合、データブロックは他のデータブロックに対して優先的に送信される。ライフスパンタイマーが満了する場合、またはデータブロックがノードBにより成功裡に受信されたことを示すフィードバック情報をWTRUが受信する場合、データブロックは破棄される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】本発明に従って操作する無線通信システムのブロックダイアグラムである。
【図2】本発明に従って図1のシステムのWTRU内でデータライフスパンタイマーを実装するプロセスのフローダイアグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明は、実施例で示した一例として例示した好適な実施態様の以下の説明からより詳細に理解することができ、その実施態様は以下の付属添付図面を参照して理解することができる。
【0008】
以降、用語「WTRU」は、これらに限らないが、ユーザ機器(UE:user equipment)、モバイル移動局、固定または移動加入者ユニット(mobile subscriber unit)、ポケットベル(pager)、あるいは無線環境で操作(オペレーション)可能な任意の他のタイプの装置を含む。以降引用するとき、用語「ノードB」は、これらに限らないが、基地局、サイト制御装置、アクセスポイント、または無線環境内の任意の他のタイプのインターフェース装置(interface device)を含む。
【0009】
本発明の特徴は、集積回路(IC)に組み込むことができ、または多数の相互接続コンポーネントを備える回路内で構成することであろうができることである。
【0010】
図1は、本発明に従った無線通信システム100のブロックダイアグラム(ブロック図)である。システム100は少なくとも1つのWTRU102、少なくとも1つのノードB104および少なくとも1つのRNC106から成るを備える。WTRU102は制御装置122、データライフスパンタイマー124、バッファ126、複数のH−ARQプロセス128および任意に状況に応じて隋意的に再送カウンタ130を備える。制御装置122は、データライフスパンタイマー124の初期化およびH−ARQプロセス128の割り振りを含むデータ送信手順全体を制御する。
【0011】
RNC106は、ノードB104およびWTRU102に対するEUパラメータを構成設定することで、システム100のEU操作全体を制御する。そのようなパラメータには、転送チャンネル(TrCH)または論理チャンネルデータに対するライフスパン・タイム(耐久年数寿命)、初期送信電力レベル、EUの最大許容送信電力またはノードB104毎の利用可能なチャンネルリソースなどがある。E−DCHは、WTRU102とノードB104との間のEU送信を支援するために設定される。
【0012】
E−DCH送信に対して、WTRU102はULEUシグナリングチャンネル(signaling channel)110経由でノードB104にチャンネル割り振り要求を送る。チャンネル割り振り要求(または他のULEUシグナリング)は、ULEUシグナリングチャンネル110の代わりにE−DCH108経由で送信されてもよい。それに応答して、ノードB104は下りリンク(DL)EUシグナリングチャンネル112経由でWTRU102にチャンネル割り振り情報を送る。EU無線リソースがWTRU102に割り振られると、WTRU102はE−DCH108経由でデータを送信する。E−DCHデータ送信に応答して、ノードB104はH−ARQの操作に対する確認応答(ACK)または非確認応答(NACK)メッセージをDLEUシグナリングチャンネル112経由で送る。
図2は、本発明に従ってE−DCH送信を支援する目的で、WTRU102内でデータライフスパンタイマー124を実装実施するプロセス200のフローダイアグラム(流れ図)である。WTRU102は、複数のデータライフスパンタイマー124を使用して多数のE−DCH送信を同時に処理することができる。
【0013】
E−DCH108経由で新規のデータブロックが送信用に受信されると、制御装置122はそのデータブロックに対してデータライフスパンタイマー124を起動し、H−ARQプロセス128をそのデータブロックに関連付け、その新規のデータブロックはバッファ126で待機する(ステップ202)。RNCは、各E−DCHのTrCHまたは各E−DCHの論理チャンネルに対してデータのライフスパンを設定構成する。MACまたはRLCでUL送信を受信すると、そのタイマーが各送信に対して初期化される。
【0014】
E−DCHデータライフスパンタイマー124の値は、WTRU102内の制御装置122が最大許容送信レイテンシ(待ち時間)、RLCの構成設定、およびTrCHブロックエラーレート(誤り率)(BLER)などのような、いくつかの要素を考慮して判定決定することができる。例えば、最大許容レイテンシは、配信前にバッファ可能な期間を判定決定する。さらに、BLERは、送信レイテンシに影響するH−ARQの再送信回数を判定決定する。データライフスパンタイマー124に割り当てた値は、WTRU102におけるEU(拡張上りリンク)の媒体アクセス制御エンティティー(MAC−e)外部の外側でのWTRUのデータ処理を考慮することもできる。
【0015】
アプリケーションのプロトコル(例えば、TCP/IP:通信制御プロトコル/インタネット・プロトコル)は最小の送信レイテンシと送信レイテンシにおける最小の分散とを要求し、最大のスループットを達成する。送信遅延が生じるときには、データが失敗および破棄されることが予期され、遅延および再送信されることは予期されない。このことにより、結果としてアプリケーションのビヘイビア(働き)が非効率的になる。
【0016】
ステップ204の各TTI(有効期間)に対して、制御装置122はWTRU102のバッファ126内のデータブロックに対するデータライフスパンタイマーが満了したか否かを判定する(ステップ206)。データライフスパンタイマー124が満了した場合、制御装置122はそのデータブロックを破棄し、関連付けられるH−ARQプロセス128を解除する(ステップ208)。WTRU102はこのイベント(事象、出来事)を、RNC106またはノードB104のいずれかに通知することができる(ステップ210)。WTRU102はさらにノードBに、一意な指示を有するチャンネル割り振り要求を送ることで、物理リソースの割り振りが十分でないことを通知することができる。
【0017】
ステップ206を再び参照すると、データブロックに対するデータライフスパンタイマー124が満了していない場合、制御装置122は、WTRU102のバッファ126内のデータブロックがWTRU102により前もって送信すでに送信されたか否かを判定する(ステップ212)。データブロックが前もって送信すでに送信された場合、データブロックに関連付けられるデータフィードバック情報がノードB104から受信されたか否かがさらに判定される(ステップ214)。データブロックの送信が成功したことを示す確認応答(ACK)メッセージが受信される場合、そのデータブロックはバッファ126から破棄され、関連付けられるH−ARQプロセス128が別のデータブロックを支援するために利用可能となり、データライフスパンタイマーがリセットされる(ステップ216)。フィードバックメッセージが受信されない場合、WTRU102は次のTTI(有効期間)までフィードバックメッセージを待つ(ステップ218)。
【0018】
ステップ212でデータブロックがWTRU102によりこれまでに前もって送信されていないことが判定される場合、またはそのデータブロックが送信されたが、そのデータブロックの送信が失敗したことを示す非確認応答(NACK)メッセージが受信される場合、そのデータブロックは再送信される。制御装置122は、そのデータブロックに対するデータライフスパンタイマー124が満了直前か否かを判定する(ステップ220)。データライフスパンタイマー124が満了直前でない場合、通常のH−ARQ操作が、そのデータブロックを送信するために初期化される(ステップ222)。
【0019】
ステップ224において、制御装置122は、データライフスパンタイマー124が満了直前であるときに物理リソースが割り振られたているか否かを判定する(ステップ224)。物理リソースが割り振られている場合、制御装置122はそのデータブロックの送信を随意的に任意に優先することができる(ステップ226)。物理リソースが割り振られていない場合、制御装置122は、そのデータブロックの送信を支援するために緊急チャンネル割り振り要求をノードBに随意的に任意に送ることができる(ステップ228)。
【0020】
ステップ214を再び参照すると、NACKメッセージが受信された場合、そのデータブロックは再送信され、制御装置122は再送カウンタ130が最大再送信制限に到達したか否かを判定することができる(ステップ230)。再送カウンタ130はデータブロックが再送信される度にインクリメント(増加)され、最大再送信制限はRNC106により構成設定される。再送カウンタ130が最大再送信制限に到達しない場合、プロセス200はステップ220に進む。再送カウンタ130が最大再送信制限に到達した場合、制御装置122は、そのデータブロックに対するライフスパンタイマー124が満了しない限り、H−ARQプロセス128を再初期化する(ステップ232)。再送カウンタ130が初期化され、新規のデータのインジケータ(指示子)がインクリメントされると、H−ARQプロセス128が再初期化されたことを示す。
【0021】
本発明の特徴および構成要素を特定の組み合わせにおける好適な実施態様で説明したが、各特徴および構成要素は、その好適な実施態様の他の特徴および構成要素なしに単独で、または本発明の他の特徴および構成要素を様々に組み合わせて、または本発明の他の特徴および構成要素なしに、使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上りリンクでデータブロックを送信する無線送受信装置(WTRU)で実行される方法であって、
送信すべきデータブロックをより高い層から受信することと、
バッファに前記データブロックを格納すること、
ハイブリッド自動再送要求(H−ARQ)プロセスを前記データブロックに対して割り当てることと、
前記データブロックを前記H−ARQプロセスによって送信することと、
前記データブロックについてのフィードバック情報を受信することであって、前記データブロックは、前記データブロックが成功裡に配送されなかったことを前記フィードバック情報が示しているという条件で、前記H−ARQプロセスによって再送されることと、
前記データブロックの再送の回数が、設定された最大回数に到達したという条件で、前記H−ARQプロセスの再送カウンタを初期化することとを備え、
前記H−ARQプロセスの再送カウンタを初期化することは、前記データブロックのタイマーが満了したという条件でさらに実行され、
前記H−ARQプロセスの再送カウンタを初期化することは、前記データブロックが成功裡に配送されたことを前記フィードバック情報が示しているという条件でさらに実行されることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記データブロックが拡張専用チャンネル(E−DCH)のデータブロックであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記データブロックの前記タイマーが満了したという条件、または前記データブロックが成功裡に配送されたことを前記フィードバック情報が示しているという条件で、新しいデータブロックを前記H−ARQプロセスに提供することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
無線ネットワーク制御装置から転送チャネル構成情報を受信することをさらに備え、
前記転送チャネル構成情報は、前記タイマーの構成情報を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記データブロックの前記タイマーが満了したという条件で前記データブロックを破棄することをさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記データブロックが成功裡に配送されたことを前記フィードバック情報が示しているという条件で、前記データブロックの前記タイマーが満了していない場合に前記データブロックを破棄することをさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
上りリンクでデータブロックを送信する無線送受信装置(WTRU)であって、
送信すべきデータブロックを格納するように構成されたメモリと、
前記データブロックの送信と再送信のためのハイブリッド自動再送要求(H−ARQ)プロセスであって、前記データブロックは、前記データブロックが成功裡に配送されなかったことを前記フィードバック情報が示しているという条件で再送信されることと、
前記データブロックの送信と再送信のために前記H−ARQプロセスを割り当て、前記データブロックの再送の回数が、設定された最大回数に到達したという条件で、前記H−ARQプロセスの再送カウンタを初期化するように構成されて制御装置であって、前記H−ARQプロセスの再送カウンタを初期化することは、前記データブロックのタイマーが満了したという条件でさらに実行され、前記H−ARQプロセスの再送カウンタを初期化することは、前記データブロックが成功裡に配送されたことを前記フィードバック情報が示しているという条件でさらに実行されることと
を備えたことを特徴とするWTRU。
【請求項8】
前記データブロックが拡張専用チャンネル(E−DCH)のデータブロックであることを特徴とする請求項7に記載のWTRU。
【請求項9】
前記データブロックの前記タイマーが満了したという条件、または前記データブロックが成功裡に配送されたことを前記フィードバック情報が示しているという条件で、新しいデータブロックを前記H−ARQプロセスに提供することを特徴とする請求項7に記載のWTRU。
【請求項10】
前記制御装置は、無線ネットワーク制御装置から転送チャネル構成情報を受信するように構成され、前記転送チャネル構成情報は、前記タイマーの構成情報を含むことを特徴とする請求項7に記載のWTRU。
【請求項11】
前記制御装置は、前記データブロックの前記タイマーが満了したという条件で前記データブロックを破棄するように構成されたことを特徴とする請求項7に記載のWTRU。
【請求項12】
前記制御装置は、前記データブロックが成功裡に配送されたことを前記フィードバック情報が示しているという条件で、前記データブロックの前記タイマーが満了していない場合に前記データブロックを破棄するように構成されたことを特徴とする請求項7に記載のWTRU。
【請求項13】
無線ネットワーク制御装置であって、
拡張上りリンクのデータブロックを送信するための転送チャネル構成情報を無線送受信装置(WTRU)に送信するように構成された制御装置であって、前記転送チャネル構成情報は、前記拡張上りリンクのデータブロックの送信のためのタイマーを含むことを備えることにより、
前記WTRUは、前記データブロックの再送の回数が、設定された最大回数に到達したという条件で、拡張上りリンクのデータブロックに対するH−ARQプロセスの再送カウンタを初期化するように構成され、前記H−ARQプロセスの再送カウンタを初期化することは、前記データブロックのタイマーが満了したという条件でさらに実行され、前記H−ARQプロセスの再送カウンタを初期化することは、前記データブロックが成功裡に配送されたことを前記フィードバック情報が示しているという条件でさらに実行されることを特徴とする無線ネットワーク制御装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−151899(P2012−151899A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−100136(P2012−100136)
【出願日】平成24年4月25日(2012.4.25)
【分割の表示】特願2012−70155(P2012−70155)の分割
【原出願日】平成17年4月29日(2005.4.29)
【出願人】(596008622)インターデイジタル テクノロジー コーポレーション (871)
【Fターム(参考)】