説明

拡管装置

【課題】マンドレルを支持する支持部材を不要としつつもマンドレルの座屈を防止して、小型化およびコストダウンを図ることができる拡管装置を提供する。
【解決手段】送り装置2は、マンドレル7を挟持しながら伝熱管6側へ送る。送り装置2は、保持装置1の近傍に配置されている。このように、マンドレル7は、伝熱管6の近傍にて、送り装置2の推力を受ける。したがって、マンドレル7への推力は、伝熱管6の近傍にて、付与されるので、マンドレル7を伝熱管6に圧入して伝熱管6を拡管するとき、マンドレル7の座屈を防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、熱交換器の伝熱管をマンドレルによって拡管する拡管装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、拡管装置としては、マンドレルの後端が取り付けられた取付部と、この取付部をマンドレルの前方向へ押し出すシリンダとを備えたものがある(特開平8−99141号公報:特許文献1参照)。
【0003】
そして、上記シリンダにより取付部を前方向へ押し出すことによって、マンドレルを前方向へ移動して、取付部およびマンドレルの前方に位置する熱交換器の伝熱管に、マンドレルの前部を、圧入して、伝熱管を拡管していた。
【0004】
しかしながら、上記従来の拡管装置では、シリンダによりマンドレルの後端を押して、マンドレルの前部を伝熱管に圧入していたので、マンドレルに座屈が発生するおそれがあった。
【0005】
そして、このマンドレルの座屈を防止するために、マンドレルの前端と後端との間を支持する座屈防止用支持部材を、マンドレルの軸方向に沿って、複数個並列する必要があった。この座屈防止用支持部材を設けることにより、拡管装置が大型になり、コスト高となる問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−99141号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、この発明の課題は、マンドレルを支持する支持部材を不要としつつもマンドレルの座屈を防止して、小型化およびコストダウンを図ることができる拡管装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、この発明の拡管装置は、
伝熱管を有する熱交換器を保持する保持装置と、
上記伝熱管に圧入されて上記伝熱管を拡管するためのマンドレルを挟持しながら、このマンドレルを上記伝熱管に平行に上記伝熱管側へ送る送り装置と、
上記送り装置を駆動する駆動装置と
を備え、
上記送り装置は、上記保持装置の近傍に配置されていることを特徴としている。
【0009】
ここで、「近傍」とは、マンドレルを伝熱管に圧入し始める状態において、少なくとも、マンドレルの長さの半分の位置よりも伝熱管側の位置で(つまり、マンドレルの長さの半分の位置とマンドレルのヘッド部の先端との間の位置で)、送り装置がマンドレルに推力を加えることができる程度に、送り装置が保持装置に接近していることをいう。
【0010】
この発明の拡管装置によれば、上記送り装置は、マンドレルを挟持しながら伝熱管側へ送るので、マンドレルは、送り装置から、挟持搬送による推力を与えられる。そして、送り装置は、保持装置の近傍に配置されているので、マンドレルは、伝熱管の近傍にて、送り装置の推力を受ける。
【0011】
このように、マンドレルへの推力は、伝熱管の近傍にて、付与されるので、マンドレルを伝熱管に圧入して伝熱管を拡管するとき、マンドレルの座屈を防止できる。また、マンドレルの座屈を防止できるため、従来用いていた、マンドレルを支持する座屈防止用支持部材が、不要になる。また、従来の座屈防止用支持部材が不要になるため、拡管装置の小型化およびコストダウンを図ることができる。
【0012】
また、一実施形態の拡管装置では、上記送り装置は、上記マンドレルを挟持しつつ搬送するベルト体を有する。
【0013】
この実施形態の拡管装置によれば、上記送り装置は、マンドレルを挟持しつつ搬送するベルト体を有するので、簡単な構成でマンドレルに推力を与えることができる。
【0014】
また、一実施形態の拡管装置では、
上記ベルト体を上記マンドレルに向けて押圧する複数の押圧ローラを有し、
上記複数の押圧ローラは、上記マンドレルを挟んだ両側に、上記マンドレルの軸に沿って千鳥状に配置されている。
【0015】
この実施形態の拡管装置によれば、上記複数の押圧ローラは、マンドレルを挟んだ両側に、マンドレルに沿って千鳥状に配置されているので、ベルト体が、マンドレルを挟んだ両側の方向(以下、挟持方向という。)とマンドレルの軸方向(搬送方向)とに直交する方向(以下、サイド方向という。)に、押圧ローラから離脱することを、防止できる。これにより、ベルト体のサイド方向への脱落を防止するために、サイド方向からベルト体を押し込む装置(例えば、シリンダなど)が不要になり、拡管装置のサイド方向の大きさを小さくできる。
【0016】
また、一実施形態の拡管装置では、
上記ベルト体は、4本の丸ベルトであり、
上記4本の丸ベルトは、上記マンドレルの周囲に接触する。
【0017】
この実施形態の拡管装置によれば、上記ベルト体は、4本の丸ベルトであり、4本の丸ベルトは、マンドレルの周囲に接触するので、4本の丸ベルトにより、種々の径のマンドレルを搬送することができる。
【0018】
また、一実施形態の拡管装置では、
上記ベルト体は、帯ベルトであり、
上記帯ベルトは、上記マンドレルの軸に沿って延在する溝部を有し、
上記溝部の内面は、上記マンドレルの周囲に接触する。
【0019】
この実施形態の拡管装置によれば、上記ベルト体は、帯ベルトであり、帯ベルトの溝部の内面は、マンドレルの周囲に接触するので、帯ベルトの溝部にマンドレルを嵌め込むことができ、帯ベルトにより、マンドレルの搬送力を向上できる。
【0020】
また、一実施形態の拡管装置では、
上記ベルト体は、チェーンベルトであり、
上記チェーンベルトは、上記マンドレルの周囲に接触する。
【0021】
この実施形態の拡管装置によれば、上記ベルト体は、チェーンベルトであり、チェーンベルトは、マンドレルの周囲に接触するので、チェーンベルトにより、種々の径のマンドレルを搬送することができる。
【0022】
また、一実施形態の拡管装置では、上記チェーンベルトの周囲に、摩擦部材を設けている。
【0023】
この実施形態の拡管装置によれば、上記チェーンベルトの周囲に、摩擦部材を設けているので、摩擦部材により、マンドレルの搬送力を向上できる。
【発明の効果】
【0024】
この発明の拡管装置によれば、送り装置は、保持装置の近傍に配置されているので、マンドレルを支持する支持部材を不要としつつもマンドレルの座屈を防止して、小型化およびコストダウンを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1実施形態の拡管装置を示す簡略正面図である。
【図2】拡管装置の簡略平面図である。
【図3】送り装置の要部の断面図である。
【図4】押圧ローラを千鳥状に配置したときの効果を説明する説明図である。
【図5】押圧ローラを整列して配置したときの欠点を説明する説明図である。
【図6】本発明の第2実施形態の拡管装置のベルト体を示す斜視図である。
【図7】ベルト体の断面図である。
【図8】他のベルト体の断面図である。
【図9】本発明の第3実施形態の拡管装置のベルト体を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、この発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0027】
(第1の実施形態)
図1は、この発明の第1実施形態の拡管装置を示す正面図である。図2は、拡管装置の平面図である。図1と図2に示すように、この拡管装置は、熱交換器5を保持する保持装置1と、マンドレル7を挟持しながら保持装置1側へ送る送り装置2と、送り装置2を駆動する駆動装置3とを備える。
【0028】
上記熱交換器5は、複数の伝熱管6と、(図示しない)複数の放熱フィンとを有する。伝熱管6は、例えば、銅管やアルミ管などの熱伝導性、延展性および耐食性の優れた金属からなる。
【0029】
上記マンドレル7は、バー部7aと、バー部7aの先端に固定されたヘッド部7bとを有する。マンドレル7のヘッド部7bを、伝熱管6に圧入することで、伝熱管6を拡管して、伝熱管6を放熱フィンに一体的に固着させて、熱交換器5の熱効率を向上させる。
【0030】
上記保持装置1は、台部31と、台部31に取り付けられた複数のクランプ部32とを有する。台部31は、熱交換器5を載置する。複数のクランプ部32は、熱交換器5の長手方向に沿って、熱交換器5を挟んだ左右両側に位置するように、配置されている。クランプ部32は、熱交換器5に対して接近または離隔するように、構成されている。そして、複数のクランプ部32は、熱交換器5に接触して、熱交換器5を両側から挟持する。これにより、熱交換器5は、保持装置1に保持される。なお、図1では、クランプ部32を仮想線にて示している。
【0031】
上記送り装置2は、マンドレル7を挟持しながら、このマンドレル7を伝熱管6に平行に伝熱管6側へ送る。送り装置2は、1本のマンドレル7を挟持しつつ搬送する一対のベルト体10,10を有する。
【0032】
図3の模式図に示すように、上記一対のベルト体10は、4本の丸ベルト11,12,13,14であり、4本の丸ベルト11,12,13,14は、マンドレル10の周囲に接触する。つまり、上側のベルト体10は、2本の丸ベルト11,12であり、下側のベルト体10は、2本の丸ベルト13,14である。丸ベルト11,12,13,14は、断面が略円形であり、例えば、ゴムまたは可撓性の合成樹脂からなる。
【0033】
図1〜図3に示すように、本体20に、第1プーリ21,23および第2プーリ22,24が回転自在に取り付けられ、第1プーリ21,23に第2プーリ22,24を対向させている。なお、図2では、本体20を省略して描いている。
【0034】
上記第1プーリ21,23には、2つのベルト体10が巻回され、上記第2プーリ22,24には、2つのベルト体10が巻回されている。
【0035】
以下、上記第1プーリ21,23に巻回された一方のベルト体10と、上記第2プーリ22,24に巻回された一方のベルト体10とについて、説明する。なお、他方のベルト体10,10についても同様の構成である。
【0036】
上記第1プーリ21,23には、2本の丸ベルト11,12が巻回され、上記第2プーリ22,24には、2本の丸ベルト13,14が巻回され、4本の丸ベルト11,12,13,14が同期するようにしている。
【0037】
具体的に述べると、上記保持装置1側(マンドレル7の搬送方向の下流側)の第1プーリ21の軸には、駆動装置の一例としてのモータ3が取り付けられ、このモータ3の駆動によって、下流側の第1プーリ21が回転する。下流側の第1プーリ21の軸には、(図示しない)第1歯車が固定され、下流側の第2プーリ22の軸には、(図示しない)第2歯車が固定され、この第1、第2歯車が互いに噛合している。このように、下流側の第1、第2プーリ21,22を同期させて、4本の丸ベルト11,12,13,14を同期させ同じ速度で搬送するようにしている。
【0038】
図3に示すように、上記下流側の第1、第2プーリ21,22のそれぞれには、2つの丸ベルト11,12,13,14が嵌る2つの円弧状のベルト溝25,25,26,26と、2つの丸ベルト11,12,13,14の間に位置すると共に2つの丸ベルト11,12,13,14に面接触する断面が2つの略円弧からなる突起27,28とを、設けている。なお、上流側の第1、第2プーリ23,24にも、図示しないが、上記突起27,28と同じ突起を設けている。
【0039】
この2つの丸ベルト11,12,13,14に面接触する突起27,28の存在によって、丸ベルト11,12,13,14と第1、第2プーリ21,23,22,24との接触面積が増大して、搬送能力が増大している。
【0040】
図1と図2に示すように、上記送り装置2は、保持装置1の近傍に配置されている。つまり、マンドレル7を伝熱管6に圧入し始める状態において、少なくとも、マンドレル7の長さの半分の位置よりも伝熱管6側の位置で、送り装置2がマンドレル7に推力を加えることができる程度に、送り装置2が保持装置1に接近している。言い換えると、マンドレル7を伝熱管6に圧入し始める状態において、下流側の第1、第2プーリ21,22は、マンドレル7の長さの半分の位置とヘッド部7bの先端との間の位置に、配置される。
【0041】
図1と図2に示すように、上記ベルト体10をマンドレル7に向けて押圧する複数の押圧ローラ51,61を設けている。この複数の押圧ローラ51,61は、マンドレル7を挟んだ上下両側に、マンドレル7の軸に沿って千鳥状に配置されている。つまり、上側の押圧ローラ51の軸と、下側の押圧ローラ61の軸とは、マンドレル7の搬送方向に直交する同一平面上になく、上下方向からみて重ならない。
【0042】
上記上側の押圧ローラ51は、第1プーリ21,23に巻回された丸ベルト11,12の内側に配置される。上側の押圧ローラ51は、支持部材52に、回転自在に取り付けられている。この支持部材52は、本体20に取り付けられたシリンダ53に、取り付けられている。このシリンダ53は、支持部材52を下方に向けて押圧可能である。
【0043】
上記下側の押圧ローラ61は、第2プーリ22,24に巻回された丸ベルト13,14の内側に配置されて、丸ベルト13,14を内側から支持する。下側の押圧ローラ61は、本体20に取り付けられた支持部材62に、回転自在に取り付けられている。
【0044】
そして、上記シリンダ53によって、図1の白抜きの矢印に示されるように、上側の押圧ローラ51を丸ベルト11,12に向けて押圧することによって、この丸ベルト11,12と、下側の押圧ローラ61に支持された丸ベルト13,14とによって、マンドレル7が強く押圧されて、大きな搬送力が得られる。
【0045】
次に、上記構成の拡管装置の作用を説明する。
【0046】
図1と図2に示すように、上記保持装置1に熱交換器5を保持し、その後、送り装置2により、マンドレル7を挟持しながら、マンドレル7を、図1の白抜きの矢印に示されるように、伝熱管6側(前方)へ送る。このとき、同期した丸ベルト11,12,13,14は、同じ速度で送られ、マンドレル7の周囲の等間隔の4箇所を押圧して、マンドレル7を前方に搬送する。そして、マンドレル7のヘッド部7bを、熱交換器5の伝熱管6に圧入して、伝熱管6を拡管する。
【0047】
上記構成の拡管装置によれば、上記送り装置2は、マンドレル7を挟持しながら伝熱管6側へ送るので、マンドレル7は、送り装置2から、挟持搬送による推力を与えられる。そして、送り装置2は、保持装置1の近傍に配置されているので、マンドレル7は、伝熱管6の近傍にて、送り装置2の推力を受ける。
【0048】
このように、上記マンドレル7への推力は、伝熱管6の近傍にて、付与されるので、マンドレル7を伝熱管6に圧入して伝熱管6を拡管するとき、マンドレル7の座屈を防止できる。また、マンドレル7の座屈を防止できるため、従来用いていた、マンドレルを支持する座屈防止用支持部材が、不要になる。また、従来の座屈防止用支持部材が不要になるため、拡管装置の小型化およびコストダウンを図ることができる。
【0049】
また、上記送り装置2は、マンドレル7を挟持しつつ搬送する一対のベルト体10を有するので、簡単な構成でマンドレル7に推力を与えることができる。さらに、一対のベルト体10は、4本の丸ベルト11,12,13,14であり、4本の丸ベルト11,12,13,14は、マンドレル7の周囲に接触するので、4本の丸ベルト11,12,13,14により、種々の径のマンドレル7を搬送することができる。
【0050】
また、上記複数の上下の押圧ローラ51,61は、マンドレル7を挟んだ両側に、マンドレル7に沿って千鳥状に配置されているので、ベルト体10が、マンドレル7を挟んだ両側の方向(以下、挟持方向という。)とマンドレル7の軸方向(搬送方向)とに直交する方向(以下、サイド方向という。)に、押圧ローラ51,61から離脱することを、防止できる。上記挟持方向とは、図1の上下方向をいい、上記サイド方向とは、図1の紙面の直交方向をいう。
【0051】
これにより、上記ベルト体10のサイド方向への脱落を防止するために、サイド方向からベルト体10を押し込む装置(例えば、シリンダなど)が不要になり、拡管装置のサイド方向の大きさを小さくできる。
【0052】
この理由として、図4に示すように、複数の上下の押圧ローラ51,61を、マンドレル7の軸に沿って、千鳥状に配置することで、マンドレル7の軸方向(搬送方向)に隣接する押圧ローラ51,61において、この隣接する押圧ローラ51,61の回転の同期がとれなくても、ベルト体10は、挟持方向Aに逃げることができ、つまり、ベルト体10の部分10a,10b,10cは、挟持方向Aに湾曲して、ベルト体10は、サイド方向Bに、脱落しない。なお、図4では、わかりやすくするために、ベルト体10の湾曲を、実際よりも過大に表現している。
【0053】
これに対して、図5に示すように、複数の上下の押圧ローラ151,161を、マンドレル107の軸に沿って、整列して配置する場合、つまり、上側の押圧ローラ151の軸と下側の押圧ローラ161の軸とを、マンドレル107の搬送方向に直交する同一平面上に配置する場合、マンドレル107の軸方向(搬送方向)に隣接する押圧ローラ151,161において、この隣接する押圧ローラ151,161の回転の同期がとれないと、隣接する押圧ローラ151,161間のベルト体110の部分110a,110bは、サイド方向Bに湾曲して、ベルト体110は、サイド方向Bに、脱落する。
【0054】
(第2の実施形態)
図6は、この発明の拡管装置の第2の実施形態を示している。上記第1の実施形態と相違する点を説明すると、この第2の実施形態では、ベルト体の構成が相違する。なお、この第2の実施形態において、上記第1の実施形態と同一の部分には、同一の参照番号を付して、詳細な説明を省略する。
【0055】
図6に示すように、一対のベルト体10A,10Aは、一対の上下の帯ベルト11A,12Aである。上下の帯ベルト11A,12Aは、それぞれ、マンドレル7の軸に沿って延在する溝部102Aを有する。溝部102Aの内面は、マンドレル7の周囲に接触する。帯ベルト11A,12Aは、例えば、タイミングベルトであり、この場合、帯ベルト11A,12Aに巻回されるプーリは、歯付きのプーリとなり、帯ベルト11A,12Aを押圧する押圧ローラは、歯付きのローラとなる。
【0056】
図7に示すように、上記帯ベルト12Aは、本体部100Aと、この本体部100A内に配置された複数の芯線101Aとを有する。本体部100Aは、例えば、ゴムまたは可撓性の合成樹脂からなり、マンドレル7への摩擦抵抗を大きくしている。芯線101Aは、例えば、鉄などからなり、帯ベルト12Aの強度を大きくしている。本体部100Aの一面に、上記溝部102Aが設けられ、この溝部102Aの内面の断面形状は、円弧状に形成されている。そして、この溝部102Aに、マンドレル7が嵌め込まれる。なお、図示しないが、上側の帯ベルト11Aについても、下側の帯ベルト12Aと同じ構成である。
【0057】
したがって、上記帯ベルト11A,12Aの溝部102Aにマンドレル7を嵌め込むことができ、一対の帯ベルト11A,12Aにより、マンドレル7の搬送力を向上できる。
【0058】
なお、上記帯ベルト11A,12Aの溝部102Aの形状は、円弧状以外であってもよく、例えば、図8に示すように、帯ベルト12Bの溝部102Bの内面の断面形状は、台形であってもよい。このように、断面台形形状の溝部102Bでは、異なる径のマンドレル7に対応できて、汎用性がある。
【0059】
(第3の実施形態)
図9は、この発明の拡管装置の第3の実施形態を示している。上記第1の実施形態と相違する点を説明すると、この第3の実施形態では、ベルト体の構成が相違する。なお、この第3の実施形態において、上記第1の実施形態と同一の部分には、同一の参照番号を付して、詳細な説明を省略する。
【0060】
図9に示すように、一対のベルト体10C,10Cは、一対の上下のチェーンベルト11C,12Cである。上下のチェーンベルト11C,12Cは、マンドレル7の周囲に接触する。したがって、一対のチェーンベルト11C,12Cにより、種々の径のマンドレル7を搬送することができる。この場合、チェーンベルト11C,12Cに巻回されるプーリは、歯付きのプーリとなり、チェーンベルト11C,12Cを押圧する押圧ローラは、歯付きのローラとなる。
【0061】
なお、上記チェーンベルト11C,12Cの周囲に、(図示しない)摩擦部材を設けてもよく、この摩擦部材により、マンドレル7の搬送力を向上できる。
【0062】
なお、この発明は上述の実施形態に限定されない。例えば、上記第1から上記第3の実施形態のそれぞれの特徴点を様々に組み合わせてもよく、上記第1から上記第3の実施形態のそれぞれのベルト体を種々に組み合わせてもよい。また、上記実施形態では、マンドレルを水平方向に移動する横置きの拡管装置であったが、マンドレルを鉛直方向に移動する縦置きの拡管装置であってもよい。また、一つのベルト体で、複数のマンドレルを搬送するようにしてもよい。また、ベルト体の数量を、増減してもよく、ベルト体の形状を、丸形、楕円形、角形などにしてもよい。
【0063】
また、押圧ローラを、マンドレルの軸に沿って、千鳥状でなく整列して配置するようにしてもよい。また、押圧ローラを省略してもよい。また、送り装置として、ベルト体の代わりに、ローラなどの回転体を用いてもよい。
【0064】
また、駆動装置として、モータの代わりに、モータと複数の歯車とを組み合わせた構造としてもよい。また、保持装置として、クランプ部の代わりに、熱交換器を保持する他の構造であってもよい。
【符号の説明】
【0065】
1 保持装置
2 送り装置
3 モータ(駆動装置)
5 熱交換器
6 伝熱管
7 マンドレル
10 ベルト体
11,12,13,14 丸ベルト
10A ベルト体
11A,12A,12B 帯ベルト
102A,102B 溝部
10C ベルト体
11C,12C チェーンベルト
51,61 押圧ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
伝熱管(6)を有する熱交換器(5)を保持する保持装置(1)と、
上記伝熱管(6)に圧入されて上記伝熱管(6)を拡管するためのマンドレル(7)を挟持しながら、このマンドレル(7)を上記伝熱管(6)に平行に上記伝熱管(6)側へ送る送り装置(2)と、
上記送り装置(2)を駆動する駆動装置(3)と
を備え、
上記送り装置(2)は、上記保持装置(1)の近傍に配置されていることを特徴とする拡管装置。
【請求項2】
請求項1に記載の拡管装置において、
上記送り装置(2)は、上記マンドレル(7)を挟持しつつ搬送するベルト体(10,10A,10C)を有することを特徴とする拡管装置。
【請求項3】
請求項2に記載の拡管装置において、
上記ベルト体(10,10A,10C)を上記マンドレル(7)に向けて押圧する複数の押圧ローラ(51,61)を有し、
上記複数の押圧ローラ(51,61)は、上記マンドレル(7)を挟んだ両側に、上記マンドレル(7)の軸に沿って千鳥状に配置されていることを特徴とする拡管装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載の拡管装置において、
上記ベルト体(10)は、4本の丸ベルト(11,12,13,14)であり、
上記4本の丸ベルト(11,12,13,14)は、上記マンドレル(7)の周囲に接触することを特徴とする拡管装置。
【請求項5】
請求項2または3に記載の拡管装置において、
上記ベルト体(10A)は、帯ベルト(11A,12A,12B)であり、
上記帯ベルト(11A,12A,12B)は、上記マンドレル(7)の軸に沿って延在する溝部(102A,102B)を有し、
上記溝部(102A,102B)の内面は、上記マンドレル(7)の周囲に接触することを特徴とする拡管装置。
【請求項6】
請求項2または3に記載の拡管装置において、
上記ベルト体(10C)は、チェーンベルト(11C,12C)であり、
上記チェーンベルト(11C,12C)は、上記マンドレル(7)の周囲に接触することを特徴とする拡管装置。
【請求項7】
請求項6に記載の拡管装置において、
上記チェーンベルト(11C,12C)の周囲に、摩擦部材を設けていることを特徴とする拡管装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−86122(P2013−86122A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−228246(P2011−228246)
【出願日】平成23年10月17日(2011.10.17)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)