説明

指紋センサ素子

本発明は、上部導電層(M3)内に形成されるセンサ電極(11)と、下部導電層(M2、P2)内に形成される下部電極(17、32)と、この上部導電層(M3)と下部導電層(M2、P2)との間にある少なくとも1つの絶縁層(8、9、10、22)とを備える指紋センサ素子に関する。この素子は、負の入力端子(12)および正の入力端子(14)ならびに出力端子(18)を有する電荷増幅器(13)も備える。指紋センサ電極(11)の上部サイド(11a)は指(5)に、指紋センサ電極(11)の下部サイド(11b)は下部電極(17)に対向するようにアレンジされる。指紋センサ電極(11)および下部電極(17)は、容量(Cref)がそれらの間に形成されるようにアレンジされる。センサ電極(11)は電荷増幅器(13)の負の入力端子(12)に、下部電極(17)は電荷増幅器(13)の出力端子(18)に接続されるようにアレンジされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、指紋センサ素子に関する。指紋センサ素子は、上部導電層内に形成される指紋センサ電極と、下部導電層内に形成される下部電極と、該上部導電層と該下部導電層との間にある少なくとも1つの絶縁層と、負の入力端子および正の入力端子ならびに出力端子を有する電荷増幅器とを備え、該素子は、該指紋センサ電極の上部サイドは、指に対向するようにアレンジされ、該指紋センサ電極の下部サイドは、該下部電極に対向するようにアレンジされ、該指紋センサ電極および該下部電極は、容量がそれらの間に形成されるようにアレンジされ、該センサ電極は、該電荷増幅器の該負の入力端子に接続されるようにアレンジされる。
【0002】
本発明は、また、上記に従う指紋センサ素子を備える指紋センサに関する。
【背景技術】
【0003】
指紋認証システムは、例えば、ビルへのアクセス管理、スマートカード、イネーブル/ディスエーブル配列手段(weapon enable/disable arrangements)およびコンピュータアクセスといった個人認証に関する様々な対象に対し、考案されてきた。指紋認証システムは、高いレベルでセキュリティが得られる一方で、容易に使用でき、何らコードを記憶する必要はないし、何ら鍵を持ち運ぶ必要はない。
【0004】
指紋センサは、今まで、光学読み取りセンサ素子を有する光学センサとして作成されてきた。しかしながら、これら光学読み取りセンサ素子は、非常に高価で、かさばり、汚れに敏感である。それゆえ、容量センサ素子の異なるタイプのものが、その代わりに考案され、指紋の構造と対応するセンサプレートとの間の容量が測定されるものが考案されてきた。
【0005】
通常、センサプレートは、薄い金属電極からなり、これら電極は、行および列にアレンジされ、指紋の構造を読むようにアレンジされたセンサマトリックスを形成する。多数のタイプの指紋センサが開発されてきたが、これらタイプの多くは、指とトップセンサ電極との間の指容量を測定する。他のタイプは、2つの固定センサ電極を有し、これら電極は、異なる層内に互いの最上部に、あるいは、互いの間のいずれかにアレンジされ、これらプレート間には、固定容量が存在する。この容量は、指の存在がプレート間の電界に影響を及ぼすときに、変化する。指は、しばしば、励起または接地される。例えば、これは、センサマトリックスを取り囲む導電フレームによって、あるいは、グラウンドに大きな静電結合することによってグラウンドレベルに保たれることによってである。
【0006】
通常、センサ構造のトップ部分は、金属層と、いわゆる多結晶シリコン層からなる幾つかの導電層を備え、これら層の間に挿入された絶縁誘電層を有し、そのトップ導電層が、センサ電極を形成する。今日の全ての容量指紋センサにおける問題は、寄生容量の存在である。トップ層の各センサ電極と下部層との間に寄生容量は、常に存在する。また、トップ層の各センサ電極と、トップ層の1つ以上の隣接するセンサ電極との間にも寄生容量(いわゆる側面(lateral)寄生コンデンサ)が存在する。
【0007】
多くの指紋センサにおいて、この寄生コンデンサは、指と平行する。よくある構成としては、例えば、指とボトム(シールド)プレートが、互いに接続されたときである。この寄生コンデンサは、そのとき、指の容量より、かなり大きくなり得るので、測定が妨害され得る。それゆえ、多少なりとも寄生コンデンサを除去するために、多くの異なる設計が、容量指紋センサ素子に対して、開発されてきた。
【0008】
Kwang Hyun LeeおよびEuisik Yoonによる「A 500 dpi capacitive−type CMOS fingerprint sensor with pixel−level adaptive image enhancement scheme」という論文の中に、指紋センサ素子が記載されており、この指紋センサ素子は、指とトップセンサ電極との間の指容量を測定する。各トップセンサ電極(金属3)と下に横たわる導電層(金属2)との間に、寄生コンデンサが存在する。下に横たわる導電層は、特定の制御可能な電位Vで保たれるように、電源に結合される。各トップセンサ電極は、電荷増幅器の負の入力に接続され、下に横たわる導電層(金属2)は、電荷増幅器の正の入力に接続される。こうして、各トップセンサ電極および下に横たわる導電層2は、電荷増幅器によって、同じ電位に事実上、接続される。このようにして、寄生コンデンサは、事実上、除去される。
【0009】
しかしながら、この論文にある場合のように、電荷増幅器の入力に大きなコンデンサを有することは、センサ素子のノイズ性能にとって不利になる。電荷増幅器の入力での大きな寄生コンデンサという事実は、ノイズ性能にとって不利であり、これは既知の事実である。入力コンデンサは、指電極から注入された信号に対して、相殺されるだけでなく、増幅器ノイズのような他のソースに対し、寄生コンデンサは、回路内で別の位置を有し、それゆえ、他の伝達関数が生じる。
【0010】
増幅器ノイズソースに対する伝達関数は、増幅器の正のピンで電圧ソースとみなすと、項Ctotal input/Crefを含む。それゆえ、ノイズ性能にとって、全入力容量(すなわち、Cfinger+Cparasitic+Cref)は、できるだけ低く保つことが有益である。同様に、Cparとグラウンドとの間で、シールドを介して、あるいは、金属電極の駆動によって、負の入力に注入される干渉ノイズは、項Cpar/Crefを含む。これは、ノイズおよび干渉に関して、寄生容量を低いレベルに保つことが有利であることを示す。
【0011】
さらに、この論文は、同じ電位に保たれないセンサ電極を開示している。これによって、側面寄生容量に依存して、指と各センサ電極との間の容量測定が可能になる。この寄生容量は、現在の局所的な皮膚の条件によって変動し、指紋像の劣化に繋がる。換言すれば、指と問題とするセンサプレートとの間の容量が測定されるのみならず、問題とするセンサプレートとその近傍のセンサプレートとの間の側面容量も測定される。なぜなら、問題とするセンサプレートだけが、信号を提供するのに、隣接するセンサプレートは提供しないからである。この結果、画像解像度が劣化した信頼できない測定となる。
【0012】
さらに、この論文は、センサ素子の層構成内の下部層を用いて実現されるフィードバックコンデンサを開示している。これは、有効層の効率の悪い使用である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
それゆえ、本発明の目的は、寄生コンデンサをより効率的に除去し、有効層をより効率的に利用可能とする指紋センサ素子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この目的は、導入部で開示されたような指紋センサ素子によって達成される。この素子では、下部電極は、電荷増幅器の出力端子に接続されるようにアレンジされる。
【0015】
さらに、この目的は、上述に従う指紋センサ素子を備える指紋センサによって達成される。
【0016】
好ましい実施形態は、独立請求項で開示される。
【0017】
本発明によって、数多くの利点が得られる。例えば、
・電荷増幅器の入力における大きな寄生容量が、フィードバックコンデンサ内に変換されること、
・各指紋センサのゲインが、センサ電極コンデンサの値およびフィードバックコンデンサの値を調整して、チューニングされ得ること、
・ノイズを比較的低いレベルに保たれ得ると同時に、比較的大きいゲインが得られ得ることで、信号対ノイズ比(SNR)を比較的高めに導くこと、
・ゲインが高く、SNRが低いことで、比較的厚い保護コーティングを使用でき、ESD保護の強化に繋がること、
・側面寄生容量の影響を低減し、解像度が向上すること、
・指紋構造の層が、より効率的に使用されること、
・寄生容量が低減されることで、干渉ノイズが低減されること
・幾つかの個別の指紋センサ素子が、アナログマルチプレクサを介して、単一の電荷増幅器に接続され得ることで、解像度がチューニング可能になること、
・総入力容量をさらに最小化し、それゆえ、増幅器ノイズをさらに最小化するために、層と層の間に比較的大きい間隔が存在し得ること
である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1を参照すると、本発明に従う指紋センサ1は、好ましくは、指紋センサ素子2を備え、この指紋センサ素子2は、指紋センサ素子2のマトリックスを形成する行3a、3b、3cおよび列4a、4b、4cにアレンジされる。
【0019】
指紋センサ1に接触する指5は、図1に示すような指紋センサ素子2のマトリックスを取り囲むフレーム6によって、励起される。このフレーム6は、指紋像の感知プロセスの間、指と接触している。フレーム6と指5とが互いに接触中のとき、フレーム6は、信号生成器7から指5に、フレーム6を介して転送される信号Usignalを供給される。
【0020】
本発明に従う単一の指紋センサ素子2は、以下、図2aを参照して、より詳細に記載される。全ての指紋センサ素子2は、3つの導電層を備える層構造内に形成される。これら導電層は、トップの導電層M3、中央の導電層M2、および、下部導電層M1であり、それぞれの導電層M3、M2、M1の下に絶縁誘電材料の第一の層8、第二の層9、および、第三の層10を備える。導電層用の材料の例としては、典型的には、銅、アルミ、および、ドーピングされた多結晶シリコンである。絶縁層用の材料の例としては、典型的には、SiO、SiN、SiNOおよびガラスである。トップ導電層M3に、各指紋センサ素子2に対し、個別のセンサ電極11が形成され、このセンサ電極11は、電荷増幅器13の負の入力端子12に接続される。1つの電荷増幅器13が、各指紋センサ素子2に対して提供される。電荷増幅器13の正の入力端子14は、グラウンドに接続され、それゆえ、電荷増幅器13によって、負の入力端子12に接続される対応するセンサ電極11は、事実上接地される。なぜなら、電荷増幅器13の入力端子12、14にわたる電圧は、ほぼゼロだからである。
【0021】
また、図1および図2bも参照すると、各センサ電極11は、トップ導電層M3内に形成されるシールドフレーム15によって取り囲まれる。ここで、シールドフレーム15は、導電性シールドとして、グラウンド電位に接続される。これは、隣接するセンサ素子2間での側面寄生容量を防ぎ、こうして、これらのセンサ電極2間でのクロストークを防ぐためである。また、シールドフレーム15は、アナログ電力電位のような他の適切な制御された電圧電位に接続され得る。
【0022】
さらに、図2aを参照すると、センサ電極11の各センサ電極を覆う保護層16があり、これは、センサ電極11をESD(静電気放電)と外部磨耗から保護する。保護層16の上部表面の近傍内に、指5が来ると、稜線と谷間を有する指の構造によって、指と保護層の表面との間に、可変容量が生じる。また、保護層の表面とセンサ電極との間には、固定容量もある。これら容量Cfingerの直列接続は、センサ電極11によって検出される。稜線と谷間を有する指5の構造によって、可変容量の値は変化し、こうして、指紋像に関する情報が提供される。図2aの指5は、層構造8と相対的な指の位置を示すために、単に模式的に示されることに留意すべきである。
【0023】
本発明に従うと、下部電極17は、各指紋センサ素子2に対し、中央導電層M2内に形成される。下部電極17は、電荷増幅器13の出力端子18に接続される。この接続により、各センサ電極11と各下部電極17との間に、フィードバック容量Crefがあり、次いで、このフィードバック容量Crefは、電荷増幅器13の負の入力端子12と電荷増幅器13の出力端子18との間に接続される。センサ電極11は、指5に対向する上部サイド11a、および、下部電極17に対向する下部サイド11bを有する。
【0024】
このように、Crefは、フィードバックコンデンサを形成し、こうして、大きな寄生コンデンサは、電荷増幅器13の入力に形成されなくなり、したがって、ノイズおよび干渉特性は、従来技術に比べ、かなり低減される。このことは、保護層16の厚さを従来技術より厚くすることを可能にする。なぜなら、SNR(信号対ノイズ比)が低いと、従来技術に比べ、各指紋センサ素子に対するゲインを増やすことが可能だからである。保護層16が厚ければ厚いほど、本発明によって、指5からセンサ電極11へのESD放電に対する危険性を少なくすることも可能である。なぜなら、指と、指紋センサ1を取り囲むフレーム6との間の破壊電圧は、指とセンサ電極11との間の破壊電圧より小さくなるからである。フレーム6は、信号パルスで指5を励起し、指5からESDを迂回(divert)する手段(図示せず)に接続される。
【0025】
また、補助下部電極17aは、下部電極17に近接して、中央導電層M2内に形成される。補助下部電極17aは、グラウンドに接続され、Crefがセンサ電極11に及ばない場合、追加シールドとして使用される。補助下部電極17aのサイズは、下部電極17の側方にて適合するように調整される。これは、下部電極17のサイズが、各指紋センサ素子2の所望のゲインを得るために適合されるようにするためである。なぜなら、このゲインは、センサ電極コンデンサの値(すなわち、センサ電極11、下部電極17、補助下部電極17a、および、絶縁誘電材料の第一の層8の物理的寸法)を調整することによって、製造レイアウト内で指紋センサ素子2に対してチューニングされ得るからである。
【0026】
しかしながら、各電荷増幅器13の負の入力端子12とグラウンドとの間に、第一と第二の寄生容量Cpar1、Cpar2が発生し得る。Cpar1は、各センサプレート11とそれを取り囲むシールドフレーム15との間の側面容量に起因する。Cpar2は、各センサ電極と各補助下部電極17aとの間の容量に起因する。また、近傍のセンサプレート(図示せず)との間に第三の寄生容量Cpar3も発生し得る。
【0027】
図3において、模式図は、センサ素子2の同等な回路19に対して示される。その結果生じる寄生容量は、ここで、電荷増幅器13の負の入力端子12とグラウンドとの間に参照番号Cparで示される。
【0028】
図1〜図3を参照すると、指5は、取り囲むフレーム6を介して、電気信号Usignalによって励起され、各センサ電極11の上にある皮膚がこの信号を運ぶ。信号Usignalは、パルス型であることが好ましい。指5からセンサ電極11に伝達される電荷は、皮膚とセンサ電極11との間の容量Cfingerに比例する。従って、皮膚とセンサ電極11との間の間隔D1は、逆比例する。センサ電極11は、事実上接地されているので、その電荷は、電荷増幅器13によって、既知の値を有するフィードバック容量Crefに移送される。そして、電荷増幅器13から信号出力Uoutは、
out=(Cfinger/Cref)Uin
のように計算し得る。
【0029】
指紋センサ1の全ての電荷増幅器からの信号出力は、指紋センサ内の制御ユニット20に移送される。この制御ユニット20は、既知のタイプの集積回路であり得る。全ての信号出力に基づいて、制御ユニット20は、指紋像を代表する画素信号値を計算し得、それを補助ユニット(図示せず)に送信し得る。制御ユニット20の機能と、これがどのように達成されるかについては、以下に、より詳細に記載される。制御ユニット20は、図2aに破線で、複数の接続21を設けられたものとして示されている。
【0030】
図2aに示されるように、層構造内に更なる下部層があり、特定のアナログ電位AVddで保たれた導電層によって構成された第四層P2を備える。さらに、これもまた導電層から構成された第五層P1もあり、この層はグラウンド電位で保たれ、電気シールドとして機能する。これらの層P2、P1のそれぞれの層の下に、絶縁誘電材料の第四層22および第五層23がある。ボトムには、電荷増幅器13のようなアクティブなコンポーネントを備える半導電基板層T1がある。上記の下部導電層M1のみならず、導電層P2、P1も、例えば、電気的接続のルーティング、レジスタ、および、電気シールドのために使用され得る。導電層P2、P1の一方は、以下に記載されるように、各指紋センサ素子の下部電極を形成するためにも使用され得る。
【0031】
電荷増幅器13は、CMOS技術で実現され得る。ここで、信号付与およびサンプリング時の前において、電荷増幅器のDCレベルは、リセットスイッチ24によって維持される。このリセットスイッチ24は、図3に示されるように、各電荷増幅器13の負の入力端子12と出力端子18との間に置かれ、そして、Crefと並列になる。電荷増幅器13は、リセットスイッチ24を備えていないとしたら、負の入力端子12に接続されたコンデンサがあるのみである。この端子12は、アクティブな素子を電流バイアスのある状態に保つために、所定のDC電圧を有しなくてはならない。
【0032】
参照コンデンサCrefの上に置かれたリセットスイッチ24を使うことは、このようなDCレベルを実現するための周知の技術である。ここに記載の実施形態において、DCレベルは、電荷増幅器13の正の端子14がグラウンドに接続されているので、ゼロボルトになるであろう。電荷増幅器13をリセットすると、負の入力端子12は、正の入力端子14、したがって、グラウンドに事実上接続される。
【0033】
各指紋センサ素子2は、画素を構成する。この画素は、x−y選択マトリックスを用いて、個々に選択され得る。この選択マトリックスは、個々の画素の信号を、制御ユニット20内に備えられた中央サンプリングパーツ25およびA/D(アナログデジタル)変換器26に切り替える能力を有する。この回路のサンプリングパーツ25のさらなる詳細な説明は、本記載で、以下に続く。
【0034】
各画素は、個々の電荷増幅器13に接続されているので、電荷増幅器13の設計は、スペース制約のために、シンプルに保たれねばならない。電荷増幅器の設計をシンプルに保つと、ノイズが相殺されるべき結果となる。関連するノイズは、以下の形式である。
・画素増幅器内の1/fノイズおよび熱ノイズ。これは、各増幅器に存在する通常のノイズである。MOSfetコンポーネントにおいては、特に、1/fノイズソースが支配的である。周波数に反比例するこのノイズは、低周波数で大きくなり、二重相関サンプリング技術を使うことが必要となる。
・オフセットノイズ。これは、使用されたコンポーネントの不整合によって、任意の増幅器に存在する。
・伝送ライン(または、寄生コンデンサ)ノイズ注入。これは、信号ライン上または容量シールド構造上の主としてデジタルスパイクを拾うことであり、同じチップ上のデジタル回路の存在によって生じる。これは、相関され得るので、危険なノイズソースであり得る。相関とは、信号をサンプリングするとき、同時にデジタルスパイクが発生し得ることを意味する。このノイズは、常に現れ、ノイズとして検出されないが、信号変化(オフセット)として検出される。これは、三重相関サンプリングによって対処される。
・リセットスイッチ電荷注入。リセットスイッチ24の内部に、実際には、増幅器13の負の入力端子12とリセット駆動信号との間に接続された小さな寄生コンデンサ(図示せず)が存在する。スイッチ24をリリースすると、リセット駆動信号が変化するので、この小さな寄生コンデンサは充電される。この注入された電荷は、こうして、信号として見なされる。
【0035】
図3に、多数のノイズソース27a〜27eが示される。これらは、真のノイズソースではないが、ノイズの表現のみ出現する。第一のノイズソース27aは、Cparとグラウンドとの間に置かれ、干渉ノイズを示す。第二のノイズソース27bは、電荷増幅器13の正の入力端子14とグラウンドとの間に置かれ、熱ノイズを示す。第三のノイズソース27cは、電荷増幅器13の出力Uoutが制御ユニット20に入るところに置かれ、干渉ノイズを示し、このノイズは、導体パターンと基板とに結合する静電結合していることに起因する。スイッチSsample1およびSsample2に続く2つのノイズソース27d、27eは、タイミングノイズソースまたは位相ノイズソースを示す。これら最後の2つのノイズソースは、サンプリング時に、望まれない静的オフセットの原因となり、これについては、説明の中で、さらに議論される。
【0036】
相殺は、いわゆる二重相関サンプリングの手段によって実行され、これについて、図3および図4を参照しながら解説される。
【0037】
図4に、2つの信号の形が示される。第一の信号Usignalは、指の中に注入される信号であり、第二の信号Uoutは、指5からの結合信号に応答しての電荷増幅器13の出力である。通常、第二の信号Uoutの振幅は、指容量Cfingerの増加とともに増加する。第一の信号Usignalが正のスロープ28になると、電荷増幅器13のリセットスイッチ24が閉じられる。システムが完全に安定化されるとき、スイッチ24は、再び開かれ、電荷注入による小さなオフセット信号を生じる。その後、第一の信号は、再び下がり、その結果、Voutは、Cfingerの値に依存して上がる。
【0038】
正および負のスロープは、電荷増幅器13に使用される電荷の種類に依存する。例えば、NMOSまたはPMOSが使用されると、これは、電荷増幅器13の正の出力端子14が、この記載の実施形態の例の場合のようにグラウンドに接続されているか、あるいは、例えば、AVdd接続のように、給電電位に接続されているかを判断する。いずれの場合でも、電荷増幅器13の正の出力端子14は、本質的に、固定電位に接続される。Usignalが正のスロープになると、リセット動作がある。負の入力端子12上の信号は、次いで、接地される。その後、入力信号が下がると、Voutは上がる。
【0039】
出力信号Uoutは、瞬間T0およびT1でサンプリングされ、その対応する振幅は、SOおよびS1である。この出力信号は、S1−S0として計算され、これが、二重相関サンプリング技術と呼ばれる。このようにして、リセットスイッチの電荷注入と、発生し得る任意の他のオフセットノイズまたは低周波数(1/f)ノイズとを除去することができる。
【0040】
第一の瞬間T0において、第一のサンプリングブランチ25aで、第一のサンプリングスイッチSsample1は、リリースされ、電圧は、第一のサンプリングコンデンサCsample1で、サンプリングされる。同じことが、第二の瞬間T1で、第二のサンプリングブランチ25bにおいて、第二のサンプリングスイッチSsample2および第二のサンプリングコンデンサCsample2に対しても適用される。双方のサンプリングコンデンサCsample1およびCsample2における電圧は、次いで、S1−S0として減算され得る。
【0041】
減算は、デジタル手段によって実行される。サンプリングブランチ25a、25bは、A/Dコンバータ26に繋がる。A/Dコンバータ26の出力は、使用されるA/Dコンバータによって提供されるデジタル解像度に対応する出力29を備える。図3に、8ビットの解像度に対応する8つの出力29a〜29hが示される。A/Dコンバータ26の出力は、さらに、この出力を処理し、指紋の像を生成するための手段(図示せず)の中に供給される。
【0042】
この減算は、2つのブランチの信号を互いから減じ、その差をA/Dコンバータ26の中に供給する差動増幅器(図示せず)を用いるアナログ回路によっても、代替的に実行され得る。
【0043】
S1−S0の減算が実行された方法によって、低周波数ノイズの多少の部分が、除去される。
【0044】
図5に、この減算の周波数プロットが示される。この図において、電荷増幅器13および信号ラインによって生成した低周波数ノイズの大部分が除去され、このように、さらにもっとノイズ性能が改善される。y軸に、二重相関サンプリングのアクションの周波数応答が示される。これは、グラフが比較的低い値の場合、ノイズの大幅な削減が得られたことを意味する。このグラフは、信号およびノイズの一部のみが、フィルタ除去されていることを示す。これによって、ノイズ帯域幅、従って、全ノイズエネルギが劇的に減少する。
【0045】
デジタル干渉ノイズとの結合で、サンプリング時に何らかの不整合が生じた場合、前述のように、相関ノイズソースがあることになり、従って、オフセットがある。このオフセットは、三重相関サンプリングを用いて、除去され得る。ここで、また別の減算が実行される。
【0046】
三重相関サンプリングは、サンプリング手順の第二の段階を含む。その手順では、図4に示すように信号が付加されないか、あるいは、異なる信号が付加される。いずれの場合でも、サンプリング手順の第二の段階の間、入力は一定である。出力信号Uoutは、瞬間T0およびT1にサンプリングされるのみならず、瞬間T2およびT3にもサンプリングされ、対応する振幅S2およびS3を有する。第三の瞬間T2に、第一のサンプリングスイッチSsample1は、再び、リリースされ、電圧は、第一のサンプリングコンデンサCsample1でサンプリングされる。同じことが、第四の瞬間T3にも、第二のサンプリングスイッチSsample2および第二のサンプリングコンデンサCsample2に適用される。双方のサンプリングコンデンサCsample1、Csample2における電圧は、次いで、S3−S2として減算される。減算は、上述と同様の方法で実行される。このように、サンプリング手順により誘導されるノイズ、サンプリングオフセットは、同定され得、この結果から減じられ得る。サンプリングオフセットは、サンプリングオフセットを除去する第一の結果(すなわち、その出力はSout=S1−S0(S3−S2)となる)から減じられる。
【0047】
サンプリングコンデンサCsample1、Csample2は、各サンプリングの後、サンプリングコンデンサCsample1、Csample2の一方に互いに並列結合された対応するコンデンサ放電スイッチ30、31によって、放電される。
【0048】
図6に示される第二の実施形態において、指紋センサ1の制御ユニット20は、信号Usignalを指5に注入するために、あるいは、センサ素子11を介して指5からの信号を感知するために、適応される。センサ素子11は、信号Usignalを注入するか、あるいは、指5を介する注入信号を受信するかを交互に行う。各センサ素子2に対して、制御ユニット20は、信号ソース7からの接続を開閉する信号スイッチ32aを制御する。この信号ソース7は、指5の中に注入されるべき信号Usignalを生成する。そのため、特定の瞬間に、指紋センサ1のセンサ素子11の一部は、センサ素子として機能する。その間、センサ電極の残りは、信号Usignalを指5に注入する手段として機能する。他の瞬間に、センサ電極11の一部は、これら機能の間で切り替わり得る。この実施形態において、指紋センサ素子2を取り囲むフレーム6は、ESD保護のためのみに必要とされる。
【0049】
信号がセンサ電極によって検出される場合に関して、問題とするセンサ素子2は、図2aを参照して議論したのと同じコンポーネントおよびコンポーネントの変種を用いて、同じように機能する。
【0050】
図6を参照して記載されるこの第二の実施形態は、各電荷増幅器13の機能性チェックの実行を可能にする。チェックスイッチ32bは、補助下部電極17aおよび/または下部電極17の脇に形成された第二の補助下部電極17bを、グラウンドまたは信号ソース7のいずれかに接続する。チェックを実行するとき、信号スイッチ32aは開かれ、チェックスイッチ32bは、信号ソース7から補助下部電極32bへの接続を確立するような位置に置かれ、信号Usignalを生成する。テスト容量Ctestが、補助下部電極32bとセンサ電極11との間に形成され、このセンサ電極11は、電荷増幅器13の負の入力端子12に接続される。これは、生成したUsignalが、電荷増幅器13の負の入力端子12に、テスト容量Ctestを介して接続されることを意味する。
【0051】
制御ユニット20は、電荷増幅器13が出力信号を伝送するかどうかを検出する。信号ソース7は、チェックの間、電荷増幅器13の負の入力端子12に、テスト容量Ctestを介して接続されているので、その増幅器がしかるべく機能しているのであれば、電荷増幅器13は、出力信号を伝送すべきである。換言すれば、各センサ素子2は、信号Usignalを送信し、その同じ信号を、その素子自身の電荷増幅器13を用いて直接検出する。テストが実行されないとき、チェックスイッチ32bは、補助下部電極32bとグラウンドとの間の接続を確立するような位置に置かれる。
【0052】
指紋センサ1を取り囲むフレーム6に関していうと、代替的アプリケーションでは、記載された導電フレーム6の代わりに、外部容量フレーム6を使用する。このような容量フレーム6は、薄い誘電絶縁層(図示せず)を介して指5との静電結合を有する導電層を備える。
【0053】
本発明は、上記に開示したことに限定されず、添付の請求の範囲内で、自由に変化され得る。例えば、保護層および各センサ電極を取り囲む接地ESD保護フレームは、単に用心のためにあり、省かれ得る。
【0054】
図7において、本発明の第三の実施形態に従って、上記に従う指紋構造が、異なる方法で使用される。電荷増幅器の負の入力端子12は、ここでは、第一の導電層M3内で、センサ電極11と接続される。導電層P1によって構成される第五の層は、電荷増幅器13の出力18に接続されるように形成された下部電極33を有する。センサ電極11と下部電極33との間に今や形成されたフィードバックコンデンサCrefの電極間の間隔D2が増加する。なぜなら、絶縁誘電層8、9、10、22のみで、その間に何ら干渉構造が存在しないからである。この目的のために、アパーチャが、中間導電層M1、M2、P2内に形成される。このD2が増加すると、電荷増幅器13の負の入力端子12での総容量が減少する。次いで、その結果、回路の総ノイズも減少する。なぜなら、当業者に周知のように、ノイズは、電荷増幅器13の負の入力端子12における総容量の増加とともに増加するからである。
【0055】
中間層M1、M2、P2は、例えば、電気的接続のシールドまたはルーティングのために使用され得る。その他の点については、問題となるセンサ素子2は、図2aを参照して議論した同じコンポーネントおよびコンポーネントの変種を用いて、同様に機能するし、また、図6を参照して議論した同じコンポーネントおよびコンポーネントの変種を用いて、同様に機能し得る。
【0056】
さらに、指紋センサ構造内の層の数は、望まれる機能に対して何が最も適切であるかに応じて、変化し得る。記載された層構造は、単に例であるに過ぎない。また、本発明の範囲から離れずに、図8を参照して、上記の例が示されるように、層の使用は、何を望むかによっても変化し得る。さらに、例えば、層P2およびP1に対して示されるAVddおよびグラウンドへの接続は、それぞれ図2aおよび図6を参照して記載された第一および第二の実施形態において、技術的または経済的な理由で他の適切な代替案に変化され得る。例えば、薄膜構造など本明細書に記載された材料以外の材料や材料の組み合わせも使用され得る。
【0057】
さらに、図8を参照すると、非常に模式的に示される少なくとも2つの指紋センサ素子2’、2”は、一つの同じ電荷増幅器13’に、スイッチング手段を介して、接続され得る。これは、マルチプレクサ回路34の形式が好ましい。マルチプレクサ34は、一方で電荷増幅器の負の入力12’および正の入力18’と、他方で1つの指紋センサ素子2’、2”の対応する電極11’、17’;11”、17”との間で、同時に切り替わる。こうして、例えば、指紋センサ1の行または列内の全ての指紋センサ素子は、一つの同じ電荷増幅器13’に、マルチプレクサ回路34を介して接続され得る。
【0058】
この配置は、また、解像度をチューニング可能とする。なぜなら、例えば、増幅器ゲインが補正されると同時に、1つ以上のスイッチを閉じることによって、1つ以上の信号は、互いに追加、または、互いから除去され得るからである。図示された双方のスイッチペア35、36が閉じられると、双方のセンサ電極11’、11”および双方の下部電極17’、17”は、関与される。なぜなら、参照容量Crefは、こうして倍にされると、ゲインも自動的に補正されるからである。
【0059】
サンプリング回路25は、代替的に(図示せず)、1つのブランチのみを備え得る。このブランチは、順に、サンプリングコンデンサ、コンデンサ放電スイッチおよびサンプリングスイッチを備える。このブランチは、次いで、信号をデジタルフォーマットに変換するA/Dコンバータに接続される。
【0060】
さらに、図1に示すような指紋センサ素子2のマトリックスを取り囲むフレーム6は、センサチップ(すなわち、センサ構造が形成されるチップ)上に、あるいは、センサチップに隣接して形成され得る。また、フレーム6は、指紋センサ素子2のマトリックスの各サイドにある1つまたは2つの真っ直ぐな導電バーのような個別のパーツとしても形成され得る。
【0061】
フレーム6は、導電性、半導電性、または、弱絶縁性でもあり得る。
【0062】
下部電極17、33の脇に形成される補助下部電極17a、33aは、必要に応じて、完全に省かれ得る。図6に示す第二の補助下部電極17bは、適切であれば、他の層に置かれ得る。
【0063】
電荷増幅器は、例えば、NMOSタイプまたはPMOSタイプであり得る。他の種類の増幅器も、また考えられ得る。
【0064】
例えば、NMOSまたはPMOSが使用された場合、これが判断するのは、チェックスイッチ32が信号ソース7に接続されていないとき、補助電極17a、33aおよび第二の補助電極17bが、この記述における実施形態例の場合のようにグラウンドに接続されているか、例えば、AVdd接続のような供給電位に接続されているかである。いずれの場合も、これらは、本質的に固定電位に接続される。
【0065】
図2a、図6、図8のコンデンサは、象徴的なものであること、これらコンデンサは、指紋センサ素子内に存在する構造によって存在する容量を示すことに留意されたい。また、指紋センサ素子内に存在する構造によって発生する他の容量もあり得るが、これらは、この記載において、象徴的なコンデンサによって、図示および/または議論されていない。
【図面の簡単な説明】
【0066】
本発明は、添付図面を参照しながら、以下により詳細に記載される。
【図1】図1は、本発明の第一の実施形態に従う指紋センサを模式的に示す。
【図2a】図2aは、本発明の第一の実施形態に従う指紋センサ素子の断面を模式的に示す。
【図2b】図2bは、本発明の第一の実施形態に従う指紋センサ素子の上面斜視図を模式的に示す。
【図3】図3は、本発明の第一の実施形態に従う指紋センサ素子の等価な電気回路を模式的に示す。
【図4】図4は、時間経過にともなう入力信号および対応する検出信号のグラフを模式的に示す。
【図5】図5は、検出され、サンプリングされた信号のスペクトルグラフを模式的に示す。
【図6】図6は、本発明の第二の実施形態に従う指紋センサ素子の断面を模式的に示す。
【図7】図7は、本発明の第三の実施形態に従う指紋センサ素子の断面を模式的に示す。
【図8】図8は、幾つかの指紋センサ素子が一つの同じ電荷増幅器に接続されている実施形態を模式的に示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部導電層(M3)内に形成される指紋センサ電極(11)と、
下部導電層(M2、P1)内に形成される下部電極(17、32)と、
該上部導電層(M3)と該下部導電層(M2、P2)との間にある、少なくとも1つの絶縁層(8、9、10、22)と、
負の入力端子(12)および正の入力端子(14)ならびに出力端子(18)を有する電荷増幅器(13)と
を備える、指紋センサ素子であって、該指紋センサ素子は、
該指紋センサ電極(11)の上部サイド(11a)は、指(5)に対向するようにアレンジされ、該指紋センサ電極(11)の下部サイド(11b)は、該下部電極(17)に対向するようにアレンジされ、
該指紋センサ電極(11)および該下部電極(17)は、容量(Cref)がそれらの間に形成されるようにアレンジされ、
該センサ電極(11)は、該電荷増幅器(13)の該負の入力端子(12)に接続されるようにアレンジされ、
該下部電極(17)は、電荷増幅器(13)の出力端子(18)に接続されるようにアレンジされることを特徴とする、指紋センサ素子。
【請求項2】
前記電荷増幅器(13)の前記正の入力端子(14)は、本質的に固定電位に接続されることを特徴とする、請求項1に記載の指紋センサ素子。
【請求項3】
前記センサ電極(11)は、前記電荷増幅器(13)の前記負の入力端子(12)に直接接続されることと、
前記下部電極(17)は、該電荷増幅器(13)の前記出力端子(18)に直接接続されることと
を特徴とする、請求項1または請求項2に記載の指紋センサ素子。
【請求項4】
前記センサ電極(11’、11”)は、前記電荷増幅器(13’)の前記負の入力端子(12’)に接続されることと、
前記対応する下部電極(17’、17”)は、それぞれのスイッチング手段(34)を介して、該電荷増幅器(13’)の前記出力端子(18’)に接続されることで、
幾つかのセンサ電極(11’、11”)および幾つかの対応する下部電極(17’、17”)が、該それぞれのスイッチング手段(34)を介して、一つの同じ該電荷増幅器(13’)に接続されることが可能になることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の指紋センサ素子。
【請求項5】
前記スイッチング手段は、スイッチ網を備えることを特徴とする、請求項4に記載の指紋センサ素子。
【請求項6】
前記スイッチング手段は、マルチプレクサを備えることを特徴とする、請求項4に記載の指紋センサ素子。
【請求項7】
隔離保護層(16)が、前記指紋センサ電極(11)の上部サイド(11a)上で、前記指(5)と該センサ電極(11)との間に提供されることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の指紋センサ素子。
【請求項8】
前記センサ素子(2)は、3つの導電層(M1、M2、M3)と、2つの下部導電層(P1、P2)と、半導電基板層(T1)とを備え、
これら層(M1、M2、M3、P1、P2)間に、中間絶縁誘電体層(8、9、10、22、23)が提供されることを特徴とする、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の指紋センサ素子。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に従う指紋センサ素子(2)に少なくとも1つの行(3a、3b、3c)または1つの列(4a、4b、4c)を備えることを特徴とする、指紋センサ。
【請求項10】
シールド構造(15)が、前記指紋センサ(1)内に備えられた前記センサ電極(11)の各センサ電極の間の上部導電層(M3)内に、提供されることを特徴とする、請求項9に記載の指紋センサ。
【請求項11】
外部導電構造、外部半導電構造または外部弱絶縁構造(6)が、指紋センサ素子(2)の少なくとも行(3a、3b、3c)または列(4a、4b、4c)に沿って提供されることと、
該構造(6)は、前記指(5)の指紋を感知する間に、該指(5)と電気的に接触されるようにアレンジされることを特徴とする、請求項9または請求項10に記載の指紋センサ。
【請求項12】
前記外部構造(6)は、前記指(5)からESD放電をする手段と接続されることを特徴とする、請求項11に記載の指紋センサ。
【請求項13】
電気信号が、前記外部構造(6)を介して、前記指(5)に提供され、前記センサ素子(2)から離れることを特徴とする、請求項11または請求項12に記載の指紋センサ。
【請求項14】
前記外部構造(6)は、弱絶縁性であり、指紋センサ素子(2)の少なくとも行(3a、3b、3c)または列(4a、4b、4c)上の前記保護層(16)より低い破壊電圧の値を有することを特徴とする、請求項11に記載の指紋センサ。
【請求項15】
各センサ電極(11)は、電気信号の検出または前記指(5)への電気信号の提供を交互に行うようにアレンジされることを特徴とする、請求項9〜請求項12に記載のいずれか1項に従う、指紋センサ。
【請求項16】
各センサ電極(11)は、電気信号(Usignal)の提供と該電気信号(Usignal)の検出との双方を、問題の該センサ電極(11)と関連する前記電荷増幅器(13)を介して行うようにアレンジされることを特徴とする、請求項9〜請求項15のいずれか1項に記載の指紋センサ。
【請求項17】
各センサ素子(2)の前記電荷増幅器(13)の出力端末(14)からの出力信号(Uout)は、サンプリング回路(25)に供給され、該サンプリング回路(25)は、順に、A/Dコンバータ(26)に接続されることを特徴とする、請求項9〜請求項16のいずれか1項に記載の指紋センサ。
【請求項18】
前記サンプリング回路(25)は、二重相関サンプリングを実行するようにアレンジされることを特徴とする、請求項17に記載の指紋センサ。
【請求項19】
前記サンプリング回路(25)は、三重相関サンプリングを実行するようにアレンジされることを特徴とする、請求項17に記載の指紋センサ。
【請求項20】
前記サンプリング回路(25)は、デジタル方式で前記サンプリングおよび減算の手順を実行するようにアレンジされることを特徴とする、請求項17〜請求項19のいずれか1項に記載の指紋センサ。
【請求項21】
前記サンプリング回路(25)は、アナログ方式で前記サンプリングおよび減算の手順を実行するようにアレンジされることを特徴とする、請求項17〜請求項19のいずれか1項に記載の指紋センサ。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2008−502989(P2008−502989A)
【公表日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−516421(P2007−516421)
【出願日】平成16年6月18日(2004.6.18)
【国際出願番号】PCT/SE2004/000985
【国際公開番号】WO2005/124659
【国際公開日】平成17年12月29日(2005.12.29)
【出願人】(500374582)フィンガープリント カーズ アーベー (1)
【Fターム(参考)】