説明

振動ローラの振動制御装置

【課題】振動ローラ本体の前後進の発進と停止の動きと、起振装置の起動と停止のタイミングをユーザー側で簡単に調整できるようにする。
【解決手段】走行用のコントロールバルブを制御する枢軸19を支点に該枢軸19と一体に揺動可能な揺動板18であって、該揺動板18は走行レバーの操作方向に応じて揺動可能に形成され、該揺動板18に設けられている凹所22Aに近接してリミットスイッチ26Aを配置し、該揺動板18の揺動により前記枢軸19が回動して振動ローラ本体の前後進の発進と停止を制御するとともに、前記リミットスイッチ26Aが前記凹所22Aを係脱してオンオフし、起振装置の起動と停止を制御するように構成された振動ローラの走行および振動制御装置において、前記揺動板18には揺動方向にストライカー20a,20bを位置調整可能に設け、該ストライカー20a,20bによって形成された凹所22Aを、揺動板18の揺動方向に対して位置調整できるように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アスファルト舗装工事等に用いられる振動ローラの振動制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
振動ローラは、道路やダム建設等の盛土の締固め工事や道路のアスファルト舗装工事等に使用されるもので、従来から一般によく知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1等で知られる振動ローラは、オペレータが走行レバーを傾動操作すると、該走行レバーの操作に応じて振動ローラ本体の前後進の発進と停止の制御、および、起振装置の起動と停止の制御を行なう走行および振動制御装置を備えている。
【0004】
図8は、従来の振動ローラにおける油圧回路を示し、走行系の油圧回路は、エンジン30により駆動される吐出量可変形の走行用油圧ポンプ31と、切換弁38とサーボ弁39などからなるコントロールバルブ33と、後輪用モータ駆動回路34の走行用油圧モータ4と、前輪用モータ駆動回路35の走行用油圧モータ6などから構成され、走行レバー12の操作に応じて走行用油圧ポンプ31の斜板の傾きが変わって吐出量が制御され、走行用油圧モータ4,6の回転方向と速度が制御される走行閉回路用HST(Hydro Static Transmission)の構成となっている。
【0005】
一方、振動ローラ駆動回路36には、エンジン30により駆動される振動用油圧ポンプ32と、該振動用油圧ポンプ32の吐出油にて駆動される起振装置9の振動用油圧モータ8と、該振動用油圧モータ8に供給される圧油の量を制御するソレノイド弁37が備えられている。
【0006】
図9〜図10に示すように、コントロールスタンド10に、ステアリングハンドル11と、走行レバー12および振動モード切換スイッチ13等が設けられている。走行レバー12は基軸14を中心に前後方向へ回動(傾動)可能に形成され、前進位置F・中立位置N・後進位置Rの各位置に回動切り換え可能である。基軸14の近傍には、作動アーム15が固設され、該作動アーム15は走行レバー12と一体に回動する。作動アーム15にはコントロールケーブル16の一端が繋止され、該コントロールケーブル16の他端は、走行および振動制御装置50の揺動板51の後端部に繋止されている。
【0007】
揺動板51は、走行モータ用のコントロールバルブ33を制御する枢軸19を支点に、該枢軸19と一体に水平方向へ揺動可能に形成されている。揺動板51の前端部側には、枢軸19と中立位置Nとを結ぶ線(基準線S)上に、2個の長孔56A,56Bが形成されている。
【0008】
また、揺動板51の上方位置にリミットスイッチ26A,26Bが設けられており、一方のリミットスイッチ26Aは、固定ブラケット27Aを介して前記長孔56Aの上方に設置され、起振装置の振動開始と停止用で、起振装置のソレノイド弁に連動している。他方のリミットステッチ26Bは、固定ブラケット27Bを介して前記長孔56Bの上方に設置され、中立位置検出用でエンジンを始動可能とし、走行発進時のパーキングブレーキ解除忘れの警告ブザーに連動している。それぞれのリミットスイッチ26A,26Bは、揺動板51が揺動するときに、前記長孔56A,56Bが通る軌跡上に、それぞれ対応して配置されている。なお、図9では、揺動板51の構造を見やすくするために、リミットスイッチ26A,26Bの記載を省略してある。
【0009】
それぞれのリミットスイッチ26A,26Bは、作動子26Aa,26Baがスプリング(図示せず)により常に突出する方向に付勢され、作動子26Aa,26Baの先端部分にはローラ26Ab,26Bbが回転自在に取り付けられている。
【0010】
また、それぞれのリミットスイッチ26A,26Bは、揺動板51が中立位置Nに配置されているとき、図10に示すように、各ローラ26Ab,26Bbが揺動板51の各長孔56A,56B内にそれぞれ落ち込んで、接点部がオフとなるように設定してある。
【0011】
そして、揺動板51が前進位置Fあるいは後進位置Rに揺動すると、それぞれのリミットスイッチ26A,26Bのローラ26Ab,26Bbが、長孔56A,56B内から押し出されて揺動板51の上に乗り上げられて転動し、各作動子26Aa,26Baがスプリングの付勢力に抗して各リミットスイッチ26A,26Bの内側へ押し戻される。これにより、各リミットスイッチ26A,26Bの接点部がオフからオンに切り換わる。
【0012】
一方、揺動板51が前進位置Fあるいは後進位置Rから中立位置Nに戻されると、それぞれのリミットスイッチ26A,26Bのローラ26Ab,26Bbが再び長孔56A,56B内に落ち込んで、各リミットスイッチ26A,26Bの接点部が再びオンからオフに切り換わるように設定されている。
【0013】
前記走行レバー12を前後方向へ回動操作すると、前記作動アーム15が一体に回動してコントロールケーブル16を押し引きし、揺動板51が枢軸19を支点に水平方向へ揺動してその前端部が、図9に示す前進位置F・中立位置N・後進位置Rにそれぞれ切り換わる。また、揺動板51と一体に枢軸19が左右何れかの方向へ回動し、走行モータ用のコントロールバルブ33が制御され、走行用油圧ポンプ31の斜板の傾きが変わって吐出量が制御される。
【0014】
したがって、走行用油圧ポンプ31から圧油が制御された吐出量で、後輪用モータ駆動回路34の走行用油圧モータ4と、前輪用モータ駆動回路35の走行用油圧モータ6へ、供給または停止されて、振動ローラ本体3の前後進の発進および停止の動きが制御される。
【0015】
また、揺動板51が前進位置Fあるいは後進位置Rに揺動すると、前述したように、各リミットスイッチ26A,26Bがオフからオンに切り換わり、リミットスイッチ26Aにより振動ローラ駆動回路36のソレノイド弁37が開いて振動用油圧モータ8が回転し、起振装置の振動が開始されるとともに、リミットスイッチ26Bにより走行発進時のパーキングブレーキ解除忘れがあるときは警告ブザー(図示せず)が作動する。
【0016】
このように、従来の走行および振動制御装置50は、図8の油圧回路に示す各油圧装置と、図9〜図10に示す揺動板51と、該揺動板51に設けられた長孔56A,56Bと、該長孔56A,56Bにローラ26Ab,26Bbが係合離脱してオンオフするリミットスイッチ26A,26B等で構成されている。
【0017】
そして、この走行および振動制御装置50では、揺動板51の揺動位置すなわち枢軸19の回動位置により振動ローラ本体の前後進の発進と停止を制御するとともに、揺動板51上に設けられた凹所である長孔56A,56Bにリミットスイッチ26A,26Bのローラ26Ab,26Bbが係脱することにより、起振装置の起動と停止を制御するとともに、中立位置であるか、ブレーキ解除忘れがあるかを判別できるようになっている。
【特許文献1】特開平7−207617号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
上述したように、従来の振動ローラにおける走行および振動制御装置50は、走行レバー12を回動すると、この回動操作に連動して振動ローラ本体の前後進の発進と停止と、起振装置の起動と停止が行われる。しかし、振動ローラ本体の前後進の発進と停止と、起振装置の起動と停止のタイミングは、舗装面の仕上がり具合に大きく影響し、タイミングがずれるとローラマーク等が生じて、仕上がりを悪くする。すなわち、振動ローラの発進時および停止時に起振装置の起動が早過ぎたり、遅過ぎたりすると、施工面が粗くなったり、ローラマーク等が発生する。
【0019】
また、このタイミングはオペレータの熟練度等によっても調整が必要となる場合がある。このタイミング調整は、前述した一方のリミットスイッチ26Aのオンオフのタイミングを調整すればよいのであるが、従来は、各リミットスイッチ26A,26Bの双方ともに、揺動板51上に設けた長孔56A,56Bへの係脱動作によりオンオフさせているため、揺動板51に対する長孔56A,56Bの位置を簡単に調整することはできず、したがって、振動ローラ本体の前後進の発進と停止と、起振装置の起動と停止のタイミング調整が困難で、オペレータが違和感を有したまま使用を続けなければないという不都合があった。
【0020】
そこで、振動ローラ本体の前後進の発進と停止の動きと、起振装置の起動と停止のタイミングをユーザー側で簡単に調整できるようにするために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明はこの課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明は上記目的を達成するために提案されたものであり、請求項1記載の発明は、走行用のコントロールバルブを制御する枢軸を支点に該枢軸と一体に揺動可能な揺動板であって、該揺動板は走行レバーの操作方向に応じて揺動可能に形成され、該揺動板に設けられている凹所に近接してリミットスイッチを配置し、該揺動板の揺動により前記枢軸が回動して振動ローラ本体の前後進の発進と停止を制御するとともに、前記リミットスイッチの作動子が前記凹所を係脱してオンオフし、起振装置の起動と停止を制御するように構成された振動ローラの走行および振動制御装置において、前記揺動板には揺動方向にストライカーを位置調整可能に並設し、該ストライカーによって形成された凹所を、揺動板の揺動方向に対して位置調整できるように構成したことを特徴とする振動ローラの振動制御装置を提供する。
【0022】
この構成によれば、揺動板に設けたストライカーの位置を調整して、ストライカーによって形成された凹所を、揺動板の揺動方向に対して位置調整することにより、リミットスイッチが凹所を係脱してオンオフするタイミングが変更される。したがって、走行用のコントロールバルブを制御する枢軸の回動に対して、リミットスイッチのオンオフのタイミングを変更することができる。すなわち、走行レバーの回動操作に連動して振動ローラ本体の前後進の発進および停止が制御されるとともに、該発進および停止の動きに対する起振装置の起動と停止のタイミングを、オペレータの操作感覚に適合するように調整することができる。
【発明の効果】
【0023】
請求項1記載の発明は、ストライカーの位置を調整することにより、揺動板の凹所の位置を任意に調整できるので、振動ローラ本体の前後進の発進および停止の動きに対する起振装置の起動と停止のタイミングを、オペレータの操作感覚に適合するように、現場等で簡単に調整することができる。また、構造が簡略化されたことによりコストダウンが図られる。かくして、オペレータの操作性が向上するとともに、舗装面にローラマーク等が付かないようにして、工事の仕上がり具合を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
振動ローラ本体の前後進の発進と停止の動きと、起振装置の起動と停止のタイミングをユーザー側で簡単に調整できるようにするという目的を達成するために、走行用のコントロールバルブを制御する枢軸を支点に該枢軸と一体に揺動可能な揺動板であって、該揺動板は走行レバーの操作方向に応じて揺動可能に形成され、該揺動板に設けられている凹所に近接してリミットスイッチを配置し、該揺動板の揺動により前記枢軸が回動して振動ローラ本体の前後進の発進と停止を制御するとともに、前記リミットスイッチが前記凹所を係脱してオンオフし、起振装置の起動と停止を制御するように構成された振動ローラの走行および振動制御装置において、前記揺動板には揺動方向にストライカーを位置調整可能に設け、該ストライカーによって形成された凹所を、揺動板の揺動方向に対して位置調整できるように構成したことにより実現した。
【実施例1】
【0025】
以下、図1〜図6にしたがって、本発明の振動ローラの振動制御装置について、好適な実施例をあげて説明する。なお、説明の都合上、従来例で説明した構成と同一構成部分には、同一符号を付して重複説明は省略するものとする。
【0026】
振動ローラ1は、上部に運転席2が設けられた振動ローラ本体3を有している。該振動ローラ本体3の後方側における左右には、走行用油圧モータ4,4で駆動される後輪タイヤ5,5が設けられている。一方、前方側には、同じく走行用油圧モータ6で駆動される前輪としてのローラ7が設けられている。また、該ローラ7の内部には、上記走行用油圧モータ6の他に、該ローラ7に振動を与えて路床、路盤、アスファルト混合物等の締め固め効果を大きくするために、振動用油圧モータ8により駆動される起振装置9が設けられている。
【0027】
上記運転席2の前方には、コントロールスタンド10が設けられ、ステアリングハンドル11と、走行レバー12および振動モード切換スイッチ13等が設けられている。走行レバー12は前後方向へ回動可能に形成され、前進位置F・中立位置N・後進位置Rの各位置に回動切り換え可能である。走行レバー12の回動操作は、コントロールケーブル16を介して揺動板18に伝えられ、揺動板18が水平方向へ揺動するとともに、該揺動板と一体に枢軸19が回動する。
【0028】
走行レバー12の操作に応じて揺動板18が揺動する構成や、走行駆動回路と起振装置の油圧回路などの主たる構成は、従来とほぼ同一であるので、従来と異なる構成のみを説明する。
【0029】
前記振動モード切換スイッチ13は、起振装置9の操作モードを、手動モード・オフモード・自動モードの何れかのモードに切り換えるものである。中立のオフモードから手動モードに切り換えたときは、振動を開始するが、オフモードから自動モードに切り換えたときは、走行と連動して振動するようになっている。すなわち、自動モードの場合には、走行レバー12を前進または後進位置に切り換えると、振動ローラ本体3の走行とともに振動する。一方、振動をさせないで走行したい場合は、振動モード切換スイッチ13をオフモードにし、振動を手動で操作したいときには手動モードにする。
【0030】
また、本実施例では、走行レバー12および振動モード切換スイッチ13による操作に先立って、メインスイッチ(図示せず)をオンしてエンジンを始動させるとき、走行レバー12が中立位置でない状態では、エンジンが始動できないように設定してある。これにより、意に反して振動ローラ本体3の急発進や起振装置9の振動開始を抑え、安全性の確保と路面にローラマークが付くのを防止している。
【0031】
前記揺動板18の上面には、2個1組のストライカー20a,20bと、同じく2個1組のストライカー21a,21bが、枢軸19と中立位置Nとを結ぶ基準線23を基準として左右に分かれて設けられ、ボルト24で固定されている。一方のストライカー20a,20bの隙間には凹所22Aが形成され、他方のストライカー21a,21bとの隙間には凹所22Bが形成されている。なお、各ストライカー20a,20bおよび21a,21bには、それぞれ揺動板18の揺動方向に沿って長孔25が設けられており、上記ボルト24が長孔25を通って揺動板18に螺着されて、各ストライカー20a,20bおよび21a,21bを共締めしている。
【0032】
一方のストライカー20a,20bの上方には、リミットスイッチ26Aが設けられており、他方のストライカー21a,21bの上方には、リミットスイッチ26Bが設けられている。従来例で説明したように、リミットスイッチ26Aは、起振装置の振動開始と停止用で、起振装置のソレノイド弁に連動している。また、リミットスイッチ26Bは、中立位置検出用でエンジンを始動可能とし、走行発進時のパーキングブレーキ解除忘れの警告ブザーに連動している。
【0033】
そして、ボルト24の締め付けを緩めると、各ストライカー20a,20bおよび21a,21bの取付位置を、長孔25による遊びの範囲内で各々揺動板18の揺動方向に移動させて調整することができ、この調整により前記凹所22A,22Bの位置および幅を変更して、振動ローラ本体の前後進の発進および停止の動きに対する起振装置の起動と停止のタイミングと、操作レバー12の回動量に対するブレーキ解除忘れの警告ブザーのタイミングを調整することができる。
【0034】
本発明に係る走行および振動制御装置17は、走行装置や起振装置などの各油圧装置と、前記揺動板18と、該揺動板18に設けられた一方のストライカー20a,20bと、該ストライカー20a,20bによって形成される凹所22Aと、該凹所22Aに係合離脱してオンオフするリミットスイッチ26Aなどで構成されている。なお、他方のリミットスイッチ26Bとストライカー21a,21bは、前述したように中立位置検出用であるので、これ以後は動作などの詳細説明は省略する。
【0035】
前記リミットスイッチ26Aは、揺動板18の上面と対向した位置に、固定ブラケット27Aを介して振動ローラ本体3に固定されている。また、リミットスイッチ26Aは、揺動板18が回動するときに、前記ストライカー20a,20bと、その間に形成された凹所22Aが通る軌跡上に対応して配置されている。
【0036】
前記リミットスイッチ26Aは、揺動板18が中立位置Nに配置されているとき、図6に示すように、ローラ26Abが揺動板51の凹所22A内に落ち込んで、接点部がオフとなるように設定してある。
【0037】
そして、前記走行レバー12の操作に応じて、揺動板18が枢軸19を支点に中立位置Nから前進位置Fあるいは後進位置Rに揺動すると、リミットスイッチ26Aのローラ26Abが凹所22A内から押し出されて、ストライカー20aまたは20bに乗り上げられる。これにより、作動子26Aaが没入してリミットスイッチ26Aがオフからオンに切り換えられる。したがって、ソレノイド弁37に電流が流れて閉止位置から開放位置に切り換わり、振動用油圧ポンプ32の吐出油が振動用油圧モータ8に供給されて、起振装置9の振動が開始される。
【0038】
一方、走行レバー12の操作により揺動板18が前進位置Fあるいは後進位置Rから中立位置Nに戻されると、ローラ26Abが再び凹所22A内に落ち込む。これにより、作動子26Aaが再び突出してリミットスイッチ26Aがオンからオフに切り換えられる。したがって、ソレノイド弁37への電流が遮断されて閉止位置に切り換わり、振動用油圧ポンプ32から振動用油圧モータ8への圧油が断たれて、起振装置9の振動が停止する。
【0039】
ここで、振動ローラ本体3の前後進の発進および停止の動きに対する起振装置9の起動と停止のタイミングを、オペレータの好みに応じて調整したい場合について説明する。まず、揺動板18に締め付けられているボルト24を緩め、ストライカー20a,20bに設けられている長孔25の範囲内でストライカー20a,20bの取付位置を移動し、ストライカー20aと20bの凹所22Aの位置または幅を変更する。
【0040】
図7は、振動ローラ本体3の前後進の発進および停止の動きに対するローラ7の振動の開始と終了の関係を示すタイミングチャートの一例で、同図(1)は走行前進時における調整を行う前と調整を行った後のタイミングチャート、同図(2)は走行後進時における調整を行う前と調整を行った後のタイミングチャートを示す。
【0041】
図7(1a)では、振動ローラ本体3の動き出しに対して、ローラ7の振動開始が0.5秒遅れるように設定されており、図7(1b)では、ストライカー20aの取付位置を、基準線23に対して僅かに移動させて基準線23と離すことにより、振動ローラ本体3の起動に対してローラ7の起動をさらに0.5秒遅れさせて、1.0秒となるように調整するとともに、振動ローラ本体3の停止に対してローラ7の振動停止をさらに0.5秒早めて、1.0秒となるように調整したものである。
【0042】
図7(2a)では、振動ローラ本体3の動き出しに対して、ローラ7の振動開始が0.5秒遅れるように設定されており、図7(2b)では、ストライカー20bの取付位置を、基準線23に対して僅かに移動させて基準線23に近づけることにより、振動ローラ本体3の起動に対してローラ7の起動をさらに0.3秒短縮させて、0.2秒となるように調整するとともに、振動ローラ本体3の停止に対してローラ7の振動停止をさらに0.3秒早めて、0.2秒となるように調整したものである。
【0043】
このように、揺動板18に設けられているストライカー20aおよび20bの取付位置を調整することにより、走行レバー12の回動操作に連動して、振動ローラ本体の前後進の発進および停止の動きに対する起振装置の起動と停止のタイミングを調整することができるので、走行レバー12の回動操作による振動ローラ本体3の動きと起振装置9による振動とのタイミングを、オペレータの操作感覚に適合するように、現場等で簡単に調整することができる。これにより、オペレータの操作性が向上するとともに、舗装面にローラマーク等が付かないようにして、工事の仕上がり具合を向上させることができる。
【0044】
なお、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変を為すことができ、そして、本発明が該改変されたものに及ぶことは当然である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明に係る振動ローラの振動制御装置を搭載した振動ローラの側面図。
【図2】図1に示す振動ローラの平面図。
【図3】図1のA部拡大部分と走行レバー部分の説明図。
【図4】図2のB部拡大図。
【図5】図4の要部の説明図。
【図6】図4の要部の斜視図。
【図7】本発明に係る振動ローラの振動制御装置のタイミングチャート。
【図8】従来例を示す油圧回路図。
【図9】従来例を示す説明図。
【図10】従来例を示す斜視図。
【符号の説明】
【0046】
1 振動ローラ
3 振動ローラ本体
4 走行用油圧モータ
5 後輪タイヤ
6 走行用油圧モータ
7 ローラ
8 振動用油圧モータ
9 起振装置
10 コントロールスタンド
11 ステアリングハンドル
12 走行レバー
14 基軸
17 走行および振動制御装置
18 揺動板
19 枢軸
20a,20b ストライカー
22A 凹所
24 ボルト
25 長孔
26A リミットスイッチ
26Aa 作動子
26Ab ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行用のコントロールバルブを制御する枢軸を支点に該枢軸と一体に揺動可能な揺動板であって、該揺動板は走行レバーの操作方向に応じて揺動可能に形成され、該揺動板に設けられている凹所に近接してリミットスイッチを配置し、該揺動板の揺動により前記枢軸が回動して振動ローラ本体の前後進の発進と停止を制御するとともに、前記リミットスイッチが前記凹所を係脱してオンオフし、起振装置の起動と停止を制御するように構成された振動ローラの走行および振動制御装置において、
前記揺動板には揺動方向に複数のストライカーを位置調整可能に設け、該ストライカーによって形成された凹所を、揺動板の揺動方向に対して位置調整できるように構成したことを特徴とする振動ローラの振動制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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