説明

振動体支持台及び支持台共振抑制方法

【課題】振動体支持台の共振を回避または抑制すること。
【解決手段】振動体支持台100は、振動する振動体であるモーター900及び架台920と架構910との間で、架台920と架構910とに接して配置されて、モーター900及び架台920を架構910に支持し、時間が経過すると固まる凝固材料が充填された場合に、凝固材料を保持する凝固材料充填空間190を備えることを特徴とする。振動体支持台100が共振する場合、振動体支持台100は、凝固材料充填空間190に凝固材料が充填される。振動体支持台100は、凝固材料充填空間190に充填された凝固材料が固まると、剛性が増加する。これにより、振動体支持台100は、固有振動数が上昇して共振を回避または抑制できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動を生じる装置を支持する振動体支持台及び振動体支持台の共振を回避または抑制するための支持台共振抑制方法に関する。
【背景技術】
【0002】
何らかの装置が構造物に据え付けられる場合、装置と構造物との間には、架台や支持台が介在されることがある。ここで、数ある架台や支持台の中には、風荷重や地震による前記装置の振動を抑えて振動を早期に減衰できるものがある。
【0003】
例えば、特許文献1には、架台上にリニアガイド機構を介して前記装置、特許文献1では制振体が移動可能に載置され、制振体の左右両側の下部位置に前後方向に沿ってV字型に弾性構造体が配置されることで、振動体の振動を抑えて振動を早期に減衰できる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−207521号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、回転体を含んで構成される装置、例えば、モーターや、タービンや、ポンプなどは、回転体が回転運動するため振動して振動体となる。よって、振動体を支持する振動体支持台に振動体の振動が伝わる。
【0006】
ここで、振動体の固有振動数によっては、振動体支持台が共振する場合がある。特許文献1に開示されている技術は、地震が起きた際に床部からタービン架台に伝わる振動を抑制することはできるが、振動体支持台の共振を回避または抑制することはできない。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、振動体支持台の共振を回避または抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る振動体支持台は、振動する振動体と基礎面との間で前記振動体と前記基礎面とに接して配置されて、前記振動体を前記基礎面に支持し、時間が経過すると固まる凝固材料が充填された場合に、前記凝固材料を保持する空洞部を備えることを特徴とする。
【0009】
ここで、前記振動体支持台は、例えば、6つの面によって箱型に形成され、前記空洞部は6つの前記面に囲まれて形成される。
【0010】
一般的に、振動体支持台は、振動体から伝わる振動の周波数と、振動体支持台の固有振動数とが一致すると共振する。よって、振動体支持台が共振する場合には、振動体支持台は、固有振動数が調節されることで共振を回避または抑制できる。
【0011】
本発明に係る振動体支持台は、共振した場合に、空洞部に凝固材料が充填される。これにより、本発明に係る振動体支持台は、凝固材料が空洞部内で固まって空洞部を形成する構造部材に凝固材料が固着する。
【0012】
これにより、本発明に係る振動体支持台は、剛性が増加する。ここで、一般的に、振動体支持台は、剛性が変化すると固有振動数も変化する。本発明に係る振動体支持台は、剛性が増加することにより固有振動数が上昇する。つまり、本発明に係る振動体支持台は、固有振動数が変化する。結果として、本発明に係る振動体支持台は、共振を回避または抑制できる。
【0013】
本発明の好ましい態様としては、前記空洞部は、前記振動体と前記振動体支持台との付け根と隣接して、前記振動体と前記基礎面との間に形成されることが望ましい。
【0014】
振動体から振動体支持台に伝わる振動は、振動体と振動体支持台との付け根を介して振動体支持台に伝わる。そこで、本発明に係る振動体支持台は、共振する場合には、前記付け根と隣接する空洞部に凝固材料が充填される。
【0015】
これにより、本発明に係る振動体支持台は、前記付け根の部分の剛性が増加する。よって、本発明に係る振動体支持台は、前記付け根の部分の固有振動数が上昇して、共振をより好適に回避または抑制できる。
【0016】
また、振動体が振動すると、前記付け根には、例えば、引っ張り荷重と、圧縮荷重が働く。しかしながら、本発明に係る振動体支持台は、前記付け根と隣接する空洞部に凝固材料が充填されると、前記付け根部分の剛性が増加する。これにより、本発明に係る振動体支持台は、前記付け根部分の耐久性の低下を抑制できる。
【0017】
本発明の好ましい態様としては、前記空洞部は、複数に分割されて構成されることが望ましい。例えば、前記空洞部は、前記基礎面と交差する仕切板で複数に分割されて構成される。
【0018】
上記構成により、本発明に係る振動体支持台は、複数に分割された空洞部のすべてに凝固材料が充填されなくても、振動体支持台の共振を十分に抑制できる場合がある。この場合、本発明に係る振動体支持台は、振動体支持台の共振を回避または抑制するために必要な凝固材料の量を低減できる。
【0019】
本発明の好ましい態様としては、前記6つの面のうち前記基礎面と平行で鉛直方向上側の面に、前記空洞部の内部と外部とを連通する凝固材料導入孔が形成されることが望ましい。
【0020】
凝固材料導入孔を介して空洞部に充填される凝固材料は、鉛直方向下側、つまり、基礎面側から順に充填される。よって、例えば基礎面の近傍に凝固材料導入孔が形成されると、凝固材料を空洞部に充填する際に、凝固材料を押し込む必要がある。
【0021】
しかしながら、本発明に係る振動体支持台のように、前記基礎面と平行で鉛直方向上側の面、いわゆる天板に凝固材料導入孔が形成されると、本発明に係る振動体支持台は、凝固材料導入孔が基礎面と対向し基礎面から最も離れた部材に形成されることになる。
【0022】
よって、凝固材料導入孔が天板に形成される振動体支持台を用いることにより、凝固材料を空洞部に押し込むことなく流し込むのみで、凝固材料を空洞部に充填できる。
【0023】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る支持台共振抑制方法は、振動する振動体と基礎面との間で前記振動体と前記基礎面とに接して配置されて前記振動体を前記基礎面に支持し、時間が経過すると固まる凝固材料を保持できる空洞部を備える振動体支持台に前記振動体から振動が伝わって前記振動体支持台が共振した場合、前記空洞部に凝固材料を充填することを特徴とする。
【0024】
上記構成により、本発明に係る支持台共振抑制方法を用いれば、振動体支持台が共振した場合に、空洞部に凝固材料が充填される。これにより、振動体支持台は、凝固材料が空洞部内で固まって空洞部を形成する構造部材に凝固材料が固着する。
【0025】
これにより、振動体支持台は、剛性が増加する。ここで、一般的に、振動体支持台は、剛性が変化すると固有振動数も変化する。振動体支持台は、剛性が増加することにより固有振動数が上昇する。つまり、振動体支持台は、固有振動数が変化する。結果として、振動体支持台は、共振を回避または抑制できる。
【発明の効果】
【0026】
本発明は、振動体支持台の共振を回避または抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1は、実施形態1の振動体支持台と架台とモーターとを示す斜視図である。
【図2】図2は、側部板に平行な仮想の平面で実施形態1の振動体支持台を切って示す断面図である。
【図3】図3は、H形鋼のウェブに平行な仮想の平面で実施形態1の振動体支持台を切って示す断面図である。
【図4】図4は、側部板に平行な仮想の平面で実施形態2の振動体支持台を切って示す断面図である。
【図5】図5は、H形鋼のウェブに平行な仮想の平面で実施形態2の振動体支持台を切って示す断面図である。
【図6】図6は、天板に平行な仮想の平面で実施形態2の振動体支持台を切って示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に、本発明に係る振動体支持台及び支持台共振抑制方法の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0029】
(実施形態1)
図1は、実施形態1の振動体支持台と架台とモーターとを示す斜視図である。図1に示すように、モーター900は、例えば、架台920及び振動体支持台100によって基礎面としての架構910に支持される。モーター900は、中心軸CLを軸に回転する回転体を含んで構成される。なお、本実施形態では、中心軸CLは、鉛直方向と直交する。
【0030】
モーター900は、回転体が回転すると振動する振動体である。ここで、振動体はモーター900に限定されず、例えば回転体を含んで構成されて振動するものであればよい。モーター900は、例えば、ポンプやタービンである。
【0031】
モーター900は、モーター900と架構910との間に、架台920及び振動体支持台100が配置される。具体的には、振動体支持台100は、架構910に接して設置される。架台920は、例えば架台設置用ボルト921によって振動体支持台100の面のうち、架構910とは反対側の面に設置される。
【0032】
そして、モーター900は、例えば、架台920の面のうち、振動体支持台100とは反対側の面に設けられるモーター設置台901に支持される。このようにして、モーター900は、架台920及び振動体支持台100によって架構910に据え付けられる。
【0033】
ここで、本実施形態では、モーター900は、モーター900と架構910との間に架台920及び振動体支持台100が配置されるものとして説明するが、モーター900は、例えば、モーター900と架構910との間に振動体支持台100のみが配置される構成でもよい。この場合、モーター900は、例えば振動体支持台100にモーター設置台901が設けられて、モーター設置台901に支持されることにより架構910に据え付けられる。
【0034】
モーター900は、モーター900を構成する部材である回転体が回転すると、振動を生じる。この振動は、モーター900から架台920に伝わり、さらに架台920から振動体支持台100に伝わる。ここで、モーター900の振動が架台920に伝わって、架台920も振動する。よって、本実施形態では、架台920も振動体として取り扱う。
【0035】
この時、振動体支持台100の固有振動数がモーター900の振動数に近づくと、振動体支持台100が共振する。これにより、振動体支持台100が共振する際に生じる振動音が増大するおそれもある。
【0036】
そこで、振動体支持台100は、振動体支持台100の固有振動数が調節されることで共振するおそれを抑制する。一般的に、振動体支持台は、剛性が変化すると固有振動数も変化する。よって、振動体支持台100は、剛性が調節されることで、固有振動数が変化する。以下に、振動体支持台100の構成を説明しつつ、剛性を調節するための方法を説明する。
【0037】
図2は、側部板に平行な仮想の平面で実施形態1の振動体支持台を切って示す断面図である。図3は、H形鋼のウェブに平行な仮想の平面で実施形態1の振動体支持台を切って示す断面図である。振動体支持台100は、例えば、図1及び図2に示すH形鋼110と、天板120と、図1及び図3に示す側部板130とを含んで構成される。
【0038】
振動体支持台100は、図1に示すように、2つのH形鋼110と、2つの側部板130と、天板120と、架構910とで箱型に形成される。H形鋼110は、図2に示すように、第1フランジ111と第2フランジ112とが、互いに平行にウェブ113によって連結された形状の構造用鋼材である。
【0039】
H形鋼110は、第1フランジ111が架構910に固定されて、第2フランジ112と架構910とが平行を成す。ここで、本実施形態では、H形鋼110は、図1に示すように、第1フランジ111が架構910に隙間無く固定される。H形鋼110は、例えば、架構910に埋め込み金物によって固定される。
【0040】
また、H形鋼110は、架構910に対してウェブ113が交差して設けられる。本実施形態では、H形鋼110は、架構910に対してウェブ113が直交して設けられる。また、本実施形態では、H形鋼110は、図1に示すように、ウェブ113が中心軸CLと平行を成して設けられる。
【0041】
振動体支持台100は、2つのH形鋼110が、架構910に平行かつ中心軸CLと直交する方向Aで所定の間隔をあけて配置される。本実施形態では、2つのH形鋼110の方向Aの間隔は、架台920の方向Aの幅よりも大きい。
【0042】
天板120は、図2に示すように、2つのH形鋼110のそれぞれの第2フランジ112に掛け渡される。これにより、振動体支持台100は、天板120と架構910とが平行を成す。本実施形態では、天板120は、図1に示すように、H形鋼110の第2フランジ112に隙間無く連結される。天板120は、例えば、溶接によって第2フランジ112に連結される。
【0043】
側部板130は、図1及び図3に示すように、架構910と交差して設けられる。本実施形態では、側部板130は、架構910と直交して設けられる。また、側部板130は、H形鋼110と交差して設けられる。本実施形態では、側部板130は、H形鋼110と直交して設けられる。側部板130は、図1に示すように、H形鋼110及び天板120に例えば隙間無く連結される。
【0044】
具体的には、側部板130は、方向Aの一方の端部が第1のH形鋼110に連結され、方向Aの他方の端部が第2のH形鋼110に連結される。また、側部板130は、天板120の4つの端辺のうち、中心軸CLと平行な仮想の線と交差する端辺に連結される。
【0045】
側部板130は、例えば、溶接によってH形鋼110及び天板120に連結される。また、上述のように側部板130は2つ設けられる。振動体支持台100は、2つの側部板130がH形鋼110及び天板120を中心軸CL方向で挟み込むように設けられる。
【0046】
上記構成により、振動体支持台100は、図2及び図3に示すように、H形鋼110と、天板120と、側部板130と、架構910との6つの面で箱形に形成され、前記6つの面で囲まれる空洞部が形成される。以下、前記空洞部を凝固材料充填空間190とする。
【0047】
ここで、本実施形態では、凝固材料充填空間190を形成する構造物に、架構910の一部が含まれるが、振動体支持台100は、凝固材料充填空間190を形成する構造物に、必ずしも架構910を含む必要はない。
【0048】
例えば、振動体支持台100は、天板120と同様の板部材を1つ備える。前記板部材は、H形鋼110と架構910との間に介在される。これにより、振動体支持台100は、天板120と前記板部材との間にH形鋼110が挟みこまれる。この場合、振動体支持台100は、H形鋼110と、側部板130と、天板120と、前記板部材とで、凝固材料充填空間190が形成される。
【0049】
また、本実施形態では、凝固材料充填空間190を形成する構造物に、H形鋼110が含まれるが、振動体支持台100は、H形鋼110に代えて、板部材を含んで構成されてもよい。つまり、モーター900と架構910の間に凝固材料充填空間190が形成される構成であれば、凝固材料充填空間190を形成する構造物の形状は限定されない。
【0050】
振動体支持台100は、さらに、図3に示すように、凝固材料導入孔140が形成される。凝固材料導入孔140は、凝固材料充填空間190の内部と外部とを連通する孔である。凝固材料導入孔140は、例えば、天板120に形成される。この場合、凝固材料導入孔140は、鉛直方向に向かって天板120を貫通する。
【0051】
また、振動体支持台100は、蓋141が凝固材料導入孔140に取り付けられる。蓋141は、凝固材料導入孔140を塞ぐための部材であって、例えば板部材である。蓋141は、例えば、ボルトによって天板120に固定される。これにより、蓋141は、凝固材料導入孔140を塞ぐ。
【0052】
次に、振動体支持台100の共振を振動体支持台100で抑制する方法を説明する。振動体支持台100は、凝固材料充填空間190に何も充填されていない状態で、モーター900が稼動される。ここで、振動体支持台100が共振する場合、振動体支持台100は、凝固材料導入孔140から蓋141が取り外される。
【0053】
そして、振動体支持台100は、凝固材料導入孔140を介して凝固材料充填空間190に凝固材料が充填される。凝固材料は、時間が経過すると固まる材料であって、例えば、コンクリートや、アスファルトや、溶けた金属である。
【0054】
凝固材料充填空間190に流し込まれた凝固材料は、凝固材料充填空間190内で固まって凝固材料充填空間190を形成する構造部材に固着する。つまり、凝固材料は、H形鋼110と、天板120と、側部板130と、架構910の一部とに固着する。次に、振動体支持台100は、凝固材料導入孔140に蓋141が取り付けられる。
【0055】
このようにして、凝固材料充填空間190に凝固材料が充填されることにより、振動体支持台100は、振動体支持台100の剛性が増加する。よって、振動体支持台100は、固有振動数が上昇する。このようにして固有振動数が変化することにより、結果として、振動体支持台100は、共振を回避または抑制できる。
【0056】
ここで、凝固材料導入孔140は、天板120に形成される構成に限定されず、例えば、図2に示すH形鋼110のウェブ113や、図3に示す側部板130などの側部に形成されてもよい。但し、凝固材料導入孔140を介して凝固材料充填空間190に充填される凝固材料は、鉛直方向下側、つまり、架構910側から順に充填される。
【0057】
よって、例えば架構910の近傍に凝固材料導入孔140が形成されると、凝固材料を凝固材料充填空間190に充填する際に、凝固材料を押し込む必要がある。しかしながら、本実施形態のように、天板120に凝固材料導入孔140が形成されると、振動体支持台100は、凝固材料導入孔140が架構910と対向し架構910から最も離れた部材に形成されることになる。
【0058】
よって、凝固材料導入孔140が天板120に形成される振動体支持台100を用いることにより、凝固材料を凝固材料充填空間190に押し込むことなく流し込むのみで、凝固材料を凝固材料充填空間190に充填できる。
【0059】
また、凝固材料導入孔140は、複数形成されると好ましい。複数の凝固材料導入孔140は、それぞれが間隔をあけて凝固材料充填空間190に開口する。例えば、凝固材料導入孔140は、天板120の4隅に一つずつ、合計4つ設けられる。
【0060】
これにより、振動体支持台100は、凝固材料充填空間190に充填される凝固材料の偏りを抑制できる。つまり、振動体支持台100は、凝固材料充填空間190の隅々まで凝固材料が充填される。
【0061】
ここで、振動体支持台100は、凝固材料充填空間190を形成する構造部材同士が隙間無く連結される構成に限定されない。例えば、振動体支持台100は、天板120と第2フランジ112との間に隙間が形成されてもよいし、天板120と側部板130との間に隙間が形成されてもよい。振動体支持台100は、凝固材料充填空間190に充填された凝固材料が固まるまでの間、凝固材料充填空間190に凝固材料を保持できる構成であればよい。
【0062】
また、振動体支持台100は、蓋141を備えなくてもよい。例えば、振動体支持台100は、凝固材料充填空間190内のみではなく凝固材料導入孔140内にも凝固材料が充填される。これにより、振動体支持台100は、凝固材料が固まると、固まった凝固材料が凝固材料導入孔140を塞ぐ。
【0063】
ここで、本実施形態では、箱型に形成される振動体支持台100の内部全体に凝固材料充填空間190が形成される構成を説明したが、振動体支持台100は、例えば、振動体支持台100の内部の一部に凝固材料充填空間190が形成される構成でもよい。
【0064】
この場合、振動体支持台100は、例えば、図2に示す架台設置用ボルト921が形成される部分と鉛直方向で隣接する部分に凝固材料充填空間190が形成される。これにより、凝固材料充填空間190は、振動体である架台920と振動体支持台100との付け根と隣接して、振動体支持台100と架構910との間に形成される。
【0065】
ここで、架台920から振動体支持台100に伝わる振動は、架台920と振動体支持台100との付け根を介して振動体支持台100に伝わる。しかしながら、振動体支持台100は、共振する場合に前記付け根と隣接する部分に形成される凝固材料充填空間190に凝固材料が充填される。
【0066】
これにより、振動体支持台100は、前記付け根の部分の剛性が増加する。よって、振動体支持台100は、前記付け根の部分の固有振動数が上昇して、共振をより好適に回避または抑制できる。
【0067】
また、架台920が振動すると、前記付け根には、例えば、引っ張り荷重と、圧縮荷重が働く。しかしながら、振動体支持台100は、前記付け根と隣接す凝固材料充填空間190に凝固材料が充填されると、前記付け根部分の剛性が増加する。これにより、振動体支持台100は、前記付け根部分の耐久性の低下を抑制できる。
【0068】
(実施形態2)
図4は、側部板に平行な仮想の平面で実施形態2の振動体支持台を切って示す断面図である。図5は、H形鋼のウェブに平行な仮想の平面で実施形態2の振動体支持台を切って示す断面図である。図6は、天板に平行な仮想の平面で実施形態2の振動体支持台を切って示す断面図である。
【0069】
実施形態2の振動体支持台200は、複数の凝固材料充填空間が形成される点に特徴がある。例えば、本実施形態では、振動体支持台200は、図6に示すように、凝固材料充填第1空間291と、凝固材料充填第2空間292と、凝固材料充填第3空間293と、凝固材料充填第4空間294と、凝固材料充填第5空間295と、凝固材料充填第6空間296との、合計6つの凝固材料充填空間が形成される。
【0070】
振動体支持台200は、図4及び図6に示す仕切用H形鋼210と、図5及び図6に示す第1仕切板251と、第2仕切板252と、第3仕切板253と、第4仕切板254とを含んで構成される。図4に示すように、仕切用H形鋼210は、2つのH形鋼110と同じ形状の構造用鋼材である。
【0071】
仕切用H形鋼210は、図4及び図6に示すように、2つのH形鋼110の間にH形鋼110と平行に配置される。仕切用H形鋼210は、図4に示すように、架構910に対してウェブ213が交差して設けられる。
【0072】
本実施形態では、仕切用H形鋼210は、架構910に対してウェブ213が直交して設けられる。また、本実施形態では、仕切用H形鋼210は、方向Aで2つのH形鋼110の中央に配置される。
【0073】
第1仕切板251から第4仕切板254は、図5及び図6に示すように、架構910と交差して設けられる。本実施形態では、第1仕切板251から第4仕切板254は、架構910と直交して設けられる。また、第1仕切板251から第4仕切板254は、H形鋼110及び仕切用H形鋼210と交差して設けられる。本実施形態では、第1仕切板251から第4仕切板254は、H形鋼110及び仕切用H形鋼210と直交して設けられる。
【0074】
具体的には、第1仕切板251から第4仕切板254は、図6に示すように、方向Aでの一方の端部がH形鋼110に連結され、方向Aでの他方の端部が仕切用H形鋼210に連結される。第1仕切板251から第4仕切板254は、例えば、溶接によってH形鋼110及び天板120に連結される。
【0075】
上記構成により、振動体支持台200は、図5及び図6に示すように、H形鋼110と、天板120と、第1仕切板251から第4仕切板254と、架構910とで囲まれる空間が、凝固材料充填第1空間291から凝固材料充填第6空間296の合計6つ形成される。このようにして、振動体支持台200は、架構910に交差する面で凝固材料充填空間が分割される。
【0076】
振動体支持台200は、図5に示すように、凝固材料導入孔140が複数形成される。振動体支持台200は、凝固材料充填第1空間291から凝固材料充填第6空間296のそれぞれに、凝固材料導入孔140が例えば1つずつ開口する。
【0077】
また、振動体支持台100は、蓋141が凝固材料導入孔140に取り付けられる。蓋141は、凝固材料導入孔140を塞ぐための部材であって、例えば板部材である。蓋141は、例えば、ボルトによって天板120に固定される。これにより、蓋141は、凝固材料導入孔140を塞ぐ。
【0078】
次に、振動体支持台200の共振を振動体支持台200で抑制する方法を説明する。振動体支持台200は、例えば、凝固材料充填第1空間291から凝固材料充填第6空間296に何も充填されていない状態で、モーター900が稼動される。
【0079】
ここで、振動体支持台200が共振する場合、振動体支持台200は、凝固材料充填第1空間291から凝固材料充填第6空間296のうち、少なくとも1つに凝固材料が充填される。具体的には、振動体支持台200は、振動体支持台200の共振が十分に抑制できるまで、1つずつ凝固材料充填第1空間291から凝固材料充填第6空間296に凝固材料が充填される。
【0080】
ここで、振動体支持台200は、凝固材料充填第1空間291から凝固材料充填第6空間296のすべてに凝固材料が充填されなくとも、凝固材料充填第1空間291から凝固材料充填第6空間296のうち、少なくとも1つに凝固材料が充填されれば、振動体支持台200全体の剛性が増加する。
【0081】
よって振動体支持台200は、固有振動数が上昇する。このようにして固有振動数が変化することにより、結果として、振動体支持台200は、共振を回避または抑制できる。
【0082】
ここで、凝固材料充填第1空間291から凝固材料充填第6空間296に1つずつ凝固材料を充填する際の順番は限定されないが、一例として、振動体支持台200は、凝固材料充填第5空間295、凝固材料充填第2空間292、凝固材料充填第4空間294、凝固材料充填第1空間291、凝固材料充填第6空間296、凝固材料充填第3空間293、の順に凝固材料が充填される。
【0083】
また、例えば、振動体によっては、所定の方向により強く偏振する場合がある。この偏振により、架台920と振動体支持台100との付け根のうち、特定の部分に伝わる振動が他の部分よりも強くなる場合がある。ここで、架台920と振動体支持台100との付け根は、具体的には、架台設置用ボルト921が配置される部分である。
【0084】
このような場合、振動体支持台200は、凝固材料充填第1空間291から凝固材料充填第6空間296のうち、前記特定の部分と鉛直方向で隣接する凝固材料充填空間に優先して凝固部材が充填されると好ましい。
【0085】
これにより、振動体支持台200は、伝わる振動が他の部分よりも強い前記特定の部分の剛性を増加できる。これにより、前記特定の部分の固有振動数が上昇する。結果として、振動体支持台200は、より好適に振動体支持台200の共振を回避または抑制できる。
【0086】
また、凝固材料充填第1空間291から凝固材料充填第6空間296のすべてに凝固材料が充填されなくても振動体支持台200の共振を十分に抑制できる場合、振動体支持台200は、振動体支持台200の共振を回避または抑制するために必要な凝固材料の量を低減できる。
【0087】
また、振動体支持台200は、仕切用H形鋼210と、第1仕切板251から第4仕切板254とが、図4及び図5に示す天板120と架構910との間に介在される。これにより、振動体支持台200は、仕切用H形鋼210と、第1仕切板251から第4仕切板254とが天板120を架構910に支持する。よって、振動体支持台200は、天板120の鉛直方向の撓みを抑制できる。
【0088】
なお、本実施形態では、振動体支持台200は、架構910に交差する面で凝固材料充填空間が分割される構成であるが、振動体支持台200は、架構910に平行な面で凝固材料充填空間が分割されてもよい。
【0089】
この場合、振動体支持台200は、架台920と架構910との間に、架構910と平行な板部材が設けられる。振動体支持台200は、前記板部材によって凝固材料充填空間が複数に分割され、鉛直方向に沿って複数の凝固材料充填空間が積層されるように形成される。
【0090】
この場合であっても、振動体支持台200は、振動体支持台200の共振を回避または抑制するために必要な凝固材料の増加の抑制を図りつつ、振動体支持台200の共振を回避または抑制できる。
【産業上の利用可能性】
【0091】
以上のように、本発明に係る振動体支持台及び支持台共振抑制方法は、例えば回転体が回転することによって振動を発生させる振動体を支持する振動体支持台に有用であり、特に、振動体支持台の共振を回避または抑制することに適している。
【符号の説明】
【0092】
100 振動体支持台
110 H形鋼
111 第1フランジ
112 第2フランジ
113 ウェブ
120 天板
130 側部板
140 凝固材料導入孔
141 蓋
190 凝固材料充填空間
200 振動体支持台
210 仕切用H形鋼
213 ウェブ
251 第1仕切板
252 第2仕切板
253 第3仕切板
254 第4仕切板
291 凝固材料充填第1空間
292 凝固材料充填第2空間
293 凝固材料充填第3空間
294 凝固材料充填第4空間
295 凝固材料充填第5空間
296 凝固材料充填第6空間
900 モーター
901 モーター設置台
910 架構
920 架台
921 架台設置用ボルト
A 方向
CL 中心軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動する振動体と基礎面との間で前記振動体と前記基礎面とに接して配置されて、前記振動体を前記基礎面に支持し、
時間が経過すると固まる凝固材料が充填された場合に、前記凝固材料を保持する空洞部を備えることを特徴とする振動体支持台。
【請求項2】
前記空洞部は、
前記振動体と前記振動体支持台との付け根と隣接して、前記振動体と前記基礎面との間に形成されることを特徴とする請求項1に記載の振動体支持台。
【請求項3】
前記空洞部は、
複数に分割されて構成されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の振動体支持台。
【請求項4】
前記空洞部は、
前記基礎面と交差する仕切板で複数に分割されて構成されることを特徴とする請求項3に記載の振動体支持台。
【請求項5】
前記振動体支持台は、6つの面によって箱型に形成され、
前記空洞部は6つの前記面に囲まれて形成されることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の振動体支持台。
【請求項6】
前記6つの面のうち前記基礎面と平行で鉛直方向上側の面に、前記空洞部の内部と外部とを連通する凝固材料導入孔が形成されることを特徴とする請求項5に記載の振動体支持台。
【請求項7】
振動する振動体と基礎面との間で前記振動体と前記基礎面とに接して配置されて前記振動体を前記基礎面に支持し、時間が経過すると固まる凝固材料を保持できる空洞部を備える振動体支持台に前記振動体から振動が伝わって前記振動体支持台が共振した場合、
前記空洞部に凝固材料を充填することを特徴とする支持台共振抑制方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate