説明

振動信号を使用して物理的事象を識別するための方法、システム、およびコンピュータプログラム製品

【課題】振動信号を使用して物理的事象を識別するための方法およびシステムを提供する。
【解決手段】方法は、それぞれがそれぞれの知られている物理的事象に関連する1つまたは複数の識別された振動信号を形成するステップを含む。この方法は、実際の物理的事象に関連する振動信号を受信するステップと、その振動信号をそれぞれがそれぞれの知られている物理的事象に関連する1つまたは複数の識別された振動信号と比較することによって、実際の物理的事象を識別するステップとをさらに含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、振動信号を使用して物理的事象を識別するための方法、システム、およびコンピュータプログラム製品に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの場合、例えば、スイッチの開放または閉鎖など、物理的事象の識別を確実に決定することはできない。例えば、多くの場合、ユーティリティサービスメータは、測定負荷、負荷遮断、および負荷制御などに対するユーティリティサービスの切断または接続などの機能を実行するために、遠隔で作動可能な電気機械スイッチを備えている。一般に、スイッチ作動の決定は、メータの負荷側のユーティリティサービスの存在、または不在を検出することによって達成される。例えば、提供されるユーティリティサービスが電気である場合、スイッチの動作は、負荷側のメータ端末上の電流フローを検出する(または、電流フローの不在を検出する)ことによってスイッチ作動の電子承認により決定される。同様に、ガスや水道などのサービスは、メータの負荷側上のフロー(または、フローの不在)を検出することによって検出できる。しかし、単一のフィードバック方法、すなわち、電子フィードバック方法だけを使用することによって、現場の技術者および不動産所有者を危険な状況にさらし、メータの製造業者に安全責任を負わせるエラーが考えられる。機械的振動を検出するために加速度計を使用することは、物理的事象が発生していること、または発生していないことを検証するための良好な方法であるが、発生した物理的事象の性質を決定する際に依然として課題が残る。例えば、場合によっては、スイッチは、負荷のない状態下で閉鎖される場合があり、それによって、サービスもしくは製品の検出(または、その不在)に基づいて決定する能力を無効にする。
【発明の概要】
【0003】
したがって、そのいくつかが上で説明された、当技術分野に存在する課題を克服する、物理的事象の性質を決定するための方策を提供するシステム、方法、およびコンピュータプログラム製品が所望される。
【0004】
本明細書で説明されるのは、振動信号を使用して物理的事象を識別するための方法、システム、およびコンピュータプログラム製品の実施形態である。
【0005】
この方法の一態様は、それぞれがそれぞれの知られている物理的事象に関連する1つまたは複数の識別された振動信号を形成するステップを含む。この方法は、実際の物理的事象に関連する振動データを受信するステップと、その振動データをそれぞれがそれぞれの知られている物理的事象に関連する1つまたは複数の識別された振動信号と比較することによって、実際の物理的事象を識別するステップとをさらに含む。
【0006】
本発明の別の態様は、システムを含む。このシステムの一実施形態は、メモリと、そのメモリに動作可能に接続されたプロセッサからなる。このプロセッサは、それぞれがそれぞれの知られている物理的事象に関連する1つまたは複数の識別された振動信号を形成するように構成される。このプロセッサは、実際の物理的事象に関連する振動データを受信して、その振動データをそれぞれがそれぞれの知られている物理的事象に関連する1つまたは複数の識別された振動信号と比較することによって、実際の物理的事象を識別するようにさらに構成される。
【0007】
本発明のさらに別の態様は、コンピュータプログラム製品を含む。このコンピュータプログラム製品は、一時的でないコンピュータ可読媒体上に格納されたコンピュータ実行可能コードセクションからなる。このコンピュータ実行可能コードセクションは、それぞれがそれぞれの知られている物理的事象に関連する1つまたは複数の識別された振動信号を形成するための第1のセクションと、実際の物理的事象に関連する振動データを受信するための第2のセクションと、その振動データをそれぞれがそれぞれの知られている物理的事象に関連する1つまたは複数の識別された振動信号と比較することによって、実際の物理的事象を識別するための第3のセクションとを含む。
【0008】
さらなる利点は、続く説明において一部記載され、または実践によって学習することが可能である。これらの利点は、添付の特許請求の範囲において特に指摘される要素および組合せによって実現および達成されることになる。前述の一般的な説明と以下の詳細な説明の両方は、例示的および説明的であるにすぎず、特許請求の範囲のように限定的ではない点を理解されたい。
【0009】
本明細書内に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付の図面は、実施形態を例示し、説明と共に、これらの方法およびシステムの原理を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】1つの例示的なユーティリティ分配システムの部分のブロック図である。
【図2】スイッチ作動を検出するための加速度計をさらに備えるメータの一実施形態の概略ブロック図である。
【図3】振動信号を作成するために、時間領域解析を使用して解析できる例示的な振動データの図である。
【図4】振動信号を作成するために、周波数領域解析を使用して解析できる振動データの1つの例示的なフーリエ変換の図である。
【図5】スイッチ作動を検出するための加速度計をさらに備えるメータの一実施形態の別の概略ブロック図である。
【図6】2つの任意の信号の相互相関の一例を示す図である。
【図7】任意の信号の自身との自己相関の一例を示す図である。
【図8】本発明の一実施形態によるメータ電子装置として動作できるエンティティのブロック図である。
【図9】振動信号を使用して物理的事象を識別するために用いる動作を例示する流れ図である。
【図10】開示された方法を実行するための1つの例示的な動作環境を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本方法および本システムが開示され説明される前に、これらの方法およびシステムは、特定の合成方法、特定の構成要素、または特定の構成物に限定されない点を理解されたい。本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明するためだけであり、限定することは意図されていない点も理解されたい。
【0012】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、別段に明確に指示されていない限り、単数形「a」、「an」、および「the」は、複数形の参照対象を含む。本明細書において、範囲は、「およそ」の特定値から、かつ/または「およそ」の別の特定値までとして表現される場合がある。そのような範囲が表現されるとき、別の実施形態は、そのある特定の値から、かつ/またはその他の特定の値までを含む。同様に、値が概算として表現されるとき、先行詞「およそ」を使用することによって、特定の値は別の実施形態を形成することを理解されよう。それらの範囲のそれぞれの終点は、他方の終点に関して、かつ他方の終点と関係なく、重要である点をさらに理解されよう。
【0013】
「適宜の」または「適宜」は、後で説明される事象または状況が発生する可能性があり、または発生しない可能性もあり、その説明が前記事象または前記状況が発生する場合と、前記事象または前記状況が発生しない場合とを含むことを意味する。
【0014】
本明細書の説明および特許請求の範囲を通して、「備える(comprise)」という語、ならびに「備えている(comprising)」および「備える(comprises)」など、その変形は、「含むが、それに限定されない」を意味し、例えば、その他の追加物、構成要素、整数、またはステップを除外することは意図されていない。「例示的な」は「の一例」を意味し、好ましい実施形態または理想的な実施形態の表示を伝えることは意図されていない。「など」は、限定的な意味ではなく、説明のために使用される。
【0015】
開示されるのは、開示される方法およびシステムを実行するために使用できる構成要素である。これらの構成要素およびその他の構成要素が本明細書で開示され、これらの構成要素の組合せ、サブセット、相互作用、グループなどが開示されるとき、これらのそれぞれの様々な個々の組合せおよび置換ならびに集合的な組合せおよび置換の特定の参照は明示的に開示されない場合があるが、それぞれは、すべての方法およびシステムに関して、本明細書において詳細に企図および説明される点を理解されたい。これは、開示される方法のステップを含むが、これらに限定されない、本出願のすべての態様に適用される。したがって、実行できる追加のステップが存在する場合、それらの追加のステップのそれぞれは、開示される方法の任意の特定の実施形態または実施形態の組合せを用いて実行できる点を理解されたい。
【0016】
本方法および本システムは、好ましい実施形態の以下の詳細な説明およびその中に含まれる実施例と、図面、ならびにその先行する説明および後続する説明とを参照することによって、より容易に理解されよう。
【0017】
図1を参照すると、本発明の実施形態から利益を得ることになるあるタイプのシステムの一例が提供される。図1は、例えば、電気分配システム、水道分配システム、またはガス分配システムなど、1つの例示的なユーティリティ分配システムのセクションのブロック図である。しかし、供給されたサービスまたは製品を接続または切断するために電気機械スイッチを使用する任意のメータに利益をもたらす目的で、本発明の実施形態を使用することが可能である。図1に示すように、ユーティリティサービスは、ユーティリティプロバイダ100によって、分配システム104を介して様々な負荷L1〜Ln102に供給される。一態様では、提供されるユーティリティサービスは、電力であってよい。負荷102による消費および需要は、メータM1〜Mn106によって負荷位置で測定することが可能である。電気メータの場合、メータ106は、当業者に知られているように、負荷102に応じて、単相電気メータであってよく、または多相電気メータであってもよい。消費情報または需要情報は主に消費者に料金請求するためにユーティリティプロバイダ100によって使用されるが、ユーティリティ分配システムを計画すること、およびプロファイル作成することを含めて、その他の目的で使用することも可能である。場合によっては、ユーティリティプロバイダ100は、負荷102に対するユーティリティサービスの切断または接続のスケジュールリング、自動計測(AMR)、負荷遮断および負荷制御、自動分配およびスマートグリッドの適用、停止報告、インターネット、ビデオ、および音声などの追加のサービスの提供などを含めて、多数の目的のために、メータ106と電子的に通信することを望む。これらの場合のほとんどにおいて、メータ106は、当業者に知られているように、有線であってよく、無線であってよく、または有線と無線の組合せであってもよい通信ネットワーク110を介して、1つまたは複数のコンピューティングデバイス108と通信するように構成されなければならない。そのようなメータ106は、供給されたサービスまたは製品を遠隔で接続または切断するために使用できるスイッチを備えることが可能である。
【0018】
したがって、図1に示されるようなシステムのメータ106は、ユーティリティサービス消費を単に測定することを超えた機能を有するように構成されることが所望される。本明細書で説明されるのは、振動信号を使用して物理的事象を識別するための方法、システム、およびコンピュータプログラム製品の実施形態である。一般に、本発明の実施形態の技術的効果は、振動信号を使用して物理的事象を識別するための方法、システム、およびコンピュータプログラム製品を提供することによって、ある事象を別の事象と区別する現在の方法に対する改善を提供する。
【0019】
一態様では、加速度計を使用することにより、スイッチの作動および位置の機械的承認を取得するシステムおよび方法が説明される。一態様では、加速度計は、微小電気機械システム(MEMS)加速度計である。一態様では、メータ106のメインボードは、スイッチ作動事象の信頼性のある承認を提供するための「電子聴覚装置」として機能するMEMS加速度計を搭載する。このメータは、考えられるスイッチ作動事象(開放、閉鎖など)の署名を有することになり、デジタル信号解析により、スイッチ作動物理的事象(例えば、開放、閉鎖など)を識別できる。振動信号データは、メータのボード上に格納可能であり、サービスプロバイダに送信し戻すことも可能である。本明細書で説明される本発明の実施形態は、任意の特定のデバイスまたは測定技術(例えば、電気、ガス、水道など)に限定されない。
【0020】
図2は、スイッチ204の作動から振動データを取得するための加速度計202または圧電デバイスをさらに備えるメータ106の一実施形態の概略ブロック図を例示する。この例示的な実施形態では、ユーティリティサービスは電力であるが、水道、天然ガスなどのユーティリティサービスに関するその他のメータが本発明の実施形態の範囲内で企図される。アナログ電圧入力およびアナログ電流入力がメータ電子装置206に提供される。アナログ信号は、電力フィード104から導出される。一般に、電力フィード104は、交流電流(AC)源である。一態様では、電力フィード104は単相電力フィードである。別の態様では、電力フィード104は多相(例えば、3相)電力フィードである。一態様では、電力フィード104は、メータ106によって測定されている電力フィードであってよい。別の態様では、入力電圧アナログ信号および入力電流アナログ信号は、他の電気源から導出できる。一態様では、アナログ電圧信号は、必要な場合、1つまたは複数の計器用変圧器(PT)208によって提供できるが、分圧器、容量結合など、その他の手段を使用することも可能である。源の電圧レベルが十分低い場合(例えば、AC25ボルト以下の場合)、PT208、または電圧を下げるかもしくは変換するその他の手段は省略されてよい。同様に、一態様では、アナログ電流信号は、1つまたは複数の変流器(CT)210によって提供することが可能である。一態様では、1つまたは複数のCT210は、1:2500の巻数比を有してよい。一態様では、電流信号をCT210から電圧信号に変換するために、1つまたは複数の抵抗器(図示せず)を使用することが可能である。一態様では、作動検出は、加速度計202とメータ電子装置206とを備える。一態様では、加速度計202または圧電デバイスは、振動データを作成する。一態様では、振動信号を形成するために振動データを使用できる。一態様では、振動信号は、振動データを解析することにより形成される。一態様では、振動信号を形成するために、時間領域解析が使用される。一態様では、振動信号を形成するために、周波数領域解析が使用される。一態様では、スイッチ204が作動コマンドに応答したかどうかを決定するために、振動データを解析することが可能である。例えば、スイッチ204が遠隔コマンドに応答したかどうかを決定するために、加速度計202または電圧デバイスによって作成された振動データを、スイッチ204を開放または閉鎖するための知られている振動信号と比較することができる。一態様では、加速度計202は、MEMS加速度計である。
【0021】
一態様では、遠隔スイッチ作動信号は、ネットワーク110を介して、メータ電子装置206によって受信される。メータ電子装置206は、制御212に、作動信号に従って、スイッチ204を動作させる。作動は、メータ106に関連するスイッチ204を使用する電力フォード104など、ユーティリティサービスの接続または切断を含むことができる。例えば、一態様では、メータ106は、負荷102によるユーティリティサービスの消費を制御するために、負荷制御ユニット(例えば、リレー)212を備える。場合によっては、ユーティリティ分配システム上の不均衡と変動とを回避するのを助けるために、任意の形で負荷102を接続または切断するための、様々なユーティリティによる要件が存在する可能性がある。
【0022】
図2の実施形態がさらに備えるのは、メータの電子装置206である。一態様では、電子装置206は、少なくとも1つのメモリと、1つまたは複数のプロセッサと備え、ネットワーク110から信号を受信して、制御212を経由してスイッチ204を作動させるためのインターフェースを提供する。加速度計202または圧電デバイスから受信される振動データを格納するために、メータ電子装置206のメモリを使用することが可能である。メータ電子装置206は、ネットワーク110を介して、振動データを加速度計202または圧電デバイスから別個のコンピューティングデバイス108に送信するために使用できる送信機を備えることが可能である。スイッチ204の作動が発生したかどうかを決定するために、振動データを解析することが可能である。一態様では、メータの電子装置206は、中でも、Maxim Integrated Products,Inc.(Sunnyvale、California)から入手できるTeridian6533コントローラまたはTeridian6521コントローラを含めて、1つまたは複数の計測マイクロコントローラを備えることが可能である。
【0023】
一態様では、物理的事象によって引き起こされた振動データを解析するステップは、それぞれがそれぞれの知られている物理的事象に関連する1つまたは複数の識別された振動信号を形成するステップを含むことが可能である。一態様では、それぞれがそれぞれの知られている物理的事象に関連する1つまたは複数の識別された振動信号を形成するステップは、時間領域解析を使用して、1つまたは複数の識別された振動信号を形成するステップを含む。一態様では、それぞれがそれぞれの知られている物理的事象に関連する1つまたは複数の識別された振動信号を形成するステップは、周波数領域解析を使用して、1つまたは複数の識別された振動信号を形成するステップを含む。一態様では、1つまたは複数の識別された振動信号は、コンピューティングデバイス108を使用して形成され、コンピューティングデバイス108に関連するメモリ内に格納される。例えば、様々なタイプおよびサイズの電気機械スイッチ、バルブ、アクチュエータ、ソレノイドなどに関して、ならびに開放、閉鎖、部分的開放、部分的閉鎖など、様々な作動に関して、識別された振動信号を形成することが可能である。
【0024】
上述のように、一態様では、1つまたは複数の識別された振動信号は、時間領域解析を使用して形成することが可能である。これは、振動情報のピーク振幅およびピーク同士の間の時間の時間領域解析により実行できる。図3に示すように、加速度計またはデバイスが経験する振動に基づいて、電圧信号または電流信号を作成するために、加速度計、圧電デバイス、またはその他のデバイスを使用することが可能である。一態様では、加速度計が使用される場合、その加速度計はMEMS加速度計であってよい。一態様では、圧電デバイスを使用できる。一態様では、加速度計またはその他のデバイスは、スイッチ、またはその他の機械デバイスもしくは電気機械デバイスと関連付けられる。特定のデバイスに関して、1つまたは複数の識別された振動信号を構築するために、振動信号の振幅と、振幅の変化(δ1)と、振幅ピーク同士の間の時間(δ2)とを使用することが可能である。同じデバイスの異なる物理的事象に関して、異なる振動信号を構築することが可能である。例えば、単一のスイッチは、開放に関連する第1の識別された振動信号、閉鎖に関する第2の識別された振動信号、部分的閉鎖に関する第3の識別された振動信号などを有してよい。一般に、時間領域解析は、スイッチ閉鎖など、低度の可変性を伴う再現可能な事象に関して使用でき、一般に、音声など、高度の可変性を伴う事象に関しては使用できない。
【0025】
やはり上で述べられたように、一態様では、1つまたは複数の識別された振動信号は、振動データの周波数領域解析を使用して形成することが可能である。図4に示すように、加速度計またはデバイスが経験する振動に基づいて、振動データを作成するために、加速度計、圧電デバイス、またはその他のデバイスを使用することが可能である。一態様では、加速度計またはデバイスは、スイッチ、またはその他の機械デバイスもしくは電気機械デバイスと関連付けられる。物理的事象の振動が検出されたとき、振動データを周波数領域に変換することを実行できる。これらの変換方法は、例えば、フーリエ変換、z変換などを含むことが可能である。図4に示すように、周波数の係数、または振幅を使用することによって、事象を一意的に識別するために、ある周波数、周波数範囲、または周波数スペクトルの不在および/または存在を使用することが可能である。これらの係数を格納して、その事象が発生したかどうかを決定するために、振動データと比較することが可能である。事象を正確に特徴付けるために十分な粒度が周波数領域内に存在するように周波数範囲を選択すべきであるが、信号の分解能は、振動信号の量子化を単一の事象に分解できる程度に十分にすべきである。まさに時間領域解析と同じように、同じデバイスの異なる物理的事象に関して、異なる周波数領域振動信号を構築することが可能である。例えば、単一のスイッチは、開放に関連する第1の識別された振動信号、閉鎖に関する第2の識別された振動信号、部分的閉鎖に関する第3の識別された振動信号などを有してよい。
【0026】
実際の物理的事象に関連する振動データを受信して、物理的事象を識別するために、本明細書で説明される、識別された振動信号と比較することが可能である。一態様では、実際の物理的事象に関連する振動データは、コンピューティングデバイス108によって受信されて、コンピューティングデバイス108のメモリ内に格納された識別された振動信号と比較される。一態様では、実際の物理的事象からの振動データは、識別された振動信号と比較される前に、本明細書で説明されるように、時間領域解析または周波数領域解析によって振動信号に変換することが可能である。一態様では、実際の物理的事象からの振動データは、コンピューティングデバイス108によって振動信号に変換することが可能である。実際の物理的事象に関連する振動データを識別された振動信号と比較することによって、発生した物理的事象を識別することが可能である。実際の物理的事象は、振動データをそれぞれがそれぞれの知られている物理的事象に関連する1つまたは複数の識別された振動信号と比較することによって識別することが可能である。一態様では、コンピューティングデバイス108など、コンピューティングデバイス上で実行されているソフトウェアは、この比較を実行して、振動データを作成した物理的事象を識別することが可能である。
【0027】
一態様では、実際の物理的事象に関連する振動データまたは振動信号は、作動信号をスイッチまたはその他のデバイスに送信して、そのスイッチまたはその他のデバイスに関連する振動データを受信することに応答して受信される。一態様では、作動コマンドが受信されて、スイッチがそのスイッチを作動することを試みた後で、メータは、そのメータ電子装置を使用して、識別された署名と整合する振動データを聴取することができるか、メータは、発生している物理的事象に関して警告されるのを、一時、待つことができるか、またはメータは、発生している物理的事象に関して警告されるのを、一時、待つことができ、かつ振動データを識別された署名と比較することができる。一態様では、作動信号はコンピューティングデバイス108によって送信される。例えば、作動信号をスイッチまたはその他のデバイスに送信することは、「開放」信号または「閉鎖」信号のうちの1つをスイッチまたはデバイスに送信することを含むことが可能である。
【0028】
図5は、スイッチ504に関係する物理的事象を識別するための加速度計502、圧電デバイスまたはその他のデバイスをさらに備えるメータ106の一実施形態の別の概略ブロック図を例示する。図5は、メータ106からなるシステムを例示する。メータ106は、電気、ガス、水道など、様々な異なるサービスまたは製品の消費を測定するために使用することが可能である。一態様では、メータ106はスイッチ504と関連付けられる。スイッチ504は、メータの電子装置506によって受信されて、制御512を使用して実施される作動信号によって、遠隔で作動するように構成される。一態様では、スイッチ504を遠隔で作動させることは、「開放」信号または「閉鎖」信号のうちの1つをスイッチ504に送信することを含む。一態様では、スイッチ504を遠隔で作動させることは、「開放」信号または「閉鎖」信号のうちの1つをメータの電子装置506に送信することを含み、これは、制御512を使用して実施される。このシステムはさらに、加速度計502、圧電デバイスなど、振動を電気信号に変換できるデバイスからなる。一態様では、デバイスが加速度計である場合、加速度計502はMEMS加速度計である。加速度計502またはデバイスは、メータ106に関連する振動データを作成する。例えば、スイッチ504の作動は、スイッチ504またはメータ106の振動を引き起こすことが可能であり、これは、加速度計502またはデバイスに振動データを作成させる。一態様では、解析に先立って振動データをフィルタリングすることが可能である。一態様では、加速度計502またはその他のデバイスからの振動データは、それに限定されないが、ノイズなど、予期されない結果および所望されない結果を削減するために、デジタルフィルタリングすることが可能である。様々な態様では、デジタルフィルタリングのタイプは、当業者に知られているように、無限インパルス応答(IIR)フィルタおよび有限インパルス応答(FIR)フィルタを含むことが可能であるが、これらに限定されない。一態様では、デジタルフィルタは、メータの電子装置206の一部を備える。一態様では、デジタルフィルタは、振動データを受信するコンピューティングデバイス108の一部を備える。本明細書で説明される技法(例えば、時間領域解析、周波数領域解析)を使用して振動データを解析し、振動信号と比較することが可能である。スイッチ504に関係して発生した物理的事象を識別するために、振動データを知られている事象に関して識別された振動信号と比較することが可能である。一態様では、発生した物理的事象を識別するために振動データを解析することは、発生した物理的事象を識別するために、時間領域解析を使用して振動データを解析することを含む。別の態様では、スイッチの作動が発生したかどうかを決定するために、振動データを解析することは、発生した物理的事象を識別するために、周波数領域解析を使用して振動データを解析することを含む。使用される技法にかかわらず、発生した物理的事象を識別するために、加速度計502またはその他のデバイスから受信された振動データを知られているスイッチ作動署名と比較することが可能である。
【0029】
一態様では、このシステムはさらに、送信機とコンピューティングデバイス108とからなる。この送信機は、振動データをコンピューティングデバイス108に送信するために使用され、コンピューティングデバイス108は、スイッチ504に関係して発生した物理的事象を決定するために、振動データを解析して、それを識別された振動信号と比較するために使用される。一態様では、発生した物理的事象を識別するために、振動データを知られているスイッチ作動署名と比較することは、振動データの振幅および振動ピーク同士の間の時間デルタと、知られているスイッチ作動署名の振幅および振動ピーク同士の間の時間デルタとを比較することによって、振動データを所与の署名に整合させることを含む。あるいは、一態様では、時間領域解析を使用して、振動データと知られているスイッチ作動署名との間の確実な整合を形成するために、これらに限定されないが、相互相関および巡回相互相関などの動作を使用することが可能である。一態様では、振動データは、正規化されてよく、または正規化されていなくてもよく、すなわち、信号は、平均値が0であるようにオフセットできる。この正規化は、場合によっては、誤検出の可能性を削減する。
【0030】
相互相関、または巡回相互相関を使用するとき、所与のしきい値を超える値、すなわち「スパイク」に関する出力を監視すべきである。しきい値の値は、実験、信号の長さ、および比較される信号の振幅範囲によって決定できる。しきい値を超える値が存在する場合、信号と所与の署名との間で相互相関が実行されるとき、整合すると考えられる。例えば、信号がランダムに生成され、ランダムに生成された別の信号と相互相関された場合、それら2つの信号の間の相互相関の結果は、図6の信号に類似する可能性が高くなる。それらのランダム信号のうちの1つが自身と相互相関する場合、自己相関(すなわち、信号の自身との相互相関)の結果は、図7の信号に類似する可能性が高くなる。信号を比較して、その相対的な振幅を記録する際、図7の結果は「整合」したと考えられることは明らかである。しきい値は、図6の最大振幅よりも大きく、しかし、図7のスパイクのピーク値未満になるように選択すべきである。このシステムに関して、自己相関は、物理的事象の格納された署名と、加速度計によって受信された事象と同じ事象の別の発生との間の相互相関のシミュレーションとして容認できる。
【0031】
次に図8を参照すると、本発明の一実施形態によるメータ電子装置506として動作できるエンティティのブロック図が示される。メータ電子装置506として動作できるエンティティは、本明細書においてより詳細に示され、説明される機能を含めて、本発明の実施形態による1つまたは複数の機能を実行するための様々な手段を含む。しかし、これらのエンティティのうちの1つまたは複数は、本発明の趣旨および範囲から逸脱せずに、1つまたは複数の類似の機能を実行するための代替の手段を含むことが可能である点を理解されたい。示すように、メータ電子装置506として動作できるエンティティは、一般に、1つまたは複数のプロセッサ804など、エンティティの様々な機能を実行または制御するための手段を含むことが可能である。図8に示すように、一実施形態では、メータ電子装置506は、メータ入力およびフィルタリング構成要素802を備えることが可能である。一態様では、メータ入力およびフィルタ構成要素802は、電圧入力および電流入力、1つまたは複数のADC、フィルタリング構成要素などを備えることが可能である。メータ電子装置506のこの実施形態がさらに備えるのは、プロセッサ804およびメモリ806である。
【0032】
一実施形態では、1つまたは複数のプロセッサ804は、コンテンツ、データなどを格納する揮発性メモリおよび/または不揮発性メモリなど、メモリ806と通信状態にあるか、またはメモリ806を含む。例えば、メモリ806は、エンティティから送信されたコンテンツおよび/またはエンティティによって受信したコンテンツを格納することが可能である。また例えば、メモリ806は、1つまたは複数のプロセッサ804が本発明の実施形態に従って、エンティティの動作に関連するステップを実行するためのソフトウェアアプリケーション、命令などを格納することが可能である。詳細には、1つまたは複数のプロセッサ804は、スイッチに関する作動コマンドを受信して、そのスイッチに関連する制御にその作動を実行させ、そのスイッチに関連する加速度計、圧電デバイスなどから振動データを受信して、ネットワークを介して、その振動データをコンピューティングデバイスに送信するために、本明細書でより詳細に議論されるプロセスを実行するように構成できる。例えば、一実施形態によれば、1つまたは複数のプロセッサ804は、振動データを加速度計、圧電デバイスなどからメモリ806内に断続的に格納するように構成できる。一態様では、作動コマンドが受信されて、スイッチがそのスイッチを作動させることを試みた後で、1つもしくは複数のプロセッサ804は、振動データが識別された署名と整合するかどうかを決定するように構成できるか、1つもしくは複数のプロセッサ804は、発生している物理的事象に関して警告されるのを、一時、待つことができるように構成できるか、または1つもしくは複数のプロセッサ804は、発生している物理的事象に関して警告されるのを、一時、待つことができるように構成でき、かつ振動データを識別された署名と比較できる。メモリ806に加えて、1つまたは複数のプロセッサ804を、データ、コンテンツなどを表示するため、送信するため、かつ/または受信するための少なくとも1つのインターフェースまたはその他の手段に接続することも可能である。この点で、(1つまたは複数の)インターフェースは、データ、コンテンツなどを送信するため、かつ/または受信するための少なくとも1つの通信インターフェース808またはその他の手段、ならびにディスプレイ810および/またはユーザ入力インターフェース812を含み得る少なくとも1つのユーザインターフェースを含むことが可能である。一態様では、通信インターフェース808は、メモリ806内に格納された振動データの少なくとも一部を下で説明される遠隔コンピューティングデバイスなどの遠隔コンピューティングデバイスに転送するために使用することが可能である。例えば、一例では、通信インターフェース808は、スイッチ504に関係して発生した物理的事象を識別するために、転送された振動データを解析できるように、通信ネットワーク110を介して、格納された振動データの少なくとも一部をコンピューティングデバイス108に転送するために使用することが可能である。そしてユーザ入力インターフェース812は、エンティティが、キーパッド、タッチディスプレイ、ジョイスティック、またはその他の入力デバイスなど、ユーザからデータを受信することを可能にする、いくつかのデバイスのうちのいずれかを備えることが可能である。
【0033】
次に図9を参照すると、振動信号を使用して物理的事象を識別するために用いることができる動作が例示される。ステップ902において、1つまたは複数の識別された振動信号が形成される。それぞれの識別された振動信号は、それぞれの知られている物理的事象と関連付けられる。一態様では、それぞれがそれぞれの知られている物理的事象に関連する1つまたは複数の識別された振動信号を形成するステップは、時間領域解析を使用して、1つまたは複数の識別された振動信号を形成するステップを含む。別の態様では、それぞれがそれぞれの知られている物理的事象に関連する1つまたは複数の識別された振動信号を形成するステップは、周波数領域解析を使用して、1つまたは複数の識別された振動信号を形成するステップを含む。一態様では、物理的事象の時間領域解析または周波数領域解析の特性を振動信号としてメモリ内に格納することが可能である。一態様では、それぞれがそれぞれの知られている物理的事象に関連する1つまたは複数の識別された振動信号を形成するステップは、スイッチの閉鎖に関連する第1の識別された振動信号を形成するステップと、スイッチの開放に関連する第2の識別された振動信号を形成するステップとを含む。ステップ904において、実際の物理的事象に関連する振動データが受信される。一態様では、実際の物理的事象に関連する振動データを受信するステップは、作動信号をスイッチに送信するステップと、そのスイッチに関連する振動データを受信するステップとをさらに含む。一態様では、作動信号をスイッチに送信するステップは、「開放」信号または「閉鎖」信号のうちの1つをスイッチに送信するステップを含む。一態様では、スイッチに関連する振動データを受信するステップは、そのスイッチに関連する加速度計から振動データを受信するステップを含む。一態様では、加速度計はMEMS加速度計である。一態様では、スイッチに関連する振動データを受信するステップは、スイッチに関連する圧電デバイスから振動データを受信するステップを含む。一態様では、スイッチはメータと関連付けられる。一態様では、メータは、電気メータ、ガスメータ、または水道メータのうちの1つである。ステップ906において、実際の物理的事象は、振動データをそれぞれがそれぞれの知られている物理的事象に関連する1つまたは複数の識別された振動信号と比較することによって識別される。一態様では、振動データをそれぞれがそれぞれの知られている物理的事象に関連する1つまたは複数の識別された振動信号と比較することによって、実際の物理的事象を識別するステップは、時間領域解析を使用して振動データを解析するステップと、振動データの時間領域解析を1つまたは複数の識別された振動信号のそれぞれと比較するステップとを含む。一態様では、振動データをそれぞれがそれぞれの知られている物理的事象に関連する1つまたは複数の識別された振動信号と比較することによって、実際の物理的事象を識別するステップは、周波数領域解析を使用して振動データを解析するステップと、振動データの周波数領域解析を1つまたは複数の識別された振動信号のそれぞれと比較するステップとを含む。
【0034】
上記のシステムは、ユニットからなるとして上で説明されている。当業者は、これは機能的な説明であり、ソフトウェア、ハードウェア、またはソフトウェアとハードウェアの組合せがそれらのそれぞれの機能を実行できる点を理解されよう。スマート家電、スマートメータ、スマートグリッド、ユーティリティコンピューティングデバイス、供給業者または製造業者のコンピューティングデバイスなどのユニットは、ソフトウェア、ハードウェア、またはソフトウェアとハードウェアの組合せであってよい。これらのユニットは、図10に例示され、下で説明されるような署名解析ソフトウェア1006を備えることが可能である。1つの例示的な態様では、これらのユニットは、上で参照され、下でさらに説明されるコンピューティングデバイス108を備えることが可能である。
【0035】
図10は、開示される方法を実行するための1つの例示的な動作環境を示すブロック図である。この例示的な動作環境は、動作環境の単なる一例であり、動作環境アーキテクチャの使用または機能性の範囲に関して何らの限定を示唆することは意図されていない。動作環境は、例示的な動作環境で示される構成要素のうちのいずれか1つまたはそれらの組合せに関する何らの依存関係または要件を有すると解釈すべきでもない。
【0036】
本方法および本システムは、多数のその他の汎用コンピューティングシステム環境または汎用コンピューティング構成または専用コンピューティングシステム環境または専用コンピューティング構成により動作可能であり得る。これらのシステムおよび方法と共に使用するのに適している可能性がある、よく知られているコンピューティングシステム、コンピューティング環境、および/またはコンピューティング構成の例は、パーソナルコンピュータ、サーバコンピュータ、ラップトップデバイス、およびマルチプロセッサシステムを含むが、これらに限定されない。さらなる例は、セットトップボックス、プログラマブル消費電子装置、ネットワークPC、ミニコンピュータ、メインフレームコンピュータ、スマートメータ、スマートグリッド構成要素、上記のシステムまたはデバイスのうちのいずれかを備える分散型コンピューティング環境などを含む。
【0037】
開示される方法およびシステムの処理は、ソフトウェア構成要素によって実行できる。開示されるシステムおよび方法は、1つもしくは複数のコンピュータまたはその他のデバイスによって実行されている、プログラムモジュールなど、コンピュータ実行可能命令の一般的な文脈で説明される場合がある。一般に、プログラムモジュールは、特定のタスクを実行するか、または特定の抽象データ型を実施するコンピュータコード、ルーチン、プログラム、オブジェクト、構成要素、データ構造などを含む。開示される方法は、タスクが通信ネットワークを介してリンクされた遠隔処理デバイスによって実行されるグリッドベース環境および分散型コンピューティング環境で実行できる。分散型コンピューティング環境では、プログラムモジュールは、局所的コンピュータ記憶媒体と、メモリ記憶装置を含む遠隔コンピュータ記憶媒体の両方の中に配置できる。
【0038】
さらに、当業者は、本明細書で開示されるシステムおよび方法は、コンピューティングデバイス108の形で汎用コンピューティングデバイスを経由して実施できる点を理解されよう。コンピューティングデバイス108の構成要素は、1つもしくは複数のプロセッサまたはプロセッシングユニット1003と、システムメモリ1012と、プロセッサ1003を含めて、様々なシステム構成要素をシステムメモリ1012に結合するシステムバス1013とを含むが、これらに限定されない。マルチプロセッシングユニット1003の場合、このシステムは、並列コンピューティングを利用できる。一態様では、プロセッサ1003は、デバイスから振動データを受信して、その振動データを解析し、振動信号を1つまたは複数の識別された振動信号と比較することによって、その振動データを引き起こした物理的事象を識別するように構成される。
【0039】
システムバス1013は、メモリバスまたはメモリコントローラ、周辺バス、アクセラレーテッドグラフィックスポート、および様々なバスアーキテクチャのうちのいずれかを使用するプロセッサまたはローカルバスを含めて、いくつかの考えられるタイプのバス構造のうちの1つまたは複数を表す。例として、そのようなアーキテクチャは、業界標準アーキテクチャ(ISA)バス、マイクロチャネルアーキテクチャ(MCA)バス、拡張ISA(EISA)バス、ビデオエレクトロニクススタンダーズアソシエーション(VESA)ローカルバス、アクセラレーテッドグラフィックスポート(AGP)バス、およびペリフェラルコンポーネントインターコネクト(PCI)、PCIエクスプレスバス、パーソナルコンピュータメモリカード国際協会((PCMCIA)、ユニバーサルシリアルバス(USB)などを含むことが可能である。バス1013、および本説明で指定されるすべてのバスは、有線ネットワーク接続または無線ネットワーク接続を介して実施することも可能であり、プロセッサ1003と、大容量記憶装置1004と、オペレーティングシステム1005と、署名解析ソフトウェア1006と、振動信号データ1007と、ネットワークアダプタ1008と、システムメモリ1012と、入出力インターフェース1010と、ディスプレイアダプタ1009と、ディスプレイデバイス1011と、ヒューマンマシンインターフェース1002とを含めて、サブシステムのそれぞれは、この形態のバスを介して接続された、物理的に分離された位置において、1つもしくは複数の遠隔コンピューティングデバイスまたはクライアント1014a、b、c内に含めることが可能であり、事実上、完全な分散型システムまたは分散型アーキテクチャを実施する。
【0040】
コンピューティングデバイス108は、典型的には、様々なコンピュータ可読媒体を備える。例示的な可読媒体は、一時的でなく、コンピューティングデバイス108によってアクセス可能な任意の利用可能な媒体であってよく、例えば、揮発性媒体と不揮発性媒体の両方、取外し可能媒体と取外し不可能媒体の両方を含むが、これらに限定されることは意味されていない。システムメモリ1012は、ランダムアクセスメモリ(RAM)など、揮発性メモリ、および/または読出し専用メモリ(ROM)など、不揮発性メモリの形のコンピュータ可読媒体を備える。システムメモリ1012は、典型的には、振動信号データ1007などのデータ、および/またはオペレーティングシステム1005などのプログラムモジュール、ならびにプロセッシングユニット1003に即時にアクセス可能であり、かつ/もしくはプロセッシングユニット1003によって現在動作させられている署名解析ソフトウェア1006を含む。
【0041】
別の態様では、コンピューティングデバイス108は、その他の一時的でない、取外し可能なコンピュータ記憶媒体/取外し不可能なコンピュータ記憶媒体、揮発性コンピュータ記憶媒体/不揮発性コンピュータ記憶媒体を備えることも可能である。例として、図10は、コンピュータコード、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、およびその他のデータの不揮発性記憶をコンピューティングデバイス108に提供できる大容量記憶装置1004を例示する。例えば、限定ではないが、大容量記憶装置1004は、ハードディスク、取外し可能磁気ディスク、取外し可能光ディスク、磁気カセットまたはその他の磁気記憶装置、フラッシュメモリカード、CD−ROM、デジタル多用途ディスク(DVD)またはその他の光記憶、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読出し専用メモリ(ROM)、電気消去可能プログラマブル読出し専用メモリ(EEPROM)などであってよい。
【0042】
適宜、例として、オペレーティングシステム1005と、署名解析ソフトウェア1006とを含めて、任意の数のプログラムモジュールを大容量記憶装置1004上に格納することが可能である。オペレーティングシステム1005と署名解析ソフトウェア1006のそれぞれ(または、それらの何らかの組合せ)は、プログラミングの要素と署名解析ソフトウェア1006の要素とを含むことが可能である。振動信号データ1007を大容量記憶装置1004上に格納することも可能である。振動信号データ1007は、当技術分野で知られている1つまたは複数のデータベースのうちのいずれかの中に格納することが可能である。そのようなデータベースの例は、DB2(登録商標)(IBM Corporation、Armonk、NY)、Microsoft(登録商標)Access、Microsoft(登録商標)SQLサーバ、Oracle(登録商標)(Microsoft Corporation、Bellevue、Washington)、mySQL、PostgreSQLなどを含む。これらのデータベースは、集中型であってよく、または複数のシステムを通して分散されてもよい。
【0043】
別の態様では、入力デバイス(図示せず)を経由して、コマンドおよび情報をコンピューティングデバイス108内に入力することができる。そのような入力デバイスの例は、キーボード、ポインティングデバイス(例えば、「マウス」)、マイクロフォン、ジョイスティック、スキャナ、グローブおよびその他のボディカバリングなどの触覚入力デバイスなどを含むが、これらに限定されない。これらの入力デバイスおよびその他の入力デバイスは、システムバス1013に結合されたヒューマンマシンインターフェース1002を経由してプロセッシングユニット1003に接続できるが、並列ポート、ゲームポート、(Firewireポートとしても知られている)IEEE1394ポート、シリアルポート、またはユニバーサルシリアルバス(USB)など、その他のインターフェースおよびバス構造によって接続することも可能である。
【0044】
さらに別の態様では、ディスプレイデバイス1011は、ディスプレイアダプタ1009などのインターフェースを経由して、システムバス1013に接続することも可能である。コンピューティングデバイス108は、2つ以上のディスプレイアダプタ1009を有することが可能であり、コンピューティングデバイス108は、2つ以上のディスプレイデバイス1011を有することが可能である点が企図される。例えば、ディスプレイデバイスは、モニタ、LCD(液晶ディスプレイ)、またはプロジェクタであってよい。ディスプレイデバイス1011に加えて、その他の出力周辺デバイスは、入出力インターフェース1010を経由してコンピュータ108に接続可能なスピーカ(図示せず)およびプリンタ(図示せず)などの構成要素を含むことが可能である。これらの方法のいずれのステップおよび/または結果は、任意の形で、出力デバイスに出力することが可能である。そのような出力は、テキスト、グラフィック、動画、音声、触覚などを含むが、これらに限定されない任意の形の視覚表示であってよい。
【0045】
コンピューティングデバイス108は、1つもしくは複数の遠隔コンピューティングデバイスまたはクライアント1014a、b、cに対する論理接続を使用して、ネットワーク接続された環境で動作することが可能である。例として、遠隔コンピューティングデバイス1014は、パーソナルコンピュータ、ポータブルコンピュータ、サーバ、ルータ、ネットワークコンピュータ、スマートメータ、供給業者もしくは製造業者のコンピューティングデバイス、スマートグリッド構成要素、ピアデバイスまたはその他の共通ネットワークノードなどであってよい。コンピューティングデバイス108と遠隔コンピューティングデバイスまたはクライアント1014a、b、cとの間の論理接続は、ローカルエリアネットワーク(LAN)、一般的な広域ネットワーク(WAN)、メッシュバックホール無線など、様々なネットワークを経由して行うことが可能である。そのようなネットワーク接続は、ネットワークアダプタ1008を介してよい。ネットワークアダプタ1008は、有線環境と無線環境の両方で実施できる。そのようなネットワーキング環境は、事務所、企業全体のコンピュータネットワーク、イントラネット、および、インターネットなど、その他のネットワーク1015において通常であり、一般的である。
【0046】
例示のために、アプリケーションプログラム、およびオペレーティングシステム1005など、その他の実行可能なプログラム構成要素は、本明細書において、ディスクリートブロックとして例示されるが、そのようなプログラムおよび構成要素は、様々な時点で、コンピューティングデバイス108の様々な記憶構成要素内に常駐し、コンピュータの(1つまたは複数の)データプロセッサによって実行される点を認識されよう。署名解析ソフトウェア1006の実装は、何らかの形のコンピュータ可読媒体上に格納可能であり、または何らかの形のコンピュータ可読媒体を介して送信することが可能である。開示された方法のうちのいずれかは、コンピュータ可読媒体上で具体化されるコンピュータ可読命令によって実行できる。コンピュータ可読媒体は、コンピュータによってアクセスできる任意の利用可能な媒体であってよい。限定ではなく、例として、コンピュータ可読媒体は、「コンピュータ記憶媒体」と「通信媒体」とを含むことが可能である。「コンピュータ記憶媒体」は、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、その他のデータなどの情報を格納するための任意の方法または技術で実施される揮発性媒体および不揮発性媒体、取外し可能媒体および取外し不可能媒体を含む。例示的なコンピュータ記憶媒体は、RAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリもしくはその他のメモリ技術、CD−ROM、デジタル多用途ディスク(DVD)もしくはその他の光記憶、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク記憶装置もしくはその他の磁気記憶装置、または所望される情報を格納するために使用でき、コンピュータによってアクセス可能な任意のその他の媒体を含むが、これらに限定されない。
【0047】
これらの方法およびシステムは、機械学習および反復学習など、人工知能技術を用いることが可能である。かかる技術の例は、エキスパートシステム、事例ベース推論、ベイジアンネットワーク、行動ベースAI、ニューラルネットワーク、ファジーシステム、進化型計算(例えば、遺伝的アルゴリズム)、群知能(例えば、アントアルゴリズム)、およびハイブリッド知能システム(例えば、ニューラルネットワークを介して生成されたエキスパート推論規則または統計的学習からの生成規則)を含むが、これらに限定されない。
【0048】
上で述べたように、また当業者が理解するように、本発明の実施形態は、システム、方法、またはコンピュータプログラム製品として構成できる。したがって、本発明の実施形態は、完全にハードウェアで、完全にソフトウェアで、またはソフトウェアとハードウェアの任意の組合せを含む様々な手段からなり得る。さらに、本発明の実施形態は、記憶媒体内で具体化されるコンピュータ可読プログラム命令(例えば、コンピュータソフトウェア)を有するコンピュータ可読記憶媒体上のコンピュータプログラム製品の形をとってよい。ハードディスク、CD−ROM、光記憶装置、または磁気記憶装置を含めて、任意の適切な一時的でないコンピュータ可読記憶媒体を利用することが可能である。
【0049】
本発明の実施形態は、方法、装置(すなわち、システム)、およびコンピュータプログラム製品のブロック図ならびに流れ図を参照して上で説明されている。ブロック図および流れ図のそれぞれのブロック、ならびにブロック図内および流れ図内のブロックの組合せは、それぞれ、コンピュータプログラム命令を含めて、様々な手段によって実施可能である点を理解されよう。これらのコンピュータプログラム命令は、コンピュータ上またはその他のプログラマブルデータ処理装置上で実行する命令が1つまたは複数の流れ図ブロック内で指定される機能を実施するための手段を生み出すように機械を作成するために、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、または、図10を参照して上で議論された1つもしくは複数のプロセッサ1003など、その他のプログラマブルデータ処理装置上にロードすることが可能である。
【0050】
これらのコンピュータプログラム命令は、コンピュータ可読メモリ内に格納された命令が1つまたは複数の流れ図ブロック内で指定された機能を実施するためのコンピュータ可読命令を含む製品を作成するように、コンピュータまたはその他のプログラマブルデータ処理装置(例えば、図10の1つまたは複数のプロセッサ1003)に特定の様式で機能するように指令できるコンピュータ可読メモリ内に格納することも可能である。コンピュータプログラム命令は、コンピュータ上またはその他のプログラマブル装置上で実行する命令が、1つまたは複数の流れ図ブロック内で指定された機能を実施するためのステップを提供するように、一連の動作ステップに、コンピュータ実装プロセスを作成する目的でコンピュータまたはその他のプログラマブル装置上で実行させるために、コンピュータまたはその他のプログラマブルデータ処理装置上にロードすることも可能である。
【0051】
したがって、ブロック図および流れ図のブロックは、指定された機能を実行するための手段の組合せと、指定された機能を実行するためのステップの組合せと、指定された機能を実行するためのプログラム命令手段とをサポートする。ブロック図および流れ図のそれぞれのブロック、ならびにブロック図および流れ図のブロックの組合せは、指定された機能もしくはステップを実行する専用のハードウェアベースのコンピュータシステム、または専用ハードウェアとコンピュータ命令の組合せによって実施できる点も理解されよう。
【0052】
別段に明記されていない限り、本明細書に記載されるいずれの方法も、そのステップが特定の順序で実行されることを必要とするとして解釈されることは決して意図されていない。したがって、方法クレームが、そのステップが従うべき順序を実際に列挙していない場合、または特許請求の範囲および説明において、ステップを特定の順序に限定すべきであることが別段に具体的に記載されていない限り、いかなる点でも、順序を推測することは決して意図されていない。これは、ステップまたは動作の流れの構成に関する論理の問題、文法構成または句読点から生じる一般的な意味、本明細書において説明された実施形態の数またはタイプを含めて、解釈に関する任意の考えられる明確でない基準に適用できる。
【0053】
本出願を通して、様々な公告を参照できる。これらの公告の開示はすべて、これらの方法およびシステムが関係する最新技術をより十分に説明するために、参照によって、本明細書により、本出願に組み込まれている。
【0054】
本明細書に記載された本発明の多くの修正形態およびその他の実施形態は、前述の説明および関連する図面に提示される教示の利益を有する、本発明のこれらの実施形態が関係する当業者に思い浮かぶであろう。したがって、本発明の実施形態は、開示された特定の実施形態に限定されず、修正形態およびその他の実施形態は、添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図されることを理解されよう。さらに、前述の説明および関連する図面は、要素および/または機能のある例示的な組合せの文脈で例示的な実施形態を説明するが、代替の実施形態によって、添付の特許請求の範囲から逸脱せずに、要素および/または機能の異なる組合せを提供できる点を理解されたい。この点で、例えば、添付の特許請求の範囲のうちのいくつかに記載され得るように、上で明示的に説明された以外の要素および/または機能の組合せも企図される。本明細書において、特定の用語が用いられているが、それらの用語は、限定のためではなく、単に一般的な意味および記述的な意味で使用されている。
【符号の説明】
【0055】
100 ユーティリティプロバイダ
102 様々な負荷L1〜Ln
104 分配システム
106 メータM1〜Mn
108 1つまたは複数のコンピューティングデバイス
110 通信ネットワーク
202 加速度計
204 スイッチ
206 メータ電子装置
208 1つまたは複数の計器用変圧器(PT)
210 1つまたは複数の変流器(CT)
212 負荷制御ユニット(例えば、リレー)
502 スイッチに関係する物理的事象を識別するための加速度計、圧電デバイス、またはその他のデバイス
504 スイッチ
506 メータの電子装置
512 制御
802 メータ入力およびフィルタリング構成要素
804 1つまたは複数のプロセッサ
806 メモリ
808 通信インターフェース
810 ディスプレイ
812 ユーザ入力インターフェース
1002 ヒューマンマシンインターフェース
1003 プロセッシングユニット
1004 大容量記憶装置
1005 オペレーティングシステム
1006 署名解析ソフトウェア
1007 振動信号データ
1008 ネットワークアダプタ
1009 ディスプレイアダプタ
1010 入出力インターフェース
1011 ディスプレイデバイス
1012 システムメモリ
1013 システムバス
1014 1つもしくは複数の遠隔コンピューティングデバイスまたはクライアント
1015 ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれがそれぞれの知られている物理的事象に関連する1つまたは複数の識別された振動信号を形成するステップであって、時間領域解析または周波数領域解析を使用して、前記1つまたは複数の識別された振動信号を形成するステップを含む、形成するステップと、
実際の物理的事象に関連する振動データを受信するステップと、
前記振動データの少なくとも一部をそれぞれがそれぞれの知られている物理的事象に関連する前記1つまたは複数の識別された振動信号と比較することによって、前記実際の物理的事象を識別するステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記振動データをそれぞれがそれぞれの知られている物理的事象に関連する前記1つまたは複数の識別された振動信号と比較することによって、前記実際の物理的事象を識別するステップが、時間領域解析を使用して前記振動データを解析するステップと、前記振動データの前記時間領域解析を前記1つまたは複数の識別された振動信号のそれぞれと比較するステップとを含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記振動データをそれぞれがそれぞれの知られている物理的事象に関連する前記1つまたは複数の識別された振動信号と比較することによって、前記実際の物理的事象を識別するステップが、周波数領域解析を使用して前記振動データを解析するステップと、前記振動データの前記周波数領域解析を前記1つまたは複数の識別された振動信号のそれぞれと比較するステップとを含む、請求項1記載の方法。
【請求項4】
メモリ(1012)と、
前記メモリ(1012)に動作可能に接続されたプロセッサ(1003)であって、
それぞれがそれぞれの知られている物理的事象に関連する1つまたは複数の識別された振動信号を形成して、前記1つまたは複数の識別された振動信号を前記メモリ(1002)内に格納し、
実際の物理的事象に関連する振動データを受信して、
前記振動データを、それぞれがそれぞれの知られている物理的事象に関連する、前記格納された1つまたは複数の識別された振動信号と比較することによって、前記実際の物理的事象を識別するように構成されたプロセッサ(1003)と
からなるシステム。
【請求項5】
前記プロセッサ(1003)が、時間領域解析または周波数領域解析を使用して、前記1つまたは複数の識別された振動信号を形成するように構成された、請求項4記載のシステム。
【請求項6】
実際の物理的事象に関連する前記振動データを受信することが、スイッチ(204)に関連する加速度計(202)または圧電デバイスのうちの1つから前記振動データを受信することを含む、請求項4記載のシステム。
【請求項7】
前記プロセッサ(1003)が、時間領域解析を使用して前記振動データを解析し、前記振動データの前記時間領域解析を前記1つまたは複数の識別された振動信号のそれぞれと比較するように構成された、請求項4記載のシステム。
【請求項8】
時間領域解析を使用して前記振動データを解析することが、前記振動データの前記時間領域解析を前記1つまたは複数の識別された振動信号のそれぞれと比較するために、相互相関または巡回相互相関のうちの1つを使用することを含む、請求項7記載のシステム。
【請求項9】
前記プロセッサ(1003)が、周波数領域解析を使用して前記振動信号を解析し、前記振動信号の前記周波数領域解析を前記1つまたは複数の識別された振動信号のうちのそれぞれと比較するように構成された、請求項4記載のシステム。
【請求項10】
一時的でないコンピュータ可読媒体上に格納されたコンピュータ実行可能コードセクションからなるコンピュータプログラム製品であって、前記コンピュータ実行可能コードセクションが、
それぞれがそれぞれの知られている物理的事象に関連する1つまたは複数の識別された振動信号を形成するための第1のセクションと、
実際の物理的事象に関連する振動データを受信するための第2のセクションと、
前記振動データをそれぞれがそれぞれの知られている物理的事象に関連する前記1つまたは複数の識別された振動信号と比較することによって、前記実際の物理的事象を識別するための第3のセクションとを備えるコンピュータプログラム製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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