振動回転レートセンサー及びその動作方法
【課題】振動回転レートセンサー及びその動作方法を提供する。
【解決手段】復元素子と結合され及び共振逆位相運動で駆動される2つの振動体を有する2軸回転レートセンサーを有し、前記2つの振動体は、等しくしかし単一の軸に沿って逆の振幅を有し振動する。振動構造はまた、振動軸と直交する平面内の振動体の運動を有する。この平面内の2軸での振動体の運動の測定は、2つの直交軸の周りのセンサーの回転に直接応答する信号を提供する。測定及び駆動は、磁性体の利用及び電磁気駆動及び検知トランスデューサーにより実現される。
【解決手段】復元素子と結合され及び共振逆位相運動で駆動される2つの振動体を有する2軸回転レートセンサーを有し、前記2つの振動体は、等しくしかし単一の軸に沿って逆の振幅を有し振動する。振動構造はまた、振動軸と直交する平面内の振動体の運動を有する。この平面内の2軸での振動体の運動の測定は、2つの直交軸の周りのセンサーの回転に直接応答する信号を提供する。測定及び駆動は、磁性体の利用及び電磁気駆動及び検知トランスデューサーにより実現される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、共鳴振動子を含む回転レートセンサーの分野に関する。
【0002】
本出願は、2004年3月12日に出願された仮出願第60/552652「Dual Axis Vibratory Rate Gyroscope」に基づき優先権を主張する。
【背景技術】
【0003】
共鳴振動子を有する回転レートセンサーは、「振動レートジャイロスコープ」とも称され、センサーの回転に応じて振動子により生じる力を検知することにより回転レートを直接に測定する。振動ジャイロスコープで利用するために、宙吊りの音叉構造、振動梁及び振動リングを含む振動子の種々の構成が開発されている。これらの素子は励振され、回転に応じた素子の動きが測定され、素子にかかる力及びセンサーの回転が決定される。
【0004】
特許文献1は、1997年12月16日、Steven P Hotelling及びBrian R Landにより出願された。特許文献1は、音叉素子を有する振動レートジャイロスコープを説明している。Hotelling−Landのジャイロスコープは、2つの振動子を利用し、1つが2つの異なる回転軸のそれぞれに関する動きを検出する。しかしながら、この設計は2つの音叉を利用する必要があるだけでなく、2つの音叉は異なる周波数で動作し装置間のクロストークを最小限に抑えなければならない。複雑さと小型化の観点からすれば、振動子を1つだけで良い、2軸の周りの回転を検知可能なジャイロスコープが望ましい。
【0005】
振動レートセンサーが有するある課題は、駆動される振動は回転から生じる力及び動きと比較して非常に大きいという事実から生じる。機械的なトランスデューサーの僅かなずれが、結果として大きな運動を駆動し、他の軸で検知される小さい信号に誤りを生じ得る。これらの誤りは、一般に、センサーを調整することにより及び/又は振動子から材料を削ることにより機械的に補正される。しかしながら、このような機械的に削ること及び調整することは、時間及びコストを要する。電子的な自動誤り補正を提供し、種々の動作条件を補償する補正を更に提供することが望ましい。
【0006】
また、小型で安価に製造でき、種々の用途に適用可能な、そして超小型電子機器と統合し易い回転レートセンサーを提供することが望ましい。このような適応性は、センサーの帯域を調整し及び複数のセンサーから均一の出力を提供することが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第5698784号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
複雑さと小型化の観点からすれば、振動子を1つだけで良い、2軸の周りの回転を検知可能なジャイロスコープが望ましい。
電子的な自動誤り補正を提供し、種々の動作条件を補償する補正を更に提供することが望ましい。
【0009】
また、小型で安価に製造でき、種々の用途に適用可能な、そして超小型電子機器と統合し易い回転レートセンサーを提供することが望ましい。このような適応性は、センサーの帯域を調整し及び複数のセンサーから均一の出力を提供することが望ましい。
【0010】
本発明は、これらの利点を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の好適な実施例は、復元素子に関して対称に配置され及び共振逆位相動作で駆動される2つの振動体を有する2軸回転レートセンサーを有し、前記2つの振動体は、等しくしかし単一の軸に沿って逆の振幅を有し振動する。振動構造では、振動体は振動軸と直交する面内で運動する。またこの直交する面内の2軸に沿った振動体の運動が測定され、2軸の周りのセンサーの回転に直接対応する信号を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】振動部品100の分解図である。
【図2】梁素子150の上面図である。
【図3】組み立てられた振動部品を示す。
【図4】逆位相の運動を説明する振動部品100の側面図である。
【図5】x及び/又はy軸の周りの回転に応じた、振動部品100の「検知モード」と称される運動を説明する透視図である。
【図6】「同位相」モードの振動部品100の動きを説明する側面図である。
【図7】取り付け板700に取り付けられた振動部品100の透視図である。
【図8】分解図の駆動側部品800の透視図である。
【図9】分解図の検知側部品900の透視図である。
【図10】信号PCB1010の分解図である。
【図11】宙吊り部品1110の分解図である。
【図12】最終組立部品1200の分解図である。
【図13】ASIC1030の論理ブロック図である。
【図14】結合及びスケーリングDACs1340及び隣接回路の詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の特徴及び利点は、本発明の原理による回転レートセンサーの例として与えられる以下の説明から明らかであろう。
図1は、振動部品100の分解図である。振動部品100は、円筒永久磁石110及び120、磁石ホルダー130及び140、及び平面梁構造150を有する。磁石110及び120は、望ましくは図示されたように配置され、それらの磁界が互いに強め合うよう、極が共通の方向に向けられる。
【0014】
図2は、梁構造150の上面図を示す。梁構造150は、軸対称の六角形の形状を有し、z軸の周りに対称形の複数の曲がりくねった蛇紋梁を有する。梁210−265は、スプリングアームのように動作し、振動部品100に復元力を提供する。梁の端にある接点210c−235cは、2つの磁石ホルダー130及び140の取り付け位置を提供する。取り付け点240m−265mは、外部部品へ固定するための位置を提供する。
【0015】
図1から図3を参照すると、3個の蛇紋梁210、215及び220は、磁石ホルダー130に210c、215c及び220cにおいて結合される。磁石ホルダー140は、同様に3個の梁の端225c、230c及び235cを介し、梁構造150の反対側で結合される。この取り付け部、及び磁石ホルダー130及び140の突起は、磁石ホルダー130及び140に、梁構造150の面内及び面外の両方に互いに自由に動くことを可能にする。特に磁石ホルダー130及び140は、振動部品100の動作のための十分な距離を妨害することなく、互いにz軸方向に動くことが可能である。
【0016】
磁石ホルダー130及び140は、特定のステンレス鋼のような非磁性材料から構成され、そして梁構造150に取り付けられる。磁石110及び120は、磁石ホルダー130及び140の内側に固定される。残りの6個の蛇紋梁は、取り付け点240m、245m、250m、260m及び265mにおいて、外部部品に取り付けられる。
【0017】
動作中には、磁石110及び120は、図4に示されるようにz軸に沿って逆位相運動に駆動される。逆位相運動は、z軸に沿った強制共振正弦運動であり、磁石110及び120は、順次z軸に沿って離れ、そして近付く。
【0018】
一般に、振動回転レートセンサーは、センサーの回転する基準枠内で直線方向に運動する物体に及ぼされる力を検知することにより、センサーの回転レートを測定する。この力は一般に「コリオリ力」と称され、以下の式で記述される。
【0019】
(数1)FCorioiis=−2m(ωxv)
mは運動する物体の質量、vは運動する物体の速度ベクトル、そしてωは系の回転の角速度である。
【0020】
振動部品100がx又はy軸の周り(又はx−y平面内の如何なる軸の周り)を回転する場合、力は、磁石110及び120に、数1に与えられるように、回転軸及び振動軸の両方と直交する方向に及ぼされる。この力は、回転の角速度ωに比例し、結果として磁石110及び120のx−y平面内の運動を生じる。この運動は、検出され、x及びy軸に関する回転レートを決定する。より詳細には、図4の座標系を参照すると、強制された逆位相振動の軸は、z軸である。示されるように磁石110が+z方向に動く場合、振動部品100がx軸又はy軸の何れかの周りを回転すると、運動する磁石110及び120に対して力が生成される。振動部品100がx軸の周りを図4に示された方向「R」に回転する場合、角速度ωは、+x軸方向のベクトルである。この結果、磁石110にかかる+y方向の力が生じ(「右手の法則」による)、磁石110は+y方向に動く。磁石120にかかる力も同様に解析され、磁石120は(同時に)−z方向に動く。振動部品100はx軸の周りを図4に示された方向Rに回転するので、磁石120にかかる力は−y方向であり、結果として磁石120は(同時に)−y方向に動く。
【0021】
図5に示されるように、振動部品100がy軸の周りを回転すると、結果として磁石110及び120はx軸と平行に動き、この動きの振幅が検知され、y軸の周りの回転レートが測定される。特に、磁石110及び120は、x軸と平行又はx軸方向の運動成分を有するように示され、この運動成分は、y軸周りのセンサーの回転に対応する。x−y面内の運動は、振動部品100の回転レートを測定するために検知されるので、x−y面内の磁石110及び120の運動は、「検知運動(sense motion)」と称される。
【0022】
以上の説明及び図4に示されるように、振動部品100の要求される共振逆位相運動を確立するため、磁石110は、z軸方向に逆位相モードの共振周波数1800Hzで駆動される。この運動の振幅は、最大振幅で約50ミクロンであり、共振は約2000である品質係数「Q」により特徴付けられる。高い値のQは、系が時間の経過と共に僅かなエネルギーしか損失していないことを示す。高い値のQ及び駆動周波数が振動部品と共振することにより、逆位相の運動が、比較的小さい強制力で駆動される。
【0023】
磁石120は、磁石110の運動に応じて対称的な共振運動を得る。x−y面内の駆動されていない磁石120の運動が検知され、x及びy軸周りの振動部品100の回転が検出される。代案として、同一の磁石又は振動体は、適切な時間系列を利用することにより駆動及び検知され得る。しかしながら、好適な実施例は、より多くの設計で駆動及び検知機能を置換可能である。
【0024】
図2を再び参照する。梁構造150は、振動部品100の所望の共振周波数の確立に必要な復元力を提供する。梁構造150はまた、x−y面内で放射形対称を設けるよう設計されるので、磁石110及び120は回転に応じてx−y面内で対称に運動する。特に、梁構造150は6回軸対称である。つまり、梁構造150が6個の60°の部分に分割された場合、これらの部分は同じであり、同一の回転を維持する。この対称的な形状は、駆動軌道の不整合誤差、交差軸誤差を最小限に抑え、及びx−y面内の如何なる方向の磁石の運動も等しくする。
【0025】
6個の蛇紋梁210、215、220、225、230及び235は、磁石/磁石ホルダーの対に接点210c、215c、220c、225c、230c及び260cにおいて結合する。これら梁は、約1800Hzの逆位相の共振を確立する復元力を提供する。梁を蛇紋形状にすることにより、共振周波数を1800Hzに低下させるために必要な長さの長い梁を小型に設計することを可能にしている。
【0026】
梁構造150はまた、発振の不要なモードを低減することを特徴とする形状を有する。特に、この形状は、図6に示される振動の「同位相」モードを最小限に抑える。同位相モードでは、磁石110及び120は両方とも+z方向に運動し、次に両方とも−z方向に運動する。この動作モードは振動部品100の内外に取り付け位置240m―265mにおいて不平衡力を結合するので、この動作モードは望ましくない。同位相モードは、同位相モードの共振周波数が逆位相共振と十分離れるよう梁構造150を設計することにより最小限に抑えられる。これは、梁構造150を外部部品に取り付け位置240m−265mにおいて結合する6個の梁240−265の梁の長さを適切に選択することにより達成される。これら梁は、逆位相モードに含まれることは少ないが、同位相モードに含まれる。これは、音叉の腕が同位相で運動する場合、音叉のハンドルが含まれる場合と類似している。これら6個の梁を長くすることは、同位相モードの共振周波数を低くし、同位相モードと駆動周波数の間で結合されるエネルギーを減少させ、所望の逆位相モードと一致するよう選択される。梁240−265の長さは、同位相の共振周波数が駆動周波数より有意に低い1400Hzになるよう選択される。この20%より大きい間隔は、フィルターに同位相の周波数を除去させるために十分な間隔より大きい。
【0027】
梁構造150は平面の単一要素形状を有するので、製造が容易であり、多くの望ましい機械的特徴を有する。平面の梁スプリング構成は、化学エッチング又は種々の半導体又は微小機械製造技術、又はエッチング、精密打ち抜き、スタンピング又は放電加工により容易に製造可能である。スパッタリングのような物理的気相成長法処理もまた、所望の梁形状を生成するために利用されて良い。望ましくは、振動周波数がセンサーの動作温度範囲で適切に一定に保たれるよう、梁構造150の材料は、温度に対し一定の弾性を有する要素である。この材料は、望ましくは、エリンバー、ステンレス鋼、ベリリウム、銅、バネ鋼又は他の適切な合金のような金属を含み、梁要素150と同質及び適した材料である。代案として、石英又はシリコンが利用され従来のフォトリソグラフィーエッチング処理を通じて形成されて良い。
【0028】
本発明の特定の実施例で復元力を提供するため、他の機構が開発され得る。しかしながら、平面の梁構造、及び更に詳細には可変長の梁スプリングを有する蛇紋梁構造により、例えば、梁構造150の低損失の同種の設計の結果得られる極めて高いQのような、特別な利点が本発明の好適な実施例に提供される。
【0029】
図5を再び参照する。検知運動は、振動部品100の回転により生じる回転力に反応する。検知運動は、逆位相運動の周波数において駆動され回転レート及び逆位相運動の振幅の両方に比例する振幅を有する正弦波運動である。検知運動の固有共振周波数は、「検知モード」と称され、逆位相モードの駆動周波数の近くに選択される。検知モードの固有共振周波数は、望ましくは逆位相モードの駆動周波数に近く、好適な実施例では約1700Hzである。検知モードの共振を駆動された逆位相モード運動の周波数に近くすると、検知運動の大きさを増幅する。検出されるべき運動の大きさは非常に小さいので、これは望ましい。この周波数は、逆位相運動の駆動周波数に十分近く、約10の有意な物理的共振の拡大倍率を達成する。更に高い倍率及び感度は、検知モードの共振が駆動された逆位相運動の周波数に近い又は一致するよう選択される場合、可能である。しかしながら、この設計では、類似の入力に等しく応答するセンサーの数を調整すること、従って倍率曲線の傾きが十分小さく装置間の変位が直ちに補償できるよう周波数が選択されることが望ましい。
【0030】
梁構造150は、従って所望の逆位相モードの復元力を提供し、そして部品の回転を示すために検出される、振動軸と直交する面内の振動(「検知運動」と称される)を許容する。更に、梁構造150は、逆位相モードで高いQの共振(Qは約2000)を確立し、逆位相モードの駆動された周波数に近い検知モードの共振を確立する。
【0031】
図7は、外部金属取り付け板700に取り付けられた梁部品を示す。梁構造150は、6個の蛇紋梁240―265の取り付け点240m−265m(図2を参照)を取り付け板700の隆起した突出部に固定することにより、取り付け板700に取り付けられる。これらの突出部(示されない)は、取り付け板700の半歯(semi−piercing)として形成され、梁構造150を取り付け板700から約0.23mmに保持し、梁構造150の全ての梁が自由に振動できるようにする。
【0032】
図8は、駆動側部品800の分解図を示す。駆動側部品800は、磁石110及び磁石ホルダー130(図1、3−7に示される)と隣接する駆動コイル810を取り付けられ、及び駆動コイル810の取り付け位置を有するプラスチックの駆動型820を有する。磁気を透過可能な鉄板830は、駆動型820の裏に取り付けられ、磁石110により生成される磁束線の通過を支援し、駆動コイル810と磁石110の間の結合を向上する。板830はまた、追加の慣性を系に提供し、不要な運動を低減する。棒840は、駆動型820に取り付けられ、電気信号を駆動側部品800へ及び駆動側部品800から伝達する。
【0033】
図9は、検知側部品900の分解図を示す。検知側部品900は、磁石120と隣接し、梁構造150の駆動部品800と反対側の側面に取り付けられる。検知コイル910及び915の2つの対は、検知型920に取り付けられる。平坦な楕円型の検知コイルの2つの対は、90°ずれた方向に置かれ、完全に組み立てられた時、磁石130に隣接するよう配置される。コイル910及び915は、それぞれx−y面内に取り付けられ、磁石120のx−y面内の運動を検出するために利用される。一方の対はx軸方向の運動を検知し、他方の対はy軸方向の運動を検知する。特に、図9に示されるx−y座標に関し、検知コイル910は、x軸方向の磁石120の運動が一方のコイル内の磁束を全体に増加し、及び他方の磁束を減少するような方向に位置付けられる。信号は磁石120のx座標に対応する。コイルを楕円形にすることにより、x方向の運動に対するコイルの感度を上げている。一般には磁石120のz軸の駆動運動から生じる磁束の変化が相殺されるよう、各コイル対は、異極性に接続される(反対の方向に巻かれている)。しかしx軸方向の運動は付加的である。
【0034】
図10は、信号プリント基板(PCB)1010の分解図である。信号PCB1010には、電気的消去可能ROM(EEPROM)1020及び特定用途向け集積回路(ASIC)1030が取り付けられる。容量性の遮蔽板1040は、信号PCB1010に取り付けられ、検知コイル910及び915並びに信号PCB1010の種々の配線及びピンとの間の容量性結合を防止する。容量性遮蔽板1040は、リン青銅のような導電性及び非磁化材料から成る。AGCコイル1050は、信号PCB1010の裏面に取り付けられる。以下に詳細に説明されるように、AGCコイル1050は、z軸方向の駆動逆位相運動の振幅と正確な位相を検知し、駆動、誤差補正及び信号復調回路にフィードバックを提供する。コイル810、910、915及び1050は、絶縁された銅のような導電性の線を、後で取り外される軸に巻き付けることにより製造される。コイルはまた、複数のPCB層の配線を螺旋状に形成しコイル構造を生成することにより、又は金属薄膜を基板に蒸着しそしてコイルの巻線をフォトリソグラフィー法によりエッチングすることにより形成され得る。この設計の1つの利点は、平坦コイルの利用を修正でき、安価且つ容易に製造されることである。代案として、他の種類のトランスデューサーが利用され、振動運動を駆動及び検知し得る。
【0035】
図11は、宙吊り部品1110の分解図である。駆動側部品800は、取り付け板700に突起710を介し取り付けられる。取り付け板700は、検知側部品900に突起720を介し更に取り付けられる。結果として得る小型の統合された部品では、駆動コイル810は磁石110に隣接して配置される。またAGCコイル1050及び検知コイル910及び915は、磁石120に隣接して配置される。種々の相互接続ピンは、信号PCB1010に差し込まれ(半田付けされ)、宙吊り部品1110へ通じる電気的経路を確立する。
【0036】
図12は、最終組立部品1200の分解図である。基底部品1210は、プラスチックの差し込み形成品、基板型1220を有する。基板型1220は、4本のピン1225を有し、基底部品1210に取り付けられる。導電性金属底板1230は、基板型1220に取り付けられる。ガスケット1240は、型抜きされたシリコンゴムであり、示されるように、基板型1220と底板1230の間に挿入される。4個のつる巻バネ1250は、ピン1225と接続される。つる巻バネ1250は、つる巻バネの形状に巻かれた導電性材料から成る。宙吊り部品1110は、4個のつる巻バネ1250の上に配置され、半田付け、溶接、ろう付け又は機械的な固定により取り付けられる。
【0037】
つる巻バネ1250は2つの機能を実行する。第1に、4個の導電性バネは、信号PCB1010と基板型1220の間で電気信号を通過させるために利用される。更に、バネ1250は、宙吊り部品1110と基板型1220の間で振動を隔離する。この隔離は、振動部品100と結合されることから生じる不要な振動(線形加速、質量不一致による効果)を防止する。最後に、缶1260は、底板1230に取り付けられ、閉じられた容器を形成し、センサーを望ましくない干渉源から遮蔽する。ガスケット1240は缶を密閉し、湿気が部品内に侵入するのを防ぐ。
【0038】
図13を参照する。ASIC1030は、回転レートセンサーの信号処理を実行する。EEPROM1020は、種々の較正係数及びASIC1030により利用される他のデータを格納する。図13は、ASIC1030のシステム論理ブロック図である。
【0039】
最終組立部品1200のコイル810、910、915及び1050は、トランスデューサー部1305に図示される。振動部品100は、交流駆動電流(DP−DM)を駆動コイル810に印加することにより固有共振周波数で駆動される。これは、振動部品100にz軸方向の正弦波運動を生じ、この運動はAGCコイル1050により検知される。AGCコイル1050は、正弦波AGC信号(AGP−AGM)を生じる。正弦波AGC信号(AGP−AGM)の振幅は、z軸方向の振動部品100の振動の所望の物理的振幅を提供するために拡大縮小される。駆動電流の周波数及び位相は、逆位相モードで振動部品100の周波数と一致するよう調整され、従って駆動運動を最大にする。ヨー運動(x軸周り)は、検知コイル910により検出され、ヨー信号(YWP−YWM)を生成する。同様に、ピッチ運動(y軸周り)は、検知コイル915により検出され、ピッチ信号(PWP−PWM)を生成する。
【0040】
ヨー及びピッチ前置増幅器1320及び1330及びAGC前置増幅器及び振動発振器1310のAGC前置増幅器部は、コイル910、915及び1050からの低位電圧信号をオンチップの変換抵抗を利用して差動電流に変換する。これら前置増幅器は、最小の位相遅延特性を有し、ヨー、ピッチ及びASIC1030により利用されるAGC信号の正確な位相関係を維持する。代案として、位相特性は整合され得る。それぞれの場合に、信号間の位相関係は正確に維持される。
【0041】
差動アナログAGC信号(AGP−AGM)は、AGC前置増幅器及び振動発振器1310と結合される。AGC前置増幅器及び振動発振器1310の振動発振器部は、AGCコイル1050からAGC信号(AGP−AGM)からの位相及び振幅のフィードバックを利用し、駆動電流(DP−DM)を駆動コイル810に印加することにより、振動部品100をその共振周波数において発振させる。AGC信号(AGP−AGM)は、半周期毎に統合される。その結果は温度補償されたバンドギャップ基準(BG)から導出された電圧基準と比較され、そして差分は、適切な大きさの量を制限された駆動信号をDP及びDM出力において生成するために利用される。信号(DP−DM)は、一般に、方形波のような波形を有し、名目上はAGC信号と同位相である。アナログ差動AGC信号(AGP−AGM)は、増幅されそして結合及びスケーリングDACs1340へ信号(AG1P−AG1M)として出力される。位相、基準信号ADPCOMPはまた、AGC信号のゼロ交差に応じて、ADCクロック合成装置及びカウンター1325へ供給される。
【0042】
スケーリング及び結合DACs1340は、アナログのヨー(YWP−YWM)及びピッチ(PWP−PYM)検知信号を調整し、直流オフセットを前置増幅器から除去し、寄生直角位相誤差信号を除去し、そして交差軸誤差を除去し装置間の変位を補償する。従ってADCブロックに現れる信号は、装置間変位に関し正規化される。直流オフセット及び寄生直角位相誤差信号は、シリアルインターフェース及びRAM1355内のデジタルレジスタに格納された較正値を利用し、プログラム可能なデジタルアナログ変換器(DACs)により合成された、等しく且つ相対するアナログ信号を印加することにより除去される。交差軸誤差は、同様の方法で補償されるが、基準として検知チャネル信号を直接に利用する。留意すべき点は、スケーリングDACs1340及びシリアルインターフェース及びRAM1355を相互接続するCOMCALバス線は、スケーリングDACs1340に、シリアルインターフェース及びRAM1355のPINPH、POFST、PCAX、PSF、YINPH、YOFST、YCAX及びYSFレジスタへのアクセスを提供する。これらレジスタの利用は、以下に詳細に説明される。
【0043】
図14は、結合及びスケーリングDACs1340及び隣接回路の詳細図である。ヨー入力信号は、ヨー入力ピンYWP及びYWM間の電圧の差分である。差動アナログヨー信号(YWP−YWM)は、不要な誤差信号と共にヨー回転の所望のレート信号を有するコンポジット信号である。具体的には、次式で示される。
【0044】
(数2)Vyaw=V(YWP)−V(YWM)
所望の及び誤差成分を表すヨー信号は、次式の通り、理論的に決定される。
【0045】
(数3)VyawNOM=InphYaw*SIN(2π*Fvib*t)−CrossYaw*RatePitch*C0S(2π*Fvib*t)−(RateYaw+MROyaw)*YSF*C0S(2π*Fvib*t)
上式のSIN項は、駆動振動運動のトランスデューサーのずれから生じる望ましくない誤差成分である同位相信号(AGC信号に対して)である。InphYawは、この同位相のヨー信号の振幅として決定される。この誤差は、YINPH DAC 1410により提供される等しく且つ相対する信号を、検知されたヨー信号(YWP−YWM)に加算器14110において加算することにより除去される。YINPH DAC 1410は、AGC信号(AGP−AGM)を有するその出力を調整する。AGC信号(AGP−AGM)は、YINPH較正係数により増大される。デジタル化の前に検知信号を補正することにより、及びアナログAGC信号を直接利用し振動運動と検知運動の間の位相関係を維持することにより、同位相の誤差成分は、有意に低減される。
【0046】
第1のCOS項は、ヨーとピッチ軸間の結合から生じる望ましくない誤差信号である。CrossYawは、この交差軸(ピッチ)誤差信号の振幅として決定される。この交差軸誤差は、等しく且つ相対する信号を、検知されたヨー信号(YWP−YWM)に加算器14110において加算することにより補正される。YCAX DAC 1430により提供される補正信号は、ピッチ信号(PWP−PYM)を有するその出力を調整する。ピッチ信号(PWP−PYM)は、YCAX較正係数により増大される。デジタル化の前に検知信号を補正することにより、及びアナログピッチ信号を直接利用し誤差源と補正信号の間の位相関係を維持することにより、交差軸誤差成分は、有意に低減される。
【0047】
第2のCOS項は、ヨー角速度により変調された、所望の信号を有する。この信号は、振動部品100の所望のヨー角速度運動を示す。しかしながら、この項はまた、調整誤差から生じる不要な機械的レートのオフセット(MROyaw)を有する。
【0048】
結合及びスケーリングDACs1340のピッチ信号成分の動作は、ヨー信号回路に関して説明された動作と同様である。DACデジタル較正レジスタのデジタル値は、DACに倍率を提供する。更に、表1に、補償信号源、誤差要因の説明、及び定常状態信号の決定の基準によりそれぞれ補償される誤差の説明を示す。
【0049】
【表1】
加算器14110においてアナログを付加されることにより、誤差信号が電子的に除去された後、所望のヨー検知信号は、混合器14140において余弦波信号(AGC信号と直角位相)で復調され、所望のヨー信号を復調し、そして残存する不要な正弦波成分を更に除去する。混合器14140は、正弦波信号又は直流信号の何れかを有するヨー検知信号を更に選択的に復調し得る。これらのモードは、以下に示されるように較正値を決定するために利用される。
【0050】
ヨーアナログデジタル変換器(ADC)1350及びピッチADC1360は、同時にそれぞれAGC信号と同期したアナログデジタル変換を実行する。ピッチADC1360は、以下に示されるように、ヨーADC1350と同様の方法で動作する。補正されたヨー信号は、混合器14140に印加され、余弦波信号(AGC信号と直角位相)と混合されることにより復調される。復調された信号は、次に整流され、そしてヨーADC1350によりデジタルレベルに変換される。好適な実施例では、ヨーADC1350は、シグマデルタ変換器14150を利用する。シグマデルタ変換器14150は、ADCクロック合成装置及びカウンター1325からのHSCLK信号に応じ、復調されたヨー信号を高いレートで、各周期で多数回サンプリングする。各1.8kHz周期に2回、整流されたサンプルは、ADCクロック合成装置及びカウンター1325からのCLK信号と同期して積分器14160により積分される。CLK信号は、AGC信号から直接引き出され、物理発振器と厳密な位相関係を保つ。この同期した復調及び変換は、特定の誤差信号を更に除去することにより、検知信号の信号対雑音を更に向上する。
【0051】
YINPH DAC 1410及びPINPH DAC 1460に印加されるデジタル値は、検知チャネルの正弦波復調を実行し及び同相信号の大きさを2つの検知チャネルのそれぞれで最小化するようYINPH DAC 1410及びPINPH DAC 1460の倍率を調整する自動補正ループにより引き出される。特に、選択可能な同相の調整モードは、混合器14104への正弦波入力を選択し、正弦波を有する補正されたヨー信号を復調する。結果として生じる、ヨーADC1350からの正弦波の復調されたデジタル信号は、YINPH係数の値を決定する。YINPH係数は、YINPHレジスタ1420に読み込まれ、YINPH DAC 1410を調整し通常動作の間に正弦波誤差信号を除去するために利用される。PINPH自動補正ループは、同様の方法で動作する。
【0052】
YCAX DAC 1430及びPCAX DAC 1480のデジタル値は、工場の較正手順から引き出される。工場の較正手順では、完成した部品は回転され、そして対応するチャネルの交差軸が測定される。これらのデジタル値は、次にEEPROM1020及びASIC1030のデジタルレジスタに読み込まれる。
【0053】
YOFST及びPOFSTは、直流オフセット誤差の補正信号である。YOFST及びPOFSTのデジタル値はまた、自動補正ループにより決定される。加算器14110からの出力は、積分器14190に印加される。積分器14190は、ADCクロック合成装置及びカウンター1320からのCLK信号に同期し、加算器14110からの出力をAGC信号の所定数の周期に亘り積分する。積分された値は、比較器14200で基準値(通常はゼロ)と比較される。結果はカウンター1450へ印加される。このカウンターは、YOFST DAC 1440に格納されたYOFST値を調整する。YOFST DAC 1440は、加算器14110に印加される直流信号を調整し、直流誤差補正を提供する。POFSTループは、同様の方法で動作する。動作中、これらループは、YOFST及びPOFSTの倍率を調整し、検知チャネルの直流信号の大きさを最小化する。
【0054】
図13を再び参照する。ADCクロック合成装置及びカウンター1320は、アナログAGCCOMP信号をAGC前置増幅器及び振動発振器1310から受信し、そしてデジタル回路及びサンプリングを振動部品の発振と正確に同期させるために利用されるデジタルクロック信号CLK及びCOUNTを提供する。これは、高周波発振器を用いることにより達成される。高周波は、振動部品100の固有振動周波数に一致する周波数に分割され、そしてAGC信号AGPCOMPの位相基準(例えばゼロ交差点)に固定される。
【0055】
CLK/COUNT信号はAGCCOMP信号から同相で90度シフトされ、検知信号の角速度情報の抽出を容易にする。従って、CLK/COUNT信号は振動部品100の固有振動と正確に同期する。CLK信号と同期し及び高い周波数を有する高速HSCLK信号も提供される。較正中、90度の位相シフトは、YINPH及びPINPH較正値を決定するため、選択的に解除される。
【0056】
ASIC1030及びEEPROM1020は、外部マイクロプロセッサーと、シリアル2線インターフェースを用い通信する。シリアル2線インターフェースは、例えばフィリップス社のI2Cインターフェースであり、シリアルインターフェース及びRAMブロック1355に含まれる。2線インターフェースは、外部パッケージ及び宙吊り部品の間に必要な接続の数を節約する。実際、宙吊り部品への電気的接続は4本だけである。これは、外部プロセッサーに結果レジスタからデジタル値を読み込むこと、及び較正値と状態値を入力レジスタに書き込むことを可能にする。
【0057】
工場での較正の間、誤差信号が測定され、適切な倍率がEEPROM1020に格納される。通常動作の初期化中に、外部マイクロプロセッサーは、格納された較正値をEEPROM1020から読み出し、そしてそれらをASIC1030のレジスタに書き込む。ASIC1030は、これら格納された値を用い、以上に説明された誤差補正を実行するために利用される適切なDACレベルを設定する。
【0058】
値YINPH、PINPH、YOFST、POFST、YCAX、PCAX、YSF、PSSF、RCC、CN及びAGSは、<PINPH>、<YINPH>、<POFST>、<YOFST>、<YCAX>、<PCAX>、<YSF>、<PSSF>、<RCC>、<CN>、<AGS>レジスタにそれぞれ格納される。工場での較正の間、これらレジスタ値は、外部プロセッサーにより永久記録媒体のEEPROM1020に書き込まれる。以後の起動時に、これら値は、ASIC1030のレジスタに再び読み込まれ(シードされ)、ループ処理時間を最小化する。RCC及びAGCの値は、AGC前置増幅器及び振動発振器1310と関連付けられたレジスタにシードされる。RCCは時定数較正であり、発振器の中心周波数を調整し、ASICのプロセス変動を補償するために利用される。AGSは、振幅を検出する前にAGC信号を調整する振幅較正値である。従って、AGS値の修正は、駆動された逆位相運動の物理的な振幅を変化させる。これらの値を、オンボードの宙吊り部品1110であるASIC1030内のアクティブなレジスタにシード(プレロード)すると、各センサーは、電子的に較正され起動時間を向上し得る。
【0059】
デジタル及びアナログフィルタリングは、信号に存在する不要な低及び高周波数成分を除去するため、回路を通じ従来の方法で更に実行される。この回路は図示されない。
【0060】
ASIC1030は、温度センサー1380及び電位検出器1390を更に有する。温度センサー1380及び電位検出器1390は、電圧/温度ADC1370へ供給され、電源電圧と同様にセンサーの温度を報告し得る。これらの値は、利用可能にされ、以後の温度及び電圧に依存する現象の高次誤差補正を可能にする。
【0061】
本発明は好適な実施例を参照して説明されたが、特許請求の範囲に記載された本発明の精神と範囲から逸脱することなく種々の変更がされ得ることが明らかである。
【0062】
本願の原出願の出願当初の特許請求の範囲を記載しておく。
〔請求項1〕
振動回転レートセンサーであって、
共通の軸に沿って振動する、前記軸に沿って対称に配置された振動体の対を有する振動素子、
少なくとも1つの振動体と結合され、前記軸に沿って前記振動体に周期的運動を生じさせる駆動装置、
少なくとも1つの前記振動体と結合され、前記振動軸と直交する1つの方向の前記振動体の運動を検知する第1の検知回路、及び
少なくとも1つの前記振動体と結合され、前記振動軸と直交する別の方向の前記振動体の運動を検知する第2の検知回路
を有する、振動回転レートセンサー。
〔請求項2〕
前記駆動装置は、前記振動体の間に逆位相運動を生じさせる、請求項1記載の振動回転レートセンサー。
〔請求項3〕
前記振動体は磁気要素を有し、及び前記駆動装置及び前記検知回路は電磁気要素を有する、請求項1記載の振動回転レートセンサー。
〔請求項4〕
前記駆動装置は一方の振動体と結合され、及び前記検知回路は他方の振動体と結合される、請求項1記載の振動回転レートセンサー。
〔請求項5〕
前記駆動装置は一方の振動体と周期的に結合され、及び前記検知回路は前記駆動装置が結合されない間、同一の振動体と結合される、請求項1記載の振動回転レートセンサー。
〔請求項6〕
前記一方及び他方の方向は、同一平面上にあり及び一様に互いに直交している、請求項1記載の振動回転レートセンサー。
〔請求項7〕
前記振動軸に沿った振動体の運動の振幅及び位相を検知する運動センサーを有し、前記運動センサーは前記駆動装置と結合され、及び前記駆動装置は前記振動体を前記検知された振幅及び位相に応じて反復可能な方法で駆動する、請求項1記載の振動回転レートセンサー。
〔請求項8〕
一方の振動体と結合された弾力性のある第1の要素及び他方の振動体と結合された弾性力のある第2の要素を有する平面復元要素を更に有する、請求項1記載の振動回転レートセンサー。
〔請求項9〕
前記振動体のそれぞれと結合された弾性力のある第1の要素を有する単一の同種の復元要素を更に有する、請求項8記載の振動回転レートセンサー。
〔請求項10〕
前記弾性力のある第1及び第2の要素は、それらがそれらの両端の直線距離より長い長さを有するよう伸長される、請求項8記載の振動回転レートセンサー。
〔請求項11〕
前記復元要素は、前記振動部品を外部取り付け具に接続する、復元力のある取り付け要素を更に有する、請求項8記載の振動回転レートセンサー。
〔請求項12〕
前記逆位相運動及び前記検知された運動の共振は、前記検知モード運動を増大させるために周波数が十分に近く、及び他の共振モードは、それらが効果的にフィルタリングにより除去され得るよう周波数が十分に離れている、請求項1記載の振動回転レートセンサー。
〔請求項13〕
前記平面復元要素は、半径方向にX回対称であり、Xは整数3以上である、請求項8記載の振動回転レートセンサー。
〔請求項14〕
振動回転レートセンサー動作方法であって、
前記レートセンサーは、共通の軸に沿って振動する、前記軸に沿って対称に配置された振動体の対を有し、前記方法は、
前記軸に沿って前記振動体に周期的運動を生じさせる、少なくとも1つの振動体を駆動する段階、
前記振動軸と直交する1つの方向の、少なくとも1つの前記振動体の運動を検知する段階、及び
前記振動軸と直交する別の方向の、少なくとも1つの前記振動体の運動を検知する段階
を有する、振動回転レートセンサー動作方法。
〔請求項15〕
前記駆動する段階は、前記振動体の間に逆位相運動を生じさせる、請求項14記載の振動回転レートセンサー動作方法。
〔請求項16〕
前記振動体は磁気要素を有し、及び前記検知する段階は電磁気的に行われる、請求項14記載の振動回転レートセンサー動作方法。
〔請求項17〕
前記駆動装置は一方の振動体と結合され、及び前記検知回路は他方の振動体と結合され、前記駆動する段階は振動体の1つを駆動し、及び前記検知する段階は他方の振動体の運動を検知する、請求項14記載の振動回転レートセンサー動作方法。
〔請求項18〕
前記駆動する段階は一方の振動体を断続的に駆動し、及び前記検知する段階は前記一方の振動体が駆動されていない時間中に、前記一方の振動体の運動を検知する、請求項14記載の振動回転レートセンサー動作方法。
〔請求項19〕
前記一方及び他方の方向は、同一平面上にあり及び一様に互いに直交している、請求項14記載の振動回転レートセンサー動作方法。
〔請求項20〕
前記振動軸に沿った少なくとも1つの振動体の運動の振幅及び位相を検知する段階を更に有し、及び前記駆動する段階は、前記振動体を前記検知された振幅及び位相に応じて反復可能な方法で駆動する、請求項14記載の振動回転レートセンサー動作方法。
【技術分野】
【0001】
本発明は、共鳴振動子を含む回転レートセンサーの分野に関する。
【0002】
本出願は、2004年3月12日に出願された仮出願第60/552652「Dual Axis Vibratory Rate Gyroscope」に基づき優先権を主張する。
【背景技術】
【0003】
共鳴振動子を有する回転レートセンサーは、「振動レートジャイロスコープ」とも称され、センサーの回転に応じて振動子により生じる力を検知することにより回転レートを直接に測定する。振動ジャイロスコープで利用するために、宙吊りの音叉構造、振動梁及び振動リングを含む振動子の種々の構成が開発されている。これらの素子は励振され、回転に応じた素子の動きが測定され、素子にかかる力及びセンサーの回転が決定される。
【0004】
特許文献1は、1997年12月16日、Steven P Hotelling及びBrian R Landにより出願された。特許文献1は、音叉素子を有する振動レートジャイロスコープを説明している。Hotelling−Landのジャイロスコープは、2つの振動子を利用し、1つが2つの異なる回転軸のそれぞれに関する動きを検出する。しかしながら、この設計は2つの音叉を利用する必要があるだけでなく、2つの音叉は異なる周波数で動作し装置間のクロストークを最小限に抑えなければならない。複雑さと小型化の観点からすれば、振動子を1つだけで良い、2軸の周りの回転を検知可能なジャイロスコープが望ましい。
【0005】
振動レートセンサーが有するある課題は、駆動される振動は回転から生じる力及び動きと比較して非常に大きいという事実から生じる。機械的なトランスデューサーの僅かなずれが、結果として大きな運動を駆動し、他の軸で検知される小さい信号に誤りを生じ得る。これらの誤りは、一般に、センサーを調整することにより及び/又は振動子から材料を削ることにより機械的に補正される。しかしながら、このような機械的に削ること及び調整することは、時間及びコストを要する。電子的な自動誤り補正を提供し、種々の動作条件を補償する補正を更に提供することが望ましい。
【0006】
また、小型で安価に製造でき、種々の用途に適用可能な、そして超小型電子機器と統合し易い回転レートセンサーを提供することが望ましい。このような適応性は、センサーの帯域を調整し及び複数のセンサーから均一の出力を提供することが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第5698784号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
複雑さと小型化の観点からすれば、振動子を1つだけで良い、2軸の周りの回転を検知可能なジャイロスコープが望ましい。
電子的な自動誤り補正を提供し、種々の動作条件を補償する補正を更に提供することが望ましい。
【0009】
また、小型で安価に製造でき、種々の用途に適用可能な、そして超小型電子機器と統合し易い回転レートセンサーを提供することが望ましい。このような適応性は、センサーの帯域を調整し及び複数のセンサーから均一の出力を提供することが望ましい。
【0010】
本発明は、これらの利点を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の好適な実施例は、復元素子に関して対称に配置され及び共振逆位相動作で駆動される2つの振動体を有する2軸回転レートセンサーを有し、前記2つの振動体は、等しくしかし単一の軸に沿って逆の振幅を有し振動する。振動構造では、振動体は振動軸と直交する面内で運動する。またこの直交する面内の2軸に沿った振動体の運動が測定され、2軸の周りのセンサーの回転に直接対応する信号を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】振動部品100の分解図である。
【図2】梁素子150の上面図である。
【図3】組み立てられた振動部品を示す。
【図4】逆位相の運動を説明する振動部品100の側面図である。
【図5】x及び/又はy軸の周りの回転に応じた、振動部品100の「検知モード」と称される運動を説明する透視図である。
【図6】「同位相」モードの振動部品100の動きを説明する側面図である。
【図7】取り付け板700に取り付けられた振動部品100の透視図である。
【図8】分解図の駆動側部品800の透視図である。
【図9】分解図の検知側部品900の透視図である。
【図10】信号PCB1010の分解図である。
【図11】宙吊り部品1110の分解図である。
【図12】最終組立部品1200の分解図である。
【図13】ASIC1030の論理ブロック図である。
【図14】結合及びスケーリングDACs1340及び隣接回路の詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の特徴及び利点は、本発明の原理による回転レートセンサーの例として与えられる以下の説明から明らかであろう。
図1は、振動部品100の分解図である。振動部品100は、円筒永久磁石110及び120、磁石ホルダー130及び140、及び平面梁構造150を有する。磁石110及び120は、望ましくは図示されたように配置され、それらの磁界が互いに強め合うよう、極が共通の方向に向けられる。
【0014】
図2は、梁構造150の上面図を示す。梁構造150は、軸対称の六角形の形状を有し、z軸の周りに対称形の複数の曲がりくねった蛇紋梁を有する。梁210−265は、スプリングアームのように動作し、振動部品100に復元力を提供する。梁の端にある接点210c−235cは、2つの磁石ホルダー130及び140の取り付け位置を提供する。取り付け点240m−265mは、外部部品へ固定するための位置を提供する。
【0015】
図1から図3を参照すると、3個の蛇紋梁210、215及び220は、磁石ホルダー130に210c、215c及び220cにおいて結合される。磁石ホルダー140は、同様に3個の梁の端225c、230c及び235cを介し、梁構造150の反対側で結合される。この取り付け部、及び磁石ホルダー130及び140の突起は、磁石ホルダー130及び140に、梁構造150の面内及び面外の両方に互いに自由に動くことを可能にする。特に磁石ホルダー130及び140は、振動部品100の動作のための十分な距離を妨害することなく、互いにz軸方向に動くことが可能である。
【0016】
磁石ホルダー130及び140は、特定のステンレス鋼のような非磁性材料から構成され、そして梁構造150に取り付けられる。磁石110及び120は、磁石ホルダー130及び140の内側に固定される。残りの6個の蛇紋梁は、取り付け点240m、245m、250m、260m及び265mにおいて、外部部品に取り付けられる。
【0017】
動作中には、磁石110及び120は、図4に示されるようにz軸に沿って逆位相運動に駆動される。逆位相運動は、z軸に沿った強制共振正弦運動であり、磁石110及び120は、順次z軸に沿って離れ、そして近付く。
【0018】
一般に、振動回転レートセンサーは、センサーの回転する基準枠内で直線方向に運動する物体に及ぼされる力を検知することにより、センサーの回転レートを測定する。この力は一般に「コリオリ力」と称され、以下の式で記述される。
【0019】
(数1)FCorioiis=−2m(ωxv)
mは運動する物体の質量、vは運動する物体の速度ベクトル、そしてωは系の回転の角速度である。
【0020】
振動部品100がx又はy軸の周り(又はx−y平面内の如何なる軸の周り)を回転する場合、力は、磁石110及び120に、数1に与えられるように、回転軸及び振動軸の両方と直交する方向に及ぼされる。この力は、回転の角速度ωに比例し、結果として磁石110及び120のx−y平面内の運動を生じる。この運動は、検出され、x及びy軸に関する回転レートを決定する。より詳細には、図4の座標系を参照すると、強制された逆位相振動の軸は、z軸である。示されるように磁石110が+z方向に動く場合、振動部品100がx軸又はy軸の何れかの周りを回転すると、運動する磁石110及び120に対して力が生成される。振動部品100がx軸の周りを図4に示された方向「R」に回転する場合、角速度ωは、+x軸方向のベクトルである。この結果、磁石110にかかる+y方向の力が生じ(「右手の法則」による)、磁石110は+y方向に動く。磁石120にかかる力も同様に解析され、磁石120は(同時に)−z方向に動く。振動部品100はx軸の周りを図4に示された方向Rに回転するので、磁石120にかかる力は−y方向であり、結果として磁石120は(同時に)−y方向に動く。
【0021】
図5に示されるように、振動部品100がy軸の周りを回転すると、結果として磁石110及び120はx軸と平行に動き、この動きの振幅が検知され、y軸の周りの回転レートが測定される。特に、磁石110及び120は、x軸と平行又はx軸方向の運動成分を有するように示され、この運動成分は、y軸周りのセンサーの回転に対応する。x−y面内の運動は、振動部品100の回転レートを測定するために検知されるので、x−y面内の磁石110及び120の運動は、「検知運動(sense motion)」と称される。
【0022】
以上の説明及び図4に示されるように、振動部品100の要求される共振逆位相運動を確立するため、磁石110は、z軸方向に逆位相モードの共振周波数1800Hzで駆動される。この運動の振幅は、最大振幅で約50ミクロンであり、共振は約2000である品質係数「Q」により特徴付けられる。高い値のQは、系が時間の経過と共に僅かなエネルギーしか損失していないことを示す。高い値のQ及び駆動周波数が振動部品と共振することにより、逆位相の運動が、比較的小さい強制力で駆動される。
【0023】
磁石120は、磁石110の運動に応じて対称的な共振運動を得る。x−y面内の駆動されていない磁石120の運動が検知され、x及びy軸周りの振動部品100の回転が検出される。代案として、同一の磁石又は振動体は、適切な時間系列を利用することにより駆動及び検知され得る。しかしながら、好適な実施例は、より多くの設計で駆動及び検知機能を置換可能である。
【0024】
図2を再び参照する。梁構造150は、振動部品100の所望の共振周波数の確立に必要な復元力を提供する。梁構造150はまた、x−y面内で放射形対称を設けるよう設計されるので、磁石110及び120は回転に応じてx−y面内で対称に運動する。特に、梁構造150は6回軸対称である。つまり、梁構造150が6個の60°の部分に分割された場合、これらの部分は同じであり、同一の回転を維持する。この対称的な形状は、駆動軌道の不整合誤差、交差軸誤差を最小限に抑え、及びx−y面内の如何なる方向の磁石の運動も等しくする。
【0025】
6個の蛇紋梁210、215、220、225、230及び235は、磁石/磁石ホルダーの対に接点210c、215c、220c、225c、230c及び260cにおいて結合する。これら梁は、約1800Hzの逆位相の共振を確立する復元力を提供する。梁を蛇紋形状にすることにより、共振周波数を1800Hzに低下させるために必要な長さの長い梁を小型に設計することを可能にしている。
【0026】
梁構造150はまた、発振の不要なモードを低減することを特徴とする形状を有する。特に、この形状は、図6に示される振動の「同位相」モードを最小限に抑える。同位相モードでは、磁石110及び120は両方とも+z方向に運動し、次に両方とも−z方向に運動する。この動作モードは振動部品100の内外に取り付け位置240m―265mにおいて不平衡力を結合するので、この動作モードは望ましくない。同位相モードは、同位相モードの共振周波数が逆位相共振と十分離れるよう梁構造150を設計することにより最小限に抑えられる。これは、梁構造150を外部部品に取り付け位置240m−265mにおいて結合する6個の梁240−265の梁の長さを適切に選択することにより達成される。これら梁は、逆位相モードに含まれることは少ないが、同位相モードに含まれる。これは、音叉の腕が同位相で運動する場合、音叉のハンドルが含まれる場合と類似している。これら6個の梁を長くすることは、同位相モードの共振周波数を低くし、同位相モードと駆動周波数の間で結合されるエネルギーを減少させ、所望の逆位相モードと一致するよう選択される。梁240−265の長さは、同位相の共振周波数が駆動周波数より有意に低い1400Hzになるよう選択される。この20%より大きい間隔は、フィルターに同位相の周波数を除去させるために十分な間隔より大きい。
【0027】
梁構造150は平面の単一要素形状を有するので、製造が容易であり、多くの望ましい機械的特徴を有する。平面の梁スプリング構成は、化学エッチング又は種々の半導体又は微小機械製造技術、又はエッチング、精密打ち抜き、スタンピング又は放電加工により容易に製造可能である。スパッタリングのような物理的気相成長法処理もまた、所望の梁形状を生成するために利用されて良い。望ましくは、振動周波数がセンサーの動作温度範囲で適切に一定に保たれるよう、梁構造150の材料は、温度に対し一定の弾性を有する要素である。この材料は、望ましくは、エリンバー、ステンレス鋼、ベリリウム、銅、バネ鋼又は他の適切な合金のような金属を含み、梁要素150と同質及び適した材料である。代案として、石英又はシリコンが利用され従来のフォトリソグラフィーエッチング処理を通じて形成されて良い。
【0028】
本発明の特定の実施例で復元力を提供するため、他の機構が開発され得る。しかしながら、平面の梁構造、及び更に詳細には可変長の梁スプリングを有する蛇紋梁構造により、例えば、梁構造150の低損失の同種の設計の結果得られる極めて高いQのような、特別な利点が本発明の好適な実施例に提供される。
【0029】
図5を再び参照する。検知運動は、振動部品100の回転により生じる回転力に反応する。検知運動は、逆位相運動の周波数において駆動され回転レート及び逆位相運動の振幅の両方に比例する振幅を有する正弦波運動である。検知運動の固有共振周波数は、「検知モード」と称され、逆位相モードの駆動周波数の近くに選択される。検知モードの固有共振周波数は、望ましくは逆位相モードの駆動周波数に近く、好適な実施例では約1700Hzである。検知モードの共振を駆動された逆位相モード運動の周波数に近くすると、検知運動の大きさを増幅する。検出されるべき運動の大きさは非常に小さいので、これは望ましい。この周波数は、逆位相運動の駆動周波数に十分近く、約10の有意な物理的共振の拡大倍率を達成する。更に高い倍率及び感度は、検知モードの共振が駆動された逆位相運動の周波数に近い又は一致するよう選択される場合、可能である。しかしながら、この設計では、類似の入力に等しく応答するセンサーの数を調整すること、従って倍率曲線の傾きが十分小さく装置間の変位が直ちに補償できるよう周波数が選択されることが望ましい。
【0030】
梁構造150は、従って所望の逆位相モードの復元力を提供し、そして部品の回転を示すために検出される、振動軸と直交する面内の振動(「検知運動」と称される)を許容する。更に、梁構造150は、逆位相モードで高いQの共振(Qは約2000)を確立し、逆位相モードの駆動された周波数に近い検知モードの共振を確立する。
【0031】
図7は、外部金属取り付け板700に取り付けられた梁部品を示す。梁構造150は、6個の蛇紋梁240―265の取り付け点240m−265m(図2を参照)を取り付け板700の隆起した突出部に固定することにより、取り付け板700に取り付けられる。これらの突出部(示されない)は、取り付け板700の半歯(semi−piercing)として形成され、梁構造150を取り付け板700から約0.23mmに保持し、梁構造150の全ての梁が自由に振動できるようにする。
【0032】
図8は、駆動側部品800の分解図を示す。駆動側部品800は、磁石110及び磁石ホルダー130(図1、3−7に示される)と隣接する駆動コイル810を取り付けられ、及び駆動コイル810の取り付け位置を有するプラスチックの駆動型820を有する。磁気を透過可能な鉄板830は、駆動型820の裏に取り付けられ、磁石110により生成される磁束線の通過を支援し、駆動コイル810と磁石110の間の結合を向上する。板830はまた、追加の慣性を系に提供し、不要な運動を低減する。棒840は、駆動型820に取り付けられ、電気信号を駆動側部品800へ及び駆動側部品800から伝達する。
【0033】
図9は、検知側部品900の分解図を示す。検知側部品900は、磁石120と隣接し、梁構造150の駆動部品800と反対側の側面に取り付けられる。検知コイル910及び915の2つの対は、検知型920に取り付けられる。平坦な楕円型の検知コイルの2つの対は、90°ずれた方向に置かれ、完全に組み立てられた時、磁石130に隣接するよう配置される。コイル910及び915は、それぞれx−y面内に取り付けられ、磁石120のx−y面内の運動を検出するために利用される。一方の対はx軸方向の運動を検知し、他方の対はy軸方向の運動を検知する。特に、図9に示されるx−y座標に関し、検知コイル910は、x軸方向の磁石120の運動が一方のコイル内の磁束を全体に増加し、及び他方の磁束を減少するような方向に位置付けられる。信号は磁石120のx座標に対応する。コイルを楕円形にすることにより、x方向の運動に対するコイルの感度を上げている。一般には磁石120のz軸の駆動運動から生じる磁束の変化が相殺されるよう、各コイル対は、異極性に接続される(反対の方向に巻かれている)。しかしx軸方向の運動は付加的である。
【0034】
図10は、信号プリント基板(PCB)1010の分解図である。信号PCB1010には、電気的消去可能ROM(EEPROM)1020及び特定用途向け集積回路(ASIC)1030が取り付けられる。容量性の遮蔽板1040は、信号PCB1010に取り付けられ、検知コイル910及び915並びに信号PCB1010の種々の配線及びピンとの間の容量性結合を防止する。容量性遮蔽板1040は、リン青銅のような導電性及び非磁化材料から成る。AGCコイル1050は、信号PCB1010の裏面に取り付けられる。以下に詳細に説明されるように、AGCコイル1050は、z軸方向の駆動逆位相運動の振幅と正確な位相を検知し、駆動、誤差補正及び信号復調回路にフィードバックを提供する。コイル810、910、915及び1050は、絶縁された銅のような導電性の線を、後で取り外される軸に巻き付けることにより製造される。コイルはまた、複数のPCB層の配線を螺旋状に形成しコイル構造を生成することにより、又は金属薄膜を基板に蒸着しそしてコイルの巻線をフォトリソグラフィー法によりエッチングすることにより形成され得る。この設計の1つの利点は、平坦コイルの利用を修正でき、安価且つ容易に製造されることである。代案として、他の種類のトランスデューサーが利用され、振動運動を駆動及び検知し得る。
【0035】
図11は、宙吊り部品1110の分解図である。駆動側部品800は、取り付け板700に突起710を介し取り付けられる。取り付け板700は、検知側部品900に突起720を介し更に取り付けられる。結果として得る小型の統合された部品では、駆動コイル810は磁石110に隣接して配置される。またAGCコイル1050及び検知コイル910及び915は、磁石120に隣接して配置される。種々の相互接続ピンは、信号PCB1010に差し込まれ(半田付けされ)、宙吊り部品1110へ通じる電気的経路を確立する。
【0036】
図12は、最終組立部品1200の分解図である。基底部品1210は、プラスチックの差し込み形成品、基板型1220を有する。基板型1220は、4本のピン1225を有し、基底部品1210に取り付けられる。導電性金属底板1230は、基板型1220に取り付けられる。ガスケット1240は、型抜きされたシリコンゴムであり、示されるように、基板型1220と底板1230の間に挿入される。4個のつる巻バネ1250は、ピン1225と接続される。つる巻バネ1250は、つる巻バネの形状に巻かれた導電性材料から成る。宙吊り部品1110は、4個のつる巻バネ1250の上に配置され、半田付け、溶接、ろう付け又は機械的な固定により取り付けられる。
【0037】
つる巻バネ1250は2つの機能を実行する。第1に、4個の導電性バネは、信号PCB1010と基板型1220の間で電気信号を通過させるために利用される。更に、バネ1250は、宙吊り部品1110と基板型1220の間で振動を隔離する。この隔離は、振動部品100と結合されることから生じる不要な振動(線形加速、質量不一致による効果)を防止する。最後に、缶1260は、底板1230に取り付けられ、閉じられた容器を形成し、センサーを望ましくない干渉源から遮蔽する。ガスケット1240は缶を密閉し、湿気が部品内に侵入するのを防ぐ。
【0038】
図13を参照する。ASIC1030は、回転レートセンサーの信号処理を実行する。EEPROM1020は、種々の較正係数及びASIC1030により利用される他のデータを格納する。図13は、ASIC1030のシステム論理ブロック図である。
【0039】
最終組立部品1200のコイル810、910、915及び1050は、トランスデューサー部1305に図示される。振動部品100は、交流駆動電流(DP−DM)を駆動コイル810に印加することにより固有共振周波数で駆動される。これは、振動部品100にz軸方向の正弦波運動を生じ、この運動はAGCコイル1050により検知される。AGCコイル1050は、正弦波AGC信号(AGP−AGM)を生じる。正弦波AGC信号(AGP−AGM)の振幅は、z軸方向の振動部品100の振動の所望の物理的振幅を提供するために拡大縮小される。駆動電流の周波数及び位相は、逆位相モードで振動部品100の周波数と一致するよう調整され、従って駆動運動を最大にする。ヨー運動(x軸周り)は、検知コイル910により検出され、ヨー信号(YWP−YWM)を生成する。同様に、ピッチ運動(y軸周り)は、検知コイル915により検出され、ピッチ信号(PWP−PWM)を生成する。
【0040】
ヨー及びピッチ前置増幅器1320及び1330及びAGC前置増幅器及び振動発振器1310のAGC前置増幅器部は、コイル910、915及び1050からの低位電圧信号をオンチップの変換抵抗を利用して差動電流に変換する。これら前置増幅器は、最小の位相遅延特性を有し、ヨー、ピッチ及びASIC1030により利用されるAGC信号の正確な位相関係を維持する。代案として、位相特性は整合され得る。それぞれの場合に、信号間の位相関係は正確に維持される。
【0041】
差動アナログAGC信号(AGP−AGM)は、AGC前置増幅器及び振動発振器1310と結合される。AGC前置増幅器及び振動発振器1310の振動発振器部は、AGCコイル1050からAGC信号(AGP−AGM)からの位相及び振幅のフィードバックを利用し、駆動電流(DP−DM)を駆動コイル810に印加することにより、振動部品100をその共振周波数において発振させる。AGC信号(AGP−AGM)は、半周期毎に統合される。その結果は温度補償されたバンドギャップ基準(BG)から導出された電圧基準と比較され、そして差分は、適切な大きさの量を制限された駆動信号をDP及びDM出力において生成するために利用される。信号(DP−DM)は、一般に、方形波のような波形を有し、名目上はAGC信号と同位相である。アナログ差動AGC信号(AGP−AGM)は、増幅されそして結合及びスケーリングDACs1340へ信号(AG1P−AG1M)として出力される。位相、基準信号ADPCOMPはまた、AGC信号のゼロ交差に応じて、ADCクロック合成装置及びカウンター1325へ供給される。
【0042】
スケーリング及び結合DACs1340は、アナログのヨー(YWP−YWM)及びピッチ(PWP−PYM)検知信号を調整し、直流オフセットを前置増幅器から除去し、寄生直角位相誤差信号を除去し、そして交差軸誤差を除去し装置間の変位を補償する。従ってADCブロックに現れる信号は、装置間変位に関し正規化される。直流オフセット及び寄生直角位相誤差信号は、シリアルインターフェース及びRAM1355内のデジタルレジスタに格納された較正値を利用し、プログラム可能なデジタルアナログ変換器(DACs)により合成された、等しく且つ相対するアナログ信号を印加することにより除去される。交差軸誤差は、同様の方法で補償されるが、基準として検知チャネル信号を直接に利用する。留意すべき点は、スケーリングDACs1340及びシリアルインターフェース及びRAM1355を相互接続するCOMCALバス線は、スケーリングDACs1340に、シリアルインターフェース及びRAM1355のPINPH、POFST、PCAX、PSF、YINPH、YOFST、YCAX及びYSFレジスタへのアクセスを提供する。これらレジスタの利用は、以下に詳細に説明される。
【0043】
図14は、結合及びスケーリングDACs1340及び隣接回路の詳細図である。ヨー入力信号は、ヨー入力ピンYWP及びYWM間の電圧の差分である。差動アナログヨー信号(YWP−YWM)は、不要な誤差信号と共にヨー回転の所望のレート信号を有するコンポジット信号である。具体的には、次式で示される。
【0044】
(数2)Vyaw=V(YWP)−V(YWM)
所望の及び誤差成分を表すヨー信号は、次式の通り、理論的に決定される。
【0045】
(数3)VyawNOM=InphYaw*SIN(2π*Fvib*t)−CrossYaw*RatePitch*C0S(2π*Fvib*t)−(RateYaw+MROyaw)*YSF*C0S(2π*Fvib*t)
上式のSIN項は、駆動振動運動のトランスデューサーのずれから生じる望ましくない誤差成分である同位相信号(AGC信号に対して)である。InphYawは、この同位相のヨー信号の振幅として決定される。この誤差は、YINPH DAC 1410により提供される等しく且つ相対する信号を、検知されたヨー信号(YWP−YWM)に加算器14110において加算することにより除去される。YINPH DAC 1410は、AGC信号(AGP−AGM)を有するその出力を調整する。AGC信号(AGP−AGM)は、YINPH較正係数により増大される。デジタル化の前に検知信号を補正することにより、及びアナログAGC信号を直接利用し振動運動と検知運動の間の位相関係を維持することにより、同位相の誤差成分は、有意に低減される。
【0046】
第1のCOS項は、ヨーとピッチ軸間の結合から生じる望ましくない誤差信号である。CrossYawは、この交差軸(ピッチ)誤差信号の振幅として決定される。この交差軸誤差は、等しく且つ相対する信号を、検知されたヨー信号(YWP−YWM)に加算器14110において加算することにより補正される。YCAX DAC 1430により提供される補正信号は、ピッチ信号(PWP−PYM)を有するその出力を調整する。ピッチ信号(PWP−PYM)は、YCAX較正係数により増大される。デジタル化の前に検知信号を補正することにより、及びアナログピッチ信号を直接利用し誤差源と補正信号の間の位相関係を維持することにより、交差軸誤差成分は、有意に低減される。
【0047】
第2のCOS項は、ヨー角速度により変調された、所望の信号を有する。この信号は、振動部品100の所望のヨー角速度運動を示す。しかしながら、この項はまた、調整誤差から生じる不要な機械的レートのオフセット(MROyaw)を有する。
【0048】
結合及びスケーリングDACs1340のピッチ信号成分の動作は、ヨー信号回路に関して説明された動作と同様である。DACデジタル較正レジスタのデジタル値は、DACに倍率を提供する。更に、表1に、補償信号源、誤差要因の説明、及び定常状態信号の決定の基準によりそれぞれ補償される誤差の説明を示す。
【0049】
【表1】
加算器14110においてアナログを付加されることにより、誤差信号が電子的に除去された後、所望のヨー検知信号は、混合器14140において余弦波信号(AGC信号と直角位相)で復調され、所望のヨー信号を復調し、そして残存する不要な正弦波成分を更に除去する。混合器14140は、正弦波信号又は直流信号の何れかを有するヨー検知信号を更に選択的に復調し得る。これらのモードは、以下に示されるように較正値を決定するために利用される。
【0050】
ヨーアナログデジタル変換器(ADC)1350及びピッチADC1360は、同時にそれぞれAGC信号と同期したアナログデジタル変換を実行する。ピッチADC1360は、以下に示されるように、ヨーADC1350と同様の方法で動作する。補正されたヨー信号は、混合器14140に印加され、余弦波信号(AGC信号と直角位相)と混合されることにより復調される。復調された信号は、次に整流され、そしてヨーADC1350によりデジタルレベルに変換される。好適な実施例では、ヨーADC1350は、シグマデルタ変換器14150を利用する。シグマデルタ変換器14150は、ADCクロック合成装置及びカウンター1325からのHSCLK信号に応じ、復調されたヨー信号を高いレートで、各周期で多数回サンプリングする。各1.8kHz周期に2回、整流されたサンプルは、ADCクロック合成装置及びカウンター1325からのCLK信号と同期して積分器14160により積分される。CLK信号は、AGC信号から直接引き出され、物理発振器と厳密な位相関係を保つ。この同期した復調及び変換は、特定の誤差信号を更に除去することにより、検知信号の信号対雑音を更に向上する。
【0051】
YINPH DAC 1410及びPINPH DAC 1460に印加されるデジタル値は、検知チャネルの正弦波復調を実行し及び同相信号の大きさを2つの検知チャネルのそれぞれで最小化するようYINPH DAC 1410及びPINPH DAC 1460の倍率を調整する自動補正ループにより引き出される。特に、選択可能な同相の調整モードは、混合器14104への正弦波入力を選択し、正弦波を有する補正されたヨー信号を復調する。結果として生じる、ヨーADC1350からの正弦波の復調されたデジタル信号は、YINPH係数の値を決定する。YINPH係数は、YINPHレジスタ1420に読み込まれ、YINPH DAC 1410を調整し通常動作の間に正弦波誤差信号を除去するために利用される。PINPH自動補正ループは、同様の方法で動作する。
【0052】
YCAX DAC 1430及びPCAX DAC 1480のデジタル値は、工場の較正手順から引き出される。工場の較正手順では、完成した部品は回転され、そして対応するチャネルの交差軸が測定される。これらのデジタル値は、次にEEPROM1020及びASIC1030のデジタルレジスタに読み込まれる。
【0053】
YOFST及びPOFSTは、直流オフセット誤差の補正信号である。YOFST及びPOFSTのデジタル値はまた、自動補正ループにより決定される。加算器14110からの出力は、積分器14190に印加される。積分器14190は、ADCクロック合成装置及びカウンター1320からのCLK信号に同期し、加算器14110からの出力をAGC信号の所定数の周期に亘り積分する。積分された値は、比較器14200で基準値(通常はゼロ)と比較される。結果はカウンター1450へ印加される。このカウンターは、YOFST DAC 1440に格納されたYOFST値を調整する。YOFST DAC 1440は、加算器14110に印加される直流信号を調整し、直流誤差補正を提供する。POFSTループは、同様の方法で動作する。動作中、これらループは、YOFST及びPOFSTの倍率を調整し、検知チャネルの直流信号の大きさを最小化する。
【0054】
図13を再び参照する。ADCクロック合成装置及びカウンター1320は、アナログAGCCOMP信号をAGC前置増幅器及び振動発振器1310から受信し、そしてデジタル回路及びサンプリングを振動部品の発振と正確に同期させるために利用されるデジタルクロック信号CLK及びCOUNTを提供する。これは、高周波発振器を用いることにより達成される。高周波は、振動部品100の固有振動周波数に一致する周波数に分割され、そしてAGC信号AGPCOMPの位相基準(例えばゼロ交差点)に固定される。
【0055】
CLK/COUNT信号はAGCCOMP信号から同相で90度シフトされ、検知信号の角速度情報の抽出を容易にする。従って、CLK/COUNT信号は振動部品100の固有振動と正確に同期する。CLK信号と同期し及び高い周波数を有する高速HSCLK信号も提供される。較正中、90度の位相シフトは、YINPH及びPINPH較正値を決定するため、選択的に解除される。
【0056】
ASIC1030及びEEPROM1020は、外部マイクロプロセッサーと、シリアル2線インターフェースを用い通信する。シリアル2線インターフェースは、例えばフィリップス社のI2Cインターフェースであり、シリアルインターフェース及びRAMブロック1355に含まれる。2線インターフェースは、外部パッケージ及び宙吊り部品の間に必要な接続の数を節約する。実際、宙吊り部品への電気的接続は4本だけである。これは、外部プロセッサーに結果レジスタからデジタル値を読み込むこと、及び較正値と状態値を入力レジスタに書き込むことを可能にする。
【0057】
工場での較正の間、誤差信号が測定され、適切な倍率がEEPROM1020に格納される。通常動作の初期化中に、外部マイクロプロセッサーは、格納された較正値をEEPROM1020から読み出し、そしてそれらをASIC1030のレジスタに書き込む。ASIC1030は、これら格納された値を用い、以上に説明された誤差補正を実行するために利用される適切なDACレベルを設定する。
【0058】
値YINPH、PINPH、YOFST、POFST、YCAX、PCAX、YSF、PSSF、RCC、CN及びAGSは、<PINPH>、<YINPH>、<POFST>、<YOFST>、<YCAX>、<PCAX>、<YSF>、<PSSF>、<RCC>、<CN>、<AGS>レジスタにそれぞれ格納される。工場での較正の間、これらレジスタ値は、外部プロセッサーにより永久記録媒体のEEPROM1020に書き込まれる。以後の起動時に、これら値は、ASIC1030のレジスタに再び読み込まれ(シードされ)、ループ処理時間を最小化する。RCC及びAGCの値は、AGC前置増幅器及び振動発振器1310と関連付けられたレジスタにシードされる。RCCは時定数較正であり、発振器の中心周波数を調整し、ASICのプロセス変動を補償するために利用される。AGSは、振幅を検出する前にAGC信号を調整する振幅較正値である。従って、AGS値の修正は、駆動された逆位相運動の物理的な振幅を変化させる。これらの値を、オンボードの宙吊り部品1110であるASIC1030内のアクティブなレジスタにシード(プレロード)すると、各センサーは、電子的に較正され起動時間を向上し得る。
【0059】
デジタル及びアナログフィルタリングは、信号に存在する不要な低及び高周波数成分を除去するため、回路を通じ従来の方法で更に実行される。この回路は図示されない。
【0060】
ASIC1030は、温度センサー1380及び電位検出器1390を更に有する。温度センサー1380及び電位検出器1390は、電圧/温度ADC1370へ供給され、電源電圧と同様にセンサーの温度を報告し得る。これらの値は、利用可能にされ、以後の温度及び電圧に依存する現象の高次誤差補正を可能にする。
【0061】
本発明は好適な実施例を参照して説明されたが、特許請求の範囲に記載された本発明の精神と範囲から逸脱することなく種々の変更がされ得ることが明らかである。
【0062】
本願の原出願の出願当初の特許請求の範囲を記載しておく。
〔請求項1〕
振動回転レートセンサーであって、
共通の軸に沿って振動する、前記軸に沿って対称に配置された振動体の対を有する振動素子、
少なくとも1つの振動体と結合され、前記軸に沿って前記振動体に周期的運動を生じさせる駆動装置、
少なくとも1つの前記振動体と結合され、前記振動軸と直交する1つの方向の前記振動体の運動を検知する第1の検知回路、及び
少なくとも1つの前記振動体と結合され、前記振動軸と直交する別の方向の前記振動体の運動を検知する第2の検知回路
を有する、振動回転レートセンサー。
〔請求項2〕
前記駆動装置は、前記振動体の間に逆位相運動を生じさせる、請求項1記載の振動回転レートセンサー。
〔請求項3〕
前記振動体は磁気要素を有し、及び前記駆動装置及び前記検知回路は電磁気要素を有する、請求項1記載の振動回転レートセンサー。
〔請求項4〕
前記駆動装置は一方の振動体と結合され、及び前記検知回路は他方の振動体と結合される、請求項1記載の振動回転レートセンサー。
〔請求項5〕
前記駆動装置は一方の振動体と周期的に結合され、及び前記検知回路は前記駆動装置が結合されない間、同一の振動体と結合される、請求項1記載の振動回転レートセンサー。
〔請求項6〕
前記一方及び他方の方向は、同一平面上にあり及び一様に互いに直交している、請求項1記載の振動回転レートセンサー。
〔請求項7〕
前記振動軸に沿った振動体の運動の振幅及び位相を検知する運動センサーを有し、前記運動センサーは前記駆動装置と結合され、及び前記駆動装置は前記振動体を前記検知された振幅及び位相に応じて反復可能な方法で駆動する、請求項1記載の振動回転レートセンサー。
〔請求項8〕
一方の振動体と結合された弾力性のある第1の要素及び他方の振動体と結合された弾性力のある第2の要素を有する平面復元要素を更に有する、請求項1記載の振動回転レートセンサー。
〔請求項9〕
前記振動体のそれぞれと結合された弾性力のある第1の要素を有する単一の同種の復元要素を更に有する、請求項8記載の振動回転レートセンサー。
〔請求項10〕
前記弾性力のある第1及び第2の要素は、それらがそれらの両端の直線距離より長い長さを有するよう伸長される、請求項8記載の振動回転レートセンサー。
〔請求項11〕
前記復元要素は、前記振動部品を外部取り付け具に接続する、復元力のある取り付け要素を更に有する、請求項8記載の振動回転レートセンサー。
〔請求項12〕
前記逆位相運動及び前記検知された運動の共振は、前記検知モード運動を増大させるために周波数が十分に近く、及び他の共振モードは、それらが効果的にフィルタリングにより除去され得るよう周波数が十分に離れている、請求項1記載の振動回転レートセンサー。
〔請求項13〕
前記平面復元要素は、半径方向にX回対称であり、Xは整数3以上である、請求項8記載の振動回転レートセンサー。
〔請求項14〕
振動回転レートセンサー動作方法であって、
前記レートセンサーは、共通の軸に沿って振動する、前記軸に沿って対称に配置された振動体の対を有し、前記方法は、
前記軸に沿って前記振動体に周期的運動を生じさせる、少なくとも1つの振動体を駆動する段階、
前記振動軸と直交する1つの方向の、少なくとも1つの前記振動体の運動を検知する段階、及び
前記振動軸と直交する別の方向の、少なくとも1つの前記振動体の運動を検知する段階
を有する、振動回転レートセンサー動作方法。
〔請求項15〕
前記駆動する段階は、前記振動体の間に逆位相運動を生じさせる、請求項14記載の振動回転レートセンサー動作方法。
〔請求項16〕
前記振動体は磁気要素を有し、及び前記検知する段階は電磁気的に行われる、請求項14記載の振動回転レートセンサー動作方法。
〔請求項17〕
前記駆動装置は一方の振動体と結合され、及び前記検知回路は他方の振動体と結合され、前記駆動する段階は振動体の1つを駆動し、及び前記検知する段階は他方の振動体の運動を検知する、請求項14記載の振動回転レートセンサー動作方法。
〔請求項18〕
前記駆動する段階は一方の振動体を断続的に駆動し、及び前記検知する段階は前記一方の振動体が駆動されていない時間中に、前記一方の振動体の運動を検知する、請求項14記載の振動回転レートセンサー動作方法。
〔請求項19〕
前記一方及び他方の方向は、同一平面上にあり及び一様に互いに直交している、請求項14記載の振動回転レートセンサー動作方法。
〔請求項20〕
前記振動軸に沿った少なくとも1つの振動体の運動の振幅及び位相を検知する段階を更に有し、及び前記駆動する段階は、前記振動体を前記検知された振幅及び位相に応じて反復可能な方法で駆動する、請求項14記載の振動回転レートセンサー動作方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動回転レートセンサーであって、
共通の軸に沿って振動する、前記軸に沿って対称に配置された、かつ平面梁構造に機械的に結合された振動体の対を有する振動要素と、
1つのみの振動体と結合され、前記軸に沿って前記対の振動体両方に周期的運動を生じさせる駆動装置と、
前記振動体の少なくとも1つと結合され、前記振動の軸と直交する方向の前記振動体の運動を検知する検知回路と、及び
を有する、振動回転レートセンサー。
【請求項2】
前記駆動装置は、前記振動体の間に逆位相運動を生じさせる、請求項1記載の振動回転レートセンサー。
【請求項3】
前記振動体は磁気要素を有し、前記駆動装置及び前記検知回路は電磁気要素を有する、請求項1記載の振動回転レートセンサー。
【請求項4】
前記駆動装置は一方の振動体と結合され、前記検知回路は他方の振動体と結合される、請求項1記載の振動回転レートセンサー。
【請求項5】
前記駆動装置は一方の振動体と周期的に結合され、前記検知回路は前記駆動装置が結合されない間、同じ振動体と結合される、請求項3記載の振動回転レートセンサー。
【請求項6】
前記検知回路がさらに、前記振動の軸と直交する第1の方向の運動を検知する第1の検知回路と、前記振動の軸と直交する第2の方向の運動を検知する第2の検知回路とを含む、請求項1記載の振動回転レートセンサー。
【請求項7】
前記第1の方向及び前記第2の方向は、同一平面上にあり、互いに直交している、請求項6記載の振動回転レートセンサー。
【請求項8】
前記振動の軸に沿った振動体の運動の振幅及び位相を検知する運動センサーを有し、前記運動センサーは前記駆動装置と結合され、前記駆動装置は前記振動体を前記検知された振幅及び位相に応じて反復可能な方法で駆動する、請求項1記載の振動回転レートセンサー。
【請求項9】
前記平面梁構造が前記共通の軸に対して略直交であり、一方の振動体と結合された弾力性のある第1の部材、他方の振動体と結合された弾力性のある第2の部材、及び前記振動要素を前記振動要素の外部に取り付けるための弾力性のある取り付け部材を有する平面復元要素を更に有する、請求項1記載の振動回転レートセンサー。
【請求項10】
前記弾力性のある第1及び第2の部材は、それらがそれらの両端の直線距離より長い長さを有するよう屈曲されている、請求項9記載の振動回転レートセンサー。
【請求項11】
前記逆位相運動及び前記検知された運動の共振は、前記検知モード運動を増大させるために周波数が十分に近く、他の共振モードは、それらが効果的にフィルタリングにより除去され得るよう周波数が十分に離れている、請求項1記載の振動回転レートセンサー。
【請求項12】
前記平面復元要素は、X回回転対称性をもち、Xは整数3以上である、請求項9記載の振動回転レートセンサー。
【請求項13】
振動回転レートセンサー動作方法であって、
前記レートセンサーは、共通の軸に沿って振動する、前記軸に沿って対称に配置された振動体の対を有し、前記方法は、
前記軸に沿って前記対の振動体の両方に周期的運動を生じさせるよう、1つのみの振動体を駆動する段階と、
前記周期的運動の共振を確立する復元力を提供する段階であって、前記復元力は、前記振動体に結合された弾力性のある部材によって与えられる、段階と、
前記振動軸と直交する少なくとも1つの方向の、前記振動体の少なくとも一方の運動を検知する段階と
を有する、振動回転レートセンサー動作方法。
【請求項14】
前記駆動する段階は、前記振動体の間に逆位相運動を生じさせる、請求項13記載の振動回転レートセンサー動作方法。
【請求項15】
前記振動体は磁気要素を有し、及び前記検知する段階は電磁気的に行われる、請求項13記載の振動回転レートセンサー動作方法。
【請求項16】
前記駆動する段階は前記振動体の1つを駆動し、前記検知する段階は他方の振動体の運動を検知する、請求項13記載の振動回転レートセンサー動作方法。
【請求項17】
前記駆動する段階は一方の振動体を断続的に駆動し、前記検知する段階は前記一方の振動体が駆動されていない時間中に、前記一方の振動体の運動を検知する、請求項13記載の振動回転レートセンサー動作方法。
【請求項18】
前記検知する段階が、前記振動軸と直交する第1の方向の、前記振動体のうちの少なくとも一つの振動体の運動を検知し、前記振動軸と直交する第2の方向の、前記振動体のうちの少なくとも一つの振動体の運動を検知することを含む、請求項13記載の振動回転レートセンサー動作方法。
【請求項19】
前記一方及び他方の方向は、同一平面上にあり互いに略直交である、請求項18記載の振動回転レートセンサー動作方法。
【請求項20】
前記振動軸に沿った少なくとも1つの振動体の運動の振幅及び位相を検知する段階を更に有し、前記駆動する段階は、前記振動体を前記検知された振幅及び位相に応じて反復可能な方法で駆動する、請求項13記載の振動回転レートセンサー動作方法。
【請求項21】
前記弾力性のある部材が前記共通の軸に対して略直交である平面梁構造をなし、前記振動体のうちの一方に結合された弾力性のある第1の部材と、前記振動体のうちの他方に結合された弾力性のある第2の部材と、前記平面梁構造を前記平面梁構造の外部の取り付け具に取り付けるための弾力性のある取り付け部材とを含む、
請求項13記載の振動回転レートセンサー動作方法。
【請求項1】
振動回転レートセンサーであって、
共通の軸に沿って振動する、前記軸に沿って対称に配置された、かつ平面梁構造に機械的に結合された振動体の対を有する振動要素と、
1つのみの振動体と結合され、前記軸に沿って前記対の振動体両方に周期的運動を生じさせる駆動装置と、
前記振動体の少なくとも1つと結合され、前記振動の軸と直交する方向の前記振動体の運動を検知する検知回路と、及び
を有する、振動回転レートセンサー。
【請求項2】
前記駆動装置は、前記振動体の間に逆位相運動を生じさせる、請求項1記載の振動回転レートセンサー。
【請求項3】
前記振動体は磁気要素を有し、前記駆動装置及び前記検知回路は電磁気要素を有する、請求項1記載の振動回転レートセンサー。
【請求項4】
前記駆動装置は一方の振動体と結合され、前記検知回路は他方の振動体と結合される、請求項1記載の振動回転レートセンサー。
【請求項5】
前記駆動装置は一方の振動体と周期的に結合され、前記検知回路は前記駆動装置が結合されない間、同じ振動体と結合される、請求項3記載の振動回転レートセンサー。
【請求項6】
前記検知回路がさらに、前記振動の軸と直交する第1の方向の運動を検知する第1の検知回路と、前記振動の軸と直交する第2の方向の運動を検知する第2の検知回路とを含む、請求項1記載の振動回転レートセンサー。
【請求項7】
前記第1の方向及び前記第2の方向は、同一平面上にあり、互いに直交している、請求項6記載の振動回転レートセンサー。
【請求項8】
前記振動の軸に沿った振動体の運動の振幅及び位相を検知する運動センサーを有し、前記運動センサーは前記駆動装置と結合され、前記駆動装置は前記振動体を前記検知された振幅及び位相に応じて反復可能な方法で駆動する、請求項1記載の振動回転レートセンサー。
【請求項9】
前記平面梁構造が前記共通の軸に対して略直交であり、一方の振動体と結合された弾力性のある第1の部材、他方の振動体と結合された弾力性のある第2の部材、及び前記振動要素を前記振動要素の外部に取り付けるための弾力性のある取り付け部材を有する平面復元要素を更に有する、請求項1記載の振動回転レートセンサー。
【請求項10】
前記弾力性のある第1及び第2の部材は、それらがそれらの両端の直線距離より長い長さを有するよう屈曲されている、請求項9記載の振動回転レートセンサー。
【請求項11】
前記逆位相運動及び前記検知された運動の共振は、前記検知モード運動を増大させるために周波数が十分に近く、他の共振モードは、それらが効果的にフィルタリングにより除去され得るよう周波数が十分に離れている、請求項1記載の振動回転レートセンサー。
【請求項12】
前記平面復元要素は、X回回転対称性をもち、Xは整数3以上である、請求項9記載の振動回転レートセンサー。
【請求項13】
振動回転レートセンサー動作方法であって、
前記レートセンサーは、共通の軸に沿って振動する、前記軸に沿って対称に配置された振動体の対を有し、前記方法は、
前記軸に沿って前記対の振動体の両方に周期的運動を生じさせるよう、1つのみの振動体を駆動する段階と、
前記周期的運動の共振を確立する復元力を提供する段階であって、前記復元力は、前記振動体に結合された弾力性のある部材によって与えられる、段階と、
前記振動軸と直交する少なくとも1つの方向の、前記振動体の少なくとも一方の運動を検知する段階と
を有する、振動回転レートセンサー動作方法。
【請求項14】
前記駆動する段階は、前記振動体の間に逆位相運動を生じさせる、請求項13記載の振動回転レートセンサー動作方法。
【請求項15】
前記振動体は磁気要素を有し、及び前記検知する段階は電磁気的に行われる、請求項13記載の振動回転レートセンサー動作方法。
【請求項16】
前記駆動する段階は前記振動体の1つを駆動し、前記検知する段階は他方の振動体の運動を検知する、請求項13記載の振動回転レートセンサー動作方法。
【請求項17】
前記駆動する段階は一方の振動体を断続的に駆動し、前記検知する段階は前記一方の振動体が駆動されていない時間中に、前記一方の振動体の運動を検知する、請求項13記載の振動回転レートセンサー動作方法。
【請求項18】
前記検知する段階が、前記振動軸と直交する第1の方向の、前記振動体のうちの少なくとも一つの振動体の運動を検知し、前記振動軸と直交する第2の方向の、前記振動体のうちの少なくとも一つの振動体の運動を検知することを含む、請求項13記載の振動回転レートセンサー動作方法。
【請求項19】
前記一方及び他方の方向は、同一平面上にあり互いに略直交である、請求項18記載の振動回転レートセンサー動作方法。
【請求項20】
前記振動軸に沿った少なくとも1つの振動体の運動の振幅及び位相を検知する段階を更に有し、前記駆動する段階は、前記振動体を前記検知された振幅及び位相に応じて反復可能な方法で駆動する、請求項13記載の振動回転レートセンサー動作方法。
【請求項21】
前記弾力性のある部材が前記共通の軸に対して略直交である平面梁構造をなし、前記振動体のうちの一方に結合された弾力性のある第1の部材と、前記振動体のうちの他方に結合された弾力性のある第2の部材と、前記平面梁構造を前記平面梁構造の外部の取り付け具に取り付けるための弾力性のある取り付け部材とを含む、
請求項13記載の振動回転レートセンサー動作方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−252024(P2012−252024A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−215694(P2012−215694)
【出願日】平成24年9月28日(2012.9.28)
【分割の表示】特願2007−503038(P2007−503038)の分割
【原出願日】平成17年3月11日(2005.3.11)
【出願人】(501263810)トムソン ライセンシング (2,848)
【氏名又は名称原語表記】Thomson Licensing
【住所又は居所原語表記】1−5, rue Jeanne d’Arc, 92130 ISSY LES MOULINEAUX, France
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年9月28日(2012.9.28)
【分割の表示】特願2007−503038(P2007−503038)の分割
【原出願日】平成17年3月11日(2005.3.11)
【出願人】(501263810)トムソン ライセンシング (2,848)
【氏名又は名称原語表記】Thomson Licensing
【住所又は居所原語表記】1−5, rue Jeanne d’Arc, 92130 ISSY LES MOULINEAUX, France
【Fターム(参考)】
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