説明

振動式部品供給装置

【課題】確実に部品の向きを同じにして整列させて、次工程へ順次供給すること。
【解決手段】両挟持部5Bが搬送路上に接して寝た姿勢では問題無く、トラック7上面から部品5の最上部までの高さが8mmとなって、トラック7上面から立姿勢部品排除部13下限までの長さが8.5mmであるので立姿勢部品排除部13の下方を通過することとなる。しかし、両挟持部5B終端部が搬送路に接して立った状態ではトラック7上面から部品5の最上部までの高さが14mmとなって、この部品5が立姿勢部品排除部13に当接することとなり、また一方の挟持部5Bが搬送路に接すると共に他方の挟持部5Bが上方にある状態では同じく高さが9mmとなって立姿勢部品排除部13に当接することとなる。すると、この立姿勢部品排除部13により内方へ押しやられるので、落下案内シュート部14を介してボウル4の底面上に落下することとなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送路を振動させて、その振動により部品を搬送しながら所定の姿勢に整列させて次工程に搬送供給する振動式部品供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の振動式部品供給装置は、特許文献1に開示されている。そして、部品によっては、進行方向の向き、上下方向の向きが一定でなければ、順次供給された部品を取出すことができないものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−96559号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、上下方向の向きが一定でない部品にあっては、搬送路から落下させる必要がある。
【0005】
そこで本発明は、確実に部品の向きを同じにして整列させて、次工程へ順次供給することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このため第1の発明は、搬送路を振動させて、その振動により部品を搬送しながら所定の姿勢に整列させて次工程に搬送供給する振動式部品供給装置において、前記搬送路上を移動する前記部品の上下方向の向きが正規でない場合に、前記部品が移動の際に当接することにより前記搬送路から排除する排除部を設けると共に、この排除部に前記部品が当接した際に前記搬送路から落下し易いようにするために、前記搬送路の一部を切除して案内部を形成したことを特徴とする。
【0007】
第2の発明は、第1の発明において、前記排除部に前記部品が当接して前記搬送路から落下する際に、落下した部品を案内しながら遠くへ拡散するようにする拡散案内部材を設けたことを特徴とする。
【0008】
第3の発明は、第1の発明において、前記排除部より上流位置に前記搬送路上を移動する前記部品に向けて圧縮空気を噴出することにより部品の進行する向きを一定にするためのエアー吹出し部を設け、このエアー吹出し部により進行する向きが一定とされた前記部品の上下方向の向きが正規でない部品が移動の際に、前記排除部に当接するようにしたことを特徴とする。
【0009】
第4の発明は、第1の発明において、前記排除部より下流位置に前記搬送路上を移動する前記部品に向けて圧縮空気を噴出することにより部品の進行する向きを一定にするためのエアー吹出し部を設け、前記部品の上下方向の向きが正規でない部品は移動の際に前記排除部に当接して前記搬送路から落下され、前記部品の上下方向の向きが正規でない部品は移動の際に前記排除部に当接して前記搬送路から落下され、前記部品の上下方向の向きが正規であるが進行方向の向きが正規でない部品は前記エアー吹出し部が圧縮空気を噴出することにより、この部品の進行する向きを正規にすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、確実に部品の向きを同じにして整列させて、次工程へ順次供給することができる。また、特に第4の発明にあっては、搬送路から落下する際に、ボウルの底面上にある部品の上にこの落下した部品が積み重ならないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】

【図1】振動式部品供給装置の平面図である。
【図2】部品の斜視図である。
【図3】振動式部品供給装置の要部平面図である。
【図4】第1エアー吹出部の作用を説明するための振動式部品供給装置の要部斜視図である。
【図5】立姿勢部品排除部、落下案内シュート部、拡散案内板の作用を説明するための振動式部品供給装置の要部斜視図である。
【図6】立姿勢部品排除部、落下案内シュート部、拡散案内板の作用を説明するための振動式部品供給装置の要部斜視図である。
【図7】振動式部品供給装置の右側面図である。
【図8】第1シリンダー及び第2シリンダーが作動した状態の振動式部品供給装置の右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図1乃至図8に基づき、搬送路を振動させて、その振動により部品を搬送しながら所定の姿勢に整列させて次工程に搬送供給する振動式部品供給装置の実施形態を説明する。この振動式部品供給装置は、図1に示すように、ボウルフィーダ1の排出端に直進フィーダ2を接続した振動フィーダを基台3上に設けた振動体(図示省略)に取り付け、この振動フィーダの搬送路を振動させて、その振動によりボウルフィーダ1のボウル4底部に投入した部品5を直進フィーダ2の排出端である部品取出部20まで搬送しながら、所定の姿勢に整列させて次工程に供給するものである。前記ボウル4の底部は中心が高く、同心円状に外方へ向けて低く傾斜している。
【0013】
この整列供給の対象とする部品5は、少なくとも搬送路上を移動する際の上下方向について方向性のある部品であって、図2に示すように、頂部5Aから両挟持部分5Bが二股状に開いた形状であって進行方向及び上下方向について方向性のある部品で、両挟持部5Bが搬送方向に向けて開いた状態で両挟持部5Bが搬送路上に寝た姿勢で次工程に供給される。この部品5はクリップなどの部品であって、一の部品に取り付けて、この一の部品をこの部品5を介して他の部品に取り付けるための連結用のものである。
【0014】
前記ボウルフィーダ1は、ボウル4の内側にその底部から螺旋状に上昇する搬送路としてのトラック7が形成されており、このトラック7の最上部の排出端が、直進フィーダ2の搬送路を形成するシュート8の供給端に接続されている。即ち、ボウル4底部に投入された部品5が、徐々にトラック7上を搬送されていき、トラック7最上部の排出端から直進フィーダ2のシュート8の供給端に乗り移るようになっている。
【0015】
そして、9は丸みを帯びたステンレス製でボウル4の周側壁4Aに固定された第1規制片で、前記トラック7の部品5の搬送幅を前記周側壁4A側から内側へ張り出して1個のみ通過できるように狭めて、部品5を1個ずつ長手方向が進行方向となるように整列させて移動するようにしている。この場合、隣り合って2個の部品5が搬送しようとする場合は、内側の部品5はボウル4の底面上に落下することとなったり、部品5の長手方向が進行方向と直交する方向にある場合にはボウル4の底面上に落下することとなる(図3参照)。
【0016】
また、この第1規制片9とは間隔を存して、丸みを帯びたステンレス製でボウル4の周側壁4Aに第2規制片10が固定されており、前記第1規制片9と同様に、トラック7の部品5の搬送幅を周側壁4A側から内側へ張り出して1個のみ通過できるように狭めて、前記第1規制片9と同様に、部品5を1個ずつ長手方向が進行方向となるように整列させて移動するようにしている。この場合、前記第1規制片9により規制されて搬送されても、再び隣り合って2個搬送しようとする場合は、内側の部品5はボウル4の底面上に落下することとなったり、部品5の長手方向が進行方向と直交する方向にある場合にはボウル4の底面上に落下することとなる(図3参照)。
【0017】
12はエアー吹出供給源に連通した第1エアー吹出部で、進行方向及び上下方向について方向性のある部品5が進行方向に向けてその両挟持部5Bが開いた状態で搬送される状態でなくてその逆方向となっている場合には、この両挟持部5B内に圧縮エアーを吹き込むことにより、進行方向に向けてその両挟持部5Bが開いた状態とされる(図4参照)。即ち、前述したように、前記第1規制片9及び第2規制片10により1個ずつ整列された部品5が進行方向に向けて両挟持部5Bが開いた向きにある場合には圧縮エアーを受けても頂部5Aから圧縮エアーを受け流して向きを変更することはないが、進行方向に向けて頂部5Aが向いている場合には両挟持部5Bの間に圧縮エアーを受けることとなるので向きを変更して、進行方向に向けて両挟持部5Bが開いた向きとされる。
【0018】
13はボウル4の周側壁4Aに固定された立姿勢部品排除部で、前記部品5は両挟持部5Bが搬送路上に接して寝た姿勢ではトラック7上面から部品5の最上部までの高さが8mm(図2参照)となって、トラック7上面から立姿勢部品排除部13下限までの長さは8.5mmであるので立姿勢部品排除部13の下方を問題無く通過することとなる。
【0019】
しかし、両挟持部5B終端部が搬送路に接して立った状態(図5参照)では、トラック7上面から部品5の最上部までの高さが14mmとなって、立姿勢部品排除部13の下方を通過することができずに、この部品5は立姿勢部品排除部13に当接することとなり、また一方の挟持部5Bが搬送路に接すると共に他方の挟持部5Bが上方にある状態(図6)では同じく高さが9mm(図2参照)となって立姿勢部品排除部13に当接することとなる。
【0020】
14はボウル4の底面より高い前記トラック7を形成する縦壁7A上部の直角となっている角部を切除して形成された傾斜面である落下案内シュート部で、前記立姿勢部品排除部13が落下案内シュート部14の進行方向の中間位置において上方を跨るように配設されている。そして、前述したような、両挟持部5B終端部が搬送路に接して立った状態、又は一方の挟持部5Bが搬送路に接すると共に他方の挟持部5Bが上方にある状態では、部品5は立姿勢部品排除部13に当接することとなって、この立姿勢部品排除部13により内方へ押しやられるので、落下案内シュート部14を介してボウル4の底面上に落下することとなる。
【0021】
この場合、落下案内シュート部14を介して落下する際に、ボウル4の底面上にある部品5の上にこの落下した部品5が次々と積み重ならないようにするために、落下した部品5を案内しながら遠くへ拡散するようにする平面視への字形状の拡散案内板18をボウル4のトラック7を形成する縦壁7A内側に固定する。
【0022】
なお、両挟持部5Bが搬送路上に接して寝た正規の姿勢であれば、部品5は立姿勢部品排除部13に接することなく、そのまま通過することとなる。この通過した直後においても、進行方向について方向性のある部品5を本来の向きに向くように圧縮エアーを吹きつけるように、第1エアー吹出部12と同様な構成の第2エアー吹出部16が配設される。また、前述したトラック7最上部の排出端と前記第2エアー吹出部16との間の中間位置においても同様な第3エアー吹出部17が配設される。従って、トラック7の最上部の排出端に至る際には、部品5が正規の方向に向くようになされる。
【0023】
従って、進行方向に向けて両挟持部5Bが開いた向きにある場合には圧縮エアーを受けても頂部5Aから圧縮エアーを受け流して向きを変更することはないが、進行方向に向けて頂部5Aが向いている場合には両挟持部5Bの間に圧縮エアーを受けることとなるので向きを変更して、進行方向に向けて両挟持部5Bが開いた向きとされる。
【0024】
なお、19はエアーレギュレータで、第1エアー吹出部12、第2エアー吹出部16、第3エアー吹出部17に開閉用の電磁弁を介して供給するエアー供給量が適正になるように調整される。
【0025】
直進フィーダ2の終端部には先頭の部品5が係止して、取出しに供する部品取出部20が形成されている。また、この部品取出部20に部品5が有るか否かを検出する部品有無検出センサ21が直進フィーダ2の終端部側面に設けられる。そして、この部品有無検出センサ21が部品5が無いことを検出すると、図示しない制御装置が開閉用の前記電磁弁を開いて前記第1エアー吹出部12、第2エアー吹出部16及び第3エアー吹出部17から圧縮エアーを吹き出すように制御すると共に部品5が有ることを検出すると開閉用の電磁弁を閉じて吹き出しを停止するように制御する。
【0026】
取付板23には第1シリンダー24が固定され、この第1シリンダー24のロッド24Aには下端が回動可能に支軸25を介して揺動可能に支持された揺動部材26がワイヤ27を介して連結されている(図7参照)。この第1シリンダー24が作動してそのロッド24Aを収縮させると、揺動部材26が支軸25を支点として揺動し、この揺動部材26の揺動に伴い、前記部品取出部20の部品5にその先端の差込部29を差し込んで保持している受渡しアーム28が図示しない連動機構を介して揺動して、部品5をその頂部5Aが上方に向くように移動させる。
【0027】
前記基台3には第2シリンダー30が固定され、前記第1シリンダー24が作動してロッド24Aが収縮した後に、第2シリンダー30が作動してそのロッド30Aが伸張すると、このロッド30Aに取付板31が固定されているので、この取付板31に固定された前記取付板23、第1シリンダー24、受渡しアーム26などが水平移動し、頂部5Aが上方に位置するようにされた部品5を受渡し位置まで移動させる(図8参照)。
【0028】
従って、この受渡し位置にて、図示しないチャックが下降して受渡しアーム26先端に保持された部品5を取出して、前記一の部品に取り付ける。この後、作業者はこの部品5が取り付けられた一の部品をこの連結用の部品5を介して他の部品に取り付ける。
【0029】
以上本発明の実施態様について説明したが、上述の説明に基づいて当業者にとって種々の代替例、修正又は変形が可能であり、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲で前述の種々の代替例、修正又は変形を包含するものである。
【符号の説明】
【0030】
1 ボウルフィーダ
2 直進フィーダ
4 ボウル
5 部品
5A 頂部
5B 挟持部
7 トラック(搬送路)
13 立姿勢部品排除部
14 落下案内シュート部
18 拡散案内板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送路を振動させて、その振動により部品を搬送しながら所定の姿勢に整列させて次工程に搬送供給する振動式部品供給装置において、前記搬送路上を移動する前記部品の上下方向の向きが正規でない場合に、前記部品が移動の際に当接することにより前記搬送路から排除する排除部を設けると共に、この排除部に前記部品が当接した際に前記搬送路から落下し易いようにするために、前記搬送路の一部を切除して案内部を形成したことを特徴とする振動式部品供給装置。
【請求項2】
前記排除部に前記部品が当接して前記搬送路から落下する際に、落下した部品を案内しながら遠くへ拡散するようにする拡散案内部材を設けたことを特徴とする請求項1に記載の振動式部品供給装置。
【請求項3】
前記排除部より上流位置に前記搬送路上を移動する前記部品に向けて圧縮空気を噴出することにより部品の進行する向きを一定にするためのエアー吹出し部を設け、このエアー吹出し部により進行する向きが一定とされた前記部品の上下方向の向きが正規でない部品が移動の際に、前記排除部に当接するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の振動式部品供給装置。
【請求項4】
前記排除部より下流位置に前記搬送路上を移動する前記部品に向けて圧縮空気を噴出することにより部品の進行する向きを一定にするためのエアー吹出し部を設け、前記部品の上下方向の向きが正規でない部品は移動の際に前記排除部に当接して前記搬送路から落下され、前記部品の上下方向の向きが正規でない部品は移動の際に前記排除部に当接して前記搬送路から落下され、前記部品の上下方向の向きが正規であるが進行方向の向きが正規でない部品は前記エアー吹出し部が圧縮空気を噴出することにより、この部品の進行する向きを正規にすることを特徴とする請求項1に記載の振動式部品供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−102185(P2011−102185A)
【公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−258721(P2009−258721)
【出願日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【出願人】(000100366)しげる工業株式会社 (95)
【Fターム(参考)】