説明

捕獲殺虫装置

【課題】虫類を効果的に誘引するとともに、外から捕獲虫の存在を分かり難くした捕獲殺虫装置を提供する。
【解決手段】捕獲殺虫装置1は、誘虫光を発する誘虫光源2と、誘虫光源2の発する光により誘引されてくる虫を捕獲する粘着シート3と、粘着シート3と誘虫光源2を内部に配置した本体4とを有するとともに、粘着シート3に捕獲された虫を視認する視認部5を設けて構成した。そして、粘着シート3の粘着面に捕獲された虫を直接は見えにくくし、視認部5を通して粘着面を確認するようにして、衛生感を向上させた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、捕獲殺虫装置に関し、より詳細には、誘虫光により誘引されてくる虫を粘着材を用いて捕獲する捕獲殺虫装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、粘着シートを用いて害虫を捕獲する捕獲殺虫装置がある(例えば、特許文献1)。これら捕獲殺虫装置の一般的構成としては、本体と誘虫ランプと粘着層を有する細長いテープ状の粘着シートとを備えている。そして、本体に設けられた開口部内に誘虫ランプが取り付けられると共に、開口部内に、粘着層を有する細長いテープ状の粘着シートが設けられている。
【0003】
特許文献1の捕獲殺虫装置では、粘着シートに捕獲された虫が直接見えるようになっている。そのため、粘着シートに付着した虫がリアルに視認され、虫の死骸の一部が落ちてくるようにイメージされ、見るものに不衛生感や不快感を与える。また、虫や粘着面に作業者が触れたりしやすいことになる。特に、飲食店など客に料理を提供する場所や、来客のある場所では、捕獲された虫が直接見えるようになっている捕獲殺虫装置は好ましくない。さらに、粘着面と装置外空間との間に遮るものがないと、捕獲虫の羽根や足が気流や振動で装置から落下するおそれがある。
【0004】
このような点を改善することができる捕獲殺虫装置として、本体と誘虫ランプと粘着層を有する細長いテープ状の粘着シートとを備える捕獲殺虫装置において、本体の前面に装飾された装飾格子を取り付けることや、粘着シートの前面を覆う被覆部材を設けることが開示されている(例えば、特許文献2)。
【0005】
この特許文献2に開示されているように、本体の前面又は粘着シート前面を覆うように構成すれば、粘着シートに捕獲された虫が見えないので、不衛生な感じを与えたり、不快感を与えたりすることがなくなる。
【特許文献1】特開2003−92964号公報
【特許文献2】特開2005−245312号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した本体の前面に装飾された装飾格子を取り付けることや、粘着シートの前面を覆う被覆部材を設ける従来の捕獲殺虫装置では、不衛生感や不快感を与えないので、その点では非常に好ましい。しかしながら、捕獲虫が見えない場合には、粘着シートの捕獲容量を超えたかどうかが容易に分からないため、粘着シートの交換機会を逸してしまう可能性があった。
【0007】
本発明は、上記背景技術に鑑みてなされたものであり、蚊、蝿、蛾といった虫類を効果的に誘引するとともに、捕獲虫の存在を外から確認できるようにした捕獲殺虫装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の捕獲殺虫装置は、誘虫光を発する誘虫光源と、該誘虫光源の発する光により誘引されてくる虫を捕獲する粘着シートと、該粘着シートと前記誘虫光源を内部に配置した本体とからなる捕獲殺虫装置であって、前記粘着シートに捕獲された虫を視認する視認部を設けたことを特徴としている。
【0009】
請求項2記載の発明の捕獲殺虫装置は、請求項1記載の発明において、前記視認部は光を透過して粘着シートの粘着面を視認するように該粘着面に対向して設けられたことを特徴としている。
【0010】
請求項3記載の発明の捕獲殺虫装置は、請求項1又は2記載の発明において、前記本体は外部に連通した空間を有する捕虫皿部を有し、該捕虫皿部に視認部が設けられ、該捕虫皿内に粘着シートが配置されていることを特徴としている。
【0011】
請求項4記載の発明の捕獲殺虫装置は、請求項1記載の発明において、前記視認部は反射部からなり、該反射部を介して粘着シートの粘着面を視認するようにされていることを特徴としている。
【0012】
請求項5記載の発明の捕獲殺虫装置は、請求項1ないし3記載の発明において、前記視認部は粘着シートを透かして粘着面裏側から捕獲された虫の影を視認するようにされていることを特徴としている。
【0013】
請求項6記載の発明の捕獲殺虫装置は、請求項1ないし5記載の発明において、前記視認部は視認を遮断する開閉カバーを備えていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載の発明によれば、何の操作をしなくても粘着シートに捕獲された虫は視認部を通して見るので、装置が簡単でよく、捕虫状態が確認できる。しかも、捕獲面を直接見るのではなく視認部を通してみるので、捕獲面が直接むき出している場合に比べて衛生感が向上する。また、粘着シートを囲う構造にできるため、捕獲された虫の羽や足が空調などの気流で飛散する可能性が減り、食品加工工場などで使用しても、異物混入の危険性を減らすことができる。
【0015】
請求項2記載の発明によれば、何の操作をしなくても粘着シートの捕虫状態が確認できる。従って、衛生管理者が通常の巡回の際に、何の操作をしないでも捕獲面を確認でき、粘着シートの交換遅れによる捕虫能力の低下をさけることができる。また、捕獲された虫の羽や足が飛散する可能性をより一層減らすことができる。
【0016】
請求項3記載の発明によれば、上記効果をより効果的に得ることができる。
【0017】
請求項4記載の発明によれば、上記効果を得ることができると共に、捕獲した虫の種類や数を正確に把握したい場合などに有効である。
【0018】
請求項5記載の発明によれば、デザイン・使用用途によって粘着面が壁面方向に向いている場合や天井など比較的高い位置に装置を取り付ける場合に、上記請求項1,2記載の発明の効果を確実に得ることができる。
【0019】
請求項6記載の発明によれば、開閉カバーを操作することによって、捕獲状態を確認するときのみ開いて見ればよく、一層衛生感をよくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0021】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における捕獲殺虫装置の斜視図、図2はその断面図、図3はその視認部の正面図である。この実施の形態の捕獲殺虫装置1は、誘虫光を発する誘虫光源2と、誘虫光源2の発する光により誘引されてくる虫を捕獲する粘着シート3と、誘虫光源2と粘着シート3とを内部に配置した箱状の本体4と、視認部5とを備えている。
【0022】
誘虫光源2は、一般的には多くの飛翔虫が好む、例えば、300〜400nmの紫外線を発する直管状の蛍光灯からなり、この実施の形態では2個備えており、本体4の内部に取り付けられたソケットに着脱可能に装着される。ソケットは安定器、インバーター等を備えた点灯装置6に接続されている。
【0023】
粘着シート3は、誘虫光源(蛍光灯)2が発する光に誘引されて飛翔してきて、衝突する虫をひっつけて捕獲する部材で、表面が粘着性を有する粘着面を有している。必要ならば粘着面は殺虫性薬剤を含んだ成分で構成してもよい。そして、粘着シート3は粘着シート固定具33により、着脱可能に本体4の背面側に取り付けられている。このように固定具等用いると、着脱が容易で作業が簡単になる。
【0024】
本体4は、少なくとも一面に開放された開口4aが設けられた本体上部と、本体上部の下部に形成された捕虫皿部8とから箱形状に形成され、視認部5が捕虫皿部8に設けられている。誘虫光源2が開口4aに面して本体4の内部に配置されている。また、開口4aは捕虫皿部8内に形成された空間に連なっており、粘着シート3が捕虫皿部8内に配置されている。
【0025】
視認部5は、捕虫皿部8の前面壁8aに設けられ、背面に取り付けられた粘着シート3の粘着面を観察できるように、粘着シート3に対向して設けられている。そして、視認部5は、この実施の形態においては、図3に示すように、多孔板から形成され、多孔板の開口を通して反対側を見ることができるように構成されている。この多孔板の寸法は、例えば、誘虫光源2のランプ長さの1/10〜1/2とし、分割して設けてもよい。
【0026】
上記のように構成してなる捕獲殺虫装置による捕獲確認操作は、まず、捕虫皿部8内に粘着シート3を設置する。そして、誘虫光源2を点灯して誘虫光を放射し、虫を誘引する。誘虫光に誘引されて飛翔した虫は開口4aから空間内を導かれて粘着シート3に衝突して捕獲される。粘着シート3に捕獲された虫は、視認部5から間接的に透視することにより、外部から確認することができる。
【0027】
以上のように本実施の形態の捕獲殺虫装置1は、少なくとも一面に開放された開口4aが設けられた箱形状の本体内に、光源2と粘着シート3とが内部に配置され、視認部5は粘着シート3に対向して設けられている。それにより、粘着シート3の粘着面を視認部5を透して観察することが可能である。しかも、粘着面は視認部を通して視認するように構成しているので、装置が簡単でよく、捕獲面を直接見るのではなく視認部5を通してみるので、捕獲面が直接むき出している場合に比べて衛生感が向上する。また、粘着シート3を囲う構造であるため、捕獲された虫やその羽や足が空調などの気流で飛散する可能性が減り、食品加工工場などで使用しても、異物混入の危険性を減らすことができる。
【0028】
また、何の操作をしなくても粘着シート3の捕虫状態が確認できるから、衛生管理者が通常の巡回の際に、容易に捕獲面を確認できる。その観察結果に基づき、粘着シート3を交換すればよいから、粘着シート3の交換遅れによる捕虫能力の低下をさけることができる。なお、上記において、捕虫皿部8又は粘着シート固定具33は特に形成しなくても良いが、これらを着脱可能に構成することにより、粘着シート3の交換を虫の脱落や作業者への付着なしに、容易にできる。
【0029】
(実施の形態2)
図4は本発明の実施の形態2における捕獲殺虫装置の側面図、図5はその断面図、図6はその背面図である。この実施の形態の捕獲殺虫装置は、スタンド型であると共に、視認部21は間接的に確認するように構成している点で上記実施の形態とは相違するが、同様の作用をなす部分については同一の符号を付して詳細な説明は省略する。捕獲殺虫装置1は、誘虫光源2と、粘着シート3と、本体4と、点灯装置6、視認部21とを備えている。
【0030】
この実施の形態の粘着シート3は、本体背面側に配置され、光を透過するように構成され、粘着面に捕獲された虫の誘虫光によって形成される影が背面から確認できるようにされている。本体4は、前面と背面はカバー9で覆われ、側面に開放された開口を有し、外観は四角管状をなしている。本体4内には1対のルーバー10が誘虫光源2と並行に間隔をおいて配置されている。なお、図中符号11はベースである。
【0031】
ルーバー10は、前面側から背面側に行くに従い、その間隔が小さくなるように配置され、誘引されてくる虫が粘着シート3に集中するようにされている。視認部21は、粘着シート3の背面に配置されたカバー9に形成された開口と、この開口に設けられた透明なアクリル等のプラスチック等により構成され、光通過性を有している。そして、視認部21は、粘着シート3背面に誘虫光によって形成された虫の陰影を観察できるようにされている。
【0032】
このように捕獲殺虫装置1を構成することにより、誘虫光源2からでた誘虫光が粘着シート3を通過する際、捕獲した虫の影を形成する。従って、粘着面の背面方向に設置された視認部21から粘着面に捕獲された虫の陰影を確認することができる。虫が直接見えず容易に触れられない構造のため、衛生感が高く、何の操作をしなくても粘着シート3の捕虫状態が確認できる。
【0033】
(実施の形態3)
図7は本発明の実施の形態3における捕獲殺虫装置の正面図、図8はその断面図である。この実施の形態の捕獲殺虫装置は、視認部は反射部材から構成され、粘着面を反射部材に映して間接的に確認するように構成している点で上記実施の形態とは相違するが、同様の作用をなす部分については、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。捕獲殺虫装置1は、誘虫光源2と、粘着シート3と、本体4と、点灯装置6、視認部22とを備えている。
【0034】
この実施の形態の粘着シート3は、粘着面が外部から容易に見えない本体4内の下方の奥まった位置に配置されている。本体4は、外観は概略箱状をなし、前面に放された開口4aを有し、背面、底部、側面は板状の壁で閉鎖されている。
【0035】
視認部22は、誘虫光源2の背面の本体の背面壁の前面に設けられた反射板から構成されている。反射板は鏡面ステンレス等の鏡面仕上げされた湾曲した板材が使用される。なお、この反射板の幅方向の寸法は、開口全幅でもよいが誘虫光源2のランプ長さの、例えば、1/10〜1/3としてもよいし、分割して配置するようにしてもよい。
【0036】
このように捕獲殺虫装置1を構成することにより、虫を捕獲した粘着面は本体4内の外部から見えにくい位置に配置されるので、衛生感が高く、何の操作をしなくても粘着シートの捕虫状態が確認できる。
【0037】
以上説明したように、本発明によれば、何の操作をしなくても粘着シートの捕獲された虫は視認部を通して見るので、装置が簡単でよく、捕虫状態が確認できる。しかも、捕獲面を直接見るのではなく視認部を通してみるので、捕獲面が直接むき出している場合に比べて衛生感が向上する。また、粘着シートを囲う構造にできるため、捕獲された虫の羽や足が空調などの気流で飛散する可能性が減り、食品加工工場などで使用しても、異物混入の危険性を減らすことができる。
【0038】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されないことは勿論である。例えば、何の操作をしないで、粘着シートの捕獲された虫は視認部を通して見る例で示したが、図9に示すように、視認部23は光透過部12を覆うスライド式の遮光扉13を設けて構成し、通常は遮光扉13で光透過部12を覆っておくようにしてもよい。このように遮光扉13を設けて構成とすると、一層衛生感間がよくなる。
【0039】
また、視認部の光透過部材を多孔板又は透明アクリル板で構成する例で示したが、着色透明部材や透明表面消し使用や、図10に示すように見えにくく構成してもよい。図10に示す視認部24は、透明部材に不透明な部分14を、例えば、スリット状に印刷などにより形成している。このように透明部を減らしたり、不透明性を増すことにより、捕虫状態が直に見るのに比べて、ある程度見えにくくして、衛生感を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の実施の形態1における捕獲殺虫装置を示す斜視図である。
【図2】その断面図である。
【図3】その視認部の正面図である。
【図4】本発明の実施の形態2における捕獲殺虫装置を示す側面図である。
【図5】その背面図である。
【図6】その断面図である。
【図7】本発明の実施の形態3における捕獲殺虫装置を示す正面図である。
【図8】その断面図である。
【図9】本発明の捕獲殺虫装置の視認部の他の例を示す正面図である。
【図10】本発明の捕獲殺虫装置の視認部のさらに他の例を示す正面図である。
【符号の説明】
【0041】
1 捕獲殺虫装置
2 誘虫光源
3 粘着シート
4 本体
4a 開口
5 視認部
6 点灯装置
8 捕虫皿部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘虫光を発する誘虫光源と、該誘虫光源の発する光により誘引されてくる虫を捕獲する粘着シートと、該粘着シートと前記誘虫光源を内部に配置した本体とからなる捕獲殺虫装置であって、前記粘着シートに捕獲された虫を視認する視認部を設けたことを特徴とする捕獲殺虫装置。
【請求項2】
前記視認部は光を透過して粘着シートの粘着面を視認するように該粘着面に対向して設けたことを特徴とする請求項1記載の捕獲殺虫装置。
【請求項3】
前記本体は外部に連通した空間を有する捕虫皿部を有し、該捕虫皿部に視認部が設けられ、該捕虫皿部内に粘着シートが配置されていることを特徴とする請求項1又は2記載の捕獲殺虫装置。
【請求項4】
前記視認部は反射部からなり、該反射部を介して粘着シートの粘着面を視認するようにされていることを特徴とする請求項1記載の捕獲殺虫装置。
【請求項5】
前記視認部は粘着シートを透かして粘着面裏側から捕獲された虫の影を視認するようにされていることを特徴とする請求項1ないし3記載の捕獲殺虫装置。
【請求項6】
前記視認部は視認を遮断する開閉カバーを備えていることを特徴とする請求項1ないし5記載の捕獲殺虫装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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