説明

排ガス処理のために金属ハニカム体をはんだ付けするための方法

排ガス処理のために金属ハニカム体(1)をはんだ付けするための方法であって、少なくとも以下の工程:(a)400℃より高い温度で、このハニカム体(1)を前処理する工程;(b)このハニカム体(1)を冷却する工程;(c)大気圧下で、1050℃〜1100℃の範囲の温度で、このハニカム体(1)をはんだ付けする工程;(d)このハニカム体(1)を冷却する工程、を含む方法である。さらに、本方法を実施するための適切な装置もまた提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排ガス処理のための金属ハニカム体をはんだ付けするための方法、より詳細には、例えば、ガソリンエンジンおよび/またはディーゼルエンジン等のエンジンからの自動車の燃焼ガスを処理するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
運搬構造物として、セラミックのハニカム体に加えて、例えば、触媒活性物質のために、現在、金属材料を用いて構築される複数の金属ハニカム体もまた存在する。この場合、特に我々が懸念するものは、ハニカム体を形成するために複数の部分を用い、集めて組み立てるハニカム体である。金属の板、金属のシート、金属の箔等が例えばここで用いられる。この場合、箔(ここでは、上述のあらゆる運搬構造物のための一般的な呼称として用いられる)は、少なくとも構造物を形成し、それらがダクトを形成するように互いに配置構成される。このように、例えば、互いにスパイラル状に波型および/または平滑な箔を巻くか、ならびに/またはこれらを積み重ねるか、および/またはこれらを共に曲げてハウジングにそれらを挿入することが公知である。ハウジングもまた主に金属からなる。
【0003】
このような金属ハニカム体の製造においては、これらは、車両の内燃エンジンの排気システムにおいて高い温度負荷および/または動的負荷に、最終的に耐えることが重要である。これに関連して、一方では、変動する熱のストレス(例えば、周囲温度から例えば800℃、またはさらに900℃まで)、ならびに、例えば車両の振動による、および、燃焼プロセスの結果として排気システム内に現れる圧力波の結果としての動的振動に対する励振に言及する必要がある。さらに、このようなハニカム体は、通常、腐食性の高い環境に曝されることもまた指摘されるべきである。これら全ての条件の下で、箔の、別の箔およびハウジングとの連結は、永続的かつ安定するものとして製造されるべきである。特に、箔の部分が緩んだ結果として、それらは排気システムの下流にある部品を危険にさらし、および/または排ガスからの流れ経路を遮断する。
【0004】
さらに、このようなハニカム体の選択的なはんだ付けを実施することは公知である。すなわち、例えば、箔の接触領域全てを、互いに、またはケーシング管にはんだ付けすることは望ましくない。その代わり、例えば、連続した片において、箔とハウジングとの間にはんだ付けされた接合点を提供することが好ましい。また、適切な場合、箔同士のはんだ付けされた接合点に関して、ハニカム構造全体の軸方向の部分領域にはんだ付けがなされ、その他にははんだ付けがなされない。また、ハニカム構造の断面において見られるように、箔同士の間の接触点の部分がはんだ付けされてもよく、かつその他にははんだ付けがなされなくてもよい場合もある。この所望の特定のはんだ付けによって達成されることは、ハニカム体内で生じる熱ストレスを、ハニカム体の部品が互いに対して相対的に移動可能である、ある方向性を有する(directed)変形領域を提供することで補われる。
【0005】
長い耐用年数を適切に有する金属ハニカム体を保証するために、非常に高温かつ真空下で特に実施されるはんだ付けの方法が提案されている。それゆえ正確なプロセス管理が常に維持される必要があり、装置に関して高い費用が必要とされる。このような金属ハニカム体を生成するための方法の例として、特許文献1を参照することができる。この文献では特に、真空状態、ならびに1200℃までの温度および1200℃より高い温度で実施される必要があることが説明されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公報第WO96/08336A1号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述から、本発明の課題は、従来技術に関して概説された問題を少なくとも部分的に解決することである。特に、排ガス処理のために金属ハニカム体をはんだ付けするための方法が提案され、この方法は、シンプルに、連続フロー方法のフレームワーク内において特に実施されることができる。さらに、ある方向性をもったはんだ付けされた接合点を有するハニカム体、および、適切な場合には、永続的な腐食防止が、結果として、製造可能であるべきである。さらに、本方法を実施するための装置もまた特定される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
これらの課題は、特許請求の範囲の請求項1の工程に係る方法、および特許請求の範囲の請求項10の特徴を有する装置により達成される。本発明の有利な改良は、従属の形で編成された特許請求の範囲の請求項において特定される。特許請求の範囲において個々に挙げられた特徴は、任意に所望される技術的に適切な方法において互いに組み合わされてよく、本発明のさらなる改良を示してもよいことは指摘されるべきである。特に、図面に関連した本記載は、さらに詳細に本発明を説明し、さらに、本発明の例示的な実施形態を記す。
【0009】
排ガス処理のために金属ハニカム体をはんだ付けするための本発明に係る方法であって、少なくとも以下の工程:
(a)400℃より高い温度で、上記ハニカム体を前処理する工程;
(b)上記ハニカム体(1)を冷却する工程;
(c)大気圧下で、1050℃〜1100℃の範囲の温度で、上記ハニカム体(1)をはんだ付けする工程;
(d)上記ハニカム体(1)を冷却する工程、
を含む。
【0010】
この段階で、まず、特に本方法により、導入部において記載された金属ハニカム体のそれらのタイプが永続的に連結可能であることが指摘されてよい。ここで「はんだ付け(soldering)」によって意味されることは、公知であるように、常に、ろう付け(brazing)である。
【0011】
工程(a)は、特に、また、複数のプロセスを含んでよい。一般に、工程(a)は、清浄工程とみなされてよい。この場合、例えば、特にハニカム体に含まれる水分を蒸発させるために、まず空気中および大気圧中で、70℃〜100℃の温度まで、ハニカム体を予熱することが可能である。さらに、ハニカム体が、少なくとも400℃の温度、例えば、約500℃または550℃の温度までさらに加熱されるプロセスが実施される。このプロセス工程において、例えば、水分に加えて、油、グリース、または類似の成分もまた、ハニカム体から除かれる。この目的のために、僅かな圧力を加えてよく、その結果、例えば、400から800ミリバール(mbar)の圧力にて400℃より高い温度で、ハニカム体の処理が行われる。工程(a)、または400℃より高い温度処理は、少なくとも60分、適切な場合には、さらに少なくとも80分の時間の間、維持されるべきであり、他方で、エネルギーの理由のために、この処理は、最大で2時間に制限されるべきである。
【0012】
その後、ハニカム体の冷却が開始されるべきである(工程(b))。次いで、ハニカム体は、周囲温度まで冷却されず、上昇した温度を維持することが好適である。冷却プロセス自体は、例えば冷却用空気などの適切な冷却媒体によって実施されてよい。好ましくは、工程(b)において、ハニカム体は、50℃〜250℃の温度まで冷却されて、この温度が維持される。この工程もまた、好ましくは、少なくとも1時間の間、維持されるべきである。
【0013】
その後、金属のハニカム体は、実際のはんだ付けの工程がハニカム体で実施可能であるように準備される(工程(c))。この場合、ハニカム体に含まれるはんだを有するハニカム体は、比較的長時間の間、1050℃〜1100℃の範囲の温度まで加熱される。この場合、実質的には、大気圧(約1000ミリバール)の状況である。ここで特定された温度範囲において、はんだは溶け、金属ハニカム体の所望の特定の領域内において拡散し(適切な場合には、毛管作用の理由による)、そうして連結されるべき所望のはんだ領域を濡らす。
【0014】
その後、ハニカム体は再度冷却される。この場合、ハニカム体の冷却速度は、工程(c)のフレームワーク内での加熱速度に類似することが好ましい。このように、工程(d)において、ハニカム体の冷却は、例えば、少なくとも60分の時間内において達成される。再度の冷却のために、そのプロセスの間、ハニカム体自体のプロセス環境と接触する適切な流体および/または熱交換器が提供されてよい。正確には、流体とハニカム体との接触が起こる場合、使用される流体は好ましくは、ガス状の流体(気体)である。
【0015】
ここで示された方法において、強調されるべき特定の達成とは、はんだ付けプロセス(工程(c))を、真空を用いずとも成し遂げることであり、結果として、このような金属ハニカム体を製造するための装置に関して、扱いおよび費用が著しく軽減される。このような金属ハニカム体が連続して製造され、それゆえ、このプロセス工程において真空を回避することでハニカム体の著しい簡易化およびコスト軽減された製造を導くゆえ、このことは特に重要である。さらに、これにより、装備品の(完全に)自動化された積み込みおよび積み下ろしが可能となる。
【0016】
本方法の開発によれば、永続的なプロセスガスのスカベンジングが少なくとも工程(a)および工程(c)の間に実施されることが提案される。適切な場合、永続的なプロセスガスのスカベンジングが、工程(b)および/または工程(d)の間に実施されることもまた有利であると想定される。「プロセスガスのスカベンジング」が意味することは、ハニカム体の周囲のプロセスガスが処理スペースに供給され、再びここから取り出され、こうしてプロセスガスの永続的な交換が生じることである。この場合、金属ハニカム体の周囲において、特に高純度のプロセスガスが維持可能である。また、プロセスガスの永続的な供給および/または放出の結果として達成されることは、金属ハニカム体から生じる物質、蒸気、粒子等が取り除かれることである。プロセスガスとして想定され得るものは、特に、空気、アルゴン、または水素のガスのうちの少なくとも1つである。工程(b)および(d)におけるハニカム体の冷却は、プロセスガスとして空気によって行われることが好ましい(適切な場合、酸化に対しても、好ましくは、最大で200℃、または最大でも150℃の温度でのみが適している)。ハニカム体が工程(b)および/またははんだ付けの工程(c)において、上昇した温度で維持される一方で、アルゴンが好ましくはプロセスガスとして(主に)用いられる。
【0017】
さらに、温度の上昇が主に工程(c)の間に行われることが有利であると想定される。これは特に、はんだ付けプロセスの間、金属ハニカム体の不意の加熱が望まれないという事実を反映することが意図されている。その代わり、この温度上昇のプロセスは、1050℃〜1100℃という特定の温度範囲でハニカム体を維持するプロセスよりも、より長い時間の間、続くべきである。温度上昇の時間は、上述の温度範囲でハニカム体を維持するよりも、少なくとも20%、適切な場合、50%、または100%長く続くことが好ましい。特に、60分〜100分の時間が温度上昇のために見積もられてもよい。
【0018】
さらに、少なくとも99.999%の純度のプロセスガスが、工程(c)の間に満たされることが有利である。この場合、特に、アルゴンは、保護ガスとして用いられ、他方で、適切な場合、一部(fraction)の水素が供給されてもよい。この場合、最も好ましくは、少なくとも6.0のガスの純度が満たされる。この場合、両方のプロセスガスが、およそ大気圧(約1000ミリバール(mbar))で供給され、連続して交換される。好ましくは、アルゴンおよび水素が同時に用いられる場合、水素の割合は、10容量%を著しく下回る。
【0019】
さらに、ハニカム体は、主な合金成分として、クロムおよびアルミニウムを含む鉄材料によって形成されるべきであり、クロムの割合は、アルミニウムの割合よりも、少なくとも3倍多い。この場合、特に最も好ましくは、クロムの割合は、例えば、12〜25重量%の範囲であり、他方で、アルミニウムの割合は、例えば、3〜6重量%の範囲である。対応する材料の例は、ジャーマンスティールコード(German Steel Code)の番号では、1.4767または1.4725に見出される。
【0020】
さらに、ニッケルベースのはんだが本方法のために用いられ、クロム、リン、およびケイ素が主たる添加剤として存在することが有利であると想定される。特に最も好ましくは、主な添加剤の割合は、クロム、リン、ケイ素の順で減少する。ニッケルベースのはんだのクロム含有量は、ハニカム体の材料のクロムの割合よりも多く、例えば、23〜25重量%の範囲にあることが好ましい。主な添加剤、リンおよびケイ素は共に、クロムの割合を超えるべきではない。対応するニッケルベースのはんだは、例えばウォールコルモノイ社(Wall Colmonoy Ltd.)のニクロブレーズ(Nicrobraz)のデザインにて入手可能である。
【0021】
本方法の開発の結果、ハニカム体は工程(c)の後、工程(e)において酸化される。すなわち、特に、言い換えれば、ハニカム体は、酸化環境、すなわち、例えば、600℃より高く、例えば、約800℃の温度に(再び)曝される。この場合、空気および/または酸素は、プロセスガスとして供給される。この工程(e)は再び、例えば、20分〜60分の間、維持されてよい。工程(e)の間、ハニカム体の表面は、酸化被膜、特に、酸化アルミニウムが備わっている。この酸化被膜は、特に、腐食防止の役割を果たし、互いにはんだ付けされず、互いに保持する箔の接触点の拡散結合を防ぐのに役立つ。
【0022】
工程(e)は、工程(c)のすぐ後に続いてもよく、および/または、周囲のハニカム体の著しい冷却がまず実施されることもまた可能である。従って、特に、工程(c)および(e)を実施するための1つの共通の炉が提供されてもよく、異なる周囲の条件(酸素/保護ガス)は、適切な分離手段(スライド部、中間壁など)によって互いに分離される。このように、工程(e)は、例えば、はんだが溶ける温度(例えば50℃以下)のすぐ下で実施されてもよく、その結果、工程(e)および(c)は、直接に、空間的に近接して実施されることができる。
【0023】
さらに、工程(c)の間、酸素含有量の監視が行われることが有利であると想定される。この目的のために、処理チャンバへの入り口において、または、本方法の工程の始めに、および/あるいは、処理チャンバの出口において、または、本方法の終わりに、対応するセンサが提供されてもよく、このセンサが、特に、存在する酸素に対して、プロセスガスの量または質を検出する。この場合、特に、公知であるラムダプローブが用いられる。
【0024】
特に、本方法の首尾良い連続性の適合性を保証するために、連続フロープロセスの方式が本方法において実施される。ここで、ハニカム体は、例えば、特定の維持システムにおいて配置され、ならびに、均一の特定のクロック周波数(clock frequency)にて、個々の処理段階を通じて、相互連結され、適切であれば、閉じられた運搬システムに沿って導かれる。
【0025】
上記した連続フロープロセスにおいて、本方法を正確に実施するために、工程(a)を実施するための第1の炉および工程(c)を実施するための第2の炉が提供され、これら2つの炉を通して延びている運搬システムをさらに有する装置は、クロックドライブを有し、スライド部によって周囲領域にさらに区分けされていることが好ましい。この運搬システムは、好ましくは、円形のコンベヤであり、これにより、複数のハニカム体を運搬することができ、かつ同時に処理することができる。この場合、運搬システムは、適切な場合、(部分的に)囲まれ、他方で、その運搬方向において、その運搬システムが動いている間、ハニカム体を互いに分離するスライド部が、温度および/またはそのスライド部の間にあるプロセスガスに対する明確な周囲領域を規定している。移動する場合、スライド部は、(短く)開き、特定数のハニカム体が各々の周囲領域に導入され、かつそこから取り出される。
【0026】
本発明および技術的背景は、図面を参照して以下でさらに詳細に説明される。図面に示される設計の変形は好適であるが、本発明はそれらに限定されないことは指摘されるべきである。図面は概略的に示される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1は、金属ハニカム体の例示的な実施形態の上面図を示す。
【図2】図2は、本発明に係る方法の設計の変形のフローチャートを示す。
【図3】図3は、本方法を実施するための装置の設計の変形の組立て配置を示す。
【図4】図4は第1の温度曲線を示す
【図5】図5は第2の温度曲線を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1は、金属ハニカム体1の設計の変更を概略的に示す。ハニカム体1はここで実質的に円筒形のハウジング10を有するが、これは必ずしも必要ではない。ハウジング10内には、ここで互いに交互に積み重ねられ、その後、S字状に巻かれてハウジング10に挿入される平滑な箔12および構造化された箔13である複数の箔が配置されている。箔をS字状に巻くことによって達成されることは、これらの箔が全て、ハウジング10の内側表面に、それらの端部17全てが保持されることである。これにより、各々の箔を、少なくともその両端において、しっかりとハウジングに固定することを可能とする。平滑な箔12および構造化された箔13のこの配置構成の結果、接触点16が形成されて、そこで箔は互いに保持される。接触点16は、ここで端面11から見た場合、ハニカム体1を通して実質的に線形に延びているが、必要に応じて、線形の接触点16全体のうちの部分領域のみが、実際には、はんだ付けされた接合点15を有するように設計されている。はんだ付けされた接合点15を形成する接触点16の数は比較的少なくてもよい。従って、例えば、箔はまず、具体的に、特定の、局地的に接近した限られた部分において、接着剤が備わっており、その結果、ニッケルベースのはんだ2が、これらの特定の部分にのみ正確に接着されて、続いて、はんだ付けされた接合点15を形成する。次いで、例えば、全ての箔がハウジング10においてはんだ付けされた接合点15を形成し、少なくとも、端面11と平行する断面である、この断面または別の断面において、箔の接触点16の最大10%、または最大でも5%のみが、互いに、はんだ付けされた接合点15を有するように設計されている。
【0029】
最後に、平滑な箔12および構造化された箔13によって形成されたダクト14は、触媒活性の物質が備わっていてよく、その結果、ハニカム体は、例えば、自動車の構成における内燃エンジンにおいて生成される排ガスの処理のための触媒担体本体として特に用いられることができる。
【0030】
図2は、このようなハニカム体のための可能な製造プロセスを模式的に示すことが意図されている。図2において、例えば、箔の処理(A)がまず行われる。箔の処理の間、特に、箔の構造化が行われ、その一方で、必要であれば、箔の機械的処理および/または化学的処理もまた実施されてよい。その後、接着剤の塗布(B)がハニカム体の箔の少なくとも1つに行われてもよい。この場合、供給されるはんだ材料が後に接着する接着剤などが、構造化された箔および/または平滑な箔の正確な所定位置に特に塗布される。これらの準備手段の後、ハニカム体の組立て(C)を開始できる。この目的のために、特定数の平滑な箔および構造化された箔が層化され、(少なくとも部分的に)ハウジングに挿入されてもよく、かつこの場合、それらの箔はまた、特に巻かれるか、巻き付けられた形状であってもよい。特に、ハニカム体の組立て(C)の後に達成されることは、箔が、互いに、および所望の位置(例えば適切なプレテンション方式を用いて)においてハウジングに固定されて、その結果、箔は、その後の処理の間でも、互いに位置ズレを生じない。複数のこのようなハニカム体は、次いで、例えば、適切な位置に配置可能である。このように、熱処理のための運搬システムを備えること(D)が可能となり、こうしてハニカム体は、例えば運搬のための適切な荷台の上で、安定した方法において保護されかつ運搬される。本発明に係る本方法は後で行われてもよい。この場合、複数のハニカム体は、第1の工程において、まず予熱される(E)。工程(a)に係る前処理(F)が次いで実施される。この後に、本明細書で説明されるように、本発明に係る方法の工程(b)によって、冷却プロセス(G)が行われる。工程(c)に係る実際のはんだ付け(H)が次いで行われる。はんだ付け(H)の後、本方法の工程(d)によって説明されるように、再度の冷却プロセス(G)が行われる。ここで図示された変形において、本方法の工程(e)によって説明されるように、その後、酸化(I)が行われる。ここで、単に完全を期すために、酸化(I)はまた、例えば、対応するチャンバにさらに区分けされた炉内で、はんだ付け(H)の直後に行われてもよいことも指摘され得る。ハニカム体が次いで冷却されると、ハニカム体はまた、適切な場合、コーティング(K)されてもよく、このコーティング(K)は、通常、閉じた運搬システム内ではもはや行われず、外部で行われる。
【0031】
図3は、工程(a)から(e)を有する方法を実施するための装置3の可能な組立てを図示する。最初に明らかなことは、図3の左側において、ハニカム体を有する荷台18が運搬システム6上に積まれている(D)ことである。次いで、これらの荷台は、まず予熱されて、対応する領域へと移動される(E)。荷台18を運搬するために、複数のクロックドライブ7が用いられ、これらが荷台を大きく振動させることなく前方に押す。
【0032】
予熱した後、荷台18は、2つのスライド部8により、周囲から分離されている第1の炉4に導入されて、特定の周囲領域9に入れられる。ハニカム体の前処理(すなわち、本方法の工程(a))はこの第1の炉4で行われる。この場合、特に、400℃以上の温度が設定されて、永続的なプロセスガスによるスカベンジング19が実施される。
【0033】
第1の炉4を通過した後、ハニカム体を有する荷台18は、まず冷却領域(G)に到達し、ハニカム体は、例えば、50℃〜100℃の間の温度にて、保温するデバイスにより、第2の炉5まで保持され、永続的なプロセスガスによるスカベンジング19が、特にアルゴンを用いて、ここでもまた実施される。僅かな圧力が第1の炉4内に設定され、スライド部8によって区切られている一方で、以降の領域においては再び大気圧の状態である。
【0034】
その後、ハニカム体を有する荷台18は、本方法の工程(c)に係る実際のはんだ付け(H)が行われる第2の炉5に到達する。プロセスガスの純度を監視するために、センサ20が第2の炉5の入口と出口に提供される。さらに、第2の炉5の出口に、酸化(I)が既に(部分的に)行われているチャンバを直接に提供することもまた可能である。
【0035】
第2の炉を去った後、冷却がまず行われ、その後、(代替として、または追加として)ハニカム体が再び運搬システム6の一部に最終的に運搬される前に、それらのハニカム体の酸化(I)が行われ、この運搬システム6において、処理済みのハニカム体を再び取り出すことができる。
【0036】
図4は、ハニカム体が第1の炉4を通過するとき、または本方法の工程(a)が行われたときのハニカム体の温度プロフィールを図式的に示す。従って、この図において、温度[T]が前処理(F)の間の時間[t]に対して示されている。この場合、特に400℃として与えられた限界温度が破線で示される。この限界温度より高い温度が、その時間および前処理(F)の大部分の間、ハニカム体に対して維持されることを見ることができる。
【0037】
これとは対照的に、図5は、本方法の工程(c)の変形に係るはんだ付け(H)の間のハニカム体の温度プロフィールを図式的に示す。温度[T]が時間[t]に対して再度示されているが、その縮尺は図4と同じではない。しかしながら、図5においては、加熱処理がはんだ付け(H)の長い時間に生じ、冷却が再び始まる前に、ハニカム体は、ほんの短い時間の間、特定の温度範囲内に存在することを見ることができる。
【符号の説明】
【0038】
1 ハニカム体
2 ニッケルベースのはんだ
3 装置
4 第1の炉
5 第2の炉
6 運搬システム
7 クロックドライブ
8 スライド部
9 周囲領域
10 ハウジング
11 端面
12 平滑な箔
13 構造化された箔
14 ダクト
15 はんだ付けされた接合点
16 接触点
17 端部
18 荷台
19 プロセスガスのスカベンジング
20 センサ
A 箔の処理
B 接着剤の塗布
C ハニカム体の組立て
D 積み込み
E 予熱
F 前処理(工程(a))
G 冷却プロセス(工程(b)および(d))
H はんだ付け(工程(c))
I 酸化(工程(e))
K コーティング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排ガス処理のために金属ハニカム体(1)をはんだ付けするための方法であって、少なくとも以下の工程:
(a)400℃より高い温度で、前記ハニカム体(1)を前処理する工程;
(b)前記ハニカム体(1)を冷却する工程;
(c)大気圧下で、1050℃〜1100℃の範囲の温度で、前記ハニカム体(1)をはんだ付けする工程;
(d)前記ハニカム体(1)を冷却する工程、
を含む、方法。
【請求項2】
永続的なプロセスガスのスカベンジング(19)が、少なくとも工程(a)および工程(c)の間、行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
温度の上昇が工程(c)の間、主に行われる、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
少なくとも99.999%の純度のプロセスガスが、工程(c)の間に満たされる、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記ハニカム体(1)は、主な合金化元素として、クロムおよびアルミニウムを含む鉄材料によって形成され、前記クロムの割合は、前記アルミニウムの割合よりも、少なくとも3倍多い、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
ニッケルベースのはんだ(2)が用いられ、クロム、リン、およびケイ素が主な添加剤として存在する、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記ハニカム体(1)は、工程(c)の後、工程(e)において酸化される、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
酸素含有量の監視は工程(c)の間に行われる、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
連続フロープロセスの方式が実施される、請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の方法を実施するための装置(3)であって、前記装置(3)は、工程(a)を実施するための第1の炉(4)および工程(c)を実施するための第2の炉(5)が提供され、前記2つの炉を通して延びている運搬システム(6)をさらに有し、クロックドライブ(7)を有し、スライド部(8)によって周囲領域(9)にさらに区分けされている、装置(3)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−502797(P2012−502797A)
【公表日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−526451(P2011−526451)
【出願日】平成21年8月25日(2009.8.25)
【国際出願番号】PCT/EP2009/060934
【国際公開番号】WO2010/031659
【国際公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(500038927)エミテック ゲゼルシヤフト フユア エミツシオンス テクノロギー ミツト ベシユレンクテル ハフツング (156)
【Fターム(参考)】