説明

排ガス浄化用触媒

【課題】耐熱性と触媒活性の両方の性能が改善された排ガス浄化用触媒を提供する。
【解決手段】Co34と、一般式xCeO2・(1−x)ZrO2で表されるCeO2−ZrO2複合酸化物とを含み、式中、0.3<x<1.0であることを特徴とする排ガス浄化用触媒が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排ガス浄化用触媒、より詳しくは触媒成分として酸化コバルト(II,III)(Co34)を含む排ガス浄化用触媒に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車の排ガス浄化用触媒としては、一酸化炭素(CO)及び炭化水素(HC)の酸化と窒素酸化物(NOx)の還元とを同時に行う三元触媒が用いられている。このような触媒としては、アルミナ(Al23)等の多孔質酸化物担体に、白金(Pt)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)等の白金族元素を担持させたものが広く知られている。
【0003】
しかしながら、これらの白金族元素は、自動車の排ガス規制の強化とともに使用量が増加しており、それゆえ資源の枯渇が懸念されている。このため、白金族元素の使用量を減らすとともに、将来的には、白金族元素の役割を他の金属等で代替することが必要とされている。
【0004】
そこで、白金族元素の使用量を減らすための又はそれに代わる触媒成分について多くの研究が行われている。このような触媒成分の1つに酸化コバルト(II,III)(Co34)があり、これを用いた排ガス浄化用触媒について幾つかの提案がなされている。
【0005】
特許文献1では、平均粒子径が1nm〜2μmであり、且つ、酸素の電子の結合エネルギーが531.3eVより低エネルギー側にシフトしている遷移金属酸化物から成る触媒粉末を含有し、上記遷移金属酸化物の表面に担持され、又は上記遷移金属酸化物と固溶体を形成している酸素放出材料をさらに含有することを特徴とする浄化触媒が記載され、実施例において、上記の遷移金属酸化物として酸化コバルト(II,III)(Co34)、そして上記の酸素放出材料として酸化セリウム(CeO2)を使用した浄化触媒が具体的に開示されている。また、特許文献1では、このような構成を有する浄化触媒によれば、遷移金属酸化物が活性点としてより効果的に機能することができると記載されている。
【0006】
特許文献2では、粒径が150μm未満の、アルミナ粉末と酸化ニッケル及び/又は酸化コバルト粉末とを、混合、成型した触媒であって、酸化ニッケル及び/又は酸化コバルトが1〜10重量%含有することを特徴とする排ガス中の窒素酸化物浄化用触媒が記載されている。また、特許文献2では、このような構成を有する排ガス中の窒素酸化物浄化用触媒によれば、酸素過剰雰囲気下の排ガス中に存在する窒素酸化物を高い転化率で窒素ガスに分解することができ、さらに一酸化二窒素の副生を完全に抑制することが可能であると記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−104973号公報
【特許文献2】特開平7−080308号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
自動車排ガス浄化用触媒の用途では、触媒の曝される温度が常温と約1000℃の間で繰り返し変動するため、このような使用条件下においても、触媒の熱劣化を抑制して高い触媒活性を維持することが極めて重要である。
【0009】
特許文献1及び2では、上記のとおり、触媒成分としてCo34等の酸化コバルトを含む触媒について検討がなされている。しかしながら、これらの特許文献では、触媒の熱劣化の抑制すなわち耐熱性の改善と、触媒活性の向上という2つの観点からは必ずしも十分な検討がなされていない。したがって、これらの特許文献に記載の触媒では、その触媒性能に関して依然として改善の余地があった。
【0010】
そこで、本発明は、新規な構成により、耐熱性と触媒活性の両方の性能が改善された排ガス浄化用触媒を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決する本発明は下記にある。
(1)Co34と、一般式xCeO2・(1−x)ZrO2で表されるCeO2−ZrO2複合酸化物とを含み、式中、0.3<x<1.0であることを特徴とする、排ガス浄化用触媒。
(2)前記CeO2−ZrO2複合酸化物がCeO2−ZrO2固溶体であることを特徴とする、上記(1)に記載の排ガス浄化用触媒。
(3)0.4≦x<1.0であることを特徴とする、上記(1)又は(2)に記載の排ガス浄化用触媒。
(4)x=0.5であることを特徴とする、上記(3)に記載の排ガス浄化用触媒。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、触媒成分としての酸化コバルト(II,III)(Co34)を、セリウムとジルコニウムのモル比(Ce/Zr比)が3/7よりも大きいCeO2−ZrO2複合酸化物、特にはCeO2−ZrO2固溶体と組み合わせることにより、Co34粉末をAl23粉末と混合してなる従来の触媒に比べて、得られる排ガス浄化用触媒の耐熱性を顕著に改善するとともに、優れた触媒活性、特には優れたCO酸化活性を達成することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】CeO2−ZrO2複合酸化物中に含まれるCeの割合と触媒の耐熱性との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の排ガス浄化用触媒は、Co34と、一般式xCeO2・(1−x)ZrO2で表されるCeO2−ZrO2複合酸化物とを含み、式中、0.3<x<1.0であることを特徴としている。
【0015】
酸化コバルト(II,III)(Co34)は、酸化物イオンの立方最密充填単位格子の八面体間隙にCo3+イオンが配置され、さらに四面体間隙にCo2+イオンが配置されたスピネル型構造を有する金属酸化物であり、そのCo3+イオンの存在のために高い酸化活性を有することが一般的に知られている。
【0016】
また、このCo34の粉末を、例えば、排ガス浄化用触媒等において一般的に用いられるアルミナ(Al23)粉末と混合することで、一酸化炭素(CO)や炭化水素(HC)に対して酸化活性を有する触媒を調製することが可能である。しかしながら、このような触媒はその耐熱性が必ずしも十分なものでない場合があり、それゆえ、このような触媒を、触媒の曝される温度が常温と約1000℃の間で繰り返し変動する自動車排ガス浄化用触媒の用途において適用することは困難である。
【0017】
何ら特定の理論に束縛されることを意図するものではないが、Co34粉末とAl23粉末を混合してなる触媒では、高温の使用時にCo34とAl23の固溶が進行してCoAl24からなる固溶体が形成すると考えられる。このような固溶体が形成することで、当初のCo34中に含まれていたCo3+イオンがCo2+イオンに変化し、結果として触媒の活性が低下するものと考えられる。
【0018】
本発明者らは、Co34粉末を、特定のCe/Zr比(モル比)を有するCeO2−ZrO2複合酸化物の粉末と組み合わせることにより、Co34粉末をAl23粉末と混合してなる従来の触媒に比べて、得られる排ガス浄化用触媒の耐熱性を顕著に改善することができ、さらには優れた触媒活性、特には優れたCO酸化活性を達成することができることを見出した。
【0019】
本発明の排ガス浄化用触媒において用いられるCo34としては、商業的に入手可能な任意のCo34を使用することができる。あるいはまた、Co34は、当業者に公知の任意の方法によって調製してもよい。例えば、Co34は、金属コバルトや、その酸化物、炭酸塩、硝酸塩、水酸化物等を空気中800℃以下の温度において加熱焼成することにより調製することができる。
【0020】
なお、上記のCo34は、排ガス中の有害成分、特にはCOやHCの酸化に対して触媒活性を示すのに十分な量において使用すればよく特に限定されないが、一般的には、Co34中のCo量が排ガス浄化用触媒全体の質量に対して0.1〜60wt%となるような量において使用することができる。
【0021】
本発明の排ガス浄化用触媒は、上記のCo34とともに、一般式xCeO2・(1−x)ZrO2で表され、式中、0.3<x<1.0であるCeO2−ZrO2複合酸化物を含む。
【0022】
上記式中のxが0.3以下の場合、すなわち、CeO2−ZrO2複合酸化物中に含まれるセリウムとジルコニウムのモル比(Ce/Zr比)が3/7以下の場合には、得られる排ガス浄化用触媒の耐熱性の向上に関して十分な効果を達成することができない。一方で、上記式中のxが1.0の場合、すなわち、ZrO2を全く含まないCeO2単独の金属酸化物をCo34とともに使用した場合には、得られる排ガス浄化用触媒の耐熱性は改善されるものの、触媒活性の観点においては必ずしも高い触媒性能を達成することができない。本発明によれば、上記式中のxが0.3<x<1.0、好ましくは0.4≦x<1.0、より好ましくはx=0.5であるCeO2−ZrO2複合酸化物をCo34とともに使用することで、耐熱性の向上だけでなく、触媒活性、特にはCO酸化活性の点においても顕著に改善された排ガス浄化用触媒を得ることができる。さらに言えば、特に低温での浄化性能の観点からも、CeO2には少なくともZrを添加することが好ましい。すなわち、CeO2に少なくともZrを添加したCeO2−ZrO2複合酸化物をCo34とともに使用することで、CeO2単独の金属酸化物を使用した場合に比べて低温での浄化性能を顕著に改善することができる。
【0023】
先に述べたとおり、Co34は、Co3+イオンとCo2+イオンの両方を含む金属酸化物である。そして、このCo34を用いた触媒においてCOやHC等の酸化に対して十分な触媒活性を発揮するためには、Co3+イオンの存在が極めて重要であると考えられる。ところが、このCo34を高温下において使用すると、例えば、Co34中に含まれるCo3+イオンがCo2+イオン等へ還元され、あるいはCo34がCoO(酸化コバルト(II))等に変化するなどして、酸化活性を有するCo3+イオンの量が減少すると考えられる。その結果として、このような金属酸化物を触媒成分として含む触媒の活性が低下してしまう。
【0024】
何ら特定の理論に束縛されることを意図するものではないが、本発明の排ガス浄化用触媒においてその耐熱性が向上したのは、Co34をCeO2−ZrO2複合酸化物とともに使用することで、上記のようなCo3+イオンからCo2+イオンへの還元が抑制されたことによるものと考えられる。
【0025】
より詳しく説明すると、CeO2−ZrO2複合酸化物は、三元触媒等の排ガス浄化能力を高めるために排ガス中の酸素濃度が高いときには酸素を吸蔵し、排ガス中の酸素濃度が低いときには酸素を放出する、いわゆる酸素吸放出能(OSC能)を有する材料として当技術分野において一般的に知られている。したがって、このような材料をCo34と組み合わせて使用することで、例えば、高温の使用条件下においても、CeO2−ZrO2複合酸化物から放出される酸素によってCo34中のCo3+イオンのCo2+イオンへの還元が抑制され、あるいはCo34からCoO等への変化を抑制することができると考えられる。
【0026】
本発明におけるCeO2−ZrO2複合酸化物としては、商業的に入手可能な任意のCeO2−ZrO2複合酸化物又は当業者に公知の任意の方法によって調製したCeO2−ZrO2複合酸化物を使用することができ、好ましくはセリアとジルコニアが互いに固溶したCeO2−ZrO2固溶体を使用することができる。
【0027】
本発明におけるCeO2−ZrO2複合酸化物として、このようなCeO2−ZrO2固溶体を使用することで、得られる排ガス浄化用触媒の耐熱性と触媒活性の両方をさらに顕著に改善することができると考えられる。より詳しく説明すると、CeO2を含む酸素吸放出材では、一般に以下の反応式によって酸素が吸放出される。
CeO2 ⇔ CeO1.5 + 1/4O2
【0028】
上記の反応式からも明らかなように、CeO2から酸素が放出されると、CeO2中のCe4+イオンがCe3+イオンへと還元される。しかしながら、このようなCe4+イオンからCe3+イオンへの還元によるイオン半径の増大は結晶学的には極めて大きな変化であり、それゆえCeO2の結晶格子の歪みを引き起こして格子を不安定化させる。したがって、このような反応はエネルギー的には非常に不利な反応である。しかしながら、CeO2−ZrO2固溶体では、CeO2結晶格子中のCeイオンの一部がよりイオン半径の小さなZrイオンに置き換わるため、Ceイオンのイオン半径の増大に伴う結晶格子の歪みを緩和することが可能となる。このため、CeO2−ZrO2固溶体は、CeO2に比べて非常に高いOSC能を有する。したがって、このような高いOSC能を有するCeO2−ZrO2固溶体をCo34と組み合わせて使用することにより、酸化活性を有するCo3+イオンのCo2+イオンへの還元をより顕著に抑制することができ、結果として、得られる排ガス浄化用触媒の耐熱性と触媒活性の両方をさらに改善することができると考えられる。
【0029】
なお、このようなCeO2−ZrO2固溶体は、当業者に公知の任意の方法によって調製することができる。例えば、当該固溶体を構成するセリウムとジルコニウムの各塩を、所望のCe/Zr比(モル比)に対応した量において溶解した混合溶液に、アンモニア水等のアルカリ性物質を加えて共沈させ、それを熱処理することによってセリアとジルコニアが互いに固溶したCeO2−ZrO2固溶体を調製することができる。
【0030】
また、本発明の1つの実施態様によれば、上記のCeO2−ZrO2複合酸化物は、触媒成分であるCo34と粉末状態において物理的に混合され、必要に応じてペレット等の形状に成形されて使用される。しかしながら、本発明の排ガス浄化用触媒は、このような実施態様に何ら限定されるものではなく、例えば、CeO2−ZrO2複合酸化物を触媒担体として使用し、それに触媒成分であるCo34を担持してもよいし、あるいはCeO2−ZrO2複合酸化物とCo34が固溶体を形成したものを本発明の排ガス浄化用触媒として使用してもよい。
【0031】
以下、実施例によって本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
【実施例】
【0032】
[実施例1]
[CeO2−ZrO2複合酸化物の調製]
まず、セリウム塩としての硝酸セリウムアンモニウム((NH42Ce(NO36)とジルコニウム塩としてのオキシ硝酸ジルコニウム二水和物(ZrO(NO32・2H2O)とをCe/Zr比(モル比)=1.0となるような量において所定量の蒸留水に溶解した。次いで、この溶液に中和剤としてアンモニア水を加えて共沈させ、得られた共沈物を120℃で8時間乾燥し、500℃で2時間焼成してセリアとジルコニアが互いに固溶したCeO2−ZrO2複合酸化物(Ce/Zr比=1.0、比表面積:50〜60m2/g)の粉末を得た。
【0033】
[触媒の調製]
アルドリッチ社製のCo34ナノパウダー(結晶子径:24nm)と上で調製したCeO2−ZrO2複合酸化物の粉末を、Co34ナノパウダー中のCoが触媒全体の質量に対して5.0wt%(Co34としては6.8wt%)となるような量において乳鉢内で物理的に混合し、Co34とCeO2−ZrO2複合酸化物の混合粉末からなる排ガス浄化用触媒を得た。
【0034】
[比較例1]
CeO2−ZrO2複合酸化物の代わりにCeO2を用いたこと以外は実施例1と同様にして、Co34とCeO2の混合粉末からなる排ガス浄化用触媒を得た。
【0035】
[比較例2]
CeO2−ZrO2複合酸化物の代わりにAl23を用いたこと以外は実施例1と同様にして、Co34とAl23の混合粉末からなる排ガス浄化用触媒を得た。
【0036】
[触媒の評価]
実施例1並びに比較例1及び2の各排ガス浄化用触媒について、それらのCO酸化活性及びHC酸化活性を評価した。なお、上で調製した各排ガス浄化用触媒の粉末を196MPaの圧力でプレスしてペレット状に成形したものを評価用試料とした。次に、これらの各ペレット触媒2.0gについて、表1に示す各評価用モデルガスを10L/分の流量で触媒床に流しながら、当該触媒床の温度を100℃から20℃/分の昇温速度で昇温し、CO又はC36の浄化率が50%になる温度をそれぞれCO50%浄化温度及びHC50%浄化温度として測定した。その結果を表2に示す。
【0037】
なお、実施例1並びに比較例1及び2における各排ガス浄化用触媒の耐熱性を調べるために、空気中700℃で5時間焼成した後の各排ガス浄化用触媒のCO50%浄化温度及びHC50%浄化温度についてもそれぞれ測定した。そして、このような熱処理を行わなかった場合のCO50%浄化温度及びHC50%浄化温度との温度差をそれぞれ算出することで、各排ガス浄化用触媒の耐熱性を評価した。これらの結果についても併せて表2に示している。
【0038】
【表1】

【0039】
【表2】

【0040】
表2を参照すると、700℃の熱処理を行っていない初期の触媒活性について言えば、Co34とAl23の混合粉末からなる比較例2の排ガス浄化用触媒では、実施例1及び比較例1の各排ガス浄化用触媒に比べてCO及びHC50%浄化温度が低く、それゆえCO及びHCの酸化活性が高かった。しかしながら、700℃の熱処理を施すことにより、比較例2の排ガス浄化用触媒のCO及びHC50%浄化温度は大きく上昇し、すなわちCO及びHCの酸化活性が大きく低下したのに対し、実施例1及び比較例1の各排ガス浄化用触媒では、700℃熱処理後のCO及びHC酸化活性の低下が非常に小さく、それゆえ触媒の耐熱性が大きく向上した。
【0041】
一方で、Co34とCeO2の混合粉末からなる比較例1の排ガス浄化用触媒では、触媒の耐熱性は向上したものの、比較例2の排ガス浄化用触媒に比べてCO及びHC50%浄化温度が非常に高く、それゆえCO及びHCの酸化活性が低かった。これに対し、Co34とCeO2−ZrO2複合酸化物の混合粉末からなる実施例1の排ガス浄化用触媒では、触媒の耐熱性が向上しただけでなく、触媒活性の観点でも比較例2の排ガス浄化用触媒と同等か又はそれよりも高い酸化活性を示し、特に700℃の熱処理後において高いCO酸化活性を示した。なお、表2に示す実施例1と比較例1の結果からも明らかなように、CeO2単独の金属酸化物ではなく、CeO2−ZrO2複合酸化物をCo34とともに使用することで、低温での浄化性能が顕著に向上した。
【0042】
[CeO2−ZrO2複合酸化物中のCe量の影響]
次に、実施例1の排ガス浄化用触媒について、CeO2−ZrO2複合酸化物中に含まれるCeの割合を0〜100モル%まで変化させた場合の各排ガス浄化用触媒の耐熱性を調べた。なお、試験は、上で説明したのと同様の操作によって行い、すなわち、各排ガス浄化用触媒について700℃熱処理前後のCO50%浄化温度を測定し、それらの温度差を算出することで各排ガス浄化用触媒の耐熱性を評価した。その結果を図1に示す。
【0043】
図1は、CeO2−ZrO2複合酸化物中に含まれるCeの割合と触媒の耐熱性との関係を示すグラフである。図1は、横軸にCeO2−ZrO2複合酸化物中に含まれるセリウムとジルコニウムの全モル量に対するセリウムの割合(モル%)を示し、縦軸に700℃熱処理前後におけるCO50%浄化温度の温度差(℃)を示している。図1の結果から明らかなように、CeO2−ZrO2複合酸化物中のセリウムの割合を30モル%よりも多くすることで、とりわけセリウムの割合を40モル%以上とすることで、得られる排ガス浄化用触媒の耐熱性が顕著に向上した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
Co34と、一般式xCeO2・(1−x)ZrO2で表されるCeO2−ZrO2複合酸化物とを含み、式中、0.3<x<1.0であることを特徴とする、排ガス浄化用触媒。
【請求項2】
前記CeO2−ZrO2複合酸化物がCeO2−ZrO2固溶体であることを特徴とする、請求項1に記載の排ガス浄化用触媒。
【請求項3】
0.4≦x<1.0であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の排ガス浄化用触媒。
【請求項4】
x=0.5であることを特徴とする、請求項3に記載の排ガス浄化用触媒。

【図1】
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【公開番号】特開2012−166115(P2012−166115A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−26818(P2011−26818)
【出願日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】