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排ガス浄化用Co3O4/CeO2複合触媒の製造方法およびそれによって得られた触媒
説明

排ガス浄化用Co3O4/CeO2複合触媒の製造方法およびそれによって得られた触媒

【課題】低温での排ガス中のCOなどの未反応物の浄化能を有する排ガス浄化用Co/CeO複合触媒の製造方法を提供する。
【解決手段】排ガス中のCOを浄化するためのCo/CeO複合触媒の製造方法であって、CoとCeとの合計量に対するCoの質量割合[(Co/(Co+Ce)、%表示]が70%以上且つ100%未満である前記2種類の金属酸化物の出発原料を用意する工程、前記出発原料および中和剤の混合溶液に超攪拌によるせん断応力を加えて前記混合溶液を混合し、Coの前駆体およびCeOの前駆体を含む混合物を生成させる工程、前記前駆体を含む混合物から粉末を分離する工程、および得られた粉末を乾燥、焼成してCoナノ粒子およびCeOナノ粒子の混合物を生成させる工程を含む、前記製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排ガス浄化用のCoとCeOとを含む複合触媒(以下、Co/CeO複合触媒と略記する場合もある。)の製造方法およびそれによって得られたCo/CeO複合触媒に関し、さらに詳しくは低温での一酸化炭素(CO)等の未反応物の浄化能を有する排ガス浄化用Co/CeO複合触媒の製造方法およびそれによって得られたCo/CeO複合触媒に関するものである。
【背景技術】
【0002】
内燃機関、例えば自動車エンジンから排出される排ガス中には運転開始時などの低温下に燃料のガソリンあるいは灯油の酸化が完全には行われず未反応物であるCO、炭化水素(HC)が排ガス中に含まれている。
この排ガス中に含まれるCOやHCを除去する触媒として貴金属が必須成分として用いられているが、資源的な観点から貴金属以外の金属あるいは金属酸化物触媒が求められている。
一方、CO浄化能を示す触媒としてCo/CeO複合触媒が知られているが、触媒の浄化活性、特に低温活性が十分ではなくその改良が求められている。
また、Co/CeO複合触媒については、様々な検討がなされている。
【0003】
例えば、非特許文献1には、メタン燃焼のためのCo/CeO複合体が記載されており、Coの重量比30%で活性が向上したことが示されている。しかし、CO酸化能については言及されていない。
また、特許文献1には、CeとZr、Pr、Yから選ばれた少なくとも一種とを含む多孔質担体上に担持されたCo、Fe、Cu、Nb、Taから選ばれた少なくとも一種を含む触媒活性成分を含むNOx浄化触媒を備えた排ガス浄化装置が記載されており、具体例としてCeOを溶媒に懸濁させてCoのアルコキシドを溶解させた溶媒溶液を加え、攪拌混合、溶媒除去後、加熱焼成してCoとCeとの合計量に対するCoの質量割合[(Co/(Co+Ce)、%表示]が4.3%であるCo/CeO触媒粉を含浸法で得た例が示されている。
【0004】
また、特許文献2には、平均粒子径が1nm〜2μmで、マンガン、鉄、コバルト、ニッケルおよび銅から成る群より選ばれた少なくとも1種の遷移元素を遷移金属酸化物とセリウム、プラセオジウム、ネオジウム、イットリウムおよびスカンジウムから成る群より選ばれた少なくとも1種の希土類元素を含む希土類元素酸化物とからなる触媒粉末を含有する浄化触媒が記載されており、具体例として硝酸コバルト水溶液と硝酸セリウム水溶液との混合液に水酸化ナトリウム水溶液を加え、沈殿物を形成し、沈殿物をろ過、洗浄、乾燥、焼成、粉砕工程を経て、Co:CeO=1mol:16mol、従ってCoとCeとの合計量に対するCoの質量割合[(Co/(Co+Ce)、%表示]が56%であり平均粒径が500nmの浄化触媒を得た例が示されている。また、混合条件について限定はなく一般的な混合法が用いられていると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−138591号公報
【特許文献2】特開2010−104973号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Liotta et al.Appl.Cata. B66(2006)217
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、これら公知の技術によれば、排ガス中のCOなどの未反応物の低温での浄化能を有する排ガス浄化用Co/CeO複合触媒を得ることは困難であった。
従って、本発明の目的は、排ガス中のCOなどの未反応物の低温での浄化能を有する排ガス浄化用Co/CeO複合触媒の製造方法を提供することである。
また、本発明の他の目的は、前記排ガス浄化用Co/CeO複合触媒の製造方法によって得られたCo/CeO複合触媒を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、排ガス中のCOを浄化するためのCo/CeO複合触媒の製造方法であって、
CoとCeとの合計量に対するCoの質量割合[(Co/(Co+Ce)、%表示]が70%以上且つ100%未満である前記2種類の金属酸化物の出発原料を用意する工程、
前記出発原料および中和剤の混合溶液に超攪拌によるせん断応力を加えて前記混合溶液を混合し、Coの前駆体およびCeOの前駆体を含む混合物を生成させる工程、
前記前駆体を含む混合物から粉末を分離する工程、および
得られた粉末を乾燥、焼成してCoナノ粒子およびCeOナノ粒子の混合物を生成させる工程
を含む、前記製造方法に関する。
【0009】
また、本発明は、前記の製造方法によって得られたCo/CeO複合触媒に関する。
本発明において、Co粒子およびCeO粒子がナノ粒子であることの確認およびナノ粒子の平均粒径は、後述の実施例の欄に詳述する測定法によって求められる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、排ガス中のCOなどの未反応物の低温での浄化能を有する排ガス浄化用Co/CeO複合触媒を容易に得ることができる。
また、本発明によれば、排ガス中のCOなどの未反応物の低温での浄化能を有する排ガス浄化用Co/CeO複合触媒を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、実施例で得られたで得られたCo/CeO複合触媒のSTEM像の写しである。
【図2】図2は、参考例で得られたCo粒子のSTEM像の写しである。
【図3】図3は、他の参考例で得られたCo粒子のSTEM像の写しである。
【図4】図4は、実施例および比較例で得られたCo/CeO複合触媒のCoとCeとの合計量に対するCoの質量割合[(Co/(Co+Ce)、%表示]と50%CO浄化温度との関係を示すグラフである。
【図5】図5は、Co/CeO複合触媒を調製する際に用いた中和剤の種類によるHC T50への影響を示す棒グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
特に、本発明において、以下の実施態様を挙げることができる。
1)前記中和剤が、NaOH、NH、NaCO又は(ポリ)エチレンジアミン化合物である前記製造方法。
2)前記超攪拌によるせん断応力が、反応容器中、5000〜15000rpmの回転速度で回転する攪拌機によって加えられる前記製造方法。
3)前記CoとCeとの合計量に対するCoの質量割合[(Co/(Co+Ce)、%表示]が80%以上100%未満である前記製造方法。
4)前記(ポリ)エチレンジアミン化合物がエチレンジアミンである前記製造方法。
5)前記、(ポリ)エチレンジアミン化合物がCoカチオンに対して中和反応における化学量論比で1.2倍用いられる前記製造方法。
6)前記混合液が水溶液である前記製造方法。
7)前記焼成が、大気中、300℃以上800℃未満の温度で実施される前記製造方法。
8)前記Co/CeO複合触媒が、Coナノ粒子とCeOナノ粒子とからなり、平均粒径が100nm未満のCoナノ粒子と平均粒径が20nm未満のCeOナノ粒子とが混合されている前記触媒。
9)前記CeOナノ粒子の平均粒径が10nm未満である前記触媒。
【0013】
本発明においては、
CoとCeとの合計量に対するCoの質量割合[(Co/(Co+Ce)、%表示]が70%以上且つ100%未満である前記2種類の金属酸化物の出発原料を用意する工程、
前記出発原料および中和剤の混合溶液に超攪拌によるせん断応力を加えて前記混合溶液を混合し、Coの前駆体およびCeOの前駆体を含む混合物を生成させる工程、
前記前駆体を含む混合物から粉末を分離する工程、および
得られた粉末を乾燥、焼成してCoナノ粒子およびCeOナノ粒子の混合物を生成させる工程
を含むことが必要であり、これによって得られた触媒が排ガス中のCOなどの未反応物の低温での浄化能を示し得る。
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳説する。
本発明の実施態様の製造方法によって得られたCo/CeO複合触媒は、図1〜3に示すように、Coナノ粒子とCeOナノ粒子とからなり、平均粒径(一次粒子の平均粒子径)が100nm未満、例えば100nm未満且つ20nm以上のCoナノ粒子に平均粒径(一次粒子の平均粒子径)が20nm未満、例えば20nm未満且つ1nm以上のCeOナノ粒子が担持されているものである。
【0015】
前記の平均粒径が100nm未満のCoナノ粒子および平均粒径が20nm未満のCeOナノ粒子は、前記のCoとCeとの合計量に対するCoの質量割合[(Co/(Co+Ce)、%表示]が70%以上且つ100%未満である前記2種類の金属酸化物の出発原料および中和剤の混合液、例えば混合水溶液に超攪拌によるせん断応力を加えて前記混合溶液、例えば水溶液を混合し、CoおよびCeOの各前駆体を含む混合物を生成させる工程を有することによって生成させ得る。
【0016】
そして、本発明の実施態様の製造方法によれば、図4に示すように、CoとCeとの合計量に対するCoの質量割合[(Co/(Co+Ce)、%表示]が70%以上且つ100%未満、特に80%以上100%未満である前記2種類の金属酸化物の出発原料を用い前記混合溶液に超攪拌によるせん断応力を加えることによって得られたCo/CeO複合触媒が、本発明の範囲外の公知の触媒製造プロセスである共沈法、物理混合法あるいは含浸法によって得られたCo/CeO複合触媒が140℃以上の50%浄化温度を示しているのに比べて、排ガス中のCOなどの未反応物の130℃以下の50%浄化温度という低温での浄化能を示すことが理解される。
【0017】
また、本発明の実施態様の製造方法によれば、図5に示すように、中和剤として、(ポリ)エチレンジアミン化合物を用いて得られたCo/CeO複合触媒は、中和剤としてNH、NaCO、NaOHあるいはトリメチルアミン(TMA)を用いて得られたCo/CeO複合触媒が150℃より高いHC T50の浄化温度を示しているのに対して、HC T50が150℃以下のHC T50の浄化温度を示している。
【0018】
つまり、前記の製造方法において中和剤として、(ポリ)エチレンジアミン化合物を用いることが排ガス中に含まれるHC浄化の点からは好適である。そして、図2と図3との比較から明らかなように、中和剤として例えばNaOHを用いるとCoの粒度分布が大きくなる傾向にあり、200nm程度の粗大なCoの一次粒子が生成し、中和剤として、(ポリ)エチレンジアミン化合物を用いるCoナノ粒子の粒度が細かくなり、粒度分布も均一になり好適である。
【0019】
本発明の製造方法によって排ガス中のCOなどの未反応物の低温での浄化能を有する排ガス浄化用Co/CeO複合触媒が得られる理論的な解明は十分にはなされていないが、以下のように考えることができる。
1)従来公知の触媒製造プロセスである共沈法あるいは含浸法によれば、一般的に用いられる中和剤であるNH、NaCO、NaOHを用いて生成される前駆体は、Coイオンに配位する配位子が熱処理過程で水や炭酸ガス、アンモニアとして容易に脱離するため、中心金属の空間距離が縮まり、結果として容易に粒成長し、前記熱処理過程でのCoのシンタリングが抑制されない。
また、含浸法によれば、特に比表面積の小さい担体の場合には偏析が、比表面積の大きい担体の場合には細孔閉塞などが生じ得る。
さらに、通常の共沈合成法では合成時の析出物(前駆体)の濃度ムラ、添加中和剤のpHムラなどが生じるために均質な前駆体が得られず、そのため焼成して得られる粉末の粒度分布が大きくなり、均質なCo/CeO複合触媒を得ることが困難である。
【0020】
2)さらに、従来公知の触媒製造プロセスである共沈法あるいは含浸法において金属間に立体障害を設けるべく、ポリビニルピロリドンやポリアクリル酸ナトリウムなどの平均分子量が非常に大きい(>10000)高分子分散材を用いることは公知であるが、これらの高分子を用いた場合も前記熱処理により金属(酸化物)が粒成長することが確認されている。これは、高分子に多量のカーボンが含まれるため、熱処理過程でこれらカーボンの燃焼発熱反応が生じ、この高温場により結果として中心金属が粒成長してしまう。
【0021】
3)これに対して、本発明の製造方法においては、超攪拌によるせん断応力を加えて前記混合溶液を混合するので、混合溶液に例えば3000s−1以上と見積もられるせん断力が働くことになる。この超攪拌を備えた反応装置(SA:Super Agggtationリアクター)を用いる混合により、後工程の粉末の分離工程および得られた粉末の乾燥、焼成工程を経て得られるCo/CeO複合触媒は、活性種であるCoとCeOとがナノレベルで混合した状態を作り出せるため、熱安定性が向上しCoのシンタリングが抑制され、Coの還元能(酸素放出能)が向上することにより活性が向上すると考えられる。
【0022】
本発明の製造方法の実施態様においては、先ずCoとCeとの合計量に対するCoの質量割合[(Co/(Co+Ce)、%表示]が70%以上且つ100%未満である前記2種類の金属酸化物の出発原料を用意する工程を含む。
前記出発原料としては、空気中での加熱による焼成でCoおよびCeOを与え得るCoの化合物およびCeの化合物であれば特に制限はなく、例えば硝酸コバルト、硫酸コバルト、酢酸コバルトなどのCoを含む酸塩、硝酸セリウム、硫酸セリウム、酢酸セリウムなどのCeを含む酸塩が挙げられる。
前記実施態様において、前記2種類の金属酸化物の出発原料であるCoの化合物およびCeの化合物を溶媒、例えば水に溶解し、攪拌混合して第1の溶液、例えば水溶液を得る。
前記第1の溶液は、出発原料の濃度が0.01〜0.2モル/L(M)程度であればよい。出発原料の濃度が低すぎると一度に作製する触媒量が少なく、出発原料の濃度が高すぎると均一な中和反応を行うことができない場合があり好ましくない。
前記溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコールあるいは水、好適には水が挙げられる。
【0023】
本発明の前記製造方法の実施態様においては、次いで、前記出発原料および中和剤、例えばNH、NaCO、NaOH、KOHなどの無機塩基性化合物や、有機アミン化合物、例えばピリジン、(ポリ)エチレンジアミン化合物、好適には、(ポリ)エチレンジアミン化合物の混合水溶液に超攪拌によるせん断応力を加えて前記混合水溶液を混合し、Coの前駆体およびCeOの前駆体を含む混合物を生成させる工程を含む。
前記の混合水溶液としては、中和剤によって水溶液のpHを6〜9の範囲に調整することが好適である。pHが低すぎるとCoの析出反応が起こらず、高すぎると析出物(沈殿物)が溶解する。
また、前記の混合水溶液には分散剤、例えばPAA−Na、PVPなどを添加してもよい。
【0024】
前記の好適な中和剤としての、(ポリ)エチレンジアミン化合物として、エチレン単位を1〜10個、特に1〜6個有するもの、好適にはエチレンジアミン(EDA:HNCHCHNH)、ジエチレントリアミン(DETA:HNCHCHNHCHCHNH)、トリエチレンテトラミン(TETA:HNCHCHNHCHCHNHCHCHNH)、テトラエチレンペンタミン[TEPA:HN(CHCHNH)CHCHNH)]、ペンタエチレンヘキサミン[PEHA:HN(CHCHNH)CHNH]など、特にエチレンジアミン(DDA)が挙げられる。
【0025】
前記の中和剤、例えば(ポリ)エチレンジアミン化合物の使用量は、Coカチオンに対して中和反応における化学量論比で0.8〜1.4倍の範囲、特に1.2倍であることが好ましい。(ポリ)エチレンジアミン化合物の使用量が少なすぎると、(ポリ)エチレンジアミン化合物のイオンが形成されず微粒化の実現が困難であり、(ポリ)エチレンジアミン化合物の使用量が多すぎると余剰の、(ポリ)エチレンジアミン化合物が乾燥、焼成の加熱処理過程で発熱するため粒成長をもたらすため好適ではない。
本発明の実施態様においては、前記2種類の金属酸化物の出発原料であるCoの化合物およびCeの化合物を水に溶解し、攪拌混合して第1の水溶液を得る。
【0026】
本発明の実施態様においては、前記第1の水溶液と、中和剤を含む水溶液である第2の水溶液とを混合して混合水溶液を得る。
本発明の実施態様においては、超攪拌によるせん断応力を与え得る攪拌機を備えた反応装置に前記の第1の水溶液と第2の水溶液を導入して、前記混合水溶液を得ることができる。
前記の反応容器としては特に制限はなく、バッチ式反応装置あるいは連続式反応装置を用い得る。
【0027】
本発明の実施態様においては、前記出発原料および中和剤、例えばNaOHや、(ポリ)エチレンジアミン化合物の混合水溶液に超攪拌によるせん断応力を加えて前記混合水溶液を混合する工程で、前記のせん断応力は反応容器中、5000〜15000rpm、特に8000〜12000rpmの回転速度の高速度で回転する攪拌機によって加えられ得る。
前記の回転速度が小さすぎると十分に攪拌されず、大きすぎる攪拌機のシャフトが発熱し前駆体の溶解度が変化してしまい均一な前駆体(沈殿物)が得られないので好ましくない。
【0028】
本発明の実施態様の前記製造方法においては、次いで、前記前駆体を含む混合物から粉末を分離する工程、および
得られた粉末を乾燥、焼成してCoナノ粒子およびCeOナノ粒子の混合物を生成させる工程を含む。
前記の前駆体を含む混合物から粉末を分離する工程は、析出物(沈殿物)をろ過して取得する工程あるいは水を除く工程、好適には得られた混合物から水を蒸発させる工程、例えば100℃以上200℃未満の温度、例えば100〜150℃の範囲内の温度で水分を蒸発させることによって実施し得る。
また、前記の得られた粉末を乾燥、焼成してCoナノ粒子およびCeOナノ粒子の混合物を生成させる工程は、空気中、300℃以上800℃未満の温度、好適には600℃以上700℃以下の温度で、1〜10時間、例えば2〜8時間焼成することによって実施し得る。
【0029】
前記の方法によって、好適にはCoナノ粒子とCeOナノ粒子とからなり、平均粒径が100nm未満、例えば100nm未満且つ20nm以上のCoナノ粒子に平均粒径が20nm未満、例えば20nm未満且つ1nm以上、特に10nm未満、その中でも10nm未満且つ1nm以上のCeOナノ粒子が混合されているCo/CeO複合触媒を得ることができる。
特に、中和剤として、(ポリ)エチレンジアミン化合物を用いて得られたCo/CeO複合触媒は低温での排ガスCO浄化能と低温での排ガスHC浄化能を兼ね備えているので好適である。
【0030】
前記のCo/CeO複合触媒は、自動車エンジンなどの内燃機関からの排ガスを浄化するための排ガス浄化用触媒として用い得る。
また、本発明におけるCo/CeO複合触媒は、COあるいはCOおよびHCの低温除去が必要な任意の分野で用い得る。
また、本発明のCo/CeO複合触媒を用いてCOおよびHCを除去する場合、温度を変えた少なくとも2つの領域を設けて用いてもよい。例えば、CO浄化のための領域の温度をHCの浄化のための領域の温度よりも低温に設定し得る。
【0031】
また、本発明のCo/CeO複合触媒は、通常ハニカム等の基材上にコートして触媒装置として用い得る。
前記の基材として用い得るハニカムは、コージェライトなどのセラミックス材料やステンレス鋼などにより形成され得る。また、本発明のCo/CeO複合触媒は任意の形状に成形して用いることができる。
【実施例】
【0032】
以下、本発明の実施例を示す。
以下の実施例は単に説明するためのものであり、本発明を限定するものではない。
以下の各例における測定法は例示であって、当業者が同等と考える任意の方法を採用し得る。
以下の各例において、得られたCo/CeO複合触媒のCo粒子およびCeO粒子がナノ粒子であることの確認およびナノ粒子の平均粒径(一次粒子平均粒子径)は、STEM(Scanning Transmission Electron Microscopy、走査型透過電子顕微鏡)測定を行って担持触媒の分散状態の観察を行い、XRD(X-Ray Diffraction、X線回折)測定を行ってピークの半値幅からシェラー式を用いて結晶子径の算出を行って求めた。
【0033】
また、Co/CeO複合触媒について、CO浄化性能およびHC浄化性能を下記の条件で、600℃まで昇温し、CO酸化活性およびHC酸化活性の評価を行った。
1.CO浄化能評価条件
使用触媒量:約0.75g
ガス流量:1L/min
SV(Space Velocity):約90000h−1
ガス:CO:0.65%、C:1500ppm、O:0.58%、
:balance
A/F=15.02
で600℃まで昇温し、CO酸化活性を評価した。
【0034】
2.HC浄化性能評価条件
使用触媒量:約0.75g
ガス流量:1L/min
SV(Space Velocity):約90000h−1
ガス:CO:0.65%、C:0.05%、O:0.58%、
:balance
A/F=15.02
で600℃まで昇温し、HC酸化活性を評価した。
【0035】
実施例1〜2
1.第1の水溶液の調製
硝酸コバルトと硝酸セリウムとを、CoとCeとの合計量に対するCoの質量割合[(Co/(Co+Ce)、%表示]で88%(実施例1)あるいは79%(実施例2)として純水に溶解させ、十分に攪拌混合した。
2.第2の水溶液(中和剤液)の調製
1mol/LのNaOH(アルドリッチ社)および純水からなる混合水溶液を十分に攪拌混合して溶解させた。
3.中和反応
8000〜12000rpmの回転速度で回転する攪拌機によって超攪拌によるせん断応力を混合水溶液に加え得る攪拌装置付の反応器(SAリアクター)に、上記1、2の水溶液を2.5mL/分の送液速度で導入し、25〜45℃で、1時間程度の中和反応を行って、Co3O4の前駆体およびCeO2の前駆体を析出させた。
4.ろ過、洗浄
得られた前駆体に純水を導入し、遠心分離、ろ過、洗浄して前駆体粉末を分離・取得した。
【0036】
5.乾燥、焼成
得られた前駆体粉末を120℃で一晩乾燥し、その後解砕した後、大気中、600℃で4時間焼成して、Co/CeO複合触媒を得た。
得られたCo/CeO複合触媒についてSTEMによる観察、XRDピーク強度から算出したCo平均粒径は40nmで、Co粒子上に平均粒径8nmのCeO粒子が高分散に分布しているものであることが確認された。
6.ペレット成型
前記の前駆体を用いてCIP(1tプレス)で粒状ペレット(0.17cm)化処理を経て同様に乾燥、焼成して評価サンプルを得た。
CO浄化性能測定結果を他の結果とまとめて図4に示す。
【0037】
比較例1〜4
硝酸コバルトと硝酸セリウムとを、CoとCeとの合計量に対するCoの質量割合[(Co/(Co+Ce)、%表示]で30%、50%、62%あるいは100%とした他は実施例1と同様にして、前駆体およびCo/CeO複合触媒を得た。
また、実施例1と同様にして評価サンプルを得た。
得られた評価サンプルを用いてCO浄化能測定し、得られた結果を他の結果とまとめて図4に示す。
【0038】
比較例5〜7
共沈合成によるCo/CeO複合触媒の調製
硝酸コバルトと硝酸セリウムとを、CoとCeとの合計量に対するCoの質量割合[(Co/(Co+Ce)、%表示]で16%(比較例5)、30%(比較例6)あるいは88%(比較例7)として純水に溶解、攪拌して得られた第1の水溶液を用い、SAリアクターを用いる代わりにビーカーを用い、第1の水溶液に第2の水溶液をピペットでpHが9になるまで滴下し、常法によりスターラーで攪拌した他は実施例1と同様にして、Co/CeO複合触媒および評価サンプルを得た。
得られたCo/CeO複合触媒についてSTEMによる観察、XRDピーク強度から算出したCo平均粒径は60nmで、平均粒径8nmのCeO粒子はCo粒子上に高分散に分布していなかった。
また、得られた評価サンプルを用いてCO浄化能測定し、得られた結果を他の結果とまとめて図4に示す。
【0039】
比較例8
含浸法によるCo/CeO複合触媒の調製
1.Co粉末の調製
第1の水溶液として硝酸コバルトのみを純水に溶解させた水溶液に、第2の水溶液を滴下した後、120℃で乾燥し、空気中、600℃で焼成して、Co粉末を得た。
2.含浸、乾燥、焼成
硝酸セリウムを溶解させた水溶液に、上記のCo粉末を導入した他は実施例1と同様にして、Co/CeO複合触媒および評価サンプルを得た。
得られた評価サンプルを用いてCO浄化能測定し、得られた結果を他の結果とまとめて図4に示す。
【0040】
比較例9〜12
物理混合によるCo/CeO複合触媒の調製
1.Co粉末の調製
第1の水溶液として硝酸コバルトのみを純水に溶解させた水溶液に前記第2の水溶液を滴下した後、120℃で乾燥し、空気中、600℃で焼成して、Co粉末を得た。
2.物理混合
上記のCo粉末とCZ粉末(ACTALYLISA、CeO−ZrO固溶体、キャタタラー社)とを、CoとCeとの合計量に対するCoの質量割合[(Co/(Co+Ce)、%表示]で2.1%、22%、50%あるいは100%となる割合でメノウ鉢を用いて物理混合し、Co/CeO複合触媒および評価サンプルを得た。
得られた評価サンプルを用いてCO浄化能測定し、得られた結果を他の結果とまとめて図4に示す。
【0041】
図4から、実施例で得られたCo/CeO複合触媒は低温でのCO浄化能が最も高いことが示されている。
【0042】
実施例3〜10
第2の水溶液(中和剤水溶液)として、NaOHに代えて、図5に示す中和剤を純水に溶解させた水溶液を用いた他は実施例1と同様にして、Co/CeO複合触媒および評価サンプルを得た。
得られた評価サンプルを用いてHC浄化能測定し、得られた結果を他の結果とまとめて図5に示す。
【0043】
図5から、実施例で得られたCo/CeO複合触媒において、中和剤として、(ポリ)エチレンジアミン化合物を用いて得られたCo/CeO複合触媒、特にCoカチオンに対して中和反応における化学量論比で1.2倍のEDAを用いて得られたCo/CeO複合触媒が低温でのHC浄化性能が最も高いことが示されている。
【0044】
参考例1〜2
1.Co粉末の調製
第1の水溶液として硝酸コバルトのみを純水に溶解させた水溶液に、第2の水溶液として、エチレンジアミンの水溶液(参考例1)あるいはNaOHの水溶液(参考例2)を滴下した後、120℃で乾燥し、空気中、600℃で焼成して、Co粉末を得た。
得られたCo粉末についてSTEM観察を行った。得られたCo粒子のSTEM像の写しを図2および3に示す。
【0045】
図2、3から、参考例で得られたCo粉末において、中和剤としてNaOHを用いたものよりもEDAを用いて得られたものの方がCoの粒度が細かく、粒度分布も均一であることが示されている。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明によれば、低温での高いCO浄化能を示し得るCo/CeO複合触媒を容易に得ることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排ガス中のCOを浄化するためのCoとCeOとを含む複合触媒の製造方法であって、
CoとCeとの合計量に対するCoの質量割合[(Co/(Co+Ce)、%表示]が70%以上且つ100%未満である前記2種類の金属酸化物の出発原料を用意する工程、
前記出発原料および中和剤の混合溶液に超攪拌によるせん断応力を加えて前記混合溶液を混合し、Coの前駆体およびCeOの前駆体を含む混合物を生成させる工程、
前記前駆体を含む混合物から粉末を分離する工程、および
得られた粉末を乾燥、焼成してCoナノ粒子およびCeOナノ粒子の混合物を生成させる工程
を含む、前記製造方法。
【請求項2】
前記中和剤が、NaOH、NH、NaCO又は(ポリ)エチレンジアミン化合物である請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記超攪拌によるせん断応力が、反応容器中、5000〜15000rpmの回転速度で回転する攪拌機によって加えられる請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記CoとCeとの合計量に対するCoの質量割合[(Co/(Co+Ce)、%表示]が80%以上100%未満である請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項5】
前記、(ポリ)エチレンジアミン化合物がエチレンジアミンである請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項6】
前記混合液が水溶液である請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項7】
前記(ポリ)エチレンアミン化合物がCoカチオンに対して中和反応における化学量論比で1.2倍用いられる請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項8】
前記焼成が、大気中、300℃以上800℃未満の温度で実施される請求項1〜7のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の製造方法によって得られるCo/CeO複合触媒。
【請求項10】
前記Co/CeO複合触媒が、Coナノ粒子とCeOナノ粒子とからなり、平均粒径が100nm未満のCoナノ粒子と平均粒径が20nm未満のCeOナノ粒子とが混合されている請求項9に記載の触媒。
【請求項11】
前記CeOナノ粒子の平均粒径が10nm未満である請求項9又は10に記載の触媒。

【図4】
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【図5】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−103143(P2013−103143A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−246555(P2011−246555)
【出願日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】