説明

排気ガス処理装置へのプローブ取付方法

【課題】本発明は、排気ガス処理装置(1)へのプローブ(6)の取付方法に関し、特に、その製造が簡便化され、より狭い誤差が達成されることができ、開口レセプタクル内部でのよりよい整列が達成される、プローブ取付方法を提供することを課題とする。
【解決手段】ベアリングマットを用いて、金属のハウジング(2)に固定された、少なくとも一つのセラミック挿入体(3)を有する、排気ガス処理装置(1)にプローブ(6)を取り付ける方法は、前記挿入体(3)を前記ハウジング(2)に挿入して、前記ベアリングマット(5)でそれに固定したのちに、前記ハウジング(2)と前記ベアリングマット(5)を貫通して、前記挿入体に侵入する、開口レセプタクル(7)を前記プローブ(6)を受けるために形成している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気ガス処理装置へのプローブ取付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、煤塵フィルタや触媒コンバータのような、多数の排気ガス処理装置には、例えば、ラムダプローブまたはNOXプローブのような、少なくとも一つのプローブを、取付けることが望ましい。従来の排気ガス処理装置は、ベアリングマット(bearing mat)を用いて金属のハウジングに固定された、少なくとも一つのセラミックの挿入体を含んでいる。そのような排気ガス処理装置へのプローブの実装を可能にするために、ハウジングとベアリングマットを通って挿入体まで貫通する、開口レセプタクルが必要である。次いでプローブが、この開口レセプタクルに挿入されることができる。
【0003】
そのような開口レセプタクルを作成するために、挿入体とベアリングマットを挿入する前に、対応する開口をハウジングに用意しておくことが、基本的に可能である。同様に、ハウジングに挿入する前の挿入体に、対応する開口が用意されることが可能である。さらに、挿入体を曲げる前に、対応する凹部をベアリングマットに、同様に用意することができる。挿入体をベアリングマットと共に曲げるに際しては、ベアリングマット内の凹部と挿入体内の開口が、相互に対して正確に配置されて整列されなければならない。ハウジング内に挿入体を、曲げられたベアリングマットと共に、引き続いて挿入する、いわゆる「缶詰作業」に際して、ハウジング、ベアリングマットおよび挿入体の間の、異なる開口及び/又は凹部の整列が、同様に維持されなければならない。缶詰作業における開口及び/又は凹部の整列は、一方では比較的に注意深く、他方では誤差の問題として、実行されなければならない。さらに、比較的に脆い挿入体への損傷を避けるために、開口への挿入のために、セラミックの挿入体は相対的に複雑な方法で、固定されなければならない。
【0004】
金属体に開口を用意するための方法は、特許文献1−特許文献5から周知である。
【0005】
【特許文献1】独国特許出願公開第102004013640号明細書
【特許文献2】仏国特許出願公開第2851486号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第4224131号明細書
【特許文献4】欧州特許出願公開第1364724号明細書
【特許文献5】独国特許出願公開第10320140号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、特に、その製造が簡便化され、及び/又は、より狭い誤差が達成されることができ、及び/又は、開口レセプタクル内部でのよりよい整列が達成されることができる、という事実により特徴づけられる、特許請求の範囲の前段部に定義される型式の方法に対する、改良された具体化の提供の問題に関する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この問題は、独立請求項の主題を通して、本発明に従って解決される。有利な具体化は、従属請求項の主題である。
【0008】
本発明は、ベアリングマットを用いてハウジング内に挿入体が固定されたのちに、開口レセプタクルを設ける、一般的なアイディアに基づいている。そこで、ハウジングとベアリングマットを貫通して挿入体に侵入するように、各開口レセプタクルが外側から設けられる。この処置は、ハウジング、ベアリングマット、および挿入体の、個々の開口及び/又は凹部の間の、最適な整列に必然的に帰結する。この処置により、挿入体の損傷の危険性を増加することなく、挿入体に開口を形成できるように、ハウジング内に挿入体が適切に固定されることは、特に有利である。この点で、開口レセプタクルの形成のために、別途の挿入体の取り付けを省略することができる。全体として、これは開口レセプタクルの簡略化された製造方法を与える。
【0009】
開口レセプタクルが、ドリル加工を用いて、及び/又は機械加工を用いて形成される実施形態は、特に有利である。この処置はセラミックの挿入体の場合に対して特に穏やかで、挿入体の損傷の危険性は削減される。
【0010】
本発明の追加の重要な特徴と利点は、従属請求項、図面および図面に基づくそれぞれの図面の記述から誘導される。
【0011】
上記の特徴および以下に説明される特徴は、与えられた特定の組合せのみではなく、本発明の範囲を超えることなく、他の組合せで、またはそれのみで用いられうることは自明である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、その製造が簡便化され、より狭い誤差が達成されることができ、開口レセプタクル内部でのよりよい整列が達成される、排気ガス処理装置へのプローブの取付方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の望ましい実施形態の例が添付図面に描かれ、以下の記述に詳細に説明されている。同じまたは類似の部品、または同じ機能を有する部品を参照するために、同じ参照番号が使用されている。
【0014】
図1〜図5はそれぞれ、プローブの実装作業のある段階の、排気ガス処理装置の一部の簡略化された長手方向断面を示している。
【0015】
図5に、ハウジング2を含む排気ガス処理装置1が、ここでは部分的にのみ示されている。ハウジング2は金属製で、望ましくは円周方向に閉じた管状体である。これは一般的には、シート状の金属体を成型したものである。ハウジング2は、少なくとも一つの軸方向端部に漏斗を有してもよい。排気ガス処理装置1はまた、セラミック材料から作成された、少なくとも一つの挿入体3を有している。これは、1枚の板状挿入体3であってよい。同様に、挿入体3は、複数の板で組み立てられていてもよい。排気ガス処理装置1は例えば触媒としてデザインされていてもよく、その場合各挿入体3は対応する触媒材料の担体または基板として機能する。同様に排気ガス処理装置1は、例えば煤塵フィルタであってもよく、その場合各挿入体3はフィルタ機能を有する。挿入体3は一般的に、排気ガス処理装置1の中心長手軸4に平行に延伸する、複数の平行導管(図示せず)を有する。
【0016】
各挿入体3は、少なくとも一つのベアリングマット5を用いて、ハウジング2に固定されている。ベアリングマット5は一般的には一層で、円周方向に挿入体3を取り囲んでいる。同様に、多層のシースも考えられる。ベアリングマット5は、排気ガス処理装置1が搭載されている排気ガスシステムの動作中に、比較的に高温に曝露される、挿入体3の熱からハウジング2を絶縁する役割をする。さらにベアリングマット5は、例えばそのような排気ガスシステムが備えられた、車両の動作中に起こりうる振動に起因する、相対的に脆い挿入体3の損傷の危険性を低減するための振動ダンパーとして、ハウジング2内に挿入体3を支持する役割をする。またベアリングマット5は、ハウジング2内部の挿入体3の位置を固定する役割をする。そのためにベアリングマット5は、挿入体3とハウジング2の間に、中心長手軸4に関して半径方向に押圧されている。その結果、ベアリングマットの材料の弾性復元力により、ハウジング2内で挿入体3を固定する充分な保持力を生成する、半径方向の初期応力が形成される。
【0017】
図5に示されるように、排気ガス処理装置1は、開口レセプタクル7に収容された、少なくとも一つのプローブ6を有している。このプローブ6は、例えば、ラムダプローブ、酸素プローブ、NOXプローブ、温度プローブ、圧力プローブ等であってよい。開口レセプタクル7は、ハウジング2とベアリングマット5を貫通している。さらに開口レセプタクル7は、挿入体3に侵入している。プローブ6は開口レセプタクル7から突き出され、及び/又はプローブ6は開口レセプタクル7に差し込まれている。プローブ6を排気ガス処理装置1上に保持するために、金具8がハウジング2に備えられてもよい。
【0018】
プローブ6を排気ガス処理装置1上に取り付けるための方法が、以下により詳細に説明される。
【0019】
最初に、挿入体3が、図1〜図3に示されるように、通常の方法でハウジング2に挿入され、ベアリングマット5を用いてそこに固定される。このいわゆる缶詰作業で、チューブ状ハウジング2の場合には、図2に示されるように、ベアリングマット5を用いて、図1に示される挿入体3はその円周方向に沿って、第1にシースされる。次に挿入体3が、ハウジング2に挿入体3をシースするベアリングマット5と共に、軸方向に挿入される。これは、種々の方法により行われて良い。最初ハウジング2は、ベアリングマット5と共に挿入体3が、比較的にたやすく、即ち中心長手軸4に平行に、ハウジング2に挿入されることができるように、拡張された直径を有する。次に、ハウジング2は、その直径が低減するように、縮められる。この結果、ベアリングマット5により、所望の押圧が得られる。代替案として、例えば、漏斗等を用いてベアリングマット5を圧縮して、ベアリングマット5と共に挿入体3をハウジング2に導入することも、同様に可能である。
【0020】
挿入体3がハウジング2に配置され、半径方向に圧縮されたベアリングマット5によりその位置に固定されるとすぐに、図3に示される状況になる。
【0021】
本発明によれば、ベアリングマット5を用いて挿入体3がハウジング2内に固定されると、図4に示されるように、開口レセプタクル7が形成される。ここでは、例えば、伝統的な機械加工が用いられてもよい。開口レセプタクル7は、望ましくは、ドリルまたはミリングで形成される。開口レセプタクル7を形成するためには、ハウジング2のみが対応する工具内に固定されていればよいことは、特に有利な点である。挿入体3とハウジング2の間の、ベアリングマット5の半径方向の押圧力のために、ベアリングマット5と挿入体3の両者が適切にハウジング2内に固定されるので、別途または追加の、ベアリングマット5及び/又は挿入体3の取り付けは不必要である。これは、開口レセプタクル7の形成を容易にする。さらに、この多かれ少なかれ引き続く開口レセプタクル7の導入により、これは、ハウジング2、ベアリングマット5、挿入体3の相互の、個々の部分的開口の最適かつ同一平面での整列に、自動的に帰結する。
【0022】
図5に示されるように、次にハウジング2の外側に、金具8が取り付けられてもよい。例えば金具8は、ハウジング2に半田づけまたは溶接されてもよい。本質的に、他の取り付け方法が考えられる。プローブ6がその内部に固定され、開口レセプタクル7に対して充分な距離でプローブ6が突出するように、金具8は設計されている。従って例えば、プローブ6がねじ込まれることができるネジ山(不図示)を、金具8が有してもよい。
【0023】
ここに示される実施形態では、開口レセプタクル7は、中心長手軸4に関して、半径方向に配向されている。本質的に、任意の他の配向方向が考えうることが、明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】は、プローブの実装作業のある段階の、排気ガス処理装置の一部の簡略化された長手方向断面図である。
【図2】は、プローブの実装作業のある段階の、排気ガス処理装置の一部の簡略化された長手方向断面図である。
【図3】は、プローブの実装作業のある段階の、排気ガス処理装置の一部の簡略化された長手方向断面図である。
【図4】は、プローブの実装作業のある段階の、排気ガス処理装置の一部の簡略化された長手方向断面図である。
【図5】は、プローブの実装作業のある段階の、排気ガス処理装置の一部の簡略化された長手方向断面図である。
【符号の説明】
【0025】
1 排気ガス処理装置
2 ハウジング
3 挿入体
4 中心長手軸
5 ベアリングマット
6 プローブ
7 開口レセプタクル
8 金具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つのベアリングマット(5)を用いて、金属のハウジング(2)に固定された、少なくとも一つのセラミック挿入体(3)を有する、排気ガス処理装置(1)にプローブ(6)を取り付ける方法であって、
前記挿入体(3)を前記ハウジング(2)に挿入して、前記ベアリングマット(5)でそれに固定したのちに、
前記ハウジング(2)と前記ベアリングマット(5)を貫通して、前記挿入体(3)に侵入する、開口レセプタクル(7)を前記プローブ(6)を受けるために形成している、方法。
【請求項2】
前記開口レセプタクル(7)は、ドリル加工及び/又は機械加工により形成されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
金具(8)が前記ハウジング(2)の外側に取り付けられ、
前記プローブ(6)が前記開口レセプタクル(7)内に突出するように、前記金具に固定されることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記金具(8)は、前記ハウジング(2)に半田付けまたは溶接されていることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記金具(8)は、前記プローブ(6)がねじ込まれるネジ山を有することを特徴とする、請求項3または4に記載の方法。
【請求項6】
前記開口レセプタクル(7)は、前記排気ガス処理装置(1)の中心長手軸(4)に関して、半径方向に配向されていることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか一つに記載の方法。
【請求項7】
少なくとも一つのベアリングマット(5)を用いて、金属のハウジング(2)に固定された、少なくとも一つのセラミック挿入体(3)を有する、
特に車両用の内燃機関の排気ガスシステム用の、特に煤塵フィルタまたは触媒コンバータである排気ガス処理装置であって、
前記挿入体(3)を前記ハウジング(2)に挿入して、前記ベアリングマット(5)でそれに固定したのちに、
前記ハウジング(2)と前記ベアリングマット(5)を貫通して、前記挿入体(3)に侵入する、少なくとも一つの開口レセプタクル(7)をプローブ(6)を受けるために形成している、排気ガス処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−62984(P2009−62984A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−224256(P2008−224256)
【出願日】平成20年9月2日(2008.9.2)
【出願人】(505261612)ヨット・エーバーシュペッヒャー・ゲーエムベーハー・ウント・コンパニー・カーゲー (53)
【Fターム(参考)】