排水管
【課題】建築物での火災発生時に火災発生階より上層階へ火炎、煤煙、有毒ガス等の流出通路とはならないようにした排水管システムを、低コストで構築できるようにする。
【解決手段】建築物内で床スラブ14を貫通して配管される耐火性の立管継ぎ手部材17に対して内嵌又は外嵌の嵌合関係を持って接続可能にされた継ぎ手部2と、この継ぎ手部2から延びる管本体3とを有し、継ぎ手部2の外周面又は内周面には上記立管継ぎ手部材17との嵌合によってできる両者のオーバーラップ領域OLに対応する位置付けで、所定の温度で膨張する熱膨張性耐火材5が設けられている。
【解決手段】建築物内で床スラブ14を貫通して配管される耐火性の立管継ぎ手部材17に対して内嵌又は外嵌の嵌合関係を持って接続可能にされた継ぎ手部2と、この継ぎ手部2から延びる管本体3とを有し、継ぎ手部2の外周面又は内周面には上記立管継ぎ手部材17との嵌合によってできる両者のオーバーラップ領域OLに対応する位置付けで、所定の温度で膨張する熱膨張性耐火材5が設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排水管システムを構築するうえで好適に使用できる排水管に関するものである。
【背景技術】
【0002】
集合住宅やビルなどの建築物では、その最下階から最上階にわたって各階を貫く状態で排水管システムが設けられている(例えば、特許文献1等参照)。この種の排水管システムは、各階を仕切る床スラブに対し、排水集合管やストレート管継ぎ手などの立管継ぎ手部材を貫通状態に配置し、これら各階の立管継ぎ手部材相互をストレート管などの立管で接続するという排水配管構造になっている。
立管継ぎ手部材には鋳鉄などを素材とする金属製のものや硬質塩化ビニルなどを素材とする樹脂製のものが知られており、また立管も、鋳鉄管や鋼管等の金属製のもの、或いは硬質塩化ビニルなどを素材とする樹脂管、更には樹脂管をセラミックや(耐火)モルタルなどで被覆した耐火二層管などが知られている。
【特許文献1】特開平10−195947号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
排水管システムが備え付けられた建築物において、階下にて火災等が発生した場合に火炎や煤煙、有毒ガスが排水管システムの焼損乃至溶損部位を通じて上層階へ流出するのを防止するには、従来、排水管システム全体に耐火性を持たせる必要があると考えられていた。
しかし、排水管システム全体に耐火性を持たせようとすれば、立管継ぎ手部材や立管を全て金属製などの不燃材料製のものとする必要があり、高コストになるということがあった。
【0004】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、建築物での火災発生時に火災発生階より上層階へ火炎、煤煙、有毒ガス等の流出通路とはならないようにした排水管システムを、低コストで構築できるようにする排水管を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するために、本発明は次の手段を講じた。
即ち、本発明に係る排水管は、建築物内で床スラブを貫通して配管される耐火性の立管継ぎ手部材に対して内嵌又は外嵌の嵌合関係を持って接続可能にされた継ぎ手部と、この継ぎ手部から延びる管本体とを有しており、上記継ぎ手部の外周面又は内周面には、上記立管継ぎ手部材との嵌合によってできる両者のオーバーラップ領域に対応する位置付けで、所定の温度で膨張する熱膨張性耐火材が設けられている。
継ぎ手部は、立管継ぎ手部材に設けられた受口型管端部に対して内嵌可能な挿口部として形成されたものでも、立管継ぎ手部材に設けられた挿口型管端部を内嵌可能な受口部として形成されたものでもよい。継ぎ手部が挿口部として形成されている場合、熱膨張性耐火材を設ける箇所は、継ぎ手部(挿口部)の内周面でも外周面でもよい。また継ぎ手部が受口部として形成されている場合には、継ぎ手部(受口部)の内周面に熱膨張性耐火材を設けることになる。
【0006】
なお、この排水管として立管継ぎ手部材に接続する継ぎ手部だけに熱膨張性耐火材を設けてもよいし、この排水管の全長にわたって熱膨張性耐火材を設けてもよい。
ここで「熱膨張性耐火材」とは、その体積や形状的な特性として、所定の温度以下では立管継ぎ手部材と排水管との接続を阻害するものとはならず、また立管継ぎ手部材や排水管の内部を排水が流れるのに邪魔とならないものであって、火災時などに所定の温度を超えたときには膨張して、排水管においてこの熱膨張性耐火材が設けられた箇所の内部、又はそこから近い立管継ぎ手部材内へと膨出してゆきその内部を閉塞(充満)させるものを言う。また一旦、所定の膨張を起こした後は、その後の加熱で焼損も溶損もしないものである。
【0007】
またここで「所定の温度」とは、特定の材質の熱膨張性耐火材が有する固有の熱膨張をする温度のことであり、熱膨張性耐火材の材質によって変化する温度である。どの温度で熱膨張をする熱膨張性耐火材を選択するかは、建物の立管部材、排水集合管等の排水配管を構成する部材の材質や、建物の耐火設計の考え方等により定まってくるものである。
このような構成であれば、建築物で火災等が発生した場合にあって、最終的に排水管が焼損乃至溶損するとしても、火災熱によって熱膨張性耐火材が所定の温度を超えて加熱された時点で(排水管が完全に焼損乃至溶損してしまう前に)当該熱膨張性耐火材が膨張し、立管継ぎ手部材内を閉塞させることになる。
【0008】
従って、この立管継ぎ手部材が焼損も溶損もしない耐火性のもの(例えば金属製)であれば、この立管継ぎ手部材を配設するために床スラブに設けられた貫通部分はこの立管継ぎ手部材によって閉塞された状態を維持するから、これら立管継ぎ手部材及び排水管を有した排水管システムの焼損乃至溶損が原因で、火災発生階より上層階へ火炎、煤煙、有毒ガスなどが流出するといったことは防止される。
すなわち、排水管が焼損乃至溶損しても火災への対応が図られることになるため、この排水管として、わざわざ耐火性のものを採用する必要がなく、非耐火性のもの(樹脂管等)を採用できる。従ってこの排水管を使って構築する排水管システム全体として低コスト化が図れる。
【0009】
なお、熱膨張性耐火材を継ぎ手部のみに設ける場合(即ち、排水管全長とはしない場合)、この熱膨張性耐火材は排水管としての管端寄りに位置付けられることを意味する。この位置付けは、排水管全長の中で径方向の強度が比較的低い部分に相当すると言える。
そのため、熱膨張性耐火材が膨張を始めるときにその膨張作用で排水管を押し潰しやすくなり、それだけ立管継ぎ手部材の内部閉塞が迅速且つ確実になるという利点がある。
一方、熱膨張性耐火材は、継ぎ手部の内周面や外周面に設ける場合に限らず、管本体側に設けても良い。
【0010】
すなわちこの場合には、管本体において継ぎ手部に近接した箇所に対し、その外周面を取り囲む管外装部を有した耐火性付属部材を設けるようにして、この耐火性付属部材の管外装部と管本体との周間に熱膨張性耐火材を介設させる。管外装部は、金属などの耐火性材料によって形成する。
このような構成でも、建築物で火災等が発生した場合にあって、最終的に排水管が焼損乃至溶損するとしても、火災熱によって熱膨張性耐火材が所定の温度を超えて加熱された時点で(排水管が完全に焼損乃至溶損してしまう前に)当該熱膨張性耐火材が膨張し、耐火性付属部材内を閉塞させ、或いは耐火性付属部材内から立管継ぎ手部材内へ向けて膨出したうえで、この立管継ぎ手部材内を閉塞させることになる。
【0011】
この耐火性付属部材は、管外装部から継ぎ手部側へ延びてこの継ぎ手部の外周面を取り囲むようにした継ぎ手外装部をも有したものとすればよい。この継ぎ手外装部も、金属などの耐火性材料によって形成する。このような継ぎ手外装部を設けることで、継ぎ手部の焼損や溶損を防止乃至遅延させることができる。
そのため、火災が起こった後も、立管継ぎ手部材に対する排水管(継ぎ手部)の接続状態が所定時間以上保持されることになり、その間、立管継ぎ手部材に対する熱膨張性耐火材の位置付けが保持されることになるので、結果として、この熱膨張性耐火材が膨張したときの立管継ぎ手部材に対する閉塞作用が確実に得られることになる。
【0012】
更に本発明に係る排水管では、継ぎ手部及び管本体として、樹脂などの非耐火性材料によって形成された素管部と、この素管部まわりを被覆する耐火性材料によって形成された耐火被覆層とを有したものとすることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る排水管であれば、建築物での火災発生時に火災発生階より上層階へ火炎、煤煙、有毒ガス等の流出通路とはならないようにした排水管システムを、低コストで構築できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づき説明する。
図3(A)(B)は、本発明に係る排水管1の一実施形態を示している。この排水管1は非耐火性材料(例えば硬質塩化ビニル等の樹脂材)を素材として形成されたものである。すなわち、材料コストは低廉で、且つ軽量であるという利点を有する反面、火災現場等において所定条件下に所定時間曝されると、焼損乃至溶損するおそれのあるものである。
この排水管1は、挿口部(ストレート管端部)として形成された継ぎ手部2と、この継ぎ手部2から延びる管本体3と、この管本体3の他端部側で受口部として形成された継ぎ手部4とを有している。そして挿口部として形成された方の継ぎ手部2に対して熱膨張性耐火材5が設けられている。
【0015】
継ぎ手部2が上記のような挿口部として形成されている場合、排水管1をそれ単独で見た場合には、継ぎ手部2と管本体3とを明確に区別できないこともあるが、この排水管1を後述する立管継ぎ手部材17と接続することによって、この立管継ぎ手部材17の受口部とされた継ぎ手部に内嵌される部分(排水管1と立管継ぎ手部材17とがオーバーラップする領域OL)を、排水管1の継ぎ手部2に相当するものとする。本発明では、この継ぎ手部2との嵌合によってできるオーバーラップ領域OLに対応する範囲内(全部である必要はない)に、熱膨張性耐火材5が設けられていればよいものとする。
【0016】
熱膨張性耐火材5は、図3(A)に示すように継ぎ手部2の外周面を一周する状態で設けられる場合と、図3(B)に示すように継ぎ手部2の内周面を一周する状態で設けられている場合とに大別される。
熱膨張性耐火材30は、例えば黒鉛を含有させたブチルゴム等によって形成されたもので、火災時などに所定の温度(例えば200℃)を超えると膨張し、膨張後の体積が膨張前に比べて5〜40倍に達するといった特性を有している。例えば、積水化学工業株式会社の商品名「フィブロック」を使用することができる。また、この他に、因幡電機産業株式会社製の商品名「熱膨張性耐熱シール材IP」(120℃から膨張を開始し、体積が4倍以上に膨張する)や、ニチアス株式会社製の商品名「パーモフレックス(熱膨張性シート)」(850℃、30分加熱後に発泡して4倍以上に膨張する)や、株式会社古河テクノマテリアル製の商品名「ヒートメル」(膨張開始温度120℃、顕著な膨張温度260℃、4〜8倍に膨張する)等を熱膨張耐火材9として使用できる。なお、熱膨張性耐火材9は、上記したものに限らず、他の種々のものを使用できる。
【0017】
このように、熱膨張性耐火材9は、反応温度、膨張率の異なる多種多様のものを使用でき、したがって建築物内の施工場所に応じて要求される反応温度、管径等の諸条件を満たす最適なものを選択して使用できる。
図3(A)に示すように、熱膨張性耐火材5が継ぎ手部2の外周面に設けられるものとする場合、継ぎ手部2には、熱膨張性耐火材5の装着位置に相当させて外径が一回り細い部分を予め設けておき、この細い部分に熱膨張性耐火材5を設けることで、この熱膨張性耐火材5の外周面と管本体3の外周面とを面一に揃えさせるのが好適である。
【0018】
この場合、熱膨張性耐火材5は、所定の温度以下にあるときに止水性(適度な弾性)を生じるパッキン素材と混練一体化した混練材料で、テープ状に成形したものを準備しておき、これを継ぎ手部2の細くした部分に巻き付けるようにすればよい。
また図4(A)(B)に示すように、排水管用パッキン7と熱膨張性耐火材5とを別々に形成したうえで、これら排水管用パッキン7と熱膨張性耐火材5とを継ぎ手部2の長手方向に沿って並設させてもよい。
また図3(B)に示すように、熱膨張性耐火材5が継ぎ手部2の内周面に設けられるものとする場合、継ぎ手部2には、熱膨張性耐火材5の装着位置に相当させて内径が一回り径大な部分を予め設けておき、この径大部分内に熱膨張性耐火材5を設けることで、この熱膨張性耐火材5の内周面と管本体3の内周面とを面一に揃えさせるのが好適である。
【0019】
この場合、熱膨張性耐火材5は、所定の温度以下にあるときに止水性(適度な弾性)を生じるパッキン素材と混練一体化した混練材料で、排水管用パッキンのようなリング状乃至筒状に成形したものを準備しておき、これを継ぎ手部2の径大部分内へ内嵌させるようにすればよい。
なお、熱膨張性耐火材5を設けるための上記の各方法は一例を示しただけであって限定されるものではなく、例えば継ぎ手部2の細くした部分にリング状乃至筒状に成形したものを外嵌させるといった方法や、装着後に加硫工程を行って継ぎ手部2に熱膨張性耐火材5を一体化させる方法等も有効である。
【0020】
また、熱膨張性耐火材5は、排水管1の外周面や内周面を一周させず、周方向に点在するように設けてもよい。また排水管1の外周面や内周面に対して、その長手方向全長にわたって設けてもよい。
このような構成を具備した本発明の排水管1は、図1及び図2に示すような排水管システム10において用いられる。
すなわち、排水管システム10は、集合住宅やビルなどの建築物に備え付けられるもので、建築物の各階層ごとに割り振られる排水配管構造11を、建築物全体にわたって連結させ、更に頂上部では建築物屋上へと繋がる伸頂通気管12を接続したり、また最下部ではベンド13を介して床下配管または地下埋設の横主管を接続したりすることにより、その全体として構成される。
【0021】
各排水配管構造11は、建築物の床スラブ14に上下貫通して設けられた貫通孔15に対して立管継ぎ手部材17が貫通状態で設けられ、この立管継ぎ手部材17の上部及び下部に立管18が接続される。立管継ぎ手部材17の外周部と貫通孔15の内周面との間にはモルタル19が詰められ、立管継ぎ手部材17は床スラブ14に固定された状態とされる。
立管継ぎ手部材17は例えば排水集合管20であって、耐火性材料(例えば鋳鉄等の金属)を素材として形成されたものである。すなわち、火災現場等において所定条件下に所定時間曝されても、焼損乃至溶損することはない。
【0022】
この排水集合管20は、上部継ぎ手部21と下部継ぎ手部22とを有し、またこれら上下の継ぎ手部21,22の間を繋ぐ管本体23から横向きに突出する横継ぎ手部24を有している。この横継ぎ手部24には、便器等の排水設備とを繋ぐ横枝管25が接続される。
本発明の排水管1は、熱膨張性耐火材5の設けられた方の継ぎ手部2を立管継ぎ手部材17との接続に用いる状態として、上記立管18や横枝管25、或いはベンド13等に使用される。
【0023】
すなわち、本実施形態の排水管1は、図3(A)(B)に示したように挿口部とされた継ぎ手部2に熱膨張性耐火材5が設けられているのに対して、図1に例示した立管継ぎ手部材17としての排水集合管20は、上部継ぎ手部21及び横継ぎ手部24が受口部とされ、下部継ぎ手部22が挿口部とされているので、排水管1の上記継ぎ手部2を上部継ぎ手部21へ接続する立管18として使用したり横継ぎ手部24へ接続する横枝管25として使用したりする。
なお、図1の排水配管構造11で使用した排水管1は、熱膨張性耐火材5が継ぎ手部2の外周面に設けられたタイプ(図3(A)に示したもの)である。そのため熱膨張性耐火材5は、立管継ぎ手部材17における上部継ぎ手部21の内周面(受口部内周面)と上部側の排水管1における継ぎ手部2の外周面(挿口部外周面)との嵌合によってできる周間に介設される状態となる。
【0024】
言うまでもなく、この熱膨張性耐火材5は、所定の温度以下のときには立管継ぎ手部材17と排水管1との接続を阻害しないことに主眼をおいてその体積及び形状が設定されるが、加えて、熱膨張性耐火材5の体積及び形状は、膨張後に立管継ぎ手部材17(上部継ぎ手部21)内を閉塞させるに十分となることを想定した設定とされている。
また排水管1として、熱膨張性耐火材5が継ぎ手部2の内周面に設けられたタイプ(図3(B)に示したもの)を使用すると、図5に示す排水配管構造11のようになる。
この場合の熱膨張耐火材5は、排水管1内において排水流の流れに悪影響を及ぼさないことに主眼をおいてその体積及び形状が設定される。膨張後に立管継ぎ手部材17(上部継ぎ手部21)内を閉塞させるに十分となる体積及び形状に想定した設定とするのは同じである。
【0025】
このように本発明に係る排水管1を具備した排水管システム10であれば、集合住宅やビルなどの建築物で火災等が発生した場合でも、排水管システム1の焼損乃至溶損が原因になって火災発生階より上層階へ火炎、煤煙、有毒ガスなどが流出するといったことは防止される。
すなわち、床スラブ7の下方で火災が起こったと仮定して、立管継ぎ手部材17より下部側の立管18が焼損乃至溶損したり、この立管18と立管継ぎ手部材17の下部継ぎ手部22との接続部分に設けられる通常の排水管用パッキン(ゴム製等であって焼損乃至溶損するおそれのあるもの)が焼損乃至溶損したりして、立管継ぎ手部材17の内部に火炎、煤煙、有毒ガス等が入り込んだとする。場合によっては、立管継ぎ手部材17自体が火災熱を受けて高温になることがあるかもしれない。
【0026】
これらが原因となって立管継ぎ手部材17の上部側の立管18(排水管1)が焼損乃至溶損し始めると、この立管18(排水管1)に設けられた熱膨張性耐火材5が同様に加熱されることになり、この熱膨張性耐火材5は所定の所定の温度を超えた時点で膨張して上部継ぎ手部21内を閉塞することになる。
また、床スラブ14の上方で火災が起こったと仮定して、この火災熱により、立管継ぎ手部材17の上部側の立管18(排水管1)が直接的に焼損乃至溶損し始めたときも、上記と同様に熱膨張性耐火材5は所定の所定の温度を超えた時点で膨張して上部継ぎ手部21内を閉塞することになる。
【0027】
要するに、立管継ぎ手部材17の上部側の立管18(排水管1)が焼損乃至溶損する段階では、立管継ぎ手部材17の上部継ぎ手部21内は既に膨張した熱膨張性耐火材5によって閉塞されており、火炎、煤煙、有毒ガス等の通路が遮断されていることになる。
立管継ぎ手部材17自体は耐火性を有しているため、火災が床スラブ14の下方で起ころうが上方で起ころうが焼損も溶損もしないから、結果として、床スラブ14に形成された貫通孔15はこの立管継ぎ手部材17及びモルタル19によって閉塞状態を維持されることになる。
【0028】
このようなことから排水管システム11の焼損乃至溶損が原因になって火災発生階より上層階へ火炎、煤煙、有毒ガスなどが流出するといったことは防止されるのである。また、床スラブ14上で起きた火災に対し、床スラブ14の下方から新鮮な空気を吸い上げるのを防止できるから、火災の拡大を最小限に抑制できるという効果もある。
立管継ぎ手部材17の横継ぎ手部24に接続された排水管1でも、上記と同様に熱膨張性耐火材5によって横継ぎ手部24内が閉鎖される作用が得られるので、ここでも火炎、煤煙、有毒ガスなどの流出、新鮮空気の吸い込み等が防止されることになる。
【0029】
なお、立管継ぎ手部材17として、図6に示す排水集合管20のように下部継ぎ手部22が受口部とされている場合であれば、排水管1の継ぎ手部2(熱膨張性耐火材5が設けられた方)を下部継ぎ手部22へ接続させるようにすればよい。排水管1としては、熱膨張性耐火材5が継ぎ手部2の外周面に設けられたタイプ(図3(A)に示したもの)でも、内周面に設けられたタイプ(図3(B)に示したもの)でもよい。
このような図6に示した熱膨張性耐火材5の介設位置は、必然的に床スラブ14より下方の配置となるため、階下で起こった火災からいち早く火災熱を感じ取り、熱膨張性耐火材5を膨張させる迅速性(応答性)が得られる点で有益と言える。
【0030】
排水管1は、図7(A)(B)に示すように、両側の継ぎ手部2,3が共に挿口部とされたものでもよい。また図8に示すように、継ぎ手部2が受口部として形成されたものでもよい。このように継ぎ手部2が受口部の場合は、その内周面に熱膨張性耐火材5を設けることになる。
図9に示す排水管1は、素管部40とこの素管部40まわりを被覆する耐火被覆層41とを有した、いわゆる耐火二層管として形成された実施形態である。
素管部40は、継ぎ手部2,4及び管本体3の原形を成す部分であって、樹脂等の非耐火性材料によって形成されている。また、耐火被覆層41は素管部40の全長に及んで設けられており、セラミックや(耐火)モルタル、金属板などの耐火性材料によって形成されている。
【0031】
図例では、熱膨張性耐火材5の設けられる側の継ぎ手部2が挿口部とされ、この外周面に熱膨張性耐火材5が設けられており、これとは反対側の継ぎ手部4は受口部とされたものを示している。
この場合、継ぎ手部2では、耐火被覆層41に熱膨張性耐火材5を装着すべき箇所(排水管1と立管継ぎ手部材17とを接続するうえで両者がオーバーラップする領域OL)に相当させて外径が一回り細い部分を予め設けておき、この細い部分に熱膨張性耐火材5を設けることで、この熱膨張性耐火材5の外周面と管本体3の外周面とを面一に揃えさせてある。
【0032】
図10に示す排水管1は、管本体3側に熱膨張性耐火材5が設けられた実施形態である。すなわち、立管継ぎ手部材17と接続する方の継ぎ手部2のまわりを避けるようにしつつ、管本体3においてこの継ぎ手部2に近接した箇所のまわりへ熱膨張性耐火材5を保持させてある。継ぎ手部2は受口部として形成されている場合を例示している。
熱膨張性耐火材5を管本体3に対する上記の配置で保持させるために、耐火性付属部材50が設けられている。この耐火性付属部材50は、管本体3の外周部を全周的に取り囲むように形成された管外装部51を有している。またこの耐火性付属部材50は、継ぎ手部2の外周部を全周的に取り囲むように形成された継ぎ手外装部52を有している。これら管外装部51及び継ぎ手外装部52は、いずれも耐火性材料(鉄などの金属)によって形成されている。
【0033】
そして管外装部51と管本体3との周間に、筒形を呈する状態で熱膨張性耐火材5が設けられている。従って熱膨張性耐火材5は、継ぎ手部2を立管継ぎ手部材17の挿口部としての継ぎ手部(排水集合管20の下部継ぎ手部22等)へ外嵌させたときに、これら両者がオーバーラップする領域から外れる位置付けとなる。
このような排水管1では、建築物で火災等が発生した場合にあって、最終的に排水管1(管本体3)が焼損乃至溶損してしまうとしても、完全に焼損乃至溶損する前に、熱膨張性耐火材5は所定の温度を超えて加熱された時点で膨張し、耐火性付属部材50内を閉塞させ、或いは耐火性付属部材50内から立管継ぎ手部材17内へ向けて膨出したうえで、この立管継ぎ手部材17内を閉塞させることになる。
【0034】
なお、継ぎ手外装部52は、継ぎ手部2の外周面を取り囲む円筒形に形成されたものとするのが好適ではあるが、複数本又は1本の脚として形成することも可能である。
図11に示す排水管1も、管本体3側に熱膨張性耐火材5が設けられた実施形態である。図10に示した排水管1との違いは、継ぎ手部2が挿口部として形成されている点にあり、これに伴い、熱膨張性耐火材5を保持する耐火性付属部材50は、継ぎ手外装部52を有さず、代わりに、管外装部51を管本体3側に固定するための連結部54を有したものとなっている。この耐火性付属部材50の上部は、ボルト等の固定手段55によって、排水集合管20の下部継ぎ手部22に固定されている。なお、この固定手段55はボルトに限らず、粘着テープ、接着剤その他の種々のものを採用できる。
【0035】
その他の構成や作用効果は、図10に示した排水管1と略同様である。
ところで、本発明は、上記した各実施形態に限定されるものではなく、実施の形態に応じて適宜変更可能である。
例えば、排水管1において管本体3が長管であるか短管であるか、太管であるか細管であるかといった違いは何ら限定されない。また本発明に係る排水管1は、ベンド13を含む旨説明したことからも明らかなように、T字管(図示略)など形状の異なる各種タイプとしても実施できる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】図3(A)の排水管を用いた排水配管構造の側面図である。
【図2】図1の排水配管構造によって構築される排水管システムを示した側面図である。
【図3】本発明に係る排水管の第1実施形態を示しており(A)は熱膨張性耐火材が外周面側に設けられたタイプの側面図であり(B)は内周面側に設けられたタイプの側面図である。
【図4】熱膨張性耐火材と排水管用パッキンとの組み合わせ例を示しており(A)は排水管用パッキンの方が管端寄りとなった側断面図であり(B)は熱膨張性耐火材の方が管端寄りとなった側断面図である。
【図5】図3(B)の排水管を用いた排水配管構造の側面図である。
【図6】立管継ぎ手部材(排水集合管)を図1とは別のものにした場合の排水配管構造の側面図である。
【図7】本発明に係る排水管の第2実施形態を示した側面図である。
【図8】本発明に係る排水管の第3実施形態を示した側面図である。
【図9】本発明に係る排水管の第4実施形態を示した側面図である。
【図10】本発明に係る排水管の第5実施形態を示した側面図である。
【図11】本発明に係る排水管の第6実施形態とそれを用いた排水配管構造の側面図である。
【符号の説明】
【0037】
1 排水管
2 継ぎ手部
3 管本体
5 熱膨張性耐火材
14 床スラブ
17 立管継ぎ手部材
40 素管部
41 耐火被覆層
51 管外装部
50 耐火性付属部材
52 継ぎ手外装部
OL オーバーラップ領域
【技術分野】
【0001】
本発明は、排水管システムを構築するうえで好適に使用できる排水管に関するものである。
【背景技術】
【0002】
集合住宅やビルなどの建築物では、その最下階から最上階にわたって各階を貫く状態で排水管システムが設けられている(例えば、特許文献1等参照)。この種の排水管システムは、各階を仕切る床スラブに対し、排水集合管やストレート管継ぎ手などの立管継ぎ手部材を貫通状態に配置し、これら各階の立管継ぎ手部材相互をストレート管などの立管で接続するという排水配管構造になっている。
立管継ぎ手部材には鋳鉄などを素材とする金属製のものや硬質塩化ビニルなどを素材とする樹脂製のものが知られており、また立管も、鋳鉄管や鋼管等の金属製のもの、或いは硬質塩化ビニルなどを素材とする樹脂管、更には樹脂管をセラミックや(耐火)モルタルなどで被覆した耐火二層管などが知られている。
【特許文献1】特開平10−195947号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
排水管システムが備え付けられた建築物において、階下にて火災等が発生した場合に火炎や煤煙、有毒ガスが排水管システムの焼損乃至溶損部位を通じて上層階へ流出するのを防止するには、従来、排水管システム全体に耐火性を持たせる必要があると考えられていた。
しかし、排水管システム全体に耐火性を持たせようとすれば、立管継ぎ手部材や立管を全て金属製などの不燃材料製のものとする必要があり、高コストになるということがあった。
【0004】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、建築物での火災発生時に火災発生階より上層階へ火炎、煤煙、有毒ガス等の流出通路とはならないようにした排水管システムを、低コストで構築できるようにする排水管を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するために、本発明は次の手段を講じた。
即ち、本発明に係る排水管は、建築物内で床スラブを貫通して配管される耐火性の立管継ぎ手部材に対して内嵌又は外嵌の嵌合関係を持って接続可能にされた継ぎ手部と、この継ぎ手部から延びる管本体とを有しており、上記継ぎ手部の外周面又は内周面には、上記立管継ぎ手部材との嵌合によってできる両者のオーバーラップ領域に対応する位置付けで、所定の温度で膨張する熱膨張性耐火材が設けられている。
継ぎ手部は、立管継ぎ手部材に設けられた受口型管端部に対して内嵌可能な挿口部として形成されたものでも、立管継ぎ手部材に設けられた挿口型管端部を内嵌可能な受口部として形成されたものでもよい。継ぎ手部が挿口部として形成されている場合、熱膨張性耐火材を設ける箇所は、継ぎ手部(挿口部)の内周面でも外周面でもよい。また継ぎ手部が受口部として形成されている場合には、継ぎ手部(受口部)の内周面に熱膨張性耐火材を設けることになる。
【0006】
なお、この排水管として立管継ぎ手部材に接続する継ぎ手部だけに熱膨張性耐火材を設けてもよいし、この排水管の全長にわたって熱膨張性耐火材を設けてもよい。
ここで「熱膨張性耐火材」とは、その体積や形状的な特性として、所定の温度以下では立管継ぎ手部材と排水管との接続を阻害するものとはならず、また立管継ぎ手部材や排水管の内部を排水が流れるのに邪魔とならないものであって、火災時などに所定の温度を超えたときには膨張して、排水管においてこの熱膨張性耐火材が設けられた箇所の内部、又はそこから近い立管継ぎ手部材内へと膨出してゆきその内部を閉塞(充満)させるものを言う。また一旦、所定の膨張を起こした後は、その後の加熱で焼損も溶損もしないものである。
【0007】
またここで「所定の温度」とは、特定の材質の熱膨張性耐火材が有する固有の熱膨張をする温度のことであり、熱膨張性耐火材の材質によって変化する温度である。どの温度で熱膨張をする熱膨張性耐火材を選択するかは、建物の立管部材、排水集合管等の排水配管を構成する部材の材質や、建物の耐火設計の考え方等により定まってくるものである。
このような構成であれば、建築物で火災等が発生した場合にあって、最終的に排水管が焼損乃至溶損するとしても、火災熱によって熱膨張性耐火材が所定の温度を超えて加熱された時点で(排水管が完全に焼損乃至溶損してしまう前に)当該熱膨張性耐火材が膨張し、立管継ぎ手部材内を閉塞させることになる。
【0008】
従って、この立管継ぎ手部材が焼損も溶損もしない耐火性のもの(例えば金属製)であれば、この立管継ぎ手部材を配設するために床スラブに設けられた貫通部分はこの立管継ぎ手部材によって閉塞された状態を維持するから、これら立管継ぎ手部材及び排水管を有した排水管システムの焼損乃至溶損が原因で、火災発生階より上層階へ火炎、煤煙、有毒ガスなどが流出するといったことは防止される。
すなわち、排水管が焼損乃至溶損しても火災への対応が図られることになるため、この排水管として、わざわざ耐火性のものを採用する必要がなく、非耐火性のもの(樹脂管等)を採用できる。従ってこの排水管を使って構築する排水管システム全体として低コスト化が図れる。
【0009】
なお、熱膨張性耐火材を継ぎ手部のみに設ける場合(即ち、排水管全長とはしない場合)、この熱膨張性耐火材は排水管としての管端寄りに位置付けられることを意味する。この位置付けは、排水管全長の中で径方向の強度が比較的低い部分に相当すると言える。
そのため、熱膨張性耐火材が膨張を始めるときにその膨張作用で排水管を押し潰しやすくなり、それだけ立管継ぎ手部材の内部閉塞が迅速且つ確実になるという利点がある。
一方、熱膨張性耐火材は、継ぎ手部の内周面や外周面に設ける場合に限らず、管本体側に設けても良い。
【0010】
すなわちこの場合には、管本体において継ぎ手部に近接した箇所に対し、その外周面を取り囲む管外装部を有した耐火性付属部材を設けるようにして、この耐火性付属部材の管外装部と管本体との周間に熱膨張性耐火材を介設させる。管外装部は、金属などの耐火性材料によって形成する。
このような構成でも、建築物で火災等が発生した場合にあって、最終的に排水管が焼損乃至溶損するとしても、火災熱によって熱膨張性耐火材が所定の温度を超えて加熱された時点で(排水管が完全に焼損乃至溶損してしまう前に)当該熱膨張性耐火材が膨張し、耐火性付属部材内を閉塞させ、或いは耐火性付属部材内から立管継ぎ手部材内へ向けて膨出したうえで、この立管継ぎ手部材内を閉塞させることになる。
【0011】
この耐火性付属部材は、管外装部から継ぎ手部側へ延びてこの継ぎ手部の外周面を取り囲むようにした継ぎ手外装部をも有したものとすればよい。この継ぎ手外装部も、金属などの耐火性材料によって形成する。このような継ぎ手外装部を設けることで、継ぎ手部の焼損や溶損を防止乃至遅延させることができる。
そのため、火災が起こった後も、立管継ぎ手部材に対する排水管(継ぎ手部)の接続状態が所定時間以上保持されることになり、その間、立管継ぎ手部材に対する熱膨張性耐火材の位置付けが保持されることになるので、結果として、この熱膨張性耐火材が膨張したときの立管継ぎ手部材に対する閉塞作用が確実に得られることになる。
【0012】
更に本発明に係る排水管では、継ぎ手部及び管本体として、樹脂などの非耐火性材料によって形成された素管部と、この素管部まわりを被覆する耐火性材料によって形成された耐火被覆層とを有したものとすることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る排水管であれば、建築物での火災発生時に火災発生階より上層階へ火炎、煤煙、有毒ガス等の流出通路とはならないようにした排水管システムを、低コストで構築できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づき説明する。
図3(A)(B)は、本発明に係る排水管1の一実施形態を示している。この排水管1は非耐火性材料(例えば硬質塩化ビニル等の樹脂材)を素材として形成されたものである。すなわち、材料コストは低廉で、且つ軽量であるという利点を有する反面、火災現場等において所定条件下に所定時間曝されると、焼損乃至溶損するおそれのあるものである。
この排水管1は、挿口部(ストレート管端部)として形成された継ぎ手部2と、この継ぎ手部2から延びる管本体3と、この管本体3の他端部側で受口部として形成された継ぎ手部4とを有している。そして挿口部として形成された方の継ぎ手部2に対して熱膨張性耐火材5が設けられている。
【0015】
継ぎ手部2が上記のような挿口部として形成されている場合、排水管1をそれ単独で見た場合には、継ぎ手部2と管本体3とを明確に区別できないこともあるが、この排水管1を後述する立管継ぎ手部材17と接続することによって、この立管継ぎ手部材17の受口部とされた継ぎ手部に内嵌される部分(排水管1と立管継ぎ手部材17とがオーバーラップする領域OL)を、排水管1の継ぎ手部2に相当するものとする。本発明では、この継ぎ手部2との嵌合によってできるオーバーラップ領域OLに対応する範囲内(全部である必要はない)に、熱膨張性耐火材5が設けられていればよいものとする。
【0016】
熱膨張性耐火材5は、図3(A)に示すように継ぎ手部2の外周面を一周する状態で設けられる場合と、図3(B)に示すように継ぎ手部2の内周面を一周する状態で設けられている場合とに大別される。
熱膨張性耐火材30は、例えば黒鉛を含有させたブチルゴム等によって形成されたもので、火災時などに所定の温度(例えば200℃)を超えると膨張し、膨張後の体積が膨張前に比べて5〜40倍に達するといった特性を有している。例えば、積水化学工業株式会社の商品名「フィブロック」を使用することができる。また、この他に、因幡電機産業株式会社製の商品名「熱膨張性耐熱シール材IP」(120℃から膨張を開始し、体積が4倍以上に膨張する)や、ニチアス株式会社製の商品名「パーモフレックス(熱膨張性シート)」(850℃、30分加熱後に発泡して4倍以上に膨張する)や、株式会社古河テクノマテリアル製の商品名「ヒートメル」(膨張開始温度120℃、顕著な膨張温度260℃、4〜8倍に膨張する)等を熱膨張耐火材9として使用できる。なお、熱膨張性耐火材9は、上記したものに限らず、他の種々のものを使用できる。
【0017】
このように、熱膨張性耐火材9は、反応温度、膨張率の異なる多種多様のものを使用でき、したがって建築物内の施工場所に応じて要求される反応温度、管径等の諸条件を満たす最適なものを選択して使用できる。
図3(A)に示すように、熱膨張性耐火材5が継ぎ手部2の外周面に設けられるものとする場合、継ぎ手部2には、熱膨張性耐火材5の装着位置に相当させて外径が一回り細い部分を予め設けておき、この細い部分に熱膨張性耐火材5を設けることで、この熱膨張性耐火材5の外周面と管本体3の外周面とを面一に揃えさせるのが好適である。
【0018】
この場合、熱膨張性耐火材5は、所定の温度以下にあるときに止水性(適度な弾性)を生じるパッキン素材と混練一体化した混練材料で、テープ状に成形したものを準備しておき、これを継ぎ手部2の細くした部分に巻き付けるようにすればよい。
また図4(A)(B)に示すように、排水管用パッキン7と熱膨張性耐火材5とを別々に形成したうえで、これら排水管用パッキン7と熱膨張性耐火材5とを継ぎ手部2の長手方向に沿って並設させてもよい。
また図3(B)に示すように、熱膨張性耐火材5が継ぎ手部2の内周面に設けられるものとする場合、継ぎ手部2には、熱膨張性耐火材5の装着位置に相当させて内径が一回り径大な部分を予め設けておき、この径大部分内に熱膨張性耐火材5を設けることで、この熱膨張性耐火材5の内周面と管本体3の内周面とを面一に揃えさせるのが好適である。
【0019】
この場合、熱膨張性耐火材5は、所定の温度以下にあるときに止水性(適度な弾性)を生じるパッキン素材と混練一体化した混練材料で、排水管用パッキンのようなリング状乃至筒状に成形したものを準備しておき、これを継ぎ手部2の径大部分内へ内嵌させるようにすればよい。
なお、熱膨張性耐火材5を設けるための上記の各方法は一例を示しただけであって限定されるものではなく、例えば継ぎ手部2の細くした部分にリング状乃至筒状に成形したものを外嵌させるといった方法や、装着後に加硫工程を行って継ぎ手部2に熱膨張性耐火材5を一体化させる方法等も有効である。
【0020】
また、熱膨張性耐火材5は、排水管1の外周面や内周面を一周させず、周方向に点在するように設けてもよい。また排水管1の外周面や内周面に対して、その長手方向全長にわたって設けてもよい。
このような構成を具備した本発明の排水管1は、図1及び図2に示すような排水管システム10において用いられる。
すなわち、排水管システム10は、集合住宅やビルなどの建築物に備え付けられるもので、建築物の各階層ごとに割り振られる排水配管構造11を、建築物全体にわたって連結させ、更に頂上部では建築物屋上へと繋がる伸頂通気管12を接続したり、また最下部ではベンド13を介して床下配管または地下埋設の横主管を接続したりすることにより、その全体として構成される。
【0021】
各排水配管構造11は、建築物の床スラブ14に上下貫通して設けられた貫通孔15に対して立管継ぎ手部材17が貫通状態で設けられ、この立管継ぎ手部材17の上部及び下部に立管18が接続される。立管継ぎ手部材17の外周部と貫通孔15の内周面との間にはモルタル19が詰められ、立管継ぎ手部材17は床スラブ14に固定された状態とされる。
立管継ぎ手部材17は例えば排水集合管20であって、耐火性材料(例えば鋳鉄等の金属)を素材として形成されたものである。すなわち、火災現場等において所定条件下に所定時間曝されても、焼損乃至溶損することはない。
【0022】
この排水集合管20は、上部継ぎ手部21と下部継ぎ手部22とを有し、またこれら上下の継ぎ手部21,22の間を繋ぐ管本体23から横向きに突出する横継ぎ手部24を有している。この横継ぎ手部24には、便器等の排水設備とを繋ぐ横枝管25が接続される。
本発明の排水管1は、熱膨張性耐火材5の設けられた方の継ぎ手部2を立管継ぎ手部材17との接続に用いる状態として、上記立管18や横枝管25、或いはベンド13等に使用される。
【0023】
すなわち、本実施形態の排水管1は、図3(A)(B)に示したように挿口部とされた継ぎ手部2に熱膨張性耐火材5が設けられているのに対して、図1に例示した立管継ぎ手部材17としての排水集合管20は、上部継ぎ手部21及び横継ぎ手部24が受口部とされ、下部継ぎ手部22が挿口部とされているので、排水管1の上記継ぎ手部2を上部継ぎ手部21へ接続する立管18として使用したり横継ぎ手部24へ接続する横枝管25として使用したりする。
なお、図1の排水配管構造11で使用した排水管1は、熱膨張性耐火材5が継ぎ手部2の外周面に設けられたタイプ(図3(A)に示したもの)である。そのため熱膨張性耐火材5は、立管継ぎ手部材17における上部継ぎ手部21の内周面(受口部内周面)と上部側の排水管1における継ぎ手部2の外周面(挿口部外周面)との嵌合によってできる周間に介設される状態となる。
【0024】
言うまでもなく、この熱膨張性耐火材5は、所定の温度以下のときには立管継ぎ手部材17と排水管1との接続を阻害しないことに主眼をおいてその体積及び形状が設定されるが、加えて、熱膨張性耐火材5の体積及び形状は、膨張後に立管継ぎ手部材17(上部継ぎ手部21)内を閉塞させるに十分となることを想定した設定とされている。
また排水管1として、熱膨張性耐火材5が継ぎ手部2の内周面に設けられたタイプ(図3(B)に示したもの)を使用すると、図5に示す排水配管構造11のようになる。
この場合の熱膨張耐火材5は、排水管1内において排水流の流れに悪影響を及ぼさないことに主眼をおいてその体積及び形状が設定される。膨張後に立管継ぎ手部材17(上部継ぎ手部21)内を閉塞させるに十分となる体積及び形状に想定した設定とするのは同じである。
【0025】
このように本発明に係る排水管1を具備した排水管システム10であれば、集合住宅やビルなどの建築物で火災等が発生した場合でも、排水管システム1の焼損乃至溶損が原因になって火災発生階より上層階へ火炎、煤煙、有毒ガスなどが流出するといったことは防止される。
すなわち、床スラブ7の下方で火災が起こったと仮定して、立管継ぎ手部材17より下部側の立管18が焼損乃至溶損したり、この立管18と立管継ぎ手部材17の下部継ぎ手部22との接続部分に設けられる通常の排水管用パッキン(ゴム製等であって焼損乃至溶損するおそれのあるもの)が焼損乃至溶損したりして、立管継ぎ手部材17の内部に火炎、煤煙、有毒ガス等が入り込んだとする。場合によっては、立管継ぎ手部材17自体が火災熱を受けて高温になることがあるかもしれない。
【0026】
これらが原因となって立管継ぎ手部材17の上部側の立管18(排水管1)が焼損乃至溶損し始めると、この立管18(排水管1)に設けられた熱膨張性耐火材5が同様に加熱されることになり、この熱膨張性耐火材5は所定の所定の温度を超えた時点で膨張して上部継ぎ手部21内を閉塞することになる。
また、床スラブ14の上方で火災が起こったと仮定して、この火災熱により、立管継ぎ手部材17の上部側の立管18(排水管1)が直接的に焼損乃至溶損し始めたときも、上記と同様に熱膨張性耐火材5は所定の所定の温度を超えた時点で膨張して上部継ぎ手部21内を閉塞することになる。
【0027】
要するに、立管継ぎ手部材17の上部側の立管18(排水管1)が焼損乃至溶損する段階では、立管継ぎ手部材17の上部継ぎ手部21内は既に膨張した熱膨張性耐火材5によって閉塞されており、火炎、煤煙、有毒ガス等の通路が遮断されていることになる。
立管継ぎ手部材17自体は耐火性を有しているため、火災が床スラブ14の下方で起ころうが上方で起ころうが焼損も溶損もしないから、結果として、床スラブ14に形成された貫通孔15はこの立管継ぎ手部材17及びモルタル19によって閉塞状態を維持されることになる。
【0028】
このようなことから排水管システム11の焼損乃至溶損が原因になって火災発生階より上層階へ火炎、煤煙、有毒ガスなどが流出するといったことは防止されるのである。また、床スラブ14上で起きた火災に対し、床スラブ14の下方から新鮮な空気を吸い上げるのを防止できるから、火災の拡大を最小限に抑制できるという効果もある。
立管継ぎ手部材17の横継ぎ手部24に接続された排水管1でも、上記と同様に熱膨張性耐火材5によって横継ぎ手部24内が閉鎖される作用が得られるので、ここでも火炎、煤煙、有毒ガスなどの流出、新鮮空気の吸い込み等が防止されることになる。
【0029】
なお、立管継ぎ手部材17として、図6に示す排水集合管20のように下部継ぎ手部22が受口部とされている場合であれば、排水管1の継ぎ手部2(熱膨張性耐火材5が設けられた方)を下部継ぎ手部22へ接続させるようにすればよい。排水管1としては、熱膨張性耐火材5が継ぎ手部2の外周面に設けられたタイプ(図3(A)に示したもの)でも、内周面に設けられたタイプ(図3(B)に示したもの)でもよい。
このような図6に示した熱膨張性耐火材5の介設位置は、必然的に床スラブ14より下方の配置となるため、階下で起こった火災からいち早く火災熱を感じ取り、熱膨張性耐火材5を膨張させる迅速性(応答性)が得られる点で有益と言える。
【0030】
排水管1は、図7(A)(B)に示すように、両側の継ぎ手部2,3が共に挿口部とされたものでもよい。また図8に示すように、継ぎ手部2が受口部として形成されたものでもよい。このように継ぎ手部2が受口部の場合は、その内周面に熱膨張性耐火材5を設けることになる。
図9に示す排水管1は、素管部40とこの素管部40まわりを被覆する耐火被覆層41とを有した、いわゆる耐火二層管として形成された実施形態である。
素管部40は、継ぎ手部2,4及び管本体3の原形を成す部分であって、樹脂等の非耐火性材料によって形成されている。また、耐火被覆層41は素管部40の全長に及んで設けられており、セラミックや(耐火)モルタル、金属板などの耐火性材料によって形成されている。
【0031】
図例では、熱膨張性耐火材5の設けられる側の継ぎ手部2が挿口部とされ、この外周面に熱膨張性耐火材5が設けられており、これとは反対側の継ぎ手部4は受口部とされたものを示している。
この場合、継ぎ手部2では、耐火被覆層41に熱膨張性耐火材5を装着すべき箇所(排水管1と立管継ぎ手部材17とを接続するうえで両者がオーバーラップする領域OL)に相当させて外径が一回り細い部分を予め設けておき、この細い部分に熱膨張性耐火材5を設けることで、この熱膨張性耐火材5の外周面と管本体3の外周面とを面一に揃えさせてある。
【0032】
図10に示す排水管1は、管本体3側に熱膨張性耐火材5が設けられた実施形態である。すなわち、立管継ぎ手部材17と接続する方の継ぎ手部2のまわりを避けるようにしつつ、管本体3においてこの継ぎ手部2に近接した箇所のまわりへ熱膨張性耐火材5を保持させてある。継ぎ手部2は受口部として形成されている場合を例示している。
熱膨張性耐火材5を管本体3に対する上記の配置で保持させるために、耐火性付属部材50が設けられている。この耐火性付属部材50は、管本体3の外周部を全周的に取り囲むように形成された管外装部51を有している。またこの耐火性付属部材50は、継ぎ手部2の外周部を全周的に取り囲むように形成された継ぎ手外装部52を有している。これら管外装部51及び継ぎ手外装部52は、いずれも耐火性材料(鉄などの金属)によって形成されている。
【0033】
そして管外装部51と管本体3との周間に、筒形を呈する状態で熱膨張性耐火材5が設けられている。従って熱膨張性耐火材5は、継ぎ手部2を立管継ぎ手部材17の挿口部としての継ぎ手部(排水集合管20の下部継ぎ手部22等)へ外嵌させたときに、これら両者がオーバーラップする領域から外れる位置付けとなる。
このような排水管1では、建築物で火災等が発生した場合にあって、最終的に排水管1(管本体3)が焼損乃至溶損してしまうとしても、完全に焼損乃至溶損する前に、熱膨張性耐火材5は所定の温度を超えて加熱された時点で膨張し、耐火性付属部材50内を閉塞させ、或いは耐火性付属部材50内から立管継ぎ手部材17内へ向けて膨出したうえで、この立管継ぎ手部材17内を閉塞させることになる。
【0034】
なお、継ぎ手外装部52は、継ぎ手部2の外周面を取り囲む円筒形に形成されたものとするのが好適ではあるが、複数本又は1本の脚として形成することも可能である。
図11に示す排水管1も、管本体3側に熱膨張性耐火材5が設けられた実施形態である。図10に示した排水管1との違いは、継ぎ手部2が挿口部として形成されている点にあり、これに伴い、熱膨張性耐火材5を保持する耐火性付属部材50は、継ぎ手外装部52を有さず、代わりに、管外装部51を管本体3側に固定するための連結部54を有したものとなっている。この耐火性付属部材50の上部は、ボルト等の固定手段55によって、排水集合管20の下部継ぎ手部22に固定されている。なお、この固定手段55はボルトに限らず、粘着テープ、接着剤その他の種々のものを採用できる。
【0035】
その他の構成や作用効果は、図10に示した排水管1と略同様である。
ところで、本発明は、上記した各実施形態に限定されるものではなく、実施の形態に応じて適宜変更可能である。
例えば、排水管1において管本体3が長管であるか短管であるか、太管であるか細管であるかといった違いは何ら限定されない。また本発明に係る排水管1は、ベンド13を含む旨説明したことからも明らかなように、T字管(図示略)など形状の異なる各種タイプとしても実施できる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】図3(A)の排水管を用いた排水配管構造の側面図である。
【図2】図1の排水配管構造によって構築される排水管システムを示した側面図である。
【図3】本発明に係る排水管の第1実施形態を示しており(A)は熱膨張性耐火材が外周面側に設けられたタイプの側面図であり(B)は内周面側に設けられたタイプの側面図である。
【図4】熱膨張性耐火材と排水管用パッキンとの組み合わせ例を示しており(A)は排水管用パッキンの方が管端寄りとなった側断面図であり(B)は熱膨張性耐火材の方が管端寄りとなった側断面図である。
【図5】図3(B)の排水管を用いた排水配管構造の側面図である。
【図6】立管継ぎ手部材(排水集合管)を図1とは別のものにした場合の排水配管構造の側面図である。
【図7】本発明に係る排水管の第2実施形態を示した側面図である。
【図8】本発明に係る排水管の第3実施形態を示した側面図である。
【図9】本発明に係る排水管の第4実施形態を示した側面図である。
【図10】本発明に係る排水管の第5実施形態を示した側面図である。
【図11】本発明に係る排水管の第6実施形態とそれを用いた排水配管構造の側面図である。
【符号の説明】
【0037】
1 排水管
2 継ぎ手部
3 管本体
5 熱膨張性耐火材
14 床スラブ
17 立管継ぎ手部材
40 素管部
41 耐火被覆層
51 管外装部
50 耐火性付属部材
52 継ぎ手外装部
OL オーバーラップ領域
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物内で床スラブ(14)を貫通して配管される耐火性の立管継ぎ手部材(17)に対して内嵌又は外嵌の嵌合関係を持って接続可能にされた継ぎ手部(2)と、この継ぎ手部(2)から延びる管本体(3)とを有し、上記継ぎ手部(2)の外周面又は内周面には上記立管継ぎ手部材(17)との嵌合によってできる両者のオーバーラップ領域(OL)に対応する位置付けで、所定の温度で膨張する熱膨張性耐火材(5)が設けられていることを特徴とする排水管。
【請求項2】
前記継ぎ手部(2)は、立管継ぎ手部材(17)に設けられた受口型管端部に対して内嵌可能な挿口部として形成されており、この継ぎ手部(2)の外周面又は内周面に前記熱膨張性耐火材(5)が設けられていることを特徴とする請求項1記載の排水管。
【請求項3】
前記継ぎ手部(2)は、立管継ぎ手部材(17)に設けられた挿口型管端部を内嵌可能な受口部として形成されており、この継ぎ手部(2)の内周面に前記熱膨張性耐火材(5)が設けられていることを特徴とする請求項1記載の排水管。
【請求項4】
建築物内で床スラブ(14)を貫通して配管される耐火性の立管継ぎ手部材(17)に対して内嵌又は外嵌の嵌合関係を持って接続可能にされた継ぎ手部(2)と、この継ぎ手部(2)から延びる管本体(3)とを有し、この管本体(3)において上記継ぎ手部(2)に近接した部位のまわりに、当該部位の外周面を取り囲む耐火性材料製の管外装部(51)を有した耐火性付属部材(50)が設けられており、この耐火性付属部材(50)の管外装部(51)と管本体(3)との周間には、所定の温度で膨張する熱膨張性耐火材(5)が介設されていることを特徴とする排水管。
【請求項5】
前記耐火性付属部材(50)は、管外装部(51)から継ぎ手部(2)側へ延びて当該継ぎ手部(2)の外周面をも取り囲む耐火性材料製の継ぎ手外装部(52)を有していることを特徴とする請求項4記載の排水管。
【請求項6】
前記継ぎ手部(2)及び管本体(3)は非耐火性材料によって形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の排水管。
【請求項7】
建築物内で床スラブ(14)を貫通して配管される耐火性の立管継ぎ手部材(17)に対してこの立管継ぎ手部材(17)に設けられた受口型管端部へ内嵌可能な挿口部として形成された継ぎ手部(2)と、この継ぎ手部(2)から延びる管本体(3)とを有し、これら継ぎ手部(2)及び管本体(3)は、非耐火性材料によって形成された素管部(40)と、この素管部(40)まわりを被覆する耐火性材料によって形成された耐火被覆層(41)とを有しており、上記継ぎ手部(2)の外周面には、上記立管継ぎ手部材(17)との嵌合によってできる両者のオーバーラップ領域(OL)に対応する位置付けで、所定の温度で膨張する熱膨張性耐火材(5)が設けられていることを特徴とする排水管。
【請求項1】
建築物内で床スラブ(14)を貫通して配管される耐火性の立管継ぎ手部材(17)に対して内嵌又は外嵌の嵌合関係を持って接続可能にされた継ぎ手部(2)と、この継ぎ手部(2)から延びる管本体(3)とを有し、上記継ぎ手部(2)の外周面又は内周面には上記立管継ぎ手部材(17)との嵌合によってできる両者のオーバーラップ領域(OL)に対応する位置付けで、所定の温度で膨張する熱膨張性耐火材(5)が設けられていることを特徴とする排水管。
【請求項2】
前記継ぎ手部(2)は、立管継ぎ手部材(17)に設けられた受口型管端部に対して内嵌可能な挿口部として形成されており、この継ぎ手部(2)の外周面又は内周面に前記熱膨張性耐火材(5)が設けられていることを特徴とする請求項1記載の排水管。
【請求項3】
前記継ぎ手部(2)は、立管継ぎ手部材(17)に設けられた挿口型管端部を内嵌可能な受口部として形成されており、この継ぎ手部(2)の内周面に前記熱膨張性耐火材(5)が設けられていることを特徴とする請求項1記載の排水管。
【請求項4】
建築物内で床スラブ(14)を貫通して配管される耐火性の立管継ぎ手部材(17)に対して内嵌又は外嵌の嵌合関係を持って接続可能にされた継ぎ手部(2)と、この継ぎ手部(2)から延びる管本体(3)とを有し、この管本体(3)において上記継ぎ手部(2)に近接した部位のまわりに、当該部位の外周面を取り囲む耐火性材料製の管外装部(51)を有した耐火性付属部材(50)が設けられており、この耐火性付属部材(50)の管外装部(51)と管本体(3)との周間には、所定の温度で膨張する熱膨張性耐火材(5)が介設されていることを特徴とする排水管。
【請求項5】
前記耐火性付属部材(50)は、管外装部(51)から継ぎ手部(2)側へ延びて当該継ぎ手部(2)の外周面をも取り囲む耐火性材料製の継ぎ手外装部(52)を有していることを特徴とする請求項4記載の排水管。
【請求項6】
前記継ぎ手部(2)及び管本体(3)は非耐火性材料によって形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の排水管。
【請求項7】
建築物内で床スラブ(14)を貫通して配管される耐火性の立管継ぎ手部材(17)に対してこの立管継ぎ手部材(17)に設けられた受口型管端部へ内嵌可能な挿口部として形成された継ぎ手部(2)と、この継ぎ手部(2)から延びる管本体(3)とを有し、これら継ぎ手部(2)及び管本体(3)は、非耐火性材料によって形成された素管部(40)と、この素管部(40)まわりを被覆する耐火性材料によって形成された耐火被覆層(41)とを有しており、上記継ぎ手部(2)の外周面には、上記立管継ぎ手部材(17)との嵌合によってできる両者のオーバーラップ領域(OL)に対応する位置付けで、所定の温度で膨張する熱膨張性耐火材(5)が設けられていることを特徴とする排水管。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−56538(P2007−56538A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−242937(P2005−242937)
【出願日】平成17年8月24日(2005.8.24)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年8月24日(2005.8.24)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】
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