説明

掘削機の掘削地点評価装置

【課題】 推進管(一般に「円筒形のヒューム管」)の角度方向の連結部分(曲線部分)に柔軟に対応する掘削機の掘削地点評価装置を提案すること。
【解決手段】 トンネル内を掘り進む掘削機に後続状態に連結された前方側推進管と後方側推進管に目視可能な範囲内でそれぞれ水平バランス用吊り下げ手段を介して複数個の接続手段を設け、また各接続手段に先端部及び後端部がそれぞれ連結された長さが既知の複数本の棒状体を設け、接続手段に設けられかつ接続手段の回転体の回転角をそれぞれ検出する検知手段の角度信号及び棒状体の長さに関する情報に基づいて掘削機の現在位置を評定すること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、掘削機の掘削地点評価装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術の一例として特許文献1を記載する。特許文献1には、立坑から掘削機までの距離及び掘削機の位置誤差を測定するトンネル自動測量方法のいくつかの実施例が記載されている。図1は第1実施例の縦断面概略図である。
【0003】
以下、特許文献1の符号をそのまま用いて第1実施例を説明する。10は推進工法により直線状ないし曲線状に形成されるトンネル、12は地盤、14は地盤12に形成した立坑、16は立坑14よりも前方に位置し、かつ、先端部に掘削用の掘羽根を有する掘削機、18は掘削機に一連に連結された推進管、20は掘削機16までの距離を測定することができるように立坑14内に設けられた光波測定器、22は掘削機16の位置誤差を測定することができるように立坑14内に設けられた遠赤外線レーザ照射器、26は画像処理ボード24を介して光波測定器20に接続されたパーソナルコンピュータ、28は遠赤外線レーザ照射器22に接続するレーザ発生器、30は照射側に位置する集光レンズ、32は掘削機16に設けられかつ光波測定器20からの光波を反射する反射板、34は掘削機16に設置されかつ遠赤外線レーザ照射器22からの不可視レーザ光を受光するスクリーン、36は掘削機16に設置されかつスクリーン34上の不可視レーザ光の照射点を撮像する撮像装置としてのCCDカメラである。
【0004】
しかして、CCDカメラ36は、複数個の光モデム42及び光ファイバケーブル44を介して立坑14側に導かれ、画像処理ボード46を介してパーソナルコンピュータ26に接続されている。また、距離測定に際しては、掘削機16及び推進管18を元押しジャッキで推進させながら、立坑14側の光波測定器20から掘削機16側の反射板32に向けて光波を照射する。また、反射板32に照射された光波は、反射板32によって反射され、その反射光が光波測定器20によって受光され、光波の送受時間により掘削機16までの距離を算出して、画像処理ボード24で画像処理してパーソナルコンピュータ26に表示する。また、掘削機16の位置誤差測定は、同様に推進状態で、レーザ発生器28によって発生した不可視レーザ光を、遠赤外線レーザ照射器22より集光レンズ30を通して、立坑14側から掘削機16側のスクリーン34に向けて照射する。掘削機16側では、スクリーン34に照射された不可視レーザ光の照射点48をCCDカメラ36で撮像し、光モデム42及び光ファイバケーブル44を介して立坑14側に送信し、画像処理ボード46により画像処理してパーソナルコンピュータ26に表示する。したがって、掘削機16の位置誤差は、スクリーン34の中心点と不可視レーザ光の照射点との誤差をスクリーン34の目盛りにて読みとることで測定できる。
【0005】
ところで、掘削機16に形成されるトンネルは、普通一般に前方側の推進管とこれに連結される後方側の推進管との連結部分が角度方向に連結されることから、角度を変え得る該連結部分を、例えば「曲線部分」と称し、この曲線部分に起因する掘削機の位置誤差を考慮した測定方法が試みられている。
【0006】
この曲線部分に関し、特許文献1に於いては、図1に記載した構成を前提として、第2実施例や第3実施例を提案している。この第2実施例及び第3実施例が曲線部分を有するトンネル内で掘削機の方位及び距離(掘削機の現在位置)を測定(特定)するという意味合いで、本願発明に関係する。
【0007】
さて、特許文献1の第2実施例及び第3実施例は、同公報に記載のとおりであるが、第2実施例及び第3実施例は、第1実施例の構成をそのまま含み、曲線部分を設定した前方側の推進管と後方側の推進管に支持台車を介して補助台車(第1台車,第2台車)をそれぞれ配設し、これらの第1台車,第2台車には、レザー発生機、レザー照射機、集光レンズ、CCDカメラ等の位置測定手段をそれぞれ設け、さらに、第1台車,第2台車同士を水平状態に維持するために2本の連結手段を介して互いに連結している。
【0008】
そして、第3実施例に於いては、前記第2実施例の構成を前提として、掘削機16と第2台車との距離及び掘削機16の位置誤差を測定するために、さらに、第1台車,第2台車同士を距離測定兼用連結用ワイヤーにて互いに連結する構成が開示されている。
【特許文献1】特開2000−258159号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の第1の目的は、推進管(一般に「円筒形のヒューム管」と称されている。)の角度方向の連結部分(曲線部分)に柔軟に対応する掘削機の掘削地点評価装置を提案することである。第2の目的は、接続手段を水平状態に保持し、接続手段同士との角度を正確に測定することができることである。第3の目的は、接続手段を吊り下げ手段に簡単に設置することができることである。第4の目的は、検知手段による角度測定を必要に応じて補正し得ることである。その他、推進管内に容易に設置することができると共に、工事終了後に評価装置を簡単に除去し得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の掘削機の掘削地点評価装置は、トンネル内を掘り進む掘削機に後続状態に連結された前方側推進管と後方側推進管に目視可能な範囲内でそれぞれ水平バランス用吊り下げ手段を介して複数個の接続手段を設け、また各接続手段に先端部及び後端部がそれぞれ連結された長さが既知の複数本の棒状体を設け、接続手段に設けられかつ接続手段の回転体の回転角をそれぞれ検出する検知手段の角度信号及び棒状体の長さに関する情報に基づいて掘削機の現在位置を評定することを特徴とする。
【0011】
上記構成に於いて、接続手段は、吊り下げ手段を構成する幅広支持板の上に位置し、前方側の棒状体の後端部を枢着する第1回転体と、後方側の棒状体の先端部を枢着すると共に、前記第1回転体に対して水平方向に回転自在に設けられた第2回転体を備えていることを特徴とする。また、検知手段には、接続手段の上部に設置されたCCD受光面体が含まれることを特徴とする。
【0012】
ここで、接続手段には、掘削機側の先頭接続手段1、坑道入口側の接続手段15n及び前後の棒状体を一連に連結する中間の接続手段15a,15b…が含まれる。したがって、接続手段には、少なくとも棒状体17の一端部が連結されている。
【0013】
また、棒状体は、接続手段に対して垂直方向に揺動することができるようにそれぞれ軸支されている。
【0014】
また、ここで「前方側の推進管」とは、連続する推進管内にそれぞれ配設した接続手段の位置を特定付けるための用語であり、先と後ろの接続手段を比較した場合、掘削機側の近い接続手段が存在する方を前方側の推進管という。
【発明の効果】
【0015】
(1)棒状体の端部が連結された各接続手段は、回転体を備えているので、推進管(「円筒形のヒューム管」)の角度方向の連結部分(曲線部分)に柔軟に対応することができる。
(2)また、複数個の接続手段は、水平バランス用吊り下げ手段を介してそれぞれ配設されているので、接続手段同士との角度を正確に測定することができるができる。
(3)請求項2に記載の発明は、吊り下げ手段が幅広支持板35aを有しているので、その上面に接続手段を簡単に設置することができる。
(4)検知手段には、接続手段の上部に設置されたCCD受光面体が含まれるので、例えば検知手段による角度測定を必要に応じて補正するために、前方接続手段の上部の発光体を受像してCCD受光面中心点と受像点の距離により、前方の接続手段との角度を電気信号として取り出すことも可能である。付言すれば、推進管をいくつもの接続手段を含んだ長い直線状に連結した時、その先端の接続手段と最後の接続手段との間の角度を、CCD受光面体を介して一度に測定することができる。
(5)その他、推進管内に容易に設置することができると共に、工事終了後に評価装置を簡単に除去し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図2乃至図9に示す本発明を実施するための最良の形態(第1実施例)により説明する。
【0017】
(1)発明の実施の環境
図2は平面側から観察した場合の概略説明図(推進管の計が、例えば10本)、また、図3は主要部を示した図2と同様の概略説明図である(但し、図3では、便宜上、推進管の一部を略し、推進管の計が5本)。
【0018】
本発明の掘削地点評価装置は、例えば上下水道管、電気・通信ケーブル管等の地下埋設のために、直径20−100cm程度の坑道を、掘削機16Aを利用して地下2−20mで自動掘削する際に、予め設定した経路に沿って掘削されているかどうかを評定、確認するために用いられる。
【0019】
掘削機16Aの位置及び方位を掘削地点評価装置で確認したならば、適宜、掘削機16Aの方向を修正しながら、目標地点(最終地点)に正確に到着するように更に掘削を進める。掘削機16Aの構成や推進管(地中埋設物となる)の長さ、半径等は、当業者の自明事項である。
【0020】
さて、16Aは掘削機で、この掘削機16Aは地中12Aの中、例えば地下2から20mを掘り進み、図示しないトンネルを形成する。この掘削機16Aには、特許文献1の第1実施例と同様に反射板、スクリーン、撮影装置等を搭載することは自由であるが、本発明では限定要件ではない。
【0021】
少なくとも掘削機16Aには、該掘削機16Aの方位を決定付ける掘削機の現在位置特定用の先頭接続手段1(以下、「先頭接続手段1」という。)が固定的に搭載され、或いは取り外し可能に設置されていれば良い。先頭接続手段1は、後述の接続手段15と略同様の構成である。なお、説明の便宜上、先頭接続手段1と後続の接続手段15とは同様の構成ではあるが、符号を別個に付す。また、トンネルは曲線部分を有することが前提条件である。
【0022】
しかして、先頭接続手段1は、図4で示すように、掘削機16Aの後端部16aに水平状態に設置された角形又は円形状の取付けベース板2と、この取付けベース板2上に垂直状態に立設された垂直軸3と、この垂直軸3に回転自在に外嵌合する円盤状の先頭回転体4と、この先頭回転体4の回転角を検出することができるように前記取付けベース板2上に設けられた検出手段5とから構成され、前記先頭回転体4の外周壁の適宜部位には、取付け部分(軸受け)6及び横軸7を介して先頭の棒状体17aの先端部が枢着(連結)されている。
【0023】
ところで、前記検出手段5の具体的構成(インデックス、光センサー、取付け片等)を図示しないが、例えば回転体4の外周壁に単数又は複数の位置検出片を設け、この位置検出片を検出手段で検出する。したがって、検出手段5は、円盤状あるいは筒状の回転体4の回転角(ここでは先頭の棒状体17の水平方向への回転角)を検出することができる。
【0024】
次に、図2等で示す符号8は、掘削機16Aに後続状態に連結された複数個の推進管である。掘削機16Aの後方に一連に続く各推進管8は、図2では便宜上計10本示しているが、もちろん、10本に限定するものではない。
【0025】
普通一般の工事では、例えば40〜50本程度は連結され、図5で示すように互いに接合する端部の連結部分8a,8bは、異径のオス・メスの関係により、角度調整可能に遊嵌合する。本実施例では、発明の限定要件ではないが、一方側に位置する推進管のオス側連結部分8aの周壁及び他方側に位置する推進管のメス側連結部分8bの周壁にそれぞれ帯状の弾性部材(例えばゴム製シート)9を巻き付け、推進管8の端部の破損の防止を図っている。
【0026】
次に、15は掘削機16Aに搭載された角度測定の先頭接続手段1に続く前方側の推進管と後方側の推進管に目視可能な範囲内でそれぞれ配設された複数個の接続手段である。これらの接続手段15は、推進管の数や曲線部分に対応して増える。
しかして、接続手段15は、前記先頭接続手段1と同様に構成され、各接続手段15,15b…15nは、それぞれの回転体の回転角(棒状体間の角度や棒状体の角度)を検出する検知手段5(便宜上、先頭接続手段1の角度検知手段5と同一の符号を付す)を備えている。
【0027】
各接続手段15には、必要に応じて、先端部及び後端部がそれぞれ軸受け及び横軸を介して枢着された長さが既知の前後の棒状体17a,17b,17n(最後の棒状体を便宜上17nとする。)がそれぞれ取り付けられている。枢着され得る棒状体17は、複数本である。
【0028】
例えば図3で示すように、掘削機16Aの先頭接続手段1から坑道入口側(立坑側、末尾の推進管も含む)14Aの接続手段15nは、先頭の棒状体17a、推進管内の第1番目の接続手段15a、この接続手段15aに連結された第2番目の棒状体17b、この棒状体17bに連結された推進管内の第2番目の接続手段15b(以下、同様であり、坑道入口側14Aの接続手段をここでは符号15nとする。)の如く一連に連結されている。
【0029】
したがって、棒状体17(各棒状体17a,17b,17bc…17n)の長さは既に判っており、また、先頭接続手段1の回転体4及び後続の接続手段15a,15b,15c…15nの回転体28,29の回転角度(前後の棒状体間の角度)は、それぞれの角度検知手段5により検知することが可能であることから、例えば先頭接続手段1、中間接続手段15a,15b、最交尾の接続手段15n(この場合には後方側の棒状体は不要)、これらの接続手段の各検知手段5及び坑道入口側等のコンピュータ23にそれぞれ接続する信号線18さえ存在すれば、演算処理するコンピュータ23に各検知手段5が検出した角度信号及び接続手段並びに棒状体の長さに関する情報を入力し、前進する掘削機16Aの現在位置とその方位を評定することができる。
【0030】
次に、図5乃至図9を参照にして接続手段15等の構成を具体的に説明する。図5は水平バランス用吊り下げ手段35を構成する幅広支持板35aの上面に接続手段15を設置した平面視からの概略説明図であり、吊り下げ手段35は省略している(吊り下げ手段35については図8、図9参照)。
【0031】
また、図6は、本発明の要部(幅広支持板35a、接続手段15、棒状体17)の平面視からの概略説明図である。さらに、図7は、本発明の要部を側面から見た概略説明図である。
【0032】
さて、本実施例の接続手段15は、先頭接続手段1と同様の構成である。図8、図9で示すように、後続の推進管8内には、接続手段15を、幅広支持板35aを介して水平状態に支持する水平バランス用吊り下げ手段35が配設されている。
【0033】
この吊り下げ手段35は、本実施例では、端面C型形状、馬蹄形状、端面O型形状等の可動フレーム36を有し、該可動フレーム36は、推進管8の内周壁面を滑動する複数個の滑動体37を有する。
【0034】
滑動体37は、馬蹄形状の可動フレーム36の外周壁に所要間隔を有して複数箇所、例えば、図8の実施例では、中央部と左右端部寄りの部位(合計3箇所)にそれぞれ固定的に設けられている。もちろん、滑動体37は実施例の3箇所に限定するものではない。
【0035】
しかして、可動フレーム36は、本実施例では、硬質材料で成形された弾発力を有するフレーム36を内側に付勢する付勢機能を有し、可動フレーム36の外周壁に基端部が固定されたバネ37aと、このバネ37aの自由端部に固定され、かつ、推進管8の内周壁面を滑動し得る球状、横円柱状などの圧接部材37bとを含む。
【0036】
ところで、前記滑動体37は、望ましくは、可動フレーム36の外周壁の中心部と、開口側の左右両端部(端部寄りの位置も含む)にそれぞれ「3点支持」のように取り付けられる。また、馬蹄形状の可動フレーム36の両端部は、土砂移送管24の下で合わさっているが、これは一例であり、両端部は土砂移送管24に乗っかる、又は両端部は推進管の内壁底面に当接するように構成しても良い。
【0037】
また、吊り下げ手段35は、幅広支持板35aを水平状態に保つための金属製又は合成樹脂製の吊り下げ部材(鋼材、紐など)35bを有している。
【0038】
したがって、本実施例の接続手段15は、蹄形状の可動フレーム36の中央部の内側に取付けられた吊り下げ部材35bを介して該幅広支持板35aの上面に水平状態に設けられている。
【0039】
それ故に、推進管8内に吊り下げ手段35を設置した場合、接続手段15は常に水平状態となり、その結果、接続手段同士との角度を正確に測定することができる。
【0040】
ところで、本発明は、あくまでも基本的な構成要件を示したので、特に図示しないが、望ましくは、検知手段による角度測定を必要に応じて補正するために、例えば接続手段15の上部にCCD受光面体を設置する。本発明の基本的構成に該CCD受光面体の構成を限定した実施例の場合には、前方接続手段の上部の発光体を受像してCCD受光面中心点と受像点の距離により、前方の接続手段との角度を電気信号として取り出すことが可能となる。
【0041】
さらに、本発明の基本的構成について付言する。
【0042】
(a)実施例では、先頭接続手段1に対する後続の接続手段15は、水平バランス用吊り下げ手段35により、常時水平状態に支持されている。吊り下げ手段35の具体的構成は、任意に設計変更可能であるから、可動フレーム36等の形状は特に限定するものではない。しかし、吊り下げ手段35は、少なくとも、吊り下げ部材や幅広支持板35aが必要である。
【0043】
(b)吊り下げ手段35の幅広支持板35aは、本実施例では、棒状体17が所定の長さであること、後続の推進管8は曲線部分を形成するようにトンネルに連続的に設置され得ること等から、図5で示すように、例えば互いに嵌合する前後の推進管8の連結部分8a,8b内或いは推進管の最後部に位置するように配設される。もちろん、発明の目的を達成することができる限度内で、多少位置がずれても良い。
【0044】
(c)吊り下げ手段35の蹄形状の可動フレーム36の両端部は、推進管8の内周壁の下部に位置、かつ、フレキシブルな土砂移送管24を跨ぐことができるように所要間隔を有して対向しているが、前記両端部が推進管8の内周壁に接触することは、発明の限定要件ではない。つまり、動フレーム36の両端部は、推進管8の内周壁から離れていても良い。
【0045】
(d)次に、図7で示すように、幅広支持板35aの上面に設置された接続手段15は、望ましくは中心部の垂直軸27に嵌合する2個の回転体28,29(第1回転体と第2回転体)をそれぞれ有している。これらの回転体28,29の形状は、中心孔を有する円盤状(本実施例)、又は互いに嵌合する内外の筒状体に形成することができる。第1・第2の回転体28,29は、垂直軸27に同心状に設けられていることから、垂直軸27を中心軸として互いに開く又は閉じる方向に水平回転可能である。
したがって、接続手段15(15a,15b…)に設けられた回転体28,29の角度を検出する検出手段5は、第1・第2の回転体28,29の内部(例えば第1回転体28と第2回転体の対向する内面)に適宜に設置されている。
【0046】
(e)検出手段5は、例えば回転体にパターンが書きこまれ、パターンに従ってスリットを通過した光は、あるものは通過(透過)し、あるものは遮られる構成なので、発光素子及び受光素子を構成要件としている。透過光は受光素子で電流に変換され、波形整形された後、デジタル信号となり、回転体28,29の角度を検出することが可能となる。
【0047】
(f)回転体28,29の外周壁の適宜部位には、それぞれ軸受け28a,29aが適宜に突出形成され、これらの軸受け28a,29aにそれぞれ横設軸架された横軸31,32を介して先の棒状体17aの後端部及び後の棒状体17bの先端部がそれぞれ一連的に枢着(連結)されている。
【0048】
(g)棒状体17の材質は、材質自体により変位しないもの、軽いもの、折れないもの等を考慮して適宜に選択し得る。本実施例の棒状体17は、容易に変位しない材質や形態のもの(例えば金属製パイプ、硬質合成樹脂製パイプなど)を採用し、かつ、図2で示すように前方側の推進管8Aと後方側推進管8Bに目視可能な範囲内でそれぞれ配設された前後の接続手段15に連結可能な長さに設定され、各棒状体15の長さは、予め既知である。そして、この「既知の長さ関する情報(棒状体15と接続手段)」は、坑道入口側等に存在するコンピュータ23に図示しない操作手段を介して入力される。なお、末尾の接続手段15nには、当然のことながら、後続の棒状体を連結する必要はない。
【0049】
(h)最後に、コンピュータ23は、そのハードウエアーの構成図を特に図示しないが、棒状体17等に関する既知の長さ情報及び検出手段5が検出した角度信号をそれぞれ取得するための入力部、入力部が入力した情報及び地中に関する地図情報、掘削用の設定経路情報、施設に関する背景情報、テキスト情報等を格納したファィル装置、該ファィル装置に格納されている情報にアクセスし、かつ、演算処理して掘削機2の掘削地点及び方位を算出する中央演算処理部、演算処理して得られた情報と入力情報等とを比較して判定評価する判定部(評定部)、該判定部の結果を出力する出力部(例えば表示部)をそれぞれ備えている。したがって、本発明は、部品点数を少なくして発明の目的ないし効果を達成することができる。
【実施例】
【0050】
発明の実施の形態で示した一例に於いて、棒状体17の中間部が撓まないように、中間部を支持する単数又は複数個の棒状体17用支持部材を推進管8内に適宜に配設しても良い。この場合の支持部材は、本実施例の吊り下げ手段35を構成する可動フレーム36と同様に、例えば馬蹄形状に形成され、推進管8内の所定箇所に設置される。そして、望ましくは、前後の接続手段15の可動フレーム36の端面中央部に連結手段(ロープ、ワイヤーなど)を介して連結する。
【0051】
また、本実施例では、現在位置特定用の先頭接続手段は、掘削機16に設ける旨を説明したが、均等(作用・効果が同一)の範囲内で、現在位置特定用の先頭接続手段を先頭推進管頭部に搭載しても良い。この場合には、先頭推進管頭部の先頭接続手段と掘削機16とを角度検出用の棒状体で適宜に連結する。
【0052】
また、本発明の限定要件ではないが、評価装置を立坑入口14Aまで引き出すための牽引手段を可動フレーム36に設けても良い。また、接続手段15の数や配設場所は当業者にとって任意に変更し得る事項である。
【0053】
また、図10で示すように、接続手段15Aを支持する幅広支持板35aの上面の接続手段15A(第1回転体28A及び第2回転体29A)の接続構造については、第1回転体28Aを中心孔を有する円盤状の軸受け部材に形成し、一方、第2回転体29Aを前記中心孔に下端部側が挿嵌する回転軸を有する垂直軸部材に形成しても良い。
【0054】
そして、この実施例の接続手段15Aの角度検出手段5は、第2回転体29Aの外周壁の一部と第1回転体28Aの内周壁に設けられ、これらの回転体28A,29Aの廻り対偶関係を利用して回転体28A,29Aの回転角度を検出する。
【0055】
なお、実施例の接続手段15Aは、先頭接続手段並びに最交尾接続手段の間に位置する後続の接続手段に適合する。例えば先頭接続手段の第1回転体28Aは掘削機に適宜に固定されることから、回転体28Aが回転することは必須の要件ではない。
【0056】
また、この実施例の前後の棒状体17a,17b等も、突片、端面L型状等の軸受け28a,29a及び横軸31,32を介して垂直方向に揺動することができるようにそれぞれ軸支されている。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明の掘削地点評価装置は、例えば上下水道管、電気・通信ケーブル管等の地下埋設のために地盤の中を掘削しながら前進する自動掘削機が、予め設定した経路に沿って掘削されているかどうかを評定、確認するために用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
図1乃至図9は本発明の最良の実施例(第1実施例)を示す各説明図。図10は本発明の要部の設計変更例(第2実施例)である。
【図1】従来の環境状態の一例を示す概略説明図(特許文献1の図1)。
【図2】平面側から観察した場合の概略説明図(推進管の計が10本)。
【図3】主要部を示した図2と同様の概略説明図である(但し、図3では、便宜上、推進管の一部を略し、推進管の計が5本)。
【図4】掘削機の先頭接続手段1の構成を示す概略説明図。
【図5】主要部(特に推進管内の接続手段15と棒状体17)の平面からの説明図。
【図6】主要部を平面から見た概略説明図。
【図7】幅広支持板上の接続手段15の構造を示す一側面からの概略説明図。
【図8】推進管内の接続手段15及び吊り下げ手段35の構造を示す坑道の入口側から見た概略説明図。
【図9】図8に於いて、縦断面から見た概略説明図。
【図10】本発明の要部の設計変更例(第2実施例)。
【符号の説明】
【0059】
1…基準手段、2…取付けベース板、3…基準軸、4…基準回転体、5,5…検出手段、7…横軸、8…推進管(パイル)、8a,8b…連結部分、8A…前方側の推進管、8B…後方側推進管、14A…坑道入口側(立坑側、末尾の推進管も含む)、15,15A…接続手段、16A…掘削機、16a…後端部、17…棒状体、18…信号線、23…コンピュータ、24…土砂移送管、27…垂直軸、28,28A,29,29A…回転体、28a,29a…軸受け、31,32…横軸、35…吊り下げ手段、35a…幅広支持板、36…可動フレーム、37…滑動体、37a…バネ、37b…圧接部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トンネル内を掘り進む掘削機に後続状態に連結された前方側推進管と後方側推進管に目視可能な範囲内でそれぞれ水平バランス用吊り下げ手段を介して複数個の接続手段を設け、また各接続手段に先端部及び後端部がそれぞれ連結された長さが既知の複数本の棒状体を設け、接続手段に設けられかつ接続手段の回転体の回転角をそれぞれ検出する検知手段の角度信号及び棒状体の長さに関する情報に基づいて掘削機の現在位置を評定することを特徴とする掘削機の掘削地点評価装置。
【請求項2】
請求項1に於いて、接続手段は、吊り下げ手段を構成する幅広支持板の上に位置し、前方側の棒状体の後端部を枢着する第1回転体と、後方側の棒状体の先端部を枢着すると共に、前記第1回転体に対して水平方向に回転自在に設けられた第2回転体を備えていることを特徴とする掘削機の掘削地点評価装置。
【請求項3】
請求項1に於いて、接続手段に設けられた角度用検知手段は、信号線を介して坑道入口側或いは管理場所に設けられコンピュータに電気的に接続していることを特徴とする掘削機の掘削地点評価装置。
【請求項4】
請求項1に於いて、検知手段には、接続手段の上部に設置されたCCD受光面体が含まれることを特徴とする掘削機の掘削地点評価装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかに於いて、棒状体は、接続手段に対して垂直方向に揺動することができるようにそれぞれ軸支されていることを特徴とする掘削機の掘削地点評価装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−299654(P2006−299654A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−123483(P2005−123483)
【出願日】平成17年4月21日(2005.4.21)
【出願人】(501359353)
【出願人】(505150464)
【Fターム(参考)】