説明

接合判定装置、電磁圧接装置、及び、接合判定方法

【課題】2つの金属体を破壊することなく正確に接合可否の判定を行うことができる接合判定装置、電磁圧接装置、及び、接合判定方法を提供する。
【解決手段】コイル11と固定具12との間に互いに接合された2つの金属体21、22を配置する。ケーブル16及びオシロスコープ17により、金属体21、22を互いに接続する。電源供給回路によりコイル11に交流電流を流す。オシロスコープ17が、コイル11に交流電流を流したときに2つの金属体21、22に誘導される誘導電流波形を検出して、その表示器17Aに検出した誘導電流波形を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接合判定装置、電磁圧接装置、及び、接合判定方法に係り、特に、互いに接合された2つの金属体の接合の可否を判定する接合判定装置、電磁圧接装置、及び、接合判定方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、2つの金属体を互いに接合する方法として、固定具とコイルとの間に互いに重ねられた2つの金属体を配置して、コイルに電流を流し磁界を発生させることにより2つの金属同士を接合する電磁溶接方法が知られている。また、アンビルとホーンとの間に互いに重ねられた2つの金属体を挟んで、ホーンを超音波振動させることにより2つの金属体同士を接合する超音波溶接方法も知られている。このように、電磁溶接方法や超音波溶接方法などを用いて接合された2つの金属体については、確実に接合されているか否かの接合可否を判定する必要がある。
【0003】
従来では、接合可否を判定するために、2つの金属体を切断してその断面を確認する抜き取り検査などが行われていた。しかしながら、このような方法では、抜き取り検査が行われた2つの金属体については、その接合部が切断され破壊されてしまう、という問題があった。
【0004】
また、超音波溶接方法を用いて2つの金属体を接合する接合装置において、アンビルへの超音波漏れ振動を検出することにより、超音波溶接の良否を判別する可否判定機能を付加したものが提案されている(特許文献1)。しかしながら、アンビルへの超音波漏れ振動は、2つの金属体の接合の影響だけでなく、アンビル自体の影響を受ける。従って、上述したようにアンビルを介して間接的に2つの金属体の良否判定を行う方法では、正確に良否判定を行うことができない、という問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−115986号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は、2つの金属体を破壊することなく正確に接合可否の判定を行うことができる接合判定装置、電磁圧接装置、及び、接合判定方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するための請求項1記載の発明は、互いに接合された2つの金属体の接合の可否を判定する接合判定装置であって、互いの間に前記2つの金属体を配置するコイル及び固定具と、前記コイルに交流電流を流す電源供給回路と、前記2つの金属体を互いに接続する導体と、前記コイルに交流電流を流したときに前記2つの金属体に誘導される誘導電流波形を検出する波形検出手段と、を備えたことを特徴とする接合判定装置に存する。
【0008】
請求項2記載の発明は、前記波形検出手段により検出された誘導電流波形の周期と前記コイルに流れる交流電流の周期とを比較して、前記2つの金属体の接合の可否を判定する判定手段と、を備えたことを特徴とする請求項1に記載の接合判定装置に存する。
【0009】
請求項3記載の発明は、互いの間に2つの金属体を配置するコイル及び固定具と、前記コイルに交流電流を流す電源供給回路と、を備え、前記コイルに電流を流すことで前記2つの金属体を接合させる電磁圧接装置において、前記2つの金属体を互いに接続する導体と、前記コイルに交流電流を流したときに前記2つの金属体に誘導される誘導電流波形を検出する波形検出手段と、を備えたことを特徴とする電磁圧接装置に存する。
【0010】
請求項4記載の発明は、互いに接合された2つの金属体の接合の可否を判定する接合判定方法であって、コイルと固定具との間に互いに接合された2つの金属体を配置した状態で前記コイルに交流電流を流す工程と、前記コイルに交流電流を流したときに導体により互いに接続された前記2つの金属体に誘導される誘導電流波形を検出する工程と、を順次行うことを特徴とする接合判定方法に存する。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように請求項1記載の発明によれば、2つの金属体が接合されていれば2つの金属体とこの2つの金属体を互いに接続する導体とから成る回路が常時閉じて、コイルに交流電流を流したときに2つの金属体に誘導電流が流れ続ける。一方、2つの金属体が接合されていなければ2つの金属体同士がくっついたり離れたりして、2つの金属体とこの2つの金属体を互いに接続する導体とから成る回路が閉じたり開いたりするため、コイルに交流電流を流したときに2つの金属体に流れる誘導電流が乱れる。以上のことに着目し、波形検出手段がコイルに交流電流を流したときに2つの金属体に誘導される誘導電流波形を検出するので、この2つの金属体に流れる誘導電流波形(即ち2つの金属体から直接得られる情報)に基づいて接合可否を判定ができる。よって、2つの金属体を破壊することなく正確に接合可否の判定を行うことができる。
【0012】
請求項2記載の発明によれば、判定手段が、波形検出手段により検出された誘導電流波形の周期とコイルに流れる交流電流の周期とを比較して、2つの金属体の接合の可否を判定するので、判定員が表示手段に表示された誘導電流波形を見なくても判定手段により接合可否を判定でき、コストダウンを図ることができる。
【0013】
請求項3記載の発明によれば、波形検出手段がコイルに交流電流を流したときに2つの金属体に誘導される誘導電流波形を検出するので、この2つの金属体に流れる誘導電流波形に基づい接合可否を行うことができる。よって、2つの金属体を破壊することなく正確に接合可否の判定を行うことができる。しかも、電磁圧接装置に波形検出手段を設けることにより、2つの金属体を電磁圧接装置で接合する際に簡単に接合可否を行うことができる。
【0014】
請求項4記載の発明によれば、コイルに交流電流を流したときに導体により互いに接続された2つの金属体に誘導される誘導電流波形を検出するので、この2つの金属体に流れる誘導電流波形に基づい接合可否を行うことができる。よって、2つの金属体を破壊することなく正確に接合可否の判定を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1実施形態における本発明の接合判定装置が組み込まれた電磁圧接装置の一実施形態を示す構成図である。
【図2】図1に示す電磁圧接装置のコイル及び固定具間に2つの金属体を配置した状態を一部断面で示す説明図である。
【図3】図1に示す電磁圧接装置を用いた接合判定方法について説明するための説明図である。
【図4】コイルに流れる電流波形と2つの金属体が接合しているときに2つの金属体間に流れる電流波形とを示すグラフである。
【図5】コイルに流れる電流波形と2つの金属体が接合していないときに2つの金属体に流れる電流波形とを示すグラフである。
【図6】第2実施形態における本発明の接合判定装置が組み込まれた電磁圧接装置の一実施形態を示す構成図である。
【図7】図6に示す電磁圧接装置のコイル及び固定具間に2つの金属体を配置した状態を一部断面で示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
第1実施形態
以下、本発明の第1実施形態を、図1〜図5に基づいて説明する。図1及び図2に示すように、電磁圧接装置10は、コイル11と、固定具12と、樹脂台13と、電源供給回路14と、万力15と、導体としての一対のケーブル16と、導体、波形検出手段としてのオシロスコープ17と、を備えている。
【0017】
上記コイル11は、導電性を有する金属で構成され、平板状に形成されている(即ち、金属板で構成されている)。コイル11は、図1に示すように、一対の幅広部11Aと、幅狭部11Bと、を一体に備えている。一対の幅広部11Aは、互いに間隔をあけて配置されている。幅広部11Aの平面形状は、例えば矩形状である。一対の幅広部11Aの後述の電流が流れる方向(図1中の矢印Kで示す)に直交する方向の幅は、互いに等しいとともに、該電流が十分に流れやすい幅となっている。
【0018】
幅狭部11Bは、一対の幅広部11A間に配されて、両端が一対の幅広部11Aに連なっている。幅狭部11Bの平面形状は、例えば矩形状である。幅狭部11Bの長手方向は、前述した電流が流れる方向Kと平行である。幅狭部11Bの電流が流れる方向Kに対し直交する方向の幅は、幅広部11Aの前述した幅より狭いとともに、前述した電流を集中して流す幅となっている。
【0019】
前述したコイル11は、電流が流れると磁界を発生して、その厚みと幅を二等分する軸芯Pを中心とした磁束(図2中の矢印Gで示す)を発生する。また、コイル11は、表面上に2つの金属体21、22を置くことが可能である。
【0020】
なお、本明細書に記したコイル11とは、電流が流れると磁界を発生させるものである。即ち、本明細書に記したコイル11とは、導線をコイル状(螺旋状)に巻いた所謂コイルや、直線状に形成された導線や、平板状の金属板などの如何なる形状の物品であっても良い。また、コイル11の幅広部11A、幅狭部11Bの断面形状は、本実施形態では矩形状であるが、これに限ったものではなく、例えばかまぼこ状や円状など他の形状であってもよい。
【0021】
上記固定具12は、四角柱状に形成され、その端面が前記コイル11の表面と間隔をあけて相対する。固定具12は、コイル11との間に2つの金属体21、22を挟むことが可能である。勿論、このとき、固定具12の端面が、前記2つの金属体21、22などに重ねられる。
【0022】
上記樹脂台13は、絶縁性を有する樹脂で構成され、平板状に形成されている。この樹脂台13は、表面上にコイル11が置かれている。上記電源供給回路14は、コンデンサ14Aと、直流電源14Bと、スイッチ14Cと、を備えている。コンデンサ14A及び直流電源14Bの一端はそれぞれ、前述したコイル11の一対の幅広部11Aのうち一方の幅広部11Aに接続している。また、コンデンサ14A及び直流電源14Bの他端はそれぞれ、スイッチ14Cを介して前述したコイル11の一対の幅広部11Aのうち他方の幅広部11Aに接続している。
【0023】
上記スイッチ14Cの一つの端子T1は、前述したコイル11の一対の幅広部11Aのうち他方の幅広部11Aに接続している。スイッチ14Cの他の一つの端子T2は、直流電源14Bの他端に接続し、残りの一つの端子T3は、コンデンサ14Aの他端に接続している。
【0024】
スイッチ14Cの接点Pは、端子T3に設けられていて、端子T2側に接続されて直流電源14Bからの電気エネルギーをコンデンサ14Aに供給する状態と、端子T1側に接続されてコンデンサ14Aに蓄積された電気エネルギーをコイル11に供給する状態と、端子T1及び端子T2の何れにも接続されずに直流電源14Bからの電気エネルギーをコンデンサ14Aに供給しないと共にコンデンサ14Aに蓄積された電気エネルギーをコイル11に供給しない状態とが、切り替え自在となっている。
【0025】
コンデンサ14Aは、スイッチ14Cの接点Pが端子T1側に接続されてコイル11に接続されると、蓄積した電気エネルギーをスイッチ14Cを介してコイル11に供給する。このため、コンデンサCは、瞬間的に大電流(直流電源14Bからの電流より大きな電流)をコイル11に流す。
【0026】
上記コンデンサ14Aからの電気エネルギーは、一部がコイル11などの抵抗成分により消費され、一部が磁気エネルギーとしてコイル11に蓄えられる。そして、コンデンサ14Aに蓄積された電気エネルギーをコイル11に供給した結果、コンデンサ14Aに蓄積された電気エネルギーがなくなると、今度は逆にコイル11に蓄えられた磁気エネルギーが電気エネルギーに変換されてコンデンサ14Aに供給される。
【0027】
そして、コイル11に蓄積された磁気エネルギーを電気エネルギーに変換してコンデンサ14Aに供給した結果、コイル11に蓄積された磁気エネルギーがなくなると、コンデンサ14Aに蓄えられた電気エネルギーがコイル11に供給される。これが電気エネルギーがなくなるまで繰り返される。結果、図4及び図5の点線に示すように、電源供給回路14は、その振幅が時間経過に応じて減衰する減衰交流電流をコイル11に流す。上記万力15は、図2に示すように、上述したコイル11、固定具12及び樹脂台13などを挟んで固定する。なお、ここでは、万力15を用いているが、コイル11、固定具12及び樹脂台13などを挟んで固定するものであれば万力15でなくてもよい。
【0028】
上記一対のケーブル16及びオシロスコープ17は、2つの金属体21、22の接合可否を判定するために設けられている。上記一対のケーブル16は、図2に示すように、2つの金属体21、22の各々と後述するオシロスコープ17とをそれぞれ接続する。詳しくは、図3(B)に示すように、2つの金属体21、22が互いに接合しているときに閉回路Cが形成され、図3(A)に示すように、2つの金属体21、22が離れているときに開回路が形成されるように、一対のケーブル16が金属体21、22にそれぞれ接続されている。
【0029】
このケーブル16及びオシロスコープ17内の電気回路が請求項中の導体に相当する。上記オシロスコープ17は、上述したように2つの金属体21、22に接続されていて、2つの金属体21、22に流れる電流を高速に測定して、その表示手段としての表示器17Aに横軸を時間、縦軸を金属体21、22に流れる電流とした電流波形を表示する装置である。
【0030】
次に、上述した構成の電磁圧接装置10を用いた電磁圧接手順及び接合可否判定手順について説明する。まず、前述したコイル11と固定具12との間に、図2に示すように、互いに重ねられた2つの金属体21、22を挟み込む。この金属体21、22としては、例えば車両に配索される電線としてのFPC(フレキシブル・プリント・サーキット)、FFC(フレキシブル・フラット・ケーブル)の芯線などが考えられる。このとき、コイル11と2つの金属体21、22のうちコイル11側の金属体21との間に絶縁シートを配置する。また、金属体21、22間の縁部に絶縁シート19を挟んで、金属体21、22が互いに間隔を空けた状態で重ねられるようにする。
【0031】
これにより、樹脂台13の上には、コイル11、絶縁シート18、金属体21、絶縁シート19、金属体22及び固定具12がこの順に重ねられる。そして、万力15によって互いに重ねられた樹脂台13、コイル11、絶縁シート18、金属体21、絶縁シート19、金属体22及び固定具12を挟んで固定する。その後、一端がオシロスコープ17に接続された一対のケーブル16の他端を金属体21、22にそれぞれ接続する。
【0032】
この状態で、スイッチ14Cの接点Pを端子T2側に接続して、直流電源14Bからの電荷をコンデンサ14Aに蓄積する。その後、スイッチ14Cの接点Pを端子T3側に接続して、コンデンサ14Aから瞬間的に大電流をコイル11に流す。コイル11は、電流が流れると磁界が発生して、図2中の矢印Gで示す磁束を発生する。そして、コイル11上の2つの金属体21、22に磁束を作用させると、その2つの金属体21、22双方に渦電流を流して、これら2つの金属体21、22を加熱する。さらに、上述した渦電流と磁界とによって、2つの金属体21、22には、瞬間的に互いを近づける(衝突させる)電磁力が発生して、図2中の点線で示すように金属体21の中央が金属体22に向かって飛翔する。こうして電磁圧接装置10は、加熱した2つの金属体21、22同士を電磁力によって瞬間的に衝突させて、これらの金属体21、22同士を接合する。
【0033】
判定員は、このようにコイル11を流して金属体21、22を接合するときにオシロスコープ17の表示器17Aに表示される波形を見て、金属体21、22の接合可否の判定を行う。次に、この判定について詳しく説明する。上述したように金属体21、22は、一対のケーブル16及びオシロスコープ17により互いに接続されている。よって、図3(B)に示すように、電磁圧接により金属体21、22が接合していれば、金属体21、22、ケーブル16及びオシロスコープ17からなる回路が閉じて常時、閉回路Cが形成される。
【0034】
このように金属体21、22同士が接合されて常時、閉回路Cが形成されていれば、金属体21、22を接合する際にコイル11に図4の点線で示すような交流電流を流すと、その間、閉回路Cに誘導電流Iが流れ続ける。よって、金属体21、22間に流れる電流は、図4中の実線に示すように、コイル11に流れる交流電流と同様に減衰交流波形となる。そして、図4の実線に示すような減衰交流波形がオシロスコープ17の表示器17Aに表示される。
【0035】
一方、2つの金属体21、22が衝突しただけで接合されていない場合、金属体21、22を接合する際にコイル11に交流電流を流すと上述したように2つの金属体21、22に大きな衝突力が加わるため、コイル11と固定具12との間で2つの金属体21、22が振動し、この振動に応じて2つの金属体21、22がくっついたり離れたりして、金属体21、22、ケーブル16及びオシロスコープ17からなる回路が閉じたり開いたりする。
【0036】
結果、回路が開くと金属体21、22間に流れる電流が遮断されてしまうため、図5に示すように、波形に乱れが生じ、減衰交流波形ではなくなる。そして、図5の実線に示すような崩れた波形がオシロスコープ17の表示器17Aに表示される。判定員は、このオシロスコープ17により表示された波形を見て、接合の可否を判断することができる。
【0037】
上述した第1実施形態の電磁圧接装置10によれば、オシロスコープ17がコイル11に交流電流を流したときに2つの金属体21、22に誘導される誘導電流波形を検出して、その検出した誘導電流波形を表示器17Aに表示するので、この2つの金属体21、22に流れる誘導電流波形(即ち2つの金属体21、22から直接得られる情報)に基づいて金属体21、22の接合可否を判定できる。よって、2つの金属体21、22を破壊することなく正確に接合可否の判定を行うことができる。しかも、電磁圧接装置10にオシロスコープ17を設けることにより、2つの金属体21、22を電磁圧接装置10で接合する際に簡単に接合可否を行うことができる。
【0038】
第2実施形態
次に、本発明の第2実施形態を、図6及び図7に基づいて説明する。なお、図6及び図7においては、図1及び図2について上述した第1実施形態で既に説明した電磁圧接装置10を同等の部分については同一符号を付してその詳細な説明を省略する。第1実施形態と第2実施形態とで大きく異なる点は、電磁圧接装置10が、サーチコイル24と、マイクロコンピュータ(μCOM)25と、表示器26と、をさらに備えた点である。
【0039】
上記サーチコイル24は、コイル11及び電源供給回路14から成る放電回路周辺に配置されている。よって、コイル11に交流電流が流れると、この交流電流により磁界が発生する。そして、この磁界の変化によりサーチコイル24には、コイル11に流れる交流電流に応じた誘導電流が流れる。このサーチコイル24は、オシロスコープ17に接続されている。オシロスコープ17は、サーチコイル24に流れる電流を高速に測定して、電流波形を検出する。即ち、サーチコイル24及びオシロスコープ17とが、コイル11に流れる交流電流波形を検出する。
【0040】
上記オシロスコープ17は、検出した図5及び図6の点線で示すコイル11に流れる交流電流の波形と、図5及び図6の実線で示す2つの金属体21、22に誘導される誘導電流波形と、をμCOM25に対して供給する。上記μCOM25は、オシロスコープ17から供給されたコイル11に流れる交流電流波形と2つの金属体21、22に誘導される誘導電流波形とを比較して、接合可否を判別して、その判定結果を表示器26に対して出力する。
【0041】
接合可否の判別について詳しく説明すると、まず、μCOM25は、オシロスコープ17から上記交流電流波形及び誘導電流波形が供給されると、供給された交流電流波形及び誘導電流波形の周期を求める。周期を求める一例としては、交流電流波形のピークとピークとの間の時間から求めることが考えられる。
【0042】
その後、μCOM25は、コイル11に流れる交流電流波形の周期と2つの金属体21、22に誘導される誘導電流波形の周期とを比較して、その周期の差が閾値以下であれば、コイル11に流れる交流電流波形の周期と2つの金属体21、22に誘導される誘導電流波形の周期とがほぼ等しく、2つの金属体21、22が接合していると判定する。
【0043】
これに対して、上記周期の差が閾値を超えてれば、2つの金属体21、22に誘導される誘導電流波形が乱れて、コイル11に流れる交流電流波形の周期と2つの金属体21、22に誘導される誘導電流波形の周期とが一致せずに、2つの金属体21、22が接合していないと判定する。μCOM25は、この判定結果を表示器26に対して出力する。これにより表示器26に判定結果が表示される。
【0044】
上述したようにμCOM25が、オシロスコープ17により検出された金属体21、22に流れる誘導電流波形の周期とコイルに流れる交流電流波形の周期とを比較して、2つの金属体21、22の接合の可否を判定するので、判定員が表示器17Aに表示された誘導電流波形を見なくてもμCOM25により接合可否を判定でき、コストダウンを図ることができる。
【0045】
なお、上述した第1及び第2実施形態では、電磁圧接装置10に接合された2つの金属体21、22の接合可否を判別していたが、本発明はこれに限ったものではない。例えば、超音波溶接により接合された2つの金属体21、22をコイル11と固定具12との間に挟んでコイル11に交流電流を流してその接合の可否を検出するようにしてもよい。
【0046】
また、上述した第2実施形態では、オシロスコープ17から入力した交流電流波形からその周期を求めていたが本発明はこれに限ったものではない。例えば、実験などにより予めコイル11に流れる交流電流の周期を測定して、μCOM25のメモリに記録させ、そのメモリに記録した周期を用いるようにしてもよい。
【0047】
また、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0048】
10 電磁圧接装置
11 コイル
12 固定具
14 電源供給回路
16 ケーブル(導体)
17 オシロスコープ(導体、波形検出手段)
17A 表示器(表示手段)
25 μCOM(判定手段)
21 金属体
22 金属体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに接合された2つの金属体の接合の可否を判定する接合判定装置であって、
互いの間に前記2つの金属体を配置するコイル及び固定具と、
前記コイルに交流電流を流す電源供給回路と、
前記2つの金属体を互いに接続する導体と、
前記コイルに交流電流を流したときに前記2つの金属体に誘導される誘導電流波形を検出する波形検出手段と、
を備えたことを特徴とする接合判定装置。
【請求項2】
前記波形検出手段により検出された誘導電流波形の周期と前記コイルに流れる交流電流の周期とを比較して、前記2つの金属体の接合の可否を判定する判定手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の接合判定装置。
【請求項3】
互いの間に2つの金属体を配置するコイル及び固定具と、前記コイルに交流電流を流す電源供給回路と、を備え、前記コイルに電流を流すことで前記2つの金属体を接合させる電磁圧接装置において、
前記2つの金属体を互いに接続する導体と、
前記コイルに交流電流を流したときに前記2つの金属体に誘導される誘導電流波形を検出する波形検出手段と、
を備えたことを特徴とする電磁圧接装置。
【請求項4】
互いに接合された2つの金属体の接合の可否を判定する接合判定方法であって、
コイルと固定具との間に互いに接合された2つの金属体を配置した状態で前記コイルに交流電流を流す工程と、
前記コイルに交流電流を流したときに導体により互いに接続された前記2つの金属体に誘導される誘導電流波形を検出する工程と、
を順次行うことを特徴とする接合判定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−169792(P2011−169792A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−34681(P2010−34681)
【出願日】平成22年2月19日(2010.2.19)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】