説明

接合方法および接合装置

【課題】導電材料からなる被接合部材を抵抗加熱するための電極の寿命を向上させ得る接合方法および接合装置を提供する。
【解決手段】第1、第2被接合部材160、170に電気的に接続される第1、第2電極102、104と、電流を、第1電極から、第1被接合部材、中間部材180、第2被接合部材を経由して第2電極に流すための電流供給手段110と、中間部材の第1、第2接触面182,184に対して第1、第2被接合部材を相対的に静止した状態で保持する保持手段120と、第1、第2接触面を第1、第2被接合部材に対して摺動させるための摺動手段130と、摺動手段および電流供給手段を制御し、第1、第2接触面を第1、第2被接合部材に対して摺動させつつ、電流を、第1電極から、第1被接合部材、中間部材、第2被接合部材を経由して、第2電極へ流して抵抗加熱することによって接合するための制御手段150とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電材料からなる被接合部材の接合方法および接合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
抵抗溶接による被接合部材の接合を容易にするため、被接合部材を接触させた状態で電流を流し、抵抗加熱により表面の酸化膜を硫黄濃化層に置換した後、摺動によって硫黄濃化層を強制剥離している(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7―116868号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、摺動は抵抗加熱後に実施されるため、摺動によって、抵抗加熱による温度上昇によって軟化した電極が磨耗したり、軟化した部位が電極に溶着することが引き起こされて、電極の交換頻度が増大する問題を有している。
【0005】
本発明は、上記従来技術に伴う課題を解決するためになされたものであり、導電材料からなる被接合部材を抵抗加熱するための電極の寿命を向上させ得る接合方法および接合装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本発明の一様相は、導電材料からなる3つ以上の被接合部材を同時に接合する接合方法であって、第1電極が電気的に接続された第1被接合部材と、第2電極が電気的に接続された第2被接合部材とを、1つ以上の被接合部材によって構成される中間部材に、接合するための接合工程を有する。そして、前記中間部材は、前記第1被接合部材と接触する第1接触面と、前記第2被接合部材と接触する第2接触面と、を有しており、前記接合工程においては、前記第1および第2被接合部材に対して前記第1および第2接触面を摺動させつつ、電流を、前記第1電極から、前記第1被接合部材、前記中間部材および前記第2被接合部材を経由して、前記第2電極へ流して抵抗加熱することによって、前記第1および第2接触面が、前記第1および第2被接合部材に接合される。
【0007】
上記目的を達成するための本発明の別の様相は、導電材料からなる3つ以上の被接合部材を同時に接合する接合装置であって、第1被接合部材と第2被接合部材とを、1つ以上の被接合部材によって構成される中間部材に、接合するための接合手段を有する。前記中間部材は、前記第1被接合部材と接触する第1接触面と、前記第2被接合部材と接触する第2接触面と、を有しており、前記接合手段は、前記第1被接合部材に電気的に接続される第1電極と、前記第2被接合部材に電気的に接続される第2電極と、電流を、前記第1電極から、前記第1被接合部材、前記中間部材および前記第2被接合部材を経由して第2電極に流すための電流供給手段と、前記第1および第2接触面に対して前記第1および第2被接合部材を相対的に静止した状態で保持する保持手段と、前記第1および第2接触面を前記第1および第2被接合部材に対して摺動させるための摺動手段と、前記摺動手段および前記電流供給手段を制御し、前記第1および第2接触面を前記第1および第2被接合部材に対して摺動させつつ、電流を、前記第1電極から、前記第1被接合部材、前記中間部材および前記第2被接合部材を経由して、前記第2電極へ流して抵抗加熱することによって、前記第1および第2接触面を接合するための制御手段と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る接合方法および接合装置よれば、抵抗加熱するための第1および第2電極は、摺動する第1および第2接触面に接触しておらず、かつ、相対的に静止している第1および第2被接合部材に電気的に接続されているため、摺動によって、抵抗加熱による温度上昇によって軟化した電極が磨耗したり、軟化した部位が電極に溶着することが引き起こされることが回避され、電極の交換頻度を低減することが可能である。つまり、導電材料からなる被接合部材を抵抗加熱するための電極の寿命を向上させ得る接合方法および接合装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施の形態1に係る接合装置を説明するための概略図である。
【図2】実施の形態1に係る接合方法を説明するためのフローチャートである。
【図3】実施の形態1に係る変形例1を説明するための概略図である。
【図4】実施の形態1に係る変形例2を説明するための概略図である。
【図5】実施の形態1に係る変形例3を説明するための概略図である。
【図6】実施の形態1に係る変形例4を説明するための概略図である。
【図7】実施の形態2に係る接合装置を説明するための概略図である。
【図8】実施の形態2に係る変形例1を説明するための概略図である。
【図9】実施の形態2に係る変形例2を説明するための概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。
【0011】
図1は、実施の形態1に係る接合装置を説明するための概略図である。
【0012】
実施の形態1に係る接合装置100は、抵抗加熱および摩擦熱を利用して、導電材料からなる3つ以上の被接合部材からなるワークWを同時に接合するために使用され、第1電極102、第2電極104、電流供給装置110、保持装置120、摺動装置(摺動手段)130、加圧装置140および制御装置150を有する。
【0013】
ワークWは、上方に位置する第1被接合部材160と、下方に位置する第2被接合部材170と、第1被接合部材160と第2被接合部材170との間に配置される第3被接合部材である中間部材180とからなり、被接合部材が直列に接合された構造を容易に形成することが可能である。中間部材180は、第1被接合部材160と接触する第1接触面182と、第2被接合部材と接触する第2接触面184と、を有する。
【0014】
なお、第1および第2接触面182,184の面積は、略同一に設定されている。また、中間部材180は、後述される振動の方向に対して一様形状を有し、第1および第2接触面182,184の延長方向は、水平方向Hとなっており、中間部材が有する第1および第2接触面を振動によって容易に接合することが可能である。
【0015】
被接合部材は、本実施の形態においては、アルミニウム(Al)が適用される。アルミニウムは、圧延材(例えば、A5052)や鋳造材(例えば、ADC12)を利用することが可能である。被接合部材は、導電材料であれば特に限定されず、鉄(Fe)やマグネシュウム(Mg)を適用することが可能である。また、Al−Alの同材同士の接合、Al−FeやAl−Mgの異材接合に適用することも可能である。
【0016】
なお、第1および第2被接合部材160,170を、相対的に低い温度で中間部材180に接合するため、中間部材180は、第1および第2被接合部材160,170を構成する導電材料より低融点の導電材料から構成されることも好ましい。
【0017】
第1および第2電極102,104は、抵抗加熱によってワークWを昇温させるための加熱手段であり、第1電極102は、上方に位置する第1被接合部材160に電気的に接続され、第2電極104は、下方に位置する第2被接合部材170に電気的に接続される。第1および第2電極102,104は、それぞれ複数の電極によって構成することも可能である。
【0018】
電流供給装置110は、電流を、第1電極102から、第1被接合部材160、中間部材180および第2被接合部材170を経由して第2電極104に流すための電流供給手段であり、例えば、電流値および電圧値が調整自在に構成されている。
【0019】
保持装置120は、第1保持部122および第2保持部124を有する。第1保持部122は、第1被接合部材160を保持し、水平方向への移動を規制することで、中間部材180の第1接触面182に対して第1被接合部材160(および第1電極102)を相対的に静止した状態で維持するために使用される。第2保持部124は、中間部材180に関して第1保持部122の逆側に位置し、第2被接合部材170を保持し、水平方向への移動を規制することで、中間部材180の第2接触面184に対して第2被接合部材170(および第2電極104)を相対的に静止した状態で維持するために使用される。
【0020】
摺動装置130は、中間部材180が有する第1および第2接触面182,184を、第1および第2被接合部材160,170に対して摺動させて摩擦熱を発生させるために使用され、第1および第2接触面182,184の延長方向に対して平行である水平方向Hに、中間部材180を振動(加振)させるシャフト132と、シャフト132の駆動源であるモータ134と、を有する加振手段からなる。例えば、加振振幅は100〜1000μmの範囲、加振周波数は10〜100Hzの範囲で調整可能に構成されている。加振機構は、特に限定されず、例えば、超音波振動、電磁式振動、油圧式加振、カム式振動を適用することが可能である。
【0021】
なお、加振方向は、第1および第2接触面182,184の延長方向に沿う1方向への往復運動であるため、第1および第2接触面182,184の形状の自由度が向上することとなる。すなわち、1方向にさえ変位可能であれば加振できるため、第1および第2接触面182,184の形状が平面である必要はなく、例えば、一方向に延びる溝に凸部が嵌合する形態とすることも可能である。
【0022】
また、摺動装置130は、振動(加振機構)を利用する形態に限定されず、回転運動や、自転せずに円軌道を描くように振れ回る公転運動を適宜適用することも可能である。なお、公転運動の場合、振動と異なり、接触面同士の相対的な運動が停止しないことから、動摩擦係数のみが作用して摩擦係数が安定し、接触面を均一に磨耗させることが可能である。
【0023】
加圧装置140は、上方に位置する第1加圧部142と下方に位置する第2加圧部144と、を有する。第1加圧部142は、第1接触面182に対する第1被接合部材160の押し付け面圧を調整するため面圧調整手段であり、第1電極102に連結され、かつ、上下方向(第1および第2接触面182,184と直交する押圧方向)Lに進退動可能となっている。第2加圧部144は、第2接触面184に対する第2被接合部材170の押し付け面圧を調整するため面圧調整手段であり、第2電極104に連結され、かつ、上下方向Lに進退動可能になっている。第1および第2加圧部142,144は、例えば、油圧シリンダが組み込まれており、押圧力を調整自在に構成されている。押圧力は、例えば、2〜10MPaである。
【0024】
制御装置150は、演算部、記憶部、入力部および出力部を有するコンピュータからなる制御手段であり、電流供給装置110、摺動装置130および加圧装置140を統括的に制御するために使用される。制御装置150の各機能は、記憶装置に格納されているプログラムを演算部が実行することにより発揮される。
【0025】
プログラムは、例えば、加圧装置140によって第1接触面182に対する第1被接合部材160の押し付け面圧と、第2接触面184に対する第2被接合部材170の押し付け面圧と、を調整した状態で、摺動装置130によって中間部材180を水平方向Hに振動させることによって、中間部材180が有する第1および第2接触面182,184を、第1および第2被接合部材160,170に対して摺動させつつ、電流供給装置110から供給される電流を、第1電極102から、第1被接合部材160、中間部材180および第2被接合部材170を経由して、第2電極104へ流して抵抗加熱することによって、第1および第2接触面182,184を接合するための手順を、制御装置150に実行させるためものである。
【0026】
接合装置100においては、上記のように、抵抗加熱するための第1および第2電極102,104は、摺動する第1および第2接触面182,184に接触しておらず、かつ、相対的に静止している第1および第2被接合部材160,170に電気的に接続されているため、摺動によって、抵抗加熱による温度上昇によって軟化した第1および第2電極102,104が磨耗したり、軟化した部位が第1および第2電極102,104に溶着することが引き起こされることが回避され、第1および第2電極102,104の交換頻度を低減することが可能である。つまり、導電材料からなる被接合部材を抵抗加熱するための電極の寿命を向上させ得る接合装置を提供することができる。
【0027】
次に、実施の形態1に係る接合方法を説明する
図2は、実施の形態1に係る接合方法を説明するためのフローチャートである。図2に示されるフローチャートにより示されるアルゴリズムは、制御装置150の記憶部にプログラムとして記憶されており、制御装置150の演算部によって実行される。
【0028】
本接合方法は、中間部材180が有する第1および第2接触面182,184を、第1および第2被接合部材160,170に対して摺動させつつ、電流を、第1電極102から、第1被接合部材160、中間部材180および第2被接合部材170を経由して、第2電極104へ流して抵抗加熱することによって、第1および第2接触面182,184を、第1および第2被接合部材160,170に接合するための接合工程を有する。
【0029】
前記接合工程は、概して、接触抵抗のばらつきを低減するための予備摺動ステップ(S11)、抵抗加熱および摩擦熱(塑性流動)を利用し、第1被接合部材160と中間部材180との接合界面および第2被接合部材170と中間部材180との接合界面の形成を開始する第1接合ステップ(S12)、接合界面の一体化を促進する第2接合ステップ(S13)、被接合部材160,170および中間部材180を冷却する冷却ステップ(S14)を有する。
【0030】
詳述すると、予備摺動ステップ(S11)においては、中間部材180が第1被接合部材160と第2被接合部材170との間に配置されてなるワークWが投入され、加圧装置140の第1および第2加圧部142,144が稼働され、第1および第2電極102,104を介して、第1および第2被接合部材160,170に押圧力が付与される。
【0031】
その後、摺動装置130が駆動され、これにより、中間部材180の水平方向Hの摺動(振動)が引き起こされる。このとき、中間部材180と接する第1および第2被接合部材160,170は、加圧下にありかつ保持装置120の第1保持部122および第2保持部124によって水平方向への移動が規制されているため、中間部材180の第1および第2接触面182,184(および第1被接合部材160と第2被接合部材170における対応する接触面)に摩擦が生じ、接触面表面のアルミニウム酸化皮膜が除去される。
【0032】
第1接合ステップ(S12)においては、電流供給装置110が稼働され、電流供給装置110から供給される電流が、第1電極102から、第1被接合部材160、中間部材180および第2被接合部材170を経由して、第2電極104へ流され、抵抗加熱が生じる。これにより、第1および第2接触面182,184は、摩擦熱および抵抗加熱の両方の併用によって、摩耗,塑性流動および材料拡散が生じ、接合界面の形成が開始される。
【0033】
第2接合ステップ(S13)においては、電流供給装置110による電流の供給を減少させることよって抵抗加熱による発熱量が低下させられる一方、加圧装置140による加圧力を増加させることによって摩擦熱が増加させられる。これにより、抵抗加熱による発熱量が減少し、軟化された材料を摺動によって掻き混ぜるようにして一体化を促進する過程へ移行することになる。摩擦熱の増加は、摺動装置130を制御することによっても達成することが可能である。
【0034】
電流供給装置110による電流の供給は、最終的には停止される。そして、冷却工程(S14)に入る直前において、摺動装置130の稼動が停止され、中間部材180が所定の静止位置(最終的な接合位置)に位置決めされる。この際、位置決め精度を向上させ、かつ、位置決めを容易にするため、加圧装置140による加圧力を低下させることも可能である。
【0035】
第1接合ステップ(S12)および第2接合ステップ(S13)の結果、接合界面には、導電材料が相互に拡散している拡散接合領域と、塑性流動による圧接および再結晶組織を有する塑性流動接合領域が形成されることになる。つまり、接合界面が、拡散接合領域に加えて塑性流動接合領域によって物理的に接合されているため、第1および第2被接合部材160,170、中間部材180の母材特性に近い強度を備えており、接合面の全体に渡って良好な接合強度および水密性を確保することが可能である。
【0036】
冷却工程(S14)においては、加圧装置140による加圧力が上昇させられ、所定の時間が経過すると、冷却が終了したと判断され、加圧が停止される。そして、加圧装置140の第1および第2加圧部142,144(第1および第2電極102,104)が、それぞれ、第1および第2被接合部材160,170から離間させられる。冷却の終了は、温度を検出することによって直接的に判断することも可能である。
【0037】
その後、中間部材180が第1被接合部材160と第2被接合部材170との間に配置されて接合されたワークWが取り外される。つまり、被接合部材が直列に接合された構造を容易に形成することが可能である。
【0038】
なお、予備摺動ステップ(S11)においては、接触面表面のアルミニウム酸化皮膜が除去され、皮膜厚さの違いによる接触抵抗のばらつきが低減されるため、後続の第1接合ステップ(S12)における発熱量のばらつきが抑制される。また、予備摺動ステップ(S11)の前において、脱脂や、ワイヤブラシによるブラッシングによってアルミニウム酸化皮膜を除去する等の前処理が不要となるため、作業性が向上する。なお、必要に応じて、前処理を実施することも可能である。
【0039】
なお、予備摺動ステップ(S11)の前あるいは予備摺動ステップ(S11)の代わりとして、摺動装置130を停止させた状態で電流供給装置110を稼働させることによって、第1および第2接触面182,184を抵抗加熱により軟化させる予備加熱ステップを設けることも可能である。また、予備摺動ステップ(S11)は、適宜省略することも可能である。
【0040】
電流の供給を減少させず、かつ、加圧力を増加させないことにより、第2接合ステップ(S13)を第1接合ステップ(S12)に一体化させることも可能である。また、冷却工程(S14)は、適宜省略することも可能である。
【0041】
本接合方法においては、上記のように、抵抗加熱するための第1および第2電極102,104は、摺動する第1および第2接触面182,184に接触しておらず、かつ、相対的に静止している第1および第2被接合部材160,170に電気的に接続されているため、摺動によって、抵抗加熱による温度上昇によって軟化した第1および第2電極102,104が磨耗したり、軟化した部位が第1および第2電極102,104に溶着することが引き起こされることが回避され、第1および第2電極102,104の交換頻度を低減することが可能である。つまり、導電材料からなる被接合部材を抵抗加熱するための電極の寿命を向上させ得る接合方法を提供することができる。
【0042】
また、摩擦熱および抵抗加熱の両方を併用するため、一方のみを利用する接合に比較し、高い面圧を付与する必要がないため、第1および第2接触面182,184の面積が、大きい場合でも容易に接合することが可能である。つまり、接触面に高い押圧力(面圧)を付与せずとも電流集中箇所が変化して均一に加熱されるため、接触面が大面積の場合や複雑な形状の場合であっても接合することができ、かつ低歪みの面接合が可能である。
【0043】
接触面の表層のみが塑性流動(溶融)して接合するため、加熱時間を短縮でき、更に、材料内に気体を含有している鋳造品であっても、加熱により材料内の気体が膨張、噴出し難く、良好な接合を実現することが可能である。
【0044】
なお、第1および第2接触面182,184の面積は、略同一に設定されているため、第1および第2接触面182,184の一方に電流が集中することが抑制され、均一に加熱することが容易である。また、第1および第2接触面182,184に電流が集中する高面圧領域が存在する場合であっても、当該領域においては、抵抗加熱が大きく作用して加熱され酸化膜が強制的に剥離され、また、押圧力(面圧)と加振が作用して塑性流動が生じて磨耗することで、刻々と電流集中箇所が変化するため、電流の流れが分散し、第1および第2接触面182,184は、均一に加熱される。
【0045】
図3は、実施の形態1に係る変形例1を説明するための概略図である。
【0046】
変形例1に係る接合装置100Aにおいては、第1接触面182の面積と第2接触面184の面積とが異なっており、第1接触面182の面積が、第2接触面184の面積より大きくなっている。この場合、第1および第2接触面182,184を均一に接合することが困難であるため、第1被接合部材160と中間部材180との間に、介在部材190が配置されている。
【0047】
介在部材190は、第1被接合部材160および/又は中間部材180を構成する導電材料より低融点の導電材料からなる。したがって、第1接触面182の面積と第2接触面184の面積とが異なっていても、面積が大きい方162に低融点の介在部材が配置されているため、均一に接合することが可能である。
【0048】
介在部材190は、低温で第1被接合部材160および/又は中間部材180を構成する導電材料との間で液相を作る(共晶反応する)ことができる共晶反応材料からなる場合、第1被接合部材160および中間部材180をより低い温度で中間部材に接合することが可能であるため好ましい。この場合、接合界面には、拡散接合領域および塑性流動接合領域に加えて、中間材介在接合領域(介在部材190と、介在部材190を構成する導電材料が第1被接合部材160および中間部材180を構成する導電材料に拡散した拡散接合領域と、を含んでいる領域)が含まれ、かつ、拡散接合領域には、排出あるいは拡散された介在部材190が存在することとなる。なお、共晶反応材料の厚さは、例えば、10〜100μmであるが、特にこれに限定されず、また、厚さを部位に応じ適宜変化させることも可能である。
【0049】
共晶反応材料は、液相を形成し、被接合部材同士および共晶反応材料と被接合部材との間における相互拡散を促進するため、良好な接合強度を確保することが可能であり、かつ、形成される液相によって間隙が埋められるため、広い面積や曲面の接合においても良好な水密性を達成することが容易である。また、共晶反応により低融点で液相化し、酸素を遮断して再酸化を抑制する役割を果たすため、真空雰囲気と長時間が必要であった真空ろう付けに対し、大気中における短時間、低入熱での接合が可能となり、量産化が容易となる点でも好ましい。なお、アルミニウムと共晶反応する共晶反応材料は、例えば、亜鉛(Zn)、銅(Cu)、錫(Sn)、銀(Ag)である。
【0050】
第2接触面184の面積が、第1接触面182の面積より大きい場合は、均一に接合するために、介在部材190は、第2被接合部材170と中間部材180との間に配置されることが好ましい。なお、介在部材190は、液相を形成するろう材やはんだを適用することが可能である。また、介在部材190は、別体からなる形態に限定されず、第1被接合部材160あるいは中間部材180と一体化された被覆層から構成することも可能である。この場合、介在部材190を局所的に配置することが可能である。被覆は、めっき、クラッド材、塗布等により形成することが可能である。
【0051】
図4は、実施の形態1に係る変形例2を説明するための概略図である。
【0052】
変形例2に係る接合装置100Bにおいては、第1被接合部材160と中間部材180との間に配置される第1介在部材192と、第2被接合部材170と中間部材180との間に配置される第2介在部材194とを有する。第1介在部材192は、第1被接合部材160および/又は中間部材180を構成する導電材料より低融点の導電材料からなり、第2介在部材194は、第2被接合部材170および/又は中間部材180を構成する導電材料より低融点の導電材料からなる。
【0053】
したがって、第1および第2被接合部材160,170を、低い温度で中間部材180に接合することが可能であり、かつ、中間部材180を構成する導電材料の選択の自由度が大きい。第1および第2介在部材192,194は、より低い温度での接合を実施するためには、共晶反応材料からなることが好ましい。
【0054】
第1および第2介在部材192,194は、別体からなる形態に限定されず、中間部材180と一体化された被覆層から構成したり、第1および第2被接合部材160,170と一体化された被覆層から構成することも可能である。
【0055】
図5は、実施の形態1に係る変形例3を説明するための概略図である。
【0056】
変形例3に係る接合装置100Cにおいては、中間部材180が、導電材料からなる3つの中間部材(被接合部材)180A〜180Cからなり、第3保持部126と第2摺動装置130Aとが追加されている。中間部材(第1中間部材)180Aは、第1被接合部材160に相対しかつ第1接触面182を有する。中間部材(第2中間部材)180Cは、第2被接合部材170に相対しかつ第2接触面184を有する。中間部材(第3中間部材)180Bは、中間部材180Aと中間部材180Cとの間に配置される。第3保持部126は、中間部材180A,180Cに対して中間部材180Bを相対的に静止した状態で保持する第2保持手段である。第2摺動装置130Aは、中間部材180Aが有する第1接触面182を、第1被接合部材160に対して摺動させて摩擦熱を発生させるために使用され、摺動装置130は、中間部材180Cが有する第2接触面184を、第2被接合部材170に対して摺動させて摩擦熱を発生させるために使用される。
【0057】
この場合、第3保持部126によって中央に位置する中間部材180Bの水平方向への移動を規制(中間部材180A,180Cに対して中間部材180Bを相対的に静止した状態で保持)しながら、第1および第2摺動装置130,130Aによって上方に位置する中間部材180Aと下方に位置する中間部材180Cとを水平方向Hに振動(加振)させることにより、第1および第2被接合部材160,170を、中間部材180Aおよび中間部材180Cに接合しつつ、中間部材180Bを中間部材180Aおよび中間部材180Cに接合することが可能である。つまり、変形例3においては、5つの被接合部材からなるワークを接合することができる。なお、保持部および摺動装置をさらに追加することで、3つを越える中間部材を有する場合においても適用することが可能である。
【0058】
図6は、実施の形態1に係る変形例4を説明するための概略図である。
【0059】
ワークWは、単純な形状のものに限定されず、高圧ダイカスト法(HPDC)が適用される複雑な形状を有する大型部品であっても適用することが可能である。
【0060】
例えば、変形例4に係る接合装置100Dにおいては、フランジ部166および半球状部168を有する第1被接合部材160Aと、フランジ部176および半球状部178を有する第2被接合部材170Aとを、中間部材180Aに接合することも可能である。
【0061】
この場合、大型の成形部品である第1および第2被接合部材160A,170Aの水平方向への移動を規制するため、保持装置120の第1保持部122Aおよび第2保持部124Bは、第1および第2被接合部材160A,170Aを複数箇所で固定するように構成することが好ましい。
【0062】
また、加圧装置140の第1および第2加圧部142A,144Bは、第1および第2被接合部材160A,170Aと当接し、押圧力を直接付加するようにし、第1および第2電極102A,104Aは、第1および第2加圧部142A,144Bに弾性的に連結され、第1および第2加圧部142A,144Bからの大きな押圧力が、直接付加されないように構成することが好ましい。
【0063】
以上のように、実施の形態1においては、抵抗加熱するための第1および第2電極は、摺動する第1および第2接触面に接触しておらず、かつ、相対的に静止している第1および第2被接合部材に電気的に接続されているため、摺動によって、抵抗加熱による温度上昇によって軟化した電極が磨耗したり、軟化した部位が電極に溶着することが引き起こされることが回避され、電極の交換頻度を低減することが可能である。つまり、導電材料からなる被接合部材を抵抗加熱するための電極の寿命を向上させ得る接合方法および接合装置を提供することができる。
【0064】
中間部材が、第1被接合部材と第2被接合部材との間に配置される場合、被接合部材が直列に接合された構造を容易に形成することが可能である。
【0065】
接合される第1および第2接触面の面積を、略同一とする場合、第1接触面および第2接触面の一方に電流が集中することが抑制されるため、均一に加熱することが容易である。
【0066】
第1接触面の面積が第2接触面の面積より大きい場合は、第1被接合部材および/又は中間部材を構成する導電材料より低融点の導電材料からなる介在部材を、第1被接合部材と中間部材との間に配置し、第2接触面の面積が第1接触面の面積より大きい場合は、第2被接合部材および/又は中間部材を構成する導電材料より低融点の導電材料からなる介在部材を、第2被接合部材と3被接合部材との間に配置する場合、面積が大きい方に低融点の介在部材が配置されているため、均一に接合することが可能である。
【0067】
摺動が振動からなり、中間部材の第1および第2接触面が振動の方向に対して一様形状を有する場合、第1および第2接触面を振動によって容易に接合することが可能である。
【0068】
中間部材が第1および第2被接合部材を構成する導電材料より低融点の導電材料から構成される場合、第1被接合部材および/又は第2被接合部材を、低い温度で中間部材に接合することが可能である。
【0069】
第1被接合部材と中間部材との間に配置され、第1被接合部材および/又は中間部材を構成する導電材料より低融点の導電材料からなる第1介在部材と、第2被接合部材と中間部材との間に配置され、第2被接合部材および/又は中間部材を構成する導電材料より低融点の導電材料からなる第2介在部材と、を有する場合、第1および第2被接合部材を、低い温度で中間部材に接合することが可能であり、かつ、中間部材を構成する導電材料の選択の自由度が大きい。
【0070】
第1および第2介在部材を中間部材と一体化された被覆層から構成する場合、第1および第2介在部材を第1および第2接触面のみに局所的に配置することが可能である。
【0071】
次に、実施の形態2を説明する。
【0072】
図7は、実施の形態2に係る接合装置を説明するための概略図である。
【0073】
実施の形態2は、被接合部材の一方の表面に、複数の被接合部材が並置して接合された構造を容易に形成することが可能である点で、被接合部材が直列に接合された構造を容易に形成することが可能である実施の形態1と概して異なる。
【0074】
詳述すると、実施の形態2に係る接合装置200は、ワークWを接合するために使用され、第1電極202、第2電極204、電流供給装置210、保持装置220、摺動装置(摺動手段)230、加圧装置240および制御装置250を有する。
【0075】
ワークWは、上方に位置する第1および第2被接合部材260,270と、下方に位置する第3被接合部材である中間部材280とからなり、第1被接合部材260と第2被接合部材270とが中間部材280の一方の表面に並置されている。したがって、中間部材280は、第1被接合部材260と接触する第1接触面282と、第2被接合部材270と接触する第2接触面284と、を同一面に有する。
【0076】
第1電極202および第2電極204は、上方に位置する第1および第2被接合部材260,270に電気的に接続されており、電流供給装置210は、電流が、第1電極202から、第1被接合部材260、中間部材280および第2被接合部材270を経由して第2電極204に流れるように構成されている。
【0077】
保持装置220は、第1保持部222と、第1保持部224と並置される第2保持部224とを有する。第1保持部222は、第1被接合部材260を保持し、水平方向への移動を規制することで、中間部材280の第1接触面282に対して第1被接合部材260(および第1電極202)を相対的に静止した状態で維持するために使用される。第2保持部224は、中間部材280の第2接触面284に対して第2被接合部材270(および第2電極204)を相対的に静止した状態で維持するために使用される。第1保持部222および第2保持部224は、適宜一体化することも可能である。
【0078】
摺動装置230は、中間部材280が有する第1および第2接触面282,284を、第1および第2被接合部材260,270に対して摺動させるために使用され、中間部材280を水平方向Hに振動(加振)させるシャフト232と、シャフト232の駆動源であるモータ234と、を有する。
【0079】
加圧装置240は、上方に位置する第1加圧部242および第2加圧部244を有する。第1加圧部242は、第1接触面282に対する第1被接合部材260の押し付け面圧を調整するため面圧調整手段であり、第1電極202に連結され、かつ上下方向Lに進退動可能となっている。第2加圧部244は、第2接触面284に対する第2被接合部材270の押し付け面圧を調整するため面圧調整手段であり、第2電極204に連結され、かつ、上下方向Lに進退動可能になっている。
【0080】
したがって、制御装置250は、加圧装置240によって第1接触面282に対する第1被接合部材260の押し付け面圧および第2接触面284に対する第2被接合部材270の押し付け面圧を調整した状態で、摺動装置230によって中間部材280を水平方向Hに振動させることによって、中間部材280が有する第1および第2接触面282,284を、第1および第2被接合部材260,270に対して摺動させつつ、電流供給装置210から供給される電流を、第1電極202から、第1被接合部材260、中間部材280および第2被接合部材270を経由して、第2電極204へ流して抵抗加熱することによって、第1および第2接触面282,284を、中間部材280の一方の面に接合することが可能である。
【0081】
この際、抵抗加熱するための第1および第2電極202,204は、摺動する第1および第2接触面282,284に接触しておらず、かつ、相対的に静止している第1および第2被接合部材260,270に電気的に接続されているため、摺動によって、抵抗加熱による温度上昇によって軟化した電極202,204が磨耗したり、軟化した部位が電極202,204に溶着することが引き起こされることが回避され、電極202,204の交換頻度を低減することが可能である。
【0082】
なお、実施の形態2においては、第1被接合部材260に対する第1接触面282の面積は、第2被接合部材270に対する第2接触面284の面積より大きい。したがって、第1被接合部材260の押し付け面圧を、第2被接合部材270の押し付け面圧より小さくなるように制御することが好ましい。つまり、第1接触面282の面積と第2接触面284とが異なっていても、その差異に応じて面圧を変更し接触抵抗を調整することにより、均一に加熱することが可能である。また、第1被接合部材260に対する第1接触面282の面積が、第2被接合部材270に対する第2接触面284の面積より小さい場合は、同様の観点から、第1被接合部材260の押し付け面圧を、第2被接合部材270の押し付け面圧より大きくなるように制御することが好ましい。
【0083】
図8は、実施の形態2に係る変形例1を説明するための概略図である。
【0084】
変形例1に係る接合装置200Aにおいては、第1および第2被接合部材260,270と相対する中間部材280の一方の面に配置される介在部材290を有する。介在部材290は、実施の形態1に係る変形例2と同様に、第1および第2被接合部材260,270を構成する導電材料より低融点の導電材料からなる。したがって、第1および第2被接合部材260,270を、低い温度で中間部材280に接合することが可能であり、かつ、中間部材280を構成する導電材料の選択の自由度が大きい。介在部材290は、別体からなる形態に限定されず、中間部材280と一体化された被覆層から構成したり、第1および第2被接合部材260,270と一体化された被覆層から構成することが可能である。
【0085】
図9は、実施の形態2に係る変形例2を説明するための概略図である。
【0086】
変形例2に係る接合装置200Bにおいては、中間部材280が、導電材料からなる3つの中間部材(被接合部材)280A〜280Cからなり、第3保持部226と第2摺動装置230Aとが追加されている。中間部材(第1中間部材)280Aは、第1および第2被接合部材260,270に相対しかつ第1および第2接触面282,284を有する。中間部材(第2中間部材)280Bおよび中間部材280Cは、中間部材280Aにおける第1および第2接触面282,284の逆側に位置する面に相対して配置され、中間部材280Cは、外部に面している(最下方に位置している)。第3保持部226は、中間部材280A,280Cに対して中間部材280Bを相対的に静止した状態で保持する第2保持手段である。第2摺動装置230Aは、中間部材280Cを、中間部材280Bに対して摺動させて摩擦熱を発生させるために使用される。なお、摺動装置230は、中間部材280Aを、中間部材280Bに対して摺動させて摩擦熱を発生させる機能も有する。
【0087】
この場合、実施の形態1に係る変形例3と同様に、第3保持部226によって中央に位置する中間部材280Bの水平方向への移動を規制する一方、第2摺動装置230Aによって下方に位置する中間部材280Cを水平方向Hに振動(加振)させることにより、第1および第2被接合部材260,270を、上方に位置する中間部材280Aに接合しつつ、中央に位置する中間部材280Bを中間部材280Aおよび中間部材280Cに接合することが可能である。つまり、変形例3においては、5つの被接合部材からなるワークWを接合することが可能である。なお、中間部材280Cおよび第2摺動装置230Aを省略することで、2つの中間部材を有する場合に適用したり、保持部および摺動装置をさらに追加することで、3つを越える中間部材を有する場合においても適用することが可能である。
【0088】
以上のように、実施の形態2においては、第1被接合部材と第2被接合部材とは、中間部材の一方の表面に並置されているため、被接合部材の一方の表面に、複数の被接合部材が並置して接合された構造を容易に形成することが可能である。
【0089】
また、第1接触面の面積が第2接触面の面積より大きい場合、第1接触面に対する第1被接合部材の押し付け面圧は、第2接触面に対する第2被接合部材の押し付け面圧より小さく、第1接触面の面積が第2接触面の面積より小さい場合、第1接触面に対する第1被接合部材の押し付け面圧は、第2接触面に対する第2被接合部材の押し付け面圧より大きくする。この場合、第1および第2接触面の面積の差異に応じて面圧を変更し接触抵抗が調整されるため、均一に加熱することが可能である。
【0090】
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲で種々改変することができる。
【0091】
例えば、第1および第2電極は、第1および第2被接合部材に直接接触する形態に限定されない。また、加圧装置の第1および第2加圧部と第1および第2電極とを独立して進退動可能に構成することも可能である。
【符号の説明】
【0092】
100,100A〜100D 接合装置、
102,102A 第1電極、
104,104A 第2電極、
110 電流供給装置(電流供給手段)、
120 保持装置(保持手段)、
122,122A 第1保持部、
124,124B 第2保持部、
126 第3保持部(第2保持手段)、
130 摺動装置(摺動手段)、
130A 第2摺動装置(摺動手段)、
132 シャフト、
134 モータ、
140 加圧装置、
142,142A 第1加圧部(面圧調整手段)、
144,144B 第2加圧部(面圧調整手段)、
150 制御装置(制御手段)、
160,160A 第1被接合部材、
166 フランジ部、
168 半球状部、
170,170A 第2被接合部材、
176 フランジ部、
178 半球状部、
180 中間部材(第3被接合部材)、
180A 中間部材(第1中間部材)、
180B 中間部材(第3中間部材)、
180C 中間部材(第2中間部材)、
182 第1接触面、
184 第2接触面、
190 介在部材、
192 第1介在部材、
194 第2介在部材、
200,200A,200B 接合装置、
202 第1電極、
204 第2電極、
210 電流供給装置(電流供給手段)、
220 保持装置(保持手段)、
222 第1保持部、
224 第2保持部、
226 第3保持部(第2保持手段)、
230 摺動装置(摺動手段)、
230A 第2摺動装置(摺動手段)、
232 シャフト、
234 モータ、
240 加圧装置、
242 第1加圧部(面圧調整手段)、
244 第2加圧部(面圧調整手段)、
250 制御装置(制御手段)、
260 第1被接合部材、
270 第2被接合部材、
280 中間部材(第3被接合部材)、
280A 中間部材(第1中間部材)、
280B 中間部材(第2中間部材)、
280C 中間部材、
282 第1接触面、
284 第2接触面、
290 介在部材、
H 水平方向、
L 上下方向、
W ワーク。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電材料からなる3つ以上の被接合部材を同時に接合する接合方法であって、
第1電極が電気的に接続された第1被接合部材と、第2電極が電気的に接続された第2被接合部材とを、1つ以上の被接合部材によって構成される中間部材に、接合するための接合工程を有し、
前記中間部材は、前記第1被接合部材と接触する第1接触面と、前記第2被接合部材と接触する第2接触面と、を有しており、
前記接合工程において、前記第1および第2被接合部材に対して前記第1および第2接触面を摺動させつつ、
電流を、前記第1電極から、前記第1被接合部材、前記中間部材および前記第2被接合部材を経由して、前記第2電極へ流して抵抗加熱することによって、前記第1および第2接触面を、前記第1および第2被接合部材に接合する
ことを特徴とする接合方法。
【請求項2】
前記中間部材は、前記第1被接合部材と前記第2被接合部材との間に配置されることを特徴とする請求項1に記載の接合方法。
【請求項3】
接合される前記第1および第2接触面の面積は、略同一であることを特徴とする請求項2に記載の接合方法。
【請求項4】
前記第1接触面の面積が前記第2接触面の面積より大きい場合は、前記第1被接合部材および/又は前記中間部材を構成する導電材料より低融点の導電材料からなる介在部材を、前記第1被接合部材と前記中間部材との間に配置し、
前記第2接触面の面積が前記第1接触面の面積より大きい場合は、前記第2被接合部材および/又は前記中間部材を構成する導電材料より低融点の導電材料からなる介在部材を、前記第2被接合部材と前記3被接合部材との間に配置する
ことを特徴とする請求項2に記載の接合方法。
【請求項5】
前記中間部材は、前記第1被接合部材に相対しかつ前記第1接触面を有する第1中間部材と、前記第2被接合部材に相対しかつ前記第2接触面を有する第2中間部材と、前記第1中間部材と前記第2中間部材との間に配置される第3中間部材とを有しており、
前記接合工程において、前記第1および第2中間部材に対して前記第3中間部材を相対的に静止した状態で保持することにより、前記第1および第2中間部材と前記第3中間部材とを接合する
ことを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の接合方法。
【請求項6】
前記第1被接合部材と前記第2被接合部材とは、前記中間部材の一方の表面に並置されることを特徴とする請求項1に記載の接合方法。
【請求項7】
前記第1接触面の面積が前記第2接触面の面積より大きい場合、前記第1接触面に対する前記第1被接合部材の押し付け面圧は、前記第2接触面に対する前記第2被接合部材の押し付け面圧より小さく、
前記第1接触面の面積が前記第2接触面の面積より小さい場合、前記第1接触面に対する前記第1被接合部材の押し付け面圧は、前記第2接触面に対する前記第2被接合部材の押し付け面圧より大きい
ことを特徴とする請求項6に記載の接合方法。
【請求項8】
前記中間部材は、前記第1および第2被接合部材に相対しかつ前記第1および第2接触面を有する第1中間部材と、前記第1中間部材における前記第1および第2接触面の逆側に位置する面に相対して配置される第2中間部材と、を有しており、
前記接合工程において、前記第1中間部材に対して前記第2中間部材を相対的に静止した状態で保持することにより、前記第1中間部材と前記第2中間部材とを接合する
ことを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の接合方法。
【請求項9】
前記摺動は、振動からなり、
前記第1および第2接触面は、前記振動の方向に対して一様形状を有することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の接合方法。
【請求項10】
前記中間部材は、前記第1被接合部材および/又は前記第2被接合部材を構成する導電材料より低融点の導電材料から構成されることを特徴とする請求項1に記載の接合方法。
【請求項11】
前記第1被接合部材と前記中間部材との間に配置され、前記第1被接合部材および/又は前記中間部材を構成する導電材料より低融点の導電材料からなる第1介在部材と、
前記第2被接合部材と前記中間部材との間に配置され、前記第2被接合部材および/又は前記中間部材を構成する導電材料より低融点の導電材料からなる第2介在部材と、
を有することを特徴とする請求項1に記載の接合方法。
【請求項12】
前記第1介在部材および前記第2介在部材は、前記中間部材と一体化された被覆層からなることを特徴とする請求項11に記載の接合方法。
【請求項13】
導電材料からなる3つ以上の被接合部材を同時に接合する接合装置であって、
第1被接合部材と第2被接合部材とを、1つ以上の被接合部材によって構成される中間部材に、接合するための接合手段を有し、
前記中間部材は、前記第1被接合部材と接触する第1接触面と、前記第2被接合部材と接触する第2接触面と、を有しており、
前記接合手段は、
前記第1被接合部材に電気的に接続される第1電極と、
前記第2被接合部材に電気的に接続される第2電極と、
電流を、前記第1電極から、前記第1被接合部材、前記中間部材および前記第2被接合部材を経由して第2電極に流すための電流供給手段と、
前記第1および第2接触面に対して前記第1および第2被接合部材を相対的に静止した状態で保持する保持手段と、
前記第1および第2接触面を前記第1および第2被接合部材に対して摺動させるための摺動手段と、
前記摺動手段および前記電流供給手段を制御し、前記第1および第2接触面を前記第1および第2被接合部材に対して摺動させつつ、電流を、前記第1電極から、前記第1被接合部材、前記中間部材および前記第2被接合部材を経由して、前記第2電極へ流して抵抗加熱することによって、前記第1および第2接触面を接合するための制御手段と、
を有することを特徴とする接合装置。
【請求項14】
前記中間部材は、前記第1被接合部材と前記第2被接合部材との間に配置されており、
前記保持手段は、
前記第1被接合部材を保持する第1保持部と、
前記中間部材に関して前記第1保持手段の逆側に位置し、前記第2被接合部材を保持する第2保持部と、
を有することを特徴とする請求項13に記載の被接合部材の接合装置。
【請求項15】
前記中間部材は、前記第1被接合部材に相対しかつ前記第1接触面を有する第1中間部材と、前記第2被接合部材に相対しかつ前記第2接触面を有する第2中間部材と、前記第1中間部材と前記第2中間部材との間に配置される第3中間部材と、を有しており、
前記接合装置は、前記第1および第2中間部材に対して前記第3中間部材を相対的に静止した状態で保持する第2保持手段をさらに有し、
前記第1および第2接触面が接合される際、前記第1および第2中間部材に対して前記第3中間部材が相対的に静止した状態で保持されることにより、前記第1および第2中間部材と前記第3中間部材とが接合される
ことを特徴とする請求項14に記載の被接合部材の接合装置。
【請求項16】
前記第1被接合部材と前記第2被接合部材とは、前記中間部材の一方の表面に並置されており、
前記保持手段は、
前記第1被接合部材を保持する第1保持部と、
前記第1保持部と並置され、前記第2被接合部材を保持する第2保持部と、
を有することを特徴とする請求項13に記載の被接合部材の接合装置。
【請求項17】
前記第1接触面に対する前記第1被接合部材の押し付け面圧と、前記第2接触面に対する前記第2被接合部材の押し付け面圧と、を調整するため面圧調整手段を有し、
前記面圧調整手段は、
前記第1接触面の面積が前記第2接触面の面積より大きい場合、前記第1被接合部材の押し付け面圧を、前記第2被接合部材の押し付け面圧より小さくなるように調整し、
前記第1接触面の面積が前記第2接触面の面積より小さい場合、前記第1被接合部材の押し付け面圧を、前記第2被接合部材の押し付け面圧より大きくなるように制御する
ことを特徴とする請求項16に記載の被接合部材の接合装置。
【請求項18】
前記中間部材は、前記第1および第2被接合部材に相対しかつ前記第1および第2接触面を有する第1中間部材と、前記第1中間部材における前記第1および第2接触面の逆側に位置する面に相対して配置される第2中間部材と、を有しており、
前記接合装置は、前記第1中間部材に対して前記第2中間部材を相対的に静止した状態で保持する第2保持手段をさらに有し、
前記第1および第2接触面が接合される際、前記第1中間部材に対して前記第2中間部材が相対的に静止した状態で保持されることにより、前記第1中間部材と前記第2中間部材とが接合される
ことを特徴とする請求項16又は請求項17に記載の接合装置。
【請求項19】
前記摺動手段は、前記第1および第2接触面を前記第1および第2被接合部材に対して振動させるための加振手段からなり、
前記第1および第2接触面は、前記振動の方向に対して一様形状を有する
ことを特徴とする請求項13〜18のいずれか1項に記載の接合装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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