説明

接合/解除方法、プラスチック製接合具並びに封筒、バッグ及び結束具

第1のベース部分11の表面に、先端部に戻り止めの鈎状部を有する凸部12が矢印B方向に同一断面形状をなして形成されている第1セグメント10Aと、第2のベース部分15の表面に、凸部12の鈎状部を外側から挟み込んで係止する凹部16が矢印B方向に同一断面形状をなして形成されている第2セグメント10Bとからなるプラスチック製接合具。凸部12と凹部16は第1及び第2のベース部11,15分の背面から矢印A,A’方向に押圧することにより互いに嵌合すると共に、該嵌合方法とは逆方向に解除されることはない。また、凸部12と凹部16は第1及び第2のベース部分11,15と一体に矢印B,B’8方向にスライドさせることのみによって前記嵌合が解除される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、接合/解除方法、プラスチック製接合具並びに封筒、バッグ及び結束具に関する。特に、封筒の本体部分と蓋部分、袋の開口部を構成する対向する一対のフィルム、容器本体と蓋など種々の素材からなる様々な部材を容易に接合でき、必要な接合力を得、容易に解除することのできる接合/解除方法、プラスチック製接合具に関する。
【背景技術】
従来から、種々の接合具が提供されており、その代表的なものに金属製あるいはプラスチック製の“ホック”を挙げることができる。通常、この種のホックは雄/雌2種類の部材からなり、雄/雌を互いに押圧することによって接合し、逆方向に引っ張り力を加えることで解除する。
しかし、この種のホックは以下の問題点を有していた。即ち、解除する際、雄/雌が固定されている布などの基材を引っ張るため、引っ張り力に耐えられる丈夫な基材が要求されていた。特に、ゴムなどの伸縮性を有する素材には取り付けることは不可能であった。また、強い嵌合力を要する場合は、解除にもそれだけの引っ張り力を必要とし、基材にもそれに耐え得る剛性を必要としていた。
また、この種のホックは、基材に取り付ける際、雄/雌を別々に搬送して位置決めしなければならず、複雑な搬送・整列装置が必要で、製造コストが高く付いていた。しかも、ホックで基材を挟み込んだり、ホックを基材に縫い付けたりして固定するため、例えば、メッシュ状織物や紙シートからなる袋に固定することは困難であった。さらに、ホックは接合時でも最小5mmの厚さを有し、ホックを取り付けた部分か嵩高くなり、保管にスペースを要するという問題点も有していた。
接合具としては、解除するときは軽い力で済み、接合時にあっては確実な嵌合力を維持することが条件であり、嵩高くなく、柔らかいフィルムやシートなどの素材にも取り付けることのできる接合具が要望されていた。
【発明の開示】
そこで、本発明の目的は、必要な接合力を有すると共に軽い力で解除することができ、フィルムやシートなど様々な素材にも適用することのできる接合/解除方法及びプラスチック製接合具を提供することにある。
本発明の他の目的は、薄くて嵩張ることなく、容易かつ安価に製造することができ、基材への取付けも容易なプラスチック製接合具を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、必要な接合力を有すると共に軽い力で解除することできるプラスチック製接合具を備えた封筒、バッグ及び結束具を提供することにある。
以上の目的を達成するため、本発明に係る接合/解除方法は、第1のベース部分の表面に一方向に同一断面形状をなす凸部が形成されている第1セグメントと、第2のベース部分の表面に一方向に同一断面形状をなす凹部が形成されている第2セグメントとからなるプラスチック製接合具を用いる接合/解除方法であって、前記凸部と前記凹部を第1及び第2のベース部分の背面から押圧することにより互いに嵌合させ、嵌合されている前記凸部と前記凹部を第1及び第2のベース部分と一体に前記一方向にスライドさせることにより該嵌合を解除することを特徴とする。
本発明に係る接合/解除方法は、凸部と凹部とに互いに対向する垂直な方向から押圧力を加えて接合させ、解除は凸部と凹部を互いに接合方向とは直交する方向にスライドさせるという画期的な方法である。
本発明に係る接合/解除方法は、従来からプラスチック製袋の開口部の閉止用として用いられている、凸条と凹条を嵌合/解除させる形式のプラスチック製ジッパーを短尺状にカットしたものを使用することができる。この種のプラスチック製ジッパーは、凸条と凹条を互いに対向する垂直な方向に押圧力及び引っ張り力を加えて、接合及び解除させるのであるが、本発明に係る接合/解除方法では、凸部と凹部を互いに接合方向とは直交する方向にスライドさせて解除する点で解除方向が基本的に異なっている。接合時にあってはカット長さ(凸部及び凹部の長さ)に見合った接合力を確保でき、軽い力でスライドさせて解除することができる。
本発明に係る接合/解除方法にあっては、凸部と凹部を第1及び第2のベース部分の背面から押圧することにより互いに嵌合させたときに、該嵌合方向とは逆方向に解除するための形状は不要であるから、凸部と凹部を嵌合方向とは逆方向に解除不可能な形状にすることができる。この形状は極めて強い接合力を得ることができ、不用意に解除されることはない。そして、嵌合されている凸部と凹部を第1及び第2のベース部分と一体にスライドさせることのみにより嵌合が解除される。
本発明に係るプラスチック製接合具は、第1のベース部分の表面に、先端部に戻り止めの鈎状部を有する凸部が一方向に同一断面形状をなして形成されている第1セグメントと、第2のベース部分の表面に、前記凸部の鈎状部を外側から挟み込んで係止する凹部が一方向に同一断面形状をなして形成されている第2セグメントとからなり、前記凸部と前記凹部は第1及び第2のベース部分の背面から押圧することにより互いに嵌合し、前記凸部と前記凹部は第1及び第2のベース部分と一体に前記一方向にスライドさせることのみによって前記嵌合が解除されることを特徴とする。
本発明に係るプラスチック製接合具は、凸部と凹部とに互いに対向する垂直な方向から押圧力を加えて接合させ、解除は凸部と凹部を互いに接合方向とは直交する方向にスライドさせることのみによって行う。従って、接合力が大きくて接合が確実であり、嵌合方向とは逆方向の力が作用しても不用意に接合が解除されることがない。一方、凸部と凹部が同一断面形状に延在する方向には軽い力でスライドさせて解除することができ、解除力が小さいために、フィルムやシートなど柔らかいあるいは弾力のある素材の接合に使用することができる。特に、ベース部分が溶着や接着できるプラスチック製の袋や容器に容易に取り付けることができ、それらの接合具として最適である。
また、本発明に係るプラスチック製接合具は、凸部と凹部とを嵌合させた状態で第1及び第2のベース部分を含めてわずか2mm程度の厚さであり、従来のホック(厚さ5〜7mm)と比較すると極めて薄く、基材に取り付けてもそれ程嵩張ることはない。
また、凸部と凹部とを嵌合させた状態で第1及び第2のベース部分を基材に溶着あるいは接着する工程を採用すれば、第1及び第2セグメントを1部材として取り扱うことができ、凸部及び凹部を備えて長尺状に形成された一対のベース部分を必要な長さにカットしながら基材に取り付けていくことができ、取付け作業が容易であり、従来のホックの取付け作業と比較すると格段に低コストで済む。
また、第1及び第2のベース部分には複数の凸部が並設されており、該凸部の間に凹部が形成されていてもよい。複数の凸部及び凹部で嵌合することにより、嵌合範囲が広くなる。
また、凸部及び第1のベース部分を備えた第1セグメントと凹部及び第2のベース部分を備えた第2セグメントとが、同一の断面形状を有していてもよい。1種類のセグメントで第1及び第2セグメントをを兼ねることができる。
さらに、第1及び第2のベース部分の背面に接着剤層、さらに必要であれば離型紙を設けてもよい。離型紙を剥がすことで基材に容易に接着することができる。
本発明に係るプラスチック製接合具は、プラスチック材を溶融状態で成形金型から一方向に押し出すことにより、ベース部分、凹部及び凸部を一体的に形成することにより製造することができる。
また、プラスチックフィルム上に該フィルムと重合するプラスチック材を溶融状態で成形金型から一方向に押し出し、前記プラスチック材が冷却硬化することにより前記フィルムの表面に凸部及び凹部を形成することによっても製造することができる。
このような製造方法によれば、従来のプラスチック製ジッパーを製造する設備を使用することで、本発明に係るプラスチック製接合具を容易かつ安価に量産することができる。このように製造されたプラスチック製接合具は一方向に延在する長尺物であり、これを適当な長さにカットして使用される。
本発明に係る封筒は、本体部分と該本体部分の開口部を閉止する蓋部とからなり、前記第1セグメント及び第2セグメントを前記本体部分と前記蓋部の対向する位置にそれぞれ備えたことを特徴とする。
本発明に係るバッグは、前記第1セグメント及び第2セグメントを開口部の対向する内側にそれぞれ備えたことを特徴とする。このバッグは、素材として、紙、プラスチックフィルムなどを用いることができる。この種のバッグには提げ手が付いていてもよい。
本発明に係る結束具は、前記第1セグメント及び第2セグメントを両端部に備えたことを特徴とする。この結束具は、素材として、プラスチックフィルム、弾性を有する帯状ゴムなどを用いることができる。
本発明に係るプラスチック製接合具を用いた製品としては前記以外に、例えば、以下のものがある。
本体と蓋との接合に本接合具を用いたプラスチック製あるいは段ボール製容器。
壁やボードに本接合具の一方のセグメントを取り付け、他方のセグメントを裏面に貼り付けたラベルやポスター、シート類。
ホック、ボタン、面ファスナーに代えて本接合具を用いた衣料品、手袋。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明に係るプラスチック製接合具の第1実施形態を示す斜視図、
第2図は前記接合具を備えた封筒を示し、(A)は正面図、(B)は該封筒の開口部の拡大断面図、
第3図は前記封筒を開ける動作を示す斜視図、
第4図は封筒の他の例を示す正面図、
第5図は前記接合具を備えたプラスチック製袋を示し、(A)は正面図、(B)は該袋の開口部の拡大断面図、
第6図は前記接合具を備えたバッグを示す斜視図、
第7図は前記接合具を備えたバッグの他の例を示す斜視図、
第8図は前記接合具を備えた衣料を示す斜視図、
第9図は前記接合具を備えた手袋を示す正面図。
第10図は前記接合具を備えたプラスチック製容器を示し、(A)は蓋部を開けた状態の斜視図、(B)は蓋部を閉じた状態の斜視図、
第11図は前記接合具を備えた書類挟みを示し、(A)は開けた状態の正面図、(B)はその底面図、(C)は閉じた状態の底面図、
第12図は前記接合具を備えたシーツカバーを示す斜視図、
第13図は本発明に係るプラスチック製接合具の第2実施形態を示す斜視図、
第14図は第13図に示す接合具の嵌合範囲を示す説明図、
第15図は第13図に示す接合具の成形状態を示す正面図、
第16図は第13図に示す接合具の成形機を示す斜視図、
第17図は第13図に示す接合具を備えた結束具を示す正面図、
第18図は前記結束具の製造工程の途中を示す斜視図、
第19図は前記結束具の使用状態を示す正面図、
第20図は前記結束具の他の使用例を示す正面図。
【発明を実施するための最良の形態】
以下、本発明に係る接合/解除方法、プラスチック製接合具及びその製造方法の実施形態について、添付図面を参照して説明する。
(接合具の第1実施形態、第1図参照)
第1図に、第1実施形態であるプラスチック製接合具10を示す。この接合具10は、第1のベース部分11の表面に、先端部に戻り止めの鈎状部を有する凸部12が一方向(矢印B参照)に同一断面形状をなすように形成されている第1セグメント10Aと、第2のベース部分15の表面に、凸部12の鈎状部を外側から挟み込んで係止する凹部16が一方向(矢印B参照)に同一断面形状をなすように形成されている第2セグメント10Bとからなる。
さらに、ベース部分11,12の背面にはそれぞれ接着剤層13,17及び離型紙14,18が設けられている。
この接合具10は、一般的な製造方法としては、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのプラスチック材を溶融状態で成形金型から一方向に押し出し、ベース部分11と凸部12及びベース部分15と凹部16を一体的に形成する。このように製造された接合具10は長尺物であり、矢印B方向に1〜2cmの長さにカットして接合具として使用される。
この接合具10において、凸部12と凹部16はベース部分11,15の背面から矢印A,A’方向に押圧することにより互いに嵌合する。この場合、凸部12の横方向膨出幅が凹部16の開口幅よりも大きく形成されており、凸部12が凹部16を幅方向に強制的に押し広げながら嵌合する。従って、一旦嵌合すれば、凸部12と凹部16は嵌合方向とは逆方向に解除されることはない。
一方、凸部12と凹部16はベース部分11,15を相対的に矢印B,B’方向にスライドさせることによって軽い力で容易に前記嵌合が解除される。ベース部分11,15、凸部12及び凹部16は前述したプラスチック材から成形したもので摩擦力が小さく、矢印B,B’方向には大きな抵抗を生じることなくスライドする。
なお、接合具10において、凸部12と凹部16とが一旦嵌合すると、嵌合方向とは逆方向に解除されることはないとは、例えば、第2図に示す封筒20の蓋部22を通常の力で開けようとする場合に解除されることがないことを意味する。
(封筒、第2図〜第4図参照)
第2図に、前記接合具10を備えた封筒20を示す。この封筒20は本体部分21の開口縁部に蓋部22を延在させたものであり、本体部分21の開口縁部の外側に離型紙18を剥がしたベース部分15(第2セグメント10B)の背面が接着され、蓋部22に離型紙14を剥がしたベース部分11(第2セグメント10A)の背面が接着されている。ベース部分11,15は凸部12及び凹部16の長辺方向が封筒20の開口部延在方向と一致するように接着される。
接合具10の取付けは、長尺に形成されている接合具10を第1図に示す長さにカットしながら、それぞれのベース部分11,15を蓋部22及び本体部分21の所定位置に接着していけばよい。
第2図の状態から蓋部22を折り曲げて、ベース部分11,15の背面部を押圧し、凸部12を凹部16に嵌合させることで蓋部22を本体部分21に接合することができる。この嵌合を解除するには、第3図に示すように、接合具10の設置個所を指でつまみ、蓋部22を矢印B方向にスライドさせればよい。
再封は当初と同様にベース部分11,15の背面部を押圧して凸部12と凹部16とを嵌合させる。嵌合も解除も強い摩擦力や圧力が加わる過程はなく、何度繰り返して嵌合/解除を行っても凸部12や凹部16が消耗することは極めて少ない。
なお、第3図に示すように、接合具10を接合させた状態(蓋部22を閉止した状態)で、シール25を蓋部22から本体部分21にわたって貼着しておけば、接合具10が不用意に矢印B方向に移動して接合が解除されることを確実に防止することができる。また、シール25が貼着されていることでこの封筒20が未開封であるか否かを容易に確認することができる。
接合具10は第4図に示すように2箇所に設けてもよい。
なお、第1セグメント10A及び第2セグメント10Bは、本体部分21及び蓋部22のいずれに設けてもよいことは勿論である。また、以下に示すそれぞれの適用例においても同様であり、接合具10の使用方法及び作用も前述のとおりである。
(プラスチックフィルム製袋、第5図参照)
このプラスチック製袋30は、いわゆる三方溶着袋として製袋されたものであり(溶着部分には第5図(A)に斜線を付して示す)、上辺の開口部31の内側面の対向位置に第1及び第2セグメント10A,10Bを取り付けたものである。
取付け方法は接着でもよいが、袋30を構成するプラスチックフィルム32,32とベース部分11,15とが互いに溶着可能であれば、製袋工程時に自動的に溶着することができる。凸部12と凹部16を嵌合させた接合具10をフィルム32,32の間に挟み込んで接着すれば、ベース部分11,15を互いに位置ずれなく取り付けることができる。
(バッグ、第6図及び第7図参照)
前記接合具10を備えたバッグ40,45を第6図及び第7図に示す。この種のバッグ40,45は紙製あるいはプラスチックフィルム製であり、第1及び第2セグメント10A,10Bは開口部の内面側の対向位置に取り付けられている。
(衣料品、第8図参照)
前記接合具10は、第8図に示すように、衣料品50の前合わせ部分にホックないしボタンの代わりに使用することができる。特に、介護用衣料などに適している。
(手袋、第9図参照)
第9図は、ポリエチレン製の手袋55を示し、この手袋55の袖口56に第1及び第2セグメント10A,10Bを取り付け、接合させることで袖口56を絞り込むことができる。
(プラスチック製容器、第10図参照)
前記接合具10は、さらに、第10図に示すようなプラスチック製容器60の本体部分61と蓋部62の接合/解除にも使用することができる。蓋部62は本体部分61との連結部63を支点として開閉自在であり、接合状態にある接合具10は、第10図(B)に示すように、本体部分61又は蓋部62に矢印B,B’方向の力を加えることで容易に解除される。再封は容易であり、かつ、確実に行うことができる。
この容器60に関しても、本体部分61と蓋部62との重なり部分にシールを貼着しておけば、閉止が確実であり、かつ、未開封であるか否か容易に確認することができる。
(書類挟み、第11図参照)
第11図に、接合具10を備えた書類挟み65を示す。この書類挟み65は中央部で折り曲げ自在な硬質ボード66,67と、ボード67に対して折り曲げ自在なタブ部68とで構成されている。第1及び第2セグメント10A,10Bは、タブ部68と該タブ部68が対向するボード66の縁部分に取り付けられている。
(シーツカバー、第12図参照)
第12図に、接合具10を備えたシーツカバー70をベッドシーツに取り付けた状態を示す。この場合、複数の接合具10を解除方向が矢印Bに向くように並べて取り付けておけば、シーツカバー70を矢印B方向に引っ張るだけで、全ての接合具10をワンタッチで解除することができる。
(接合具の第2実施形態、第13図及び第14図参照)
第13図に第2実施形態であるプラスチック製接合具100を示す。この接合具100は、ベース部分101の表面に、先端部に戻り止めの鈎状部を有する二つの凸部102が一方向(矢印B参照)に同一断面形状をなすように並設されており、該凸部102の間に凹部103が形成されている。凹部103も一方向(矢印B参照)に同一断面形状をなしている。材料は前記第1実施形態で説明したものと同じであり、同様の押出し成形によって製造することができる。
この接合具100は同じ形状のものを一対ずつ用いて、第2図〜第12図に示した封筒、バッグ、袋などの接合具として使用される。
接合具100において、ベース部分101の背面から矢印A,A’方向に押圧することにより、凸部102が対向する凹部103に入り込んで上下の凸部102どうしが互いに嵌合する。この場合、凸部102の幅寸法が隣接する凸部102の間隔寸法よりも大きく形成されており、凸部102の両側が対向する凸部102の両側と干渉しながら嵌合する。従って、一旦嵌合すれば、凸部102は嵌合方向とは逆方向に解除されることはない。また、凸部102と凹部103とは必ず2箇所で嵌合状態となる。
一方、凸部102は上下のベース部分101を相対的に矢印B,B’方向にスライドさせることによって軽い力で容易に前記嵌合が解除される。
この接合具100にあっては、嵌合時において外側の凸部a及びbが内側の凸部c,dと干渉して外側に撓むために嵌合しやすいという利点を有している。このことは、凸部a,d及び凸部b,cの間隔を短く設定することができ、嵌合強度が向上することを意味する。
また、この接合具100は上下のベース部分101が矢印C,C’方向にずれたとしても確実に嵌合する。即ち、第14図に示すように、凸部cの頂点の右方に凸部dの頂点が対向する位置xから、凸部bの頂点の左方に凸部a’の頂点が対向する位置x’までの範囲Xにおいて嵌合可能である。
なお、ベース部分101には3以上の複数本の凸部102が形成されていてもよい。但し、嵌合の柔らかさという点で本第2実施形態の如く、2本の凸部102が形成されているものが好ましい。
ところで、接合具100は、第15図に示すように、幅広のベース部分101’の表面に複数本の凸部102が突設された状態で成形され、その後、2本の凸部102ごとにピッチpでカットする方法でも製造することができる。なお、カットピッチpは任意に設定し、任意の本数の凸部102を有する接合具100を製作することができる。
(接合具の成形方法、第16図参照)
次に、第15図に示す幅広のベース部分101’の表面に複数の凸部102を突設する製造方法の一例について説明する。
第16図に示すように、ベース部分101’となるロール状のフィルム原反を冷却受けローラ120を介して矢印f方向に引き出し、冷却受けローラ120の上部に押出し成形ノズル121から凸部102となる溶融状態のプラスチック材を押し出す。押し出された溶融状態にある凸部102はその根元部分がベース部分101’と重合し、図示しない冷却水中を通過して固着する。
勿論、第15図に示す接合具100は、第16図に示す方法以外にも、ベース部分101’と凸部102を一体に押出しにより成形することもできる。
(結束具、第17図〜第20図参照)
次に、前記接合具100を備えた結束具150について説明する。この結束具150は、第17図に示すように、プラスチック製テープ151の両端部に5連の凸部102を有している。第18図に示すように、プラスチック製テープ151を基材としてその両端部に5連の凸部102を一体的に成形し、カット線Xにて所定の幅にカットしたものである。即ち、この結束具150はテープ151がベース部分を兼ねている。テープ151を凸部102とは別素材(例えば、ゴム材)で形成し、その両端部に前記ベース部分101を接着した結束具であってもよい。
この結束具150は、例えば、第19図に示すように、複数の物品160を束ねてその周囲に巻回させ、対向する凸部102を嵌合させることで、容易に物品160を結束することができ、解除も前述のとおりスライドさせて行う。凸部102を複数設けているのは、嵌合許容長さを確保するためである。テープ151の一面において両端から中央に向かって多数の凸部102を設け、テープ151の一面全表面に凸部102を設けてもよい。あるいは、テープ151の表裏面の全面に凸部102を設けてもよい。
さらに、この結束具150は、第20図に示すように、互いの凸部102の嵌合によって複数本のものを必要な長さに連結して使用することができる。
(他の実施形態)
なお、本発明に係るプラスチック製接合具や封筒、バッグ、結束具は前記実施形態に限定するものではなく、その要旨の範囲内で種々に変更できる。
特に、ベース部分に形成される凸部や凹部の断面形状は任意である。また、本発明に係る接合具は、第2図〜第12図に示した封筒、バッグなど以外に種々の物品の接合具として使用することができる。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】

【図14】

【図15】

【図16】

【図17】

【図18】

【図19】

【図20】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のベース部分の表面に一方向に同一断面形状をなす凸部が形成されている第1セグメントと、第2のベース部分の表面に一方向に同一断面形状をなす凹部が形成されている第2セグメントとからなるプラスチック製接合具を用いる接合/解除方法であって、
前記凸部と前記凹部を第1及び第2のベース部分の背面から押圧することにより互いに嵌合させ、
嵌合されている前記凸部と前記凹部を第1及び第2のベース部分と一体に前記一方向にスライドさせることにより該嵌合を解除すること、
を特徴とする接合/解除方法。
【請求項2】
前記凸部と前記凹部を第1及び第2のベース部分の背面から押圧することにより互いに嵌合させたときに、該嵌合方向とは逆方向に解除されることはなく、
嵌合されている前記凸部と前記凹部を第1及び第2のベース部分と一体に前記一方向にスライドさせることのみにより該嵌合を解除すること、
を特徴とする請求項1に記載の接合/解除方法。
【請求項3】
第1のベース部分の表面に、先端部に戻り止め用の鈎状部を有する凸部が一方向に同一断面形状をなして形成されいる第1セグメントと、第2のベース部分の表面に前記凸部の鈎状部を外側から挟み込んで係止する凹部が一方向に同一断面形状をなして形成されている第2セグメントとからなり、
前記凸部と前記凹部は第1及び第2のベース部分の背面から押圧することにより互いに嵌合し、
前記凸部と前記凹部は第1及び第2のベース部分と一体に前記一方向にスライドさせることのみによって前記嵌合が解除されること、
を特徴とするプラスチック製接合具。
【請求項4】
前記第1及び第2のベース部分には複数の前記凸部が並設されており、該凸部の間に前記凹部が形成されていることを特徴とする請求項3に記載のプラスチック製接合具。
【請求項5】
前記凸部及び第1のベース部分を備えた第1セグメントと前記凹部及び第2のベース部分を備えた第2セグメントとが、同一の断面形状を有していることを特徴とする請求項3に記載のプラスチック製接合具。
【請求項6】
前記第1及び第2のベース部分の背面に接着剤層を設けたことを特徴とする請求項3に記載のプラスチック製接合具。
【請求項7】
本体部分と該本体部分の開口部を閉止する蓋部とからなる封筒であって、請求項1に記載の第1セグメント及び第2セグメントを、前記本体部分と前記蓋部の対向する位置にそれぞれ備えたことを特徴とする封筒。
【請求項8】
請求項1に記載の第1セグメント及び第2セグメントを開口部の対向する内側にそれぞれ備えたことを特徴とするバッグ。
【請求項9】
請求項1に記載の第1セグメント及び第2セグメントを両端部に備えたことを特徴とする結束具。

【国際公開番号】WO2004/112527
【国際公開日】平成16年12月29日(2004.12.29)
【発行日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−500924(P2005−500924)
【国際出願番号】PCT/JP2003/008013
【国際出願日】平成15年6月24日(2003.6.24)
【出願人】(391022234)石崎資材株式会社 (18)
【Fターム(参考)】