説明

接地付きスイッチ

【課題】スイッチ筐体を接地金板に螺子止めするだけで接地接続を省略できるようにした接地付きスイッチを提供する。
【解決手段】筐体10の下面に設けられた位置決め用突起10bを接地金板15に設けられた位置決め孔15bに挿入するとともに、筐体10の貫通孔16に螺子18を挿入して、螺子18を接地金板15に設けられた螺子孔15aに螺子込むことにより、この接地付きスイッチを接地金板15に取り付ける。このとき、接地用金具17は、第1の固定接点11と電気的に接続されているので、第1の固定接点11は、接地用金具17、座金19、螺子18の頭部18aの下面18b、螺子18、螺子孔15aを介して接地金板15に電気的に接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作動子の作動により動作するスイッチに関し、詳しくは、スイッチ筐体を接地金板に螺子止めするだけで接地接続を省略できるようにした接地付きスイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のスイッチとしては、従来、特許文献1に記載されたプッシュレバースイッチが知られている。この、プッシュレバースイッチは、2つの固定接点と、プッシュレバーの作動により変形して上記2つの固定接点との間を電気的に接続する接点ばね片ユニットを備えて構成される。
【0003】
このプッシュレバースイッチの利用形態の1つとして、上記2つの固定接点のうちの一方を接地し、他方を制御対象機器の制御部に接続して、他方の接点側をプルアップすることにより、プッシュレバーの非作動時にはハイレベルの信号を上記制御部に加え、プッシュレバーの作動時には、ローレベル(接地レベル)の信号を上記制御部に加えるようにして用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−63450号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載されたプッシュレバースイッチにおいては、上記2つの固定接点のうちの一方の固定接点を接地部に接続するための第1の配線と、上記2つの固定接点のうちの他方の固定接点を制御対象機器の制御部に接続するための第2の配線との2つの配線があり、このために部品点数が増加するとともに、その実装工程が増加するという問題があった。
【0006】
本発明は、スイッチ筐体を接地金板に螺子止めするだけで接地接続を省略できるようにした接地付きスイッチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1の発明の接地付きスイッチは、筐体と、前記筐体の一側面に離間して配設された第1の固定接点および第2の固定接点と、前記筐体の他側面から一部が突出する作動子と、前記筐体内に配設され、前記作動子の作動により変形して前記第1の固定接点と前記第2の固定接点との間を電気的に接続する可動接点と、前記筐体を接地金板に螺子止めするための貫通孔と、前記第1の固定接点に連設され、前記貫通孔を用いて、前記筐体を前記接地金板に螺子止めした際に、前記第1の固定接点を前記接地金板に電気的に接続する接地用金具と、を具備することを特徴とする。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記作動子は、外力の負荷及び解放によって、前記筐体の上部から下部に伸びる軸を回動中心として回動し、前記可動接点は、一端の支持部と円弧部と他端の接点からなるU形ばね片を2枚重合した状態で、内側U形ばね片と外側U形ばね片が支持部の先端で連続しており、内側U形ばね片の接点を外側U形ばね片の接点の前方にずらして、前記外側U形ばね片の接点が前記第1の固定接点に接触し、前記内側U形ばね片の接点が前記第2の固定接点から離間するように設けられ、前記作動子の回動により前記内側U形ばね片の接点を前記第2の固定接点に接触させることにより、前記第1の固定接点と前記第2の固定接点との間を電気的に接続することを特徴とする。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1または2の発明において、前記接地用金具は、前記第1の接点と電気的に接続され、かつ、前記貫通孔周縁に該筐体から露出するように前記筐体の上部に埋め込まれ、該貫通孔を用いて該筐体を前記接地金板に螺子止めすることで、前記第1の固定接点を該螺子を介して前記接地金板に電気的に接続することを特徴とする。
【0010】
請求項4の発明は、請求項3の発明において、前記接地用金具は、前記螺子の頭部の下面に対応する位置に少なくとも2つの突起部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、スイッチ筐体を接地金板に螺子止めするだけで、第1の固定接点を接地接続することができるので、第1の固定接点を接地部に接続するための配線およびその接続工程を省略することができるので、スイッチ実装工程に際しての部品点数を減少させることができるとともに、実装工程の簡略化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明に係わる接地付きスイッチの一実施例の一部断面側面図である。
【図2】図2は、図1に示した接地付きスイッチの一部断面上面図である。
【図3】図3は、図1に示した接地付きスイッチの製造過程で用いるプレス製品の一例を示す図である。
【図4】図4は、図1に示した接地付きスイッチの等価回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施例を添付図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明に係わる接地付きスイッチの一実施例の一部断面側面図、図2は、図1に示した接地付きスイッチの一部断面上面図、図3は、図1に示した接地付きスイッチの製造過程で用いるプレス製品の一例を示す図である。
【0015】
図1および図2において、この実施例の接地付きスイッチは、筐体10と、筐体10の一側面に離間して配設された第1の固定接点11および第2の固定接点12と、筐体10の他側面から一部が突出するように配設された作動子である作動部13と、筐体10内に配設され、作動部13の作動により変形して第1の固定接点11と第2の固定接点12との間を電気的に接続する可動接点である外側U形ばね片14aおよび内側U形ばね片14bと、筐体10を接地金板15に螺子止めするための貫通孔16と、第1の固定接点11に連設され、貫通孔16を用いて、筐体10を接地金板15に螺子18により螺子止めした際に、第1の固定接点11を接地金板15に電気的に接続するために用いる接地用金具17と、を具備して構成される。
【0016】
ここで、第1の固定接点11、第2の固定接点12、作動部13、外側U形ばね片14a、内側U形ばね片14bは、この接地付きスイッチのスイッチ機能部を構成する。
【0017】
また、接地用金具17の上面には、接地用金具17と螺子18との電気的接続を確実にするための、螺子18の頭部18aの下面18bに対応する位置に設けられたの突起部17a、17bが設けられている。
【0018】
なお、15aは、螺子18を接地金板15に螺子込むための螺子溝が切られた螺子孔であり、15bは、筐体10の下面に設けられた、位置決め用突起10bが挿入される位置決め孔であり、19は、螺子18を接地金板15に螺子込むときに用いる座金である。
【0019】
第1の固定接点11および第2の固定接点12および接地用金具17は、図3に示すプレス製品30から製造される。そして、このプレス製品30を用いて、インサート成形によりこの実施例の接地付きスイッチが製造される。なお、図3において、30−1、30−2、30−3は、上記インサート成形後の切離し部を示す。
【0020】
外側U形ばね片14aおよび内側U形ばね片14bは、それぞれの一端が支持部14cで連続した2枚重合状態で配設され、また、内側U形ばね片14bの先端の接点14bpは外側U形ばね片14aの先端の接点14apの前方にずらし、外側U形ばね片14aの接点14apは第1の固定接点11に接触し、内側U形ばね片14bの接点14bpは第2の固定接点12から離間するように配設されている。
【0021】
作動部13は、軸13aに回動自在に支持されており、作動部13の作用面13bに外力が加わっていない場合は、外側U形ばね片14aの弾性力により作動部13には矢印X方向の力が加わり、突起部下面13cが筐体10の段部10aに当接して、図2に示す状態になっている。
【0022】
作動部13の作用面13bに外力が加わると、作動部13は、外側U形ばね片14aの弾性力に抗して軸13aを中心にして矢印Y方向に回動し、内側U形ばね片14bの接点14bpは第2の固定接点12に接触する。ここで、外側U形ばね片14aの接点14apと第1の固定接点11との接触状態は、外側U形ばね片14aの弾性力により維持されるので、第1の固定接点11と第2の固定接点12とは、外側U形ばね片14a、内側U形ばね片14bを介して電気的に接続される。
【0023】
作動部13の作用面13bに加わっていた外力が解放されると、作動部13は、外側U形ばね片14aおよびの内側U形ばね片14b弾性力により軸13aを中心にして矢印X方向に回動し、図2に示す突起部下面13cが筐体10の段部10aに当接した初期状態に戻る。
【0024】
さて、この実施例の接地付きスイッチにおいては、筐体10の下面に設けられた位置決め用突起10bを接地金板15に設けられた位置決め孔15bに挿入し、筐体10の貫通孔16に螺子18を挿入して、螺子18を接地金板15に設けられた螺子孔15aに螺子込むことにより、この接地付きスイッチを接地金板15に取り付ける。
【0025】
ここで、接地用金具17の上面に設けられた突起部17a、17bの存在により、接地用金具17と螺子18の頭部18aの下面18bとは、座金19を介して、電気的に、確実に接続することができる。
【0026】
すなわち、接地用金具17の上面に設けられた突起部17a、17bは、図3に示すプレス製品30で形成されるので、螺子18を締め付けることにより、突起部17a、17bを螺子18の頭部18aの下面18bに挿入された座金19とを密着させることができ、これにより、接地用金具17と螺子18との電気的接続を確実にすることができる。
【0027】
ここで、接地用金具17は、第1の固定接点11と電気的に接続されているので、この状態で、第1の固定接点11は、接地用金具17、座金19、螺子18の頭部18aの下面18b、螺子18、螺子孔15aを介して接地金板15に電気的に接続される。
【0028】
このような構成により、この実施例の接地付きスイッチによれば、筐体10を螺子18により接地金板15に螺子18で取り付けるだけで、第1の固定接点11を接地金板15に接地接続することができ、これにより、第1の固定接点11を接地部に接続するめの配線が不要になり、またその接続工程も省略することができるので、スイッチ実装工程に際しての部品点数を減少させることができるとともに、実装工程の簡略化を図ることができる。
【0029】
図4は、図1、図2に示した接地付きスイッチの等価回路図である。図4において、端子Aは、図1、図2に示す第1の固定接点11の配線接続部11aに対応し、端子Bは、図1、図2に示す第2の固定接点12の配線接続部12aに対応し、端子Cは、図1、図2に示す接地用金具17に対応し、スイッチ40は、図2に示す上記スイッチ機能部により実現される。
【0030】
この接地付きスイッチは、例えば、車載のCDプレイヤーにおけるCDの挿入、取り出しの検出に用いることができる。この場合、図4に示す端子Bは、このCDプレイヤーの図示しない制御部に接続され、端子Bは、この制御部内において正の電圧または負の電圧でプルアップされる。
【0031】
さて、このCDプレイヤーにCDが挿入されていない状態においては、スイッチ40は、オフになっており、CDプレイヤーの制御部には、CDが挿入されていないことを示すハイレベルの信号が端子Bから入力される。
【0032】
この状態において、このCDプレイヤーにCDが挿入されると、作動部13の作用面13bに加わる外力により、作動部13が図2に示す矢印Y方向に回動し、これによりスイッチ40がオンになり、CDプレイヤーの制御部には、端子BからCDが挿入されたことを示す接地レベルの信号が入力される。
【0033】
その後、このCDプレイヤーからCDが取り出されると、作動部13の作用面13bに加わっていた外力が解放され、スイッチ40は、オフになる。この状態では、CDプレイヤーの制御部には、CDが挿入されていないことを示すハイレベルの信号が端子Bから入力される。
【0034】
なお、上記実施例では、作動部13の作用面13bに加わる外力により、作動部13が回動してオン、オフするレバー型のスイッチ機能部を用いる構成を示したが、この構成に限らず、プッシュ型のスイッチ機能部を用いる構成を用いても同様に構成することができる。
【0035】
また、この実施例においては、接地用金具17の上面には、2つの突起部17a、17bを設ける構成を示したが、2つの突起部17a、17bに代えて3つ以上の突起部を設けてもよい。
【0036】
また、このこの実施例においては、筐体10の下面に位置決め用突起10bを設けることにより、1本の螺子16でこの接地付きスイッチの筐体10を接地金板15に取り付けるように構成したが、この接地付きスイッチの筐体10を複数の螺子等を用いて取り付けるように構成してもよい。この場合は、複数の螺子等のうちの少なくとも1つに、第1の固定接点11を接地金板15に電気的に接続させる機能を持たせればよい。
【0037】
なお、固定接点11の配線接続部11aは、この接地付きスイッチを接地されていない金板もしくは絶縁体に接続するような場合に用いるもので、この接地付きスイッチを、接地金板15に取り付ける利用形態で使用する場合は、この固定接点11の配線接続部11aを設けなくてもよい。
【0038】
また、この発明に係る接地付きスイッチの利用形態は、車載のCDプレイヤーにおけるCDの挿入、取り出しの検出に限定されるものではない。
【0039】
本発明は、以上説明した実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で当分野において通常の知識を有する者により多くの変形が可能である。
【符号の説明】
【0040】
10 筐体
10a 段部
10b 位置決め用突起
11 第1の固定接点
11a 配線接続部
12 第2の固定接点
12a 配線接続部
13 作動部
13a 軸
13b 作用面
13c 突起部下面
14a 外側U形ばね片
14ap 接点
14b 内側U形ばね片
14bp 接点
14c 支持部
15 接地金板
15a 螺子孔
15b 位置決め孔
16 貫通孔
17 接地用金具
17a 突起部
17b 突起部
18 螺子
18a 頭部
18b 下面
19 座金


【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体の一側面に離間して配設された第1の固定接点および第2の固定接点と、
前記筐体の他側面から一部が突出する作動子と、
前記筐体内に配設され、前記作動子の作動により変形して前記第1の固定接点と前記第2の固定接点との間を電気的に接続する可動接点と、
前記筐体を接地金板に螺子止めするための貫通孔と、
前記第1の固定接点に連設され、前記貫通孔を用いて、前記筐体を前記接地金板に螺子止めした際に、前記第1の固定接点を前記接地金板に電気的に接続する接地用金具と、
を具備することを特徴とする接地付きスイッチ。
【請求項2】
前記作動子は、
外力の負荷及び解放によって、前記筐体の上部から下部に伸びる軸を回動中心として回動し、
前記可動接点は、
一端の支持部と円弧部と他端の接点からなるU形ばね片を2枚重合した状態で、内側U形ばね片と外側U形ばね片が支持部の先端で連続しており、内側U形ばね片の接点を外側U形ばね片の接点の前方にずらして、前記外側U形ばね片の接点が前記第1の固定接点に接触し、前記内側U形ばね片の接点が前記第2の固定接点から離間するように設けられ、前記作動子の回動により前記内側U形ばね片の接点を前記第2の固定接点に接触させることにより、前記第1の固定接点と前記第2の固定接点との間を電気的に接続する
ことを特徴とする請求項1に記載の接地付きスイッチ。
【請求項3】
前記接地用金具は、
前記第1の接点と電気的に接続され、かつ、前記貫通孔周縁に該筐体から露出するように前記筐体の上部に埋め込まれ、該貫通孔を用いて該筐体を前記接地金板に螺子止めすることで、前記第1の固定接点を該螺子を介して前記接地金板に電気的に接続することを特徴とする請求項1または2に記載の接地付きスイッチ。
【請求項4】
前記接地用金具は、
前記螺子の頭部の下面に対応する位置に少なくとも2つの突起部を有する
ことを特徴とする請求項3に記載の接地付きスイッチ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−248382(P2012−248382A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−118753(P2011−118753)
【出願日】平成23年5月27日(2011.5.27)
【出願人】(000114145)ミック電子工業株式会社 (40)
【Fターム(参考)】