説明

接地抵抗測定用の接続器

【課題】機器側の端子と接地側の端子とを接続・切断する作業を容易化できると共に、防水性・防塵性の確保を容易化できる、接地抵抗測定用の接続器を提供する。
【解決手段】機器の接地線に設けられる接地抵抗測定用の接続器10であって、機器側の接地線5Aが接続された端子22Aと、接地側の接地線5Bが接続された端子22Bとが設けられた端子盤20と、端子盤20に取り付けられ、測定穴36A、36Bが形成されているカバー30と、端子22Aと端子22Bとを接続する接続位置と、端子22Aと端子22Bとを切断する切断位置との間で変位できるように、カバー30内に配された接点板24と、カバー30の外に配された把持部44と、該把持部44と接点板24とを連結する連結部41とを有し、接点板24を接続位置と切断位置との間で変位させる際に操作される操作部40と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接地抵抗測定用の接続器に関する。
【背景技術】
【0002】
電柱に設置された変圧器等の機器の接地線に設けられる接地抵抗測定用の接続器として、カバーの開閉により機器側の端子と接地極側の端子とを接続及び切断するものが知られている(例えば、特許文献1、2参照)。この接地抵抗測定用の接続器では、カバーに取り付けられた接点板の両端にクリップ部が設けられており、カバーの開閉により、クリップ部が端子に対して着脱されることで、両側の端子が接続及び切断される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−27800号公報
【特許文献2】特開2003−185687号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、接地抵抗測定用の接続器を、電柱の外に設置する場合には、風雨等の影響により端子や接点板が腐食することを防ぐために、防水性・防塵性を確保する必要がある。上記の接地抵抗測定用の接続器では、カバーを開閉式としたことにより、防水性・防塵性を確保するための複雑なシール構造が必要となっている。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、機器側の端子と接地側の端子とを接続・切断する作業を容易に行うことができると共に、防水性・防塵性を容易に確保することができる、接地抵抗測定用の接続器を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る接地抵抗測定用の接続器は、機器の接地線に設けられる接地抵抗測定用の接続器であって、機器側の接地線が接続された機器側端子と、接地側の接地線が接続された接地側端子とが設けられた端子盤と、前記端子盤に取り付けられ、接地抵抗測定器の端子を挿入して前記機器側端子及び前記接地側端子にそれぞれ接触させるための測定穴が形成されているカバーと、前記機器側端子と前記接地側端子とを接続する接続位置と、前記機器側端子と前記接地側端子とを切断する切断位置との間で変位できるように、前記カバー内に配された接続部材と、前記カバーの外に配された把持部と、該把持部と前記接続部材とを連結する連結部とを有し、前記接続部材を前記接続位置と前記切断位置との間で変位させる際に操作される操作部と、を備える。
【0007】
上記接地抵抗測定用の接続器において、前記把持部は、前記連結部に対して着脱可能であってもよい。
【0008】
上記接地抵抗測定用の接続器において、前記連結部は、前記接続部材に固定され前記把持部が着脱可能である回転軸と、前記カバーに固定され前記回転軸を回転自在に支持する軸受とを有してもよい。
【0009】
上記接地抵抗測定用の接続器において、前記測定穴に、前記接地抵抗測定器の端子を挿入することにより開き、前記接地抵抗測定器の端子を抜き出すことにより閉じるシール部材が取り付けられていてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、機器側の端子と接地側の端子とを接続・切断する作業を容易に行うことができると共に、当該作業のためにカバーを開閉する必要がないので、防水性・防塵性を容易に確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】一実施形態に係る接地抵抗測定用の接続器が設置された電柱を示す図である。
【図2】把持部を取り付けた状態の接続器を示す正面図である。
【図3】把持部を取り外した状態の接続器を示す正面図である。
【図4】図2の4−4断面図である。
【図5】図4の5−5断面図である。
【図6】接地抵抗の測定が行われている状態の接続器を示す側断面図である。
【図7】図6の7−7断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態を説明する。図1は、一実施形態に係る接地抵抗測定用の接続器10が設置された電柱1を示す図である。この図に示すように、接続器10は、電柱1にバンド2で固定されており、電柱1に設置された変圧器3と地下に設けられた接地極4とを接続する接地線5に設けられている。
【0013】
図2は把持部44を取り付けた状態の接続器10を示す正面図であり、図3は、把持部44を取り外した状態の接続器10を示す正面図である。また、図4は、図2の4−4断面図であり、図5は、図4の5−5断面図である。これらの図に示すように、接続器10は、接地抵抗測定用の端子盤20と、端子盤20に取り付けられたカバー30と、接続器10の接続・切断の切り替えの際に操作される操作部40とを備えている。端子盤20上には、変圧器3側の接地線5Aに接続された変圧器3側の端子22Aと、接地極4側の接地線5Bに接続された接地極4側の端子22Bと、端子22Aと端子22Bとの間を電気的に接続・切断する接点板24とが設けられている。
【0014】
端子22Aと端子22Bとは互いに上下に離間して設けられている。端子22A、22Bの裏面側にはそれぞれ板ナット26A、26Bが配されている。また、端子22Aと板ナット26Aとの間、端子22Bと板ナット26Bとの間にはそれぞれ、接地線5A、5Bが挟み込まれている。そして、板ナット26A、26Bがそれぞれ、一対のネジ28により端子22A、22Bにネジ止めされている。これにより、接地線5Aが端子22Aに接続され、接地線5Bが端子22Bに接続されている。
【0015】
接点板24は、銅等の導電性を有し、かつ弾性変形可能である長方形状の板材であり、その長手方向両端は、円弧状に湾曲されている。この接点板24の長手方向一端及び他端はそれぞれ、弾性変形した状態で、端子22Aと端子22Bとに圧接している。
【0016】
カバー30は、端子盤20の盤上や周囲を覆う直方体状の部材であり、その長手方向中央部には、軸受32が埋設され、この軸受32には回転軸34が回転自在に支持されている。この回転軸34の先端は、接点板24の長手方向中央部に固定されている。また、回転軸34の中心には、長孔34Aが形成されている。ここで、軸受32は、防水・防塵性能に優れたシール付き軸受であり、インナーとアウターとの間がリップ部によりシールされている。なお、回転軸34は、軸受32のインナーに嵌合している。
【0017】
また、カバー30には一対の接地抵抗測定用の穴(以下、測定穴という)36A、36Bが形成されている。測定穴36Aは、端子22Aに面して配され、測定穴36Bは、端子22Bに面して配されている。ここで、測定穴36A、36Bの穴壁には円環状のゴム等の弾性材料で形成されたシール部材38が取り付けられている。このシール部材38は、接地抵抗測定器のプローブ6が測定穴36A、36Bに挿入されていない状態では、測定穴36A、36Bを塞ぎ、防水及び防塵機能を発揮する。一方、シール部材38は、プローブ6が測定穴36A、36Bに挿入された状態では、弾性変形して測定穴36A、36Bの中心を開口させる。
【0018】
操作部40は、上述の軸受32及び回転軸34からなる連結部41と、回転軸34に着脱される軸42と、軸42に固定された把持部44とを備えている。軸42の一端側には、回転軸34の長孔34Aと嵌合する嵌合部42Aが形成されている。この嵌合部42Aは、回転軸34の中心に対して対称にD字状の切欠部(Dカット部)を形成することにより、長孔34Aと雌雄の関係にある形状に形成されている。
【0019】
把持部44は、長孔34Aの長手方向と直交する方向を長手方向とする直方体状のツマミであり、軸42が回転軸34に装着された状態で、把持部44の長手方向と接点板24の長手方向とが平行になる。
【0020】
図6は、接地抵抗の測定が行われている状態の接続器10を示す側断面図である。また、図7は、図6の7−7断面図である。これらの図に示すように、作業者が、縦向きの状態の把持部44を、軸42の回りに90°回転させると、縦向きの状態であった接点板24が、操作部40と共に軸42の回りに90°回転する。これにより、接点板24の長手方向一端部及び他端部がそれぞれ、端子22A、22Bから離間し、接地線5が端子22Aと端子22Bとの間で切断される。
【0021】
そして、作業者は、接地抵抗測定器のプローブ6を測定穴36A、36B及びシール部材38に挿入し、その先端を端子22A、22Bに当接させ、この状態で、変圧器3と接地極4との間の接地抵抗を測定することになる。
【0022】
また、作業者は、接地抵抗の測定を終了すると、プローブ6を測定穴36A、36B及びシール部材38から抜き出し、横向きの状態の把持部44を、軸42の回りに90°回転させる。これにより、横向きの状態であった接点板24が、操作部40と共に軸42の回りに90°回転して、接点板24の長手方向一端部及び他端部がそれぞれ、端子22A、22Bに接触し、接地線5が端子22Aと端子22Bとの間で接続される。
【0023】
ここで、プローブ6を測定穴36A、36B及びシール部材38から抜き出すと、シール部材38が弾性力で復元して測定穴36A、36Bを塞ぐ。これにより、シール部材38が、防水・防塵機能を発揮し、カバー30内への水や粉塵の浸入を防ぐ。
【0024】
また、作業者は、接地抵抗の測定を終了し、接地線5を接続状態に戻した後は、把持部44を回転軸34から取り外すことになる。即ち、図3に示すように、接続状態の接続器10は、把持部44が装着されていない状態となり、この状態では、接点板24を回転させることができず、接続器10を切断状態に切り替えることができない。
【0025】
以上、本実施形態に係る接続器10では、カバー10にプローブ6を挿入するための測定穴36A、36Bを形成すると共に、接点板24を接続位置と切断位置との間で変位させる際に操作される操作部40として、接点板24に連結された把持部44がカバー30の外に配されたものを設けた。これにより、カバー10を開閉することなく、機器側の端子22Aと接地側の端子22Bとを接続及び切断することができ、かつ、プローブ6を端子22Aと端子22Bとに接触させて接地線5の接地抵抗を測定することができる。
【0026】
従って、カバー10を開閉したり、ネジを回したりすることなく、機器側の端子22Aと接地側の端子22Bとを接続及び切断することができ、また、カバー10を開閉式とすることに伴うシール構造の複雑化を不要にできる。よって、機器側の端子22Aと接地側の端子22Bとを接続・切断する作業を容易に行うことができると共に、防水性・防塵性を容易に確保できる。
【0027】
また、本実施形態に係る接続器10では、把持部40が接点板24に固定された回転軸34に対して着脱可能である。これにより、接地抵抗を測定する際以外には、把持部44が接続器10に装着されていない状態にすることができ、接続器10が切断状態に切り替えられないようにすることができる。
【0028】
また、本実施形態に係る接続器10では、接点板24と把持部44とを連結する連結部41を、接点板24に固定され把持部44が着脱可能である回転軸34と、カバー30に固定され回転軸34を回転自在に支持する軸受32とにより構成した。また、軸受32を防水・防塵性能に優れたシール付きの軸受とした。これにより、連結部41における防水・防塵性を確保できる。
【0029】
また、本実施形態に係る接続器10では、測定穴36A、36Bに、プローブ6を挿入することにより開き、プローブ6を抜き出すことにより閉じるシール部材38を取り付けた。これにより、測定穴36A、36Bにおける防水・防塵性を確保できる。
【0030】
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、上記実施の形態は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明はその趣旨を逸脱することなく変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。例えば、上記実施の形態では、接続器10の接続・切断を切り替えるスイッチを回転式(ロータリ式)としたが、スライド式としてもよい。
【0031】
また、上記実施の形態では、測定穴36A、36Bにシール部材38を取り付けたが、着脱可能なキャップ部材を取り付ける等して防水・防塵してもよい。また、上記実施の形態では、接点板24の両端を、自身の弾性力で端子22A、22Bに当接させるように構成した。しかし、接点板24の両端を介して端子22A、22Bと対向する楔構造の部材を設け、接点板24を接続位置へ変位させると、該部材の楔構造の作用により、接点板24の両端が端子22A、22Bに接触するように構成する等してもよい。
【符号の説明】
【0032】
1 電柱、2 バンド、3 変圧器、4 接地極、5、5A、5B 接地線、6 プローブ(接地抵抗測定器の端子)、10 接地抵抗測定用の接続器、20 端子盤、22A 端子(機器側端子)、22B 端子(接地側端子)、24 接点板(接続部材)、26A、26B 板ナット、28 ネジ、30 カバー、32 軸受、34 回転軸 34A 長孔、36A、36B 測定穴、38 シール部材、40 操作部、41 連結部、42 軸、44 把持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器の接地線に設けられる接地抵抗測定用の接続器であって、
機器側の接地線が接続された機器側端子と、接地側の接地線が接続された接地側端子とが設けられた端子盤と、
前記端子盤に取り付けられ、接地抵抗測定器の端子を挿入して前記機器側端子及び前記接地側端子にそれぞれ接触させるための測定穴が形成されているカバーと、
前記機器側端子と前記接地側端子とを接続する接続位置と、前記機器側端子と前記接地側端子とを切断する切断位置との間で変位できるように、前記カバー内に配された接続部材と、
前記カバーの外に配された把持部と、該把持部と前記接続部材とを連結する連結部とを有し、前記接続部材を前記接続位置と前記切断位置との間で変位させる際に操作される操作部と、
を備える接地抵抗測定用の接続器。
【請求項2】
前記把持部は、前記連結部に対して着脱可能である請求項1に記載の接地抵抗測定用の接続器。
【請求項3】
前記連結部は、前記接続部材に固定され前記把持部が着脱可能である回転軸と、前記カバーに固定され前記回転軸を回転自在に支持する軸受とを有する請求項2に記載の接地抵抗測定用の接続器。
【請求項4】
前記測定穴に、前記接地抵抗測定器の端子を挿入することにより開き、前記接地抵抗測定器の端子を抜き出すことにより閉じるシール部材が取り付けられている請求項1から請求項3までの何れか1項に記載の接地抵抗測定用の接続器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−78250(P2012−78250A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−224985(P2010−224985)
【出願日】平成22年10月4日(2010.10.4)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】