説明

接地構造及びそれを備えた着脱式ユニット並びに画像形成装置

【課題】ユニットと画像形成装置本体若しくは他のユニットとを確実に接地可能な接地構造及びそれを備えた着脱式ユニット、並びに画像形成装置を提供する。
【解決手段】オプションフィーダー30の上面には、位置決めピン35とコネクター接続部51とが突設されており、コネクター接続部51に隣接して接地部材53の接触部53aが突出している。接地部材53は、接触部53aと、一対の支持部53bと、連結部53cとが金属製のばね線材を折り曲げて一体形成されており、接触部53aは水平方向に揺動可能であるとともに、連結部53cが垂直方向に撓むことにより垂直方向にも揺動可能となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機やプリンター、ファクシミリ等の画像形成装置本体に着脱可能に連結されるユニット及びそれを備えた画像形成装置に関し、特にユニットと装置本体、或いはユニット同士の接地構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の画像形成装置においては、装置内部に搭載された給紙トレイと異なるサイズの用紙を供給するための給紙ユニット(オプションフィーダー)が装置本体下部に着脱可能に連結されるものがあった。
【0003】
例えば特許文献1には、画像形成装置本体の基台を兼ねた給紙ユニットと消耗品収納ユニットとが取り替え可能に積層され、画像形成装置本体の底面に給紙ユニットから搬送されてきた用紙を取り入れる開口が設けられ、給紙ユニットの内部に用紙の搬送を案内するガイド手段と垂直方向に延びた垂直搬送路が形成され、垂直搬送路出口が画像形成装置本体の底面に形成された開口と連通する画像形成装置が開示されている。
【0004】
ところで、特許文献1のようなオプションフィーダーでは、画像形成時に搬送される用紙の摩擦により用紙が帯電する。オプションフィーダー内の用紙が帯電すると、トナー像の転写時に画像不良が発生する。また、画像形成装置の電源オン中に画像形成装置とオプションフィーダーとが不用意に分離されると、コネクターとコネクター接続部との電気的な導通が遮断される前に接地(アース)構造が離間してしまうことがある。この場合、オプションフィーダー内の電気系基板に蓄積された電流の行き場が無くなり、基板を破損するおそれがある。そのため、オプションフィーダーに対してより確実な接地構造が要望されている。
【0005】
一般的な接地構造としては、板バネ等の接地部材を用い、接地部材の一端を一方の部材にビス固定し、他端をバネの付勢力によって他方の部材に圧接させる方法が知られている。しかし、この構造では、振動や衝撃等により接地部材が変形したり、接地が必要なユニットと画像形成装置本体との相対位置のずれが発生したりして、板バネの接触が不安定になるおそれがあった。
【0006】
そこで、画像形成装置本体とユニットまたは部材との接地性を安定させる方法が提案されており、例えば特許文献2には、板バネの一端を一方の部材にビス固定し、板バネの他端を磁石または電磁石の磁力によって他方の部材に吸着させる方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実開平5−22427号公報
【特許文献2】特開平5−307282号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献2の方法では、ユニットや部材を移動させる際に、磁力によって吸着した板バネを他方の部材から離間させる必要があり、吸着力の強さによっては板バネが変形するおそれがあった。また、電磁石を用いる場合は構成部材も増加するとともに配線も複雑となり、電磁石に通電するための消費電力も増大するという問題点もあった。なお、ここでは画像形成装置本体とオプションフィーダーとの接地を例に挙げて説明したが、オプションフィーダー以外の着脱式のユニットと画像形成装置本体との接地や、着脱式のユニット同士の接地についても同様の問題点があった。
【0009】
本発明は、上記問題点に鑑み、ユニットと画像形成装置本体若しくは他のユニットとを確実に接地可能な接地構造及びそれを備えた着脱式ユニット、並びに画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために本発明は、画像形成装置本体若しくは他のユニットの下方に連結される着脱式のユニットの接地構造であって、前記画像形成装置本体若しくは前記他のユニットのフレームに接触する水平方向に弾性変形可能な接触部と、前記ユニット内の基板と電気的に導通される支持部と、該支持部と前記接触部とを連結する連結部と、が金属製のばね線材を折り曲げて一体形成された接地部材を有し、前記接触部は、前記連結部の弾性変形により垂直方向に揺動可能であることを特徴としている。
【0011】
また本発明は、上記構成のユニットの接地構造において、前記接触部が弾性変形する水平方向をX方向、垂直方向をY方向とするとき、前記支持部は、X方向及びY方向に垂直なZ方向に弾性変形可能であることを特徴としている。
【0012】
また本発明は、上記構成のユニットの接地構造において、前記接地部材は、U字状に折り曲げ形成された一対の前記支持部と、一対の前記支持部の内側にそれぞれ対向するように斜め上方に延びる一対の前記連結部と、一対の前記連結部の間に上方に向けて逆U字状に延び、前記フレームの側面方向に屈曲する接点が形成された前記接触部と、を有することを特徴としている。
【0013】
また本発明は、上記構成のユニットの接地構造において、前記ユニットの上面には前記画像形成装置本体若しくは前記他のユニットの下面に付設されたコネクターに接続されるコネクター接続部が突設され、前記接触部は、前記画像形成装置本体若しくは前記他のユニットの分離動作により前記コネクターと前記コネクター接続部とが導通状態から導通が遮断された状態に切り換わるまでの間、前記フレームとの接触状態を維持していることを特徴としている。
【0014】
また本発明は、上記構成のユニットの接地構造において、前記接地部材は、前記接触部が前記コネクター接続部に隣接して前記ユニットの上面から突出するように配置されており、前記接触部の上端部は、前記コネクター接続部の上端部よりも低い位置にあることを特徴としている。
【0015】
また本発明は、上記構成のユニットの接地構造を備えた着脱式ユニットである。
【0016】
また本発明は、上記構成の着脱式ユニットが、記録媒体を積載する記録媒体積載板と、該記録媒体積載板に積載された記録媒体を1枚ずつ分離して前記画像形成装置本体へ搬送する分離搬送機構と、を有するオプションフィーダーであり、前記接地部材が前記記録媒体積載板に積載された記録媒体と電気的に導通することを特徴としている。
【0017】
また本発明は、上記構成の着脱式ユニットが連結される画像形成装置である。
【発明の効果】
【0018】
本発明の第1の構成によれば、画像形成装置本体若しくは他のユニットのフレームに接触する接地部材の接触部を垂直方向に揺動可能とすることにより、ユニットと画像形成装置本体若しくは他のユニットとを着脱する際の位置関係が、フレームと接触部とが近づく方向にずれた場合に、フレームの下端と接触部の上端との接触により接触部が垂直方向に揺動してユニットの基板とフレームとの電気的な導通を維持することができる。また、ばね線材を折り曲げて接地部材を形成することで安価な接地構造となる。
【0019】
また、本発明の第2の構成によれば、上記第1の構成のユニットの接地構造において、接触部が弾性変形する水平方向をX方向、垂直方向をY方向とするとき、支持部をX方向及びY方向に垂直なZ方向に弾性変形可能としたので、ユニットに対し画像形成装置本体若しくは他のユニットがねじれの位置にずれた場合でも、接触部がフレームのずれに追従してX方向、Y方向、及びZ方向に揺動する。従って、画像形成装置本体若しくは他のユニットの着脱時の姿勢に係わらず、ユニットの基板とフレームとの電気的な導通を確実に維持することができる。
【0020】
また、本発明の第3の構成によれば、上記第2の構成のユニットの接地構造において、接地部材は、U字状に折り曲げ形成された一対の支持部と、一対の支持部の内側にそれぞれ対向するように斜め上方に延びる一対の連結部と、一対の連結部の間に上方に向けて逆U字状に延び、フレームの側面方向に屈曲する接点が形成された接触部と、を有することにより、ばね線材を折り曲げてX方向、Y方向、及びZ方向に揺動する接地部材を簡単に形成することができる。
【0021】
また、本発明の第4の構成によれば、上記第1乃至第3のいずれかの構成のユニットの接地構造において、ユニットの上面には画像形成装置本体若しくは他のユニットの下面に付設されたコネクターに接続されるコネクター接続部が突設され、画像形成装置本体若しくは他のユニットの分離動作によりコネクターとコネクター接続部とが導通状態から導通が遮断された状態に切り換わるまでの間、フレームと接触部との接触状態が維持されることにより、電源をオン状態としたままで画像形成装置本体若しくは他のユニットを分離してもユニットの基板の破損を確実に防止することができる。
【0022】
また、本発明の第5の構成によれば、上記第4の構成のユニットの接地構造において、接地部材は、接触部がコネクター接続部に隣接してユニットの上面から突出するように配置されており、接触部の上端部を、コネクター接続部の上端部よりも低い位置とすることにより、接触部が外力による変形を受けにくい構造となる。
【0023】
また、本発明の第6の構成によれば、上記第1乃至第5のいずれかの構成のユニットの接地構造を備えることにより、画像形成装置本体若しくは他のユニットを着脱する際にフレームと接地部材との位置関係がずれた場合でも、ユニットの基板とフレームとの電気的な導通を維持して基板の破損を防止できる着脱式ユニットとなる。
【0024】
また、本発明の第7の構成によれば、上記第6の構成の着脱式ユニットがオプションフィーダーである場合、オプションフィーダーの基板の破損を防止するとともに、オプションフィーダー内に積載される記録媒体の帯電も抑制できる着脱式ユニットとなる。
【0025】
また、本発明の第8の構成によれば、上記第6又は第7の構成の着脱式ユニットが連結されることにより、ユニットの接地不良による基板の破損を防止するとともに、ユニットがオプションフィーダーである場合は記録媒体の帯電による画像不良も発生し難い画像形成装置となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明のオプションフィーダー30が連結される画像形成装置の内部構造を示す側面断面図
【図2】本発明のオプションフィーダー30の側面断面図
【図3】本発明のオプションフィーダー30の外観斜視図
【図4】オプションフィーダー30のコネクター接続部51周辺の部分拡大図
【図5】オプションフィーダー30に取り付けられる接地部材53の斜視図
【図6】接地部材53の接触部53a周辺の部分拡大図
【図7】オプションフィーダー30に対しカラープリンター100を正規の位置に連結した状態を示すコネクター接続部51付近の断面図
【図8】オプションフィーダー30に対しカラープリンター100がコネクター接続部51方向にずれた状態を示すコネクター接続部51付近の断面図
【図9】コネクター50とコネクター接続部51との導通が遮断された状態を示すコネクター接続部51付近の断面図
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。先ず、本発明のオプションフィーダーが連結される画像形成装置の構成及び動作について説明する。図1は、画像形成装置の内部構造を示す側面断面図である。なお、図1においては、オプションフィーダー30(図2参照)は記載を省略している。カラープリンター100では、画像形成動作を行う場合、装置本体内において、図1において反時計回りに回転する感光体ドラム1が帯電ユニット2により一様に帯電され、図示しないパーソナルコンピューター等から送信された原稿画像データに基づく露光ユニット3からのレーザービームにより感光体ドラム1上に静電潜像が形成される。
【0028】
現像剤(以下、トナーという)を感光体ドラム1上に供給するロータリー式の現像ユニット4は、現像装置とトナー容器が一体化されたシアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの各色の現像カートリッジ4a、4b、4c及び4dを備えており、現像カートリッジ4a〜4dを感光体ドラム1に対向する位置に順次回転移動させることにより、感光体ドラム1上の静電潜像にトナーが付着されて各色のトナー像が形成される。現像カートリッジ4a〜4dへのトナー補給はトナーカートリッジ5から行われる。トナーカートリッジ5は図1の紙面と垂直な方向に各色に対応して4基並べて配置されている。また、トナーカートリッジ5から現像カートリッジ4a〜4dへのトナー補給装置は図1において図示を省略している。
【0029】
トナー像が一次転写される中間転写ベルト6は、感光体ドラム1に当接しながら図示しない駆動手段により図1において時計回りに回転する。中間転写ベルト6には誘電体樹脂製のシートが用いられ、主に継ぎ目を有しない(シームレス)ベルトが用いられる。
【0030】
ユーザーにより印字命令が入力されると、所定のタイミングにより感光体ドラム1上にシアンのトナー像の形成を行う。そして、中間転写ベルト6に所定の転写電圧で電界が付与された後、一次転写ローラー7aにより感光体ドラム1上のシアンのトナー像が中間転写ベルト6上に転写される。その後、感光体ドラム1の表面に残留したトナーがクリーニングユニット8により除去され、現像ユニット4は所定量回転して、上記と同様に今度はマゼンタのトナー像が感光体ドラム1上に形成され、中間転写ベルト6上に転写される。
【0031】
以下、上述と同様の方法により、感光体ドラム1によってそれぞれイエロー及びブラックのトナー像が中間転写ベルト6上に転写される。これらの4色の画像は、所定のフルカラー画像形成のために予め定められた所定の位置関係をもって形成される。
【0032】
上記のようにトナー像が形成された中間転写ベルト6に向けて、給紙カセット9aと、その上方に設けられる手差しトレイ(スタックバイパス)9bとから成る給紙機構9より用紙が給紙ローラー10及びレジストローラー対11を経由して搬送され、中間転写ベルト6の下部に位置する二次転写ローラー7bにより中間転写ベルト6の表面に形成されたトナー像が用紙に転写される。また、オプションフィーダー30(図2参照)から給送される用紙が通過する用紙搬送路21が給紙カセット9aの前面部を上下に貫通するように設けられており、オプションフィーダー30を使用する場合は用紙搬送路21から給紙ローラー10及びレジストローラー対11を経由して二次転写ローラー7bに用紙が搬送される。
【0033】
そして、トナー像が転写された用紙は用紙搬送路12に沿って定着ローラー対13aを有する定着部13に搬送され、用紙にトナー像が定着される。定着部13を通過した用紙は、複数方向に分岐した分岐部14によって搬送方向が振り分けられる。用紙の片面のみに画像を形成する場合は、そのまま用紙搬送路15及び用紙排出部16を介して排出トレイ17上に排出される。
【0034】
一方、用紙の両面に画像を形成する場合は、定着部13を通過した用紙は用紙搬送路15内のフィードローラー18により搬送方向を下方向に切り換えられた後、分岐部14において画像面を上向きにして反転搬送路19へ振り分けられ、さらに反転ローラー20及びレジストローラー対11を経由して画像面が下向きの状態で二次転写ローラー7bに再搬送される。中間転写ベルト6上に形成された次の画像が、二次転写ローラー7bにより用紙の画像が形成されていない面に転写され、定着部13に搬送されてトナー像が用紙に定着された後、用紙排出部16より排出トレイ17上に排出される。
【0035】
次に、本発明の接地構造を備えたオプションフィーダーの構成及び動作について説明する。図2は、本発明の一実施形態に係るオプションフィーダーの側面断面図であり、図3は、オプションフィーダーを上方から見た外観斜視図である。オプションフィーダー30は、カラープリンター100へ用紙を給送する給紙部31を備えており、ユーザーの使用する用紙サイズに応じてカラープリンター100の下方に着脱可能に構成されている。
【0036】
給紙部31内には用紙を収容する用紙カセット37が配置されている。用紙カセット37には、通常、カラープリンター100の本体ハウジング内に設けられた給紙カセット9a(図1参照)とはサイズの異なる用紙(記録媒体)が収納される。用紙カセット37はオプションフィーダー30本体に対し挿入及び引き出し可能となっている。
【0037】
用紙カセット37内には複数枚の用紙が積載される用紙積載板39、用紙積載板39を昇降させるリフト板40、給紙ユニット41が配置されている。給紙ユニット41は、ピックアップローラー43、給紙ローラー対45を備え、用紙積載板39上の用紙を分離して給送する。用紙積載板39に複数枚の用紙をセットした後、パーソナルコンピューター等の上位機器からカラープリンター100に印字命令が入力されると、リフト板40が用紙積載板39及び用紙を介してピックアップローラー43を押し上げ、ピックアップローラー43を含む給紙ユニット41の重さが用紙に加わることにより、用紙の上面が所定の圧力(給紙圧)でピックアップローラー43に押しつけられる。
【0038】
次に、ローラー駆動モーター(図示せず)によりピックアップローラー43及び給紙ローラー対45が回転駆動される。用紙積載板39にセットされた用紙は、ピックアップローラー43によって通常上段の複数枚が給紙ローラー対45のニップ部に送られる。そして、給紙ローラー対45により最上の1枚のみが分離され、搬送ローラー46を介して用紙搬送路21(図1参照)に向けて搬送される。
【0039】
図2及び図3に示すように、オプションフィーダー30の上面には、オプションフィーダー30とカラープリンター100(図1参照)の水平方向の位置決めを行う位置決めピン35と、カラープリンター100からの制御信号を伝達するケーブルのコネクター50(図7参照)が接続されるコネクター接続部51とが突設されている。また、コネクター接続部51に隣接して接地部材53(図5参照)の接触部53aが突出している。
【0040】
図4は、図3におけるコネクター接続部51付近(図3の破線円内)の部分拡大図であり、図5は、接地部材53の外観斜視図、図6は、図5における接地部材53の接触部53a周辺の部分拡大図である。接地部材53は、金属製のばね線材を折り曲げて一体形成されており、接触部53aと、一対の支持部53bと、一対の連結部53cとを含む構成である。
【0041】
接触部53aは、カラープリンター100の本体フレーム101(図7参照)に接触する逆U字状の部分であり、ばね線材が撓むことにより、水平方向(図6の矢印X方向)に揺動可能である。接触部53aには本体フレーム101方向に屈曲する接点55が形成されている。
【0042】
支持部53bは、オプションフィーダー30の上面に形成された凹部30a内に支持されるU字状の部分であり、U字状の両端部が接近または離間することで接触部53aの揺動方向(図6の矢印X方向)と直交する水平方向(図6の矢印Z方向)に弾性変形可能である。なお、図6では凹部30aへの取り付け性を優先して、U字状の両端部が略平行となるようにばね線材を180°湾曲させて支持部53bを形成しているが、ばね線材の湾曲角度を180°よりも小さくすれば、支持部53bの水平方向(矢印Z方向)への変形が容易となる。また、凹部30aには接地部材53をオプションフィーダー30の上面に固定するストッパー57が嵌め込まれている。
【0043】
支持部53bの一方は凹部30aに連続してオプションフィーダー30の上面に形成される溝部30bに沿ってL字状に延在し、末端部53dが板金部材52(図3参照)に接続されている。また、板金部材52は基板54(図3参照)及び用紙カセット37(図2参照)と電気的に導通されている。即ち、接地部材53は板金部材52を介して基板54及び用紙カセット37と電気的に導通されている。基板54は、ローラー駆動モーター、クラッチ、各種センサー等の、オプションフィーダー30を構成する各部材、機構の制御等を実行するプリント基板であり、コネクター50、コネクター接続部51を介してカラープリンター100の制御部との間で制御信号が送受信される。
【0044】
連結部53cは、支持部53bと接触部53aとを連結する部分であり、一対の支持部53bの内側にそれぞれ対向するように斜め上方に延びて接触部53aに繋がっている。そして、連結部53cが垂直方向(図6の矢印Y方向)に撓むことにより、接触部53aも垂直方向に揺動可能となっている。なお、X、Y、Zの各方向の正負の向きは、ここでは問わない。このように、ばね線材を折り曲げて形成される接地部材53を用いることで、安価な構成とすることができる。
【0045】
図4に示すように、接地部材53の接触部53aはオプションフィーダー30の上面から突出するようにコネクター接続部51に隣接して配置されている。また、接触部53aの上端部はコネクター接続部51の上端部よりも低い位置にある。この構成により、コネクター接続部51が接触部53aを保護する機能も有し、接触部53aが外力による変形を受けにくい構造となっている。
【0046】
図7は、オプションフィーダー30に対しカラープリンター100を正規の位置に連結した状態でのコネクター接続部51付近の断面図、図8は、オプションフィーダー30に対しカラープリンター100がコネクター接続部51側にずれた状態でのコネクター接続部51付近の断面図である。なお、図7及び図8は、図4の矢印AA′方向から見た断面を示している。
【0047】
オプションフィーダー30の上面に突設された位置決めピン35(図3参照)をカラープリンター100の裏面に形成された位置決め孔(図示せず)に合わせてカラープリンター100を重ねることにより、カラープリンター100側のコネクター50がオプションフィーダー30側のコネクター接続部51に接続され、オプションフィーダー30がカラープリンター100の下部に連結される。
【0048】
そして、接地部材53の接触部53aが水平方向(図6の矢印X方向)に撓み、図7に示すように、カラープリンター100の本体フレーム101の側面101aに接触部53aの接点55が接触(係合)することにより、オプションフィーダー30内の用紙カセット37及び基板54と本体フレーム101とが接地部材53を介して電気的に導通される。これにより、給紙時の摩擦によって用紙カセット37内の用紙に蓄積された電荷は接地部材53を通って本体フレーム101に流れるため、帯電した用紙がカラープリンター100に給送されることによる画像不良の発生を防止することができる。
【0049】
また、図8に示すように、オプションフィーダー30に対しカラープリンター100を連結または分離する際、オプションフィーダー30に対しカラープリンター100がコネクター接続部51方向(図8の右方向)にずれることがある。その場合、本体フレーム101の下端部101bが接触部53aの上方に重なることとなるが、接地部材53の連結部53cが垂直方向(図6の矢印Y方向)に撓むことにより、接触部53aも上下方向に揺動する。
【0050】
これにより、カラープリンター100がコネクター接続部51方向にずれた場合でも、本体フレーム101の下端部101bと接触部53aの上端とが接触することによりオプションフィーダー30と本体フレーム101との導通状態が維持される。また、接地部材53の変形や破損も防止することができる。
【0051】
さらに、オプションフィーダー30に対しカラープリンター100が水平方向に回転しながら連結または分離される場合は、本体フレーム101の側面101aが接触部53aに斜め方向から接触することとなる。しかし、接地部材53の支持部53bが水平方向(図6のZ方向)に撓むことにより、接触部53aも本体フレーム101の側面101aに追従して図6のZ方向に弾性変形する。
【0052】
即ち、オプションフィーダー30に対しカラープリンター100がねじれの位置にずれた場合でも、接触部53aが本体フレーム101のずれに追従してX方向、Y方向、及びZ方向に揺動する。従って、オプションフィーダー30に対しカラープリンター100を着脱する際のカラープリンター100の姿勢に係わらず、本体フレーム101と接地部材53との導通状態を確実に維持することができる。
【0053】
また、本実施形態では、コネクター接続部51に対する接触部53aの高さ(突出量)を調整することで、図7または図8の状態からカラープリンター100本体を持ち上げてオプションフィーダー30から分離する際、図9に示すように、コネクター50とコネクター接続部51とが所定距離だけ離間して導通が遮断された状態になっても、本体フレーム101と接触部53aとの接触状態が維持されるようにしている。
【0054】
これにより、コネクター50とコネクター接続部51とが導通状態から導通が遮断された状態に切り換わるまでの間、接地部材53を介して本体フレーム101と基板54との導通が維持される。従って、カラープリンター100の電源をオン状態としたままでオプションフィーダー30から分離しても接地部材53により基板54に蓄積された電流を逃がすことができ、オプションフィーダー30内の基板54を破損するおそれがなくなる。
【0055】
その他、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態ではオプションフィーダー30が連結される本発明の画像形成装置としてカラープリンター100を例に挙げて説明したが、図1に示したようなカラープリンター100に限らず、モノクロプリンター、カラー及びモノクロ複写機等の、種々の画像形成装置に連結されるオプションフィーダー30とすることができる。
【0056】
また、本発明の接地構造は、オプションフィーダー30と画像形成装置本体との接地に限らず、画像形成装置の下方に連結される種々の着脱式ユニットと画像形成装置本体との接地、或いは上下方向に連結される着脱式ユニット同士の接地に用いることができる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、オプションフィーダー等の着脱式ユニットが連結される画像形成装置に利用可能である。本発明の利用により、着脱式ユニットと画像形成装置本体若しくは他のユニットとを確実に接地することができ、不用意な分離によるユニット基板の破損を防止するとともに着脱式ユニットの分離時における作業性も向上する。
【符号の説明】
【0058】
30 オプションフィーダー(着脱式ユニット)
31 給紙部
33 収納部
39 用紙積載板(記録媒体積載板)
41 分離搬送ユニット(分離搬送機構)
50 コネクター
51 コネクター接続部
53 接地部材
53a 接触部
53b 支持部
53c 連結部
54 基板
55 接点
100 カラープリンター(画像形成装置)
101 本体フレーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置本体若しくは他のユニットの下方に連結される着脱式のユニットの接地構造であって、
前記画像形成装置本体若しくは前記他のユニットのフレームに接触する水平方向に弾性変形可能な接触部と、前記ユニット内の基板と電気的に導通される支持部と、該支持部と前記接触部とを連結する連結部と、が金属製のばね線材を折り曲げて一体形成された接地部材を有し、
前記接触部は、前記連結部の弾性変形により垂直方向に揺動可能であることを特徴とするユニットの接地構造。
【請求項2】
前記接触部が弾性変形する水平方向をX方向、垂直方向をY方向とするとき、前記支持部は、X方向及びY方向に垂直なZ方向に弾性変形可能であることを特徴とする請求項1に記載のユニットの接地構造。
【請求項3】
前記接地部材は、U字状に折り曲げ形成された一対の前記支持部と、一対の前記支持部の内側にそれぞれ対向するように斜め上方に延びる一対の前記連結部と、一対の前記連結部の間に上方に向けて逆U字状に延び、前記フレームの側面方向に屈曲する接点が形成された前記接触部と、を有することを特徴とする請求項2に記載のユニットの接地構造。
【請求項4】
前記ユニットの上面には前記画像形成装置本体若しくは前記他のユニットの下面に付設されたコネクターに接続されるコネクター接続部が突設され、前記接触部は、前記画像形成装置本体若しくは前記他のユニットの分離動作により前記コネクターと前記コネクター接続部とが導通状態から導通が遮断された状態に切り換わるまでの間、前記フレームとの接触状態を維持していることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のユニットの接地構造。
【請求項5】
前記接触部は、前記コネクター接続部に隣接して前記ユニットの上面から突出するように配置されており、前記接触部の上端部は、前記コネクター接続部の上端部よりも低い位置にあることを特徴とする請求項4に記載のユニットの接地構造。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の接地構造を備えた着脱式ユニット。
【請求項7】
記録媒体を積載する記録媒体積載板と、該記録媒体積載板に積載された記録媒体を1枚ずつ分離して前記画像形成装置本体へ搬送する分離搬送機構と、を有するオプションフィーダーであり、前記接地部材が前記記録媒体積載板に積載された記録媒体と電気的に導通することを特徴とする請求項6に記載の着脱式ユニット。
【請求項8】
請求項6又は請求項7に記載の着脱式ユニットが連結される画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−15757(P2013−15757A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−149998(P2011−149998)
【出願日】平成23年7月6日(2011.7.6)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】