説明

接地開閉装置

【課題】適切な位置での消弧動作を行い投入時に投入速度を速くする接地開閉装置を提供する。
【解決手段】絶縁ガスが充填された容器1と、容器1内に固定された固定接触子10と、固定接触子10と接離する可動接触子20と、可動接触子20を駆動させる操作レバー9と、可動接触子20の外径側に配設されたパッファシリンダ2と、パッファシリンダ2と共にパッファ形消弧室5を形成するとともに可動接触子20と固定接触子10との開離間隙からパッファ形消弧室5内に絶縁ガスを吸い込む及び吹き出すパッファ動作をするパッファピストンとを備え、固定接触子10側の所定の領域でパッファ形消弧室5を開放して圧力を放圧しパッファ動作が働かないようにする開放構造を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、高速型のバッファ式接地開閉装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、パッファ式開閉装置において、駆動する際の操作エネルギーを低減させる目的で、ガイドシリンダの操作レバー側にスリットを設ける提案がされている。このスリットは、ガイドシリンダの操作レバー側の端部からピストンの摺動する範囲の途中まで延びた構成とされている。開閉装置の開極時に可動接触子が所定の位置まで後退すると、ガイドシリンダ内の絶縁ガスがスリットから放出されガイドシリンダ内の圧力は周囲と同じになる。これにより、開極動作の後半において操作エネルギーが低減される(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平05−114337号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば1000KV系統のような超高圧送電線路において、地絡事故時のルート断事故を防止するため、送電線の両端に設置し、地絡電流遮断時の2次アーク電流を強制的に消滅させて高速再閉路を可能とする高速型のバッファ式接地開閉装置がある。
【0005】
上記背景技術に記載の技術においては、開極動作時の後半に操作エネルギーが低減されるが、投入動作時後半には操作エネルギーは低減されず負荷がかかったままである。上記のような高速型のバッファ式接地開閉装置においては、開極動作時の電流遮断性能も重要であるが、投入動作時の短絡投入性能の責務を満足することがさらに重要となる。つまり、投入動作時の適切な位置での消弧能力、及び投入スピードの速さが要求される。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、投入動作時及び開極動作時に適切な位置での消弧動作を行うとともに、投入時に投入速度を速くすることができる接地開閉装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の接地開閉装置は、絶縁ガスが充填された容器と、容器内に固定された固定接触子と、固定接触子方向に進退動可能に設けられ固定接触子と接離する可動接触子と、可動接触子の固定接触子からの切り離し方向側端部に連結され可動接触子を駆動させる操作レバーと、可動接触子の外径側に同軸に配設されたパッファシリンダと、可動接触子と一体に設けられパッファシリンダと共にパッファ形消弧室を形成するとともに、パッファシリンダの内壁面を軸方向に摺動して、可動接触子と固定接触子との開離間隙からパッファ形消弧室内に絶縁ガスを吸い込む、及びパッファ形消弧室の絶縁ガスを可動接触子と固定接触子との開離間隙に吹き出すパッファ動作をするパッファピストンとを備えた接地開閉装置において、可動接触子の全ストロークのうち固定接触子側の所定の領域でパッファ形消弧室を開放してパッファ形消弧室の圧力を放圧しパッファ動作が働かないようにする開放構造を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、可動接触子の全ストロークのうち固定接触子側の所定の領域でパッファ形消弧室を開放してパッファ形消弧室の圧力を放圧しパッファ動作が働かないようにする開放構造を備えているので、投入動作時及び開極動作時に適切な位置での消弧動作を行うとともに、投入動作時後半の操作エネルギーが低減されて投入時に投入速度を速くすることができる、という効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に、本発明にかかる接地開閉装置の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0010】
実施の形態1.
図1はこの発明の接地開閉装置の実施の形態1であるパッファ式接地開閉装置の投入時前半の動作を示す横断面図である。図2はパッファ式接地開閉装置の投入時後半の動作の様子を示す横断面図である。図3はパッファ式接地開閉装置の開放時前半の動作の様子を示す横断面図である。図4はパッファ式接地開閉装置の開放時後半の動作の様子を示す横断面図である。パッファ式接地開閉装置101は、六フッ化硫黄ガスなどの絶縁ガスが高圧で充填された容器1と、容器1内に固定された固定接触子10と、容器1内で固定接触子10方向に進退動可能に配設されて固定接触子10と接離する可動接触子20とを有している。
【0011】
固定接触子10は、図示しない主回路導体に接続された固定側電極11と、この固定側電極11の先端に設けられた固定側コンタクト12とから構成されている。固定側コンタクト12は、電界緩和のための固定側シールド13で覆われている。
【0012】
可動接触子20は、概略細径筒状を成して可動接触子20方向に延びる可動側電極21と、この可動側電極21の周囲に配設されて可動側電極21と電気的に接触して集電する可動側コンタクト22とから構成されている。可動側コンタクト22は、図示しない接地導体を介して接地されている。可動側コンタクト22は、電界緩和のための可動側シールド23により覆われている。
【0013】
可動接触子20の外径側に概略有底円筒状のパッファシリンダ2が同軸に配設されている。パッファシリンダ2の内部には、パッファピストン3が摺動可能に設けられている。パッファピストン3の外周部には例えばテフロン(登録商標)スリーブなどのシール部材4が設けられており、パッファシリンダ2との間で気密が保たれている。パッファシリンダ2とパッファピストン3とは、パッファ形消弧室5を形成している。
【0014】
可動側電極21の一端は、このパッファピストン3に固定されている。可動側電極21のパッファピストン3側端部には通気孔21aが形成されている。一方、可動側電極21の他端は、パッファシリンダ2の固定接触子側端面2aに形成されたシリンダ開口2bから突出して固定接触子10方向に延びている。可動側コンタクト22及び可動シールド23は、パッファシリンダ2の固定接触子側端面2aに取り付けられている。可動側電極21は、シリンダ開口2bの内周部と可動側シールド23先端の内周部に設けられたテフロン(登録商標)スリーブなどのシール部材により、気密に且つ摺動可能に支持されている。
【0015】
パッファピストン3の可動接触子20の反対側にリンク8を介して操作レバー9が連結されている。操作レバー9には、図示しない油圧操作シリンダが接続されており、この油圧操作シリンダの動作により、一体構造のパッファピストン3と可動側電極21とをパッファシリンダ2の軸に沿って移動させる。
【0016】
本実施の形態においては、パッファシリンダ2の固定接触子10側の直径D1が、操作レバー9側の直径D2より大きくされている。このように形成されたパッファシリンダ2の外径段部形状は、可動接触子20(可動側電極21)の全ストロークのうち固定接触子10側の所定の領域でパッファ形消弧室5を開放して、パッファ形消弧室5の圧力を放圧する開放構造を構成している。開放構造は、可動接触子20(可動側電極21)の全ストロークのうち、所定の領域でパッファ形消弧室5を開放して放圧する。この所定の領域とは、可動接触子20(可動側電極21)の全ストロークのうち、固定接触子10と可動接触子20との接離動作によりアークが発生する領域より固定接触子10側の領域である。
【0017】
次に動作について説明する。まず、パッファ式接地開閉装置101の接地動作に関して説明する。送電線路で地絡事故が発生すると、まず送電線路両端の線路用遮断器を開極し事故電流を遮断する。次いで、パッファ式接地開閉装置101に投入指令が出されると、図示しない油圧操作シリンダが作動し、図1に示すように、操作レバー9が図中矢印のように反時計方向に回転してパッファピストン3と可動接触子20(可動側電極21)とを矢印A方向に移動させる。そして、図2に示すように、可動接触子20(可動側電極21)と固定接触子10(固定側コンタクト12)とが接触して投入状態となる。
【0018】
これにより、事故誘導電流は、図示しない主回路導体から固定側電極11−固定側コンタクト12−可動側電極21−可動側コンタクト22−図示しない接地導体の順に流れて大地に転流される。投入動作完了の後、油圧操作シリンダが作動し、図3に示すように、操作レバー9が図中矢印のように時計方向に回転してパッファピストン3を矢印C方向に移動させる。これにより、図4に示すように、可動側電極21と固定側コンタクト12とが離間して開極状態に復帰する。
【0019】
次ぎに、投入動作時の消弧動作について説明する。図1に示すように、操作レバー9が図中矢印のように反時計方向に回転してパッファピストン3を矢印A方向に移動させると、パッファ形消弧室5内の圧力が高くなり、パッファ形消弧室5内の絶縁ガスは、通気孔21aから吸い込まれて可動側電極21の内部を通過した後、可動側電極21の先端から吹き出す。可動側電極21の先端から吹き出した絶縁ガスは、可動側電極21と固定側コンタクト12との間の高温となって消弧能力の低下している図中Sに示す領域に吹き出され、この領域に発生するアークを消弧する。この可動側電極21と固定側コンタクト12との間に発生するアークは、投入動作時には、可動側電極21のストロークのうち、先端が図中Bに示す領域を移動しているときに図中Sに示す領域に発生するので、アークは可動側電極21の先端から吹き出す絶縁ガスによって効果的に消弧される。
【0020】
パッファピストン3が図中矢印A方向にさらに移動してパッファシリンダ2の外径段部形状の位置を通過すると、パッファ形消弧室5内の絶縁ガスが、図2に示すように、パッファピストン3の周囲を迂回して操作レバー9側に逃げる。これにより、パッファ形消弧室5内の圧力が周囲と同じになり、すなわち放圧されて、その後パッファ形消弧室5内の圧力は高められない。そのため、パッファピストン3にかかる操作エネルギーは小さく、可動側電極21は、速いスピードで固定接触子10側に移動する。すなわち、高速に投入動作が行われ、投入時の短絡投入性能が向上する。
【0021】
次ぎに、開極動作時の消弧動作について説明する。図3に示すように、操作レバー9が図中矢印のように時計方向に回転してパッファピストン3を矢印C方向に移動させると、パッファ形消弧室5内の絶縁ガスは、図3に示すように、パッファピストン3の周囲を迂回して操作レバー9側に逃げる(放圧される)ので、パッファピストン3にかかる操作エネルギーは小さくなり、可動側電極21は、速いスピードで操作レバー9側に移動する。
【0022】
パッファピストン3が図中矢印C方向にさらに移動してパッファシリンダ2の外径段部形状の位置を通過すると、パッファ形消弧室5内部が負圧となり、可動側電極21と固定側コンタクト12との間の絶縁ガスは、可動側電極21の先端から吸い込まれて、パッファ形消弧室5内に移動する。可動側電極21の先端から吸い込まれる絶縁ガスは、可動側電極21と固定側コンタクト12との間の高温となって消弧能力の低下している図中Sに示す領域から吸い込まれ、この領域に発生するアークを消弧する。この可動側電極21と固定側コンタクト12との間に発生するアークは、開極動作時には、可動側電極21のストロークのうち、先端が図中Eに示す領域を移動しているときに図中Sに示す領域に発生するので、アークは可動側電極21の先端から吸い込まれる絶縁ガスによって効果的に消弧される。
【0023】
実施の形態2.
図5はこの発明の接地開閉装置の実施の形態2であるパッファ式接地開閉装置の完全切離時の様子を示す横断面図である。図6はこの発明の接地開閉装置の実施の形態2であるパッファ式接地開閉装置の完全投入時の様子を示す横断面図である。図7は図6のF−F線に沿う矢視断面図である。図8は図6のG−G線に沿う矢視断面図である。なお、図5及び図6において容器は省略されている。
【0024】
本実施の形態のパッファ式接地開閉装置102においては、開放構造が、パッファシリンダ2内に収納されたコイルバネ31と、このコイルバネ31及びパッファピストン3に設けられた弁構造とにより構成されている。コイルバネ31は螺旋状を成し一端がパッファシリンダ2の操作レバー9側端に固定されている。コイルバネ31の他端に弁体32が固定されている。弁体32は円板状を成し2つの貫通孔32aが軸線を挟んで対向した位置に穿孔されている(図8)。一方、パッファピストン3にも2つの貫通孔3aが軸線を挟んで対向した位置に穿孔されている(図7)。貫通孔32aと貫通孔3aとは円周方向に90度離れて形成されている。
【0025】
そして、図5に示すように弁体32とパッファピストン3とが密着しているときは、貫通孔32aと貫通孔3aは、弁体32とパッファピストン3の主面で密閉されて絶縁ガスを流通させない。一方、図6に示すようにパッファピストン3が弁体32から離れると、貫通孔32aと貫通孔3aは、双方ともに開き絶縁ガスを流通させる。つまり、弁体32と貫通孔3aとは、パッファピストン3に接触しているときは閉塞状態となりパッファピストン3から離間したときに開放状態となる弁構造を構成している。
【0026】
上記構造により、可動側電極21の全ストロークのうち、コイルバネ31が押し縮められている領域では、パッファ形消弧室5内の圧力が高圧或いは負圧にされてパッファ機能が働き、一方、コイルバネ31が伸びきり、パッファピストン3が弁体32から離れたのちは、パッファ形消弧室5が開放されてパッファ形消弧室5内の圧力は周囲と同じになるのでパッファ機能が働かなくなる。
【0027】
本実施の形態のパッファ式接地開閉装置102においては、実施の形態1のものと同様の効果が得られるとともに、投入動作時にパッファピストン3がコイルバネ31により固定接触子10側に付勢されるので、可動側電極21は、さらに速いスピードで固定接触子10側に移動し、さらに高速な投入動作が行われるので、投入時の短絡投入性能がさらに向上する。
【0028】
実施の形態3.
図9はこの発明の接地開閉装置の実施の形態3であるパッファ式接地開閉装置の完全投入時の様子を示す横断面図である。なお、図9において容器は省略されている。本実施の形態のパッファ式接地開閉装置103においては、開放構造が、可動側電極21のパッファシリンダ端面2aを貫通する部分のうち、所定の領域の部分が直径を小さくされることにより構成されている。その他の構成は実施の形態1と同様である。
【0029】
可動側電極21は、実施の形態1と同じように、一端をパッファピストン3に固定され他端をパッファシリンダ2の固定接触子側端面2aに形成されたシリンダ開口2bから突出させる筒状を成し、パッファピストン3側端部に形成された通気孔21aを介して、固定接触子10側の先端から絶縁ガスを吸い込む及び絶縁ガスを吹き出す構造を成している。そして、パッファ形消弧室5を開放する開放構造として、可動側電極21のパッファピストン3側端から固定接触子10方向に所定の長さの部分が直径を小さくされて小径部21cが形成されている。
【0030】
小径部21cが、シリンダ開口2bの位置にさしかかると、パッファ形消弧室5内の絶縁ガスが、小径部21cとシリンダ開口2bとの隙間から可動コンタクト22側に逃げる。なお、本実施の形態においては、絶縁ガスを逃がすために可動側シールド23と可動側電極21との間をシールするシール部材は設けられてない。このような構成により、可動側電極21の全ストロークのうち、小径部21cが設けられてない領域では、パッファ形消弧室5内の圧力が高圧或いは負圧にされてパッファ機能が働き、一方、小径部21cが設けられた領域では、パッファ形消弧室5が開放されてパッファ形消弧室5内の圧力は周囲と同じになるのでパッファ機能が働かなくなる。
【0031】
本実施の形態のパッファ式接地開閉装置103においては、実施の形態1のものと同様の効果が得られるとともに、開放構造が可動側電極21の直径を一部小さくするという簡単な構造にて実現されているのでコストダウンを図ることができる。
【0032】
実施の形態4.
図10はこの発明の接地開閉装置の実施の形態4であるパッファ式接地開閉装置の完全切離時の様子を示す横断面図である。図11はこの発明の接地開閉装置の実施の形態4であるパッファ式接地開閉装置の完全投入時の様子を示す横断面図である。なお、図10及び図11において容器は省略されている。本実施の形態のパッファ式接地開閉装置104においては、開放構造が、可動側電極21の通気孔21aより固定接触子10側に形成された第2の通気孔21bにより構成されている。その他の構成は実施の形態1と同様である。
【0033】
可動側電極21は、実施の形態1と同じように、一端をパッファピストン3に固定され他端をパッファシリンダ2の固定接触子側端面2aに形成されたシリンダ開口2bから突出させる筒状を成し、パッファピストン3側端部に形成された通気孔21aを介して、固定接触子10側の先端から絶縁ガスを吸い込む及び絶縁ガスを吹き出す構造を成している。そして、パッファ形消弧室5を開放する開放構造として、可動側電極21の通気孔21aより固定接触子10側に所定距離離れた位置に第2の通気孔21bが形成されている。
【0034】
第2の通気孔21bが、シリンダ開口2bより固定接触子10側の位置に達すると、パッファ形消弧室5内の絶縁ガスは、通気孔21a、可動側電極21内部、第2の通気孔21bの順で移動して可動側コンタクト22側に逃げる。なお、本実施の形態においては、絶縁ガスを逃がすために可動側シールド23と可動側電極21との間をシールするシール部材は設けられてない。このような構成により、可動側電極21の全ストロークのうち、第2の通気孔21bがシリンダ開口2bより操作レバー9側にある領域では、パッファ形消弧室5内の圧力が高圧或いは負圧にされてパッファ機能が働き(図11)、一方、第2の通気孔21bがシリンダ開口2bより固定接触子10側にある領域では、パッファ形消弧室5が開放されてパッファ形消弧室5内の圧力は周囲と同じになるのでパッファ機能が働かなくなる(図10)。
【0035】
本実施の形態のパッファ式接地開閉装置104においては、実施の形態1のものと同様の効果が得られるとともに、開放構造が可動側電極21に第2の通気孔21bを形成するという簡単な構造にて実現されているので、コストダウンを図ることができる。
【0036】
実施の形態5.
図12はこの発明の接地開閉装置の実施の形態5であるパッファ式接地開閉装置の投入時前半の動作を示す横断面図である。なお、図12において容器は省略されている。本実施の形態のパッファ式接地開閉装置104においては、実施の形態1と同様のパッファシリンダ2の外径段部形状による開放構造に加えて、第2の開放構造がさらに設けられている。第2の開放構造は、パッファシリンダ2の操作レバー9側が可動側電極21のストロークより短くされて構成されている。図12中点線で示す部分が第2の開放構造を形成するために削除された部分である。パッファシリンダ2が削除された部分においてはパッファ機能が働かない。
【0037】
第2の開放構造は、可動側電極21の全ストロークのうち、固定接触子10と可動接触子20との接離動作によりアークが発生する領域より操作レバー9側の領域でパッファ形消弧室5を開放する(図1の領域B、図4の領域E参照)。すなわち、アークが発生する領域の固定接触子10側及び操作レバー9側の両側にパッファ機能が働かない領域が設けられている。そのため、効果的に消弧を行うことができるとともに、さらに高速に投入動作を行うことができ、投入時の短絡投入性能がさらに向上する。
【0038】
なお、本実施の形態においては、実施の形態1のパッファシリンダ2の外径段部形状による開放構造に加えて、第2の開放構造が設けられているが、これに限らず、第2の開放構造は、実施の形態2から4のいずれかの開放構造と組み合わされてよい。
【産業上の利用可能性】
【0039】
以上のように、本発明にかかる接地開閉装置は、バッファ式接地開閉装置に有用であり、特に高速型のバッファ式接地開閉装置に適している。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】この発明の接地開閉装置の実施の形態1であるパッファ式接地開閉装置の投入時前半の動作を示す横断面図である。
【図2】実施の形態1のパッファ式接地開閉装置の投入時後半の動作の様子を示す横断面図である。
【図3】実施の形態1のパッファ式接地開閉装置の開放時前半の動作の様子を示す横断面図である。
【図4】実施の形態1のパッファ式接地開閉装置の開放時後半の動作の様子を示す横断面図である。
【図5】この発明の接地開閉装置の実施の形態2であるパッファ式接地開閉装置の完全切離時の様子を示す横断面図である。
【図6】実施の形態2のパッファ式接地開閉装置の完全投入時の様子を示す横断面図である。
【図7】図6のF−F線に沿う矢視断面図である。
【図8】図6のG−G線に沿う矢視断面図である。
【図9】この発明の接地開閉装置の実施の形態3であるパッファ式接地開閉装置の完全投入時の様子を示す横断面図である。
【図10】この発明の接地開閉装置の実施の形態4であるパッファ式接地開閉装置の完全切離時の様子を示す横断面図である。
【図11】実施の形態4のパッファ式接地開閉装置の完全投入時の様子を示す横断面図である。
【図12】この発明の接地開閉装置の実施の形態5であるパッファ式接地開閉装置の投入時前半の動作を示す横断面図である。
【符号の説明】
【0041】
1 容器
2 パッファシリンダ
3 パッファピストン
4 シール部材
5 パッファ形消弧室
8 リンク
9 操作レバー
10 固定接触子
11 固定側電極
12 固定側コンタクト
13 固定側シールド
20 可動接触子
21 可動側電極
21c 小径部
21a 通気孔
21b 第2の通気孔
22 可動コンタクト
22 可動側コンタクト
23 可動側シールド
31 コイルバネ
32 弁体
32a 貫通孔
101,102,103,104 パッファ式接地開閉装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁ガスが充填された容器と、
前記容器内に固定された固定接触子と、
固定接触子方向に進退動可能に設けられ前記固定接触子と接離する可動接触子と、
前記可動接触子の前記固定接触子からの切り離し方向側端部に連結され前記可動接触子を駆動させる操作レバーと、
前記可動接触子の外径側に同軸に配設されたパッファシリンダと、
前記可動接触子と一体に設けられ前記パッファシリンダと共にパッファ形消弧室を形成するとともに、前記パッファシリンダの内壁面を軸方向に摺動して、前記可動接触子と前記固定接触子との開離間隙から前記パッファ形消弧室内に絶縁ガスを吸い込む、及び前記パッファ形消弧室の絶縁ガスを前記可動接触子と前記固定接触子との開離間隙に吹き出すパッファ動作をするパッファピストンと
を備えた接地開閉装置において、
前記可動接触子の全ストロークのうち固定接触子側の所定の領域で前記パッファ形消弧室を開放して該パッファ形消弧室の圧力を放圧し前記パッファ動作が働かないようにする開放構造を備えた
ことを特徴とする接地開閉装置。
【請求項2】
前記開放構造は、前記可動接触子のストロークのうち、前記固定接触子と前記可動接触子との接離動作によりアークが発生する領域より固定接触子側の領域で前記パッファ形消弧室を開放する
ことを特徴とする請求項1に記載の接地開閉装置。
【請求項3】
前記開放構造は、前記パッファシリンダの固定接触子側の径が操作レバー側の径より大きくされて構成されている
ことを特徴とする請求項1または2に記載の接地開閉装置。
【請求項4】
前記開放構造は、前記パッファシリンダの操作レバー側端に一端部を固定されたコイルバネと、前記コイルバネの他端に設けられ、前記パッファピストンに接触しているときは閉塞状態となり前記パッファピストンから離間したときに開放状態となる弁構造とにより構成されている
ことを特徴とする請求項1または2に記載の接地開閉装置。
【請求項5】
前記可動接触子は、一端を前記パッファピストンに固定され他端を前記パッファシリンダ端面から突出させる筒状を成し、パッファピストン側端部に形成された通気孔を介して絶縁ガスを吸い込む及び絶縁ガスを吹き出す構造であり、
前記開放構造は、前記可動接触子の前記パッファシリンダ端面を貫通する部分のうち、所定の領域の部分の径が小さくされて構成されている
ことを特徴とする請求項1または2に記載の接地開閉装置。
【請求項6】
前記可動接触子は、一端を前記パッファピストンに固定され他端を前記パッファシリンダの固定接触子側端面から突出させる筒状を成し、パッファピストン側端部に形成された通気孔を介して絶縁ガスを吸い込む及び絶縁ガスを吹き出す構造であり、
前記開放構造は、前記可動接触子の前記通気孔より固定接触子側に形成された第2の通気孔により構成されている
ことを特徴とする請求項1または2に記載の接地開閉装置。
【請求項7】
前記可動接触子のストロークのうち、前記固定接触子と前記可動接触子の接離動作によりアークが発生する領域より操作レバー側の領域で前記パッファ形消弧室を開放する第2の開放構造がさらに設けられている
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の接地開閉装置。
【請求項8】
前記第2の開放構造は、前記パッファシリンダの前記操作レバー側が前記可動接触子のストロークより短くされて構成されている
ことを特徴とする請求項7に記載の接地開閉装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−48789(P2009−48789A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−211030(P2007−211030)
【出願日】平成19年8月13日(2007.8.13)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】