説明

接点構造

【課題】バスバーの設置スペースを削減することが可能な接点構造を提供する。
【解決手段】照明装置では、スイッチノブの操作に伴い、コンタクトがスライドする。コンタクトは、同一方向に延びた2本の導通部52a,52bと、導通部52a,52bの端部と間隔をあけて端部が存在した固定部53とを備えている。ハウジングが備えた収容孔21の一縁部には、導通係合部41a〜43aと遮断係合部22とが形成されている。導通係合部41a〜43aは、バスバー4に備えられている。収容孔21の他縁部には、支持係合部23が形成されている。コンタクトがスライドすると、固定部53が係合する支持係合部23が切り替わり、導通部52a,52bが係合する導通係合部41a〜43a又は遮断係合部22も切り替わる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンタクトとバスバとの接点構造に関する。
【背景技術】
【0002】
下記の特許文献1に開示された車両用室内照明灯は、機能部に備えられたスイッチレバーがスイッチノブの操作で揺動すると、スイッチレバー側のコンタクトと機能部側とで接続される接点が切り替えられ、車両用室内照明灯がON・OFFされる。従来、この種の接点構造では、コンタクトが備える一対の導通部を機能部側の接点が備えた導通係合部に係合させることで、コンタクトが接点に接続されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−329884号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の接点構造では、接点への接続に用いる2本の導通部でコンタクトが支持されていたことから、コンタクトの両側に接点を配置する必要があり、コンタクトの姿勢も安定しなかった。
【0005】
本発明は斯かる課題に鑑みてなされたもので、上記課題を解決することができる接点構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、ハウジングに固定されて複数の固定接点を備えたバスバーと、前記固定接点に導通するコンタクトとを備え、前記コンタクトは、スイッチノブに固定される本体部と、前記本体部から互いに同一方向に延びて前記固定接点に弾性的に接触する2本の導通部と、前記導通部の端部と間隔をあけて前記本体部から延びて支持係合部に接触し、前記導通部を前記固定接点側に付勢する固定部とを有し、各前記固定接点が、前記導通部と接触する凹部と前記凹部の両側に形成された凸部とを有し、互いに電気的に離れて固定され、かつ、前記導通部側のみに存在しており、前記固定部が、前記支持係合部が有する凹凸間を摺動し、前記導通部が、前記固定部が前記支持係合部の凹部にあるときに前記固定接点の前記凹部と接触することを特徴とする。
また、請求項2に記載の発明は、前記固定部が、2本の前記導通部の間に位置することを特徴とする。
また、請求項3に記載の発明は、前記固定接点に接触する前記導通部の付勢力の合計が、前記支持係合部に接触する前記固定部の付勢力と等しいことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、導通部と固定部とでコンタクトが支持され、固定部側には固定接点を設けずに済むことから、バスバーの設置スペースを削減できる。しかも、固定接点や支持係合部の凹凸の形状を変えるだけで、コンタクトを操作する際のスイッチフィーリング(クリック感)を変更できる。
請求項2に記載の発明によれば、コンタクトに捩れが生じないため、接点の切替動作を安定させられる。
請求項3に記載の発明によれば、導通部及び固定部の接触のバランスを良くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施形態の照明装置を示す表面斜視図である。
【図2】図1に示す照明装置の裏面斜視図である。
【図3】図2に示すスイッチノブの裏面斜視図である。
【図4】図3に示すコンタクトの斜視図である。
【図5】図1に示すハウジングの底面図である。
【図6】図1に示すハウジングの底面図である。
【図7】図1に示すハウジングの底面図である。
【図8】図1に示すハウジングの底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態を説明する。
【0010】
図1に示すように、照明装置1は、ハウジング2の表面にスイッチノブ3(3a〜3c)を備えている。ハウジング2の裏側には、図2に示すように、電気的接続用のバスバー4が固定されている。また、ハウジング2の裏側には、収容孔21が開口している。
【0011】
スイッチノブ3は、ハウジング2の長手方向に揺動自在に支持されている。スイッチノブ3の裏側からは、図3に示すように、一対の被固定部31が延びており、被固定部31にはコンタクト5が固定されている。被固定部31は、スイッチノブ3の長手方向に並んで設けられている。被固定部31の長手方向の内側を向いた−側壁には、図4に示すように、スリットを設けて嵌合部32が形成されている。被固定部31の長手方向の外側を向いた−側壁の内面には、スリットと対向する位置に係止突起33が形成されている。
【0012】
コンタクト5は、本体部51から延びた2本の導通部52a,52bと、1本の固定部53とを備えている。本体部51は、長手方向の端部に設けられた係止突起54と、長手方向の端面に設けられた係止片55とを備えている。導通部52a,52bは、本体部51の一主面側に延びた後、他主面側に屈曲しており、先端部が断面U字状を呈している。固定部53は、本体部51の他主面側に延びた後、一主面側に屈曲しており、先端部が断面U字状を呈している。固定部53の先端部と導通部52a,52bの先端部との間隔は、収容孔21の一縁部と他縁部との間の間隔L(図6参照)よりも広くなっている。コンタクト5は、係止突起54が嵌合部32に係止され、係止片55が係止突起33に係止されることで、被固定部31に固定される。
【0013】
コンタクト5は、図5に示すように、導通部52a,52b及び固定部53が収容孔21の内側に撓むことで収容孔21内に収容され、収容孔21の裏側の開口部に導通部52a,52b及び固定部53を位置させる。
【0014】
図6は、ハウジング2を示す底面図であり、中央に位置した収容孔21の裏側の開口部の周縁部が拡大して示されている。収容孔21の一縁部には、図6に示すように、遮断係合部22が設けられている。また、収容孔21の他縁部には、3つの支持係合部23が設けられている。遮断係合部22及び支持係合部23は、何れも凹部の両側に凸部を設けた凹凸形状を有している。
【0015】
収容孔21の一縁部には、バスバー4の固定接点41〜43が配置されている。固定接点41〜43が備える導通係合部41a〜43aは、凹部の両側に凸部を設けた凹凸形状を有しており、収容孔21の一縁部に沿って遮断係合部22と並んで配置されている。導通係合部41a〜43aは、互いに電気的に離れて固定されている。
【0016】
導通部52a,52bは、収容孔21の一縁部に沿って配置された導通係合部41a〜43a,遮断係合部22の何れかに弾接している。また、固定部53は、収容孔21の他縁部に沿って配置された3つの支持係合部23の何れかに弾接している。バスバー4に接触する2本の導通部52a,52bの付勢力の合計は、ハウジング2に接触する固定部53の付勢力と等しくなっている。
【0017】
スイッチノブ3が長手方向に傾動操作されて揺動すると、導通部52a,52b及び固定部53は、スイッチノブ3とは逆方向に移動する。これに伴い、導通部52a,52b及び固定部53は、固定接点41〜43又は収容孔21の周縁に弾接しながらスライドする。その際、導通部52a,52bは、操作方向と逆側に位置した導通係合部41a〜43a,遮断係合部22に切り替えて係合する。また、固定部53は、操作方向と逆側に位置した支持係合部23に切り替えて係合する。
【0018】
例えば、スイッチノブ3が傾動操作で一方に傾いた状態では、図6に示すように、導通部52aが導通係合部41aに、固定部53が支持係合部23に、導通部52bが導通係合部42aにそれぞれ弾接している。導通部52aが導通係合部41aに、導通部52bが導通係合部42aにそれぞれ弾接することで、固定接点41と固定接点42とが接続され、ONモードの照明が行われる。
【0019】
スイッチノブ3が他方に傾動操作されると、図7に示すように、導通部52aが導通係合部41aに、固定部53が支持係合部23に、導通部52bが導通係合部43aにそれぞれ弾接する。導通部52aが導通係合部41aに、導通部52bが導通係合部43aにそれぞれ弾接することで、固定接点41と固定接点43とが接続され、DOORモードの照明が行われる。
【0020】
スイッチノブ3が更に傾動操作されて他方に傾くと、図8に示すように、導通部52aが導通係合部42aに、固定部53が支持係合部23に、導通部52bが遮断係合部22にそれぞれ弾接する。導通部52aが導通係合部42aに、導通部52bが遮断係合部22にそれぞれ弾接することで、固定接点41〜43同士が接続されない状態となり、照明が行われないOFFモードとなる。
【0021】
本実施形態によれば、同一方向に延びた2本の導通部52a,52bと導通部52a,52bの端部と間隔をあけて端部が存在した固定部53とでコンタクト5が弾性支持されることから、コンタクト5の両側に導通係合部を設けずに済み、固定接点の設置スペースを削減できる。このため、収容孔21の他縁部にも固定接点を設ける場合に比べ、収容孔21の一縁部と他縁部との間の間隔L(図6参照)だけバスバー4の設置スペースを削減できる。従って、バスバー4の小型化及び軽量化を図れる。しかも、固定接点41〜43や支持係合部23の凹凸の形状を変えるだけで、コンタクト5を操作する際のスイッチフィーリング(クリック感)を変更できる。
【0022】
また、本実施形態によれば、2本の導通部52a,52bの間に固定部53が位置するので、コンタクト5が捻れるのを防止して、固定接点41〜43の切替動作を安定させられる。
【0023】
また、本実施形態によれば、固定接点41〜43に接触する導通部52a,52bの付勢力の合計が、支持係合部23に接触する固定部53の付勢力と等しいので、導通部52a,52b及び固定部53の接触のバランスを良くすることができる。
【0024】
また、本実施形態によれば、固定部53をバスバー4ではなくハウジング2の支持係合部23に弾接させれば済むことから、固定部53を導通部52a,52bよりも短くして固定部53が収容孔21の裏側の開口部から突出しない構成とすることができ、作業者の手等と接触することによる変形を防止することが出来る。
【0025】
また、本実施形態によれば、コンタクト5に導通部52a,52b及び固定部53を設け、これらの導通部52a,52b及び固定部53の係合部をハウジング2及びバスバー4に設けるという簡単な構成で、スイッチノブ3の操作の際にスイッチフィーリングを与えられる。このため、照明装置1の部品点数を削減してコストダウンを図ることが出来る。
【0026】
なお、上記実施形態では、収容孔21の一縁部に1つの遮断係合部22が備えられている場合について説明したが、遮断係合部22を複数備え、各遮断係合部22に導通係合部41a〜43aが配置される構成としてもよい。
【0027】
また、コンタクト5が備える導通部52a,52b、及び、固定部53は上記実施形態での構成に限定されない。また、導通係合部41a〜43a、遮断係合部22、及び、支持係合部23の形状も、導通部52a,52bや固定部53と係合するのであれば任意であり、バスバー4や収容孔21に突起を設ける等して構成してもよい。
【符号の説明】
【0028】
1 照明装置
2 ハウジング
21 収容孔
22 遮断係合部
23 支持係合部
3,3a〜3c スイッチノブ(被固定部)
31 被固定部
32 嵌合部
33 係止突起
4 バスバー
41〜43 固定接点
41a〜43a 導通係合部
5 コンタクト
51 本体部
52a,52b 導通部
53 固定部
54 係止突起
55 係止片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングに固定されて複数の固定接点を備えたバスバーと、
前記固定接点に導通するコンタクトとを備え、
前記コンタクトは、スイッチノブに固定される本体部と、前記本体部から互いに同一方向に延びて前記固定接点に弾性的に接触する2本の導通部と、前記導通部の端部と間隔をあけて前記本体部から延びて支持係合部に接触し、前記導通部を前記固定接点側に付勢する固定部とを有し、
各前記固定接点は、前記導通部と接触する凹部と前記凹部の両側に形成された凸部とを有し、互いに電気的に離れて固定され、かつ、前記導通部側のみに存在しており、
前記固定部は、前記支持係合部が有する凹凸間を摺動し、
前記導通部は、前記固定部が前記支持係合部の凹部にあるときに前記固定接点の前記凹部と接触することを特徴とする接点構造。
【請求項2】
前記固定部は、2本の前記導通部の間に位置することを特徴とする請求項1に記載の接点構造。
【請求項3】
前記固定接点に接触する前記導通部の付勢力の合計が、前記支持係合部に接触する前記固定部の付勢力と等しいことを特徴とする請求項1又は2に記載の接点構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−243505(P2012−243505A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−111363(P2011−111363)
【出願日】平成23年5月18日(2011.5.18)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】