接着剤塗布装置
【課題】 無駄な接着剤が増加せず、かつ、接着剤の塗布形状に誤差が発生することのない接着剤塗布装置を実現する。
【解決手段】 基板2を露出させるための開口部6aが形成されており、スクリーンマスク3を載置する固定ステージ6と、接着剤4の塗布面2cが固定ステージ6に載置されたスクリーンマスクと対向し、かつ、開口部6aから露出するように基板2を載置する可動ステージ7と、可動ステージ7に載置された基板2がスクリーンマスク3と密着するように可動ステージ7を付勢するコイルバネ8と、を備えており、可動ステージ7は、コイルバネ7による付勢力に抗して昇降可能に構成されてなる。このため、基板2およびスクリーンマスク3間に隙間80が形成され、それに接着剤4が入り込むおそれがない。
【解決手段】 基板2を露出させるための開口部6aが形成されており、スクリーンマスク3を載置する固定ステージ6と、接着剤4の塗布面2cが固定ステージ6に載置されたスクリーンマスクと対向し、かつ、開口部6aから露出するように基板2を載置する可動ステージ7と、可動ステージ7に載置された基板2がスクリーンマスク3と密着するように可動ステージ7を付勢するコイルバネ8と、を備えており、可動ステージ7は、コイルバネ7による付勢力に抗して昇降可能に構成されてなる。このため、基板2およびスクリーンマスク3間に隙間80が形成され、それに接着剤4が入り込むおそれがない。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、スクリーン印刷法により接着剤を基板に塗布するための接着剤塗布装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の接着剤塗布装置として図11〜図13に示すものが知られている。図11〜図13は従来の接着剤塗布装置の縦断面図であり、図11(a)は基板上にスクリーンマスクが配置された印刷前の状態を示し、(b)は基板およびスクリーンマスク間に形成された隙間の拡大図である。図12(a)は印刷後の状態を示し、(b)は接着剤が隙間に入った状態を示す拡大図である。図13(a)はスクリーンマスクを外した状態を示し、(b)は接着剤のにじみを示す拡大図である。
【0003】
従来の接着剤塗布装置90は、基板2およびスクリーンマスク3を載置するための固定ステージ70と、基板2を固定ステージ70に吸着固定するための真空ポンプ10と、基板2を固定ステージ70に搬送するための搬送装置(図示せず)と、スクリーンマスク3を基板上に押圧するための押圧装置(図示せず)と、スキージ5を図中の矢印方向へ移動させるための移動装置(図示せず)とを備える。
【0004】
固定ステージ70の表面には、基板2を収容するための凹部71が形成されている。また、固定ステージ70の内部には、上記凹部71と連通する排出口72が形成されている。この排出口72は、真空ポンプ10と接続されている。真空ポンプ10を駆動すると、凹部71の空気が排出口72を通じて排出され、凹部71が減圧されるため、基板2が凹部71の底部に吸着固定される。
【0005】
スクリーンマスク3は、その裏面3bが基板2の表面2aと密着するように押圧される。そして、図12(a)に示すように、スキージ5が、その下端をスクリーンマスク3の表面3aに当接させた状態で矢印方向へ移動すると、スクリーンマスク3の表面3aに配置されている接着剤4がスキージ5によって移動する。これにより、接着剤4がスクリーンマスク3の開口部3cの中に充填され、基板2の塗布面2cに接着層4aが形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平5−57228号公報(第8段落、図1)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、前述した固定ステージ70の凹部71は、基板2の厚さのばらつきを考慮して浅く形成されており、薄い基板2でもその表面2aが凹部71から突出し、スクリーンマスク3の裏面3bと密着する構造になっている。
しかし、図11(b)に示すように、スクリーンマスク3の裏面3bと基板2の表面2aとの間に隙間80が形成されるため、図12(b)に示すように、接着剤4が隙間80に入り込み、図13(b)に示すように、接着剤4のにじみ4bが形成されてしまう。
したがって、無駄な接着剤が増加し、かつ、接着剤の塗布形状に誤差が発生するという問題がある。
【0008】
そこでこの発明は、上述の諸問題を解決するためになされたものであり、無駄な接着剤が増加せず、かつ、接着剤の塗布形状に誤差が発生することのない接着剤塗布装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するため、この発明の第1の特徴は、スクリーン印刷法により、接着剤を基板に塗布するための接着剤塗布装置において、前記基板(2)を露出させるための開口部(6a)が形成されており、スクリーンマスク(3)を載置する第1載置手段(6)と、前記接着剤(4)の塗布面(2c)が前記第1載置手段に載置されたスクリーンマスクと対向し、かつ、前記開口部から露出するように前記基板を載置する第2載置手段(7)と、前記第2載置手段に載置された基板が前記第1載置手段に載置されたスクリーンマスクと密着するように前記第2載置手段を付勢する付勢手段(8)と、を備えており、前記第2載置手段は、前記付勢手段による付勢力に抗して移動可能に構成されてなることにある。
【0010】
付勢手段により、基板およびスクリーンマスクを密着させることができるため、従来のように、基板およびスクリーンマスク間に隙間が形成されることがない。
したがって、隙間に接着剤が入り込むという事態が発生しないため、無駄な接着剤が増加せず、かつ、接着剤の塗布形状に誤差が発生することがない。
【0011】
また、この発明の第2の特徴は、スクリーン印刷法により、接着剤を基板に塗布するための接着剤塗布装置において、前記基板(2)を露出させるための開口部(51)が形成されており、スクリーンマスク(3)を載置する第1載置手段(50)と、前記接着剤(4)の塗布面(2c)が前記第1載置手段に載置されたスクリーンマスクと対向し、かつ、前記開口部から露出するように前記基板を載置する第2載置手段(65)と、前記第1載置手段に載置されたスクリーンマスクが前記第2載置手段に載置された基板と密着するように前記第1載置手段を付勢する付勢手段(52)と、を備えており、前記第1載置手段は、前記付勢手段による付勢力に抗して移動可能に構成されてなることにある。
【0012】
付勢手段により、基板およびスクリーンマスクを密着させることができるため、従来のように、基板およびスクリーンマスク間に隙間が形成されることがない。
したがって、隙間に接着剤が入り込むという事態が発生しないため、無駄な接着剤が増加せず、かつ、接着剤の塗布形状に誤差が発生することがない。
【0013】
さらに、この発明の第3の特徴は、前記第1の特徴において、前記付勢手段(8)が前記第2載置手段(7)を介して前記基板(2)を付勢する力が、前記スクリーンマスク(3)が前記基板を押圧する力よりも小さくなるように構成されてなることにある。
【0014】
基板を付勢する力が、スクリーンマスクが基板を押圧する力よりも小さいため、基板がスクリーンマスクを押し上げることにより、基板およびスクリーンマスク間に隙間が形成され難くすることができる。
【0015】
さらに、この発明の第4の特徴は、前記第1ないし第3の特徴のいずれか1つにおいて、前記スクリーンマスク(3)と密着した基板(2)の塗布面(2c)と、前記開口部(6a,51)の前記スクリーンマスク側の開口面とが面一になるように構成されてなることにある。
【0016】
スクリーンマスクと密着した基板の塗布面と、第1載置手段に形成された開口部のスクリーンマスク側の開口面とが面一であるため、基板およびスクリーンマスク間に隙間がより一層形成され難くすることができる。
【0017】
さらに、この発明の第5の特徴は、前記第4の特徴において、前記第2載置手段(7,65)は、前記スクリーンマスク(3)を前記第1載置手段(6,50)に載置していないときに前記塗布面(2c)が前記開口部(6a,51)から突出するように前記基板(2)を載置するように構成されてなることにある。
【0018】
基板の塗布面が第1載置手段の開口部から突出しても、基板およびスクリーンマスクを密着させるときに、基板が載置された第2載置手段が付勢手段による付勢力に抗して移動するため、スクリーンマスクと密着した基板の塗布面と、第1載置手段に形成された開口部のスクリーンマスク側の開口面とを面一にすることができる。
したがって、基板の厚さにばらつきが存在する場合であっても、どの基板も第2載置手段に載置したときに塗布面が第1載置手段の開口部から突出するように設計しておくことにより、どの基板もスクリーンマスクと密着させることができるため、どの基板もスクリーンマスクとの間で隙間が形成され難くすることができる。
【0019】
さらに、この発明の第5の特徴は、前記第1ないし第5の特徴のいずれか1つにおいて、前記基板(2)を前記第2載置手段(7,65)に吸着する吸着手段(10)を備えることにある。
【0020】
基板を第2載置手段に吸着することができるため、接着剤を基板の塗布面に塗布する際に基板がずれるおそれがない。
したがって、接着剤の塗布形状に誤差が発生し難くすることができる。
【0021】
なお、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】この発明の実施形態に係る接着剤塗布装置の縦断面図である。
【図2】図1に示す接着剤塗布装置の分解図である。
【図3】スキージを移動させた後の状態を示す説明図である。
【図4】スクリーンマスクを外した状態を示す説明図である。
【図5】接着剤の塗布工程を示す工程図である。
【図6】他の実施形態を示す説明図である。
【図7】他の実施形態を示す説明図である。
【図8】他の実施形態を示す説明図である。
【図9】他の実施形態を示す説明図である。
【図10】他の実施形態を示す説明図である。
【図11】従来の接着剤塗布装置の縦断面図であり、(a)は基板上にスクリーンマスクが配置された印刷前の状態を示し、(b)は基板およびスクリーンマスク間に形成された隙間の拡大図である。
【図12】従来の接着剤塗布装置の縦断面図であり、(a)は印刷後の状態を示し、(b)は接着剤が隙間に入った状態を示す拡大図である。
【図13】従来の接着剤塗布装置の縦断面図であり、(a)はスクリーンマスクを外した状態を示し、(b)は接着剤のにじみを示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
この発明を実施するための形態について図を参照して説明する。図1は、この実施形態に係る接着剤塗布装置の縦断面図である。図2は、図1に示す接着剤塗布装置の分解図である。
【0024】
(接着剤塗布装置の構成)
この実施形態の接着剤塗布装置1は、固定ステージ6と、可動ステージ7と、複数のコイルバネ8と、シール材9と、真空ポンプ10と、基板2を可動ステージ7の表面に搬送する搬送装置(図示せず)と、スクリーンマスク3を基板2の直上へ搬送するとともに基板2を押圧するスクリーンマスク搬送装置(図示せず)と、スクリーンマスク3の表面に接着剤を供給する接着剤供給装置(図示せず)と、スキージ5と、このスキージ5をスクリーンマスク3の表面に当接させた状態で移動させるスキージ移動装置(図示せず)とを備える。
【0025】
基板2の裏面2bには、接着剤4を塗布する塗布面2cが設定されている。塗布面2cには、塗布パターンが設定されている。基板2の表面2aには、IC、LSIなどの電子部品が搭載されている。
【0026】
スクリーンマスク3は、接着剤4を基板2の塗布面2cに所定の塗布パターンで塗布するための部材である。スクリーンマスク3は、フィルム状に形成されており、基板2の塗布面2cに対応する領域には、前述した塗布パターンに対応する形状の開口部3cが形成されている。固定ステージ6は、スクリーンマスク3によって基板2の塗布面2cを覆う際にスクリーンマスク3を載置するための部材である。
【0027】
固定ステージ6の内部には、可動ステージ7、コイルバネ8およびシール材9を収容する空間6dが形成されている。固定ステージ6の上面6aは、スクリーンマスク3の裏面3bと密着するように平坦に形成されている。また、上面6aには、空間6dと連通する開口部6cが形成されている。開口部6cは、空間6dの内壁6gの上端から内方へ張り出した張出し部6eによって囲まれた空間に形成されている。張出し部6eは、可動ステージ7の上昇を制限する役割をしており、その裏面6fは、可動ステージ7aの上死点に設定されている。
【0028】
開口部6cは、可動ステージ7に載置された基板2が露出可能な大きさに形成されている。固定ステージ6の底面6bには、空間6d内の空気を排出するための排出口6eが形成されている。排出口6eには、空間6d内を減圧するための真空ポンプ10が接続されている。真空ポンプ10が作動すると、空間6d内の空気が排出口6eから排出され、空間6d内が減圧される。
【0029】
可動ステージ7は、基板2を載置するための部材である。可動ステージ7の略中央には、可動ステージ7の表面7aに載置された基板2を吸着するための貫通孔7cが形成されている。可動ステージ7の裏面7bと、固定ステージ6の空間6d内の底面6hとの間には、複数のコイルバネ8が介在されている。各コイルバネ8の下端はそれぞれ底面6hに取付けられており、上端はそれぞれ可動ステージ7の裏面7bに取付けられている。
つまり、可動ステージ7は、各コイルバネ8によって支持されており、各コイルバネ8の伸縮に応じて昇降可能になっている。
【0030】
可動ステージ7の厚さおよび各バネのバネ長は、基板2がスクリーンマスク3によって押圧されていない状態において、可動ステージ7に載置された基板2が固定ステージ6の開口部6cから上面6aを超えて突出するように設定されている。また、基板2の厚さには製造上の誤差があるが、どの基板でも開口部6cから突出するように可動ステージ7の厚さおよび各コイルバネのバネ長を設定する。コイルバネに代えて板バネ、ゴムなどの弾性部材を用いることもできる。
【0031】
また、可動ステージ7は、各コイルバネ8のバネ力によって上方へ付勢され、これによって可動ステージ7に載置された基板2がスクリーンマスク3の裏面3bに押し付けられる。その基板2がスクリーンマスク3に押し付けられる力、つまり各コイルバネ8のバネ力は、スクリーンマスク3が基板2を押さえ付ける力よりも小さくなるように設定されている。
【0032】
つまり、各コイルバネ8のバネ力が、スクリーンマスク3が基板2を押さえ付ける力よりも大きいと、スクリーンマスク3の開口部3cの開口端が上方へ反り返り、その開口端と基板2の塗布面2cとの間に隙間が形成され、その隙間に接着剤4が入り込み、無駄な接着剤4が増加し、かつ、接着剤4の塗布形状に誤差が発生するからである。
【0033】
可動ステージ7と空間6dの内壁6gとの間には、シール材9が介在されている。シール材9は、可動部材7の下方に形成された空間の気密性を維持するための部材である。そのようにシール部材9が配置されているため、真空ポンプ10が作動したときに可動ステージ7の上下の空間が非連通状態となり、可動ステージ7の下方に形成された空間を減圧することができる。
【0034】
(接着剤の塗布方法)
図3は、スキージを移動させた後の状態を示す説明図である。図4は、スクリーンマスクを外した状態を示す説明図である。図5は、接着剤の塗布工程を示す工程図である。
【0035】
(工程1)
基板2を可動ステージ7の表面7aに供給する(図5の工程1)。基板2を可動ステージ7の表面7aに供給するための装置としては、たとえば、基板2を吸着して所定位置に搬送する公知の吸着コレット装置を用いることができる。
【0036】
(工程2)
次に、真空ポンプ10を作動し、固定ステージ6の空間6d内を減圧し、基板2を可動ステージ7の表面7aに吸着させる。このとき、基板2の裏面2bは固定ステージ6の開口部6cから上方へ僅かに突出した状態になる。
【0037】
(工程3)
次に、図示しないスクリーンマスク搬送装置を作動し、スクリーンマスク3を基板2の直上へ移動させる。このとき、基板2の塗布面2cとスクリーンマスク3の開口部3cとが相対向した状態になる。
【0038】
(工程4)
次に、上記のスクリーンマスク搬送装置により、スクリーンマスク3を下降させ、スクリーンマスク3の裏面3bを基板2の裏面2bに押圧する。このとき、スクリーンマスク3が基板2を押圧する力の方が、各コイルバネ8が基板2を上方へ付勢する力よりも大きいため、各コイルバネ8が縮み、可動ステージ7が下降する。
【0039】
そして、スクリーンマスク3の裏面3bが、固定ステージ6の上面6aに当接した時点でスクリーンマスク3の下降が停止する。このとき、スクリーンマスク3の裏面3bと基板2の塗布面2cとが密着し、塗布面2cが固定ステージ6の開口部6cのスクリーンマスク3側の開口面6c1(図2)とが面一になる(図1)。
つまり、塗布面2cとスクリーンマスク3の裏面3bとの間に全く隙間が形成されていない状態を作ることができる。
【0040】
(工程5)
次に、接着剤供給装置を作動し、接着剤4をスクリーンマスク3の表面3aに供給する。そして、スキージ移動装置を作動し、スクリーンマスク3の表面3aに供給された接着剤4をスクリーンマスク3の表面3aに擦り付ける。これにより、スクリーンマスク3の開口部3cには、接着剤4が充填され、図3に示すように、開口部3cには、充填された接着剤4により形成された接着層4aが形成される。これにより、基板2の塗布面2cに接着剤4が塗布(印刷)されたことになる。
【0041】
(工程6)
次に、スクリーンマスク搬送装置を作動し、図4に示すように、スクリーンマスク3を上方へ離す。これにより、接着面2cに接着層4aが形成された基板2が完成する。
【0042】
(工程7)
次に、真空ポンプ10の作動を停止し、固定ステージ6の空間6dの減圧を解除する。これにより、基板2の可動ステージ7に対する吸着状態が解除される。
【0043】
(工程8)
次に、基板2を次工程へ排出するための基板排出装置(図示せず)を作動し、基板2をヒートシンクの取付工程などへ排出する。基板2を排出するための装置としては、たとえば、前述の吸着コレット装置を用いることができる。
【0044】
(実施形態の効果)
(1)複数のコイルバネ8の付勢力により、基板2およびスクリーンマスク3を密着させることができるため、従来のように、基板2およびスクリーンマスク3間に隙間が形成されることがない。
したがって、隙間に接着剤4が入り込むという事態が発生しないため、無駄な接着剤が増加せず、かつ、接着剤の塗布形状に誤差が発生することがない。
【0045】
(2)しかも、各コイルバネ8が基板2を付勢する付勢力が、スクリーンマスク3が基板2を押圧する力よりも小さいため、基板2がスクリーンマスク3を押し上げることにより、基板2およびスクリーンマスク3間に隙間が形成され難くすることができる。
【0046】
(3)また、スクリーンマスク3と密着した基板2の塗布面2cと、固定ステージ6に形成された開口部6cのスクリーンマスク3側の開口面6c1とが面一であるため、基板2およびスクリーンマスク3間に隙間がより一層形成され難くすることができる。
【0047】
(4)さらに、基板2の塗布面2cが固定ステージ6の開口部6cから突出しても、スクリーンマスク3によって基板2を押圧するときに、基板2が載置された可動ステージ7が各コイルバネ8による付勢力に抗して下降するため、スクリーンマスク3と密着した基板2の塗布面2cと、固定ステージ6に形成された開口部6cのスクリーンマスク3側の開口面6c1とを面一にすることができる。
したがって、基板2の厚さにばらつきが存在する場合であっても、どの基板2も可動ステージ7に載置したときに塗布面2cが固定ステージ6の開口部6cから突出するように設計しておくことにより、どの基板2もスクリーンマスク3と密着させることができるため、どの基板2もスクリーンマスク3との間で隙間が形成され難くすることができる。
【0048】
(5)さらに、真空ポンプ10を作動して基板2を可動ステージ7に吸着することができるため、接着剤4を基板2の塗布面2cに塗布する際に基板2がずれるおそれがない。
したがって、接着剤4の塗布形状に誤差が発生し難くすることができる。
【0049】
<他の実施形態>
(1)図6に示すように、コイルバネ8に代えてピストンシリンダ装置20を用い、ピストンの弾性力によって可動ステージ7を昇降可能に支持することもできる。ピストンシリンダ装置20としては、油圧式または空気圧式などを用いることができる。このピストンシリンダ装置20を用いた場合も、前述の実施形態と同じ効果を奏することができる。
【0050】
(2)図7に示すように、コイルバネ8に代えて永久磁石30,31を用い、同じ極性の面同士を相対向させて配置し、永久磁石30,31間に作用する斥力によって可動ステージ7を昇降可能に支持することもできる。この永久磁石30,31を用いた場合も、前述の実施形態と同じ効果を奏することができる。
【0051】
(3)図8に示すように、コイルバネ8に代えて永久磁石32,33を用い、異なる極性の面同士を相対向させて配置し、永久磁石32,33間に作用する引力によって可動ステージ7を昇降可能に支持することもできる。この永久磁石32,33を用いた場合も、前述の実施形態と同じ効果を奏することができる。なお、永久磁石32,33の一方または両方を電磁石にすることもできる。この構成によれば、磁力を調整することができるため、基板2およびスクリーンマスク3の密着力を調整することができる。
【0052】
(4)図9に示すように、基板2を吸着する構造を備えた可動ステージ40をピストンシリンダ装置41によって支持する構成でもよい。可動ステージは、真空チャック構造を備えており、真空ポンプ10と接続されている。可動ステージ40としては、たとえば、半導体ウエハを吸着する公知の真空チャックステージなどを用いることができる。
【0053】
また、可動ステージ40およびピストンシリンダ装置41を移動させるための移動装置を用い、その移動装置を作動して可動ステージ40およびピストンシリンダ装置41を移動させることにより、基板2を吸着した状態で搬入または搬出することもできる。これらの構成を用いた場合も前述の実施形態と同じ効果を奏することができる。また、可動ステージ40およびピストンシリンダ装置41が基板2を弾性力を以て支持する役割と、基板2を搬送する役割とを兼用しているため、その分、装置の製造コストを低減することができる。
【0054】
(5)図10に示すように、基板2を固定ステージ65に載置し、スクリーンマスク3を可動ステージ50に載置する構成でもよい、固定ステージ65は、上方に凸形状に形成されており、その上端に基板2が載置される。固定ステージ65の凸部には、基板2の載置面に連通する貫通孔66が形成されており、その貫通孔66には真空ポンプ10が接続されている。つまり、真空ポンプ10を作動して基板2を固定ステージ65に吸着する。
【0055】
固定ステージ65の凸部の両側には、複数のコイルバネ8を介して可動ステージ50が配置されている。スクリーンマスク3を基板2に押圧すると、各コイルバネ8が縮退し、可動ステージ50が下降し、基板2の塗布面2cとスクリーンマスク3の裏面3bとが面一になる。この構成を用いた場合も前述の実施形態と同じ効果を奏することができる。なお、この接着剤塗布装置が請求項2に係る発明に対応する。
【符号の説明】
【0056】
1・・接着剤塗布装置、2・・基板、3・・スクリーンマスク、4・・接着剤、
5・・スキージ、6・・固定ステージ、7・・可動ステージ、8・・コイルバネ、
9・・、シール材、10・・真空ポンプ。
【技術分野】
【0001】
この発明は、スクリーン印刷法により接着剤を基板に塗布するための接着剤塗布装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の接着剤塗布装置として図11〜図13に示すものが知られている。図11〜図13は従来の接着剤塗布装置の縦断面図であり、図11(a)は基板上にスクリーンマスクが配置された印刷前の状態を示し、(b)は基板およびスクリーンマスク間に形成された隙間の拡大図である。図12(a)は印刷後の状態を示し、(b)は接着剤が隙間に入った状態を示す拡大図である。図13(a)はスクリーンマスクを外した状態を示し、(b)は接着剤のにじみを示す拡大図である。
【0003】
従来の接着剤塗布装置90は、基板2およびスクリーンマスク3を載置するための固定ステージ70と、基板2を固定ステージ70に吸着固定するための真空ポンプ10と、基板2を固定ステージ70に搬送するための搬送装置(図示せず)と、スクリーンマスク3を基板上に押圧するための押圧装置(図示せず)と、スキージ5を図中の矢印方向へ移動させるための移動装置(図示せず)とを備える。
【0004】
固定ステージ70の表面には、基板2を収容するための凹部71が形成されている。また、固定ステージ70の内部には、上記凹部71と連通する排出口72が形成されている。この排出口72は、真空ポンプ10と接続されている。真空ポンプ10を駆動すると、凹部71の空気が排出口72を通じて排出され、凹部71が減圧されるため、基板2が凹部71の底部に吸着固定される。
【0005】
スクリーンマスク3は、その裏面3bが基板2の表面2aと密着するように押圧される。そして、図12(a)に示すように、スキージ5が、その下端をスクリーンマスク3の表面3aに当接させた状態で矢印方向へ移動すると、スクリーンマスク3の表面3aに配置されている接着剤4がスキージ5によって移動する。これにより、接着剤4がスクリーンマスク3の開口部3cの中に充填され、基板2の塗布面2cに接着層4aが形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平5−57228号公報(第8段落、図1)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、前述した固定ステージ70の凹部71は、基板2の厚さのばらつきを考慮して浅く形成されており、薄い基板2でもその表面2aが凹部71から突出し、スクリーンマスク3の裏面3bと密着する構造になっている。
しかし、図11(b)に示すように、スクリーンマスク3の裏面3bと基板2の表面2aとの間に隙間80が形成されるため、図12(b)に示すように、接着剤4が隙間80に入り込み、図13(b)に示すように、接着剤4のにじみ4bが形成されてしまう。
したがって、無駄な接着剤が増加し、かつ、接着剤の塗布形状に誤差が発生するという問題がある。
【0008】
そこでこの発明は、上述の諸問題を解決するためになされたものであり、無駄な接着剤が増加せず、かつ、接着剤の塗布形状に誤差が発生することのない接着剤塗布装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するため、この発明の第1の特徴は、スクリーン印刷法により、接着剤を基板に塗布するための接着剤塗布装置において、前記基板(2)を露出させるための開口部(6a)が形成されており、スクリーンマスク(3)を載置する第1載置手段(6)と、前記接着剤(4)の塗布面(2c)が前記第1載置手段に載置されたスクリーンマスクと対向し、かつ、前記開口部から露出するように前記基板を載置する第2載置手段(7)と、前記第2載置手段に載置された基板が前記第1載置手段に載置されたスクリーンマスクと密着するように前記第2載置手段を付勢する付勢手段(8)と、を備えており、前記第2載置手段は、前記付勢手段による付勢力に抗して移動可能に構成されてなることにある。
【0010】
付勢手段により、基板およびスクリーンマスクを密着させることができるため、従来のように、基板およびスクリーンマスク間に隙間が形成されることがない。
したがって、隙間に接着剤が入り込むという事態が発生しないため、無駄な接着剤が増加せず、かつ、接着剤の塗布形状に誤差が発生することがない。
【0011】
また、この発明の第2の特徴は、スクリーン印刷法により、接着剤を基板に塗布するための接着剤塗布装置において、前記基板(2)を露出させるための開口部(51)が形成されており、スクリーンマスク(3)を載置する第1載置手段(50)と、前記接着剤(4)の塗布面(2c)が前記第1載置手段に載置されたスクリーンマスクと対向し、かつ、前記開口部から露出するように前記基板を載置する第2載置手段(65)と、前記第1載置手段に載置されたスクリーンマスクが前記第2載置手段に載置された基板と密着するように前記第1載置手段を付勢する付勢手段(52)と、を備えており、前記第1載置手段は、前記付勢手段による付勢力に抗して移動可能に構成されてなることにある。
【0012】
付勢手段により、基板およびスクリーンマスクを密着させることができるため、従来のように、基板およびスクリーンマスク間に隙間が形成されることがない。
したがって、隙間に接着剤が入り込むという事態が発生しないため、無駄な接着剤が増加せず、かつ、接着剤の塗布形状に誤差が発生することがない。
【0013】
さらに、この発明の第3の特徴は、前記第1の特徴において、前記付勢手段(8)が前記第2載置手段(7)を介して前記基板(2)を付勢する力が、前記スクリーンマスク(3)が前記基板を押圧する力よりも小さくなるように構成されてなることにある。
【0014】
基板を付勢する力が、スクリーンマスクが基板を押圧する力よりも小さいため、基板がスクリーンマスクを押し上げることにより、基板およびスクリーンマスク間に隙間が形成され難くすることができる。
【0015】
さらに、この発明の第4の特徴は、前記第1ないし第3の特徴のいずれか1つにおいて、前記スクリーンマスク(3)と密着した基板(2)の塗布面(2c)と、前記開口部(6a,51)の前記スクリーンマスク側の開口面とが面一になるように構成されてなることにある。
【0016】
スクリーンマスクと密着した基板の塗布面と、第1載置手段に形成された開口部のスクリーンマスク側の開口面とが面一であるため、基板およびスクリーンマスク間に隙間がより一層形成され難くすることができる。
【0017】
さらに、この発明の第5の特徴は、前記第4の特徴において、前記第2載置手段(7,65)は、前記スクリーンマスク(3)を前記第1載置手段(6,50)に載置していないときに前記塗布面(2c)が前記開口部(6a,51)から突出するように前記基板(2)を載置するように構成されてなることにある。
【0018】
基板の塗布面が第1載置手段の開口部から突出しても、基板およびスクリーンマスクを密着させるときに、基板が載置された第2載置手段が付勢手段による付勢力に抗して移動するため、スクリーンマスクと密着した基板の塗布面と、第1載置手段に形成された開口部のスクリーンマスク側の開口面とを面一にすることができる。
したがって、基板の厚さにばらつきが存在する場合であっても、どの基板も第2載置手段に載置したときに塗布面が第1載置手段の開口部から突出するように設計しておくことにより、どの基板もスクリーンマスクと密着させることができるため、どの基板もスクリーンマスクとの間で隙間が形成され難くすることができる。
【0019】
さらに、この発明の第5の特徴は、前記第1ないし第5の特徴のいずれか1つにおいて、前記基板(2)を前記第2載置手段(7,65)に吸着する吸着手段(10)を備えることにある。
【0020】
基板を第2載置手段に吸着することができるため、接着剤を基板の塗布面に塗布する際に基板がずれるおそれがない。
したがって、接着剤の塗布形状に誤差が発生し難くすることができる。
【0021】
なお、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】この発明の実施形態に係る接着剤塗布装置の縦断面図である。
【図2】図1に示す接着剤塗布装置の分解図である。
【図3】スキージを移動させた後の状態を示す説明図である。
【図4】スクリーンマスクを外した状態を示す説明図である。
【図5】接着剤の塗布工程を示す工程図である。
【図6】他の実施形態を示す説明図である。
【図7】他の実施形態を示す説明図である。
【図8】他の実施形態を示す説明図である。
【図9】他の実施形態を示す説明図である。
【図10】他の実施形態を示す説明図である。
【図11】従来の接着剤塗布装置の縦断面図であり、(a)は基板上にスクリーンマスクが配置された印刷前の状態を示し、(b)は基板およびスクリーンマスク間に形成された隙間の拡大図である。
【図12】従来の接着剤塗布装置の縦断面図であり、(a)は印刷後の状態を示し、(b)は接着剤が隙間に入った状態を示す拡大図である。
【図13】従来の接着剤塗布装置の縦断面図であり、(a)はスクリーンマスクを外した状態を示し、(b)は接着剤のにじみを示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
この発明を実施するための形態について図を参照して説明する。図1は、この実施形態に係る接着剤塗布装置の縦断面図である。図2は、図1に示す接着剤塗布装置の分解図である。
【0024】
(接着剤塗布装置の構成)
この実施形態の接着剤塗布装置1は、固定ステージ6と、可動ステージ7と、複数のコイルバネ8と、シール材9と、真空ポンプ10と、基板2を可動ステージ7の表面に搬送する搬送装置(図示せず)と、スクリーンマスク3を基板2の直上へ搬送するとともに基板2を押圧するスクリーンマスク搬送装置(図示せず)と、スクリーンマスク3の表面に接着剤を供給する接着剤供給装置(図示せず)と、スキージ5と、このスキージ5をスクリーンマスク3の表面に当接させた状態で移動させるスキージ移動装置(図示せず)とを備える。
【0025】
基板2の裏面2bには、接着剤4を塗布する塗布面2cが設定されている。塗布面2cには、塗布パターンが設定されている。基板2の表面2aには、IC、LSIなどの電子部品が搭載されている。
【0026】
スクリーンマスク3は、接着剤4を基板2の塗布面2cに所定の塗布パターンで塗布するための部材である。スクリーンマスク3は、フィルム状に形成されており、基板2の塗布面2cに対応する領域には、前述した塗布パターンに対応する形状の開口部3cが形成されている。固定ステージ6は、スクリーンマスク3によって基板2の塗布面2cを覆う際にスクリーンマスク3を載置するための部材である。
【0027】
固定ステージ6の内部には、可動ステージ7、コイルバネ8およびシール材9を収容する空間6dが形成されている。固定ステージ6の上面6aは、スクリーンマスク3の裏面3bと密着するように平坦に形成されている。また、上面6aには、空間6dと連通する開口部6cが形成されている。開口部6cは、空間6dの内壁6gの上端から内方へ張り出した張出し部6eによって囲まれた空間に形成されている。張出し部6eは、可動ステージ7の上昇を制限する役割をしており、その裏面6fは、可動ステージ7aの上死点に設定されている。
【0028】
開口部6cは、可動ステージ7に載置された基板2が露出可能な大きさに形成されている。固定ステージ6の底面6bには、空間6d内の空気を排出するための排出口6eが形成されている。排出口6eには、空間6d内を減圧するための真空ポンプ10が接続されている。真空ポンプ10が作動すると、空間6d内の空気が排出口6eから排出され、空間6d内が減圧される。
【0029】
可動ステージ7は、基板2を載置するための部材である。可動ステージ7の略中央には、可動ステージ7の表面7aに載置された基板2を吸着するための貫通孔7cが形成されている。可動ステージ7の裏面7bと、固定ステージ6の空間6d内の底面6hとの間には、複数のコイルバネ8が介在されている。各コイルバネ8の下端はそれぞれ底面6hに取付けられており、上端はそれぞれ可動ステージ7の裏面7bに取付けられている。
つまり、可動ステージ7は、各コイルバネ8によって支持されており、各コイルバネ8の伸縮に応じて昇降可能になっている。
【0030】
可動ステージ7の厚さおよび各バネのバネ長は、基板2がスクリーンマスク3によって押圧されていない状態において、可動ステージ7に載置された基板2が固定ステージ6の開口部6cから上面6aを超えて突出するように設定されている。また、基板2の厚さには製造上の誤差があるが、どの基板でも開口部6cから突出するように可動ステージ7の厚さおよび各コイルバネのバネ長を設定する。コイルバネに代えて板バネ、ゴムなどの弾性部材を用いることもできる。
【0031】
また、可動ステージ7は、各コイルバネ8のバネ力によって上方へ付勢され、これによって可動ステージ7に載置された基板2がスクリーンマスク3の裏面3bに押し付けられる。その基板2がスクリーンマスク3に押し付けられる力、つまり各コイルバネ8のバネ力は、スクリーンマスク3が基板2を押さえ付ける力よりも小さくなるように設定されている。
【0032】
つまり、各コイルバネ8のバネ力が、スクリーンマスク3が基板2を押さえ付ける力よりも大きいと、スクリーンマスク3の開口部3cの開口端が上方へ反り返り、その開口端と基板2の塗布面2cとの間に隙間が形成され、その隙間に接着剤4が入り込み、無駄な接着剤4が増加し、かつ、接着剤4の塗布形状に誤差が発生するからである。
【0033】
可動ステージ7と空間6dの内壁6gとの間には、シール材9が介在されている。シール材9は、可動部材7の下方に形成された空間の気密性を維持するための部材である。そのようにシール部材9が配置されているため、真空ポンプ10が作動したときに可動ステージ7の上下の空間が非連通状態となり、可動ステージ7の下方に形成された空間を減圧することができる。
【0034】
(接着剤の塗布方法)
図3は、スキージを移動させた後の状態を示す説明図である。図4は、スクリーンマスクを外した状態を示す説明図である。図5は、接着剤の塗布工程を示す工程図である。
【0035】
(工程1)
基板2を可動ステージ7の表面7aに供給する(図5の工程1)。基板2を可動ステージ7の表面7aに供給するための装置としては、たとえば、基板2を吸着して所定位置に搬送する公知の吸着コレット装置を用いることができる。
【0036】
(工程2)
次に、真空ポンプ10を作動し、固定ステージ6の空間6d内を減圧し、基板2を可動ステージ7の表面7aに吸着させる。このとき、基板2の裏面2bは固定ステージ6の開口部6cから上方へ僅かに突出した状態になる。
【0037】
(工程3)
次に、図示しないスクリーンマスク搬送装置を作動し、スクリーンマスク3を基板2の直上へ移動させる。このとき、基板2の塗布面2cとスクリーンマスク3の開口部3cとが相対向した状態になる。
【0038】
(工程4)
次に、上記のスクリーンマスク搬送装置により、スクリーンマスク3を下降させ、スクリーンマスク3の裏面3bを基板2の裏面2bに押圧する。このとき、スクリーンマスク3が基板2を押圧する力の方が、各コイルバネ8が基板2を上方へ付勢する力よりも大きいため、各コイルバネ8が縮み、可動ステージ7が下降する。
【0039】
そして、スクリーンマスク3の裏面3bが、固定ステージ6の上面6aに当接した時点でスクリーンマスク3の下降が停止する。このとき、スクリーンマスク3の裏面3bと基板2の塗布面2cとが密着し、塗布面2cが固定ステージ6の開口部6cのスクリーンマスク3側の開口面6c1(図2)とが面一になる(図1)。
つまり、塗布面2cとスクリーンマスク3の裏面3bとの間に全く隙間が形成されていない状態を作ることができる。
【0040】
(工程5)
次に、接着剤供給装置を作動し、接着剤4をスクリーンマスク3の表面3aに供給する。そして、スキージ移動装置を作動し、スクリーンマスク3の表面3aに供給された接着剤4をスクリーンマスク3の表面3aに擦り付ける。これにより、スクリーンマスク3の開口部3cには、接着剤4が充填され、図3に示すように、開口部3cには、充填された接着剤4により形成された接着層4aが形成される。これにより、基板2の塗布面2cに接着剤4が塗布(印刷)されたことになる。
【0041】
(工程6)
次に、スクリーンマスク搬送装置を作動し、図4に示すように、スクリーンマスク3を上方へ離す。これにより、接着面2cに接着層4aが形成された基板2が完成する。
【0042】
(工程7)
次に、真空ポンプ10の作動を停止し、固定ステージ6の空間6dの減圧を解除する。これにより、基板2の可動ステージ7に対する吸着状態が解除される。
【0043】
(工程8)
次に、基板2を次工程へ排出するための基板排出装置(図示せず)を作動し、基板2をヒートシンクの取付工程などへ排出する。基板2を排出するための装置としては、たとえば、前述の吸着コレット装置を用いることができる。
【0044】
(実施形態の効果)
(1)複数のコイルバネ8の付勢力により、基板2およびスクリーンマスク3を密着させることができるため、従来のように、基板2およびスクリーンマスク3間に隙間が形成されることがない。
したがって、隙間に接着剤4が入り込むという事態が発生しないため、無駄な接着剤が増加せず、かつ、接着剤の塗布形状に誤差が発生することがない。
【0045】
(2)しかも、各コイルバネ8が基板2を付勢する付勢力が、スクリーンマスク3が基板2を押圧する力よりも小さいため、基板2がスクリーンマスク3を押し上げることにより、基板2およびスクリーンマスク3間に隙間が形成され難くすることができる。
【0046】
(3)また、スクリーンマスク3と密着した基板2の塗布面2cと、固定ステージ6に形成された開口部6cのスクリーンマスク3側の開口面6c1とが面一であるため、基板2およびスクリーンマスク3間に隙間がより一層形成され難くすることができる。
【0047】
(4)さらに、基板2の塗布面2cが固定ステージ6の開口部6cから突出しても、スクリーンマスク3によって基板2を押圧するときに、基板2が載置された可動ステージ7が各コイルバネ8による付勢力に抗して下降するため、スクリーンマスク3と密着した基板2の塗布面2cと、固定ステージ6に形成された開口部6cのスクリーンマスク3側の開口面6c1とを面一にすることができる。
したがって、基板2の厚さにばらつきが存在する場合であっても、どの基板2も可動ステージ7に載置したときに塗布面2cが固定ステージ6の開口部6cから突出するように設計しておくことにより、どの基板2もスクリーンマスク3と密着させることができるため、どの基板2もスクリーンマスク3との間で隙間が形成され難くすることができる。
【0048】
(5)さらに、真空ポンプ10を作動して基板2を可動ステージ7に吸着することができるため、接着剤4を基板2の塗布面2cに塗布する際に基板2がずれるおそれがない。
したがって、接着剤4の塗布形状に誤差が発生し難くすることができる。
【0049】
<他の実施形態>
(1)図6に示すように、コイルバネ8に代えてピストンシリンダ装置20を用い、ピストンの弾性力によって可動ステージ7を昇降可能に支持することもできる。ピストンシリンダ装置20としては、油圧式または空気圧式などを用いることができる。このピストンシリンダ装置20を用いた場合も、前述の実施形態と同じ効果を奏することができる。
【0050】
(2)図7に示すように、コイルバネ8に代えて永久磁石30,31を用い、同じ極性の面同士を相対向させて配置し、永久磁石30,31間に作用する斥力によって可動ステージ7を昇降可能に支持することもできる。この永久磁石30,31を用いた場合も、前述の実施形態と同じ効果を奏することができる。
【0051】
(3)図8に示すように、コイルバネ8に代えて永久磁石32,33を用い、異なる極性の面同士を相対向させて配置し、永久磁石32,33間に作用する引力によって可動ステージ7を昇降可能に支持することもできる。この永久磁石32,33を用いた場合も、前述の実施形態と同じ効果を奏することができる。なお、永久磁石32,33の一方または両方を電磁石にすることもできる。この構成によれば、磁力を調整することができるため、基板2およびスクリーンマスク3の密着力を調整することができる。
【0052】
(4)図9に示すように、基板2を吸着する構造を備えた可動ステージ40をピストンシリンダ装置41によって支持する構成でもよい。可動ステージは、真空チャック構造を備えており、真空ポンプ10と接続されている。可動ステージ40としては、たとえば、半導体ウエハを吸着する公知の真空チャックステージなどを用いることができる。
【0053】
また、可動ステージ40およびピストンシリンダ装置41を移動させるための移動装置を用い、その移動装置を作動して可動ステージ40およびピストンシリンダ装置41を移動させることにより、基板2を吸着した状態で搬入または搬出することもできる。これらの構成を用いた場合も前述の実施形態と同じ効果を奏することができる。また、可動ステージ40およびピストンシリンダ装置41が基板2を弾性力を以て支持する役割と、基板2を搬送する役割とを兼用しているため、その分、装置の製造コストを低減することができる。
【0054】
(5)図10に示すように、基板2を固定ステージ65に載置し、スクリーンマスク3を可動ステージ50に載置する構成でもよい、固定ステージ65は、上方に凸形状に形成されており、その上端に基板2が載置される。固定ステージ65の凸部には、基板2の載置面に連通する貫通孔66が形成されており、その貫通孔66には真空ポンプ10が接続されている。つまり、真空ポンプ10を作動して基板2を固定ステージ65に吸着する。
【0055】
固定ステージ65の凸部の両側には、複数のコイルバネ8を介して可動ステージ50が配置されている。スクリーンマスク3を基板2に押圧すると、各コイルバネ8が縮退し、可動ステージ50が下降し、基板2の塗布面2cとスクリーンマスク3の裏面3bとが面一になる。この構成を用いた場合も前述の実施形態と同じ効果を奏することができる。なお、この接着剤塗布装置が請求項2に係る発明に対応する。
【符号の説明】
【0056】
1・・接着剤塗布装置、2・・基板、3・・スクリーンマスク、4・・接着剤、
5・・スキージ、6・・固定ステージ、7・・可動ステージ、8・・コイルバネ、
9・・、シール材、10・・真空ポンプ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクリーン印刷法により、接着剤を基板に塗布するための接着剤塗布装置において、
前記基板を露出させるための開口部が形成されており、スクリーンマスクを載置する第1載置手段と、
前記接着剤の塗布面が前記第1載置手段に載置されたスクリーンマスクと対向し、かつ、前記開口部から露出するように前記基板を載置する第2載置手段と、
前記第2載置手段に載置された基板が前記第1載置手段に載置されたスクリーンマスクと密着するように前記第2載置手段を付勢する付勢手段と、を備えており、
前記第2載置手段は、前記付勢手段による付勢力に抗して移動可能に構成されてなることを特徴とする接着剤塗布装置。
【請求項2】
スクリーン印刷法により、接着剤を基板に塗布するための接着剤塗布装置において、
前記基板を露出させるための開口部が形成されており、スクリーンマスクを載置する第1載置手段と、
前記接着剤の塗布面が前記第1載置手段に載置されたスクリーンマスクと対向し、かつ、前記開口部から露出するように前記基板を載置する第2載置手段と、
前記第1載置手段に載置されたスクリーンマスクが前記第2載置手段に載置された基板と密着するように前記第1載置手段を付勢する付勢手段と、を備えており、
前記第1載置手段は、前記付勢手段による付勢力に抗して移動可能に構成されてなることを特徴とする接着剤塗布装置。
【請求項3】
前記付勢手段が前記第2載置手段を介して前記基板を付勢する力が、前記スクリーンマスクが前記基板を押圧する力よりも小さくなるように構成されてなることを特徴とする請求項1に記載の接着剤塗布装置。
【請求項4】
前記スクリーンマスクと密着した基板の塗布面と、前記開口部の前記スクリーンマスク側の開口面とが面一になるように構成されてなることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載の接着剤塗布装置。
【請求項5】
前記第2載置手段は、前記スクリーンマスクを前記第1載置手段に載置していないときに前記塗布面が前記開口部から突出するように前記基板を載置するように構成されてなることを特徴とする請求項4に記載の接着剤塗布装置。
【請求項6】
前記基板を前記第2載置手段に吸着する吸着手段を備えることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1つに記載の接着剤塗布装置。
【請求項1】
スクリーン印刷法により、接着剤を基板に塗布するための接着剤塗布装置において、
前記基板を露出させるための開口部が形成されており、スクリーンマスクを載置する第1載置手段と、
前記接着剤の塗布面が前記第1載置手段に載置されたスクリーンマスクと対向し、かつ、前記開口部から露出するように前記基板を載置する第2載置手段と、
前記第2載置手段に載置された基板が前記第1載置手段に載置されたスクリーンマスクと密着するように前記第2載置手段を付勢する付勢手段と、を備えており、
前記第2載置手段は、前記付勢手段による付勢力に抗して移動可能に構成されてなることを特徴とする接着剤塗布装置。
【請求項2】
スクリーン印刷法により、接着剤を基板に塗布するための接着剤塗布装置において、
前記基板を露出させるための開口部が形成されており、スクリーンマスクを載置する第1載置手段と、
前記接着剤の塗布面が前記第1載置手段に載置されたスクリーンマスクと対向し、かつ、前記開口部から露出するように前記基板を載置する第2載置手段と、
前記第1載置手段に載置されたスクリーンマスクが前記第2載置手段に載置された基板と密着するように前記第1載置手段を付勢する付勢手段と、を備えており、
前記第1載置手段は、前記付勢手段による付勢力に抗して移動可能に構成されてなることを特徴とする接着剤塗布装置。
【請求項3】
前記付勢手段が前記第2載置手段を介して前記基板を付勢する力が、前記スクリーンマスクが前記基板を押圧する力よりも小さくなるように構成されてなることを特徴とする請求項1に記載の接着剤塗布装置。
【請求項4】
前記スクリーンマスクと密着した基板の塗布面と、前記開口部の前記スクリーンマスク側の開口面とが面一になるように構成されてなることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載の接着剤塗布装置。
【請求項5】
前記第2載置手段は、前記スクリーンマスクを前記第1載置手段に載置していないときに前記塗布面が前記開口部から突出するように前記基板を載置するように構成されてなることを特徴とする請求項4に記載の接着剤塗布装置。
【請求項6】
前記基板を前記第2載置手段に吸着する吸着手段を備えることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1つに記載の接着剤塗布装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−172846(P2010−172846A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−19823(P2009−19823)
【出願日】平成21年1月30日(2009.1.30)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年1月30日(2009.1.30)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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