説明

接着式ブラジャー用粘着剤

【課題】本発明は、胸の素肌、即ち、乳房に接着式ブラジャーを密着させて、その脱落を防止するばかりではなく、乳房に接触しても、乳房に炎症等を引き起こすことがない、新規な接着式ブラジャー用粘着剤を提供する。
【解決手段】本発明は、(A)N,N−ジメチルアクリルアミド・(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル・(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル共重合体を含む接着式ブラジャー用粘着剤である。好ましくは、更に、(B)可塑剤、好ましくは、1,3−ブチレングリコール、グリセリン、(C)溶媒、好ましくは、エタノール、及び、(D)スプレー用噴射剤、好ましくはジメチルエーテルを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接着式ブラジャー用粘着剤(接着剤)に関し、更に詳しくは、女性の胸の素肌、即ち、乳房に接着式ブラジャーを密着させて、その脱落を防止するために使用する接着式ブラジャー用粘着剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、女性の胸の素肌、即ち、乳房を保護するためのブラジャーとしては、肩紐や、腋から背中に回すベルト、腋バンドなどが付属しているブラジャーが知られていた。しかし、このようなブラジャーでは、肩紐は、肩に違和感を与え、かつ、ずれ落ちによる不快感を与える。また、腋から背中に回すベルト及びバンド等は、胸及び背に圧迫感及び違和感を与える。近年、女性ファッションの著しい変化から、例えば、大胆な肩出しファッションや背中出しファッション等が流行してきている。このような肩出しファッションや背中出しファッションの際には、上記従来のブラジャーでは、衣服から、ブラジャーの肩紐やベルト及びバンド等が外部に露出してしまい、折角の肩出しファッションや背中出しファッションが、却って、美感を損なう結果となってしまう。また、ブラジャーの肩紐やベルト及びバンド等の輪郭線が、衣服の外観に現れることを嫌う女性も多い。その一方、これら肩紐やベルト及びバンド等の外部への露出等を嫌うのであれば、ブラジャーを着用しないという方法もある。しかし、これでは周囲の人々に少なからず不快感を与えるばかりではなく、女性の乳房を保護するという本来の目的を達し得ない。そこで、近年、肩紐や、腋から背中に回すベルト及びバンド等を使用して乳房に固定する必要がなく、ブラジャー自体を乳房に密着させることにより、乳房に固定することができる接着式ブラジャーが開発された。該接着式ブラジャーとしては、例えば、特殊シリコーン製の接着式ブラジャー、例えば、ヌーブラ(登録商標、ブラゲル
インターナショナル インコーポレイテッド製)、カップ部に軟式ポリウレタンフォームを使用したカップ部のみの接着式ブラジャー(特許文献1)、例えば、バストフリー(登録商標、株式会社ダナセオリー)、上記のヌーブラに類似する中国製のシリコーン製接着式ブラジャー、各種のストラップレスシリコーン製ブラジャー、各種のシリコーン製ニプレス等が知られている。
【0003】
上記の特殊シリコーン製の接着式ブラジャー、例えば、ヌーブラは、カップ部のみから成り、シリコーン素材の粘着性と弾力性とを利用することにより、カップ部の内側面に皮膚との接着性がよく、繰り返し使用が可能な接着剤層を形成した構造となっている。2個のカップ部は前部のホックにより着脱可能に構成されており、夫々のカップ部を左右の乳房に個別に位置決め装着することにより、接着剤層を各乳房に密着状態で接着して、前部ホックにて両カップ部を連結することにより着用するものである。また、上記の軟式ポリウレタンフォームを使用したカップ部のみの接着式ブラジャーは、カップ部に軟式ポリウレタンフォームを使用し、乳房との接触面に柔軟で人体に対する密着性のよい音響結合用高分子ゲルを接着することにより、ブラジャーを乳房に密着させて使用するものである。しかし、このような特殊な素材の接着式ブラジャーであっても着脱を繰り返すと、その粘着性及び弾力性が低下して、十分に乳房に密着しなくなり、使用中に脱落するというおそれも生ずる。また、新品の接着式ブラジャーであっても、使用中に脱落するのではないかと言った不信感から、接着式ブラジャーの使用を躊躇する女性も多いという問題もあった。
【0004】
従来、衣類が肌からずれないようにするために使用する粘着剤としては、靴下が足からずれ落ちないようにするために使用するソックタッチ(商標、株式会社白元)が知られている。ソックタッチは靴下以外にも、衣類全般に使用可能ともいわれているが、該商品は、本来、足に靴下を固定するためのものである。従って、乳房にブラジャーを固定するためのものではなく、とりわけ、女性の乳房と言う人間の皮膚の中でも薬品等に著しく敏感な箇所に使用するには、安全性の観点からも問題があった。また、これを無理に使用したとしても十分な密着性は得られなかった。また、これ以外にも、素肌に使用する粘着剤としては、ハップ剤、医療用テープ等に使用している粘着剤が知られているが、いずれも、女性の乳房と言う人間の皮膚の中でも薬品等に敏感な箇所に使用するには、安全性の観点から問題があった。
【0005】
一方、ジメチルアクリルアミド・アクリル酸ヒドロキシエチル・アクリル酸メトキシエチル共重合体は、化粧品分野において利用されており、例えば、ヘアスプレー、シャンプー、マニュキア等の一成分として使用されている(特許文献2及び3)。また、該共重合体は、インキ等の一成分としても知られている(特許文献4及び5)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−316044公報
【特許文献2】特開2005−113124公報
【特許文献3】特開2004−196800公報
【特許文献4】特表2005−537363公報
【特許文献5】特表2005−532464公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、胸の素肌、即ち、乳房に接着式ブラジャーを密着させて、その脱落を防止するばかりではなく、乳房に接触しても、乳房に炎症等を引き起こすことがない、新規な接着式ブラジャー用粘着剤を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記の課題を解決すべく種々の検討を試みた。その結果、N,N−ジメチルアクリルアミド・(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル・(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル共重合体を使用すれば、接着式ブラジャーを胸の素肌、即ち、乳房に密着させて、その脱落を効果的に防止し得、かつ、該共重合体は、接着式ブラジャーを介して乳房に接触しても、乳房に炎症等を引き起こすことがないことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち、本発明は
(1)(A)N,N−ジメチルアクリルアミド・(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル・(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル共重合体を含む接着式ブラジャー用粘着剤である。
【0010】
好ましい態様として、
(2)上記(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルが、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル及び(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピルより成る群から選ばれる一つ以上である、上記(1)記載の接着式ブラジャー用粘着剤、
(3)上記(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルが、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチルである、上記(1)記載の接着式ブラジャー用粘着剤、
(4)上記(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルが、(メタ)アクリル酸メトキシエチル及び(メタ)アクリル酸エトキシエチルより成る群から選ばれる一つ以上である、上記(1)〜(3)のいずれか一つに記載の接着式ブラジャー用粘着剤、
(5)上記(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルが、(メタ)アクリル酸メトキシエチルである、上記(1)〜(3)のいずれか一つに記載の接着式ブラジャー用粘着剤、
(6)成分(A)の重量平均分子量が、1,000〜30,000である、上記(1)〜(5)のいずれか一つに記載の接着式ブラジャー用粘着剤、
(7)成分(A)の重量平均分子量が、1,000〜25,000である、上記(1)〜(5)のいずれか一つに記載の接着式ブラジャー用粘着剤、
(8)成分(A)の重量平均分子量が、1,000〜20,000である、上記(1)〜(5)のいずれか一つに記載の接着式ブラジャー用粘着剤、
(9)更に、(B)可塑剤を含む、上記(1)〜(8)のいずれか一つに記載の接着式ブラジャー用粘着剤、
(10)成分(B)が、多価アルコール及び脂肪酸エステルより成る群から選ばれる一つ以上である、上記(9)記載の接着式ブラジャー用粘着剤、
(11)成分(B)が、1,3−ブチレングリコール及びグリセリンより成る群からから選ばれる一つ以上である、上記(9)記載の接着式ブラジャー用粘着剤、
(12)成分(B)がグリセリンである、上記(9)記載の接着式ブラジャー用粘着剤、
(13)成分(B)を、成分(A)100質量部に対して5〜50質量部含む、上記(1)〜(12)のいずれか一つに記載の接着式ブラジャー用粘着剤、
(14)成分(B)を、成分(A)100質量部に対して10〜35質量部含む、上記(1)〜(12)のいずれか一つに記載の接着式ブラジャー用粘着剤、
(15)成分(B)を、成分(A)100質量部に対して17〜27質量部含む、上記(1)〜(12)のいずれか一つに記載の接着式ブラジャー用粘着剤、
(16)更に、(C)溶媒を含む、上記(1)〜(15)のいずれか一つに記載の接着式ブラジャー用粘着剤、
(17)成分(C)が極性溶媒である、上記(16)記載の接着式ブラジャー用粘着剤、
(18)成分(C)が、エタノール、イソプロピルアルコール及び水より成る群からから選ばれる一つ以上である、上記(17)記載の接着式ブラジャー用粘着剤、
(19)成分(C)が、エタノールである、上記(17)記載の接着式ブラジャー用粘着剤、
(20)成分(C)を、成分(A)及び(B)の合計100質量部に対して、50〜700質量部含む、上記(1)〜(19)のいずれか一つに記載の接着式ブラジャー用粘着剤、
(21)成分(C)を、成分(A)及び(B)の合計100質量部に対して、150〜550質量部含む、上記(1)〜(19)のいずれか一つに記載の接着式ブラジャー用粘着剤、
(22)成分(C)を、成分(A)及び(B)の合計100質量部に対して、250〜450質量部含む、上記(1)〜(19)のいずれか一つに記載の接着式ブラジャー用粘着剤、
(23)成分(C)を、成分(A)及び(B)の合計100質量部に対して、350〜400質量部含む、上記(1)〜(19)のいずれか一つに記載の接着式ブラジャー用粘着剤、
(24)更に、(D)スプレー用噴射剤を含む、上記(1)〜(23)のいずれか一つに記載の接着式ブラジャー用粘着剤、
(25)成分(D)が、ジメチルエーテルである、上記(24)記載の接着式ブラジャー用粘着剤、
(26)成分(D)を、成分(A)及び(B)の合計100質量部に対して、500〜5,000質量部含む、上記(1)〜(25)のいずれか一つに記載の接着式ブラジャー粘着剤、
(27)成分(D)を、成分(A)及び(B)の合計100質量部に対して、800〜4,000質量部含む、上記(1)〜(25)のいずれか一つに記載の接着式ブラジャー用粘着剤、
(28)成分(D)を、成分(A)及び(B)の合計100質量部に対して、1,000〜3,000質量部含む、上記(1)〜(25)のいずれか一つに記載の接着式ブラジャー用粘着剤
(29)成分(D)を、成分(A)及び(B)の合計100質量部に対して、2,100〜2,500質量部含む、上記(1)〜(25)のいずれか一つに記載の接着式ブラジャー用粘着剤、
(30)(A)N,N−ジメチルアクリルアミド・(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル・(メタ)アクリル酸メトキシエチル共重合体 100質量部、及び、
(B)グリセリン 17〜27質量部
を含み、かつ、上記成分(A)及び(B)の合計100質量部に対して、更に、
(C)エタノール 350〜400質量部、及び、
(D)ジメチルエーテル 2,100〜2,500質量部
含む接着式ブラジャー用粘着剤
を挙げることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の接着式ブラジャー用粘着剤によれば、胸の素肌、即ち、乳房に接着式ブラジャーを密着させて、その脱落を効果的に防止することができる。とりわけ、着脱を繰り返して、粘着性及び弾力性が低下した接着式ブラジャーに使用した際、接着式ブラジャーの乳房への密着性を確保することができる。また、本発明の接着式ブラジャー用粘着剤は、接着式ブラジャーを介して乳房に接触しても、乳房に炎症等を引き起こすことがない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、粘着性試験に使用した試験片の概略図である。
【図2】図2は、粘着性試験に使用した球転装置の概略図である。
【図3】図3は、閉鎖法パッチテストにおける各試料の貼付部位を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の接着式ブラジャー用粘着剤は、成分(A)N,N−ジメチルアクリルアミド・(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル・(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル共重合体を含む。該共重合体は、N,N−ジメチルアクリルアミド[CH=CH−C(=O)−N−(CH]と(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルと(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルとを任意の割合で共重合したものである。上記の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルとしては、好ましくは、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル及び(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピルより成る群から選ばれる一つ以上が使用される。より好ましくは、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル[CH=CH−C(=O)−O−CH−CH−OH,CH=C(CH)−C(=O)−O−CH−CH−OH]が使用される。また、上記の(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルとしては、好ましくは、(メタ)アクリル酸メトキシエチル及び(メタ)アクリル酸エトキシエチルより成る群から選ばれる一つ以上が使用される。より好ましくは、(メタ)アクリル酸メトキシエチル[CH=CH−C(=O)−O−CH−CH−OCH,CH=C(CH)−C(=O)−O−CH−CH−OCH]が使用される。該成分(A)を使用することにより、乳房への接着式ブラジャーのより良好な密着性及び接着性を担保することができる。成分(A)N,N−ジメチルアクリルアミド・(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル・(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル共重合体は、下記の成分(C)溶媒に溶解するものであれば、特に制限はない。例えば、成分(C)溶媒として、エタノールを使用した際には、成分(A)は、該溶媒としてのエタノールに溶解するものであればよい。好ましくは、成分(A)N,N−ジメチルアクリルアミド・(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル・(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル共重合体の重量平均分子量は、1,000〜30,000、より好ましくは1,000〜25,000、更に好ましくは1,000〜20,000、より更に好ましくは5,000〜15,000である。成分(A)の共重合体において、N,N−ジメチルアクリルアミドと(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルと(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルとの割合は、上記の重量平均分子量の範囲内であれば任意であるが、N,N−ジメチルアクリルアミドが、成分(A)の共重合体中、好ましくは10〜99質量%、より好ましくは10〜90質量%である。
【0014】
成分(A)N,N−ジメチルアクリルアミド・(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル・(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル共重合体の製造方法に特に制限はなく、従来から公知の方法、例えば、溶液重合法等が使用される。溶液重合法においては、例えば、親水性溶媒中に各モノマー成分及び重合開始剤を添加して反応溶液を調製し、これを窒素気流下において溶媒の沸点又はその近傍で撹拌下に反応させることにより、上記成分(A)の共重合体を製造することができる。ここで、親水性溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノール、ブタノール等の脂肪族アルコール、アセトン、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、その他公知の溶媒を使用することができる。また、重合開始剤としては、例えば、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル等の過酸化物、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、1,1’−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル等のアゾ系化合物、その他の公知の重合開始剤を使用することができる。また、上記の反応溶液には、分子量調節等のため必要に応じて連鎖移動剤が添加されていてもよい。連鎖移動剤としては、例えば、ラウリルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、チオグリセロール等のメルカプタン基を有する化合物、次亜リン酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム等の無機塩等が使用される。
【0015】
本発明の接着式ブラジャー用粘着剤には、成分(A)N,N−ジメチルアクリルアミド・(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル・(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル共重合体に加えて、成分(B)可塑剤を含むことができる。成分(B)可塑剤としては、成分(A)N,N−ジメチルアクリルアミド・(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル・(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル共重合体に可塑性を付与し得るものであればいずれのものであってもよい。好ましくは、多価アルコール、脂肪酸エステル、界面活性剤、例えば、ノニオン系界面活性剤等を使用することができる。これらのうち、多価アルコールが好ましく使用され、多価アルコールとしては、例えば、1,3−ブチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール等を使用することができる。これらのうち、好ましくは1,3−ブチレングリコール及びグリセリンより成る群からから選ばれる一つ以上を使用することができる。より好ましくはグリセリンを使用することができる。成分(B)可塑剤の含有量は、上限が、成分(A)100質量部に対して、好ましくは50質量部、より好ましくは35質量部、更に好ましくは27質量部であり、下限が、成分(A)100質量部に対して、好ましくは5質量部、より好ましくは10質量部、更に好ましくは17質量部である。上記上限を超えては、本発明の接着式ブラジャー用粘着剤の効果を阻害し、乳房への接着式ブラジャーの密着性の低下を生じ、一方、上記下限未満では、成分(B)の可塑剤としての効果を十分に発揮することができない。
【0016】
本発明の接着式ブラジャー用粘着剤には、成分(A)N,N−ジメチルアクリルアミド・(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル・(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル共重合体、及び、成分(B)可塑剤に加えて、更に、成分(C)溶媒を含むことができる。成分(C)溶媒としては、好ましくは極性溶媒、例えば、エタノール、イソプロピルアルコール、水等を使用することができる。これらのうち、好ましくは、エタノールを使用することができる。成分(C)溶媒の含有量は、上限が、成分(A)及び(B)の合計100質量部に対して、好ましくは700質量部、より好ましくは550質量部、更に好ましくは450質量部、特に好ましくは400質量部であり、下限が、成分(A)100質量部に対して、好ましくは50質量部、より好ましくは150質量部、更に好ましくは250質量部であり、特に好ましくは350質量部である。上記上限を超えては、本発明の接着式ブラジャー用粘着剤の塗布後の乾燥に長時間を要し、一方、上記下限未満では、成分(C)の溶媒としての効果を十分に発揮することができない。
【0017】
本発明の接着式ブラジャー用粘着剤をスプレー状にして使用するに際しては、成分(A)N,N−ジメチルアクリルアミド・(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル・(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル共重合体、成分(B)可塑剤、及び、成分(C)溶媒に加えて、更に、成分(D)スプレー用噴射剤を含むことができる。成分(D)スプレー用噴射剤としては、いわゆる缶スプレーに使用し得るものであれば特に制限はない。例えば、ジメチルエーテル、二酸化炭素、窒素、フロン等が挙げられ、好ましくは、ジメチルエーテルを使用することができる。成分(D)スプレー用噴射剤の含有量は、上限が、成分(A)及び(B)の合計100質量部に対して、好ましくは5,000質量部、より好ましくは4,000質量部、更に好ましくは3,000質量部、特に好ましくは2,500質量部であり、下限が、成分(A)100質量部に対して、好ましくは500質量部、より好ましくは800質量部、更に好ましくは1,000質量部であり、特に好ましくは2,100質量部である。上記上限を超えては、単位体積当たりに含まれる成分(A)の量が減少し、接着式ブラジャー用粘着剤としての所定の効果を発揮するためには相当量の剤を使用しなければならず、一方、上記下限未満では、スプレー用噴射剤としての効果を十分に発揮することができない。
【0018】
本発明の接着式ブラジャー用粘着剤には、上記の成分(A)、(B)、(C)及び(D)に加えて、本発明の効果を損なわない範囲で、例えば、香料、消臭剤、抗菌剤等を含めることができる。また、本発明の接着式ブラジャー用粘着剤は、好ましくは、成分(C)溶媒を含めた液状で使用することができ、より好ましくは、成分(D)スプレー用噴射剤を耐圧容器に加圧封入して、スプレー状にして使用することができる。
【0019】
本発明において、接着式ブラジャーとは、肩紐や、腋から背中に回すベルト及びバンド等を使用して乳房に固定する必要がなく、ブラジャー自体を乳房に密着させることにより、乳房に固定することができるブラジャーを言う。該接着式ブラジャーとしては、例えば、特殊シリコーン製の接着式ブラジャー、例えば、ヌーブラ(登録商標、ブラゲル
インターナショナル インコーポレイテッド製)、カップ部に軟式ポリウレタンフォームを使用したカップ部のみの接着式ブラジャー、例えば、バストフリー(登録商標、株式会社ダナセオリー)、上記のヌーブラに類似する中国製のシリコーン製接着式ブラジャー、各種のストラップレスシリコーン製ブラジャー、各種のシリコーン製ニプレス等が挙げられる。本発明の接着式ブラジャー用粘着剤は、新品のこれらの接着式ブラジャーに有効であるばかりではなく、これらの接着式ブラジャーを繰り返して着脱したことにより、粘着性及び弾力性が低下した接着式ブラジャーに特に有効である。もちろん、本発明の接着式ブラジャー用粘着剤は、接着式ブラジャーの接着に限定されることなく、一般的なブラジャーのずれ防止にブラジャー用粘着剤として使用することができ、更には、一般的な肌着のずれ防止にも肌着用粘着剤として使用することができる。
【0020】
以下の実施例において、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。
【実施例】
【0021】
下記の実施例1及び2における粘着性及び皮膚安全性の評価試験は、下記の通りに実施した。
【0022】
<粘着性>
該試験は、JIS Z 0237に準拠して実施した。台紙として、縦20cm×横15cm×厚さ25μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを準備した。次いで、実施例1及び2で調製した接着式ブラジャー用粘着剤を、ベーカーアプリケーター(株式会社井元製作所製BAP−4型)を使用して0.1mmの厚さで均一になるように、該フィルムの一面全体に塗布した。ここで、使用した接着式ブラジャー用粘着剤は、実施例1及び2において、成分(D)スプレー用噴射剤を加える前の、成分(A)N,N−ジメチルアクリルアミド・アクリル酸−2−ヒドロキシエチル・アクリル酸メトキシエチル共重合体、成分(B)グリセリン又は1,3−ブチレングリコール、及び、成分(C)エタノールの混合物である。次いで、接着式ブラジャー用粘着剤を塗布した該フィルムを、窒素雰囲気下にて50℃で2時間乾燥した。乾燥後、接着式ブラジャー用粘着剤を塗布した該フィルム面の縦20cmのうち、10cmの部分に厚さ25μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを張り付け、図1に示すように、接着式ブラジャー用粘着剤の塗布面(1)が10cmだけ露出するようにして、試験片(A)を作成した。
【0023】
別途、粘着性試験用の球転装置(B)を準備した。該球転装置(B)の傾斜板(3)の傾斜角は30度である。該傾斜板(3)上に試験片(A)を、ポリエチレンテレフタレートフィルムを張り付けた10cmの部分の面(2)が上部になり、かつ、接着式ブラジャー用粘着剤の塗布面(1)が下部になるようにし粘着テープを用いて固定した。該球転装置(B)の概略を図2に示した。次いで、メチルアルコールを使用してよく洗浄したボール(JIS G 4805に規定する高炭素クロム軸受鋼鋼材のSUJ2)(4)を、試験片の最上部である滑走起点(5)にセットした。次いで、ボール(4)を固定しているゲート(図示せず)を上げることによりボール(4)を転がした。ボールの大きさを種々変化させて実施し、ポリエチレンテレフタレートフィルムを張り付けた面と接着式ブラジャー用粘着剤の塗布面との境界(6)から最も近い位置に停止したボールの大きさで評価した。ボールの大きさが大きいほど、粘着性が高いことを示す。ここで、使用したボールの大きさは、1/32インチをNo.1、2/32インチをNo.2、3/32インチをNo.3、4/32インチをNo.4、5/32インチをNo.5、・・・・・、32/32をNo.32とした。
【0024】
<皮膚安全性>
試料として、実施例1及び2で調製した、成分(A)N,N−ジメチルアクリルアミド・アクリル酸−2−ヒドロキシエチル・アクリル酸メトキシエチル共重合体2.919質量部に成分(C)エタノール1.251質量部を加えたN,N−ジメチルアクリルアミド・アクリル酸−2−ヒドロキシエチル・アクリル酸メトキシエチル共重合体液(成分(A)70質量%、成分(C)30質量%)を使用し、これに注射用水(日本薬局方、扶桑薬品工業株式会社製)を加えて、体積で7倍及び20倍に希釈したものを使用した。以下において、夫々、7倍希釈液(成分(A)10質量%溶液)及び20倍希釈液(成分(A)3.5質量%溶液)と言うことがある。これらの試料を使用して、下記の試験I(閉塞試験)及び試験II(開放試験)を実施した。これらの試験は、「医薬品の安全性に関する非臨床試験の実施の基準に関する省令」(厚生省令第21号、平成9年3月26日)に準じて実施し、試験I(閉塞試験)はDraizeの方法に準じて実施し、試験II(開放試験)は「化粧品の安全性評価に関する指針(日本化粧品工業連合会技術委員会、2001)」に準じて実施した。
【0025】
試験I(閉塞試験)
試験に使用した動物は日本白色種ウサギ(オス)3匹である。バリカンで毛刈した各ウサギの背部に2.5cm×2.5cmの貼付部位を、正中線に対し左右3ヶ所ずつ合計6ヶ所設けた。貼付部位のうち、右側3ヶ所を健常皮膚(無傷部位)とし、左側3ヶ所には滅菌注射針を用いて真皮に傷がついたり出血しない程度に井桁上に擦過傷をつくり、損傷皮膚(擦過部位)とした。7倍希釈液0.5ミリリットルを2.5cm×2.5cmのリント布に塗布し、無傷部位及び擦過部位の夫々1ヶ所ずつ合計2ヶ所に閉塞貼付した。更に、20倍希釈液0.5ミリリットルを2.5cm×2.5cmのリント布に塗布し、無傷部位及び擦過部位の夫々1ヶ所ずつ合計2ヶ所に閉塞貼付した。無傷部位及び擦過部位の残り各1ヶ所は対照部位とし、2.5cm×2.5cmのリント布のみを閉塞貼付した。貼付後、外科用テープ(3M Health Care社製Blenderm(商標))によりリント布の移動を防ぎ、その上から保護衣をつけた。貼付24時間後にリント布を取り除き、貼付部位を微温油で清拭除去した。貼付後、24.5時間後(リント布除去後30分間後)、48時間後(リント布除去後24時間後)、及び72時間後(リント布除去後48時間後)において、貼付部位及びその周囲の紅斑(痂皮)と浮腫の兆候について観察した。
【0026】
試験II(開放試験)
試験に使用した動物はHartley系モルモット(メス)3匹である。バリカンで毛刈した各モルモットの背部(側腹部)に直径約1.5cmの適用部位を左右1ヶ所ずつ合計2ヶ所設けた。このうちの1ヶ所に、7倍希釈液、残りの1ヶ所に20倍希釈液を夫々0.03ミリリットル塗布した。また、塗布期間中、2〜3日に1回の割合でモルモットの毛刈を実施した。塗布は1日1回、14日間(合計14回)継続して実施した。毎日の塗布前及び最終塗布の翌日に、残存した被験物質(試料)を微温湯で清拭除去した後、塗布部位及びその周囲の紅斑(痂皮)と浮腫の兆候について観察した。
【0027】
(実施例1)
成分(A)N,N−ジメチルアクリルアミド・アクリル酸−2−ヒドロキシエチル・アクリル酸メトキシエチル共重合体(重量平均分子量:10,000)2.919質量部に成分(C)エタノール1.251質量部を加えて、室温でよく混合して、N,N−ジメチルアクリルアミド・アクリル酸−2−ヒドロキシエチル・アクリル酸メトキシエチル共重合体液を調製した。次いで、これに成分(B)グリセリン0.670質量部を加えて、室温でよく混合した後、更に、成分(C)エタノール11.830質量部を加えて、同じく室温でよく混合して、成分(A)N,N−ジメチルアクリルアミド・アクリル酸−2−ヒドロキシエチル・アクリル酸メトキシエチル共重合体を完全に溶解した後、体積約130ミリリットルのスプレー缶に充填した。次いで、成分(D)スプレー用噴射剤として、ジメチルエーテル83.33質量部を充填して、スプレー状の接着式ブラジャー用粘着剤を調製した。ここで、粘着性の評価試験には、成分(D)スプレー用噴射剤を添加する前の、成分(A)N,N−ジメチルアクリルアミド・アクリル酸−2−ヒドロキシエチル・アクリル酸メトキシエチル共重合体、成分(B)グリセリン、及び、成分(C)エタノールの混合物を使用した。また、皮膚安全性の評価試験には、成分(A)N,N−ジメチルアクリルアミド・アクリル酸−2−ヒドロキシエチル・アクリル酸メトキシエチル共重合体2.919質量部に成分(C)エタノール1.251質量部を加えたN,N−ジメチルアクリルアミド・アクリル酸−2−ヒドロキシエチル・アクリル酸メトキシエチル共重合体液(成分(A)70質量%、成分(C)30質量%)を使用した。
【0028】
成分(A)N,N−ジメチルアクリルアミド・アクリル酸−2−ヒドロキシエチル・アクリル酸メトキシエチル共重合体の重量平均分子量は、該成分(A)をテトラヒドロフランに溶解しゲルパーミエーションクロマトクラフィー(昭和電工株式会社製SHODEX SYSTEM 11(商標))を使用して測定した。測定条件は次の通りである。カラム:SHODEX KF−800P、KF−805、KF−803、KF−801を4本直列に接続したもの、移動相:テトラヒドロフラン、流量:1ミリリットル、カラム温度:45℃,検出器:示唆屈折計RI、換算:ポリスチレン
【0029】
(実施例2)
グリセリンに代えて1,3−ブチレングリコールを使用した以外は、実施例1と同一に実施して、接着式ブラジャー用粘着剤を調製した。ここで、粘着性の評価試験には、成分(D)スプレー用噴射剤を添加する前の、成分(A)N,N−ジメチルアクリルアミド・アクリル酸−2−ヒドロキシエチル・アクリル酸メトキシエチル共重合体、成分(B)1,3−ブチレングリコール、及び、成分(C)エタノールの混合物を使用した。また、皮膚安全性の評価試験には、実施例1と同一の共重合体液を使用した。
【0030】
実施例1及び2の結果を表1に示した。表1中、成分(A)、(B)、(C)及び(D)の数値の単位はいずれも質量部である。
【0031】
【表1】

【0032】
実施例1の粘着性評価試験では、No.4のボール(4/32インチ)がポリエチレンテレフタレートフィルムを張り付けた面と接着式ブラジャー用粘着剤の塗布面との境界(6)から1cm以内の地点で停止した。また、実施例2では、No.1のボール(1/32インチ)がポリエチレンテレフタレートフィルムを張り付けた面と接着式ブラジャー用粘着剤の塗布面との境界(6)から2cm以内の地点で停止した。このように、実施例1及び2共に、製造された接着式ブラジャー用粘着剤は良好な粘着性を示した。また、これらの結果から、実施例1で製造された接着式ブラジャー用粘着剤の粘着性がより良好であることが分かった。また、皮膚安全性の試験結果から、実施例1及び2共に、ウサギ及びモルモットに紅斑及び浮腫が全く見られず、皮膚に対する安全性が高いことが確認された。
【0033】
また、着脱を繰り返して密着性が悪くなっている接着式ブラジャー(ブラゲル
インターナショナル インコーポレイテッド製のヌーブラ、及び、株式会社ダナセオリー製のバストフリー)に、これらの接着式ブラジャー用粘着剤を実際に塗布して接着式ブラジャーを乳房に着けて試験したところ、このように密着性の悪くなった接着式ブラジャーでも新品以上の密着性を再現することができることが分かった。また、これらの接着式ブラジャー用粘着剤を使用することにより、使用中に接着式ブラジャーが乳房から脱落することはなかった。また、これらの接着式ブラジャー用粘着剤の使用により、乳房にかゆみを生じたり、紅斑、浮腫等を生じたりするようなことは全くなかった。
【0034】
下記の実施例3における人体に対する皮膚安全性の評価試験(閉鎖法パッチテスト)は、下記の通りに実施した。
【0035】
<閉鎖法パッチテスト>
試料として、実施例3で調製したN,N−ジメチルアクリルアミド・アクリル酸−2−ヒドロキシエチル・アクリル酸メトキシエチル共重合体液を使用した。また、対照試料として、生理食塩水及び白色ワセリンを使用した。閉鎖法パッチテストは、「皮膚刺激性・感作性試験の実施法と皮膚性状計測および評価」、第1章皮膚刺激性試験、第3節ヒトパッチテスト(p29)に準拠して実施した。
【0036】
被験者は成人女性20名とした。各試料を貼付する前に、各被験者の貼付部位を撮影した。次いで、各試料を適量(液体は0.03ミリリットル程度)充填した皮膚テスト用パッチテープ(鳥居薬品株式会社製パッチテスター「トリイ」(商標))を各部位に貼付した。各試料の貼付部位は図3に示す通りである。図3において、丸付き数字1が、上記のN,N−ジメチルアクリルアミド・アクリル酸−2−ヒドロキシエチル・アクリル酸メトキシエチル共重合体液を充填した皮膚テスト用パッチテープを貼付して箇所を示し、丸付き数字2が、生理食塩水を貼付した箇所を示し、丸付き数字3が、白色ワセリンを貼付した箇所を示す。各試料を充填した皮膚テスト用パッチテープの貼付24時間後に、これらのパッチテープを剥離した。そして、剥離60分後及び24時間後の各被験者の皮膚の状態を目視観察し、試料貼付前の各貼付部位の写真と比較して判定した。
【0037】
判定基準は、下記の表2の通りである。剥離60分後及び24時間後の各被験者の皮膚の状態を観察し、判定基準に照らして判定した。
【表2】

【0038】
(実施例3)
実施例1で使用したと同一の成分(A)N,N−ジメチルアクリルアミド・アクリル酸−2−ヒドロキシエチル・アクリル酸メトキシエチル共重合体(重量平均分子量:10,000)25.0000質量部に、成分(B)グリセリン4.0000質量部及び成分(C)エタノール71.0000質量部を加えて、室温でよく混合して、N,N−ジメチルアクリルアミド・アクリル酸−2−ヒドロキシエチル・アクリル酸メトキシエチル共重合体液(成分(A)25質量%、成分(B)4質量%、成分(C)71質量%)を調製した。これを閉鎖法パッチテスト用の試料として使用した。テスト結果は、下記の表3の通りである。
【0039】
【表3】

【0040】
表3の結果から明らかなように、N,N−ジメチルアクリルアミド・アクリル酸−2−ヒドロキシエチル・アクリル酸メトキシエチル共重合体液はヒトの皮膚に対して安全であることが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明の接着式ブラジャー用粘着剤によれば、胸の素肌、即ち、乳房に接着式ブラジャーを密着させて、その脱落を効果的に防止することができる。とりわけ、着脱を繰り返して、粘着性及び弾力性が低下した接着式ブラジャーに使用した際、接着式ブラジャーの乳房への密着性を確保することができる。また、本発明の接着式ブラジャー用粘着剤は、接着式ブラジャーを介して乳房に接触しても、乳房に炎症等を引き起こすことがない。従って、今後、接着式ブラジャー用粘着剤として、更には、衣服、例えば、肌着、従来のブラジャーのずれを防止するための粘着剤としての使用が大いに期待される。
【符号の説明】
【0042】
A 接着式ブラジャー用粘着剤の粘着性測定用試験片
B 粘着性試験用球転装置
1 接着式ブラジャー用粘着剤塗布面
2 ポリエチレンテレフタレートフィルムを張り付けた面
3 傾斜板
4 ボール
5 滑走起点
6 ポリエチレンテレフタレートフィルムを張り付けた面と接着式ブラジャー用粘着剤の塗布面との境界
7 助走距離(10cm)
8 滑走距離(10cm)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)N,N−ジメチルアクリルアミド・(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル・(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル共重合体を含む接着式ブラジャー用粘着剤。
【請求項2】
上記(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルが、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチルであり、かつ、上記(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルが、(メタ)アクリル酸メトキシエチルである請求項1記載の接着式ブラジャー用粘着剤。
【請求項3】
成分(A)の重量平均分子量が、1,000〜30,000である、請求項1又は2記載の接着式ブラジャー用粘着剤。
【請求項4】
(B)可塑剤を、成分(A)100質量部に対して5〜50質量部含む、請求項1〜3のいずれか一つに記載の接着式ブラジャー用粘着剤。
【請求項5】
(B)可塑剤が、1,3−ブチレングリコール及びグリセリンより成る群からから選ばれる一つ以上である、請求項4記載の接着式ブラジャー用粘着剤。
【請求項6】
更に、(C)溶媒を、成分(A)及び(B)の合計100質量部に対して、50〜700質量部含む、請求項1〜5のいずれか一つに記載の接着式ブラジャー用粘着剤。
【請求項7】
(C)溶媒が、エタノールである、請求項6記載の接着式ブラジャー用粘着剤。
【請求項8】
更に、(D)スプレー用噴射剤を、成分(A)及び(B)の合計100質量部に対して、500〜5,000質量部含む、請求項1〜7のいずれか一つに記載の接着式ブラジャー用粘着剤。
【請求項9】
(D)スプレー用噴射剤が、ジメチルエーテルである、請求項8記載の接着式ブラジャー用粘着剤。
【請求項10】
(A)N,N−ジメチルアクリルアミド・(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル・(メタ)アクリル酸メトキシエチル共重合体 100質量部、及び、
(B)グリセリン 17〜27質量部
を含み、かつ、上記成分(A)及び(B)の合計100質量部に対して、更に、
(C)エタノール 350〜400質量部、及び、
(D)ジメチルエーテル 2,100〜2,500質量部
含む接着式ブラジャー用粘着剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−14871(P2013−14871A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−32192(P2012−32192)
【出願日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【出願人】(511139659)株式会社フロンティアジャパン (1)
【Fターム(参考)】