説明

接着膜テープ収納用カセット交換装置

【課題】接着膜テープが巻き回された供給リールを接着膜テープ収納用カセットに収容してその取り扱いを容易にするとともに、接着膜貼付装置で用いられる接着膜テープ収納用カセットの自動交換を容易に実現する接着膜テープ収納用カセット交換装置を提供する。
【解決手段】接着膜テープ収納用カセット交換装置10において、カセットストッカ20は、ACFテープが巻き回された供給リールが収容された接着膜テープ収納用カセット110を複数保管する。カセットチェンジャ50は、カセットストッカ20に保管された複数の接着膜テープ収納用カセット110のうちストッカ側交換位置A1に位置付けられた特定の未使用の接着膜テープ収納用カセット110を取り出して、ローダ側交換位置A2に位置付けられた接着膜貼付装置の供給駆動機構33に装着する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パネル基板や電子部品等の接着対象部材上に異方性導電膜(ACF)等の接着膜を貼り付ける接着膜貼付装置に係り、とりわけ、貼り付け対象となるテープ状の接着膜を含む接着膜テープが巻き回された供給リールを収容する接着膜テープ収納用カセットを交換する接着膜テープ収納用カセット交換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、この種の接着膜貼付装置として、異方性導電膜(ACF)テープが巻き回された供給リールと、この供給リールから巻き出されたACFテープを巻き取る回収リールとを備え、これらの供給リールと回収リールとの間で搬送されるACFテープからACFの一部を切り出してパネル基板や電子部品等の接着対象部材上に貼り付けるACF貼付装置が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
このような従来のACF貼付装置において、ACFテープが巻き回された供給リールは、巻き出し用の駆動モータの駆動軸に直接取り付けられ、駆動モータによる供給リールの回転に伴って供給リールからACFテープが巻き出されるようになっている。
【0004】
具体的には、図10に示すように、収納部112aにACFテープ151が巻き回されて収納された供給リール112は、駆動モータ161のシャフト162に固定された駆動軸163のねじ部168に挿入され、次いで、この駆動軸163のねじ部168に対して、内面にねじ部169aを有する取り付けナット169がねじ込まれる。これにより、供給リール112が駆動軸163に対して固定され、駆動モータ161による供給リール112の回転に伴って供給リール112からACFテープ151が巻き出される。なお、図10に示すように、駆動モータ161は支持体165上に固定されている。また、駆動モータ161と駆動軸163との間に位置するシャフト162は、支持体166に取り付けられた軸受け167により回転自在に支持されている。
【0005】
しかしながら、図10に示すような態様で供給リール112が固定される場合には、ACF貼付装置において供給リール112を交換する際に、取り付けナット169の取り外し、使用済みの供給リール112の取り外し、駆動軸163(ねじ部168)に対する新たな供給リール112の取り付け、駆動軸163(ねじ部168)に対する取り付けナット169の取り付け及び締め付けという、複数の作業が必要になる。このような作業は自動的に行うことが困難であり、人手により手間と時間とをかけて行う必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−51517号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明はこのような点を考慮してなされたものであり、接着膜テープが巻き回された供給リールを接着膜テープ収納用カセットに収容してその取り扱いを容易にするとともに、接着膜貼付装置で用いられる接着膜テープ収納用カセットの自動交換を容易に実現する接着膜テープ収納用カセット交換装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、接着膜貼付装置で用いられる接着膜テープ収納用カセットを交換する接着膜テープ収納用カセット交換装置において、接着膜テープが巻き回された供給リールを収容する接着膜テープ収納用カセットを保管するカセットストッカであって、接着膜貼付装置に装着される接着膜テープ収納用カセットを保管位置とストッカ側交換位置との間で移動させるカセットストッカと、前記カセットストッカに保管された接着膜テープ収納用カセットを前記接着膜貼付装置に装着するためのカセットローダであって、前記接着膜貼付装置の一部をなす供給駆動機構に接着膜テープ収納用カセットが装着されるローダ側交換位置と、前記供給駆動機構が稼働されて接着膜テープ収納用カセットから接着膜テープが巻き出される供給位置との間で、前記供給駆動機構を移動させるカセットローダと、前記カセットストッカと前記カセットローダとの間で接着膜テープ収納用カセットを搬送するカセットチェンジャであって、前記カセットストッカの前記ストッカ側交換位置に位置付けられた未使用の接着膜テープ収納用カセットが、前記カセットローダの前記ローダ側交換位置に位置付けられた前記供給駆動機構に装着されるよう、前記ストッカ側交換位置と前記ローダ側交換位置との間で未使用の接着膜テープ収納用カセットを搬送するカセットチェンジャとを備えたことを特徴とする接着膜テープ収納用カセット交換装置を提供する。
【0009】
なお、本発明において、前記カセットローダは、前記接着膜貼付装置の前記供給駆動機構に装着された未使用の接着膜テープ収納用カセットを前記ローダ側交換位置から前記供給位置まで移動させるとともに、前記供給駆動機構に装着された使用済みの接着膜テープ収納用カセットを前記供給位置から前記ローダ側交換位置まで移動させるように構成されており、前記カセットチェンジャは、前記カセットストッカの前記ストッカ側交換位置に位置付けられた未使用の接着膜テープ収納用カセットと、前記カセットローダの前記ローダ側交換位置に位置付けられた使用済みの接着膜テープ収納用カセットとを同時に搬送するように構成されており、前記カセットチェンジャによって、前記ストッカ側交換位置に位置付けられた未使用の接着膜テープ収納用カセットが、前記ローダ側交換位置に位置付けられた前記供給駆動機構に装着されるとともに、前記ローダ側交換位置に位置付けられた使用済みの接着膜テープ収納用カセットが待機位置に一時的に排出されることが好ましい。
【0010】
また、本発明において、前記カセットローダは、前記接着膜貼付装置の前記供給駆動機構が前記供給位置に位置付けられている状態で前記ローダ側交換位置にて接着膜テープ収納用カセットを保持するカセット一時保持機構を有し、前記カセットチェンジャは、前記供給駆動機構が前記供給位置に位置付けられて接着膜テープ収納用カセットから接着膜テープが巻き出されているときに、前記待機位置に位置付けられた使用済みの接着膜テープ収納用カセットを搬送するように構成されており、前記カセットチェンジャによって、前記待機位置に位置付けられた使用済みの接着膜テープ収納用カセットが、前記ローダ側交換位置に位置付けられた前記カセット一時保持機構にて一時的に保持された後、前記ストッカ側交換位置に位置付けられた前記カセットストッカの空き場所に保管されることが好ましい。
【0011】
さらに、本発明において、前記接着膜テープ収納用カセットは、前記供給リールをケース内にて回転自在に支持する回転支持機構と、前記回転支持機構により支持された前記供給リールの回転を停止させる回り止め機構とを有し、前記回転支持機構は、前記接着膜貼付装置の前記供給駆動機構の駆動軸に着脱自在に連結される回転軸を有し、この回転軸には、前記駆動軸の先端部に形成された駆動軸側嵌合部に嵌り合う回転軸側嵌合部が形成され、この回転軸側嵌合部は、前記駆動軸と前記回転軸とが軸方向に直交する方向に相対的に移動している状態で前記駆動軸側嵌合部に嵌り合うように構成されており、前記回り止め機構は、前記回転支持機構により支持された前記供給リールの回転を停止させたときに、前記回転軸側嵌合部の向きが前記駆動軸側嵌合部の向きに合うように構成されており、前記カセットチェンジャは、前記カセットローダの前記ローダ側交換位置に位置付けられた前記供給駆動機構の前記駆動軸と、前記供給駆動機構に装着される接着膜テープ収納用カセットの回転支持機構の回転軸とが、軸方向に直交する方向に相対的に移動している状態で嵌り合うよう、前記カセットストッカの前記ストッカ側交換位置に位置付けられた未使用の接着膜テープ収納用カセットを搬送することが好ましい。
【0012】
さらに、本発明において、前記接着膜貼付装置の前記供給駆動機構の前記駆動軸側嵌合部は直線状の突起部からなり、前記接着膜テープ収納用カセットの前記回転軸側嵌合部は直線状の溝部からなり、前記回転軸側嵌合部としての前記直線状の溝部は、前記駆動軸と前記回転軸とが軸方向に直交する方向に相対的に移動している状態で前記駆動軸側嵌合部としての前記直線状の突起部を受け入れるよう、その両端が開放していることが好ましい。
【0013】
さらに、本発明において、前記接着膜テープ収納用カセットの前記ケースは、当該ケースを前記カセットストッカ及び前記カセットローダに位置決めするための位置決め部を有し、この位置決め部によって前記カセットストッカ及び前記カセットローダに立設状態で位置決めされることが好ましい。
【0014】
さらに、本発明において、前記カセットローダは、前記接着膜貼付装置の前記供給駆動機構に装着された接着膜テープ収納用カセットの回り止め機構を解放するカセット解放機構をさらに有することが好ましい。
【0015】
さらに、本発明において、前記接着膜テープ収納用カセットは、前記回転支持機構により支持された前記供給リールから繰り出された接着膜テープの端部を固定するクランプ機構をさらに有し、前記カセット解放機構は、前記接着膜貼付装置の前記供給駆動機構に装着された接着膜テープ収納用カセットの前記回り止め機構とともに前記クランプ機構を解放することが好ましい。
【0016】
さらにまた、本発明において、前記接着膜テープは、異方性導電膜テープであることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、接着膜テープが巻き回された供給リールを接着膜テープ収納用カセット内に収容するとともに、この接着膜テープ収納用カセットをカセットストッカにて複数保管し、かつ、カセットチェンジャにより、カセットストッカに保管された複数の接着膜テープ収納用カセットのうちストッカ側交換位置に位置付けられた特定の未使用の接着膜テープ収納用カセットを取り出して、ローダ側交換位置に位置付けられた接着膜貼付装置の供給駆動機構に装着するようにしているので、供給リールの取り扱いを容易にするとともに、接着膜貼付装置(図示せず)における供給リールの自動交換を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明による接着膜テープ収納用カセット交換装置の一実施の形態を示す平面図。
【図2】図1に示す接着膜テープ収納用カセット交換装置をII方向から見た図。
【図3】図1に示す接着膜テープ収納用カセット交換装置をIII方向から見た図。
【図4】図1に示す接着膜テープ収納用カセット交換装置をIV方向から見た図。
【図5】図1に示す接着膜テープ収納用カセット交換装置で用いられる接着膜テープ収納用カセットのロック状態を解放するためのカセット解放機構を示す平面図。
【図6】図1に示す接着膜テープ収納用カセット交換装置で用いられる接着膜テープ収納用カセットを示す平面図。
【図7】図6に示す接着膜テープ収納用カセットのVII−VII線に沿った断面図。
【図8】図6に示す接着膜テープ収納用カセットのVIII方向から見た側面図。
【図9】図6に示す接着膜テープ収納用カセットのIX−IX線に沿った断面図。
【図10】接着膜貼付装置で用いられる供給リールの従来の取り付け方法を説明するための概略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0020】
まず、図1乃至図5により、本発明の一実施の形態に係る接着膜テープ収納用カセット交換装置の全体構成について説明する。ここで、図1は接着膜テープ収納用カセット交換装置を示す平面図、図2は図1に示す接着膜テープ収納用カセット交換装置をII方向から見た図、図3は図1に示す接着膜テープ収納用カセット交換装置をIII方向から見た図、図4は図1に示す接着膜テープ収納用カセット交換装置をIV方向から見た図、図5は図1に示す接着膜テープ収納用カセット交換装置で用いられる接着膜テープ収納用カセットのロック状態を解放するためのカセット解放機構を示す平面図である。
【0021】
図1乃至図4に示すように、本実施の形態に係る接着膜テープ収納用カセット交換装置10は、接着膜貼付装置(図示せず)で用いられる接着膜テープ収納用カセット110を交換するためのものであり、接着膜テープ収納用カセット110を保管するカセットストッカ20と、カセットストッカ20に保管された接着膜テープ収納用カセット110を接着膜貼付装置(図示せず)に装着するためのカセットローダ30と、カセットストッカ20とカセットローダ30との間で接着膜テープ収納用カセット110を搬送するカセットチェンジャ50とを備えている。なお、カセットストッカ20及びカセットローダ30はいずれも基台90上に固定されている。
【0022】
このうち、カセットストッカ20は、接着膜貼付装置(図示せず)に装着される接着膜テープ収納用カセット110を保管位置とストッカ側交換位置A1との間で移動させるものである。
【0023】
すなわち、図1、図2及び図4に示すように、カセットストッカ20は、直動軸21と、直動軸21により前後方向に移動自在に保持された支持台22とを有している。また、支持台22上には、接着膜テープ収納用カセット110を立設状態で位置決めするための位置決めピン23と、接着膜テープ収納用カセット110の有無を検出するための在席センサ24とが設けられている。
【0024】
カセットローダ30は、接着膜貼付装置(図示せず)の一部をなす供給駆動機構33に接着膜テープ収納用カセット110が装着されるローダ側交換位置A2と、供給駆動機構33が稼働されて接着膜テープ収納用カセット110から接着膜テープが巻き出される供給位置Bとの間で、供給駆動機構33を移動させるものである。
【0025】
すなわち、図1、図3及び図4に示すように、カセットローダ30は、直動軸31と、直動軸31により前後方向に移動自在に保持された支持台32とを有している。また、支持台32上には、接着膜貼付装置(図示せず)の一部をなす供給駆動機構33が設けられている。ここで、供給駆動機構33は、支持板41により支持台32上に固定された駆動モータ34と、駆動モータ34にシャフト35を介して連結された駆動軸36とを有している。なお、シャフト35は、支持体42に取り付けられた軸受け(図示せず)により回転自在に支持されている。また、シャフト35には、その外周部の一部にスリット(図示せず)が形成されたスリット板37が取り付けられている。なお、スリット板37の近傍には位相確認センサ38が設けられており、スリット板37に形成されたスリットの位置に基づいて駆動軸36の位相(駆動軸36の直線状の突起部36a(図7及び図9参照)の向き)を検出することができるようになっている。さらに、支持台32の前端部の位置には、供給駆動機構33に装着される接着膜テープ収納用カセット110を立設状態で位置決めするための位置決めピン43と、接着膜テープ収納用カセット110の有無を検出するための在席センサ44とが設けられている。また、支持台32の後端部の位置(供給駆動機構33に装着される接着膜テープ収納用カセット110が供給位置Bに移動した際にローダ側交換位置A2に位置付けられる位置)には、接着膜テープ収納用カセット110を立設状態で位置決めするための位置決めピン43′と、接着膜テープ収納用カセット110の有無を検出するための在席センサ44′とが設けられている。なお、位置決めピン43′及び在席センサ44′により、接着膜貼付装置(図示せず)の供給駆動機構33が供給位置Bに位置付けられている状態でローダ側交換位置A2にて接着膜テープ収納用カセット110を保持するカセット一時保持機構が構成されている。
【0026】
なお、カセットローダ30の供給駆動機構33は、供給位置Bにおいて接着膜貼付装置(図示せず)に組み込まれてその一部として機能するものである。すなわち、図1及び図3に示すように、供給駆動機構33が供給位置Bに移動した場合には、供給駆動機構33に装着された接着膜テープ収納用カセット110が接着膜貼付装置(図示せず)にセットされ、供給駆動機構33の駆動モータ34によって接着膜テープ収納用カセット110の供給リール(図6乃至図9の符号112参照)が回転することにより、供給リール(図6乃至図9の符号112参照)からACFテープ(図6乃至図9の符号151参照)が巻き出される。ここで、供給駆動機構33が移動する供給位置Bには、図3に示すように、ロック機構60が設けられており、接着膜テープ収納用カセット110をロックすることができるようになっている。なお、ロック機構60は、上部支持台61に取り付けられた固定シリンダ62と、固定シリンダ62により上下方向に移動して接着膜テープ収納用カセット110の上部を固定する固定部63と、接着膜テープ収納用カセット110が装着された供給駆動機構33を移動させる支持台32の下面を支持する下部支持台65とを有している。
【0027】
また、カセットローダ30には、図3及び図5に示すように、接着膜貼付装置(図示せず)の供給駆動機構33に装着された接着膜テープ収納用カセット110の回り止め機構(図5の符号130参照)及びクランプ機構(図5の符号140参照)を解放するカセット解放機構45が設けられている。なお、カセット解放機構45は、図3及び図5に示すように、支持台32上に設けられた解放シリンダ46と、解放シリンダ46により左右方向に移動自在に保持されたアーム47とを有している。なお、アーム47は、屈曲部47a及び端部47bを有している。
【0028】
カセットチェンジャ50は、カセットストッカ20のストッカ側交換位置A1に位置付けられた未使用の接着膜テープ収納用カセット110が、カセットローダ30のローダ側交換位置A2に位置付けられた供給駆動機構33に装着されるよう、ストッカ側交換位置A1とローダ側交換位置A2との間で未使用の接着膜テープ収納用カセット110を搬送するものである。
【0029】
すなわち、図1乃至図4に示すように、カセットチェンジャ50は、支持板51と、支持板51上に取り付けられた左右シリンダ52と、左右シリンダ52により左右方向に移動自在に保持された連結板54と、連結板54の左右両側に取り付けられた一対の上下シリンダ55と、一対の上下シリンダ55により上下方向に移動自在に保持された一対のチャック56とを有している。なお、チャック56は、把持機構(図示せず)により開閉動作が行われるものであり、その内側先端部には接着膜テープ収納用カセット110の上部を支持するための支持ピン57が設けられている。
【0030】
なお、図1乃至図5に示す接着膜テープ収納用カセット交換装置10のうち、カセットローダ30のローダ側交換位置A2を挟んでカセットストッカ20のストッカ側交換位置A1の反対側の位置(待機位置C)には、仮置き台80が設けられており、使用済みの接着膜テープ収納用カセット110が一時的に排出されるようになっている。なお、仮置き台80には、接着膜テープ収納用カセット110を立設状態で位置決めするための位置決めピン(図示せず)と、接着膜テープ収納用カセット110の有無を検出するための在席センサ(図示せず)とが設けられている。
【0031】
ここで、図6乃至図9により、図1乃至図5に示す接着膜テープ収納用カセット交換装置10で用いられる接着膜テープ収納用カセット110について説明する。なお、図6は接着膜テープ収納用カセット110を示す平面図、図7は図6に示す接着膜テープ収納用カセット110のVII−VII線に沿った断面図、図8は図6に示す接着膜テープ収納用カセット110のVIII方向から見た側面図、図9は図6に示す接着膜テープ収納用カセット110のIX−IX線に沿った断面図である。
【0032】
図6乃至図9に示すように、図1乃至図5に示す接着膜テープ収納用カセット交換装置10で用いられる接着膜テープ収納用カセット110は、テープ状の剥離紙上にテープ状の接着膜である異方性導電膜(ACF)が形成されたACFテープ151を収納するためのものであり、ACFテープ151が巻き回された供給リール112を収容するケース111と、ケース111内にて供給リール112を回転自在に支持する回転支持機構120と、回転支持機構120により支持された供給リール112の回転を停止させる回り止め機構130と、回転支持機構120により支持された供給リール112から繰り出されたACFテープ151の端部を固定するクランプ機構140とを備えている。なお、ケース111内に収容される供給リール112は、ACFテープ151が巻き回されて収納される収納部112aを有している。
【0033】
このうち、ケース111は、供給リール112の大きさに対応する大きさを持つ略矩形状の壁部111aと、壁部111aの外周部に形成された縁部111bとを有している。ここで、ケース111の縁部111bのうちケース111の下部に位置する部分には、位置決め孔138が形成された2つの隆起部111cが形成されている。なお、ケース111の隆起部111cに形成された位置決め孔138は、図1乃至図5に示す接着膜テープ収納用カセット交換装置10のカセットストッカ20及びカセットローダ30に接着膜テープ収納用カセット110を位置決めするためのものである。すなわち、位置決め孔138は、図1乃至図5に示す接着膜テープ収納用カセット交換装置10のカセットストッカ20及びカセットローダ30に設けられた位置決めピン23,43,43′を受け入れるように構成されており、位置決め孔138に位置決めピン23,43,43′が嵌り合うことにより、ケース111がカセットストッカ20及びカセットローダ30に立設状態で位置決めされるようになっている。また、ケース111の縁部111bのうちケース111の上部に位置する部分には、カセットチェンジャ50のチャック56の内側先端部に設けられた支持ピン57を受け入れる支持孔113が形成されている。さらに、ケース111の縁部111bのうちケース111の側部に位置する部分には、クランプ機構140を設けるための開口部111dが形成されている。
【0034】
回転支持機構120は、ケース111の壁部111aを背面側から前面側へ貫くように設けられており、図1乃至図5に示す接着膜テープ収納用カセット交換装置10のカセットローダ30に設けられた供給駆動機構33の駆動軸36に着脱自在に連結される回転軸121を有している。なお、回転軸121は、軸受け124,125を介してケース111の壁部111aに取り付けられており、ケース111の壁部111aに対して回転自在に支持されている。また、回転軸121は、カセットローダ30に設けられた供給駆動機構33の駆動軸36側に位置する背面部121aと、供給リール112側に位置する前面部121bとからなり、これらの背面部121a及び前面部121bがボルト123を介して互いに堅固に固定されている。
【0035】
ここで、回転軸121を回転させるカセットローダ30の供給駆動機構33は図10に示す従来のものとほぼ同様の構成を備えているが、駆動軸の先端部にねじ部が設けられていない点、及び、取り付けナットが取り付けられない点で異なっている。具体的には、回転軸121を回転させる供給駆動機構33は、図7及び図9に示すように、その先端部に直線状の突起部(駆動軸側嵌合部)36aが形成された駆動軸36を備えている。
【0036】
そして、このような供給駆動機構33を前提として、回転軸121の背面部121aには、図6、図7及び図9に詳細に示されているように、駆動軸36の先端部に形成された直線状の突起部36aに嵌り合う直線状の溝部(回転軸側嵌合部)122が形成されている。ここで、直線状の溝部122は、駆動軸36と回転軸121とが軸方向に直交する方向(図7の矢印の方向参照)に相対的に移動している状態で駆動軸36の直線状の突起部36aを受け入れることができるよう、その両端が開放している。
【0037】
また、回転軸121の前面部121bには、供給リール112を着脱自在に装着するための装着機構126が設けられている。装着機構126は、ボルト127と、ボルト127の両側に配置された一対の爪128と、これらの爪128を外側に付勢するばね129とを有しており、ばね129の作用により付勢された爪128が供給リール112の中心孔112bに嵌り合うことにより、供給リール112がケース111に装着されるようになっている。
【0038】
回り止め機構130は、ケース111の壁部111aの背面側に配置されており、回転支持機構120の回転軸121の側面に形成された孔121cに嵌り合う回り止めピン131と、回り止めピン131を支持する回り止めアーム132とを有している。このうち、回り止めアーム132は、支軸133を中心として揺動するようケース111の壁部111aの背面側に取り付けられている。また、回り止めアーム132には、ばね137の一端が取り付けられるばね係止部135が設けられている。ここで、ばね137の他端は、ケース111の壁部111aの背面側に設けられたばね係止部136に取り付けられており、ばね137の作用により、回り止めピン131が回転軸121の孔121cへ向けて付勢されるようになっている。そして、ばね137の作用により付勢された回り止めピン131が回転軸121の孔121cに嵌り合うと、供給リール112を支持する回転軸121の回転が停止する。ここで、このようにして回転が停止した回転軸121は所定の向き(すなわち、回転軸121の背面部121aに形成された直線状の溝部122が上下方向に延びるような向き)になっている。なお、回り止めアーム132、支軸133、ばね係止部135,136及びばね137により付勢機構が構成されている。
【0039】
クランプ機構140は、クランプ本体141と、クランプ本体141を支持するクランプアーム142とを有している。このうち、クランプアーム142は、支軸143を中心として揺動するようケース111の壁部111aの背面側に取り付けられている。また、クランプアーム142には、ばね146の一端が取り付けられるばね係止部144が設けられている。ここで、ばね146の他端は、ケース111の壁部111aの背面側に設けられたばね係止部145に取り付けられており、ばね146の作用により、クランプ本体141がクランプ用当接部147へ向けて付勢されるようになっている。なお、クランプ用当接部147は、ケース111の壁部111aの前面側に取り付けられている。また、ケース111の壁部111aの前面側には、支軸149を中心として回転する繰り出し用ローラ148が設けられており、供給リール112から繰り出されたACFテープ151を繰り出し用ローラ148及びクランプ用当接部147を介してケース111の外部まで導くことができるようになっている。なお、このようにして導かれたACFテープ151の端部は、ばね146の作用により付勢されたクランプ本体141とクランプ用当接部147との間で挟持されるようになっている。
【0040】
なお、回り止め機構130の回り止めアーム132及びクランプ機構140のクランプアーム142にはそれぞれ駆動用突起部139,150が設けられており、図5に示すような状態で、カセットローダ30に設けられたカセット解放機構45のアーム47の屈曲部47a及び端部47bにより駆動用突起部139,150を駆動することにより、回り止め機構130及びクランプ機構140を解放することができるようになっている。
【0041】
なお、図1乃至図5に示す接着膜テープ収納用カセット交換装置10に含まれる各構成要素(例えば、カセットストッカ20の直動軸21及び在席センサ23、カセットローダ30の直動軸31、供給駆動機構33の駆動モータ34及び位相確認センサ38、在席センサ44,44′、カセット解放機構45の解放シリンダ46、カセットチェンジャ50の左右シリンダ52及び上下シリンダ55、チャック56の把持機構(図示せず)、ロック機構60の固定シリンダ62等)には制御装置(図示せず)に接続されており、この制御装置(図示せず)による制御の下で、以下に説明するような動作が自動的に行われるようになっている。
【0042】
次に、図1乃至図5に示す接着膜テープ収納用カセット交換装置10の動作について、図6乃至図9に示す接着膜テープ収納用カセット110が用いられる場合を例に挙げて説明する。
【0043】
まず、ACFテープ151が巻き回された供給リール112を収容する未使用の接着膜テープ収納用カセット110を複数準備し、これらを接着膜テープ収納用カセット交換装置10のカセットストッカ20の任意の空き場所(保管位置)に保管しておく。
【0044】
ここで、カセットストッカ20に保管される未使用の接着膜テープ収納用カセット110は次のようにして準備する。
【0045】
まず、最初の状態として、接着膜テープ収納用カセット110には供給リール112が装着されていないものとする。
【0046】
この状態で、接着膜テープ収納用カセット110に装着されるべき供給リール112として、収納部112aにACFテープ151が巻き回されて収納された供給リール112を準備し、ケース111の壁部111aの前面側に位置付ける。
【0047】
次に、回転支持機構120の回転軸121の前面部121bと供給リール112の中心孔112bとを位置決めし、供給リール112の中心孔112bを回転軸121の前面部121bに設けられた装着機構126へ向けて押し込む。すると、供給リール112の中心孔112bが装着機構126を通過する過程で、ばね129の作用に抗して爪128が一旦内側に引き寄せられた後、供給リール112の中心孔112bが装着機構126を通過した時点で、爪128が外側に付勢される。これにより、ばね129の作用により付勢された爪128が供給リール112の中心孔112bに嵌り合い、供給リール112がケース111に装着される。
【0048】
その後、供給リール112からACFテープ151の端部を繰り出し、クランプ機構140により固定する。具体的には、供給リール112から繰り出されたACFテープ151を繰り出し用ローラ148及びクランプ用当接部147を介して導き、クランプ用当接部147からACFテープ151が一定の長さだけ外部に飛び出した状態で、当該ACFテープ151の端部を、ばね146の作用により付勢されたクランプ本体141とクランプ用当接部147との間で挟持する。
【0049】
また、供給リール112から繰り出されたACFテープ151の端部を固定した後、回り止め機構130により、回転支持機構120により支持された供給リール112の回転を停止させる。具体的には、回転支持機構120の回り止めピン131を、回転支持機構120の回転軸121の側面に形成された孔121cに位置付け、ばね137の作用により、回り止めアーム132を介して付勢された回り止めピン131が回転軸121の孔121cに嵌り合うようにする。これにより、供給リール112を支持する回転軸121の回転が停止する。なお、このようにして回転が停止した回転軸121は所定の向き(すなわち、回転軸121の背面部121aに形成された直線状の溝部122が上下方向に延びるような向き)になっている。
【0050】
その後、このような状態の接着膜テープ収納用カセット110を、接着膜テープ収納用カセット交換装置10のカセットストッカ20の空き場所(保管位置)に保管するよう、上方から下方に向かって移動させ、カセットストッカ20の支持台22上に設けられた位置決めピン23が、ケース111の下部に形成された位置決め孔138に嵌り合うようにして、接着膜テープ収納用カセット110をカセットストッカ20に立設状態で位置決めする。
【0051】
このようにして、未使用の接着膜テープ収納用カセット110をカセットストッカ20の任意の空き場所(保管位置)に保管された後、必要に応じて、接着膜貼付装置(図示せず)で用いられる接着膜テープ収納用カセット110を交換する。
【0052】
この場合には、まず、カセットストッカ20において、制御装置(図示せず)による制御(サーボ制御)の下で、直動軸21を稼働させ、支持台22上の位置決めピン23によって位置決めされた複数の接着膜テープ収納用カセット110のうち特定の未使用の接着膜テープ収納用カセット110を保管位置からストッカ側交換位置A1まで移動させる。なおこのとき、制御装置(図示せず)は、在席センサ24からの検出信号に基づいて未使用の接着膜テープ収納用カセット110が保管されている保管位置を把握するものとする。
【0053】
また、カセットローダ30においては、制御装置(図示せず)による制御(サーボ制御)の下で、直動軸31を稼働させ、接着膜貼付装置(図示せず)の供給駆動機構33に装着された使用済みの接着膜テープ収納用カセット110(支持台32上の位置決めピン43によって位置決めされた接着膜テープ収納用カセット110)を供給位置Bからローダ側交換位置A2まで移動させる。
【0054】
なおこのとき、ストッカ側交換位置A1及びローダ側交換位置A2の上方には、カセットチェンジャ50の一対のチャック56のそれぞれが位置付けられている。
【0055】
この状態で、カセットチェンジャ50において、制御装置(図示せず)による制御の下で、把持機構(図示せず)により一対のチャック56を開いた状態に保つとともに、一対の上下シリンダ55により一対のチャック56を下方向に移動させる。
【0056】
そして、把持機構(図示せず)により一対のチャック56を閉じた状態にし、一対のチャック56の内側先端部に設けられた支持ピン57が、ストッカ側交換位置A1及びローダ側交換位置A2に位置付けられた接着膜テープ収納用カセット110のケース111の上部に形成された支持孔113に嵌り合った時点で、一対の上下シリンダ55により一対のチャック56を上方向に移動させる。これにより、カセットストッカ20のストッカ側交換位置A1に位置付けられた未使用の接着膜テープ収納用カセット110と、カセットローダ30のローダ側交換位置A2に位置付けられた使用済みの接着膜テープ収納用カセット110とが同時に取り出される。
【0057】
次いで、左右シリンダ52により連結板54を右方向(図4の紙面上で見た右方向)へ移動させ、それに伴って連結板54の左右両側に取り付けられた一対の上下シリンダ55及び一対のチャック56を右方向へ移動させる。これにより、一対のチャック56に把持された未使用の接着膜テープ収納用カセット110及び使用済みの接着膜テープ収納用カセット110がローダ側交換位置A2及び待機位置Cにそれぞれ位置付けられる。
【0058】
この状態で、一対の上下シリンダ55により一対のチャック56を下方向に移動させ、カセットローダ30の支持台32上に設けられた位置決めピン43及び仮置き台80上に設けられた位置決めピン(図示せず)が、一対のチャック56により把持された各接着膜テープ収納用カセット110のケース111の下部に形成された位置決め孔138に嵌り合うようにして、未使用の接着膜テープ収納用カセット110及び使用済みの接着膜テープ収納用カセット110をそれぞれカセットローダ30及び仮置き台80に立設状態で位置決めする。これにより、ストッカ側交換位置A1に位置付けられた未使用の接着膜テープ収納用カセット110が、ローダ側交換位置A2に位置付けられた供給駆動機構33に装着されるとともに、ローダ側交換位置A2に位置付けられた使用済みの接着膜テープ収納用カセット110が待機位置Cに位置付けられた仮置き台80に一時的に排出される。なおこのとき、制御装置(図示せず)は、支持台32上に設けられた在席センサ44からの検出信号に基づいて未使用の接着膜テープ収納用カセット110が供給駆動機構33に装着されているか否かを把握し、また、仮置き台80上に設けられた在席センサ(図示せず)からの検出信号に基づいて使用済みの接着膜テープ収納用カセット110が仮置き台80に排出されているか否かを把握するものとする。なお、このようにして接着膜テープ収納用カセット110が供給駆動機構33に装着された後、ローダ側交換位置A2に位置付けられたチャック56(供給駆動機構33に装着された接着膜テープ収納用カセット110を保持していたチャック56)は、把持機構(図示せず)により開いた状態に保たれ、上下シリンダ55により上方向に移動する。これに対し、待機位置Cに位置付けられたチャック56(仮置き台80に排出された接着膜テープ収納用カセット110を保持していたチャック56)は、そのままの状態に保たれる。
【0059】
ここで、カセットローダ30において、供給駆動機構33の駆動軸36の先端部に形成された直線状の突起部36aは、上方から下方に向かって移動する接着膜テープ収納用カセット110の回転支持機構120の回転軸121の背面部121aに形成された溝部122を横切るような位置に配置されており、接着膜テープ収納用カセット110をカセットローダ30に位置決めする過程で、供給駆動機構33の駆動軸36と回転支持機構120の回転軸121との間の連結も行われる。なおこのとき、供給駆動機構33の駆動軸36は、位相確認センサ38によりスリット板37に形成されたスリットの位置を検出することによりその位相が検出されており、駆動軸36の直線状の突起部36aが所定の向き(すなわち、駆動軸36に形成された直線状の突起部36aが上下方向に延びるような向き)になるような状態で停止している。また、接着膜テープ収納用カセット110は、回り止め機構130により供給リール112を支持する回転軸121の回転が停止しており、回転軸121は所定の向き(すなわち、回転軸121の背面部121aに形成された直線状の溝部122が上下方向に延びるような向き)になるような状態で停止している。これにより、カセットローダ30のローダ側交換位置A2に位置付けられた供給駆動機構33の駆動軸36と、供給駆動機構33に装着される接着膜テープ収納用カセット110の回転支持機構120の回転軸121とが、軸方向に直交する方向に相対的に移動している状態で嵌り合うことが可能となり、駆動軸36と回転軸121との連結が容易に行われる。
【0060】
以上のようにして、カセットローダ30において、供給駆動機構33の駆動軸36と接着膜テープ収納用カセット110の回転支持機構120の回転軸121とが連結されると、制御装置(図示せず)による制御の下で、直動軸31を稼働させ、接着膜貼付装置(図示せず)の供給駆動機構33に装着された未使用の接着膜テープ収納用カセット110をローダ側交換位置A2から供給位置Bまで移動させ、供給駆動機構33を接着膜貼付装置(図示せず)の一部として組み込む。また、制御装置(図示せず)による制御の下で、ロック機構60の上部支持台61に取り付けられた固定シリンダ62を稼働させ、下部支持台65上に位置付けられた支持台32及び接着膜テープ収納用カセット110を、固定シリンダ62に取り付けられた固定部63によりロックする。
【0061】
この状態で、接着膜貼付装置(図示せず)を稼働させ、供給駆動機構33の駆動軸36を回転させると、駆動軸36の回転は駆動軸36の突起部36aに嵌り合う接着膜テープ収納用カセット110の溝部122を介して回転支持機構120の回転軸121に伝えられ、軸受け124,125により支持された回転軸121が回転する。これにより、回転軸121の前面部121bに装着された供給リール112が回転され、供給リール112の収納部112aに巻き回されて収納されたACFテープ151が巻き出される。なおこのとき、接着膜テープ収納用カセット110はロック機構60によりロックされているので、供給リール112の回転による面振れが効果的に抑制される。
【0062】
なお、以上のようにして供給リール112からACFテープ151が巻き出される際には、カセット解放機構45により、回り止め機構130の回り止めアーム132に設けられた駆動用突起部139、及び、クランプ機構140のクランプアーム142に設けられた駆動用突起部150が駆動される。具体的には、カセット解放機構45において、制御装置(図示せず)による制御の下で、支持台32上に設けられた解放シリンダ46を稼働させると、アーム47が移動し、アーム47の屈曲部47aにより、回り止め機構130の回り止めアーム132に設けられた駆動用突起部139が駆動されるとともに、アーム47の端部47bにより、クランプ機構140のクランプアーム142に設けられた駆動用突起部150が駆動される。これにより、回り止め機構130においては、ばね137の作用に抗して回り止めアーム132が外側に移動することにより回り止めピン131が回転軸121の孔121cから取り外され、これによって、供給リール112を支持する回転軸121が自由に回転することができるようになる。また、クランプ機構140においても、ばね146の作用に抗してクランプアーム142が外側に移動することによりクランプ本体141がクランプ用当接部147から引き離され、これによって、クランプ本体141とクランプ用当接部147との間をACFテープ151が自由に通過することができるようになる。
【0063】
ここで、カセットチェンジャ50は、供給駆動機構33が供給位置Bに位置付けられて接着膜テープ収納用カセット110からACFテープ151が巻き出されているときに、制御装置(図示せず)による制御の下で、待機位置Cに位置付けられた使用済みの接着膜テープ収納用カセット110を搬送する。
【0064】
具体的には、カセットチェンジャ50において、制御装置(図示せず)による制御の下で、一対の上下シリンダ55のうちの一方(右側の上下シリンダ55)により、待機位置Cに位置付けられたチャック56を上方向に移動させた後、左右シリンダ52により連結板54を左方向(図4の紙面上で見た左方向)へ移動させ、それに伴って連結板54の左右両側に取り付けられた一対の上下シリンダ55及び一対のチャック56を左方向へ移動させる。これにより、一対のチャック56のうちの一方(右側のチャック56)に把持された使用済みの接着膜テープ収納用カセット110がローダ側交換位置A2に位置付けられる。
【0065】
この状態で、右側の上下シリンダ55により右側のチャック56を下方向に移動させ、カセットローダ30の支持台32上に設けられたカセット一時保持機構を構成する位置決めピン43′が、右側チャック56により把持された接着膜テープ収納用カセット110のケース111の下部に形成された位置決め孔138に嵌り合うようにして、接着膜テープ収納用カセット110をカセットローダ30に立設状態で位置決めする。これにより、待機位置Cに位置付けられた使用済みの接着膜テープ収納用カセット110が、ローダ側交換位置A2に位置付けられたカセット一時保持機構に装着される。なおこのとき、制御装置(図示せず)は、支持台32上に設けられた在席センサ44′からの検出信号に基づいて使用済みの接着膜テープ収納用カセット110がセット一時保持機構に装着されているか否かを把握するものとする。
【0066】
その後、このようにして使用済みの接着膜テープ収納用カセット110がカセット一時保持機構(図示せず)に装着された後、ローダ側交換位置A2に位置付けられたチャック56(カセット一時保持機構(図示せず)に装着された接着膜テープ収納用カセット110を保持していたチャック56)は、把持機構(図示せず)により開いた状態に保たれ、上下シリンダ55により上方向に移動する。
【0067】
さらに、左右シリンダ52により連結板54を右方向(図4の紙面上で見た右方向)へ移動させ、それに伴って連結板54の左右両側に取り付けられた一対の上下シリンダ55及び一対のチャック56を右方向へ移動させる。これにより、一対のチャック56のうちの一方(左側のチャック56)はローダ側交換位置A2に位置付けられる。
【0068】
この状態で、把持機構(図示せず)により左側のチャック56を開いた状態に保つとともに、左側の上下シリンダ55により左側のチャック56を下方向に移動させる。次いで、把持機構(図示せず)により左側のチャック56を閉じた状態にし、左側のチャック56の内側先端部に設けられた支持ピン57が、ローダ側交換位置A2に位置付けられた使用済みの接着膜テープ収納用カセット110のケース111の上部に形成された支持孔113に嵌り合った時点で、左側の上下シリンダ55により左側のチャック56を上方向に移動させる。これにより、カセットストッカ20のローダ側交換位置A1に位置付けられた使用済みの接着膜テープ収納用カセット110が取り出される。
【0069】
次いで、左右シリンダ52により連結板54を左方向(図4の紙面上で見た左方向)へ移動させ、それに伴って連結板54の左右両側に取り付けられた一対の上下シリンダ55及び一対のチャック56を左方向へ移動させる。これにより、一対のチャック56のうちの一方(左側のチャック56)に把持された使用済みの接着膜テープ収納用カセット110がストッカ側交換位置A1に位置付けられる。なおこのとき、カセットストッカ20においては、制御装置(図示せず)による制御の下で、直動軸21が稼働され、カセットストッカ20のストッカ側交換位置A1に、接着膜テープ収納用カセット110が保管されていない空き場所を位置付けられているものとする。
【0070】
この状態で、左側の上下シリンダ55により左側のチャック56を下方向に移動させ、カセットストッカ20の支持台22上に設けられた位置決めピン23が、左側のチャック56により把持された接着膜テープ収納用カセット110のケース111の下部に形成された位置決め孔138に嵌り合うようにして、接着膜テープ収納用カセット110をカセットストッカ20に立設状態で位置決めする。これにより、ローダ側交換位置A2に位置付けられた使用済みの接着膜テープ収納用カセット110がストッカ側交換位置A1に位置付けられたカセットストッカ20の空き場所に保管される。なお、このようにして接着膜テープ収納用カセット110がカセットストッカ20の空き場所に保管された後、ストッカ側交換位置A1に位置付けられたチャック56(カセットストッカ20の空き場所に保管された接着膜テープ収納用カセット110を保持していたチャック56)は、把持機構(図示せず)により開いた状態に保たれ、上下シリンダ55により上方向に移動する。
【0071】
このように本実施の形態によれば、ACFテープ151が巻き回された供給リール112を接着膜テープ収納用カセット110内に収容するとともに、この接着膜テープ収納用カセット110をカセットストッカ20にて複数保管し、かつ、カセットチェンジャ50により、カセットストッカ20に保管された複数の接着膜テープ収納用カセット110のうちストッカ側交換位置A1に位置付けられた特定の未使用の接着膜テープ収納用カセット110を取り出して、ローダ側交換位置A2に位置付けられた接着膜貼付装置(図示せず)の供給駆動機構33に装着するようにしているので、供給リール112の取り扱いを容易にするとともに、接着膜貼付装置(図示せず)における供給リール112の自動交換を実現することができる。
【0072】
特に、本実施の形態によれば、接着膜テープ収納用カセット110内に収容された供給リール112を回転自在に支持する回転支持機構120の回転軸121が、接着膜貼付装置(図示せず)の供給駆動機構33の駆動軸36に着脱自在に連結されるように構成しているので、接着膜貼付装置(図示せず)における供給リール112の自動交換をより容易に実現することができる。
【0073】
また、本実施の形態によれば、カセットストッカ20及びカセットローダ30の直動軸21,31により接着膜テープ収納用カセット110を移動させるとともに、カセットストッカ20及びカセットローダ30に設けられた在席センサ24,44により接着膜テープ収納用カセット110を有無を検出するようにしているので、カセットストッカ20に複数の接着膜テープ収納用カセット110を予め保管しておくとともに、この保管された複数の接着膜テープ収納用カセット110を順次自動的に接着膜貼付装置(図示せず)の供給駆動機構33に接着することが可能となり、接着膜貼付装置(図示せず)に対する接着膜テープ収納用カセット110の自動交換をより実効的に実現することができる。
【0074】
さらに、本実施の形態によれば、カセットローダ30において、カセットチェンジャ50により、ストッカ側交換位置A1に位置付けられた未使用の接着膜テープ収納用カセット110が、ローダ側交換位置A2に位置付けられた供給駆動機構33に装着されるときに、ローダ側交換位置A2に位置付けられた使用済みの接着膜テープ収納用カセット110が待機位置Cに位置付けられた仮置き台80に一時的に排出されるようにしているので、接着膜貼付装置(図示せず)に対する接着膜テープ収納用カセット110の自動交換を排出動作も含めて、より実効的に実現することができる。
【0075】
さらにまた、本実施の形態によれば、供給駆動機構33が供給位置Bに位置付けられて接着膜テープ収納用カセット110からACFテープ151が巻き出されているときに、カセットチェンジャ50により、待機位置Cに位置付けられた使用済みの接着膜テープ収納用カセット110を搬送し、待機位置Cに位置付けられた使用済みの接着膜テープ収納用カセット110が、ローダ側交換位置A2に位置付けられたカセット一時保持機構(図示せず)にて一時的に保持された後、ストッカ側交換位置A1に位置付けられたカセットストッカ20の空き場所に保管されるようにしているので、接着膜テープ収納用カセット110の供給動作と排出動作とを同時に行うことが可能となり、接着膜テープ収納用カセット110の交換時間を短縮して装置の稼働率を向上させることができる。
【0076】
なお、上述した実施の形態においては、接着膜テープ収納用カセット110の回り止め機構130により回転を停止させた回転軸121の直線状の溝部122の向きを上下方向に延びるような向きとしているが、このような停止状態での回転軸121の直線状の溝部122の向きは、接着膜テープ収納用カセット交換装置10のカセットローダ30に設けられた供給駆動機構33の駆動軸36と接着膜テープ収納用カセット110の回転軸121とを連結する際の駆動軸36の移動方向及び駆動軸36の直線状の突起部36aの向きに合わせて決められるものであり、適宜任意の向き(例えば、左右方向に延びるような向き)とすることができる。
【0077】
また、上述した実施の形態においては、接着膜貼付装置(図示せず)の供給駆動機構33の駆動軸36と接着膜テープ収納カセット110の回転支持機構120の回転軸121とが互いに嵌り合うようにするため、駆動軸36の先端部に直線状の突起部36aを形成し、回転軸121の背面部121aに直線状の溝部122を形成するようにしているが、これに限らず、駆動軸36の先端部に直線状の溝部を形成し、回転軸121の背面部121aに直線状の突起部を形成するようにしてもよい。
【0078】
さらに、上述した実施の形態においては、接着膜テープ収納用カセット交換装置10のカセットストッカ20及びカセットローダ30に接着膜テープ収納用カセット110を位置決めするため、接着膜テープ収納カセット110のケース111に位置決め孔138を形成し、カセットストッカ20及びカセットローダ30に位置決めピン23,43,43′を設けるようにしているが、これに限らず、接着膜テープ収納用カセット110ケース111に位置決めピンを形成し、カセットストッカ20及びカセットローダ30に位置決め孔を形成するようにしてもよい。
【0079】
さらに、上述した実施の形態においては、使用済みの接着膜テープ収納用カセット110をカセットストッカ20により保管するようにしているが、これに限らず、使用済みの接着膜テープ収納用カセット110をカセットストッカ20とは別の装置により保管するようにしてもよい。
【0080】
さらに、上述した実施の形態においては、待機位置Cに排出された使用済みの接着膜テープ収納用カセット110を保管するための装置として仮置き台80を設けているが、これに限らず、待機位置Cにカセットストッカ20と同様の装置を設けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0081】
10 接着膜テープ収納用カセット交換装置
20 カセットストッカ
21 直動軸
22 支持台
23 位置決めピン
24 在席センサ
30 カセットローダ
31 直動軸
32 支持台
33 供給駆動機構
34 駆動モータ
35 シャフト
36 駆動軸
36a 突起部
37 スリット板
38 位相確認センサ
41,42 支持板
43,43′ 位置決めピン
44,44′ 在席センサ
45 カセット解放機構
46 解放シリンダ
47 アーム
47a 屈曲部
47b 端部
50 カセットチェンジャ
51 支持板
52 左右シリンダ
54 連結板
55 上下シリンダ
56 チャック
57 支持ピン
60 ロック機構
61 上部支持台
62 固定シリンダ
63 固定部
65 下部支持台
80 仮置き台
90 基台
110 接着膜収納用カセット
111 ケース
111a 壁部
111b 縁部
111c 隆起部
111d 開口部
112 供給リール
112a 収納部
112b 中心孔
113 支持孔
120 回転支持機構
121 回転軸
121a 背面部
121b 前面部
121c 孔
122 溝部
123 ボルト
124,125 軸受け
126 装着機構
127 ボルト
128 爪
129 ばね
130 回り止め機構
131 回り止めピン
132 回り止めアーム
133 支軸
135,136 ばね係止部
137 ばね
138 位置決め孔
139 駆動用突起部
140 クランプ機構
141 クランプ本体
142 クランプアーム
143 支軸
144,145 ばね係止部
146 ばね
147 クランプ用当接部
148 繰り出し用ローラ
149 支軸
150 駆動用突起部
151 ACFテープ(異方性導電膜テープ)
161 駆動モータ
162 シャフト
163 駆動軸
165,166 支持体
167 軸受け
168 ねじ部
169 取り付けナット
169a ねじ部
A1 ストッカ側交換位置
A2 ローダ側交換位置
B 供給位置
C 待機位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接着膜貼付装置で用いられる接着膜テープ収納用カセットを交換する接着膜テープ収納用カセット交換装置において、
接着膜テープが巻き回された供給リールを収容する接着膜テープ収納用カセットを保管するカセットストッカであって、接着膜貼付装置に装着される接着膜テープ収納用カセットを立設状態で保管位置とストッカ側交換位置との間で前後方向に移動させるカセットストッカと、
前記カセットストッカに保管された接着膜テープ収納用カセットを前記接着膜貼付装置に装着するためのカセットローダであって、前記接着膜貼付装置の一部をなす供給駆動機構に接着膜テープ収納用カセットが装着されるローダ側交換位置と、前記供給駆動機構が稼働されて接着膜テープ収納用カセットから接着膜テープが巻き出される供給位置との間で、前記供給駆動機構を移動させることで、前記接着膜テープ収納用カセットを立設状態で前後方向に移動させるカセットローダと、
前記カセットストッカと前記カセットローダとの間で接着膜テープ収納用カセットを搬送するカセットチェンジャであって、前記カセットストッカの前記ストッカ側交換位置に位置付けられた未使用の接着膜テープ収納用カセットが、前記カセットローダの前記ローダ側交換位置に位置付けられた前記供給駆動機構に装着されるよう、前記ストッカ側交換位置と前記ローダ側交換位置との間で未使用の接着膜テープ収納用カセットを搬送するカセットチェンジャとを備え
前記カセットチェンジャは、前記カセットストッカの前記ストッカ側交換位置に位置付けられた未使用の接着膜テープ収納用カセットと、前記カセットローダの前記ローダ側交換位置に位置付けられた使用済みの接着膜テープ収納用カセットとを同時に搬送するように構成されており、
前記カセットチェンジャによって、前記ストッカ側交換位置に位置付けられた未使用の接着膜テープ収納用カセットが、前記ローダ側交換位置に位置付けられた前記供給駆動機構に装着されるとともに、前記ローダ側交換位置に位置付けられた使用済みの接着膜テープ収納用カセットが待機位置に一時的に排出されることを特徴とする接着膜テープ収納用カセット交換装置。
【請求項2】
前記カセットローダは、前記接着膜貼付装置の前記供給駆動機構に装着された未使用の接着膜テープ収納用カセットを前記ローダ側交換位置から前記供給位置まで移動させるとともに、前記供給駆動機構に装着された使用済みの接着膜テープ収納用カセットを前記供給位置から前記ローダ側交換位置まで移動させるように構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の接着膜テープ収納用カセット交換装置。
【請求項3】
前記カセットローダは、前記接着膜貼付装置の前記供給駆動機構が前記供給位置に位置付けられている状態で前記ローダ側交換位置にて接着膜テープ収納用カセットを保持するカセット一時保持機構を有し、
前記カセットチェンジャは、前記供給駆動機構が前記供給位置に位置付けられて接着膜テープ収納用カセットから接着膜テープが巻き出されているときに、前記待機位置に位置付けられた使用済みの接着膜テープ収納用カセットを搬送するように構成されており、
前記カセットチェンジャによって、前記待機位置に位置付けられた使用済みの接着膜テープ収納用カセットが、前記ローダ側交換位置に位置付けられた前記カセット一時保持機構にて一時的に保持された後、前記ストッカ側交換位置に位置付けられた前記カセットストッカの空き場所に保管されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の接着膜テープ収納用カセット交換装置。
【請求項4】
前記カセットチェンジャは、左右両側に取り付けられた一対の上下シリンダと、一対の上下シリンダにより上下方向に移動自在に保持された一対のチャックとを有し、
待機位置に位置付けられた使用済みの接着膜テープ収納用カセットが、前記一対のチャックのうち待機位置側に位置するチャックに把持されてローダ側交換位置に移動され、その後、該ローダ側交換位置に移動された使用済みの接着膜テープ収納用カセットが、前記一対のチャックのうちストッカ側交換位置側に位置するチャックに把持されてストッカ側交換位置に移動されることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれかに記載の接着膜テープ収納用カセット交換装置。
【請求項5】
前記接着膜テープは、異方性導電膜テープであることを特徴とする、請求項1乃至のいずれか一項に記載の接着膜テープ収納用カセット交換装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−13287(P2010−13287A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−202661(P2009−202661)
【出願日】平成21年9月2日(2009.9.2)
【分割の表示】特願2004−287937(P2004−287937)の分割
【原出願日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(000002428)芝浦メカトロニクス株式会社 (907)
【Fターム(参考)】