説明

接続端子及びこれを用いた電気部品。

【課題】 本発明は、接続部をプリント基板のスルーホールに挿入する時に、端子部に曲がり等の変形が発生することなく、接続部をスルーホールの内面に強く弾接すると共に、材料歩留まりが良い接続端子及びこれを用いた電気部品を提供すること。
【解決手段】 本発明の接続端子1の接続部3は、スルーホール22の挿入方向に所定長さで形成したスリット3aによって細長状に分割され、前記スリット3aを挟んで隣り合う細長状の分割部分を、金属板の板厚方向に対して互いに異なる方向に屈曲させて、スルーホール22の内面の導電性膜23に弾接可能な複数の弾接部4、5、5を形成したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント基板のスルーホールに挿入されて、スルーホール内面の導電性膜に電気的に接続される接続端子及びこれを用いた電気部品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の接続端子を特許文献1に基づいて説明すると、図8に示すように、プリント基板21には、所定の孔径のスルーホール22が貫通形成され、このスルーホール22の内面に導電性膜23が形成され、この導電性膜23に、所定形状の配線パターン24が接続して引き回し形成されている。
このような、プリント基板21のスルーホール22に挿入して接続可能な従来の接続端子30は、所定厚さの金属板からなり、所定の幅寸法の端子部31と、この端子部31の一端部側に接続部32が一体形成されている。
そして、接続部32は、プリント基板21のスルーホール22に挿入されて電気的に導通可能な形状になっている。
【0003】
前記接続部32は、二股状に分かれており、二股状に分かれた部分を、それぞれ樋状にカールさせて一対の弾性片33が形成されている。
前記一対の弾性片33は、樋状にカールさせたその凹面側を内側にして、互いに対向形成されて、根元側が片持ち支持されて先端部が自由端状になっている。
前記一対の弾性片33は、互い外向きに屈曲させて屈曲頂部34が形成され、この屈曲頂部34がプリント基板21のスルーホール22内面の導電性膜23に弾接して電気的に導通するようになっている。
【0004】
また、一対の弾性片33は、スルーホール22に挿入する前は、先端部が開いており、スルーホール22に挿入されると、それぞれの先端部が閉じて圧接され、弾性片33の屈曲頂部34がスルーホール22の導電性膜23に強く圧接されるようになっている。
また、端子部31の一端部側である、接続部32の根元部分には、円弧状の切り欠き部35が互いに対向する位置に一対形成されている。
前記切り欠き部35によって、弾性片33を樋状にカールさせる時の歪みが端子部31に伝わることがなく、端子部31に反り等が発生しないようになっている。
【特許文献1】特開2003−338333号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の接続端子30は、端子部31の一端部側で接続部32の根元部分に一対の切り欠き部35を形成したので、弾性片33をスルーホール22に挿入する時に、切り欠き部35に応力が集中して、切り欠き部35を形成した部分から変形するおそれがあった。
また、接続部32は、弾性片33を樋状にカールさせるために、その加工が複雑となり、カールさせる前の弾性片を形成した部分の幅寸法(ブランク寸法)を、端子部31の幅寸法より広くしなければならなかった。
そのために、金属材料をプレス等で打ち抜きして、従来の接続端子30を形成する時に、接続端子30間のピッチ寸法が広くなって、材料歩留まりが悪くなりコストアップになる問題があった。
【0006】
本発明は前述したような課題を解決し、接続部をプリント基板のスルーホールに挿入する時に、端子部に曲がり等の変形が発生することなく、接続部をスルーホールの内面に強く弾接すると共に、材料歩留まりが良い接続端子及びこれを用いた電気部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するための第1の手段として本発明の接続端子は、プリント基板のスルーホールに挿入することにより前記スルーホールの導電し膜に電気的に接続可能な接続部と、この接続部を一端部側に形成すると共に他端部側に電気部品の回路に接続される端子部とを備え、前記接続部は、前記スルーホールの挿入方向に所定長さで形成したスリットによって細長状に分割され、前記スリットを挟んで隣り合う前記細長状の分割部分を、前記金属板の板厚方向に対して互いに異なる方向に屈曲させて、前記スルーホールの内面に弾接可能な複数の弾接部を形成したことを特徴とする。
また、前記課題を解決するための第2の手段として、前記スリットは、前記接続部に所定の間隔を有して2本形成され、この2本の前記スリットによって前記弾接部が3つ形成され、この3つの前記弾接部が互い違いの方向に屈曲形成されていることを特徴とする。
【0008】
また、前記課題を解決するための第3の手段として、前記3つの弾接部は、前記2本のスリットに挟まれた部分に形成した第1弾接部と、この第1弾接部の外側に形成した一対の第2弾続部とからなり、前記第1弾接部は、前記第2弾続部より幅広に形成されていることを特徴とする。
また、前記課題を解決するための第4の手段として、前記第1弾続部の長手方向には、前記スルーホールの内面に弾接可能な凸状のリブが形成されていることを特徴とする。
【0009】
また、前記課題を解決するための第5の手段として、前記複数の弾接部は、長手方向の両端部がそれぞれつながって両持ち状になっていることを特徴とする。
また、前記課題を解決するための第6の手段として、前記端子部の前記一端部側には、段部が形成されて前記端子部が前記接続部より幅広になっていることを特徴とする。
【0010】
また、前記課題を解決するための第7の手段として、前記複数の弾接部は、それぞれ両端部に傾斜部が形成されると共に、これら傾斜部の間に略平坦状の頂部を有する山形状に屈曲形成されていることを特徴とする。
また、前記課題を解決するための第8の手段として、前記傾斜部の前記スルーホールの前記挿入方向に対する傾斜角度が、先端部側が前記端子部側より小さくなっていることを特徴とする。
【0011】
また、前記課題を解決するための第9の手段として本発明の電気部品は、請求項1乃至8のいずれかに記載の接続端子と、筐体内に形成されて接続端子に接続される所定の回路とを備え、接続端子の弾接部をプリント基板のスルーホールに挿入することにより、プリント基板の配線パターンと回路とが、複数の弾接部を介して電気的に接続されることを特徴とする。
また、前記課題を解決するための第10の手段として、前記所定の回路は、所定形状の固定接点と可動接点とを有し、前記固定接点と前記接続端子とが1枚の金属板で一体形成されていることを特徴とする。
また、前記課題を解決するための第11の手段として、前記接続端子の前記端子部は、前記筐体の側面から引き出され略直角状に折り曲げられて、前記弾接部が前記プリント基板のスルーホールに挿入可能になっていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の接続端子の接続部は、スルーホールの挿入方向に所定長さで形成したスリットによって細長状に分割され、スリットを挟んで隣り合う細長状の分割部分を、金属板の板厚方向に対して互いに異なる方向に屈曲させて、スルーホールの内面に弾接可能な複数の弾接部を形成したので、接続部をスルーホールに挿入する際に、端子部の一部に応力が集中して端支部に変形が発生するのを抑制することができる。また、複数の断絵粒が、金属板の板厚方向に屈曲されることから、材料歩留まりが良く、接続端子を複数本並べて用いる場合に、それぞれの接続端子間の狭ピッチ化が可能となる。
また、接続部がスルーホールに挿入されると、複数の弾接部がスルーホール内面の導電性膜に強く弾接して、接続部を半田付け等でプリント基板に固着しなくても、接続部をプリント基板の配線パターンに電気的に確実に導通させることができる。更に、接続部をプリント基板に半田付けしなくても良いので、組み立て効率を向上できる。
また、スリットは、接続部に所定の間隔を有して2本形成され、この2本のスリットによって弾接部が3つ形成され、この3つの弾接部が互い違いの方向に屈曲形成されているので、3つの弾接部をスルーホール内で3点支持させて、3ケ所でスルーホール内面に各弾接部を確実に強く弾接することができ、よって、接続端子とスルーホール内面の導電性膜との接続信頼性を向上させることができる。
【0013】
また、3つの弾接部は、2本のスリットに挟まれた部分に形成した第1弾接部と、この第1弾接部の外側に形成した一対の第2弾続部とからなり、第1弾接部は、第2弾続部より幅広に形成されているので、第1弾接部の強度をアップさせて、第1、第2弾接部が導電性膜に弾接する弾接力を高めることができると共に、弾接バランスを良くすることができ、スルーホール内面の導電性膜に対する接続部の電気的な導通を安定させることができる。
また、第1弾続部の長手方向には、スルーホールの内面に弾接可能な凸状のリブが形成されているので、更に第1弾接部を強度アップできる。
【0014】
また、複数の弾接部は、長手方向の両端部がそれぞれつながって両持ち状になっているので、弾接部の弾性力が大きくなって、スルーホールに弾接部を挿入して嵌合させたときの弾接力を大きくでき、接続の信頼性を向上させることができる。また、複数の弾接部の先端部側がまとまっているので、接続部をスルーホールに挿入しやすくできる。
また、端子部の一端部側には、段部が形成されて端子部が接続部より幅広になっているので、接続部をスルーホールに挿入するときに端子部に曲がり等の変形が発生するのを防止できる。
【0015】
また、複数の弾接部は、それぞれ両端部に傾斜部が形成されると共に、これら傾斜部の間に略平坦状の頂部を有する山形状に屈曲形成されているので、接続部をスルーホールに挿入したときに、導電性膜に対する弾接部の弾接面積を大きくすることができ、接続部とスルーホールの導電性膜との電気的な導通を確実にすることができる。
また、傾斜部のスルーホールへの挿入方向に対する傾斜角度が、先端部側が端子部側より小さくなっているので、接続部を無理なくスルーホールに挿入でき、挿入作業性に優れている。
【0016】
また、本発明の電気部品は、請求項1乃至8のいずれかに記載の接続端子と、筐体内に形成されて接続端子に接続される所定の回路とを備え、接続端子の弾接部をプリント基板のスルーホールに挿入することにより、プリント基板の配線パターンと回路とが、複数の弾接部を介して電気的に接続されるので、接続端子をプリント基板に半田付けしなくても、電気的に確実に導通させることができる。
そして、接続端子をプリント基板に半田付けしなくても良いので、本発明の接続端子を用いた電気部品側の筐体を、低コストの熱可塑性樹脂等を用いることができ、電気部品のコストダウンが可能となる。
更に、接続端子とプリント基板との半田付け工程が不要になるので、組立効率を向上できる。また、接続端子の複数の弾接部が金属板の板厚方向に屈曲されたものであるため、複数の接続端子間の狭ピッチ化に対応できる電気製品を提供することができる。
また、所定の回路は、所定形状の固定接点と可動接点とを有し、固定接点と接続端子とが1枚の金属板で一体形成されているので、接続端子を固定接点にカシメあるいは半田付け等で接続しなくて良く、組立効率を更に向上できる。
また、接続端子の端子部は、筐体の側面から引き出され略直角状に折り曲げられ、弾接部がプリント基板のスルーホールに挿入可能になっているので、プリント基板に固着前の仮止め時の電気部品に、外部から衝撃等が加わった場合に、接続端子は、直角状の折り曲げ部から弾性変形する。
そのために、スルーホールに挿入した弾接部が変形するのを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の接続端子及びこれを用いた電気部品の一実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の接続端子の斜視図であり、図2は図1の接続端子の下面図であり、図3はプリント基板のスルーホールへの接続端子の挿入前後を説明する要部断面図であり、図4は本発明の電気部品の要部断面図であり、図5は本発明に係わる筐体の斜視図であり、図6は図5の平面図であり、図7は本発明に係わる可動接点の平面図である。
【0018】
まず、本発明の接続端子1は、厚さが例えば0.2mmの弾性を有する金属板をプレス加工等により打ち抜きして、図1に示すように、水平方向から略垂直方向の下方に直角状に折り曲げた、所定の幅寸法の端子部2が形成されている。
前記端子部2は、図示垂直方向の下方の一端部側に段部2a、2aが形成され、この段部2a、2aの内側から、図示下方に長尺状の接続部3が形成されている。また、端子部2の図示水平方向に延びる他端部側には、後述する電気部品10の回路を構成する固定接点に接続されている。
【0019】
前記接続部3が挿入されて電気的に導通するスルーホールを有するプリント基板は、従来例で説明した物と同じ構成なので、従来例と同じ番号を付して説明する。
そして、接続部3は、プリント基板21のスルーホール22の挿入方向に所定長さで形成した2本のスリット3a、3aによって、スルーホール22の挿入方向に長手方向を有する細長状に分割されている。
前記細長状の分割部分には、接続部3の板厚方向に対して互いに異なる方向に屈曲させて、スルーホール22の内面の導電性膜23に弾接可能な複数の第1、第2弾接部4、5が形成されている。
即ち、第1弾接部4は、接続部3を構成する金属板の板厚方向の一面側に突出して屈曲されており、第2弾接部5、5は、金属板の板厚方向における他面側に突出するように屈曲されている。
【0020】
また、接続部3は、2本のスリット3a、3aに挟まれた間に幅寸法Aの1つの第1弾接部4が形成されて、第1弾接部4の外側に幅寸法Bの一対の第2弾接部5、5が形成されている。即ち、接続部3には、スリット3a、3aによって、第1、第2弾接部4、5、5の3つが分割されて形成されて、互い違いの方向に山形状に突出して屈曲形成されている。
前記接続部3は、第1、第2弾接部4、5、5の図示下部側の先端に、スルーホール22に挿入時のガイドとなる挿入ガイド部6が形成され、この挿入ガイド部6によって第1、第2弾接部4、5の先端部側がそれぞれ挿入ガイド部6につながっている。
【0021】
即ち、3つの第1、第2弾接部4、5は、それぞれの両端部が、端子部2の一端部側と挿入ガイド部6とにつながって両持ち支持された構造となっている。
そのために、第1、第2弾接部4、5の弾性力が大きくなって、スルーホール22に挿入して嵌合させたときに、導電性膜23に対して確実な接続を行うことができ、外部から衝撃等が加わったとしても、電気的に不導通になることを防止できる。また、第1、第2弾接部4、5の先端側が、略三角形状をした挿入ガイド部6で一つにつながっていることから、接続部3をスルーホール22に容易に挿入することができる。
また、山形状の第1、第2弾接部4、5は、図示下方の先端部側である挿入ガイド部6側に一方の傾斜部4a、5aが形成され、図示上方の端子部2側に他方の傾斜部4b、5bが形成され、両傾斜部4a、5aと4b、5bとの間に、頂部4c、5cが略平坦状に形成されている。
即ち、第1、第2弾接部4、5は、山形状に屈曲形成され、両端部に傾斜部4a、4b、5a、5bが形成されると共に略平坦状の頂部4c、5cが形成されている。
【0022】
前記それぞれの傾斜部4a、4b、5a、5bのスルーホール22に挿入する方向と平行な垂直線Dに対する傾斜角度は、挿入ガイド部6側の一方の傾斜部4a、5aの傾斜角度Eが、端子部2側の他方の傾斜部4b、5bの角度Fより小さくなっている。そのために、接続部3を無理なくスルーホール22に挿入でき、挿入作業性に優れている。
更に、頂部4c、5cが略平坦状に形成されているので、接続部3をスルーホール22に挿入したときに、導電性膜23に対する第1、第2弾接部4、5の弾接面積を大きくすることができ、接続部3とスルーホール22の導電性膜23との電気的な導通を確実にすることができる。
【0023】
また、第1弾接部4の幅寸法Aは、一対の第2弾接部5、5の幅寸法Bより幅広に形成されている。例えば第1弾接部4の幅寸法Aは、0.4mmに、第2弾接部5の幅寸法Bは、0.3mmに形成されて、接続部3の幅寸法が略1mmに形成されている。
前記第1、第2弾接部4、5の幅寸法の関係をA>Bとすることで、接続部3をスルーホール22に挿入したときに、第1、第2弾接部4、5、5を導電性膜23に弾接する弾接バランスを良くすることができ、導電性膜23に対する接続部3の電気的な導通をバラツキ無く安定させることができる。
【0024】
また、第1弾接部4の長手方向には、スルーホール22の内面の導電性膜23に弾接可能な凸状のリブ7が形成されている。前記リブ7によって、第1弾接部4が更に強度アップされて、1つの第1弾接部4と、2つの第2弾接部5、5との導電性膜23に対する弾接力を高めて、接続部3と導電性膜23との導通の信頼性を更に良くすることができる。
前記接続部3は、図3Aに示すように、スルーホール22に挿入する前の第1、第2弾接部4、5の頂部4c、5cの所定の曲率半径からなる最大直径Rが略1.5mmに形成され、スルーホール22の直径は略1.2mmに形成されている。
即ち、第1、第2弾接部4、5は、図3Bに示すように、スルーホール22に挿入すると、略0.15mm弾性変形するようになっている。
【0025】
前記リブ7は、第1弾接部4だけでなく、端子部2から接続部3の挿入ガイド部6まで形成されているので、接続部3をスルーホール22に挿入するときに、端子部2に応力が加わっても、端子部2が曲がるのを防止できる。
また、第2弾接部5、5は、スルーホール22に挿入したときに、導電性膜23に弾接する部分の外側のコーナ部がアール状に形成、又は面取りされているので、接続部3をスルーホール22に挿入したときに、導電性膜23に傷が付くのを防止できる。
そのために、修理等の何らかの理由で、本発明の接続端子1をスルーホール22から挿脱を繰り返したとしても、接続部3とスルーホール22との電気的な導通を確実に行うことができる。
【0026】
このような本発明の接続端子1は、接続部3をプリント基板21のスルーホール22に挿入すると、第1、第2弾接部4、5、5が導電性膜23に、3ケ所(3点支持状態)で強く弾接することができ、本発明の接続端子1とスルーホール22の導電性膜23とを、半田付けしなくても確実に電気的な導通することができる。
また、端子部2に形成した段部2a、2aによって、接続部3をスルーホール22に挿入した時に、段部12aをストッパーとすることができ、接続部3のスルーホール22に対する挿入量のバラツキを無くして、第1、第2弾接部4、5、5と導電性膜23との接続をバラツキなく確実に行うことができる。
【0027】
また、スルーホール22に挿入した時の第1、第2弾接部4、5は、他方の傾斜部4b、5bと頂部4c、5cとが交わるコーナ部がプリント基板21の板厚の略半分に位置するようになっている、
そのために、第1、第2弾接部4、5をスルーホール22に挿入した時に、
段部2aがプリント基板21の表面から若干浮き上がったとしても、第1、第2弾接部4、5をスルーホール22の導電性膜23に確実に弾接できる。
尚、本発明の実施の形態では、第1弾接部4を1つ、第2弾接部5を一対で説明したが、接続部3に形成するスリット3aを1本にして、第1、第2弾接部4、5を、それぞれ1つ形成したものでも良い。また、スリット3aは、接点部3の先端部(挿入ガイド部6)側まで達しているものであっても良い。
【0028】
また、本発明の接続端子1を用いた電気部品10を、図4〜図7に基づいて例えば回転型エンコーダで説明すると、電気部品10は、合成樹脂等からなる筐体11を有し、この筐体11は、図5に示すように、中心部に図示上下に貫通する中空部11aを有する円筒状の筒部11bが形成され、この筒部11bの下部側には、筒部11bより外径が大きな略リング状の底壁11cが形成されている。
前記底壁11cの外周部には、所定高さの円筒状の側壁11dが形成され、この側壁11dと筒部11bとの間が凹状の凹部11eとなっている。
また、底壁11cの裏面には、図示下方側に突出して複数の位置決め突起11fが、所定高さの段部11gを有して形成されている。
【0029】
また、凹部11eには、後述する可動接点16と共に所定の回路を構成する共通接点である第1固定接点12と、個別接点である第2固定接点13と第3固定接点14とが、筐体11の底壁11cに埋設されて、それぞれの固定接点部12a、13a、14aが凹部11e内に露出している。
それぞれの固定接点12、13、14は、金属板からなり、図6に示すように、第1固定接点12の固定接点部12aが略円弧状に形成され、第2、第3固定接点13、14の固定接点部13a、14aが、所定のピッチ寸法でコードパターン状に露出して形成されている。
【0030】
また、筐体11の側壁11dの一方の側面(図4において図示左側面)11hからは、本発明の接続端子1の端子部2が所定寸法引き出され略直角状に折り曲げられて、接続部3がプリント基板21のスルーホール22に挿入可能に形成されている。
そして、側壁11dの一方の側面11hからは、図6に示すように、3個の接続端子1が所定の間隔で引き出し形成され、真ん中の接続端子1が第1固定接点12と1枚の金属板で一体形成されている。
また、図6に示す下部側の接続端子1が、凹部11eの図示下方側の第2固定接点13と1枚の金属板で一体形成され、コードパターン状の第2固定接点部13aが所定のピッチ寸法で複数露出している。
また、図6に示す上部側の接続端子1が、凹部11eの図示上方側の第3固定接点14と1枚の金属板で一体形成され、コードパターン状の第3固定接点部14aが所定のピッチ寸法で複数露出している。
尚、図5、図6において、第1、第2、第3固定接点12、13、14を構成する金属板には、点々(ドット)を付けることによって、理解しやすくしている。
【0031】
前記筐体11の側壁11dの一方の側面11hから引き出し形成された3個の接続端子1は、段部2aの高さが、突起11fの段部11gの高さと同じになっている。
また、筐体11の筒部11bの外側には、図4に示すように、合成樹脂等からなる摺動子受け15が回転可能に嵌合して配設されている。前記摺動子受け15は、筐体11の筒部11b外周に嵌合可能な円筒状の軸部15aが形成され、この軸部15aの下端部には、径方向の外方に延びる円形でリング状の鍔部15bが形成され、この鍔部15bの上面側には、凹凸状の凹凸面(図示せず)が形成されている。
【0032】
また、鍔部15bの裏面には、図7に示すような円形でリング状に形成された弾性を有する金属板からなる摺動子片である可動接点16が固着されている。
前記可動接点16は、取付基部16aがリング状に形成され、この取付基部16aの3箇所には、第1、第2、第3固定接点部12a、13a、14aに弾接して摺動可能な、自由端状の可動接点部16bが形成されている。
前記可動接点16の可動接点部16bは、第1、第2、第3固定接点部12a、13a、14aに弾接することにより所定の回路(スイッチ回路)が構成されている。
【0033】
また、可動接点16を鍔部15b裏面に取り付けた摺動子受け15は、筐体11の筒部11bに軸部15aを嵌合して挿通され、鍔部15bが凹部11e内に収納されて、筐体11に対して回転可能に組み付けされる。
そして、摺動子受け15の回転に伴って可動接点16の3個の可動接点部16bが、第1、第2、第3固定接点部12a、13a、14a上を摺動して接離可能となっている。
【0034】
また、摺動子受け15の鍔部15bの凹凸面(図示せず)上には、弾性を有する金属板からなる板バネ17が配設されており、この板バネ17は、円形でリング状に形成され、一方側(図4に示す右側)に鍔部15bの凹凸面に係合する係合部17aが形成され、摺動子受け15が回転して係合部17aが鍔部15bの凹凸面に係脱することで、回転する摺動子受け15に所定のクリック感を生じさせることができる。
【0035】
また、板バネ17の上部には、金属板からなる枠体18がかぶせられており、この枠体18に形成した取付腕部(図示せず)が筐体11の側壁11dを抱え込むようにカシメ付けすることにより、摺動子受け15の鍔部15bが筐体11の凹部11eに位置して回転可能になっている。
また、枠体18には、複数の取付脚部18aが形成され、この取付脚部18aがプリント基板21に形成した取付孔(図示せず)にスナップ係合可能になっている。
【0036】
このような本発明の電気部品10は、複数の取付脚部18aを、プリント基板21側の取付孔に嵌合させてスナップ係合させるると共に、位置決め突起11fをプリント基板21側の位置決め孔(図示せず)に挿入することで、3個の接続端子1が、スルーホール22に挿入され、それぞれの第1、第2弾接部4、5が導電性膜23に弾接して、本発明の電気部品10がプリント基板21の仮止めされる。
そして、プリント基板21に仮止めした状態で、スナップ係合させた取付脚部18aをプリント基板21に半田付け等により固着することで、本発明の電気部品10がプリント基板21に取り付けられれている。
そして、スルーホール22に挿入して嵌合させた接続端子1は、第1、第2弾接部4、5が導電性膜23に強固に弾接して、確実に電気的に導通するようになっているので、接続端子1をプリント基板21に半田付けしなくても良い。
【0037】
尚、本発明の実施の形態における電気部品10を、回転型のエンコーダを例に説明したが、プッシュスイッチ、あるいはスライド型の可変抵抗器等の回転型以外の電気部品としても良い。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の接続端子の斜視図である。
【図2】図1の接続端子の下面図である。
【図3】接続端子をプリント基板のスルーホールに挿入する前後を説明する要部断面図である。
【図4】本発明の電気部品の要部断面図である。
【図5】本発明に係わる筐体の斜視図である。
【図6】図5の平面図である。
【図7】本発明に係わる可動接点の平面図である。
【図8】従来の接続端子を説明する斜視図である。
【符号の説明】
【0039】
1 接続端子
2 端子部
2a 段部
3 接続部
3a スリット
4 第1弾接部
4a 一方の傾斜部
4b 他方の傾斜部
4c 頂部
5 第2弾接部
5a 一方の傾斜部
5b 他方の傾斜部
5c 頂部
6 挿入ガイド部
7 リブ
10 電気部品
11 筺体
11a 中空部
11e 凹部
12 第1固定接点
12a 固定接点部
13 第2固定接点
14 第3固定接点
15 摺動子受け
15b 鍔部
16 可動接点
16b 可動接点部
17 板バネ
18 枠体
21 プリント基板
22 スルーホール
23 導電性膜
24 配線パターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント基板のスルーホールに挿入することにより前記スルーホールの導電性膜に電気的に接続可能な接続部と、この接続部を一端部側に形成すると共に他端部側に電気部品の回路に接続される端子部とを備え、前記接続部は、前記スルーホールの挿入方向に所定長さで形成したスリットによって細長状に分割され、前記スリットを挟んで隣り合う前記細長状の分割部分を、前記金属板の板厚方向に対して互いに異なる方向に屈曲させて、前記スルーホールの内面に弾接可能な複数の弾接部を形成したことを特徴とする接続端子。
【請求項2】
前記スリットは、前記接続部に所定の間隔を有して2本形成され、この2本の前記スリットによって前記弾接部が3つ形成され、この3つの前記弾接部が互い違いの方向に屈曲形成されていることを特徴とする請求項1記載の接続端子。
【請求項3】
前記3つの弾接部は、前記2本のスリットに挟まれた部分に形成した第1弾接部と、この第1弾接部の外側に形成した一対の第2弾続部とからなり、前記第1弾接部は、前記第2弾続部より幅広に形成されていることを特徴とする請求項2記載の接続端子。
【請求項4】
前記第1弾続部の長手方向には、前記スルーホールの内面に弾接可能な凸状のリブが形成されていることを特徴とする請求項3記載の接続端子。
【請求項5】
前記複数の弾接部は、長手方向の両端部がそれぞれつながって両持ち状になっていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の接続端子。
【請求項6】
前記端子部の前記一端部側には、段部が形成されて前記端子部が前記接続部より幅広になっていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の接続端子。
【請求項7】
前記複数の弾接部は、それぞれ両端部に傾斜部が形成されると共に、これら傾斜部の間に略平坦状の頂部を有する山形状に屈曲形成されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の接続端子。
【請求項8】
前記傾斜部の前記スルーホールの前記挿入方向に対する傾斜角度が、先端部側が前記端子部側より小さくなっていることを特徴とする請求項7記載の接続端子。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかに記載の接続端子と、筐体内に形成されて前記接続端子に接続される所定の回路とを備え、前記接続端子の前記弾接部をプリント基板のスルーホールに挿入することにより、前記プリント基板の配線パターンと前記回路とが、前記複数の弾接部を介して電気的に接続されることを特徴とする電気部品。
【請求項10】
前記所定の回路は、所定形状の固定接点と可動接点とを有し、前記固定接点と前記接続端子とが1枚の金属板で一体形成されていることを特徴とする請求項9記載の電気部品。
【請求項11】
前記接続端子の前記端子部は、前記筐体の側面から引き出され略直角状に折り曲げられて、前記弾接部が前記プリント基板のスルーホールに挿入可能になっていることを特徴とする請求項9、または10記載の電気部品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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