説明

接触した皮脂をマイクロ乳化するスキンケア用化粧組成物及び方法

ブロックポリマーであるポリ(ブタジエン−b−エチレンオキシド)に結合した非イオン性トリブロック型ポリプロピレン−オキシド、ポリエチレン−オキシドアルコールエーテル界面活性剤の組合せは、接触した皮脂をマイクロ乳化するための優れた界面活性剤相である。本発明の新規な組成物に接触した皮脂のマイクロ乳化方法は、(1)皮膚の毛穴深部の清浄化と、(2)皮膚有益物質の皮膚内送達と、を増進できるマイクロエマルジョンを形成するであろう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
トリブロック型プロピレンオキシド、エチレンオキシド界面活性剤とポリ(ブタジエン−b−エチレンオキシド)ポリマーとを化粧ビヒクル中に含む、接触した皮脂をマイクロ乳化する化粧方法及び組成物。
【背景技術】
【0002】
マイクロエマルジョンは、ナノメーター寸法のドメインまたは2つの連続相を含む油と水との熱力学的に安定な等方性分散液であり、界面活性剤の界面膜によって安定化されている。マイクロエマルジョンはいくつかの異なる観点から化粧用配合物に好適となり得る特性を有している。マイクロエマルジョンは透明(または半透明)で、“清潔な”系であると認知され、また、エマルジョンを自発的に形成する。マイクロエマルジョンは油と水との界面に極めて低い界面張力を有しており、これがマイクロエマルジョン形成の鍵となる。この界面張力特性は毛細管作用を増進させるので、この特性がマイクロエマルジョンに、(1)例えばウォッシュオフ組成物中の毛穴深部の清浄化剤、及び、(2)例えばリーブオン組成物中の小胞送達ビヒクルとしてすぐれた潜在能力を与える。
【0003】
短鎖油をマイクロ乳化することは比較的容易である。他方で、例えば皮膚の皮脂中に存在する長鎖脂肪エステル及びトリグリセリドのような嵩高い油のマイクロ乳化が難しいことは周知である。このような高分子量油と界面活性剤との相互作用は当業界で十分には解明されていないが、慣用のアルカン油の作用とはラジカル的に異なっている。本発明が取組む課題はここにある。より詳細には、本発明が解決しようとする問題は、皮脂中のトリグリセリドのような嵩高い高分子量の油をマイクロ乳化する方法を見出すことである。界面活性助剤がマイクロ乳化効率を増進できることは公知である。しかしながら界面活性助剤の選択は主として試行錯誤に基づいている。
【0004】
化粧品という用途を考えるとき、皮脂は皮膚上の界面活性剤−油の相互作用に関与する最も重要な油の1つである。皮脂は、トリグリセリド(57重量/重量%)とワックスエステル(26重量/重量%)とスクアレン(12重量/重量%)とステロールエステル(3重量/重量%)と遊離ステロール(2重量/重量%)との複雑な混合物であり、皮脂細胞(皮膚の皮脂腺の細胞)によって産生され皮膚表面に分泌される。“油性肌”は、ありふれた望ましくない皮膚状態であり、この状態の原因は皮膚に過剰量の皮脂が存在することである。油性肌は、油で光る望ましくない外観と不快な触感とを伴っており、様々な年齢層に生じる。従って、望ましくない外観及び不快な触感を除去する化粧品が切実に要望されている。更に本発明は、本発明の新規な組成物に接触した皮脂のマイクロ乳化によって、(1)皮膚の毛穴深部の清浄化、及び、(2)毛穴深部への皮膚有益物質の小胞による送達、を増進できるマイクロエマルジョンが形成されるという知見に基づく。
【0005】
毛穴の清浄化は、標的汚れに接近し難いので普通の表面洗浄処理よりも技術的にかなり難しい問題を有している。また、除去の成否及び速度の双方を判断するためには油の性質が極めて重要である。セッケン及び水のような慣用の皮膚洗浄剤は表面の汚れや脂肪分の除去には極めて効果的であるが、皮脂腺による皮脂の連続的産生によって脂肪分の補給プロセスが直ちに開始されるので、比較的短時間で皮脂レベルが回復してしまう。
【0006】
マイクロエマルジョンは皮膚有益物質を皮膚に送達するための理想的な媒体である。それ自体がマイクロエマルジョンの形態の製品を塗布する方法は多様なスキンケア製品で広く採用されており、このような製品の送達ビヒクル及び実例は、米国特許第5,858,954号及び第6,303,662号、PCT出願公開WO02/102327に記載されている。接触した油または汚れのマイクロ乳化については、Mondinら、米国特許第6,191,090号に記載されている。該特許は、該特許に記載された乳化系の他成分と組合せたエチレンオキシド−プロピレンオキシド非イオン性界面活性剤を基剤とする硬質表面洗浄組成物に関する。
【0007】
上記に引用した技術は、組成物が皮膚と接触して皮脂をマイクロ乳化する化粧組成物または方法を示唆または開示していない。また、そのために有効な乳化系も示唆または開示していない。従って、皮膚の清浄化を増進するためまたはリーブオン組成物もしくはウォッシュオフ組成物から皮膚に有効成分を送達するために天然の皮膚の皮脂を利用する新規な化粧組成物または方法が依然として要望されている。
【発明の開示】
【0008】
本発明の新規な組成物と接触した皮脂がマイクロ乳化されると、(1)皮膚の毛穴深部の清浄化、及び、(2)毛穴深部への皮膚有益物質の小胞による送達、を増進できるマイクロエマルジョンが形成されるであろう。接触した皮膚の皮脂をマイクロ乳化するスキンケア及びクレンジング化粧方法及び組成物は、化粧品用ビヒクルと共に、
(i)C4−18アルコールのポリプロピレン−オキシド、ポリエチレン−オキシドエーテルから成る非イオン性トリブロック型界面活性剤として、組成物の1−40重量/重量%、好ましくは12−35重量/重量%、より好ましくは12重量/重量%の式A
R−O−(PO)x−(EO)y−H (A)
[式中の、
Rは、4−18個、好ましくは8個の炭素原子を有している直鎖状または分枝状のアルキルまたはアルケニル鎖であり、
Oは酸素原子であり、
POはプロピレンオキシド基であり、
EOはエチレンオキシド基であり、
xは5−30、好ましくは6−20の整数、より好ましくは9であり、
yは5−30の整数、より好ましくは5であり、
好ましくはx:yの比が1:3−3:1であり、
Hは水素である]
の化合物と、
ポリ−ブタジエン鎖が分子量1,000−10,000を有しておりポリ−エチレンオキシド鎖が分子量1,000−20,000を有している0.01−1重量/重量%、好ましくは0.1−0.6重量/重量%、より好ましくは0.25重量/重量%のポリ(ブタジエン−b−エチレンオキシド)ポリマーと、
を含む。
【0009】
ポリ(ブタジエン−b−エチレンオキシド)は1.04の多分散度を有していればよく、一般式Aの化合物は式C
CH−(CH−O−PO−EO−H (C)
を有し得る。
【0010】
皮脂マイクロエマルジョンは汗の存在下でも形成されることができ、皮脂及び汗の官能的感覚を同時にコントロールすることが可能である。本発明の組成物は場合によっては収斂性の塩を含み得る。収斂性の塩は、水酸化アルミニウム、ハロゲン化アルミニウム、ヒドロキシハロゲン化アルミニウム、ジルコニルオキシハロゲン化物、ジルコニルヒドロキシハロゲン化物及びそれらの混合物を包含する。より一般的に、ヒドロキシハロゲン化アルミニウムは一般式Al(OH)--XHOを有しており、式中のQは塩素、臭素またはヨウ素であり、xは2−5及びx+y=6であり、x及びyが整数である必要はなく、Xは1−6である。好ましくはスキンケア用化粧組成物が、塩化アルミニウム、アルミニウムクロロハイドレート、アルミニウムクロロハイドレックス、アルミニウムクロロハイドレックスPEG、アルミニウムクロロハイドレックスPG、アルミニウムジクロロハイドレート、アルミニウムジクロロハイドレックスPEG、アルミニウムジクロロハイドレックスPG、アルミニウムセスキクロロハイドレート、アルミニウムセスキクロロハイドレックスPEG、アルミニウムセスキクロロハイドレックスPG、硫酸アルミニウム、アルミニウムジルコニウムオクタクロロハイドレート、アルミニウムジルコニウムオクタクロロハイドレックスGLY、アルミニウムジルコニウムペンタクロロハイドレート、アルミニウムジルコニウムペンタクロロハイドレックスGLY、アルミニウムジルコニウムテトラクロロハイドレート、アルミニウムジルコニウムトリクロロハイドレート、アルミニウムジルコニウムテトラクロロハイドレートGLY、アルミニウムジルコニウムトリクロロハイドレートGLY及びそれらの混合物から成るグループから選択される収斂性の塩を含む。
【0011】
本発明はまた、本発明の組成物を皮膚に塗布することによって油性肌または脂性肌の感覚を軽減またはコントロールする化粧方法を含む。本発明の組成物を皮膚に塗布することによって接触した皮脂をマイクロ乳化する化粧方法も本発明の目的の1つである。
【0012】
本発明は、接触した皮脂を、即ち、in situで皮脂をマイクロ乳化するという課題に取組む。皮脂のマイクロ乳化は、(1)皮膚の毛穴深部の清浄化、及び、(2)毛穴深部への皮膚有益物質の小胞送達、を増進するために有用である。マイクロ乳化は、本発明の組成物が皮膚の皮脂に接触したときに生じる。本発明の化粧組成物は、化粧品に許容されるビヒクル中にポリ(ブタジエン−b−エチレンオキシド)ポリマーと組合せたトリブロック型非イオン性ポリ−プロピレンオキシド、ポリ−エチレンオキシド界面活性剤を含んでいる。
処理実施例及び比較実施例を除いて、または、異なる明白な指定がない限り、材料の量、反応の条件、材料の物理的特性及び/または使用量を示す本明細書中のすべての数値は“約”という単語によって修飾されると理解されたい。すべての量は他に特定されない限り全組成物の重量基準の値である。
本文中に使用した“含む”という用語は、包含する、から形成される、から構成される、から成る、及び/または、本質的にから成る、を意味する。
本文中に使用した“皮膚”という用語は、顔面、首、胸、背、腕、手、脚及び頭皮の皮膚を包含する。
【0013】
トリブロック型ポリプロピレン−オキシド、ポリエチレン−オキシド界面活性剤
本発明の方法及び組成物は、C4−18アルコールのポリプロピレン−オキシド、ポリエチレン−オキシドエーテルから成る非イオン性トリブロック型界面活性剤を包含する。これは、一般式A:
R−O−(PO)−(EO)−H (A)
を有しており、式中のRは、4−18個の炭素原子、疎水性と水溶解度との理想的なバランスを得るためには好ましくは8個の炭素原子を有している直鎖状または分枝状のアルキルまたはアルケニル鎖である。R−基が十分に疎水性であるためには、Rが最低4個の炭素原子を有していなければならない。水に対する部分溶解度の観点からR−基の最大炭素数が約18炭素原子を超過してはならない。
【0014】
Oは酸素原子である。
【0015】
POはプロピレンオキシド基(PO−基)である。PO基は比較的疎水性であり、マイクロエマルジョン中で油滴と水滴との間の伸長リンクを形成するために油相中に存在している。このように界面活性剤は、疎水性基と親水性基との間にサンドイッチ状に挟まれた無秩序性ポリプロピレン−オキシド(PPO)基を有しており、水と油との間に伸長膜を形成し、水−油の相互作用を増進させることが可能である。理論に束縛されることは望んでいないが、プロピレンオキシド基のほうがエチレンオキシド基よりも疎水性が大きいので油相に溶解し易い。このため、界面活性剤のアルキル鎖がより深く油相に押し込まれるであろう。その結果として、油と水との界面層が伸長し、界面張力が低下する。言い換えると、より多い油及び水が界面に沿って並ぶことができ、水とトリグリセリドとの相互溶解が増進される。
【0016】
xは5−30の整数であり、これによって界面活性剤中に5−30個のPO−基が存在し得る。好ましくは界面活性剤が6−20個のPO−基を有しており、所望の相対的疎水性を得るためにはより好ましくは9個のPO−基を有している。
【0017】
EOはエチレンオキシド基(EO−基)であり、所望のマイクロ乳化効果が得られるように界面活性剤分子中でPO−基に随伴していなければならない。
【0018】
yは5−30の整数であり、これによって界面活性剤分子中に5−30個のEO−基が存在し得る。PO−基の相対的疎水性をカウンターバランスするためには好ましくは5個のEO−基が存在する。例えば、正しい疎水親水バランスを得るためには、xが大きくなるほど、即ち、PO−基が多くなるほど、yも大きくすること、即ち、EO基を多くすることが必要である。x対yの比は約1:3−約3:1の範囲でなければならない。
【0019】
Hは水素である。
好ましくは、xが9及びyが5であり、従って界面活性剤は一般式B:
R−O−(PO)−(EO)−H (B)
を有している。
より好ましくは、xが9及びyが5であり、またRが炭素原子数8のアルキル基であり、従って界面活性剤は、式C:
CH−(CH−O−(PO)−(EO)−H (C)
を有している。
【0020】
ブロックポリマー
ブロックポリマーであるポリ(ブタジエン−b−エチレンオキシド)はマイクロ乳化効率を高めるために本発明の組成物に含有されている。組成物中の比較的高価な界面活性剤の量をこのポリマーによって節減できる。このポリマーを含有させることによって組成物の界面活性剤の含有量は、最低で1重量/重量%、最高で40重量/重量%、好ましくは約12−35重量/重量%、より好ましくは12重量/重量%にできる。
【0021】
ポリ−ブタジエン鎖は、1,000−10,000、好ましくは5,000の分子量を有している。ポリ−エチレンオキシド鎖は1,000−20,000、好ましくは6,000の分子量を有している。
【0022】
本発明に適したポリ(ブタジエン−b−エチレンオキシド)の多分散度、即ち、重量平均分子量対数平均分子量の比は、1−5、好ましくは1−1.05、より好ましくは1.04である。この低い比によってブロックの均一な分布が確保され、所望の親水親油バランスが容易に得られる。
【0023】
組成物の0.01−約1%、好ましくは0.1−0.6%、より好ましくは0.25%のポリ(ブタジエン−b−エチレンオキシド)を本発明の組成物に使用し得る。
【0024】
化粧品に許容されるビヒクル
本発明の方法及び組成物に使用される式Aの化合物及びブロックポリマーは液体であり、従って本発明は担体の非存在下であっても有効である。しかしながら、組成物を皮膚に塗布したときに化合物A及びポリマーが分配し易くなるように、本発明の組成物が、化合物A及びポリマーの希釈剤、分散剤または担体として作用する化粧品に許容されるビヒクルを含んでいてもよい。
【0025】
ビヒクルは、水性、無水性、ゲルまたはエマルジョンでよい。好ましくは組成物が水性またはエマルジョン、特に、油中水型または水中油型のエマルジョンである。水が存在するとき、水は5−99%、好ましくは40−90%、最適には60−90%の範囲の量でよい。
【0026】
水以外に、比較的揮発性の溶媒も本発明の組成物中で担体として作用し得る。一価のC−Cアルカノールが最も好ましい。これらはエチルアルコール、メチルアルコール及びイソプロピルアルコールなどである。一価のアルカノールの量は、1−70重量%、好ましくは10−50重量%、最適には15−40重量%の範囲でよい。
【0027】
皮膚緩和物質も化粧品に許容される担体として役立つであろう。これらはシリコーン油及び合成エステルの形態でよい。皮膚緩和剤の量は0.1−50重量%、好ましくは1−20重量%の範囲内のいずれかの値でよい。
【0028】
シリコーン油は揮発性及び不揮発性の品種に分類される。本文中に使用した“揮発性”という用語は、周囲温度で測定可能な蒸気圧を有している物質を意味する。揮発性シリコーン油は好ましくは、3−9個、好ましくは4−5個のケイ素原子を含有している環状または線状のポリジメチルシロキサンから選択される。線状の揮発性シリコーン材料は一般に25℃で5センチストークス未満の粘度を有しているが、環状材料は典型的には10センチストークス未満の粘度を有している。皮膚緩和物質として有用な不揮発性シリコーン油は、ポリアルキルシロキサン、ポリアルキルアリールシロキサン及びポリエーテルシロキサンコポリマーを包含する。本発明に有用な本質的に不揮発性のポリアルキルシロキサンは、例えば、25℃で5−25,000,000センチストークスの粘度をもつポリジメチルシロキサンである。本発明の組成物に有用な好ましい不揮発性皮膚緩和物質としては、25℃で約10−約400センチストークスの粘度を有しているポリジメチルシロキサンが挙げられる。
【0029】
エステル皮膚緩和剤としては、
10−20個の炭素原子を有している脂肪酸のアルケニルまたはアルキルエステル。その例は、イソアラキジルネオペンタノエート、イソノニルイソナノノエート、オレイルミリステート、オレイルステアレート及びオレイルオレエートを含む、
エトキシル化脂肪アルコールの脂肪酸エステルのようなエーテル−エステル、
多価アルコールエステル。エチレングリコールモノ−及びジ−脂肪酸エステル、ジエチレングリコールモノ−及びジ−脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール(200−6000)モノ−及びジ−脂肪酸エステル、プロピレングリコールモノ−及びジ−脂肪酸エステル、ポリプロピレングリコール2000モノオレエート、ポリプロピレングリコール2000モノステアレート、エトキシル化プロピレングリコールモノステアレート、グリセリルモノ−及びジ−脂肪酸エステル、ポリグリセロールポリ−脂肪エステル、エトキシル化グリセリルモノステアレート、1,3−ブチレングリコールモノステアレート、1,3−ブチレングリコールジステアレート、ポリオキシエチレンポリオール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、及び、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルが好適な多価アルコールエステルである、
蜜蝋、鯨蝋、ミリスチルミリステート、ステアリルステアレート及びアラキジルベヘネートのようなワックスエステル、
コレステロール脂肪酸エステルを代表例とするステロールエステル、
が挙げられる。
【0030】
10−30個の炭素原子を有している脂肪酸を化粧品に許容される担体として本発明の組成物に含有させてもよい。この種類の代表例は、ペラルゴン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リシノール酸、アラキジン酸、ベヘン酸、及び、エルカ酸である。
【0031】
多価アルコール型の保湿剤も化粧品に許容される担体として本発明の組成物に使用し得る。保湿剤は、皮膚緩和剤の有効性の強化を助け、鱗屑の形成を抑制し、蓄積した鱗屑の剥脱を刺激し、皮膚の感触を改善する。典型的な多価アルコールは、グリセロール、ポリアルキレングリコール、より好ましくはアルキレンポリオール及びそれらの誘導体、例えば、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール及びそれらの誘導体、ソルビトール、ヒドロキシプロピルソルビトール、ヘキシレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、エトキシル化グリセロール、プロポキシル化グリセロール、及び、それらの混合物を包含する。最良結果を得るためには保湿剤が好ましくはプロピレングリコールまたはヒアルロン酸ナトリウムである。保湿剤の量は組成物の0.5−30重量%、好ましくは1−15重量%の範囲内のいずれかの値でよい。
【0032】
増粘剤も化粧品に許容される担体の一部として本発明の組成物に使用し得る。典型的な増粘剤は、架橋アクリレート(例えば、Carbopol 982)、疎水性に改質されたアクリレート(例えば、Carbopol 1382)、セルロース誘導体及び天然ガムを包含する。有用なセルロース誘導体としては、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルセルロース及びヒドロキシメチルセルロースが挙げられる。本発明に適した天然ガムは、グアー、キサンタン、スクレロチウム、カラゲナン、ペクチン及びこれらのガムの組合せを包含する。増粘剤の量は、0.0001−5重量%、通常は0.001−1重量%、最適には0.01−0.5重量%の範囲でよい。
【0033】
水と溶媒とシリコーンとエステルと脂肪酸と保湿剤及び/または増粘剤とが集まって1−99.9重量%、好ましくは80−99重量%の量の化粧品に許容される担体を構成する。
【0034】
油中水型エマルジョンまたは水中油型エマルジョンを形成するために油または油性材料が乳化剤と共に存在してもよい。エマルジョンの型は、使用される乳化剤の平均親水親油バランス(HLB)に大きく左右される。
【0035】
追加皮膚有益物質
多様な種類の追加有効成分が本発明の化粧組成物中に存在し得る。有効成分は、皮膚緩和剤以外及び組成物の物理的特性を改善するだけの成分以外の皮膚有益物質であると定義される。タルク及びシリカのような皮脂抑制成分、収斂性の塩のような制汗有効成分、レチノイドのような老化防止有効成分や、アルファ−ヒドロキシ酸、ベータ−ヒドロキシ酸、ポリ−ヒドロキシ酸、亜鉛塩、過酸化ベンゾイル及び日光遮蔽剤などを一般例として挙げることができるがこれらの種類に限定はされない。
【0036】
高温多湿気候では、エクリン腺に由来の顔面の汗が皮脂と相互作用し、油性肌/脂性肌の感覚を増幅する。皮脂の正常レベルが低い個人でも、汗が表面皮脂と相互作用するとき皮膚が油性を増したという感覚がある。従って、皮脂の出現及び感覚の双方をコントロールしまた制汗効果を与える化粧組成物は、一般式Aの化合物と特定のブロックポリマーとを使用しており、更に収斂性の塩を含んでいる。本発明の外用スキンクリームに、制汗化合物、特に収斂性の塩を含有させると、エクリン腺を有している皮膚領域、特に顔、腕及び脚の油性肌/脂性肌の感覚が軽減される。従って、特に顔面皮膚の油性肌/脂性肌の感覚は顔の発汗量を減少させることによって間接的にコントロールできる。
【0037】
収斂性の塩は、アルミニウム、ジルコニウム、亜鉛の無機または有機の塩とそれらの混合物であればよい。本発明では好ましくは収斂性の塩が微粉形態、即ち、粒径100ミクロン未満、好ましくは粒径3−10ミクロンの親水性多孔質粒子の形態で使用される。収斂剤または収斂性アルミニウム錯体の成分として有用な塩は、水酸化アルミニウム、ハロゲン化アルミニウム、ヒドロキシハロゲン化アルミニウム、ジルコニルオキシハロゲン化物、及び、これらの塩材料の混合物を包含する。
【0038】
この種のアルミニウム塩は、塩化アルミニウム及び一般式Al(OH)--XHOのヒドロキシハロゲン化アルミニウムを包含し、式中のQは塩素、臭素またはヨウ素、xは2−5及びx+y=6であり、x及びyが整数である必要はなく、Xは1−6である。例えば、式[Al(OH)Cl]--XHOを有しているアルミニウムクロロハイドレートが、市場で入手し易く比較的廉価であるという理由で好まれている。
【0039】
上記の収斂性塩に使用される数種類の錯体が制汗剤の業界で公知である。例えば、米国特許第3,792,068号(Lueddersら)は、アルミニウムとジルコニウムとグリシンのようなアミノ酸との錯体を開示している。該文献に報告された錯体及び同様の構造はZAGという通称で知られている。ZAG錯体は通常は1.67−12.5のAl:Zr比及び0.73−1.93の金属:Cl比を有している。このようなZAG−型錯体の製造に好ましいアミノ酸は、式CH(NH)COOHのグリシンである。粒径1−100ミクロンの球状ZAGが特に好ましい。
【0040】
より詳細には、合衆国食品医薬品局連邦公報(United States Food & Drug Administration,Federal Register)で認可された本発明に有用な収斂性塩の目録を以下に示す。これらは、塩化アルミニウム、アルミニウムクロロハイドレート、アルミニウムクロロハイドレックス、アルミニウムクロロハイドレックスPEG、アルミニウムクロロハイドレックスPG、アルミニウムジクロロハイドレート、アルミニウムジクロロハイドレックス、アルミニウムジクロロハイドレックスPEG、アルミニウムジクロロハイドレックスPG、アルミニウムセスキクロロハイドレート、アルミニウムセスキクロロハイドレックス、アルミニウムセスキクロロハイドレックスPEG、アルミニウムセスキクロロハイドレックスPG、硫酸アルミニウム、アルミニウムジルコニウムオクタクロロハイドレート、アルミニウムジルコニウムオクタクロロハイドレックスGLY(グリシンの略号)、アルミニウムジルコニウムペンタクロロハイドレート、アルミニウムジルコニウムペンタクロロハイドレックスGLY、アルミニウムジルコニウムテトラクロロハイドレート、アルミニウムジルコニウムトリクロロハイドレート、アルミニウムジルコニウムテトラクロロハイドレートGLY、アルミニウムジルコニウムトリクロロハイドレートGLYを含む。
【0041】
以下の物質も適当である:
ミョウバンとして公知の硫酸カリウムアルミニウム[KAl(SO12HO]、
アルミニウムウンデシレノイルコラーゲンアミノ酸、
乳酸ナトリウムアルミニウム+硫酸アルミニウム
(Al(SO+NaHAl(OOCCHOHCH--(OH))、
ナトリウムアルミニウムクロロヒドロキシラクテート、
アルミニウムブロモハイドレート(AlBr(OH)nHO)、
塩化アルミニウム(AlCl6HO)、
亜鉛塩とナトリウム塩との複塩、
ランタンとセリウムとの複塩、
リポアミノ酸のアルミニウム塩(R--CO--NH--CHR’--CO--OAl--(OH)、ここに、R=C/C11及びR’=アミノ酸)。
【0042】
好ましくは制汗剤がアルミニウム塩であり、より好ましくは硫酸カリウムアルミニウム及びアルミニウムクロロハイドレートから選択される。
【0043】
有効収斂性塩の量は組成物の0.000001−20重量%、好ましくは0.10−18重量%、より好ましくは1−15重量%、最適には2−3重量%の範囲でよい。
【0044】
本発明の組成物は更にレチノイドを含み得る。レチノイドは、皮膚線維芽細胞によるコラーゲン合成を増進させる。この結果として、日光損傷を防御し、しわ肌を滑らかにする。本文中に使用した“レチノイド”という用語は、レチノイン酸、レチノール、レチナール及びレチニルエステルを包含する。“レチノイン酸”という用語は13−シスレチノイン酸及び全−トランスレチノイン酸を含意する。
【0045】
本文中に使用した“レチノール”という用語は、レチノールの以下の異性体を包含する:全−トランス−レチノール、13−シス−レチノール、11−シス−レチノール、9−シス−レチノール、3,4−ジデヒドロ−レチノール。好ましい異性体は、全−トランス−レチノール、13−シス−レチノール、3,4−ジデヒドロ−レチノール及び9−シス−レチノールである。市場が広く市況が活発であるという理由で全−トランス−レチノールが最も好ましい。
【0046】
レチニルエステルはレチノールのエステルである。“レチノール”という用語は上記に定義した。本発明に使用するための適当なレチニルエステルはレチノールのC−C30エステル、好ましくはC−C20エステル、最も好ましくはC、C及びC16エステルである。その理由はこれらが市場でより入手し易いからである。レチニルエステルの非限定例は、レチニルパルミテート、レチニルホーメート、レチニルアセテート、レチニルプロピオネート、レチニルブチレート、レチニルバレレート、レチニルイソバレレート、レチニルヘキサノエート、レチニルヘプタノエート、レチニルオクタノエート、レチニルノナノエート、レチニルデカノエート、レチニルウンデカノエート、レチニルラウレート、レチニルトリデカノエート、レチニルミリステート、レチニルペンタデカノエート、レチニルヘプタデカノエート、レチニルステアレート、レチニルイソステアレート、レチニルノナデカノエート、レチニルアラキドネート、レチニルベヘネート、レチニルリノレエート、レチニルオレエート、レチニルラクテート、レチニルグリコレート、レチニルヒドロキシカプリレート、レチニルヒドロキシラウレート、レチニルタータレートである。
【0047】
本発明でレチノイドは0.001%−10%、好ましくは0.01%−1%、最も好ましくは0.01%−0.05%の量で存在する。
【0048】
ベータ−ヒドロキシ酸は例えばサリチル酸である。ジンクピリチオンは本発明の組成物に有用な亜鉛塩の一例である。
【0049】
日光遮蔽剤は紫外光を遮蔽する常用の材料を包含する。代表的な化合物は、PABA、シンナメート及びサリチレートの誘導体である。例えば、アボベンゾフェノン(パルソール1789(登録商標))、オクチルメトキシシンナメート及び2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン(オキシベンゾンとしても知られている)を使用できる。オクチルメトキシシンナメート及び2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノンはそれぞれパルソールMCX及びベンゾフェノン−3という商標で市販されている。組成物中に使用する日光遮蔽剤の正確な量は日光の紫外線に対する所望の防御度次第で変更できる。
【0050】
多くの化粧組成物、特に水を含有する化粧組成物は潜在的に有害な微生物の増殖を防御しなければならない。従って、トリクロサンのような抗菌化合物、及び、保存剤が必要である。適当な保存剤は、p−ヒドロキシ安息香酸のアルキルエステル、ヒダントイン誘導体、プロピオネート塩、及び、種々の第四アンモニウム化合物などである。本発明の特に好ましい保存剤は、メチルパラベン、プロピルパラベン、フェノキシエタノール及びベンジルアルコールである。保存剤は通常は、組成物の0.1−2重量%の範囲の量で使用されるであろう。
【0051】
新規な化合物及び組成物の使用
本発明の組成物の用途は主としてヒトの皮膚に外用塗布される製品、特に過剰な皮脂分泌の出現及び感覚をコントロールまたは予防する物質として使用されることである。皮脂の出現及び/または感覚を防止できれば、脂性肌の不快な外観や感触の軽減も含めた多くの有益効果が与えられる。
【0052】
使用の際には、例えば1−100mlの量の組成物を皮膚の露出領域に適当な容器またはアプリケーターから塗布し、必要ならば次いで手や指または適当なデバイスを使用して皮膚に塗り拡げたり及び/または擦り込んだりする。
【0053】
本発明はまた、本発明の組成物を皮膚に塗布すること及び/または皮膚から除去することによって、油性肌状態をコントロールもしくは予防するか、または、皮脂細胞から分泌された特に顔面領域の皮脂を除去する化粧方法を包含する。別の特徴によれば本発明は油性または脂性の頭髪をコントロール、予防またはトリートメントする化粧方法を包含する。
【0054】
別の特徴によれば本発明は、汗の存在下で皮脂をマイクロ乳化することによって皮脂及び汗の双方の官能的感覚を同時にコントロールする方法を包含する。
【0055】
製品形態及び包装
本発明の皮膚用化粧組成物はいかなる形態でもよく、例えば、トナー、ジェル、ローション、流体クリームまたはクリームとして配合され得る。組成物はその粘度及び消費者用途に適した適当な容器に包装できる。例えば、ローションまたは流体クリームは、瓶もしくはロールボールアプリケーター、または、噴射剤推進デバイス、または、指操作に適したポンプ付き容器に包装できる。組成物がクリームである場合には、組成物を非変形性の瓶またはチューブのような搾り出し容器または蓋付きのつぼに収容するだけでよい。従って本発明はまた、本本文中に定義した化粧品として適格な組成物を収容している閉鎖容器を提供する。
【0056】
また、米国特許第5,063,057号に記載されたカプセルに組成物を収容してもよい。
【0057】
(実施例)
以下の特定実施例は本発明をより詳細に説明するが本発明はこれらの記載に限定されない。
【0058】
実施例に使用した材料及び方法を以下に示す。
【0059】
材料
トリブロック型非イオン性界面活性剤であるオクチルアルコールのポリプロピレン−オキシド、ポリエチレン−オキシドエーテル(PEPOL A−638(登録商標))はToho Chemical Industrial Co.,Ltd.,Japanから得られた。これは一般式C:
CH−(CH−O−(PO)−(EO)−H (C)
を有している。
【0060】
ポリ(ブタジエン−b−エチレンオキシド)は分子量PBd(5000)−b−EO(6000)及びMw/Mn1.04のものをPolymer Source Inc.,から購入した。
【0061】
ポリエチレン−オキシド、ポリプロピレン−オキシドブロックポリマー(Pluronic F−38(登録商標))はBASFCorp.,から入手したもので、一般式:
(EO)x−(PO)y−(EO)z
を有していた。式中のx、y及びzの平均値はそれぞれ46、16及び46である。
【0062】
トリオレインはSigma−Aldrich Co.,Milwaukee,Wisconsinから購入し、人工皮脂の製造に使用したその他の化学物質はUniqema North America Co.,Wilmington,Delawareから入手した。どの化学物質も入手したものをそのまま使用した。
【0063】
皮脂
液体皮脂の修正モデル組成は、Straussら、“Sebaceous Glands,”Physiology、Biochemistry and Molecular Biology of Skin,Oxford University Press,New York(1991)から応用し、以下の表に報告した。
【0064】
【表1】

【0065】
方法
マイクロエマルジョンの相平衡は、栓をした15mlのフラスコ管で調製し±0.1℃の恒温に維持したサンプルの目視点検によって判定した。サンプルを試験管に量り入れ、密封した。サンプル組成を一定にし、透過光及び散乱光の双方中で温度の関数として生じる相の特性決定を目視点検によって行った。ラメラ相の存在を判定するために直交偏光器を使用した。油/水の比をという一定値にし、相プリズムの垂直断面を選んで三成分系の相挙動を観察した。相図は界面活性剤濃度の関数としてモニターした。
【実施例1】
【0066】
この実施例はマイクロ乳化に対する界面活性剤構造の役割を証明する。
【0067】
アルキル鎖長がトリオレインに比較的同等の数種類の非イオン性界面活性剤を予めスクリーニングした。単鎖オレイルグリコール(オレイルEO)及び二重鎖オレイルグリコール(ジオレイルEO22)についてトリオレイン油をマイクロ乳化するそれらの有効性を試験した。これらの物質のトリオレイン可溶化能力は極めて低いことが知見された。これらの界面活性剤系にはトリオレインが約20%しか溶解できない。
【0068】
比較のために、トリグリセリドをマイクロ乳化するその有効性に基づいてトリブロック型非イオン性界面活性剤であるオクチルアルコールのポリプロピレン−オキシド、ポリエチレン−オキシドエーテル、PEPOL A−638を選択した。この界面活性剤は、疎水性基と親水性基との間にサンドイッチ状に挟まれた無秩序性のポリプロピレンオキシド基(PPO)を有している。この構造によって、水と油との間に伸長した膜を得ることが可能であり、水−油の相互作用が増進される。この試験では、皮脂混合物の基礎成分としてトリオレインを使用した。トリブロック型界面活性剤を含むトリオレイン水混合物の相挙動を以下の表に示す。界面活性剤濃度対温度の関数を相図としてプロットしたとき、“魚の尻尾”だけが付いた典型的な“魚”形の図が観察される。両親媒性界面活性剤の効率は通常は、等量の水と油との均質溶液を得るために必要な両親媒性界面活性剤の最小重量分率によって表される。
【0069】
以下の表から、1:1の重量比のトリオレインと水とをマイクロ乳化するために必要なトリブロック型界面活性剤の量が約19%−約20%にすぎないことが理解されよう。
【0070】
【表2】

【0071】
従って、本発明のトリブロック型界面活性剤は、皮脂の重要成分であるトリオレインを効率的にマイクロ乳化するために必要な構造を有している。
【実施例2】
【0072】
この実施例はマイクロ乳化に対するポリマー構造の役割を証明する比較実施例である。
【0073】
マイクロエマルジョンの形成に対する種々のポリマーの役割をより詳細に理解するために、双方ともが両親媒性界面活性剤である異なる2種類のブロックポリマーのマイクロ乳化効率増進能力を調べる実験を行った。結果を以下の表に示す。
【0074】
少量の(EO)x−(PO)y−(EO)zブロックポリマー(PLURONIC F−38銘柄)を界面活性剤相に加えた。PLURONIC F−38ブロックポリマーは、ポリマーの各末端に2つの長い親水性EOブロック(x=z=46)を有しており、また、中間に比較的短いPOブロック(y=16)を有している。
【0075】
以下の表からは、トリブロック型界面活性剤相に2%及び4%のPLURONIC F−38ポリマーを加えてもトリオレインのマイクロ乳化効率に効果がないことが判明する。
【0076】
【表3】

【0077】
他方で、両親媒性ブロックポリマーであるポリ(ブタジエン−b−エチレンオキシド)を2%の量でトリブロック型界面活性剤相(PEPOL A−638系)に加えると、即ち、界面活性剤の2%を置換すると、マイクロ乳化効率が有意に向上し、トリオレインのマイクロ乳化に必要な界面活性剤がポリマーの非存在下で必要であった約20%から15%に減少する(下表参照)。しかしながら、ブロックポリマーであるポリ(ブタジエン−b−エチレンオキシド)を(界面活性剤の量に対して)2%を上回る量まで増加しても、試験した系のマイクロ乳化効率はそれ以上増加しないであろう。
【0078】
【表4】

【実施例3】
【0079】
この実施例は本発明による皮脂のマイクロ乳化を示す。
【0080】
表1に示した組成に基づく人工皮脂を調製した。この皮脂組成物を油相として使用し、皮脂と水と2%のブロックポリマーを界面活性剤相に加えた非イオン性界面活性剤とから成る三成分相図を観察し、結果を以下の表に示す。
【0081】
【表5】

【実施例4】
【0082】
以下の表のデータは、種々の界面活性剤−ポリマーの組合せのマイクロ乳化効率を示す。
【0083】
【表6】

【0084】
データは、PLURONIC F38はトリオレインのマイクロ乳化効率の改善に全く効果を有していないが、ポリ(ブタジエン−b−EO)はトリオレイン及び皮脂の双方に対してトリブロック型界面活性剤系のマイクロ乳化効率を向上させることを示す。
【0085】
本文中に表示及び記載した本発明の特定形態が単なる代表例であることは理解されよう。明細書から明らかな教示を逸脱することなく本明細書に非限定的に示唆した変更を含む変更を例示の実施態様に加えることが可能であろう。従って本発明の完全範囲は特許請求の範囲に基づいて判断されるべきである。本出願には種々の刊行物を引用した。これらの刊行物の各々の記載内容全部が参照によって本発明に含まれるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)1−40重量/重量%の一般式A:
R−O−(PO)−(EO)−H (A)
[式中、
Rは、4−18個の炭素原子を有している直鎖状または分枝状のアルキルまたはアルケニル鎖であり、
Oは酸素原子であり、
POはプロピレンオキシド基であり、
EOはエチレンオキシド基であり、
xは5−30の整数であり、
yは5−30の整数であり、
Hは水素である]
の化合物と、
(ii)ポリ−ブタジエン鎖が分子量1,000−10,000を有しており、ポリ−エチレンオキシド鎖が分子量1,000−20,000を有している0.01−1重量/重量%のポリ(ブタジエン−b−エチレンオキシド)と、
(iii)化粧品に許容されるビヒクルと、
を含むスキンケア用化粧組成物。
【請求項2】
式Aの化合物が前記組成物の12−35重量/重量%を構成する請求項1に記載のスキンケア用化粧組成物。
【請求項3】
式Aの化合物が前記組成物の12重量/重量%を構成する請求項1に記載のスキンケア用化粧組成物。
【請求項4】
Rが8個の炭素原子を有している分枝状アルキルまたはアルケニル鎖である請求項1から3のいずれか一項に記載のスキンケア用化粧組成物。
【請求項5】
xが6−20の整数である請求項1から4のいずれか一項に記載のスキンケア用化粧組成物。
【請求項6】
xが9に等しい整数である請求項1から5のいずれか一項に記載のスキンケア用化粧組成物。
【請求項7】
yが5に等しい整数である請求項1から6のいずれか一項に記載のスキンケア用化粧組成物。
【請求項8】
x:yの比が1:3−3:1である請求項1から7のいずれか一項に記載のスキンケア用化粧組成物。
【請求項9】
前記ポリ(ブタジエン−b−エチレンオキシド)が1.04の多分散度を有している請求項1から8のいずれか一項に記載のスキンケア用化粧組成物。
【請求項10】
一般式Aの前記化合物が、式C:
CH−(CH−O−(PO)−(EO)−H (C)
を有している請求項1から9のいずれか一項に記載のスキンケア用化粧組成物。
【請求項11】
ポリ(ブタジエン−b−エチレンオキシド)が前記組成物の0.1−0.6重量/重量%を構成する請求項1から10のいずれか一項に記載のスキンケア用化粧組成物。
【請求項12】
ポリ(ブタジエン−b−エチレンオキシド)が前記組成物の0.25重量/重量%を構成する請求項1から11のいずれか一項に記載のスキンケア用化粧組成物。
【請求項13】
更に、収斂性の塩を含む請求項1から12のいずれか一項に記載のスキンケア用化粧組成物。
【請求項14】
前記収斂性の塩が水酸化アルミニウム、ハロゲン化アルミニウム、ヒドロキシハロゲン化アルミニウム、ジルコニルオキシハロゲン化物、ジルコニルヒドロキシハロゲン化物及びそれらの混合物から成るグループから選択される請求項13に記載のスキンケア用化粧組成物。
【請求項15】
前記ヒドロキシハロゲン化アルミニウムが一般式Al(OH)--XHOを有しており、式中のQは塩素、臭素またはヨウ素であり、xは2−5及びx+y=6であり、x及びyが整数である必要はなく、Xが1−6である請求項14に記載のスキンケア用化粧組成物。
【請求項16】
前記収斂性の塩が、塩化アルミニウム、アルミニウムクロロハイドレート、アルミニウムクロロハイドレックス、アルミニウムクロロハイドレックスPEG、アルミニウムクロロハイドレックスPG、アルミニウムジクロロハイドレート、アルミニウムジクロロハイドレックスPEG、アルミニウムジクロロハイドレックスPG、アルミニウムセスキクロロハイドレート、アルミニウムセスキクロロハイドレックスPEG、アルミニウムセスキクロロハイドレックスPG、硫酸アルミニウム、アルミニウムジルコニウムオクタクロロハイドレート、アルミニウムジルコニウムオクタクロロハイドレックスGLY、アルミニウムジルコニウムペンタクロロハイドレート、アルミニウムジルコニウムペンタクロロハイドレックスGLY、アルミニウムジルコニウムテトラクロロハイドレート、アルミニウムジルコニウムトリクロロハイドレート、アルミニウムジルコニウムテトラクロロハイドレートGLY、アルミニウムジルコニウムトリクロロハイドレートGLY及びそれらの混合物から成るグループから選択される請求項13に記載のスキンケア用化粧組成物。
【請求項17】
前記組成物がリーブオン組成物である請求項1から16のいずれか一項に記載のスキンケア用化粧組成物。
【請求項18】
請求項1から17のいずれか一項に記載の組成物を皮膚に塗布することによって油性肌または脂性肌の感覚を軽減またはコントロールする化粧方法。
【請求項19】
請求項1から18のいずれか一項に記載の組成物を皮膚に塗布することによって皮脂をマイクロ乳化する化粧方法。

【公表番号】特表2007−509841(P2007−509841A)
【公表日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−524257(P2006−524257)
【出願日】平成16年7月30日(2004.7.30)
【国際出願番号】PCT/EP2004/008660
【国際公開番号】WO2005/020939
【国際公開日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【出願人】(590003065)ユニリーバー・ナームローゼ・ベンノートシヤープ (494)
【Fターム(参考)】