説明

接触分解触媒スラリーの固形成分含有量を高める方法

【課題】触媒の製造効率を向上させ,エネルギー消費のみならず費用も削減するために,噴霧前に触媒スラリーの固形成分含有量を大幅に増加させると同時に触媒の減摩性及び反応性能を確保する,FCC触媒の調製方法を提供する。
【解決手段】モレキュラーシーブスラリー,擬ベーマイト,粘土,無機酸及びアルミニウム含有結合剤が均一に分配されるまで攪拌し,その後噴霧乾燥することにより触媒スラリーを作成する工程を含む。無機酸を,擬ベーマイトの前に添加し,モレキュラーシーブを無機酸に続いて添加し,リン酸塩分散剤を調製の途中で添加し,結果として,触媒の減摩性を十分に確保した条件下で,触媒スラリー粘度を低下させると共に触媒スラリーの流動性を向上させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,石油精製において接触分離触媒の調製に適し,精製工程においてこの種の触媒スラリーの固形成分含有量を大幅に高めることが可能な,分解触媒スラリーの固形成分含有量を増加する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
流動式接触分解(FCCと略される)処理は,原油の二次処理の主要部分であり,国内外で重油の深度加工(deep processing)を介して自動車燃料を製造する重要な手段である。原材料の緻密化及び変質の度合いが高くなるにつれて,また自動車燃料に対する需要が高まるにつれて,処理に必要なFCC触媒の消費量は増え続けている。一方,重油の処理及びFCC技術の発達のための必要条件に起因し,モレキュラーシーブの有効成分もまた,FCC触媒においてその比率が増大傾向を示している。一般的に,半合成のFCC触媒を調製する技術的な処理は,粘着剤(例えばアルミニウムコロソール),擬ベーマイト,粘土,無機酸,及びモレキュラーシーブ等を作成し,その後,吹付形成及び後処理等により触媒産物を得るものである。現在では,上記の調製において顕著な問題として,吹付形成前の低いコロイド固形成分含有量,及びモレキュラーシーブの有効成分と他の成分(気質成分と呼ばれる)との不均一な混合等が存在し,結果として触媒精製が高費用となり,不均一な粒径を有し,球形度が悪く,触媒活動の中心における熱安定性が不十分なマイクロビーズが成形されるため,触媒のモレキュラーシーブが反応性能を十分に発揮することができない。従来の精製工程では,FCC触媒スラリーの固形成分含有量の増加はスラリーの粘性をかなり高めるため,送達が困難となり,触媒の減摩性が悪化するため利用の要求を満足できなくなる。したがって,触媒の減摩性及び反応性を残すことを前提条件として,噴霧スラリー内の固形成分含有量を高めるためにFCC触媒精製の新しい方法を開発すること,モレキュラーシーブと基質成分の均一な混合物を作成すること,及びFCC触媒調製の調製手順を短縮化することは,生産効率の増進及び触媒反応の性能を向上させるために非常に重要である。
【0003】
この問題に対処するため,従来技術は様々な改良方法を示している。例えば,米国特許(米国特許明細書第4476239号及び第4443553号)は,分散剤である[Al2(OH)6-yCly]x又はAl(OH)NOを添加して,触媒スラリーの粘性を減少させると共に噴霧された触媒スラリーの固形成分含有量を増加させたことを特徴とする分解触媒を開示している。これらの特許によれば,分散剤がない場合は,アルミニウム基結合剤(aluminum base binder),粘土,シリコン源,及びモレキュラーシーブを含む触媒スラリーの固形成分含有量は20〜25%の範囲内であり,前記分散剤の添加後の固形成分含有量は30%に達し得る。調製手順は,次の通りである。水 →擬ベーマイト→酸性化→カオリン→モレキュラーシーブ→アンモニウムポリシリケート(ammonium polysilicate)→分散剤→均一にするための攪拌→噴霧乾燥。
【0004】
中国特許第CN1032498A号は,半合成の流動接触分解触媒の調製方法を紹介している。ここでは触媒を乾燥させる前に,分子量2,500,000〜5,000,000ユニットのPAMを,触媒を基準に無水ベースで0.01〜0.15%,分散剤として噴霧されたスラリーに添加する。このようにして,触媒スラリーの粘度を10〜50%減少させることができ,触媒産出量は触媒の性能に悪影響を及ぼすことなく増加する。
【0005】
中国特許第CN1081219C号は,噴霧された触媒スラリーの固形成分含有量を高める方法であって,モレキュラーシーブスラリー,アルミニウムコロソール,擬ベーマイト,粘土,及び無機酸の攪拌工程を含むものを開示している。この方法の特徴は,粘土及び無機酸の添加前にモレキュラーシーブを添加し,アルミニウムコロソールの添加後に無機酸を添加し,好ましくは,アルミニウムコロソール及び擬ベーマイトの添加後に無機酸を添加することである。この方法は,明らかに触媒スラリーの固形成分含有量を噴霧乾燥前に増加させることができる。
【0006】
中国特許第CN1081218C号は,噴霧された触媒スラリーの固形成分含有量を高める方法であって,25〜45%のスラリー内固形成分含有量を得るために,モレキュラーシーブスラリー,アルミニウムコロソール,擬ベーマイト,粘土,及び無機酸の攪拌工程を含むものを開示している。この方法の特徴は,粘土及び無機酸の添加前にアルミニウムコロソールを添加し,無機酸の添加後にモレキュラーシーブのスラリーを添加され,好ましくは,アルミニウムコロソール及び擬ベーマイトの添加後に無機酸を添加することである。この方法もまた触媒スラリーの固形成分含有量を噴霧乾燥前に増加できる。
【0007】
中国特許第CN1160436C号は,分解触媒の調製方法であって,アルミニウムコロソールの添加の有無を問わず,触媒スラリーを得るために,モレキュラーシーブスラリー,擬ベーマイト,粘土,及び無機酸を攪拌して均一に混合し,その後噴霧乾燥するものを開示している。この方法の特徴は,擬ベーマイトのコロソール内に添加する無機酸の量が触媒スラリー粘度に依存することである。それまでの従来技術と比較し,この特許によって提供された方法は,擬ベーマイトによる不安定な酸の消費による触媒強度及び多孔性体積(porous volumes)の変化を回避することができる。
【0008】
中国特許第CN1119390C号は,噴霧された触媒スラリーの固形成分含有量を高める方法を開示している。ここでは,粘土及び無機酸の添加前にモレキュラーシーブ及び/又はアルミニウムコロソールを添加し,アルミニウムコロソールの添加後に無機酸を添加し,好ましくは,アルミニウムコロソール及び擬ベーマイトの添加後に無機酸を添加する。その他の原料を添加する順序には特に何も要件はない。さらに,固形成分含有量を大幅に増加させるため及びゲル生成時間を短縮するために,例えば,リン酸アンモニウム,無水リン酸アンモニウム,リン酸水素二アンモニウム(DAP)又はこれらの混合物等の分散剤を噴霧スラリーに添加する。
【0009】
今日では,コロソールアルミニウム複合バインダーのFCC触媒を擬ベーマイトの酸性化を介して調製するために,国内外の特許調査報告により紹介された製造方法は,擬ベーマイトの添加後に酸を添加する技術的方法(例えば,米国特許第USP4476239号,中国特許第CN1081218C号,及び中国特許第CN1098130A号等)を採用している。現在の酸性化方法又は改良方法によれば,この方法で調製された触媒スラリーの固形成分含有量は25〜50%内である。現在の顕著な切迫した問題の一つは,擬ベーマイトの添加後に無機酸を添加するため,無機酸と擬ベーマイトとの間の反応を均一に行なうことが困難であり,部分的に過剰な反応が起こる結果としてスラリー粘度が急速に増加することである。第二の顕著な問題は,モレキュラーシーブスラリーの添加後に無機酸が添加された場合,モレキュラーシーブが部分的損傷を受けることを避けられないことである。また,系の酸性度を非常に低いレベル(一般に2.8より大きなpH)に制御することはできないため,擬ベーマイトを微細化することは難しい。特にモレキュラーシーブの含有量が高い(例えば40%超)場合には,触媒の減摩性が低下してしまい,その効用が大きく悪影響を受ける。
【特許文献1】米国特許明細書第4476239号
【特許文献2】米国特許明細書第4443553号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的の一つは,触媒の製造効率を向上させ,エネルギー消費のみならず費用も削減するために,噴霧前に触媒スラリーの固形成分含有量を大幅に増加させると同時に触媒の減摩性及び反応性能を確保する,FCC触媒の調製方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によるFCC触媒スラリーの固形成分含有量を増加させる方法は,触媒スラリーを得るために,粘土,モレキュラーシーブスラリー,アルミニウム含有結合剤,擬ベーマイト,及び無機酸を攪拌して均一に混合し,その後噴霧乾燥するものであって,1)擬ベーマイトの添加前に無機酸を添加し,無機酸の添加後にモレキュラーシーブを添加し,好ましくは,カオリン及びアルミニウム含有結合剤の添加後に無機酸を添加し,その他の原料を特に限られた順序によらず添加し,2)FCC触媒の調製中に,リン酸及び/又はリン酸塩であればよいリン含有分散剤を,触媒の乾燥重量に基づく重量で0.05%〜6%添加することを特徴としている。分散剤を導入することにより,触媒スラリーの粘度がさらに減少する。従来技術と比較すると,本発明による方法は,FCC触媒スラリーの固形成分含有量を著しく増加させることができ,ゲル生成時間を短縮することができ,そして製造コストを削減すると共に,同時に触媒の減摩性及び反応性能を十分に確保することができる。
【0012】
本発明による高い固形成分含有量のFCC触媒スラリーは(無水ベース重量を基準として),モレキュラーシーブ15〜50%,粘土15〜60%,擬ベーマイト8〜30%,アルミニウム含有結合剤3〜18%(酸化アルミニウムについて計算)を含み,擬ベーマイト及び無機酸内の酸化アルミニウムの重量比が0.01〜0.32であり,スラリー内の固形成分含有量が25〜45%である。
【0013】
本発明による調製方法で用いられるリン酸塩分散剤(phosphatic dispersant)は,DAP,リン酸,ヘキサメタリン酸ナトリウム,及びピロリン酸ナトリウムからなる群から一つ又は複数選択されたものであり,この内DAPが好ましい。分散剤は,無水ベースに基づき0.1%〜4%添加されるのが好ましい。
【0014】
本発明による調製方法で用いられる触媒スラリーは,希土類,酸化亜鉛,酸化ケイ素,マグネシア,酸化チタン,酸化バナジウム,及び酸化銅,又はこれらの前駆体からなる群から選択された一つ又は複数の酸化物を0〜8%含むことができ,この中では,希土類,酸化ケイ素,又はこれらの前駆体が好ましい。
【0015】
本発明による方法で用いられるモレキュラーシーブは,Y型ゼオライト(さまざまな改良されたY型ゼオライトを含む),又はY型ゼオライトと一つ又は複数のZSMゼオライト,βゼオライト,Ωゼオライト,MCMゼオライト,SAPOゼオライトとの混合物であり,この中では,Y型ゼオライト又はY型ゼオライトとZSM−5ゼオライトとの混合物が好ましい。前記改良されたY型ゼオライトは,HY,NH4Y,REY,USY,REUSY,その他の要素で修飾されたY型ゼオライト,又はこれらの混合物である。
【0016】
本発明による方法で用いられる粘土は,カオリン,海泡石,アロカイト(allokite),ポリナイト,又はこれらの混合物であり,この中ではカオリン,アロカイト,又はこれらの混合物が好ましく,カオリンが最も好ましい。
【0017】
本発明による方法で用いられる擬ベーマイトは,ベーマイト,ハイドラルジライト(hydrargillite),又はバイヤライトであり,この中ではベーマイトが好ましい。
【0018】
本発明による方法で用いられるアルミニウム結合剤は,アルミニウムコロソール,塩基性塩化アルミニウム,及び酸修飾したカオリンであり,以下のさまざまな方法で入手可能である。
(1)金属アルミニウムと塩酸(又は塩化アルミニウム)との反応
(2)結晶アルミナの熱分解過程
(3)無機酸とカオリン又は焼カオリンとの反応
(4)その他,例えば,塩酸と水酸化アルミニウムとの高圧下における反応
【0019】
本発明による方法で用いられる前記無機酸は,塩酸,硫酸,硝酸,又はリン酸であり,この中では,塩酸が好ましい。
【0020】
本発明の好ましい態様においては,FCC触媒スラリーの固形成分含有量を増加させるために,粘土及びアルミニウム含有結合剤の添加後に無機酸を添加する。例えば,アルミニウム含有結合剤及び望ましい水を反応装置に導入し,その後粘土及び無機酸を添加する。均一にかき混ぜた後,擬ベーマイトを添加して中等度の反応を起こし,反応終了後に分散剤を添加する。続いて,モレキュラーシーブスラリーを添加して再度均一にかき混ぜ,結果として得られたスラリーを噴霧乾燥する。
【0021】
本発明の別の好ましい態様においては,粘土及び望ましい水を反応装置に導入し,その後に無機酸を添加する。均一にかき混ぜた後,擬ベーマイトを添加して中程度の反応を起こし,その後モレキュラーシーブとアルミニウム含有結合剤との混合スラリーを導入する。再度均一にかき混ぜた後,分散剤を添加してさらに均一にかき混ぜる。結果として得られるスラリーを噴霧乾燥する。
【0022】
本発明のまた別の好ましい態様においては,無機酸をアルミニウム含有結合剤に添加して均一にかき混ぜ,その後その他の成分を導入する。例えば,アルミニウムコロソール及び無機酸をまず均一にかき混ぜる。次に,粘土及び脱イオン水を添加し,均一にかき混ぜる。擬ベーマイトを次に添加し,中程度の反応を起こす。続いて,モレキュラーシーブスラリーを添加して再度均一にかき混ぜ,最後に分散剤を添加する。結果として得られるスラリーを噴霧乾燥する。
【0023】
本発明による調製方法は,前述の典型的ではあるが限定されない態様以外で,本発明の精神を満足するその他のいかなる技術的な態様も除外するものではない。
【0024】
擬ベーマイト及びアルミニウム含有結合剤で調合した半合成のFCC触媒については,擬ベーマイトの現存形態が触媒スラリーの固形成分含有量及び触媒の減摩性を決定する重要な要因である。したがって,擬ベーマイトの現存形態を制御することが触媒スラリー性能を向上させる鍵となる。擬ベーマイトの現存形態は無機酸との反応によって測定される。無機酸を添加すると,擬ベーマイトが無機酸と反応し,スラリー粘度が急速に増加する,これが触媒スラリーの流動性を非常に損ねる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の本質は,擬ベーマイトの添加前に無機酸を添加し,無機酸の添加後にモレキュラーシーブを添加し,好ましくは,粘土及びアルミニウム含有結合剤の添加後に無機酸を添加することである。粘土及び無機酸を最初に添加すると互いに反応するため,基質の多孔質構造,さらには触媒活性を向上させるように粘土が変性する。上記の反応によってある程度の酸が消費され,系の酸性度が低下し均一に分配されるため,また,擬ベーマイトを十分に添加するため,擬ベーマイトと無機酸との間では中程度且つ規則的に反応することができ,さらに,十分に微細化されるため,擬ベーマイトの局所的な過剰反応によって引き起こされる系の粘土の急速な増加を回避することができる。したがって,スラリーの固形成分含有量を非常に増加させることができ,同時に触媒の減摩性を確保することができる。一方,触媒スラリーの流動性を向上させるため,FCC触媒の調整中に,分散剤の一種を十分に添加すると,触媒スラリーの粘度が低下する。本発明による方法で調製されたc触媒は,系のpHを徐々に上昇させることができ,後で添加されるモレキュラーシーブ成分が決して損傷されないようにすることができ,さらには,粘度が低く及び流動性が良好であるため均一に混合することが容易になるので,モレキュラーシーブの有効成分を十分に作用させることができる。スラリーを加熱及び熟成させてpHを増加させる必要がないため,擬ベーマイトのコロイド粒子の現存形態が向上し,これはより低い粘度にするのに好都合である。したがって,従来技術と比べて本発明による方法は,触媒の生産性を著しく増大させ,触媒の性能を向上させると共に,エネルギー消費量及び生産コストを削減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下に記載される実施例は,本発明の更なる説明のために示されたものであるが,本発明の保護範囲を限定することを目的とするものではない。
【0027】
各実施例においては,回転式粘度計(Cole Parmer 98936−15)を用いて粘度を測定した。測定条件は,回転速度が20rpm,シャフトがR4であった。結果として得られた触媒の物理的特性及び化学的特性は表1のように測定された。
【0028】
以下の実施例に使用された原料は次の通りである。
1.1#擬ベーマイト(山東省原産,強熱減量39.6%),2#擬ベーマイト(陝西省原産,強熱減量40.4%),カオリン(強熱減量25.4%),アロカイト(強熱減量19.2%),アルミニウムコロソール(酸化アルミニウム含有量23.0%),酸処理カオリン(固形成分含有量28.1%),これらは全て蘭州石化公司触媒プラント(Lanzhou Petrochemical Corporation Catalyst Plant)から得られた認定された工業製品である。
【0029】
2.USYモレキュラーシーブ(強熱減量4.8%,結晶細胞パラメーターao 2.452nm),REUSYモレキュラーシーブ(強熱減量5.3%,酸化希土類8.5%,結晶細胞パラメーターao 2.462nm),REY(強熱減量4.4%,酸化希土類18.1%),これらは全て蘭州石化公司触媒プラントから得られた認定された工業製品である;高シリコンZSM-5(強熱減量5.1%,シリコン-アルミニウム比率300超),これも上海復旦大学(Shanghai Fudan University)製造の認定製品である;低シリコンZSM-5(強熱減量4.8%,シリコン-アルミニウム比率38),南開大学(Nankai University)製造;βゼオライト(強熱減量5.6%,シリコン-アルミニウム比率30)中国石油大学(China University of Petroleum)提供;西安触媒プラント(Xi' an Reagent Plant)からのリン酸,ヘキサメタリン酸ナトリウム,DAP及びピロリン酸ナトリウム(化学的に純粋)。
【0030】
【表1】

【実施例1】
【0031】
脱イオン水1140g,アルミニウムコロソール2174g,及びカオリン2078gを反応装置内に添加した。10分間攪拌した後,濃度35%の塩酸200gを添加した。均一に混合した後,1#擬ベーマイト1656gをかき混ぜながら添加した。1時間かき混ぜた後,DAP 75gを分散剤として導入した。30分間かき混ぜた後,コロイドミルで処理した粒子の平均直径が5ミクロンよりも小さいREUSYモレキュラーシーブ1937g,Fudan ZSM−5モレキュラーシーブ123g及び脱イオン水3510gで作られたモレキュラーシーブスラリーを添加した。30分間攪拌した後,噴霧乾燥を行って触媒ミクロスフェアを得た。得られた触媒ミクロスフェアを500℃で30分間加熱乾燥し,その後8倍の脱イオン水を添加し,混合液を均一にかき混ぜた。80℃で15分間洗浄した後,続けてろ過及び乾燥することにより,本発明によるFCC触媒が得られ,A1として記録した。
【0032】
噴霧された触媒A1のスラリーは,固形成分含有量が39.2w%,粘度が4058センチポアズであった。得られた触媒は,摩耗指数が1.5,細孔容積が0.40mL・g−1,及びマイクロリアクティビティー(micro−reactivity)が79であった。
【実施例2】
【0033】
脱イオン水2262g及びカオリン2078gを反応装置内に添加した。10分間攪拌した後,濃度35%の塩酸230gを添加した。均一に混合した後,1#擬ベーマイト1656gをかき混ぜながら添加した。1時間かき混ぜた後,リン酸72gを分散剤として導入した。30分間かき混ぜた後,コロイドミルで処理した粒子の平均直径が5ミクロンよりも小さいREUSYモレキュラーシーブ2060g,アルミニウムコロソール2174g,及び脱イオン水2388gから作られた,モレキュラーシーブスラリーを添加した。1時間さらに攪拌を加えた後,DAP36gを分散剤として添加した。30分間攪拌した後,噴霧乾燥を行い,触媒ミクロスフェアを得た。得られた触媒ミクロスフェアを,500℃で30分間加熱乾燥し,その後8倍の脱イオン水を添加し,混合液を均一にかき混ぜた。80℃で15分間洗浄した後,続けてろ過及び乾燥することにより,本発明によるFCC触媒が得られ,A2として記録した。
【0034】
噴霧された触媒A2のスラリーは,固形成分含有量が39.0w%,粘度が4856センチポアズであった。得られた触媒は,摩耗指数が1.7,細孔容積が0.41mL・g−1,及びマイクロリアクティビティーが80であった。
【0035】
(比較例1)
本比較例は,中国特許第CN1081218C号の方法に従って調製されたFCC触媒の効果を示したものである。
【0036】
アルミニウムコロソール2174g及び脱イオン水1140gを反応装置内に添加した。1#擬ベーマイト1656gをかき混ぜながら添加した。20分間攪拌した後,カオリン2078gを添加した。40分間のかき混ぜ及び攪拌の後,濃度22%の塩酸305gを添加した。30分間かき混ぜた後,コロイドミルで処理した粒子の平均直径が5ミクロンよりも小さいREUSYモレキュラーシーブ1937g,Fudan ZSM−5モレキュラーシーブ123g,及び脱イオン水3510gから作られたモレキュラーシーブスラリーを添加した。30分間攪拌した後,噴霧乾燥を行って触媒ミクロスフェアを得た。得られた触媒ミクロスフェアを500℃で30分間加熱乾燥し,その後8倍の脱イオン水を添加し,混合液を均一にかき混ぜた。80℃で15分間洗浄した後,続けてろ過及び乾燥することにより,中国特許第CN1081218C号の発明によるFCC触媒が得られ,B1として記録した。
【0037】
噴霧された触媒B1のスラリーは,固形成分含有量が38.8w%,粘度が6506センチポアズであった。得られた触媒は,摩耗指数が2.7,細孔容積が0.40mL・g−1,及びマイクロリアクティビティーが77であった。データは,触媒スラリー粘度も高く,その上固形成分含有量を向上させており,また実際の生産において触媒の減摩性の指数は若干高いであろうことを示した。
【0038】
(比較例2)
本比較例は,実施例1と同じ原料からなる,中国特許第ZL93109101.2号に記載された調製方法を使用して調製したFCC触媒の効果を示したものである。
【0039】
脱イオン水及びカオリン2078gを反応装置内に添加した。30分間攪拌した後,濃度35%の塩酸230gを添加した。均一にかき混ぜ1時間反応させた後,1#擬ベーマイト1656gをかき混ぜながら添加した。30分間かき混ぜた後,温度を70℃まで上昇させて1時間熟成させ,その後アルミニウムコロソール2174gを添加した。20分間かき混ぜた後,REUSYモレキュラーシーブ2060g及び脱イオン水から成る混合スラリーを添加した。さらに攪拌した後,噴霧乾燥を行って触媒ミクロスフェアを得た。得られた触媒ミクロスフェアを500℃で30分間加熱乾燥し,その後脱イオン水を添加し,混合液を均一にかき混ぜた。80℃で15分間洗浄した後,続けてろ過及び乾燥することにより,中国特許第ZL93109101.2号の発明によるFCC触媒が得られ,B2として記録した。
【0040】
噴霧された触媒B2のスラリーは,固形成分含有量が39.0w%,粘度が7652センチポアズであった。得られた触媒は,摩耗指数が2.2,細孔容積が0.40mL・g−1,及びマイクロリアクティビティーが77であった。データは,得られた高い固形成分含有量の触媒について,そのスラリーは粘度が高く流動性が低いため,結果として処理の困難性を増大させることを示し;さらに,スラリーの高い粘度に起因し,モレキュラーシーブと基質との混合が均一ではなくなるため,結果として触媒のマイクロリアクティビティーが若干低くなることを示した。
【0041】
(比較例3)
本比較例は,中国特許第CN1180062C号の方法に従って調製されたFCC触媒の効果を示したものである。
【0042】
REUSYモレキュラーシーブ2060g及び脱イオン水4850gから成る混合スラリーを反応装置内に添加した。次に,アルミニウムコロソール2174gを添加した。カオリン2078gをかき混ぜながら添加した。15分間攪拌した後,1#擬ベーマイト1656gを添加した。20分間かき混ぜた後,濃度22%の塩酸305gを添加した。30分間攪拌した後,噴霧乾燥を行って触媒ミクロスフェアを得た。得られた触媒ミクロスフェアを500℃で30分間加熱乾燥し,その後8倍の脱イオン水を添加し,混合液を均一にかき混ぜた。80℃で15分間洗浄した後,続けてろ過及び乾燥することにより,中国特許第CN1180062C号の発明によるFCC触媒が得られ,B3として記録した。
【0043】
噴霧された触媒B3のスラリーは,固形成分含有量が38.2w%,粘度が4011センチポアズであった。得られた触媒は,摩耗指数が3.3,細孔容積が0.41mL・g−1,及びマイクロリアクティビティーが76であった。データは,触媒内のモレキュラーシーブの含有量が高い場合,この方法を用いて触媒スラリーの固形成分含有量を向上させると,触媒の摩耗指数が高くなり,触媒のマイクロリアクティビティーが比較的低くなるであろうことを示した。
【実施例3】
【0044】
脱イオン水700g,アルミニウムコロソール2174g,カオリン1280g,及びアロカイト550gを反応装置内に添加した。10分間攪拌した後,濃度25%の塩酸200gを添加した。均一に混合した後,1#擬ベーマイト1904gをかき混ぜながら添加した。30分間かき混ぜた後,コロイドミルで処理した粒子の平均直径が5ミクロンよりも小さいREUSYモレキュラーシーブ1860g,Fudan ZSM−5を100g,及び脱イオン水2905gから作られた,モレキュラーシーブスラリーを添加した。1時間さらに攪拌を加えた後,DAP69gを分散剤として添加した。30分間攪拌した後,噴霧乾燥を行なって触媒ミクロスフェアを得た。得られた触媒ミクロスフェアを500℃で30分間加熱乾燥し,その後8倍の脱イオン水を添加し,混合液を均一にかき混ぜた。80℃で15分間洗浄した後,続けてろ過及び乾燥することにより,本発明によるFCC触媒が得られ,A3として記録した。
【0045】
噴霧された触媒A3のスラリーは,固形成分含有量が41.8w%,粘度が6032センチポアズであった。得られた触媒は,摩耗指数が1.9,細孔容積が0.42mL・g−1,及びマイクロリアクティビティーが78であった。
【実施例4】
【0046】
脱イオン水1140g,アルミニウムコロソール2174g,及びカオリン2078gを反応装置内に添加した。10分間攪拌した後,濃度35%の塩酸230gを添加した。均一に混合した後,1#擬ベーマイト1656gをかき混ぜながら添加した。30分間かき混ぜた後,濃度22%(RE2O3について計算)の希土類塩化物を添加した。5分間さらに攪拌を加えた後,コロイドミルで処理した粒子の平均直径が5ミクロンよりも小さいREUSYモレキュラーシーブ1570g,及びREY398g,ベータゼオライト102g及び脱イオン水3510gから作られた,モレキュラーシーブスラリーと添加した。1時間さらに攪拌を加えた後,ピロリン酸ナトリウム102gを分散剤として添加した。30分間攪拌した後,噴霧乾燥を行なって触媒ミクロスフェアを得た。得られた触媒ミクロスフェアを,500℃で30分間加熱乾燥し,その後8倍の脱イオン水を添加し,混合液を均一にかき混ぜた。80℃で15分間洗浄した後,続けてろ過及び乾燥することにより,本発明によるFCC触媒が得られ,A4として記録した。
【0047】
噴霧された触媒A4のスラリーは,固形成分含有量が38.8w%,粘度が4589センチポアズであった。得られた触媒は,摩耗指数が1.6,細孔容積が0.40mL・g−1,及びマイクロリアクティビティーが80であった。
【実施例5】
【0048】
脱イオン水1140g,アルミニウムコロソール2174g,及びカオリン2078gを反応装置内に添加した。10分間攪拌した後,濃度80%のリン酸100gを添加し,5分間攪拌を加えた後,濃度35%の塩酸125gを添加した。均一に混合した後,1#擬ベーマイト1656gをかき混ぜながら添加した。30分間かき混ぜた後,コロイドミルで処理した粒子の平均直径が5ミクロンよりも小さいUSYモレキュラーシーブ984g,REY986g,Nankai ZSM−5ゼオライト102g及び脱イオン水3510gから作られた,モレキュラーシーブスラリーを添加した。1時間さらに攪拌を加えた後,リン酸58gを分散剤として添加した。30分間攪拌した後,噴霧乾燥を行って触媒ミクロスフェアを得た。得られた触媒ミクロスフェアを,500℃で30分間加熱乾燥し,その後8倍の脱イオン水を添加し,混合液を均一にかき混ぜた。80℃で15分間洗浄した後,続けてろ過及び乾燥することにより,本発明によるFCC触媒が得られ,A5として記録した。
【0049】
噴霧された触媒A5のスラリーは,固形成分含有量が39.0w%,粘度が5078センチポアズであった。得られた触媒は,摩耗指数が1.3,細孔容積が0.37mL・g−1,及びマイクロリアクティビティーが79であった。
【実施例6】
【0050】
脱イオン水506g,アルミニウムコロソール3201g,及びカオリン1676gを反応装置内に添加した。10分間攪拌した後,濃度35%の塩酸150gを添加した。均一に混合した後,1#擬ベーマイト1240gをかき混ぜながら添加した。1時間攪拌を加えた後,ピロリン酸ナトリウム60gを添加した。30分間かき混ぜた後,硝酸亜鉛(Zn(NO3)・6H2O)100gを導入した。25分間攪拌を加えた後,コロイドミルで処理した粒子の平均直径が5ミクロンよりも小さいREUSYモレキュラーシーブ2270g,及び脱イオン水3510gから作られたモレキュラーシーブスラリーを添加した。30分間攪拌した後,噴霧乾燥を行い,触媒ミクロスフェアを得た。得られた触媒ミクロスフェアを,500℃で30分間加熱乾燥し,その後8倍の脱イオン水を添加し,混合液を均一にかき混ぜた。80℃で15分間洗浄した後,続けてろ過及び乾燥することにより,本発明によるFCC触媒が得られ,A6として記録した。
【0051】
噴霧された触媒A6のスラリーは,固形成分含有量が38.9w%,粘度が3568センチポアズであった。得られた触媒は,摩耗指数が1.9,細孔容積が0.35mL・g−1,及びマイクロリアクティビティーが82であった。
【実施例7】
【0052】
脱イオン水3614g,アルミニウムコロソール1087g,ヘキサメタリン酸ナトリウム72g,酸処理カオリン1204g,及びカオリン2680gを反応装置内に添加した。10分間攪拌した後,濃度20%の塩酸88gを添加した。均一に混合した後,2#擬ベーマイト16560gをかき混ぜながら添加した。30分間かき混ぜた後,コロイドミルで処理した粒子の平均直径が5ミクロンよりも小さいREUSYモレキュラーシーブ1585g,及び脱イオン水4198gから作られた,モレキュラーシーブスラリーを添加した。30分間攪拌した後,噴霧乾燥を行い,触媒ミクロスフェアを得た。得られた触媒ミクロスフェアを,500℃で30分間加熱乾燥し,その後8倍の脱イオン水を添加し,混合液を均一にかき混ぜた。80℃で15分間洗浄した後,続けてろ過及び乾燥することにより,本発明によるFCC触媒が得られられ,A7として記録した。
【0053】
噴霧された触媒A7のスラリーは,固形成分含有量が31.8w%,粘度が2589センチポアズであった。得られた触媒は,摩耗指数が1.3,細孔容積が0.35mL・g−1,及びマイクロリアクティビティーが72であった。
【実施例8】
【0054】
脱イオン水5080g及びカオリン2078gを反応装置内に添加した。10分間攪拌した後,濃度35%の塩酸230gを添加した。均一に混合した後,1#擬ベーマイト1656gをかき混ぜながら添加した。30分間かき混ぜた後,濃度21%(SiO2について計算)の水ガラス125gを導入した。10分間攪拌を加えた後,コロイドミルで処理した粒子の平均直径が5ミクロンよりも小さいREUSYモレキュラーシーブ2060gを加え,さらに30分間攪拌を加えた後,分散剤としてのピロリン酸ナトリウム89g,アルミニウムコロソール2174g,及び脱イオン水3730gで作られたモレキュラーシーブスラリーを添加した。30分間攪拌した後,噴霧乾燥を行い,触媒ミクロスフェアを得た。得られた触媒ミクロスフェアを,500℃で30分間加熱乾燥し,その後8倍の脱イオン水を添加し,混合液を均一にかき混ぜた。80℃で15分間洗浄した後,続けてろ過及び乾燥することにより,本発明によるFCC触媒が得られ,A8として記録した。
【0055】
噴霧された触媒A8のスラリーは,固形成分含有量が29.2w%,粘度が2056センチポアズであった。得られた触媒は,摩耗指数が1.5,細孔容積が0.40mL・g−1,及びマイクロリアクティビティーが81であった。
【実施例9】
【0056】
脱イオン水,アルミニウムコロソール2174g,及び濃度35%の塩酸200gを反応装置内に添加した。均一に混合した後,カオリン2078gを添加した。30分間かき混ぜた後,REUSYモレキュラーシーブ1937g,FUdan ZSN−5モレキュラーシーブ123g,及び脱イオン水から作られた,モレキュラーシーブスラリーを添加した。1時間攪拌を加えた後,1#擬ベーマイト1656gを添加した。30分間かき混ぜた後,89gのDAPを分散剤として添加した。さらに1時間攪拌を加えた後,噴霧乾燥を行い,触媒ミクロスフェアを得た。得られた触媒ミクロスフェアを500℃で30分間加熱乾燥し,その後脱イオン水を添加し,混合液を均一にかき混ぜた。80℃で15分間洗浄した後,続けてろ過及び乾燥することにより,本発明によるFCC触媒が得られ,A9として記録した。
【0057】
噴霧された触媒A9のスラリーは,固形成分含有量が40.4w%,粘度が4632センチポアズであった。得られた触媒は,摩耗指数が1.7,細孔容積が0.41mL・g−1,及びマイクロリアクティビティーが79であった。
【実施例10】
【0058】
脱イオン水,アルミニウムコロソール2174g,及び濃度35%の塩酸200gを反応装置内に添加した。均一に混合した後,カオリン2078gを添加した。30分間かき混ぜた後,1#擬ベーマイト1656g及び分散剤のリン酸32gを添加した。1時間攪拌を加えた後,REUSYモレキュラーシーブ1937g,FUdan ZSN−5モレキュラーシーブ123g,及び脱イオン水から作られた,モレキュラーシーブスラリーを添加した。さらに1時間攪拌を加えた後,89gのDAPを分散剤として添加した。さらに0.5時間の攪拌を加えた後,噴霧乾燥を行い,触媒ミクロスフェアを得た。得られた触媒ミクロスフェアを,500℃で30分間加熱乾燥し,その後脱イオン水を添加し,混合液を均一にかき混ぜた。80℃で15分間洗浄した後,続けてろ過及び乾燥することにより,本発明によるFCC触媒が得られ,A10として記録した。
【0059】
噴霧された触媒A10のスラリーは,固形成分含有量が38.4w%,粘度が4927センチポアズであった。得られた触媒は,摩耗指数が1.5,細孔容積が0.39mL・g−1,及びマイクロリアクティビティーが80であった。
【0060】
(比較例4)
本比較例は,高い固形成分含有量の触媒を調製する工程において分散剤を用いない場合の実際的な効果を示したものである。
【0061】
脱イオン水,アルミニウムコロソール2174g,及び濃度35%の塩酸200gを反応装置内に添加した。均一に混合した後,カオリン2078gを添加した。30分間かき混ぜた後,1#擬ベーマイト1656gを添加した。1時間攪拌を加えた後,REUSYモレキュラーシーブ1937g,Fudan ZSN−5モレキュラーシーブ123g,及び脱イオン水から作られた,モレキュラーシーブスラリーを添加した。さらに1時間攪拌を加えた後,噴霧乾燥を行い,触媒ミクロスフェアを得た。得られた触媒ミクロスフェアを500℃で30分間加熱乾燥し,その後脱イオン水を添加し,混合液を均一にかき混ぜた。80℃で15分間洗浄した後,続けてろ過及び乾燥することにより,分散剤を用いないで調製したFCC触媒が得られ,B4として記録した。
【0062】
噴霧された触媒B4のスラリーは,固形成分含有量が38.4w%,粘度が8627センチポアズであった。得られた触媒は,摩耗指数が2.4,細孔容積が0.38mL・g−1,及びマイクロリアクティビティーが79であった。実験データは,触媒の調製工程において分散剤を添加しない場合,触媒スラリーは粘度が増加し,流動性が乏しくなることを示した。
【0063】
(比較例5)
本比較例は,擬ベーマイト及びアルミニウムコロソールを合成結合材として用いた従来の半合成FCC触媒の調製方法による実際的な効果を示したものである。
【0064】
脱イオン水6060g及びカオリン2078gを加熱ジャケットを装備した反応装置内に添加した。30分間攪拌した後,濃度35%の塩酸220gを添加した。30分間かき混ぜた後,温度を70℃まで上昇させて1時間熟成させ,その後アルミニウムコロソール2174gを攪拌を加えながら添加した。15分間攪拌した後,コロイドミルで処理した粒子の平均直径が5ミクロンよりも小さいREUSYモレキュラーシーブ1937g,Fudan ZSN−5モレキュラーシーブ123g,及び脱イオン水3510gで作られる,モレキュラーシーブスラリーを添加した。0.5時間攪拌した後,噴霧乾燥を行い,触媒ミクロスフェアを得た。得られた触媒ミクロスフェアを,500℃で30分間加熱乾燥し,その後8倍の脱イオン水を添加し,混合液を均一にかき混ぜた。80℃で15分間洗浄した後,続けてろ過及び乾燥することにより,従来の発明によるFCC触媒が得られ,B5として記録した。
【0065】
噴霧された触媒B5のスラリーは,固形成分含有量が28.2w%,粘度が6752センチポアズであった。得られた触媒は,摩耗指数が1.5,細孔容積が0.36mL・g−1,及びマイクロリアクティビティーが79であった。スラリーの粘度が高すぎるため,実際の製造においては固形成分含有量が高い触媒スラリーを得ることはできない。
【0066】
実施例1〜10及び比較例1〜5の実験結果を組合わせると,本発明で提供されたFCC触媒スラリーの固形成分含有量を増加させる方法によれば,前記固形成分含有量を効果的に増加し,触媒を高い細孔容積及び高いマイクロリアクティビティーに保ちつつ,同時に比較的低い減摩係数を有する触媒を確保することが分かる。表2は,それぞれ固定流動床で使用された,本発明によって調製された触媒と比較触媒の評価結果を示すものである。前記. 固定流動床は,反応温度が500℃,触媒−油比が4,空間速度(space velocity)が15h−1,及び原料油がシンチアン油(Xinjiang oil)と30%減圧残油の混合物である。
【0067】
【表2】

【0068】
表2から,比較例で調製した触媒B1及びB3と比較し,本発明の方法に従って調製した触媒A1は,最大の重油変換量並びに最高の合計液収率を示し,加えてこのように製造したガソリンはオレフィン含有量が低く,触媒の全般的な反応性が向上したことが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は,石油精製において接触分離触媒の調製に適し,精製工程においてこの種の触媒スラリーの固形成分含有量を大幅に高めることが可能な,分解触媒スラリーの固形成分含有量を増加する方法に関する。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘土,モレキュラーシーブスラリー,アルミニウム含有結合剤,擬ベーマイト,及び無機酸を均一に混合することにより触媒スラリーを生成する工程を含む,接触分解触媒スラリーの固形成分含有量を増加する方法において,
1)前記擬ベーマイトを添加する前に前記無機酸を添加し,前記無機酸の添加後に前記モレキュラーシーブを添加し,
2)リン含有分散剤を処理工程で添加し,前記分散剤は前記触媒の重量を基準に無水ベースで0.05%〜6%の量が添加されるリン酸及び/又はリン酸塩であること,
を特徴とする,接触分解触媒スラリーの固形成分含有量を増加する方法。
【請求項2】
前記粘土及び前記アルミニウム含有結合剤の添加後に前記無機酸を添加することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記無機酸を添加し前記アルミニウム含有結合剤と均一に混合した後,他の成分を添加することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記リン含有分散剤は,リン酸水素二アンモニウム,リン酸,ヘキサメタリン酸ナトリウム,及びピロリン酸ナトリウムの中から選択された一つ又は複数であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記リン酸含有分散剤を、0.1%〜4%の量で添加することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記触媒スラリーは,酸化アルミニウムと比較して,前記触媒スラリーの重量を基準とする無水ベースで,モレキュラーシーブを15〜50%,粘土を15〜60%,擬ベーマイトを8〜30%,アルミニウム含有結合剤を3〜18%含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記擬ベーマイト中における前記無機酸と前記酸化アルミニウムと間の重量比が0.01〜0.32であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記触媒スラリーは,希土類酸化物,酸化亜鉛,酸化ケイ素,マグネシア,酸化チタン,酸化バナジウム,酸化銅,又はそれらの前駆体からなる群から選択される一つ又は複数の酸化物を0〜8重量%さらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記触媒スラリーは,希土類酸化物,酸化ケイ素,又はそれらの前駆体を含むことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記モレキュラーシーブは,Y型ゼオライト,又はY型ゼオライトとZSMゼオライト,βゼオライト,Ωゼオライト,MCMゼオライト及びSAPOゼオライトの中の一つ又は複数との混合物であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記モレキュラーシーブは,Y型ゼオライト及びZSM−5ゼオライトの混合物であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記Y型ゼオライトが改良型Y型ゼオライトであることを特徴とする請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
前記Y型ゼオライトが,HY,NH4Y,REY,USY,及びREUSYの中から一つ又は複数選択されたものであることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記粘土は,カオリン,海泡石,アロカイト(allokite),及びポリナイトから一つ又は複数選択されたものであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記粘土は,カオリン,アロカイト,又はそれらの混合物であることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記粘土がカオリンであることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記擬ベーマイトがベーマイト,ハイドラルジライト(hydrargillite),又はバイヤライトであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記擬ベーマイトがベーマイトであることを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記無機酸が,塩酸,硫酸,硝酸,又はリン酸であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記無機酸が塩酸であることを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記アルミニウム含有結合剤が,アルミニウムコロソール,塩化水酸化アルミニウム,又は酸修飾したカオリンであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記アルミニウム含有結合剤が,
(1)金属アルミニウムと塩酸又は塩化アルミニウムとの反応によって得られたアルミニウム含有結合剤と,
(2)結晶性塩化アルミニウムの熱分解過程によって得られたアルミニウム含有結合剤と,
(3)無機酸とカオリン又は焙焼した(torrefied)カオリンとの反応によって得られたアルミニウム含有結合剤と,
(4)塩酸と水酸化アルミニウムとの高圧下の反応によって得られたアルミニウム含有結合剤と,
からなる群から選択されたものであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項23】
請求項1−22のいずれか一つに記載の方法に従って調製された,高い固形成分含有量を有する接触分解触媒スラリー。

【公開番号】特開2008−55416(P2008−55416A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−211115(P2007−211115)
【出願日】平成19年8月13日(2007.8.13)
【出願人】(507272865)ペトロチャイナ カンパニーリミテッド (1)
【Fターム(参考)】