説明

接触式パネルの製造法

【課題】基板がガラス材料に限定された下で良好な光学特性と外観品質を有する接触式パネルの製造法を提供することである。
【解決手段】ステップaは第一基板11と第二基板21を用意し、第一基板11と第二基板21に導電層13、23を別々に形成し、ステップbは第一基板11においてフレーム31を配置し、フレーム31に少なくとも一つの開口部を配置し、ステップcは第二基板21を第一基板11に据え、フレーム31を介し第一基板11と第二基板21とを互いに接合し、かつ第一基板11と第二基板21とフレーム31との間に設置空間を形成し、ステップdはフレーム31の開口部から設置空間がいっぱいになるまで量が一定する誘電材料41を注入する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は接触式パネル、詳しく言えば接触式パネルの製造法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
接触式パネルを操作インターフェースとして使用する電子製品が増えてきた。例えばディスプレイを有するPDA、Tablet PCまたはATMなどの電子製品は直接接触式パネルをディスプレイの表面に装着するものであるため、使用者は接触式パネルをタッチすることにより電子製品を制御・操作可能である。
【0003】
上述のディスプレイに適用された接触式パネルは主に二つの透明な基板を含み、二つの基板は別々に硬質ガラス材料と軟質プラスチック材料から構成され、各基板は一側面に導電可能な電極が配置され、基板と基板との間は透明な光学接着剤により互いに接合される。また二つの基板を接合した後、気泡が残留するという現象を防止するために、接合作業を実施する際、まず軟質基板の一側の辺縁を硬質基板に貼り付け、続いて軟質基板を湾曲させ徐々に硬質基板に貼り付けるように押し付け、軟質基板を硬質基板に完全に貼り付ければ、接合された後の二つの基板の間に気泡が生じることがなく、良好な接着性、平坦性、及び外観品質を有する。
しかし基板の材質がガラス材料に限定される場合、ガラス材料の特性のため、基板を湾曲させることも上述の通りに接合加工を実施することも不可能である。従って、基板と基板との接合箇所に気泡が起こりやすく、接触式パネルの光学特性と外観品質に影響をもたす。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の主な目的は接触式パネルの製造法を提供することである。これにより接触式パネルの各基板がガラス材料に限定された下で良好な光学特性と外観品質とを有する接触式パネルを製造することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の目的を達成するために、本発明による接触式パネルの製造法のステップは次の通りである。ステップaは第一基板と第二基板とを用意し、第一基板と第二基板とに導電層を別々に形成する。ステップbは第一基板においてフレームを配置し、フレームに少なくとも一つの開口部を配置する。ステップcは第二基板を第一基板に据え、フレームを介し第一基板と第二基板とを互いに接合し、かつ第一基板と第二基板とフレームとの間に設置空間を形成する。ステップdはフレームの開口部から設置空間がいっぱいになるまで量が一定する誘電材料を注入する。これにより、本発明による各基板の間に気泡が残留する現象が発生せず、接触式パネルに良好な光学特性と外観品質をもたらす目的を達成することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、実施例と図面に基づいて本発明を説明する。
本発明の第一実施例による接触式パネルの製造法は、第一ステップでは、図1に示すように第一基板11と第二基板21とを製作する。第一基板11及び第二基板21はともにガラス材質で製作し、かつ第一基板11及び第二基板21の一側面に導電可能な酸化インジウムスズ層(Indium Tin Oxide、ITO)を別々にコーティングし、続いて第一基板11及び第二基板21の酸化インジウムスズ層にフォトレジスト塗布、露光、現像、蝕刻などの工程を施すことにより第一導電層13と第二導電層23とを形成する。
【0007】
第二ステップでは、図2に示すように第一基板11の第一導電層13にフレーム31と若干の間隔部33とを配置する。フレーム31はプラスチック材質であり、かつフレーム31は第一基板11の縁辺に沿うように設けられる。またフレーム31は開口部37を二つ有し、間隔部33はフレームから囲まれている区域内に分布し、かつ間隔部33の高さとフレーム31の高さとがほぼ一致する。
【0008】
第三ステップでは、図3及び図4に示すように第一基板11に照準を合わせ、第二基板21を第一基板11のフレーム31に密接させるように押し付け、そののち固化加工を進め、プラスチック材質のフレーム31を介し第一基板11と第二基板21とを互いに接合し、第一基板11の導電層13と第二基板21の導電層23とフレーム31との間に設置空間35を形成する。このとき各間隔部33は第一基板11と第二基板21との間に突き当たるように据えられ、二つの基板11、21の間の距離を制御することが可能である。
第四ステップでは、量が一定する誘電材料41を取る。本実施例では誘電材料41はアクリル材質の光学接着剤であり、誘電材質41の粘度は500cps以下である。
【0009】
第五ステップでは、接合された後の第一基板11と第二基板21とを真空機腔室(図中未表示)に据え、真空吸引装置により腔室と設置空間35との真空度を10‐3torrに至るように制御すると同時に誘電材料41をフレーム31の開口部37に接触させる。続いて腔室と設置空間35とを徐々に正常な気圧の状態に復元させる。図5に示すように気圧復元の過程では誘電材料41は開口部37から設置空間35がいっぱいになるまで注入される。
第六ステップでは、フレーム31の開口部37を密封し、そののち構造全体の固化加工を進め、設置空間35内の誘電材料41を固化させることにより接触式パネル50を形成する。
【0010】
図5に示すように、構造の面では本実施例による接触式パネル50は第一基板11、第二基板21、フレーム31、及び誘電材料41を備える。第一基板11及び第二基板21はともにガラス材質から構成され、かつ第一導電層13と第二導電層23とを別々に有する。フレーム31は環状を呈するように第一基板11の第一導電層13に配置され、第二基板21の第二導電層23との間でかつフレーム31に囲まれている区域内に若干の隔離部33を有し、かつ各間隔部33の高さとフレーム31の高さがほぼ一致する。誘電材料41は第一基板11の第一導電層13と第二基板21の第二導電層23とフレーム31との間にいっぱい充填されるため、第一導電層13と第二導電層23と誘電材料41との間に電気感応が生じる。
【0011】
上述の製造法による接触式パネル50は誘電材料41が真空吸引方法により設置空間35内に充填されるため、ガラス材質の第一基板11と第二基板21との間に気泡が残留する現象が発生しない。また使用者が第二基板21に接触する場合、第一基板11と第二基板21の間に生じた静電気容量反応または電気感応により使用者の操作状況を検知することが可能である。
これにより、本実施例による接触式パネルの製造法は、接触式パネルに良好な光学特性と外観品質をもたらす目的を達成することが可能となる。
また上述の接触式パネルの製造法は必ずしも透明な基板に限定されず不透明な接触式パネルに適用することも可能である。また誘電材料はエポキシ樹脂またはシリコンなどの材質から形成することも可能であるため、同様に本発明の目的を達成可能である。
【0012】
上述の接触式パネルの構造では、誘電材料は第一基板の第一導電層と第二基板の第二導電層との間に配置するような構造を採用するが、同様に二つの導電層と誘電材料との間に電気感応が生じさえすれば別の構造を採用することも可能である。
図6に示すのは本発明の第二実施例による接触式パネル60である。その主な構造は第一実施例とほぼ同じである。その特徴は第一基板61と第二基板62とを互いに接合する場合、誘電材料65を第一基板61の導電層63と第二基板62とフレーム66との間に配置するために第一導電層63と第二導電層64とを基板61、62の最上側に位置させることである。
【0013】
図7に示すのは本発明の第三実施例による接触式パネル70である。その特徴は誘電材料75を第一基板71と第二基板73とフレーム76との間に配置するために第一基板71の第一導電層72を底側、第二基板73の第二導電層74を最上側に位置させることである。
図8に示すのは本発明の第四実施例による接触式パネル80である。その特徴は誘電材料85を第一基板81と第二基板83の導電層84とフレーム86との間に配置するために第一基板81の第一導電層82と第二基板83の第二導電層84とを基板81、83の底側に位置させることである。
これにより上述の本発明の実施例は誘電材料と各基板の導電層とに電気感応を生成させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第一実施例による接触式パネルの製造法の第一ステップを示す模式図である。
【図2】本発明の第一実施例による接触式パネルの製造法の第二ステップを示す模式図である。
【図3】本発明の第一実施例による接触式パネルの製造法の第三ステップを示す模式図である。
【図4】図3の4‐4線に沿う断面図である。
【図5】本発明の第一実施例に係る接触式パネルの構造を示す断面図である。
【図6】本発明の第二実施例に係る接触式パネルの構造を示す断面図である。
【図7】本発明の第三実施例に係る接触式パネルの構造を示す断面図である。
【図8】本発明の第四実施例に係る接触式パネルの構造を示す断面図である。
【符号の説明】
【0015】
11 第一基板、13 第一導電層、21 第二基板、23 第二導電層、31 フレーム、33 間隔部、35 設置空間、37 開口部、41 誘電材料、50 接触式パネル、60 接触式パネル、61 第一基板、62 第二基板、63 第一導電層、64 第二導電層、65 誘電材料、66 フレーム、70 接触式パネル、71 第一基板、72 第一導電層、73 第二基板、74 第二導電層、75 誘電材料、76 フレーム、80 接触式パネル、81 第一基板、82 第一導電層、83 第二基板、84 第二導電層、85 誘電材料、86 フレーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一基板と第二基板とを用意し、第一基板と第二基板とに導電層を別々に形成するステップaと、
第一基板においてフレームを配置し、フレームに少なくとも一つの開口部を配置するステップbと、
第二基板を第一基板に据え、フレームを介し第一基板と第二基板とを互いに接合し、かつ第一基板と第二基板とフレームとの間に設置空間を形成するステップcと、
フレームの開口部から設置空間がいっぱいになるまで量が一定する誘電材料を注入するステップdと、
を含むことを特徴とする接触式パネルの製造法。
【請求項2】
ステップbでは、第一基板は少なくとも一つの間隔部を有し、各間隔部は第一基板と第二基板との間の距離を制御することを特徴とする請求項1に記載の接触式パネルの製造法。
【請求項3】
誘電材質の粘度は500cps以下であることを特徴とする請求項1に記載の接触式パネルの製造法。
【請求項4】
ステップdでは、誘電材質は真空吸引方法により設置空間内に注入されることを特徴とする請求項1に記載の接触式パネルの製造法。
【請求項5】
ステップcでは、さらに固化加工により第一基板と第二基板とを互いに接合することを特徴とする請求項1に記載の接触式パネルの製造法。
【請求項6】
ステップdでは、さらに接触式パネルに固化加工を施すことにより誘電材料を固化させることを特徴とする請求項1に記載の接触式パネルの製造法。
【請求項7】
ステップcでは、第二基板を第一基板に据える場合、第一基板の導電層と第二基板の導電層とフレームとの間に設置空間を形成することも可能であることを特徴とする請求項1に記載の接触式パネルの製造法。
【請求項8】
ステップcでは、第二基板を第一基板に据える場合、第一基板と第二基板の導電層とフレームとの間に設置空間を形成することも可能であることを特徴とする請求項1に記載の接触式パネルの製造法。
【請求項9】
ステップcでは、第二基板を第一基板に据える場合、第一基板の導電層と第二基板とフレームとの間に設置空間を形成することも可能であることを特徴とする請求項1に記載の接触式パネルの製造法。
【請求項10】
第一基板及び第二基板は透明材質から形成されることを特徴とする請求項1に記載の接触式パネルの製造法。
【請求項11】
誘電材料は透明材質から形成されることを特徴とする請求項1に記載の接触式パネルの製造法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2006−338668(P2006−338668A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−149465(P2006−149465)
【出願日】平成18年5月30日(2006.5.30)
【出願人】(501029319)勝華科技股▲分▼有限公司 (12)
【Fターム(参考)】