説明

描画オブジェクト表示システムおよびその動作方法

【課題】(1)特定の描画オブジェクトのみを表示または強調表示でき、(2)描画オブジェクトの表示を途中で止めたり、時間を遡る方向に表示を変化させられ、(3)描画オブジェクトの書き込みの時刻に大きな隔たりがあっても、描画オブジェクトを迅速に表示できる。
【解決手段】入力処理部12は入力部11で描画された描画オブジェクトの描画データを生成し、カウンタ121に対応する順序属性と表示属性を付与し、データ管理部13に保存する。表示操作部16はユーザが表示切り替えの指示を行ったなら、表示処理部15に通知し、表示処理部15は表示位置情報151を更新し、表示位置情報151以下の番号に対応する順序属性を付与された描画データの表示属性を可視属性にする。そして、可視属性を付与された描画データに対応する描画オブジェクトを表示部14に表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、描画オブジェクト表示システムおよびその動作方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の共有型のホワイトボードにおいては、書き込みが増えると、何が書き込まれているのか、後で見た際に分かりにくくなる。
【0003】
例えば、電話などで相手と通話をしながら、ホワイトボードへ書き込みをしているのであれば、内容は問題なく理解できるが、通話終了後にホワイトボードの書き込みを見ても、内容を理解しにくい。
【0004】
これに対し、特許文献1で開示された共有ホワイトボードにおいては、書き込みを行うごとに、時刻情報と描画情報を合わせて履歴として保存し、時刻情報を利用して、描画情報を再生させることで、書き込みを行ったオブジェクトを強調して表示することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4308235号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、時系列順に書き込み内容を再現する上記の方式では、ホワイトボードへの書き込みが増えてくると、見づらくなってくる。
【0007】
また、時系列順に書き込み内容を再現する上記の方式では、再生を途中で止めたり、時間を遡る方向に表示を変化させることができない。
【0008】
また、前の書き込みから次の書き込みが発生するまでの時刻に大きな隔たりがあると、再生されるまでに長時間を要する。
【0009】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、(1)特定の描画オブジェクトのみを表示または強調表示でき、(2)描画オブジェクトの表示を途中で止めたり、時間を遡る方向に表示を変化させることができ、(3)前の描画オブジェクトの書き込みから次の描画オブジェクトの書き込みが発生するまでの時刻に大きな隔たりがあっても、描画オブジェクトを迅速に表示することができる描画オブジェクト表示システムおよびその動作方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、第1の本発明は、予め設けられた入力部において描画された描画オブジェクトを予め設けられた表示部に表示するための描画データを生成し、当該描画データに対して当該描画オブジェクトが描画された順序を示す順序属性を付与し、当該描画データを予め設けられたデータ管理部に保存する入力処理部と、前記表示部に表示すべき描画オブジェクトを定めるための表示位置情報を有し、予め設けられた表示操作部への操作により当該表示位置情報を更新し、更新後の当該表示位置情報に対応する順序属性を付与された描画データを前記データ管理部から読み出し、当該描画データに基づいて、当該描画データに対応する描画オブジェクトを前記表示部に表示させる表示処理部とを備える描画オブジェクト表示システムをもって解決手段とする。
【0011】
第2の本発明は、予め設けられた入力部において描画された描画オブジェクトを予め設けられた表示部に表示するための描画データを生成し、当該描画データに対して当該描画オブジェクトが描画された順序を示す順序属性を付与し、当該描画データを予め設けられたデータ管理部に保存する入力処理部と、前記表示部に強調して表示すべき描画オブジェクトを定めるための表示位置情報を有し、予め設けられた表示操作部への操作により当該表示位置情報を更新し、更新後の当該表示位置情報に対応する順序属性を付与された描画データに対し、当該描画データに対応する描画オブジェクトを前記表示部に強調して表示すべきことを示す表示属性を付与し、他の描画データに対し、前記表示部に強調して表示すべきでないことを示す表示属性を付与し、当該表示位置情報に対応する順序属性を付与された描画データであるか否かによらず前記データ管理部から描画データを読み出し、当該描画データに基づいて、当該描画データに対応する描画オブジェクトを当該描画データに付与された表示属性にしたがって前記表示部に表示させる表示処理部とを備えることを特徴とする描画オブジェクト表示システムをもって解決手段とする。
【0012】
第3の本発明は、描画オブジェクト表示システムの入力処理部が、予め設けられた入力部において描画された描画オブジェクトを予め設けられた表示部に表示するための描画データを生成し、当該描画データに対して当該描画オブジェクトが描画された順序を示す順序属性を付与し、当該描画データを予め設けられたデータ管理部に保存する工程と、前記表示部に表示すべき描画オブジェクトを定めるための表示位置情報を有する前記描画オブジェクト表示システムの表示処理部が、予め設けられた表示操作部への操作により当該表示位置情報を更新し、更新後の当該表示位置情報に対応する順序属性を付与された描画データを前記データ管理部から読み出し、当該描画データに基づいて、当該描画データに対応する描画オブジェクトを前記表示部に表示させる工程とを備えることを特徴とする描画オブジェクト表示システムの動作方法をもって解決手段とする。
【0013】
第4の本発明は、描画オブジェクト表示システムの入力処理部が、予め設けられた入力部において描画された描画オブジェクトを予め設けられた表示部に表示するための描画データを生成し、当該描画データに対して当該描画オブジェクトが描画された順序を示す順序属性を付与し、当該描画データを予め設けられたデータ管理部に保存する工程と、前記表示部に強調して表示すべき描画オブジェクトを定めるための表示位置情報を有する前記描画オブジェクト表示システムの表示処理部が、予め設けられた表示操作部への操作により当該表示位置情報を更新し、更新後の当該表示位置情報に対応する順序属性を付与された描画データに対し、当該描画データに対応する描画オブジェクトを前記表示部に強調して表示すべきことを示す表示属性を付与し、他の描画データに対し、前記表示部に強調して表示すべきでないことを示す表示属性を付与し、当該表示位置情報に対応する順序属性を付与された描画データであるか否かによらず前記データ管理部から描画データを読み出し、当該描画データに基づいて、当該描画データに対応する描画オブジェクトを当該描画データに付与された表示属性にしたがって前記表示部に表示させる工程とを備えることを特徴とする描画オブジェクト表示システムの動作方法をもって解決手段とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、表示位置情報に対応する順序属性を付与された描画データに対応する描画オブジェクトを表示させるまたは表示属性にしたがって表示させることで、上記(1)の課題を解決でき、つまり特定の描画オブジェクトのみを表示または強調表示でき、また、描画データに順序属性を付与し、表示操作部への操作により表示位置情報を更新し、更新後の表示位置情報に対応する順序属性を付与された描画データに対応する描画オブジェクトを表示させることで、上記(2)の課題を解決でき、つまり描画オブジェクトの表示を途中で止めたり、時間を遡る方向に表示を変化させることができ、また、上記(3)の課題を解決でき、つまり前の描画オブジェクトの書き込みから次の描画オブジェクトの書き込みが発生するまでの時刻に大きな隔たりがあっても、描画オブジェクトを迅速に表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施の形態に係る描画オブジェクト表示システムの構成図である。
【図2】ユーザにより描画オブジェクトが描画される様子の一例を示した図である。
【図3】描画データの入力のフローチャートである。
【図4】保存された描画データの一例を示す図である。
【図5】描画オブジェクトが表示される様子の一例(表示例1)を示した図である。
【図6】描画オブジェクトの表示のフローチャートである。
【図7】描画オブジェクトが表示される様子の一例(表示例2)を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0017】
図1は、本実施の形態に係る描画オブジェクト表示システムの構成図である。
【0018】
描画オブジェクト表示システム1は、一般に大型でホワイトボードと称される表示部に手書きの文字や図形である描画オブジェクトを表示させるもので、例えば、多数のユーザによって共用される。
【0019】
表示部は、例えば、ユーザが手書きで描画オブジェクトを描画するのに用いられる入力部であるタッチパネルと重ねあわせて構成される。
【0020】
描画オブジェクト表示システム1は、手書きで描かれた描画オブジェクトに対応する描画データを生成して保存しておき、表示の際は、ユーザの操作に応じた描画データを選択し表示する。
【0021】
描画オブジェクト表示システム1は、ユーザが手書きで描画オブジェクトを描画するのに用いられる入力部11と、手書きで描かれた描画オブジェクトに対応する描画データを生成する入力処理部12と、描画データが保存されるデータ管理部13と、描画データに対応する描画オブジェクトを表示される表示部14と、表示部14に描画オブジェクトを表示させる表示処理部15と、描画オブジェクトの表示切り替え操作に用いられる表示操作部16とを備える。
【0022】
表示部14は、例えば、入力部11であるタッチパネルと重ねあわせて構成される。表示操作部16は、例えば、入力装置であるマウスのホイールで構成される。
【0023】
入力処理部12は、内部にカウンタ121を有し、カウンタ121に対応する順序属性、ならびに、表示属性の初期値を、描画データに付与する。表示属性は、描画データを可視化させるための可視属性と描画データを非可視化するための非可視属性のいずれかである。
【0024】
表示処理部15は、内部に有する表示位置情報151と描画オブジェクトの表示切り替えの方向に基づいて、描画データを選択し、当該描画データの表示属性のみを可視属性にする。
【0025】
なお、描画オブジェクト表示システム1は、ここでは、入力部11、入力処理部12、データ管理部13、表示処理部15、表示部14および表示操作部16を含む構成としたが、描画オブジェクト表示システム1は、これらをネットワークを介して接続した構成としてもよい。
【0026】
図2は、ユーザにより描画オブジェクトが描画される様子の一例を示した図である。
【0027】
まず、工程1では、入力部11に対し、ユーザAが例えばペンを用いて、自分の位置の黒丸や地図の描画オブジェクト群OB1を描画する。
【0028】
次に、工程2では、ユーザAが、「この辺に目印はない?」の文やその位置を示す楕円等の描画オブジェクト群OB2を描画する。
【0029】
次に、工程3では、例えばユーザBが、目印である信号の位置の黒丸や「信号あり」の文や矢印等の描画オブジェクト群OB3を描画する。
【0030】
次に、工程4では、ユーザAが、「途中に郵便ポストある?」の文等の描画オブジェクト群OB4を描画する。
【0031】
次に、工程5では、例えばユーザCが、郵便ポストの位置の黒丸や「結構あるよ」の文等の描画オブジェクト群OB5を描画する。
【0032】
図3は、このような描画オブジェクトに対応する描画データを生成し属性を付与して保存する際のフローチャートである。
【0033】
ここでは、データ管理部13には描画データが保存されておらず、このデータ管理部13に複数の描画データが保存されるときの動作を説明する。
【0034】
例えば、ユーザがペンなどを用いて描画オブジェクトの描画を開始すると(S1)、入力処理部12はまず、カウンタ121を「1」にリセットする(S3)。
【0035】
ユーザが1つの描画データに対応する描画オブジェクトの描画を終了したなら(S5)、例えば、1つのみの描画オブジェクトに1つの描画データが対応する場合においてペンがタッチパネルから離れたなら、または、1つ以上の描画オブジェクトに1つの描画データが対応する場合においてタッチパネルで明示的に表示された「書き込み実行ボタン」がペンで押下されたなら、入力処理部12は、そのような1つのみの描画オブジェクトまたは1つ以上の描画オブジェクトに対応する描画データを生成する(S7)。描画データは、描かれた描画オブジェクトを描かれた位置に表示させるのに十分な情報を有するものであればよい。
【0036】
次に、入力処理部12は、カウンタ121に対応する順序属性ならびに予め定められた表示属性の初期値(例えば、可視属性)を当該生成された描画データに付与し、描画データをデータ管理部13に保存する(S9)。
【0037】
ここで、入力処理部12は、例えば、カウンタ121が「1」であれば順序属性が1番つまり「layer1」を含み、カウンタ121が「2」であれば順序属性が2番つまり「layer2」を含むというように、番号の順序属性を付与する。
【0038】
または、入力処理部12は、例えば、カウンタ121が「1」であれば順序属性が1番つまり「layerA」を含み、カウンタ121が「2」であれば順序属性が2番つまり「layerB」を含むというように、アルファベットの順序属性を付与する。
【0039】
次に、入力処理部12は、カウンタ121に「1」を加算する(S11)。
【0040】
次に、入力処理部12は、ユーザがペンなどを用いて次の描画オブジェクトの描画を開始したか否かを判定する(S13)。
【0041】
例えば、次の描画オブジェクトの描画が開始されたなら(S13:YES)、制御はステップS5に移行し、所定の時間内に次の描画オブジェクトの描画が開始されなかったなら(S13:NO)、一連の処理が終了する。
【0042】
図4は、保存された描画データの一例を示す図である。
【0043】
図4に示すように、各描画データDは、同一のXMLファイルに保存される。ここでは、各描画データDは、1つの描画オブジェクトに対応している。また、各描画データDは、順序を示す「layer1」などを含む順序属性Nと、可視属性を示す「visible」を含む表示属性Vを含んでいる。
【0044】
図5は、描画オブジェクトが表示される様子の一例(表示例1)を示した図である。
【0045】
まず、ユーザがマウスのホイールをスクロールさせ、表示開始を指示し、さらにホイールを2回下スクロールすると、1番と2番と3番の順序属性を付与された描画データの表示属性のみが可視属性となり、対応する各描画オブジェクト群OB1、OB2、OB3が表示される。
【0046】
続いて、ユーザがマウスのホイールを下スクロールさせると、1番と2番と3番と4番の順序属性を付与された描画データの表示属性のみが可視属性となり、対応する各描画オブジェクト群OB1、OB2、OB3、OB4が表示される。つまり、描画オブジェクト群OB4に属する描画オブジェクト「途中に郵便ポストある?」が出現する。
【0047】
続いて、ユーザがマウスのホイールを下スクロールさせると、1番と2番と3番と4番と5番の順序属性を付与された描画データの表示属性のみが可視属性となり、対応する各描画オブジェクトOB1、OB2、OB3、OB4、OB5が表示される。つまり、描画オブジェクト群OB5に属する描画オブジェクト「結構あるよ」、郵便ポストの位置を示す3つの黒丸の描画オブジェクトが出現する。
【0048】
続いて、ユーザがマウスのホイールを逆に上スクロールさせると、再び1番と2番と3番と4番の順序属性を付与された描画データの表示属性のみが可視属性となり、対応する各描画オブジェクト群が表示される。つまり、描画オブジェクト群OB5に属する描画オブジェクト「結構あるよ」等が消去される。
【0049】
続いて、ユーザがマウスのホイールをさらに上スクロールさせると、再び1番と2番と3番の順序属性を付与された描画データの表示属性のみが可視属性となり、対応する各描画オブジェクトが表示される。つまり、描画オブジェクト群OB4に属する描画オブジェクト「途中に郵便ポストある?」が消去される。
【0050】
図6は、このように描画オブジェクトを再生つまり表示する際のフローチャートである。
【0051】
例えば、ユーザがマウスのホイールをスクロールさせ、表示開始を指示する(S21)と、表示処理部15はまず表示位置情報151を「1」にリセットする(S23)。
【0052】
次に、表示処理部15は、データ管理部13において、現在の表示位置情報151以下の番号に対応する順序属性を付与された描画データを選択し、当該描画データの表示属性を可視属性にする(S25)。
【0053】
次に、表示処理部15は、データ管理部13から、可視属性を付与された描画データのみを読み出し、当該描画データに基づいて、当該描画データに対応する全ての描画オブジェクトを表示部14に表示させる(S27)。
【0054】
次に、表示操作部16は、ユーザがマウスのホイールを上スクロールまたは下スクロールさせたか否か、つまりユーザが、描画オブジェクトの表示切り替えの指示を行ったか否かを判定する(S29)。
【0055】
表示操作部16は、マウスのホイールが上スクロールまたは下スクロールされた、つまりユーザが、描画オブジェクトの表示切り替えの指示を行ったなら(S27:YES)、スクロールの方向を表示処理部15に通知し、表示処理部15は、上スクロールを通知され且つ表示位置情報151が「2」以上なら表示位置情報151から「1」を減じ、一方、下スクロールを通知されたなら、表示位置情報151に「1」を加え(S31)、ステップS25に戻る。
【0056】
一方、所定の時間内にマウスのホイールが上スクロールまたは下スクロールされなかったなら、つまりユーザが、描画オブジェクトの表示切り替えの指示を行わなかったなら(S29:NO)、一連の処理が終了する。
【0057】
これにより、例えば、図5に示すように、現在の表示位置情報151が「3」の場合は、1番と2番と3番の順序属性を付与された描画データの表示属性のみが可視属性となり、対応する各描画オブジェクト群OB1、OB2、OB3のみが表示される。
【0058】
また、現在の表示位置情報151が「4」の場合は、1番と2番と3番と4番の順序属性を付与された描画データの表示属性のみが可視属性となり、対応する各描画オブジェクト群OB1、OB2、OB3、OB4のみが表示される。
【0059】
また、現在の表示位置情報151が「5」の場合は、1番と2番と3番と4番と5番の順序属性を付与された描画データの表示属性のみが可視属性となり、対応する各描画オブジェクト群OB1、OB2、OB3、OB4、OB5のみが表示される。
【0060】
図7は、描画オブジェクトが表示される様子の一例(表示例2)を示した図である。
【0061】
まず、ユーザがマウスのホイールをスクロールさせ、表示開始を指示すると、1番と2番と3番の順序属性を付与された描画データの表示属性のみが可視属性となり、対応する各描画オブジェクト群OB1、OB2、OB3が表示される。
【0062】
続いて、ユーザがマウスのホイールを下スクロールさせると、1番と3番と4番の順序属性を付与された描画データの表示属性のみが可視属性となり、対応する各描画オブジェクト群OB1、OB3、OB4が表示される。つまり、描画オブジェクト群OB2に属する描画オブジェクト「この辺に目印はない」とその位置を示す楕円の描画オブジェクトが消去され、描画オブジェクト群OB4に属する描画オブジェクト「途中に郵便ポストある?」が出現する。
【0063】
続いて、ユーザがマウスのホイールを下スクロールさせると、1番と4番と5番の順序属性を付与された描画データの表示属性のみが可視属性となり、対応する各描画オブジェクト群OB1、OB4、OB5が表示される。つまり、描画オブジェクト群OB3に属する描画オブジェクト「信号あり」とその位置を示す矢印の描画オブジェクトが消去され、描画オブジェクト群OB5に属する描画オブジェクト「結構あるよ」と郵便ポストの位置を示す3つの黒丸の描画オブジェクトが出現する。
【0064】
続いて、ユーザがマウスのホイールを逆に上スクロールさせると、再び1番と3番と4番の順序属性を付与された描画データの表示属性のみが可視属性となり、対応する各描画オブジェクトが表示される。つまり、描画オブジェクト群OB3に属する描画オブジェクト「信号あり」とその位置を示す矢印の描画オブジェクトが出現し、描画オブジェクト群OB5に属する描画オブジェクト「結構あるよ」と郵便ポストの位置を示す3つの黒丸の描画オブジェクトが消去される。
【0065】
続いて、ユーザがマウスのホイールを上スクロールさせると、再び1番と2番と3番の順序属性を付与された描画データの表示属性のみが可視属性となり、対応する各描画オブジェクトが表示される。つまり、描画オブジェクト群OB2に属する描画オブジェクト「この辺に目印はない」とその位置を示す楕円の描画オブジェクトが出現し、描画オブジェクト群OB4に属する描画オブジェクト「途中に郵便ポストある?」が消去される。
【0066】
このように描画オブジェクトを再生つまり表示するには、概ね図6のフローチャートと同様の処理がなされる。
【0067】
ただし、ステップS25において、表示処理部15は、データ管理部13において、1番に対応する順序属性、現在の表示位置情報151に「1」を加えた番号に対応する順序属性、現在の表示位置情報151に「2」を加えた番号に対応する順序属性を付与された描画データを選択し、当該描画データの表示属性のみを可視属性にする。
【0068】
これにより、例えば、図7に示すように、現在の表示位置情報151が「1」の場合は、1番と2番と3番の順序属性を付与された描画データの表示属性のみが可視属性となり、対応する各描画オブジェクト群OB1、OB2、OB3のみが表示される。
【0069】
また、現在の表示位置情報151が「2」の場合は、1番と3番と4番の順序属性を付与された描画データの表示属性のみが可視属性となり、対応する各描画オブジェクト群OB1、OB3、OB4のみが表示される。
【0070】
また、現在の表示位置情報151が「3」の場合は、1番と4番と5番の順序属性を付与された描画データの表示属性のみが可視属性となり、対応する各描画オブジェクトOB1、OB4、OB5のみが表示される。
【0071】
なお、本実施の形態では、可視属性に対応する描画オブジェクトのみを表示したが、表示属性として「濃色」または「淡色」を付与し、これに応じて、描画オブジェクトを濃色や淡色で表示させてもよい。または、表示属性として「点滅表示」または「常に表示」を付与し、これに応じて、描画オブジェクトを点滅表示させたり常に表示させたりしてもよい。または、表示属性として「太線」または「細線」を付与し、これに応じて、描画オブジェクトを太線で表示させたり細線で表示させたりしてもよい。
【0072】
すなわち、表示処理部15は、ステップS25では、表示位置情報151に対応する順序属性を付与された描画データに対し、描画オブジェクトを強調すべきことを示す表示属性(上記のような「点滅表示」や「太線」)を付与し、他の描画データに対し、描画オブジェクトを強調すべきでないことを示す表示属性(上記のように「常に表示」や「細線」)を付与し、ステップS27では、表示位置情報151に対応する順序属性を付与された描画データであるか否かによらずデータ管理部13から描画データを読み出し、当該描画データに基づいて、当該描画データに対応する描画オブジェクトを当該描画データに付与された表示属性にしたがって表示部14に表示させればよい。
【0073】
また、本実施の形態では、表示の切り替えの指示をマウスのホイールで行ったが、これをタッチパネルへの操作などにより行ってもよい。
【0074】
したがって、本実施の形態に係る描画オブジェクト表示システム1によれば、表示位置情報151に対応する順序属性を付与された描画データに対応する描画オブジェクトを表示させるまたは表示属性にしたがって表示させることで、上記(1)の課題を解決でき、つまり特定の描画オブジェクトのみを表示または強調表示でき、また、描画データに順序属性を付与し、表示操作部16への操作により表示位置情報151を更新し、更新後の表示位置情報151に対応する順序属性を付与された描画データに対応する描画オブジェクトを表示させることで、上記(2)の課題を解決でき、つまり描画オブジェクトの表示を途中で止めたり、時間を遡る方向に表示を変化させることができ、また、上記(3)の課題を解決でき、つまり前の描画オブジェクトの書き込みから次の描画オブジェクトの書き込みが発生するまでの時刻に大きな隔たりがあっても、描画オブジェクトを迅速に表示することができる。
【0075】
なお、描画オブジェクト表示システム1としてコンピュータ(またはネットワークで接続された複数のコンピュータ)を機能させるためのコンピュータプログラムは、半導体メモリ、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、磁気テープなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録でき、また、インターネットなどの通信網を介して伝送させて、広く流通させることができる。
【符号の説明】
【0076】
1…描画オブジェクト表示システム
11…入力部
12…入力処理部
13…データ管理部
14…表示部
15…表示処理部
16…表示操作部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め設けられた入力部において描画された描画オブジェクトを予め設けられた表示部に表示するための描画データを生成し、当該描画データに対して当該描画オブジェクトが描画された順序を示す順序属性を付与し、当該描画データを予め設けられたデータ管理部に保存する入力処理部と、
前記表示部に表示すべき描画オブジェクトを定めるための表示位置情報を有し、予め設けられた表示操作部への操作により当該表示位置情報を更新し、更新後の当該表示位置情報に対応する順序属性を付与された描画データを前記データ管理部から読み出し、当該描画データに基づいて、当該描画データに対応する描画オブジェクトを前記表示部に表示させる表示処理部と
を備える描画オブジェクト表示システム。
【請求項2】
予め設けられた入力部において描画された描画オブジェクトを予め設けられた表示部に表示するための描画データを生成し、当該描画データに対して当該描画オブジェクトが描画された順序を示す順序属性を付与し、当該描画データを予め設けられたデータ管理部に保存する入力処理部と、
前記表示部に強調して表示すべき描画オブジェクトを定めるための表示位置情報を有し、予め設けられた表示操作部への操作により当該表示位置情報を更新し、更新後の当該表示位置情報に対応する順序属性を付与された描画データに対し、当該描画データに対応する描画オブジェクトを前記表示部に強調して表示すべきことを示す表示属性を付与し、他の描画データに対し、前記表示部に強調して表示すべきでないことを示す表示属性を付与し、当該表示位置情報に対応する順序属性を付与された描画データであるか否かによらず前記データ管理部から描画データを読み出し、当該描画データに基づいて、当該描画データに対応する描画オブジェクトを当該描画データに付与された表示属性にしたがって前記表示部に表示させる表示処理部と
を備えることを特徴とする描画オブジェクト表示システム。
【請求項3】
描画オブジェクト表示システムの入力処理部が、予め設けられた入力部において描画された描画オブジェクトを予め設けられた表示部に表示するための描画データを生成し、当該描画データに対して当該描画オブジェクトが描画された順序を示す順序属性を付与し、当該描画データを予め設けられたデータ管理部に保存する工程と、
前記表示部に表示すべき描画オブジェクトを定めるための表示位置情報を有する前記描画オブジェクト表示システムの表示処理部が、予め設けられた表示操作部への操作により当該表示位置情報を更新し、更新後の当該表示位置情報に対応する順序属性を付与された描画データを前記データ管理部から読み出し、当該描画データに基づいて、当該描画データに対応する描画オブジェクトを前記表示部に表示させる工程と
を備えることを特徴とする描画オブジェクト表示システムの動作方法。
【請求項4】
描画オブジェクト表示システムの入力処理部が、予め設けられた入力部において描画された描画オブジェクトを予め設けられた表示部に表示するための描画データを生成し、当該描画データに対して当該描画オブジェクトが描画された順序を示す順序属性を付与し、当該描画データを予め設けられたデータ管理部に保存する工程と、
前記表示部に強調して表示すべき描画オブジェクトを定めるための表示位置情報を有する前記描画オブジェクト表示システムの表示処理部が、予め設けられた表示操作部への操作により当該表示位置情報を更新し、更新後の当該表示位置情報に対応する順序属性を付与された描画データに対し、当該描画データに対応する描画オブジェクトを前記表示部に強調して表示すべきことを示す表示属性を付与し、他の描画データに対し、前記表示部に強調して表示すべきでないことを示す表示属性を付与し、当該表示位置情報に対応する順序属性を付与された描画データであるか否かによらず前記データ管理部から描画データを読み出し、当該描画データに基づいて、当該描画データに対応する描画オブジェクトを当該描画データに付与された表示属性にしたがって前記表示部に表示させる工程と
を備えることを特徴とする描画オブジェクト表示システムの動作方法。
【請求項5】
前記入力処理部は、
予め設けられたペンを用いて前記入力部においての描画が開始されてから前記ペンが前記入力部から離れるまでの描画に対応する前記描画データを生成する
ことを特徴とする請求項3または4記載の描画オブジェクト表示システムの動作方法。
【請求項6】
前記入力処理部は、
前記入力部において描画が開始されてから明示的に終了の操作がなされるまでの描画に対応する前記描画データを生成する
ことを特徴とする請求項3または4記載の描画オブジェクト表示システムの動作方法。
【請求項7】
請求項1または2に記載の描画オブジェクト表示システムとしてコンピュータを機能させるためのコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−159921(P2012−159921A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−17743(P2011−17743)
【出願日】平成23年1月31日(2011.1.31)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】