説明

描画色計測装置、及び描画色計測方法

【課題】高価な測定装置や、被測定物の色の波長と色表現記号とを変換する複雑な工程を必要としない描画色計測装置、及び描画色計測方法を提供する。
【解決手段】描画色計測装置は、配設された液状体が固化して形成される描画物の色を計測する描画色計測装置であって、色表示部に比較色を表示する比較色表示手段と、色表示部に液状体を配置する液状体配置手段と、色表示部における比較色が表示されている部分及び液状体が固化した描画部を含む範囲の色計測画像を取得可能な画像取得手段と、色計測画像における描画部の描画部画像を解析して描画部色調情報を、比較色の比較色画像を解析して比較色部色調情報を、取得する描画色解析手段と、描画部色調情報と、比較色部色調情報とから、描画色と比較色との差異の有無を判定する描画色判定手段と、比較色を調整することによって、比較色部色調情報を描画部色調情報に近づける比較色調整手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、描画媒体上に液状体が配設され、当該液状体が固化して形成された描画物の色を計測する描画色計測装置、及び描画色計測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、液滴吐出ヘッドを用いて色インクを吐出して任意の色の描画物を形成できる描画装置が知られている。様々な色を正確に再現することが可能となるに伴い、印刷された色が所望の色であるかを検証することを、正確かつ迅速に行うことが求められている。特許文献1には、印刷ヘッドが備える基準印刷ノズルによる標準画像を所定の色空間において測定した測色データと、印刷ヘッドにおける各印刷ノズルに所定の駆動電圧を与えたときのそれぞれの印刷ノズルのインク吐出量に関するデータとを基準にして、ノズル列ごとに色修正情報を取得することによって、出力特性のばらつきを低減させることができ、色ずれの発生を防止することが可能な、色修正情報取得装置、色修正情報取得方法、色修正情報取得プログラム、印刷装置、画像処理装置、画像処理方法および画像処理プログラムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−8097号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されたような装置や方法においても、色情報(測色データ)を取得するための色の測定については、被測定色の波長を測定することが多く行われている。波長は、光スペクトルアナライザーや分光光度計などを用いて測定することが一般的であるが、これらの計器は高価である。また、波長と色表現記号とを変換する必要があり、複雑な工程が必要であるという課題もあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0006】
[適用例1]本適用例にかかる描画色計測装置は、描画媒体上に液状体が配設され、当該液状体が固化して形成される描画物の色を計測する描画色計測装置であって、色表示部を備え、前記色表示部に比較色を表示する比較色表示手段と、前記色表示部に前記液状体を配置する液状体配置手段と、前記液状体が配置されると共に前記比較色が表示された状態の前記色表示部における、前記比較色が表示されている部分及び前記液状体が配置されて固化した描画部を含む範囲の色計測画像を取得可能な画像取得手段と、前記色計測画像における前記描画部の描画部画像を解析して描画部色調情報を、前記比較色が表示されている部分の比較色画像を解析して比較色部色調情報を取得する描画色解析手段と、前記描画部色調情報と、前記比較色部色調情報とから、前記描画部の描画色と前記比較色との差異の有無を判定する描画色判定手段と、前記比較色表示手段が表示する前記比較色を調整することによって、前記比較色部色調情報を前記描画部色調情報に近づける比較色調整手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
本適用例にかかる描画色計測装置によれば、比較色表示手段と液状体配置手段とによって、比較色が表示された色表示部に液状体が配置された状態が形成され、画像取得手段によって、表示された比較色の比較色画像と、固化した液状体の描画部画像と、を含む色計測画像が取得できる。描画色解析手段によって描画部色調情報と比較色部色調情報とを取得し、描画色判定手段によって描画部色調情報と比較色部色調情報との差異の有無を判定することができる。これにより、画像取得手段によって取得された色計測画像において、比較色と描画色とが略同一か否かを判定することができる。比較色調整手段によって比較色を調整することによって、比較色部色調情報を描画部色調情報に近づけることができる。比較色を調整することと、比較色部色調情報と描画部色調情報とを取得して略同一か否かを判定することとを実施することで、画像取得手段において描画色と略同一の色調を有する比較色を求めることができる。当該比較色の色調は、描画色の色調と略同一であることから、描画色の色調を求めることができる。
一般的に、画像の情報は画像を形成する画素の位置情報と当該画素に対応する色調情報とを含むため、描画部色調情報と比較色部色調情報とは、計測画像の画像情報から容易に取得することができる。比較色調整手段は、比較色表示手段が表示する比較色の情報における色調情報を調整して、比較色部色調情報を描画部色調情報に近づけることができる。
【0008】
[適用例2]上記適用例にかかる描画色計測装置は、前記比較色表示手段が点光源アレイを備えることが好ましい。
【0009】
この描画色計測装置によれば、点光源アレイを用いて比較色が表示される。カラー表示が可能な点光源アレイを用いて人間が認識できる多くの色を表示することが可能である。点光源アレイを用いて画像を表示する場合、表示している画像の色の情報は、容易に取得することができるとともに、容易に調整することができる。これにより、比較色表示手段に表示する比較色を調整することによって、比較色部色調情報を描画部色調情報に容易に近づけることができる。
【0010】
[適用例3]上記適用例にかかる描画色計測装置は、前記比較色表示手段が液晶表示装置を備えることが好ましい。
【0011】
この描画色計測装置によれば、液晶表示装置を用いて比較色が表示される。カラー表示が可能な液晶表示装置を用いて人間が認識できる多くの色を表示することが可能である。液晶表示装置を用いて画像を表示する場合、表示している画像の色の情報は、容易に取得することができるとともに、容易に調整することができる。これにより、比較色表示手段に表示する比較色を調整することによって、比較色部色調情報を描画部色調情報に容易に近づけることができる。
【0012】
[適用例4]上記適用例にかかる描画色計測装置は、前記比較色調整手段が、前記比較色表示手段の画素の色調を調整することによって、前記比較色部色調情報を、前記描画部色調情報に近づけることが好ましい。
【0013】
この描画色計測装置によれば、比較色調整手段は、比較色表示手段の画素の色調を調整する。一般的に、画像の情報は画像を形成する画素の位置情報と当該画素に対応する色調情報とを含むため、比較色調整手段は、比較色表示手段に表示させる比較色の情報における色調情報を描画部色調情報の色調情報に近い値に調整することで、容易に、比較色部色調情報を描画部色調情報に近づけることができる。
【0014】
[適用例5]上記適用例にかかる描画色計測装置は、前記画像取得手段が、半導体撮像素子を備えることが好ましい。
【0015】
この描画色計測装置によれば、画像取得手段は半導体撮像素子を備え、半導体撮像素子の出力によって、色計測画像が形成される。半導体撮像素子は、各画素が感知した光量を出力し、画素の位置とそれぞれの画素の出力との組み合わせで画像が形成される。カラーの半導体撮像素子においては、画素の位置とそれぞれの画素色情報との組み合わせで画像が形成される。画素は、例えば赤色と緑色と青色との3色のサブ画素を有し、サブ画素のそれぞれの出力が視覚的に合成されることによって定まる色が、半導体撮像素子の画素が感知して出力する色であり、出力する画像の画素の色として出力される。画像取得手段が半導体撮像素子を備えることで、半導体撮像素子の出力としての色計測画像を規定する色情報から描画部色調情報と比較色部色調情報とを容易に取得することができる。
【0016】
[適用例6]上記適用例にかかる描画色計測装置は、前記描画色解析手段が取得する前記描画部色調情報及び前記比較色部色調情報が、前記描画部画像又は前記比較色画像を構成する画素の色調情報であることが好ましい。
【0017】
この描画色計測装置によれば、描画色解析手段は、描画部色調情報及び比較色部色調情報として、描画部画像又は比較色画像を構成する画素の色調情報を取得する。画像情報は画素の位置情報と当該画素の色調情報とを有している。描画部画像及び比較色画像の色調は、描画部画像又は比較色画像を構成する画素の色調情報によって規定される。したがって、描画部画像又は比較色画像を構成する画素の色調情報を描画部色調情報又は比較色部色調情報とすることができる。
【0018】
[適用例7]本適用例にかかる描画色計測方法は、描画媒体上に液状体が配設され、当該液状体が固化して形成される描画物の色を計測する描画色計測方法であって、色表示部に比較色を表示する比較色表示工程と、前記色表示部に表示された前記比較色と少なくとも一部が重なる位置に前記液状体を配置する液状体配置工程と、前記液状体が配置されると共に前記比較色が表示された状態の前記色表示部における、前記比較色が表示されている部分及び前記液状体が配置されて固化した描画部を含む範囲の色計測画像を取得する画像取得工程と、前記色計測画像における前記描画部の描画部画像を解析して描画部色調情報を、前記比較色が表示されている部分の比較色画像を解析して比較色部色調情報を、取得する描画色解析工程と、前記描画部色調情報と、前記比較色部色調情報とから、前記描画部の描画色と前記比較色との差異の有無を判定する描画色判定工程と、前記色表示部に表示された前記比較色を調整することによって、前記比較色部色調情報を前記描画部色調情報に近づける比較色調整工程と、を有することを特徴とする。
【0019】
本適用例にかかる描画色計測方法によれば、比較色表示工程と液状体配置工程とによって、比較色が表示された色表示部に液状体が配置された状態が形成され、画像取得工程によって、表示された比較色の比較色画像と、液状体が固化した描画部の描画部画像と、を含む色計測画像が取得できる。描画色解析工程において描画部色調情報と比較色部色調情報とを取得し、描画色判定工程において描画部色調情報と比較色部色調情報との差異の有無を判定することができる。これにより、画像取得工程によって取得された色計測画像において、比較色と描画部の色とが略同一か否かを判定することができる。比較色調整工程において比較色を調整することによって、比較色部色調情報を描画部色調情報に近づけることができる。比較色を調整することと、比較色部色調情報と描画部色調情報とを取得して略同一か否かを判定することとを実施することで、色計測画像を形成する撮像装置において、描画色と略同一の色調を有する比較色を求めることができる。当該比較色の色調は、描画色の色調と略同一であることから、描画色の色調を求めることができる。
一般的に、画像の情報は画像を形成する画素の位置情報と当該画素に対応する色調情報とを含むため、描画部色調情報と比較色部色調情報とは、計測画像の画像情報から容易に取得することができる。比較色調整工程では、比較色表示工程において表示する比較色の情報における色調情報を調整して、比較色部色調情報を描画部色調情報に近づけることができる。
【0020】
[適用例8]上記適用例にかかる描画色計測方法は、前記比較色調整工程では、前記色表示部の画素の色調を調整することによって、前記比較色部色調情報を前記描画部色調情報に近づけることが好ましい。
【0021】
この描画色計測方法によれば、比較色調整工程では、色表示部の画素の色調を調整する。一般的に、画像の情報は画像を形成する画素の位置情報と当該画素に対応する色調情報とを含むため、比較色調整工程において、色表示部に表示させる比較色の情報における色調情報を描画部色調情報の色調情報に近い値に調整することで、容易に、比較色部色調情報を描画部色調情報に近づけることができる。
【0022】
[適用例9]上記適用例にかかる描画色計測方法は、前記描画色解析工程において取得する前記描画部色調情報と、前記比較色部色調情報とは、前記描画部画像又は前記比較色画像を構成する画素の色調情報であることが好ましい。
【0023】
この描画色計測方法によれば、描画色解析工程において、描画部色調情報及び比較色部色調情報として、描画部画像又は比較色画像を構成する画素の色調情報を取得する。画像情報は画素の位置情報と当該画素の色調情報とを有している。描画部画像及び比較色画像の色調は、描画部画像又は比較色画像を構成する画素の色調情報によって規定される。したがって、描画部画像又は比較色画像を構成する画素の色調情報を描画部色調情報又は比較色部色調情報とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】色計測装置の概略構成及び電気的構成を示す説明図。
【図2】色計測装置の機能的構成を示す機能構成ブロック図。
【図3】(a)は、液晶表示パネルの概要を示す説明図。(b)は、液晶表示パネルの表示領域に形成されている画素の概要を示す説明図。
【図4】(a)は、計測画像の全容を示す模式図。(b)は、計測画像の画素を示す模式図。
【図5】描画色計測工程の各工程を示すフローチャート。
【図6】描画色計測工程の途中の工程における計測ステージの状態を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、描画色計測装置、及び描画色計測方法について、図面を参照して説明する。本実施形態は、液滴吐出ヘッドを備える描画装置で用いられる描画用機能液による描画物の描画色を計測する描画色計測装置を例にして説明する。なお、以下の説明において参照する図面では、図示の便宜上、部材又は部分の縦横の縮尺を実際のものとは異なるように表す場合がある。
【0026】
<色計測装置>
最初に、色計測装置1の構成について、図1を参照して説明する。図1は、色計測装置の概略構成及び電気的構成を示す説明図である。
図1に示すように、色計測装置1は、ヘッドユニット2と、計測ステージ3と、移動機構4と、撮像ユニット5と、制御装置6と、を備えている。色計測装置1が、描画色計測装置に相当する。
【0027】
計測ステージ3は、液晶表示パネル31と、着弾パネル32とを備えている。液晶表示パネル31は、制御装置6に電気的に接続されており、制御装置6から供給される映像信号に従って、表示領域311(図3参照)にカラー画像を表示する。着弾パネル32は、透明な板であり、液晶表示パネル31の表示領域311を含む画像表示面を覆う状態で液晶表示パネル31に固定されている。液晶表示パネル31に表示される画像は、着弾パネル32を介して見ることができる。着弾パネル32における液晶表示パネル31に固定されている面の反対側の面を被着弾面32aと表記する。計測ステージ3が、比較色表示手段に相当し、液晶表示パネル31、又は液晶表示パネル31の表示領域311が、色表示部に相当する。液晶表示パネル31が、液晶表示装置に相当する。
【0028】
移動機構4は、X軸移動機構41と、Y軸移動機構42とを備えている。Y軸移動機構42は、Y固定部(図示省略)とY摺動部(図示省略)とを備えている。Y固定部は、図示省略した基台に固定されており、Y摺動部は、Y軸方向に摺動自在であって、任意の位置に保持可能に、Y固定部に支持されている。X軸移動機構41は、X固定部(図示省略)とX摺動部(図示省略)とを備えている。X固定部は、Y摺動部に固定されており、X摺動部は、X軸方向に摺動自在であって、任意の位置に保持可能に、X固定部に支持されている。X摺動部には、計測ステージ3の液晶表示パネル31が固定されている。計測ステージ3は、X軸移動機構41及びY軸移動機構42によって、X軸方向及びY軸方向に摺動自在であって、任意の位置に保持可能に支持されている。X軸方向及びY軸方向は、液晶表示パネル31の画像表示面及び着弾パネル32の被着弾面32aと、略平行である。
移動機構4は、制御装置6に電気的に接続されており、制御装置6から供給される制御信号に従って、計測ステージ3(液晶表示パネル31)を任意の位置に移動させ、当該位置に保持する。
【0029】
撮像ユニット5は、撮像カメラ51を備えている。撮像ユニット5は、図示省略した支持装置によって支持されて、撮像カメラ51が液晶表示パネル31に臨んでいる。撮像ユニット5は、撮像カメラ51によって液晶表示パネル31の撮像カメラ51に対向する部分の画像を撮影することができる。液晶表示パネル31は、移動機構4によって被着弾面32aに略平行なX軸方向及びY軸方向に移動自在であって、任意の位置に保持可能に支持されているため、液晶表示パネル31の任意の位置を撮像カメラ51に対向させて、当該位置の画像を撮影することができる。撮像カメラ51の撮像素子としては、例えば、CCD素子又はCMOS素子を有する固体撮像素子を用いる。CCD素子やCMOS素子などの固体撮像素子が、半導体撮像素子に相当する。撮像ユニット5が、画像取得手段に相当する。
【0030】
ヘッドユニット2は、液滴吐出ヘッド21を備え、機能液を液滴として吐出することができる。ヘッドユニット2は、撮像ユニット5と並んで、図示省略した支持装置によって支持されており、液滴吐出ヘッド21の吐出ノズルが液晶表示パネル31に臨んでおり、液晶表示パネル31に固定された着弾パネル32の被着弾面32aに臨んでいる。ヘッドユニット2は、液滴吐出ヘッド21から液滴を吐出して、被着弾面32aに着弾させることができる。液晶表示パネル31は、移動機構4によって被着弾面32aに略平行なX軸方向及びY軸方向に移動自在であって、任意の位置に保持可能に支持されているため、液晶表示パネル31の任意の位置を液滴吐出ヘッド21に対向させて、当該位置に液滴を着弾させることができる。ヘッドユニット2、又はヘッドユニット2及び移動機構4が、液状体配置手段に相当する。機能液が、液状体に相当する。
【0031】
制御装置6は、CPU(Central Processing Unit)61と、ROM(Read Only Memory)63と、RAM(Random Access Memory)62と、ハードディスク(HDD:Hard disk drive)64と、を備えている。CPU61は、色計測装置1を制御する中央処理装置である。ROM63は、CPU61が各種制御を行うための制御プログラムを記憶しており、RAM62は、ワークエリアとして利用される。ハードディスク64は、各種データおよび各種プログラムを書換可能に記憶している。制御装置6は、ROM63やハードディスク64に記憶されたプログラムに従い、CPU61が各種演算処理を行って制御信号を送ることで、ヘッドユニット2や、計測ステージ3や、移動機構4や、撮像ユニット5に、上述した各種動作を実行させる。
また、制御装置6には、ROM63、RAM62、又はハードディスク64に記憶されて、描画色の測定の際に用いられる制御プログラムや各種データを入力する入力装置71と、測定用画像や測定データや測定結果などの各種情報を表示する表示装置72とが、接続されている。
【0032】
<色計測装置の機能的構成>
次に、色計測装置1の機能的構成について、図2、図3、及び図4を参照して説明する。図2は、色計測装置の機能的構成を示す機能構成ブロック図である。図3は、液晶表示パネルの概要を示す説明図である。図4は、計測画像を示す模式図である。
上述したように、色計測装置1は、ヘッドユニット2と、計測ステージ3と、移動機構4と、撮像ユニット5と、これらを統括制御する制御装置6と、を備えている。
【0033】
図2に示したように、制御装置6は、統括制御部66と、描画色解析部76と、描画色判定部77と、比較色調整部78と、液滴吐出制御部26と、比較色表示制御部36と、ステージ移動制御部46と、画像取得制御部56とを備えている。これらの各部は、内部バス67で相互に接続されている。入力装置71と、表示装置72とは、入出力インターフェース68を介して、統括制御部66と、内部バス67で相互に接続されている。
【0034】
ステージ移動制御部46は、移動機構4を制御して、計測ステージ3をX軸Y軸平面内で移動することで、被着弾面32a(液晶表示パネル31の表示面)の任意の部分を、ヘッドユニット2の液滴吐出ヘッド21の吐出ノズルが臨む位置に移動する。また、液滴吐出ヘッド21によって機能液を配置された部分を、撮像ユニット5の撮像カメラ51が臨む位置に移動する。
【0035】
液滴吐出制御部26は、ヘッドユニット2を制御して、液滴吐出ヘッド21から機能液の液滴を吐出させて、被着弾面32aに着弾させることによって、機能液を被着弾面32a上に配置する。
【0036】
比較色表示制御部36は、計測ステージ3の液晶表示パネル31に比較色を表示させる映像信号を送り、当該映像信号によって規定される色調の比較色を液晶表示パネル31に表示させる。
【0037】
図3(a)に示すように、液晶表示パネル31は、表示領域311を有し、表示領域311に比較色を表示する。図3は、液晶表示パネルの概要を示す説明図であり、図3(a)は、液晶表示パネルの概要を示す説明図であり、図3(b)は、液晶表示パネルの表示領域に形成されている画素の概要を示す説明図である。
【0038】
図3(b)に示すように、液晶表示パネル31の表示領域311には、赤色副画素312Rと、緑色副画素312Gと、青色副画素312Bとが、形成されており、格子状に配列されている。赤色副画素312Rは赤色の光を、緑色副画素312Gは緑色の光を、青色副画素312Bは青色の光を、それぞれ発光する。図3(b)に示した赤色副画素312Rと、緑色副画素312Gと、青色副画素312Bとの配列は、格子の縦列が全て同色の赤色副画素312R、緑色副画素312G、又は青色副画素312Bになるストライプ配列である。
隣り合って形成された赤色副画素312R、緑色副画素312G、及び青色副画素312Bを各1個ずつ含む画素312が、画像を構成する最小単位である。ひとつの画素312を構成する赤色副画素312R、緑色副画素312G、及び青色副画素312Bのいずれか一つ又はそれらの組み合わせに光を選択的に発光させることにより、さらに、発光させる光の光量を調整することによりフルカラー表示を行う。
比較色表示制御部36は、液晶表示パネル31が備える画素312に比較色を発光させる映像信号を送り、比較色のいわゆるベタ画像を液晶表示パネル31に表示させる。
【0039】
画像取得制御部56は、撮像ユニット5を制御して、撮像カメラ51によって、被着弾面32aの部分の画像を取得する。画像を取得する被着弾面32aの部分は、透明な着弾パネル32を介して液晶表示パネル31の表示領域311に表示された比較色が視認されることで比較色の像が取得できると共に、被着弾面32a上に配置されて固化した機能液である機能液描画物91(図6参照)の像が取得できる、部分である。撮像カメラ51によって取得される、図4に示したような画像を、計測画像81と表記する。
図4は、計測画像を示す模式図であり、図4(a)は、計測画像の全容を示す模式図であり、図4(b)は、計測画像の画素を示す模式図である。
計測画像81における機能液描画物91の像を、機能液画像83と表記し、比較色の像を、比較色画像84と表記する。機能液画像83が描画部画像に相当する。機能液描画物91が、描画部に相当する。
【0040】
描画色解析部76は、計測画像81の画像情報から、機能液画像83の色調の情報である機能液色調情報831、及び比較色画像84の色調の情報である比較色部色調情報841を取得する。描画色解析部76が、描画色解析手段に相当する。機能液色調情報831が、描画部色調情報に相当する。
図4(b)に示すように、計測画像81を構成する画素810は、赤色副画素810Rと、緑色副画素810Gと、青色副画素810Bとを有している。それぞれの副画素が、例えば256階調のいずれかの階調であり、当該階調に対応する赤色、緑色、又は青色を有しており、赤色副画素810Rの赤色と、緑色副画素810Gの緑色と、青色副画素810Bの青色とが合成された色が、画素810が表示する色となる。
【0041】
図4(b)に示した計測画像81の画素は、計測画像81が、表示装置72に表示されたときの画素810を示している。表示装置72が備える画素721は、赤色副画素721Rと、緑色副画素721Gと、青色副画素721Bとを有している。赤色副画素721Rと、緑色副画素721Gと、青色副画素721Bとは、格子状に配列している。図4(b)に示した赤色副画素721Rと、緑色副画素721Gと、青色副画素721Bとの配列は、格子の縦列が全て同色の赤色副画素721R、緑色副画素721G、又は青色副画素721Bになるストライプ配列である。計測画像81の赤色副画素810Rは表示装置72の赤色副画素721Rに、緑色副画素810Gは緑色副画素721Gに、青色副画素810Bは青色副画素721Bに、それぞれ表示されている。
【0042】
機能液画像83を構成する画素を機能液画素833、比較色画像84を構成する画素を比較色画素843と表記する。機能液画素833は、赤色副画素833Rと、緑色副画素833Gと、青色副画素833Bとを有している。比較色画素843は、赤色副画素843Rと、緑色副画素843Gと、青色副画素843Bとを有している。
機能液画像83と比較色画像84との境界は必ずしも明確ではなく、境界部分には、機能液画素833及び比較色画素843とは異なる色調の境界画素851が存在する可能性が高い。境界画素851は、赤色副画素851Rと、緑色副画素851Gと、青色副画素851Bとを有している。
機能液色調情報831は、例えば、赤色副画素833Rの階調の数値と、緑色副画素833Gの階調の数値と、青色副画素833Bの階調の数値とで表記される。比較色部色調情報841は、例えば、赤色副画素843Rの階調の数値と、緑色副画素843Gの階調の数値と、青色副画素843Bの階調の数値とで表記される。
【0043】
描画色判定部77は、機能液色調情報831と、比較色部色調情報841とを比較して、差異の有無を判定する。描画色判定部77が、描画色判定手段に相当する。
より詳細には、図4(a)に示した矢印aのように走査して、画素810の色調情報を比較してゆくと、機能液画像83の色調と比較色画像84の色調とが異なる場合には、隣り合う画素810どうしで色調情報の数値が異なる画素810が存在する。機能液画像83の色調と比較色画像84の色調とが同じである場合には、撮像カメラ51の撮像素子におけるフォトダイオードなどの入出力特性のばらつきがないものとすると、画素810の色調情報の値は全ての画素810において同じになり、機能液画像83と比較色画像84との境界が分別できなくなる。撮像カメラ51の撮像素子におけるフォトダイオードなどの入出力特性のばらつきが、256階調の1階調を超えない範囲であれば、16777216色(256の三乗)の色を分別することができる。この場合に、256階調の1階調の分解能で、機能液色調情報831と、比較色部色調情報841との違いの有無を検出し、判定することができる。
【0044】
比較色調整部78は、計測ステージ3の液晶表示パネル31に表示する比較色の色調を調整する。描画色判定部77が、機能液色調情報831と、比較色部色調情報841とを比較して、差異が有ると判定した場合には、比較色調整部78は、比較色部色調情報841を機能液色調情報831に近づけるように、比較色の色調を調整する。比較色調整部78が、比較色調整手段に相当する。
上述したように、比較色表示制御部36は、計測ステージ3の液晶表示パネル31に比較色を表示させる映像信号を送り、当該映像信号によって規定される色調の比較色を液晶表示パネル31に表示させる。液晶表示パネル31が備えるひとつの画素312を構成する赤色副画素312R、緑色副画素312G、及び青色副画素312Bのいずれか一つ又はそれらの組み合わせに光を選択的に発光させることにより、さらに、発光させる光の光量を調整することによりフルカラー表示を行う。
比較色調整部78は、比較色表示制御部36が液晶表示パネル31に送る映像信号における赤色副画素312Rの階調を規定する信号と、緑色副画素312Gの階調を規定する信号と、青色副画素312Bの階調を規定する信号と、を調整する。
【0045】
統括制御部66は、上述した各部を統括制御して、描画色の計測を実施する。制御装置6は、ROM63やハードディスク64に記憶されたプログラムに従って、CPU61が各種演算処理を行うことで、上述した各部の各種動作を実行する。
【0046】
<描画色計測工程>
次に、色計測装置1を用いて、機能液を用いて形成される描画物の色調を計測する描画色計測工程について、図5及び図6を参照して説明する。図5は、描画色計測工程の各工程を示すフローチャートである。図6は、描画色計測工程の途中の工程における計測ステージの状態を示す説明図である。
【0047】
図5のステップS21では、ヘッドユニット2を用いて、計測ステージ3に機能液を配置する。最初に、移動機構4によって計測ステージ3を移動させて、液晶表示パネル31の表示領域311を、液滴吐出ヘッド21に臨む位置に位置させる。次に、液滴吐出ヘッド21から機能液を液滴として吐出して、液晶表示パネル31を覆っている着弾パネル32の被着弾面32aに着弾させる。これにより、表示領域311に重なる位置に機能液を配置する。配置された機能液が固化して、図6(a)に示すように、機能液による描画物である機能液描画物91が形成される。描画色計測工程は、当該機能液描画物91の色を計測することで、機能液の描画色を計測する工程である。
【0048】
次に、図5のステップS22では、表示領域311に比較色を表示させる。統括制御部66が比較色表示制御部36に制御信号を送り、比較色表示制御部36が液晶表示パネル31の表示領域311に比較色を表示させる。図6(b)に示すように、機能液描画物91の周囲が比較色となる。
【0049】
次に、図5のステップS23では、計測画像81を取得する。最初に、移動機構4によって計測ステージ3を移動させて、表示領域311上に形成された機能液描画物91を、撮像ユニット5の撮像カメラ51の撮像領域に入る位置に位置させる。次に、撮像カメラ51によって、機能液描画物91を含む表示領域311の一部分の画像を撮影することで、図4に示したような機能液画像83、及び比較色画像84を有する計測画像81を取得する。上述したように、機能液画像83は機能液描画物91の画像であり、比較色画像84は、比較色を表示した表示領域311の画像である。
【0050】
次に、図5のステップS24では、計測画像81から色調情報を取得する。上述したように、描画色解析部76が、計測画像81の画像情報から、機能液画像83の色調の情報である機能液色調情報831、及び比較色画像84の色調の情報である比較色部色調情報841を取得する。
【0051】
次に、ステップS25では、機能液色調情報831と比較色部色調情報841とで差異があるか否かを判定する。上述したように、描画色判定部77が、機能液色調情報831と、比較色部色調情報841とを比較して、差異の有無を判定する。より詳細には、図4(a)に示した矢印aのように走査して、画素810の色調情報を比較して、隣り合う画素810どうしで色調情報の数値が異なる画素810が存在するか否かで、機能液画像83の色調と比較色画像84の色調とが異なるか否かを判定する。
比較色画像84の色調が機能液画像83の色調とは異なっていると判定された場合(ステップS25でYES)には、ステップS26に進む。比較色画像84の色調が機能液画像83の色調と略同一であると判定された場合(ステップS25でNO)には、ステップS27に進む。
【0052】
ステップS25の次に、ステップS26では、比較色の色調を調整する。上述したように、比較色調整部78が、比較色表示制御部36が液晶表示パネル31に送る映像信号における赤色副画素312Rの階調を規定する信号と、緑色副画素312Gの階調を規定する信号と、青色副画素312Bの階調を規定する信号と、を調整することで、比較色部色調情報841を機能液色調情報831に近づけるように、比較色の色調を調整する。
ステップS26の次には、ステップS22に進み、ステップS22からステップS25を繰り返す。なお、ステップS22は、ステップS21より先に実施してもよいが、ステップS22をステップS21より先に実施した場合でも、ステップS26からステップS22の比較色を表示させる工程に戻り、ステップS21の機能液を配置する工程は再度実施することなく、ステップS22からステップS23に進む。
【0053】
ステップS25の次に、ステップS27では、色調情報を出力する。ステップS25において比較色画像84の色調が機能液画像83の色調と略同一であると判定される場合は、比較色の色調が、機能液描画物91の色調と略一致した場合である。この場合、図6(c)に示したように、機能液描画物91と背景の比較色との境目が視認し難くなることで、計測画像81においては、比較色画像84と機能液画像83との境界が不明確になる。
色調情報の出力は、例えば表示装置72に、比較色画像84の色調が機能液画像83の色調と略同等と判定された比較色の色調情報を表示することで実施する。比較色の色調情報は、当該比較色を表示するために液晶表示パネル31に送る映像信号における赤色副画素312Rの階調を規定する値と、緑色副画素312Gの階調を規定する値と、青色副画素312Bの階調を規定する値と、である。
ステップS27を終了して、機能液を用いて形成される描画物の色調を計測する描画色計測工程を終了する。
【0054】
以下、実施形態による効果を記載する。本実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1)比較色が表示された表示領域311の比較色画像84及び機能液描画物91の機能液画像83を含む計測画像81の画像情報から、機能液色調情報831及び比較色部色調情報841を取得し、機能液色調情報831と比較色部色調情報841とを比較することで、比較色と機能液描画物91の色とを比較している。比較色と機能液描画物91とを同じ撮像カメラ51で撮影するため、単純に機能液色調情報831と比較色部色調情報841とを比較するだけで、比較色が機能液描画物91の色と同じか否かを判定することができる。
【0055】
(2)液晶表示パネル31に比較色を表示し、比較色部色調情報841を機能液色調情報831に近づけることで、機能液描画物91の色を計測している。比較色は、液晶表示パネル31に送る信号を変えるだけで容易に変えることができるため、機能液描画物91の色と略同じ色調の比較色を容易に形成して、機能液描画物91の色を計測することができる。
【0056】
(3)機能液色調情報831と比較色部色調情報841とを比較することで、比較色と機能液描画物91の色とを比較し、比較色を調整して機能液描画物91の色に近づけることによって、機能液描画物91の色を計測している。これにより、撮像ユニット5の撮像カメラ51と、比較色を表示する計測ステージ3の液晶表示パネル31とを用いて、光スペクトルアナライザーや分光光度計などを用いることなく、機能液描画物91の色を計測することができる。
【0057】
(4)機能液色調情報831と比較色部色調情報841とを比較することで、比較色と機能液描画物91の色とを比較し、比較色を調整して機能液描画物91の色に近づけることによって、機能液描画物91の色を計測している。これにより、光スペクトルアナライザーや分光光度計などを用いる場合のように、光のスペクトル分布と人間の知覚特性との相関をとることを必要とせずに、機能液描画物91の色を計測することができる。
【0058】
以上、添付図面を参照しながら好適な実施形態について説明したが、好適な実施形態は、前記実施形態に限らない。実施形態は、要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論であり、以下のように実施することもできる。
【0059】
(変形例1)前記実施形態においては、色計測装置1は液滴吐出ヘッド21を備え、液滴吐出ヘッド21から機能液を液滴として吐出して着弾パネル32に着弾させることによって、計測ステージ3に機能液を配置していたが、色計測装置が液滴吐出ヘッドを備えることは必須ではない。配置するための他の装置を用いてもよいし、手作業で配置する構成であってもよい。ただし、描画色を計測する際も、描画を実施する際に用いる描画装置における液状体の描画方法(配置方法)と略同等の描画方法を用いて、液状体を配置することが好ましい。
【0060】
(変形例2)前記実施形態においては、比較色を表示する液晶表示パネル31は、赤色と緑色と青色との3色の組み合わせで色を形成する構成であったが、色を形成する基の色が3色であることは必須ではない。比較色表示手段において色を形成する基の色は、3色に他の1色加えた4色や、3色にそれぞれの補色を加えた6色などであってもよい。一般的に、色を形成する基の色を多くすることで、表示できる色の種類を多くすることができる。
【0061】
(変形例3)前記実施形態においては、比較色を表示する液晶表示パネル31は、副画素の配列が、格子の縦列が全て同色の赤色副画素312R、緑色副画素312G、又は青色副画素312Bになるストライプ配列であったが、比較色表示手段における基の色の配列はストライプ配列に限らない。例えば、3色の場合、縦横の直線上に並んだ任意の3つの副画素が3色となる配列であるモザイク配列や、3色の場合、任意の隣接する3つの画素色となるデルタ配列などであってもよい。
【0062】
(変形例4)前記実施形態においては、撮像カメラ51によって取得される計測画像81は、赤色副画素810Rと緑色副画素810Gと青色副画素810Bとの3色の組み合わせで色を形成する構成であったが、色計測画像において色を形成する画素の色が3色であることは必須ではない。色計測画像において色を形成する画素の色は、3色に他の1色加えた4色や、3色にそれぞれの補色を加えた6色などであってもよい。一般的に、色を形成する画素の色を多くすることで、表現できる色の種類を多くすることができる。
【0063】
(変形例5)前記実施形態においては、撮像カメラ51によって取得される計測画像81は、副画素の配列が、格子の縦列が全て同色の赤色副画素810R、緑色副画素810G、又は青色副画素810Bになるストライプ配列であったが、色計測画像における画素の色の配列はストライプ配列に限らない。例えば、3色の場合、縦横の直線上に並んだ任意の3つの副画素が3色となる配列であるモザイク配列や、3色の場合、任意の隣接する3つの画素色となるデルタ配列などであってもよい。
【0064】
(変形例6)前記実施形態においては、色計測装置1は比較色を表示する液晶表示パネル31を備えていたが、比較色表示手段が液晶表示装置であることは必須ではない。比較色表示手段は、有機EL装置やプラズマディスプレイ装置などあってもよい。比較色表示手段は、画像の色を画素単位で調整しやすいことから、点光源アレイであることが好ましい。
【0065】
(変形例7)前記実施形態においては、色調を測定する機能液描画物91は、1種類の機能液を配置して形成したものであったが、描画物を形成する液状体が1種類であることは必須ではない。描画物は、色が互いに異なる複数の液状体で構成されるものであってもよい。液状体配置手段が複数種類の液状体を色表示部上に配置し、配置された複数種類の液状体が配置された位置において混合されて描画物が形成される構成であってもよい。
【0066】
(変形例8)前記実施形態においては、撮像カメラ51は、固体撮像素子を用いる一般的な撮像カメラであったが、より厳密な色の計測を可能にするためには、画像取得手段における撮像対象の色を描画部色調情報又は比較色部色調情報に変調する伝達関数と、人間の色知覚特性との相関を求め、伝達関数を色知覚特性に近いものにすることが好ましい。
【0067】
(変形例9)前記実施形態においては、色計測装置1は比較色を表示する液晶表示パネル31と、計測画像81を取得する撮像カメラ51と、を備えており、液晶表示パネル31は一般的な液晶表示装置であり、撮像カメラ51は、固体撮像素子を用いる一般的な撮像カメラであった。知られているように、液晶表示装置が表示する色は、駆動周波数の周期で変動しており、人間では視認できないちらつきが存在する。撮像装置は、シャッター速度で規定される受光時間の間に受光した光で像を形成する。より正確な計測を実施するためには、比較色表示手段の駆動周波数に対して、画像取得手段のシャッター速度が充分に遅い、比較色表示手段及び画像取得手段を用いることが好ましい。
【符号の説明】
【0068】
1…色計測装置、2…ヘッドユニット、3…計測ステージ、4…移動機構、5…撮像ユニット、6…制御装置、21…液滴吐出ヘッド、26…液滴吐出制御部、31…液晶表示パネル、32…着弾パネル、32a…被着弾面、36…比較色表示制御部、41…X軸移動機構、42…Y軸移動機構、46…ステージ移動制御部、51…撮像カメラ、56…画像取得制御部、66…統括制御部、71…入力装置、72…表示装置、76…描画色解析部、77…描画色判定部、78…比較色調整部、81…計測画像、83…機能液画像、84…比較色画像、91…機能液描画物、311…表示領域、312…画素、312B…青色副画素、312G…緑色副画素、312R…赤色副画素、831…機能液色調情報、833…機能液画素、833B…青色副画素、833G…緑色副画素、833R…赤色副画素、841…比較色部色調情報、843…比較色画素、843B…青色副画素、843G…緑色副画素、843R…赤色副画素。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
描画媒体上に液状体が配設され、当該液状体が固化して形成される描画物の色を計測する描画色計測装置であって、
色表示部を備え、前記色表示部に比較色を表示する比較色表示手段と、
前記色表示部に前記液状体を配置する液状体配置手段と、
前記液状体が配置されると共に前記比較色が表示された状態の前記色表示部における、前記比較色が表示されている部分及び前記液状体が配置されて固化した描画部を含む範囲の色計測画像を取得可能な画像取得手段と、
前記色計測画像における前記描画部の描画部画像を解析して描画部色調情報を、前記比較色が表示されている部分の比較色画像を解析して比較色部色調情報を、取得する描画色解析手段と、
前記描画部色調情報と、前記比較色部色調情報とから、前記描画部の描画色と前記比較色との差異の有無を判定する描画色判定手段と、
前記比較色表示手段が表示する前記比較色を調整することによって、前記比較色部色調情報を前記描画部色調情報に近づける比較色調整手段と、を備えることを特徴とする描画色計測装置。
【請求項2】
前記比較色表示手段は点光源アレイを備えることを特徴とする、請求項1に記載の描画色計測装置。
【請求項3】
前記比較色表示手段は液晶表示装置を備えることを特徴とする、請求項1又は2に記載の描画色計測装置。
【請求項4】
前記比較色調整手段は、前記比較色表示手段の画素の色調を調整することによって、前記比較色部色調情報を、前記描画部色調情報に近づけることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の描画色計測装置。
【請求項5】
前記画像取得手段は、半導体撮像素子を備えることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の描画色計測装置。
【請求項6】
前記描画色解析手段が取得する前記描画部色調情報及び前記比較色部色調情報は、前記描画部画像又は前記比較色画像を構成する画素の色調情報であることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の描画色計測装置。
【請求項7】
描画媒体上に液状体が配設され、当該液状体が固化して形成される描画物の色を計測する描画色計測方法であって、
色表示部に比較色を表示する比較色表示工程と、
前記色表示部に表示された前記比較色と少なくとも一部が重なる位置に前記液状体を配置する液状体配置工程と、
前記液状体が配置されると共に前記比較色が表示された状態の前記色表示部における、前記比較色が表示されている部分及び前記液状体が配置されて固化した描画部を含む範囲の色計測画像を取得する画像取得工程と、
前記色計測画像における前記描画部の描画部画像を解析して描画部色調情報を、前記比較色が表示されている部分の比較色画像を解析して比較色部色調情報を、取得する描画色解析工程と、
前記描画部色調情報と、前記比較色部色調情報とから、前記描画部の描画色と前記比較色との差異の有無を判定する描画色判定工程と、
前記色表示部に表示された前記比較色を調整することによって、前記比較色部色調情報を前記描画部色調情報に近づける比較色調整工程と、を有することを特徴とする描画色計測方法。
【請求項8】
前記比較色調整工程では、前記色表示部の画素の色調を調整することによって、前記比較色部色調情報を前記描画部色調情報に近づけることを特徴とする、請求項7に記載の描画色計測方法。
【請求項9】
前記描画色解析工程において取得する前記描画部色調情報と、前記比較色部色調情報とは、前記描画部画像又は前記比較色画像を構成する画素の色調情報であることを特徴とする、請求項7又は8に記載の描画色計測方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−174717(P2011−174717A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−36939(P2010−36939)
【出願日】平成22年2月23日(2010.2.23)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】