説明

描画装置および描画処理プログラム、画像出力装置

【課題】一時記憶部を効率よく活用した描画処理を行うことができる描画装置を提供する。
【解決手段】描画制御部15は、ページ編集指示が与えられている場合、そのページ編集指示に従って各ページの描画命令をページ単位で描画処理部11または描画処理部12に割り当てて描画処理を行わせる。例えばページ編集指示として両面出力が指示されている場合、表面は共通の文書形式、裏面は表面とは異なる共通の文書形式の場合がある。奇数ページの描画命令を描画処理部11に割り当て、偶数ページの描画命令を描画処理部12に割り当てると、それぞれが共通の文書形式のページを描画処理することになり、一時記憶部13,14への1以上の描画命令とその描画命令による描画結果との登録と、その描画結果の利用が行われることになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、描画装置および描画処理プログラム、画像出力装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、描画命令に従って描画処理を行い、画像を生成している。近年では、そのような描画処理を行う手段(描画処理部)を複数設けて、1つの場合に比べて高速化することも行われている。このような複数の描画処理部を設けた構成では、例えばページ単位でそれぞれの描画処理部に描画処理を割り当て、処理が終了した描画処理部へ次のページの描画処理を割り当ててゆく。
【0003】
また、複数のページの画像を描画する場合に、類似した描画命令が与えられることがある。そのような場合に一連の描画命令とその一連の描画命令に従って描画処理を行った結果とを対応づけて記憶しておき、類似した一連の描画命令を受け取った場合に対応する描画結果を読み出して使用する、いわゆるキャッシュの技術も用いられている。このキャッシュ技術により、すべて描画命令に従って描画処理を行った場合よりも処理時間を短縮している。
【0004】
複数の描画処理部を有し、キャッシュ技術を併用するものもある。その場合には、それぞれの描画処理部に対応して一時記憶部が設けられており、それぞれの描画処理部が独立してキャッシュ制御を行っている。そのため、規則性のあるページ順で描画命令が与えられ、1つの描画処理部に類似した描画命令を含むページが割り当てられると、一時記憶部への登録とその利用が行われる。しかし、それぞれの描画処理部へのページの配分が乱れると、一時記憶部に記憶されている描画結果が利用されないばかりか、一時記憶部への登録も行われなくなる。
【0005】
一例として、2つの描画処理部が設けられており、奇数ページが類似し、偶数ページが類似する複数ページの画像を描画する場合、一方の描画処理部が1ページ目、他方の描画処理部が2ページ目の描画を行い、1ページ目の描画が先に終了すれば、一方の描画処理部は1ページ目と類似した3ページ目を処理し、類似した1以上の描画命令と描画結果が一時記憶部に記憶され、その後のページの処理に利用される。しかし、一方の描画処理部が1ページ目、他方の描画処理部が2ページ目の描画を行い、2ページ目の描画が先に終了した場合には、他方の描画処理部が3ページ目の描画処理を行い、一方の描画処理部が4ページ目の描画処理を行うことになり、それぞれの描画処理部は類似するページを処理していないので一時記憶部には記憶されず、以降の処理で描画結果が利用されることはない。
【0006】
例えば特許文献1では、ある描画処理部に対応する一時記憶部に1以上の描画命令が記憶されていない場合、別の描画処理部に対応する一時記憶部を検索し、そちらに存在していれば対応づけられている描画結果を利用している。これにより、他の一時記憶部を検索しない場合に比べて一時記憶部に記憶されている描画結果の利用効率が向上し、描画速度が速くなる。しかし、上述の例で説明した一時記憶部に記憶されない場合については回避されない。
【0007】
また、例えば特許文献2では一時記憶部を複数の描画処理部によって共有し、いずれの描画処理部から登録された1以上の描画命令と描画結果の対についても、いずれの描画処理部からでも読み出して使用し、描画処理を行う構成となっている。なお、この特許文献2ではフォームデータについて記憶させる指示を受けて一時記憶部に記憶するものであり、上述のように類似する1以上の描画命令について描画する場合に一時記憶部に記憶するものとは異なる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2000−172725号公報
【特許文献2】特開2000−335022号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、一時記憶部を効率よく活用した描画処理を行うことができる描画装置および描画処理プログラムと、そのような描画装置を用いた画像出力装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願請求項1に記載の発明は、1以上の描画命令と該1以上の描画命令による描画結果を対応づけて記憶する一時記憶手段と、描画命令に従って描画処理を行うとともに、連続して描画処理を行ったページで類似した1以上の描画命令が存在する場合に前記一時記憶手段に当該1以上の描画命令と描画結果を対応づけて記憶させ、また、描画する1以上の描画命令に対応づけられた描画結果が前記一時記憶手段に記憶されている場合に該1以上の描画命令に対応づけられている描画結果を読み出して使用する複数の描画処理手段と、与えられた描画命令を与えられたページ編集指示に従っていずれかの描画処理手段に対して割り当てて描画処理を行わせる制御を行う描画制御手段を有することを特徴とする描画装置である。
【0011】
本願請求項2に記載の発明は、本願請求項1に記載の発明における前記描画制御手段が、前記ページ編集指示として両面出力が指示された場合に、奇数ページと偶数ページを分けて複数の前記描画処理手段に割り当てることを特徴とする描画装置である。
【0012】
本願請求項3に記載の発明は、本願請求項1に記載の発明における前記描画制御手段が、前記ページ編集指示としてNページの集約出力が指示された場合に、Nページごとに複数の前記描画処理手段に割り当てることを特徴とする描画装置である。
【0013】
本願請求項4に記載の発明は、本願請求項1に記載の発明における前記描画制御手段が、前記ページ編集指示として小冊子出力が指示された場合に、見開きとなる2ページを単位として複数の前記描画処理手段に割り当てることを特徴とする描画装置である。
【0014】
本願請求項5に記載の発明は、コンピュータに、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の描画装置の機能を実行させるものであることを特徴とする描画処理プログラムである。
【0015】
本願請求項6に記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の描画装置による描画結果を受け取って前記ページ編集指示に従ってページ単位の編集処理を行う編集手段と、該編集手段で編集された画像を出力する出力手段を有することを特徴とする画像出力装置である。
【発明の効果】
【0016】
本願請求項1に記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比べて、ページ編集指示に従って一時記憶部を効率よく活用した描画処理を行うことができるという効果がある。
【0017】
本願請求項2に記載の発明によれば、ページ編集指示として両面出力が指示された場合に、本構成を有しない場合に比べて一時記憶部を効率よく活用した描画処理を行うことができる。
【0018】
本願請求項3に記載の発明によれば、ページ編集指示としてNページの集約出力が指示された場合に、本構成を有しない場合に比べて一時記憶部を効率よく活用した描画処理を行うことができる。
【0019】
本願請求項4に記載の発明によれば、ページ編集指示として小冊子出力が指示された場合に、本構成を有しない場合に比べて一時記憶部を効率よく活用した描画処理を行うことができる。
【0020】
本願請求項5に記載の発明によれば、本願請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の発明の効果を得ることができる。
【0021】
本願請求項6に記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比べて、高速に画像を出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の描画装置の実施の一形態を示す構成図である。
【図2】ページ編集指示として両面出力が指示された場合の描画命令の割り当ての一例の説明図である。
【図3】ページ編集指示として両面出力が指示された場合の描画命令の割り当て処理の一例を示す流れ図である。
【図4】ページ編集指示としてNページの集約出力が指示された場合の描画命令の割り当ての一例の説明図である。
【図5】ページ編集指示としてNページの集約出力が指示された場合の描画命令の割り当て処理の一例を示す流れ図である。
【図6】ページ編集指示として小冊子出力が指示された場合の描画命令の割り当ての一例の説明図である。
【図7】ページ編集指示として小冊子出力が指示された場合の描画命令の割り当て処理の一例を示す流れ図である。
【図8】本発明の画像出力装置の実施の一形態を示す構成図である。
【図9】本発明の画像出力装置の実施の一形態を含むシステムの一例を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、本発明の描画装置の実施の一形態を示す構成図である。図中、11,12は描画処理部、13,14は一時記憶部、15は描画制御部である。与えられる一連の描画命令は、1ページ以上の画像を描画するものである。与えられる描画命令には、両面出力、Nページの集約出力、小冊子出力など、種々のページ編集指示が付加される場合がある。
【0024】
図1に示した例では、描画処理部を2つ設けた例を示している。2つの描画処理部を描画処理部11,描画処理部12としている。描画処理部は3以上でもよく、数は制限されない。
【0025】
それぞれの描画処理部11,12は、描画制御部15の制御のもとで、割り当てられたページの描画命令に従って描画処理を行う。また、連続して描画処理を行ったページで類似した1以上の描画命令が存在する場合に、その1以上の描画命令と、その1以上の描画命令による描画結果とを対応付け、一時記憶部(この例では描画処理部11は一時記憶部13、描画処理部12は一時記憶部14)に記憶させる。さらに、一時記憶部(一時記憶部13または一時記憶部14)に1以上の描画命令に対応づけられて描画結果が記憶されており、受け取った描画命令中に、記憶されている1以上の描画命令が含まれている場合に、その1以上の描画命令に対応づけられている描画結果を読み出して、受け取った描画命令中の当該1以上の描画命令による描画結果として使用する。
【0026】
図1に示す例では、それぞれ描画処理部11,12に対応して一時記憶部13,14が設けられている。一時記憶部13,14は、1以上の描画命令と、その1以上の描画命令による描画結果を対応づけて記憶する。なお、新たに1以上の描画命令と描画結果を記憶する際に空きがない場合には、古い順や使用頻度が低い順など、従来から用いられている手法を用いて1以上の描画命令と描画結果を削除し、新たに1以上の描画命令と描画結果を記憶するとよい。この例では一時記憶部をそれぞれの描画処理部に対応して設けているが、一時記憶部を共有する構成であってもよい。
【0027】
描画制御部15は、与えられた描画命令をページ単位で描画処理部11または描画処理部12に割り当てて描画処理を行わせる。描画命令を描画処理部11,12に割り当てる際には、基本的には、描画処理が終了した描画処理部に対して次のページの描画命令を割り当て、あるいは描画処理部における描画処理の進行を既存の手法により予測して各ページの描画命令を割り当ててゆけばよい。しかし、ページ編集指示が与えられている場合には、そのページ編集指示に従って各ページの描画命令の割り当てを行う。
【0028】
以下、いくつかのページ編集指示における描画命令の割り当ての処理について説明する。図2は、ページ編集指示として両面出力が指示された場合の描画命令の割り当ての一例の説明図である。ページ編集指示として両面出力が指示された場合、表面と裏面とで文書形式を異ならせる場合がある。例えばチラシ、請求書、健康診断書など、種々の文書において、表面には宛名や総合的な情報が記載され、裏面には詳細な情報が記載されている、などといった場合が考えられる。このような場合、表面に記載される情報はそれぞれ異なるものの、その文書形式は統一されており、また、裏面についても記載される情報はそれぞれ異なっても、その文書形式は統一されている場合がある。図2(A)に示した例では、表面には「○○様」と宛名を入れた上で情報の記載がある。また、裏面には表形式での情報の記載がある。記載される宛名や情報は変更されるものの、表面の文書形式は統一され、また裏面も文書形式は統一されていることが推測される。
【0029】
このような推測から、ページ編集指示として両面出力が指示された場合には、図2(B)に示すように、与えられた描画命令のうち、奇数ページの描画命令を1つの描画処理部(この例では描画処理部11)に割り当て、偶数ページの描画命令を別の描画処理部(この例では描画処理部12)に割り当てるとよい。図2(B)では、描画命令をページごとに連番で示し、描画処理部11に1,3,…ページの描画命令を、描画処理部12に2,4,…ページの描画命令を割り当てた例を示している。
【0030】
このように各ページの描画命令を各描画処理部に割り当てると、例えば描画処理部11に割り当てられる奇数ページの描画命令は、統一された文書形式の画像を描画することになる。そのため、連続して描画処理を行うページについて類似した1以上の描画命令が存在する確率が、奇数ページと偶数ページの描画命令が割り当てられる場合に比べて高くなる。この連続して描画処理を行うページに存在している1以上の描画命令について、その描画結果とともに一時記憶部13に記憶させる。そして、後続の奇数ページの描画命令による描画処理の際に描画結果を読み出して利用すればよい。一時記憶部13に記憶されている描画結果を利用すると、対応する1以上の描画命令に従って描画処理を行わなくてもよくなり、各描画命令に従って描画処理を行う場合に比べて処理時間が短縮される。例えば描画処理部12に割り当てられる偶数ページの描画命令についても、連続して描画処理を行うページについて類似した1以上の描画命令が存在する確率が、奇数ページと偶数ページの描画命令が割り当てられる場合に比べて高くなり、一時記憶部13に描画結果を記憶しておいて利用する確率も高くなる。
【0031】
例えば描画処理部11に奇数ページの描画命令に続けて偶数ページの描画命令を割り当て、あるいは描画処理部12に偶数ページの描画命令に続けて奇数ページの描画命令を割り当てた場合には、連続して描画処理を行うページの文書形式が異なることから一時記憶部13または一時記憶部14への1以上の描画命令と描画結果の登録が行われず、従って後続のページの描画命令において描画結果が利用されることはない。奇数ページを連続して1つの描画処理部に割り当て、偶数ページを連続して別の描画処理部に割り当てることにより、それぞれの描画処理部が統一された文書形式を扱うことにより、1以上の描画命令と描画結果が一時記憶部に登録され、また、描画処理の際に一時記憶部に記憶されている描画結果が利用されることになる。
【0032】
図3は、ページ編集指示として両面出力が指示された場合の描画命令の割り当て処理の一例を示す流れ図である。S41においてページ編集指示を取得し、S42において、S41で取得したページ編集指示が両面出力を指示しているか否かを判定する。ページ編集指示がない場合や、取得したページ編集指示が両面出力でない場合には、従来から行われている割り当て処理、あるいは取得した両面出力以外のページ編集指示に対応した割り当て処理を行う。
【0033】
取得したページ編集指示が両面出力を指示している場合には、S43において、描画処理部11または描画処理部12から描画命令の割り当て要求を受け付けて、S44において、要求してきた描画処理部が描画処理部11であるか否かを判定する。この例では描画処理部11で奇数ページ、描画処理部12で偶数ページの描画処理を行うものとし、描画処理部11からの割り当て要求であれば、S45において次の奇数ページの描画命令を描画処理部11に割り当てる。また、描画処理部12からの割り当て要求であれば、S46において次の偶数ページの描画命令を描画処理部12に割り当てる。
【0034】
S47において、与えられた描画命令について割り当てが終了したか否かを判定し、終了していなければS43へ戻って描画処理部11または描画処理部12からの割り当て要求を待つ。描画命令の割り当てがすべて終了したら、当該与えられた描画命令についての割り当て処理を終了する。
【0035】
このような割り当て処理によって、描画処理部11には奇数ページの描画命令が連続して割り当てられ、描画処理部12には偶数ページの描画命令が連続して割り当てられる。例えば図2(A)に示す表面のページは統一した文書形式で、裏面のページは統一した文書形式が用いられているが、表面のページと裏面のページとで異なる文書形式である場合について、奇数ページとなる表面のページの文書形式に対応する1以上の描画命令とその描画結果が一時記憶部13に記憶され、後続の奇数ページの描画処理において用いられる。また、偶数ページとなる裏面のページの文書形式に対応する1以上の描画命令とその描画結果が一時記憶部14に記憶され、後続の偶数ページの描画処理において用いられることになる。
【0036】
図4は、ページ編集指示としてNページの集約出力が指示された場合の描画命令の割り当ての一例の説明図である。ページ編集指示の一つであるNページの集約出力は、Nページの画像を1つの画像にまとめて出力することを指示するものである。一般に出力枚数を1ページずつ出力する場合に比べて減らす(1/Nにする)場合に指示される。このNページの集約出力が指示される場合には、全体としてまとまったページ数を有することがあり、その際には連続するページが類似した文書形式であることが期待される。
【0037】
図4(A)では数字がページを示しており、4ページの集約出力が指示された場合を示している。星形の位置により文書形式の異同を示しており、1,2,3,4ページが類似した文書形式であり、5,6,7,8ページが類似した文書形式である。
【0038】
このような見地から、ページ編集指示としてNページの集約出力が指示された場合は、Nページを単位としてそれぞれの描画処理部に割り当てる。すなわち、集約する連続したNページについては1つの描画処理部に割り当てる。例えば図4(B)に示した例では、各ページの描画命令を連番で示し、4ページの集約出力が指示されている場合、集約する連続した1,2,3,4ページの描画命令を描画処理部11に、5,6,7,8ページの描画命令を描画処理部12に、それぞれ割り当てた例を示している。
【0039】
このように集約する連続したNページの描画命令を単位として各描画処理部に割り当てると、例えば描画処理部11に割り当てられる1,2,3,4ページの描画命令は、類似した文書形式の画像を描画することになる。この場合、2ページ目の描画処理において1ページ目と類似した1以上の描画命令が存在していれば、その1以上の描画命令とその描画結果を一時記憶部13に記憶させ、3ページ目、4ページ目の描画処理において描画結果を利用する。例えば描画処理部12についても、割り当てられる5,6,7,8ページの描画命令は、類似した文書形式の画像を描画することになる。この場合、6ページ目の描画処理において5ページ目と類似した1以上の描画命令が存在していれば、その1以上の描画命令とその描画結果を一時記憶部14に記憶させ、7ページ目、8ページ目の描画処理において描画結果を利用する。
【0040】
例えばページの順に描画処理部11と描画処理部12に割り当てると、描画処理部11は1,3,5,7ページを、描画処理部12は2,4,6,8ページをそれぞれ描画処理することになる。この場合、描画処理部11は3ページ目の描画処理で1ページ目と類似した1以上の描画命令が存在していれば、その1以上の描画命令とその描画結果を一時記憶部13に記憶させることになるが、5ページ目以降の描画処理においてその描画結果は利用されない。また、描画処理部12は4ページ目の描画処理で2ページ目と類似した1以上の描画命令が存在していれば、その1以上の描画命令とその描画結果を一時記憶部14に記憶させることになるが、6ページ目以降の描画処理においてその描画結果は利用されない。従って、集約する連続したNページの描画命令を単位として各描画処理部に割り当てることにより、一時記憶部への登録とその利用が図られることになる。
【0041】
図5は、ページ編集指示としてNページの集約出力が指示された場合の描画命令の割り当て処理の一例を示す流れ図である。S51においてページ編集指示を取得し、S52において、S51で取得したページ編集指示がNページの集約出力を指示しているか否かを判定する。ページ編集指示がない場合や、取得したページ編集指示がNページの集約出力でない場合には、従来から行われている割り当て処理、あるいは取得したNページの集約出力以外のページ編集指示に対応した割り当て処理を行う。
【0042】
取得したページ編集指示がNページの集約出力を指示している場合には、S53において、各変数の初期化を行う。この例では描画処理部11と描画処理部12の2つを用いるものとし、描画処理部11で処理するNページ単位のカウンタB1を0とし、Nページ内のカウンタS1を1とする。また描画処理部12で処理するNページ単位のカウンタB2を1とし、Nページ内のカウンタS1を1とする。
【0043】
S54において、描画処理部11または描画処理部12から描画命令の割り当て要求を受け付けて、S55において、要求してきた描画処理部が描画処理部11であるか否かを判定する。描画処理部11からの割り当て要求であれば、S56において、(B1・N+S1)ページの描画命令を描画処理部11に割り当てる。そしてS57においてカウンタS1がNより小さいか否かを判定し、カウンタS1がNより小さければS58においてカウンタS1の値に1を加えてS64へ進む。また、カウンタS1がN以上であればS59においてカウンタB1の値に2を加えるとともにカウンタS1を1に初期化し、S64へ進む。
【0044】
S55の判定で描画処理部12からの割り当て要求であれば、S60において、(B2・N+S2)ページの描画命令を描画処理部11に割り当てる。そしてS61においてカウンタS2がNより小さいか否かを判定し、カウンタS2がNより小さければS62においてカウンタS2の値に1を加えてS64へ進む。また、カウンタS2がN以上であればS63においてカウンタB2の値に2を加えるとともにカウンタS2を1に初期化し、S64へ進む。
【0045】
S64において、与えられた描画命令について割り当てが終了したか否かを判定し、終了していなければS54へ戻って描画処理部11または描画処理部12からの割り当て要求を待つ。描画命令の割り当てがすべて終了したら、当該与えられた描画命令についての割り当て処理を終了する。
【0046】
このような割り当て処理によって、描画処理部11および描画処理部12には集約出力するNページの描画命令が連続して割り当てられる。例えば図4(A)に示す1,2,3,4ページは文書形式が揃っており、これらのページを描画処理部11で連続して描画処理することにより、上述したように一時記憶部13を用いた描画処理が行われる。また、5,6,7,8ページも文書形式が揃っており、これらのページを描画処理部12で連続して描画処理することにより、上述したように一時記憶部14を用いた描画処理が行われることになる。
【0047】
図6は、ページ編集指示として小冊子出力が指示された場合の描画命令の割り当ての一例の説明図である。図6(A)には、小冊子出力した場合の出力物の一例を示している。ページ編集指示として小冊子出力が指示された場合、出力物を中央部で折って参照することになる。この場合、見開きのページは統一した文書形式が使用される場合があり、見開きのページを単位として描画処理部に割り当てる。例えば図6(A)に示した例では1ページ目と2ページ目、3ページ目と4ページ目、5ページ目と6ページ目が見開きのページとなるので、これらの見開きのページを単位として描画処理部に割り当てるとよい。例えば描画処理部11および描画処理部12を用いる場合に、それぞれに割り当てる描画命令のページの一例を図6(B)に示している。この例では、描画処理部11には表紙および裏表紙と、3,4ページを割り当て、描画処理部12には1,2ページと5,6ページを割り当てている。なお、表紙と裏表紙はそれ自体を単位として描画処理部に割り当てるとよい。
【0048】
図7は、ページ編集指示として小冊子出力が指示された場合の描画命令の割り当て処理の一例を示す流れ図である。S71においてページ編集指示を取得し、S72において、S71で取得したページ編集指示が小冊子出力を指示しているか否かを判定する。ページ編集指示がない場合や、取得したページ編集指示が小冊子出力でない場合には、従来から行われている割り当て処理、あるいは取得した小冊子出力以外のページ編集指示に対応した割り当て処理を行う。
【0049】
取得したページ編集指示が小冊子出力を指示している場合には、S73において、表紙の有無を判定し、表紙がある場合には、S74において、表紙と裏表紙の描画命令をいずれかの描画処理部に割り当てる。ここでは描画処理部11に割り当てている。そしてS75において、処理ページを示す変数Pを1に初期化し、S81へ進む。
【0050】
S73で表紙がないと判定された場合には、1ページと見開きとなるページを描画処理部に割り当てるが、総ページ数が4で割り切れない場合には対応するページが存在しないため1ページ目を単独で描画処理部に割り当てる。まずS76において、総ページ数を算出し、S77において、総ページ数を4で割り切れるか否かを判定する。割り切れた場合には、S78において、1ページと最終ページをいずれかの描画処理部に割り当てる。ここでは描画処理部11に割り当てている。また、割り切れなかった場合には、S79において、1ページをいずれかの描画処理部に割り当てる。ここでは描画処理部11に割り当てている。いずれの場合も、S80において、処理ページを示す変数Pを2に初期化し、S81へ進む。
【0051】
S81において、描画処理部11または描画処理部12から描画命令の割り当て要求を受け付けて、S82において、変数Pが示すページと、次のページである変数Pに1を加えたページを、割り当て要求を行った描画処理部に対して割り当てる。なお、S82で2ページ分の割り当てを行う際に、次のページが存在しない場合があり、その場合には変数Pが示す1ページ分の割り当てを行う。そしてS83において、変数Pの値に2を加算する。
【0052】
S84において、与えられた描画命令について割り当てが終了したか否かを判定し、終了していなければS81へ戻って描画処理部11または描画処理部12からの割り当て要求を待つ。描画命令の割り当てがすべて終了したら、当該与えられた描画命令についての割り当て処理を終了する。
【0053】
このようにして、ページ編集指示として小冊子出力が指示された場合の描画処理部への描画命令の割り当てを行えばよい。統一した文書形式の使用が想定される見開きの2ページ分を単位として描画処理部に割り当てるので、一時記憶部13,14への登録が促進され、この文書形式が使用された他のページの描画処理において一時記憶部13,14が使用されることになる。
【0054】
ここではページ編集指示として両面出力、Nページの集約出力、小冊子出力の場合について示した。このほかにも、種々のページ編集指示について、それぞれのページ編集指示の特性に応じた各ページの描画命令の描画処理部への割り当てを行えばよい。
【0055】
図8は、本発明の画像出力装置の実施の一形態を示す構成図、図9は、本発明の画像出力装置の実施の一形態を含むシステムの一例を示す構成図である。図中、21はゲートウェイ、22は記憶部、23は描画部、24は出力制御部、31は画像処理部、32は画像出力部、33は端末である。図9に示したシステムでは、各端末33から送られてくる描画命令を画像処理部31が受け取り、画像を生成して画像出力部32に送り、画像出力部32により画像を出力する。なお、画像処理部31と画像出力部32は別体である場合に限らず、一体に構成されていてもよい。
【0056】
画像処理部31の構成の一例を図8に示している。ゲートウェイ21は、端末33など、外部から送られてくる描画命令を受け取るインタフェースである。
【0057】
記憶部22は、ゲートウェイ21で受け取った描画命令や描画部23で描画した画像を記憶する。なお、描画部23の一時記憶部13,14をこの記憶部22により構成してもかまわない。
【0058】
描画部23は、上述の本発明の描画装置の実施の一形態で説明した構成を有しており、記憶部22に記憶されている描画命令を読み出し、描画命令に従って画像を描画し、記憶部22に記憶させる。
【0059】
出力制御部24は、描画部23で描画され、記憶部22に記憶されている画像を読み出し、画像出力部32を制御してページ編集指示に従った画像の出力を行わせる。その際に、ページ編集指示に従ってページ単位で描画された画像を編集する編集手段としての機能も有している。例えば、ページ編集指示により両面出力が指示されている場合には、媒体の両面に画像が形成されるように画像出力部32を制御する。また、例えばページ編集指示によりNページの集約出力が指示されている場合には、Nページ分の画像を縮小して1つの画像に合成し、画像出力部32に出力させる。さらに、例えばページ編集指示により小冊子出力が指示されている場合についても、中央部で折って小冊子となるように各ページの縮小と合成を行い、また媒体の両面に合成した画像が形成されるように画像出力部32を制御する。もちろん、これらの組み合わせや、このほかのページ編集指示に対応した編集を行って画像出力部32から出力させる制御を行ってもよい。
【0060】
本発明の描画装置の実施の一形態で説明した描画処理部11,12および描画制御部15の機能、あるいはさらに本発明の画像出力装置の実施の一形態で説明した出力制御部24の機能を、全部あるいは部分的に、コンピュータに実行させるプログラムによって実現してもよい。その場合、そのプログラムおよびそのプログラムが用いるデータなどは、コンピュータが読み取る記憶媒体に記憶させておいてもよい。この記憶媒体は、コンピュータのハードウェア資源に備えられている図示しない読取部に対して、プログラムの記述内容に応じて、磁気、光、電気等のエネルギーの変化状態を引き起こして、それに対応する信号の形式で、読取部にプログラムの記述内容を伝達するものである。例えば、光磁気ディスク,光ディスク(CD、DVDなどを含む)、磁気ディスク,メモリ(ICカード、メモリカード、フラッシュメモリなどを含む)等である。もちろんこれらの記憶媒体は、可搬型に限られるものではない。
【0061】
これらの記憶媒体にプログラムを格納しておき、例えばコンピュータの図示しない読取部あるいは図示しないインタフェースにこれらの記憶媒体を装着してコンピュータからプログラムを読み出し、内部メモリまたは図8に示す構成では記憶部22(磁気ディスクやシリコンディスクなどを含む)に記憶し、CPUによってプログラムを実行することによって、上述の本発明の描画装置の実施の一形態または本発明の画像出力装置の実施の一形態で説明した描画処理部11,12や描画制御部15、出力制御部24の機能が全部あるいは部分的に実現される。あるいは、通信路を介してプログラムをコンピュータに転送し、コンピュータでは例えば図8に示す構成のゲートウェイ21でプログラムを受信して内部メモリまたは記憶部22に記憶し、CPUによってプログラムを実行することによって実現してもよい。
【0062】
もちろん、描画処理部11,12や描画制御部15、出力制御部24を部分的にハードウェアによって構成してもよいし、全部をハードウェアで構成してもよい。あるいは、他の機能のプログラムを含み、または他の機能のプログラムの一部として組み込まれていてもよい。また、図示しない様々な装置が含まれた構成であってもよい。
【符号の説明】
【0063】
11,12…描画処理部、13,14…一時記憶部、15…描画制御部、21…ゲートウェイ、22…記憶部、23…描画部、24…出力制御部、31…画像処理部、32…画像出力部、33…端末。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上の描画命令と該1以上の描画命令による描画結果を対応づけて記憶する一時記憶手段と、描画命令に従って描画処理を行うとともに、連続して描画処理を行ったページで類似した1以上の描画命令が存在する場合に前記一時記憶手段に当該1以上の描画命令と描画結果を対応づけて記憶させ、また、描画する1以上の描画命令に対応づけられた描画結果が前記一時記憶手段に記憶されている場合に該1以上の描画命令に対応づけられている描画結果を読み出して使用する複数の描画処理手段と、与えられた描画命令を与えられたページ編集指示に従っていずれかの描画処理手段に対して割り当てて描画処理を行わせる制御を行う描画制御手段を有することを特徴とする描画装置。
【請求項2】
前記描画制御手段は、前記ページ編集指示として両面出力が指示された場合に、奇数ページと偶数ページを分けて複数の前記描画処理手段に割り当てることを特徴とする請求項1に記載の描画装置。
【請求項3】
前記描画制御手段は、前記ページ編集指示としてNページの集約出力が指示された場合に、Nページごとに複数の前記描画処理手段に割り当てることを特徴とする請求項1に記載の描画装置。
【請求項4】
前記描画制御手段は、前記ページ編集指示として小冊子出力が指示された場合に、見開きとなる2ページを単位として複数の前記描画処理手段に割り当てることを特徴とする請求項1に記載の描画装置。
【請求項5】
コンピュータに、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の描画装置の機能を実行させるものであることを特徴とする描画処理プログラム。
【請求項6】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の描画装置による描画結果を受け取って前記ページ編集指示に従ってページ単位の編集処理を行う編集手段と、該編集手段で編集された画像を出力する出力手段を有することを特徴とする画像出力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−69035(P2013−69035A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−205870(P2011−205870)
【出願日】平成23年9月21日(2011.9.21)
【特許番号】特許第4905747号(P4905747)
【特許公報発行日】平成24年3月28日(2012.3.28)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】