説明

描画装置

【課題】描画装置本体を強固に支える脚を簡易に構成できるようにし、横からの力に対して強度があり、しかも描画装置本体の撓み方向の変位を矯正して撓みを無くすことができるようにする。
【解決手段】描画機構が支持されている描画装置本体4は、左右に配設された脚体12,14によって、床面から所定の高さに保持される。左右の脚体12,14間には、床面に対して略水平に上部梁材22と下部梁材24が架設される。梁材22,24には斜め梁材26,28が連結し、これら梁材によって脚体12,14間にトラス構造体16が形成される。上部梁材22と描画装置本体4の下面との間に高さ調整機構36が配置され、この高さ調整機構36によって描画装置本体4の下面中間部は押し上げられ、描画装置本体4の撓みが矯正されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェットプリンタ・プロッタなどの描画装置に関し、特に、大型のプリンタ・プロッタなどの描画装置の脚体構造に関する。
【背景技術】
【0002】
A1やA0の用紙対応のプリンタでは、強度の点で、プリンタ本体の重量があまり問題にならない。そのため、従来の此の種のプリンタでは、比較的簡単な構造でプリンタ本体を支えている(例えば特許文献1及び特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2001−171204号公報(第1ページ、第1図)
【特許文献2】特開2003−182119号公報(第1ページ、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
2mを越える用紙幅対応の大型のプリンタ・プロッタにおいては、装置の幅が長くなり、また装置の重量も重くなるとともに、装置本体を支える脚の間隔が非常に大きくなるため、左右の脚の間において、装置本体が撓むことが起きる。その装置本体の撓みは、特にインクジェット等の印字機構を使用した場合は、装置の性格上、非常に問題が大きく、印字精度などに重大な影響が出る恐れがある。
【0004】
装置本体の撓みを無くすために、装置本体の機体を構成する部材を太くすることが考えられるが、そのようにすると装置本体の重量が更に重くなり、また、脚にかかる負担も大きくなり脚を強固に作らなければならなくなる。しかし、装置の移動、搬送などの利便性から重たいものよりは軽い方が良いことは当然であり、その兼ね合いは非常に難しいものがある。また、通常の脚の構造でも、ある程度の、上からの荷重に対しては強い構造をもつが、横方向の力にはあまり強度がでないという問題点もある。
本発明は上記問題点を解決することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため本発明は、機体に描画機構が支持された描画装置本体と、該描画装置本体を床面から所定の高さに保持する該描画装置本体の左右に配設された脚体とを備えた描画装置において、左右の脚体間に床面に対して略水平に梁材を架設し、該梁材に斜め梁材を連結し、これら梁材によって前記脚体間にトラス構造体を形成したものである。
また本発明は、前記梁材は、左右の脚体の下部間に架設された下部梁材と左右の脚体の上部間に架設された上部梁材とからなり、該上部梁材と前記描画装置本体の下面との間に1又は複数の高さ調整機構が配置されていることを特徴とするものである。
また本発明は、前記左右の脚体を中空構造とし、該脚体内に部品またはインクタンク等の収納部を形成したものである。
また本発明は、前記トラス構造体を複数の三角形を備えた構造としたものである。
また本発明は、機体に描画機構が支持された描画装置本体と、該描画装置本体を床面から所定の高さに保持する該描画装置本体の左右に配設された脚体とを備えた描画装置において、左右の脚体間に床面に対して略水平に梁材を架設し、該梁材は、左右の脚体の下部間に架設された下部梁材と左右の脚体の上部間に架設された上部梁材とからなり、前記上部梁材と下部梁材間に斜め梁材を連結し、これら梁材によって前記脚体間に複数の三角形を備えたトラス構造体を形成し、前記上部梁材と前記描画装置本体の下面との間に複数の高さ調整機構を配置したものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明は脚体間に配設した斜め梁材によるトラス構造によって脚体の強度を高めたので、装置本体を下向き及び横方向の荷重に対して強固に支持することができるとともに、その撓みも解消できる。また左右の脚体に大きな強度が要求されないので、脚体を中空構造とすることが可能となり、脚体を部品やインクタンク等の収納などに有効利用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下に本発明の構成を添付した図面を参照して詳細に説明する。
図1において、符号2は大型のインクジェットプリンタからなる描画装置であり、描画装置本体4と、それを床面から所定の高さに保持する脚部6とから構成されている。前記装置本体4は、長尺状のY軸レール(図示省略)と、該Y軸レールに沿って移動可能なプリントヘッド(図示省略)と、用紙搬送機構と、コントロール部とからなる描画機構を有し、該描画機構は、装置本体4の機体(図示省略)に直接または間接的に支持されている。前記描画装置本体4の描画機構はカバー8によって覆われ、前記用紙搬送機構の構成要素の一つであるプラテン10の一部が描画装置2の正面側に露出している。
【0008】
脚部6は、一対の脚体12,14と、脚体12,14間に設けられたトラス構造体16とから構成されている。前記脚体12,14は、描画装置本体4の下面の長手方向の両端近傍に、床面に対して垂直に配置され、各上端が描画装置本体4の機体に固定されている。各脚体12,14の下端は、これらと一体的な足部材18,20を介して、床面上に載置されている。前記脚体12,14は、本実施形態では非中空状の鋼材により構成されている。
【0009】
前記トラス構造体16は、床面及び描画装置本体4の下面に対して、水平に延び、両端が前記脚体12,14の上部に架設固定された鉄骨材とこれと一体的な板材とからなる上部梁材22と、床面及び描画装置本体4の下面に対して、水平に延び、両端が前記脚体12,14の下部に架設固定された鉄骨材とこれと一体的な板材からなる下部梁材24と、一対の斜め梁材26,28とを主たる構成要素としている。斜め梁材26,28の各一端は、連結具30,32を介して、下部梁材24の両端に角度を有して固定されている。各他端は、連結具34を介して、上部梁材22の中間部に角度を有して固定されている。
【0010】
前記上部梁材22と、前記描画装置本体4の下面の中央との間には高さ調整機構36が配置されている。高さ調整機構36は、上部梁材22に固着された板ナット38と、これに螺合するボルトとからなり、ボルトの突出量は適宜調整可能となっている。前記高さ調整機構36は、斜め梁材26,28と下部梁材24とで形成される三角形の頂部に配置されている。描画装置本体4の下面中央には、その撓みが補正された状態で、上部梁材22を支点として、高さ調整機構36の上端が圧接し、描画装置本体4の中間部を押し上げ、描画装置本体4の撓みを矯正している。
【0011】
上記した構成において、脚体12,14間のトラス構造体16により、脚部6の下方向の荷重に対する強度及び横方向の荷重に対する強度が増大する。そして脚体の中間部にて描画装置本体を下から支える構造を付加したので描画装置本体4の撓みを解消し、そして、描画装置本体4を安定的に支持することができる。尚、上部梁材22を描画装置本体4の下面に一体的に設けるようにしても良い。
【0012】
上記実施形態では、脚体12,14間に、斜め梁材26,28により、1個の三角形を形成したが、斜め梁材40,42,44,46を4本用いることで、図2に示すように、2個の三角形を形成した、より強度の大きなトラス構造体48とすることが可能である。勿論、描画装置本体4の長さに応じて、更に、斜め梁材による三角形を増加させることができる。図2において、上部梁材22には、トラス構造体48の三角形の2つの頂部に対応して、2個の高さ調整機構50,52が配設されている。
【0013】
次に、図3を参照して本発明の他の実施形態について説明する。
54,56は脚体であり、比較的薄い板金によって、断面四角の筒状に構成され、中空の内部に部品またはインクタンク等の収納部が形成されている。脚体54,56の上部は、描画装置本体4の両端に固定され、各下端は、足部材59,60を介して、床面に載置されている。前記脚体54の部品またはインクタンク等の収納部には、コントロール部のプリント基板58が格納されている。
【0014】
また、前記脚体56の部品またはインクタンク等の収納部には、出し入れ自在なキャビネット64,66が設けられ、これらにインクタンク68が格納されている。前記脚体54,56間には、トラス構造体16が配設されている。このトラス構造体16の上部梁材20と下部梁材24には、基板70やその他の所要の装置(図示省略)が取り付けられている。尚、トラス構造体16の梁材に、インク供給システムその他の装置を配設することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る描画装置の正面図である。
【図2】本発明の他の実施形態を示す正面図である。
【図3】本発明の他の実施形態を示す正面図である。
【符号の説明】
【0016】
2 描画装置
4 描画装置本体
6 脚部
8 カバー
10 プラテン
12 脚体
14 脚体
16 トラス構造体
18 足部材
20 足部材
22 上部梁材
24 下部梁材
26 斜め梁材
28 斜め梁材
30 連結具
32 連結具
34 連結具
36 高さ調整機構
38 板ナット
40 斜め梁材
42 斜め梁材
44 斜め梁材
46 斜め梁材
48 トラス構造体
50 高さ調整機構
52 高さ調整機構
54 脚体
56 脚体
58 プリント基板
59 足部材
60 足部材
62 足部材
64 キャビネット
66 キャビネット
68 インクタンク
70 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体に描画機構が支持された描画装置本体と、該描画装置本体を床面から所定の高さに保持する該描画装置本体の左右に配設された脚体とを備えた描画装置において、左右の脚体間に床面に対して略水平に梁材を架設し、該梁材に斜め梁材を連結し、これら梁材によって前記脚体間にトラス構造体を形成したことを特徴とする描画装置。
【請求項2】
前記梁材は、左右の脚体の下部間に架設された下部梁材と左右の脚体の上部間に架設された上部梁材とからなり、該上部梁材と前記描画装置本体の下面との間に1または複数の高さ調整機構が配置されていることを特徴とする請求項1に記載の描画装置。
【請求項3】
前記左右の脚体を中空構造とし、該脚体内に部品またはインクタンク等の収納部を形成したことを特徴とする請求項1に記載の描画装置。
【請求項4】
前記トラス構造体を複数の三角形を備えた構造としたことを特徴とする請求項1に記載の描画装置。
【請求項5】
機体に描画機構が支持された描画装置本体と、該描画装置本体を床面から所定の高さに保持する該描画装置本体の左右に配設された脚体とを備えた描画装置において、左右の脚体間に床面に対して略水平に梁材を架設し、該梁材は、左右の脚体の下部間に架設された下部梁材と左右の脚体の上部間に架設された上部梁材とからなり、前記上部梁材と下部梁材間に斜め梁材を連結し、これら梁材によって前記脚体間に複数の三角形を備えたトラス構造体を形成し、前記上部梁材と前記描画装置本体の下面との間に複数の高さ調整機構を配置したことを特徴とする描画装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−44116(P2006−44116A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−229873(P2004−229873)
【出願日】平成16年8月5日(2004.8.5)
【出願人】(000238566)武藤工業株式会社 (29)
【Fターム(参考)】