説明

描画装置

【課題】 操作軌跡の描画中に線分を描画させる際の操作性を向上させた描画装置を提供する。
【解決手段】 操作位置を検出する操作入力部1と、操作入力部1によって検出された操作位置に基づいて、描画データを生成する描画データ生成部2と、描画データに基づいて画面表示を行う表示制御部8により構成される。描画データ生成部2は、描画操作の開始から終了までの軌跡を示す描画データを生成する軌跡描画部3と、第1の描画操作の終了前に第2の描画操作が検出された場合に、当該第2の描画操作の開始時における第1の描画操作の操作位置に基づいて、第1端点を決定する第1端点決定部4と、第1の描画操作の終了時における第2の描画操作の操作位置に基づいて、第2端点を決定する第2端点決定部5と、第1端点及び第2端点を結ぶ線分を示す描画データを生成する線分描画部6からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、描画装置に係り、さらに詳しくは、描画操作の操作位置を検出して描画操作の軌跡を画面表示する描画装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
タッチパネル上における指などの軌跡を検出し、画面上に表示させる描画機能として、いわゆる手書き入力機能を備えた端末装置が従来から知られている。タッチパネルは、検出面としての表示画面に対する操作を検出するセンサであり、表示画面に指を接触させた際に、その操作位置を示す2次元位置情報を出力する。手書き入力では、タッチパネルの2次元位置情報に基づいて、操作開始が検出されてから操作終了が検出されるまでの描画操作の軌跡が画面上に表示される。
【0003】
この手書き入力機能を携帯電話機やPDA(Personal Digital Assistants)などの携帯情報端末に搭載すれば、フリーハンドで描いた文字や図形を描画データとして取得することができ、また、この様な描画データを手書きメモとして電子メールとして送信することもできる。特に、携帯電話機などの携帯情報端末の場合、待ち合わせ場所付近の詳細な地図や目的地までの道順を手書き入力して描画データをメール送信することにより、メール送信相手に文字情報により伝達することが難しい情報を容易に伝達することができる。ここで、目的地までの道順や図形を手書き入力する場合、フリーハンドでは直線を正確に描画させるのが容易ではないので、所望の直線を簡単に入力できることが望ましい。
【0004】
しかしながら、従来の手書き入力機能を備えた描画装置では、フリーハンドで描画している際に、所定の直線を描画させる場合、画面から指を離して操作入力を一旦終了させ、その後、所定の操作を行うことにより直線描画モードに切り替えなければならず、操作性が良くなかった。しかも、直線の描画後にフリーハンドによる操作軌跡の描画を再開させようとすると、再度、所定の操作を行うことにより軌跡描画モードに切り替えなければならなかった。
【0005】
ここで、特許文献1には、タッチパネル上の2つの位置を同時にタッチすることにより、2点を結ぶ直線を描画させる技術が提案されている。しかし、この特許文献1は、直線描画モードにおける直線の描画方法に関するものであり、フリーハンドによる操作軌跡の描画中に2点を結ぶ線分を描画させる際の操作性を向上させるものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−211992号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、操作軌跡の描画中に線分を描画させる際の操作性を向上させた描画装置を提供することを目的としている。特に、描画操作の操作位置を検出して描画操作の軌跡を画面表示している際に、2つの端点を結ぶ線分の描画を簡単に行える描画装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の本発明による描画装置は、操作位置を検出する操作位置検出手段と、上記操作位置に基づいて、描画データを生成する描画データ生成手段と、上記描画データに基づいて、画面表示を行う表示手段とを備え、上記描画データ生成手段が、描画操作の開始から終了までの軌跡を示す描画データを生成する軌跡描画手段と、第1の描画操作の終了前に第2の描画操作が検出された場合に、当該第2の描画操作の開始時における第1の描画操作の操作位置に基づいて、第1端点を決定する第1端点決定手段と、第1の描画操作の終了時における第2の描画操作の操作位置に基づいて、第2端点を決定する第2端点決定手段と、第1端点及び第2端点を結ぶ線分を示す描画データを生成する線分描画手段とを備えて構成される。
【0009】
この描画装置では、第1の描画操作の終了前に第2の描画操作が検出されれば、当該第2の描画操作の開始時における第1の描画操作の操作位置に基づいて、第1端点が決定される。そして、第1の描画操作の終了時における第2の描画操作の操作位置に基づいて、第2端点が決定され、これらの端点を結ぶ線分が描画される。この様な構成によれば、第1の描画操作による軌跡の描画中に第2の描画操作を開始させれば、描画しようとする線分の一方の端点が決定されるので、第1の描画操作を終了させることなく線分の描画モードに切り替えることができる。また、第2の描画操作よりも前に第1の描画操作を終了させることにより、描画しようとする線分の他方の端点が決定され、各端点を結ぶ線分が描画されるので、描画操作の操作位置を検出してその操作軌跡を描画している際に、2つの端点を結ぶ線分の描画を簡単に行うことができる。なお、本発明は、第1の描画操作を終了させることなく線分の描画モードに切り替えることができるので、片手の指により描画操作が行われる場合に特に有用である。
【0010】
第2の本発明による描画装置は、操作位置を検出する操作位置検出手段と、上記操作位置に基づいて、描画データを生成する描画データ生成手段と、上記描画データに基づいて、画面表示を行う表示手段とを備え、上記描画データ生成手段が、描画操作の開始から終了までの軌跡を示す描画データを生成する軌跡描画手段と、第1の描画操作の終了前に第2の描画操作が検出された場合に、当該第2の描画操作前の第1の描画操作による軌跡に基づいて、第1端点を決定する第1端点決定手段と、第1の描画操作の終了時における第2の描画操作の操作位置に基づいて、第2端点を決定する第2端点決定手段と、第1端点及び第2端点を結ぶ線分を示す描画データを生成する線分描画手段とを備えて構成される。
【0011】
この描画装置では、第1の描画操作の終了前に第2の描画操作が検出されれば、当該第2の描画操作前の第1の描画操作による軌跡に基づいて、第1端点が決定される。そして、第1の描画操作の終了時における第2の描画操作の操作位置に基づいて、第2端点が決定され、これらの端点を結ぶ線分が描画される。この様な構成によれば、第1の描画操作による軌跡の描画中に第2の描画操作を開始させれば、描画しようとする線分の一方の端点が決定されるので、第1の描画操作を終了させることなく線分の描画モードに切り替えることができる。また、第2の描画操作よりも前に第1の描画操作を終了させることにより、描画しようとする線分の他方の端点が決定され、各端点を結ぶ線分が描画されるので、描画操作の操作位置を検出してその操作軌跡を描画している際に、2つの端点を結ぶ線分の描画を簡単に行うことができる。
【0012】
第3の本発明による描画装置は、上記構成に加えて、第1端点決定手段が、第1の描画操作中に指の移動が一定時間停止したと判断した時点における第1の描画操作の操作位置に基づいて、第1端点を決定するように構成される。描画操作が指により行われる場合、仮に、第2の描画操作の開始時における第1の描画操作の操作位置を第1端点に決定すれば、第2の描画操作の開始時に、ユーザの意に反して指がローリングし、ヒゲ状の軌跡が第1端点付近に描画される場合が生じると考えられる。そこで、上記構成を採用することにより、ユーザが、指の移動を一定時間停止させた後、第2の描画操作を開始させれば、第2の描画操作に伴って第1の描画操作に係る指がローリングしたとしても、ユーザの意に反してヒゲ状の軌跡が第1端点付近に描画されるのを抑制することができる。
【0013】
第4の本発明による描画装置は、上記構成に加えて、上記軌跡描画手段が、第1の描画操作の終了時における第2の描画操作の操作位置を始点として、当該第2の描画操作の終了までの軌跡を示す描画データを生成するように構成される。この様な構成によれば、第1の描画操作の終了時における第2の描画操作の操作位置を始点として操作軌跡が描画されるので、第1端点及び第2端点を結ぶ線分の描画後、第2の描画操作を終了させることなくそのまま操作軌跡の描画を再開させることができる。
【0014】
第5の本発明による描画装置は、上記構成に加えて、上記線分描画手段が、第1端点及び第2端点を結ぶ直線を示す描画データを生成するように構成される。この様な構成によれば、第2の描画操作よりも前に第1の描画操作を終了させることにより、第1端点及び第2端点を結ぶ直線が描画されるので、操作軌跡の描画中に直線を描画させる際の操作性を向上させることができる。特に、第1の描画操作の終了後、第2の描画操作を終了させることなく第3の描画操作を開始させれば、直線を繰り返し描画させることができるので、折れ線や多角形を簡単に描画させることができる。
【0015】
第6の本発明による描画装置は、上記構成に加えて、上記線分描画手段が、第2の描画操作の開始時における当該第2の描画操作のタッピング数に基づいて、上記線分の線種を変更するように構成される。この様な構成によれば、第2の描画操作の開始時における当該第2の描画操作のタッピング数に応じて線分の線種を異ならせられるので、線分の線種を変更する際の操作性を向上させることができる。
【0016】
第7の本発明による描画装置は、上記構成に加えて、上記線分描画手段が、第2端点の決定前における第3の描画操作に基づいて、上記線分の線種を変更するように構成される。この様な構成によれば、第2端点決定前の第3の描画操作に基づいて線分の線種が変更されるので、第2端点を決定させるまでの間に、線種を容易に変更することができる。
【0017】
第8の本発明による描画装置は、上記構成に加えて、上記表示手段が、第1端点の決定に基づいて、編集用アイコンを表示し、上記線分描画手段が、上記編集用アイコンの操作に基づいて、線分の線種を変更するように構成される。この様な構成によれば、第1端点の決定後に編集用アイコンが表示されるので、編集用アイコンを容易に操作することができる。
【0018】
第9の本発明による描画装置は、上記構成に加えて、上記表示手段が、第2端点の決定に基づいて、上記線分の線種を変更するための編集用アイコンを当該線分の近傍に表示するように構成される。この様な構成によれば、第2端点の決定時に編集用アイコンが線分の近傍に表示されるので、編集用アイコンを容易に操作することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明による描画装置によれば、軌跡の描画中に第2の描画操作を開始させれば、描画しようとする線分の一方の端点が決定されるので、第1の描画操作を終了させることなく線分の描画モードに切り替えることができる。また、第2の描画操作よりも前に第1の描画操作を終了させることにより、描画しようとする線分の他方の端点が決定され、各端点を結ぶ線分が描画されるので、描画操作の操作位置を検出してその操作軌跡を描画している際に、2つの端点を結ぶ線分の描画を簡単に行うことができる。さらに、第1の描画操作の終了時における第2の描画操作の操作位置を始点として操作軌跡が描画されるので、第1端点及び第2端点を結ぶ線分の描画後、第2の描画操作を終了させることなくそのまま操作軌跡の描画を再開させることができる。従って、操作軌跡の描画中に線分を描画させる際の操作性を向上させた描画装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態1による描画装置の概略構成の一例を示した図であり、描画装置の一例としてスライド式の携帯電話機100が示されている。
【図2】図1の携帯電話機100の構成例を示した斜視図であり、異なる端末状態が示されている。
【図3】図1の携帯電話機100における手書き入力時の動作の一例を従来例と比較して示した図である。
【図4】図1の携帯電話機100における手書き入力時の動作例を模式的に示した説明図であり、操作軌跡の描画中に第2指によりダウンイベントを発生させる場合が示されている。
【図5】図1の携帯電話機100における手書き入力時の動作例を模式的に示した説明図であり、第1指によりアップイベントを発生させて軌跡の描画を再開させる場合が示されている。
【図6】図1の携帯電話機100における手書き入力時の動作例を模式的に示した説明図であり、第1指により再度のダウンイベントを発生させて直線を描画させる場合が示されている。
【図7】図1の携帯電話機100における手書き入力時の動作例を模式的に示した説明図であり、ダウンイベント発生時における操作位置のブレが示されている。
【図8】図1の携帯電話機100の要部における構成例を示したブロック図であり、携帯電話機100内部の機能構成の一例が示されている。
【図9】図1の携帯電話機100における手書き入力時の動作の一例を示したフローチャートである。
【図10】図1の携帯電話機100における手書き入力時の動作の一例を示したフローチャートである。
【図11】本発明の実施の形態2による描画装置の要部における構成例を示したブロック図であり、携帯電話機100内部の機能構成の他の一例が示されている。
【図12】本発明の実施の形態3による描画装置における手書き入力時の動作例を示した図であり、直線B2近傍に表示された編集用アイコン32の一例が示されている。
【図13】図11の描画装置における手書き入力時の動作例を示した図であり、第1端点及び第2端点を結ぶ線分の他の例が示されている。
【図14】図11の描画装置における手書き入力時の動作例を示した図であり、変更可能な線種の他の例が示されている。
【発明を実施するための形態】
【0021】
実施の形態1.
図1(a)及び(b)は、本発明の実施の形態1による描画装置の概略構成の一例を示した図であり、描画装置の一例としてスライド式の携帯電話機100が示されている。図1(a)には、携帯電話機100を正面から見た様子が示され、図1(b)には、携帯電話機100を側面から見た様子が示されている。
【0022】
携帯電話機100は、上下方向に長い薄型の表示筐体10及び操作筐体20と、これらの筐体をスライド可能に連結する連結機構(図示せず)とからなる携帯情報端末であり、両筐体の一部が重複したオープン状態、両筐体の全部を重複させたクローズ状態を遷移させることができる。
【0023】
表示筐体10の前面には、表示パネル11が設けられ、操作筐体20の前面には、キーパネル21が設けられている。表示パネル11は、情報表示のための表示画面上に配設されたタッチ操作の検出面である。表示パネル11に指を接触させることにより、メニュー項目やアイコンを選択し、或いは、マウスカーソルやフォーカスを移動させ、或いは、画面をスクロールさせ、或いは、文字や図形を手書き入力することができる。
【0024】
キーパネル21には、方向キー22、テンキー23などの複数の操作キーが設けられている。方向キー22は、上下左右の4つの押圧部位に応じて異なる操作入力が可能な多機能キーであり、押圧操作により、上下左右の方向入力を行うことができる。
【0025】
表示筐体10及び操作筐体20は、いずれも直方体形状からなり、互いに主面を対向させた状態で連結されている。すなわち、表示筐体10の表示パネル11とは反対側の主面と、操作筐体20のキーパネル21側の主面とを対向させて連結されている。
【0026】
上述した連結機構は、表示筐体10の表示パネル11とは反対側の主面と操作筐体20のキーパネル21側の主面とを対向させたまま、表示筐体10及び操作筐体20を相対的に一方向に移動させる。ここでは、両筐体が、その長手方向、すなわち、上下方向にスライド可能となっている。
【0027】
図2(a)及び(b)は、図1の携帯電話機100の構成例を示した斜視図であり、異なる端末状態が示されている。図2(a)には、両筐体のオープン状態が示され、図2(b)には、クローズ状態が示されている。
【0028】
この携帯電話機100では、キーパネル21を露出させたオープン状態と、表示筐体10を操作筐体20側へスライドさせてキーパネル21を操作筐体20の背面側に収納させたクローズ状態とが遷移可能であり、例えば、クローズ状態において、手書き入力が行われる。
【0029】
<手書き入力時の動作モード>
図3(a)及び(b)は、図1の携帯電話機100における手書き入力時の動作の一例を従来例と比較して示した図であり、図3(a)には、本発明による携帯電話機100の動作例が示され、図3(b)には、従来の描画装置の動作が示されている。
【0030】
手書き入力では、表示パネル11上における指などの軌跡を検出し、フリーハンドで描いた文字や図形を描画データとして取得して画面表示させる軌跡描画モードA1と、直線を描画させる直線描画モードA2とが動作モードとして設けられている。
【0031】
従来の描画装置では、軌跡描画モードA1及び直線描画モードA2間の切替えは、所定のモード切替え操作、例えば、モード切替え用のアイコンを操作することによって行われていた。このため、フリーハンドで操作軌跡を描画している際に、直線を描画させようとすると、表示パネル11から指を離すことにより操作入力を終了させてから、モード切替え操作を行わなければならず、操作性が良くなかった。
【0032】
また、直線の描画後にフリーハンドによる操作軌跡の描画を再開しようとすると、再度、モード切替え操作を行わなければならなかった。さらに、軌跡描画モードA1及び直線描画モードA2間の切替えには、直線の位置と無関係なモード切替え操作が介在することから、操作軌跡と所望の直線とを綺麗に繋ぐことが難しかった。
【0033】
これに対して、本発明による携帯電話機100は、第1の描画操作による操作軌跡の描画中に第2の描画操作が検出されれば、軌跡描画モードA1から直線描画モードA2に自動的に遷移する。そして、描画しようとする直線の一方の端点は、第2の描画操作の開始時における第1の描画操作の操作位置に基づいて決定される。上記一方の端点を第1指による軌跡の終点とすることにより、軌跡の終点と直線の端点とを離間させることなく、当該軌跡と直線とを連結させることができる。
【0034】
一方、第2の描画操作の終了よりも前に第1の描画操作を終了させれば、直線描画モードA2から軌跡描画モードA1に復帰させることができる。描画しようとする直線の他方の端点は、第1の描画操作の終了時における第2の描画操作の操作位置に基づいて決定される。そして、第1の描画操作の終了時における第2の描画操作の操作位置を始点として、当該第2の描画操作の終了までの軌跡の描画が再開される。
【0035】
また、第1の描画操作の終了よりも前に第2の描画操作を終了させれば、直線描画モードA2がキャンセルされ、第2の描画操作の終了時における第1の描画操作の操作位置を始点として軌跡の描画が再開される。
【0036】
この携帯電話機100では、表示パネル11に指を接触させることにより描画操作が開始され、指の位置を一定時間ごとに検出することにより、表示パネル11上で指をスライドさせた際の指の軌跡が操作軌跡として検知される。そして、指を表示パネル11から離間させることにより、描画操作が終了される。ここで、表示パネル11に指を接触させる動作をダウンイベントと呼び、表示パネル11から指を離間させる動作をアップイベントと呼ぶことにすると、第1指のアップイベント発生前に第2指によるダウンイベントが検出された場合に、直線描画モードA2に切り替えられることになる。
【0037】
<描画モードの切り替え>
図4〜図6は、図1の携帯電話機100における手書き入力時の動作例を模式的に示した説明図であり、描画モードを切り替える際の操作手順が示されている。図4(a)及び(b)には、第1指による操作軌跡B1の描画中に第2指によりダウンイベントを発生させる場合の操作手順が示されている。図4(a)には、操作軌跡B1の描画中の様子が示され、図4(b)には、第2指のダウンイベント発生時の様子が示されている。
【0038】
操作軌跡B1は、表示パネル11に指を接触させながら当該指を表示パネル11上でスライドさせた場合に、その様な描画操作の始点から終点に至る経路である。この例では、第1指、例えば、右手の親指を表示パネル11に接触させながら移動させることにより、操作軌跡B1として円弧が描画されている。
【0039】
この様な第1指による操作軌跡B1の描画中に第2指によるダウンイベントが検出されれば、直線描画モードA2に切り替えられる。すなわち、第1指による操作軌跡B1の描画中に第2指、例えば、右手の人差し指によるダウンイベントが検出されると、動作モードが軌跡描画モードA1から直線描画モードA2に切り替えられる。ここで、ダウンイベントの検出とは、表示パネル11に指を近づけることにより、描画操作の開始が検出されることである。
【0040】
直線描画モードA2への切り替え時には、描画しようとする直線の一方の端点が、第2指のダウンイベント発生時における第1指の操作位置に基づいて決定される。
【0041】
図5(a)及び(b)には、第1指によりアップイベントを発生させて操作軌跡の描画を再開させる場合の操作手順が示されている。図5(a)には、第1指のアップイベント発生時の様子が示され、図5(b)には、直線B2の描画後に第2指による操作軌跡B3の描画が再開された様子が示されている。
【0042】
描画しようとする直線B2の一方の端点B21は、第2指によるダウンイベント発生時における第1指の表示パネル11上の位置から定められる。一方、直線B2の他方の端点B22は、第1指によるアップイベントの発生時における第2指の操作位置に基づいて決定される。ここで、アップイベントとは、指を表示パネル11から遠ざけることにより、描画操作の検出状態から非検出状態に移行することである。
【0043】
端点B21,B22を結ぶ直線B2は、第1指のアップイベントが検出された際に表示され、第1指のアップイベント発生時における第2指の操作位置を始点として第2指による操作軌跡B3の描画が再開される。
【0044】
本発明による携帯電話機100では、第1指による操作軌跡B1の描画中に第2指によりダウンイベントを発生させれば、動作モードが軌跡描画モードA1から直線描画モードA2に自動的に切り替えられるので、操作軌跡B1の描画中に直線B2を描画させる際の操作性を向上させることができる。また、第2指によるアップイベントよりも前に第1指によるアップイベントを発生させれば、直線描画モードA2から軌跡描画モードA1に復帰させることができるので、直線B2の描画後にフリーハンドによる操作軌跡B3の描画を再開させる際の操作性も向上させることができる。
【0045】
さらに、直線B2の一方の端点B21が、第2指のダウンイベント発生時における第1指の操作位置に基づいて決定されるとともに、他方の端点B22が、第1指のアップイベント発生時における第2指の操作位置に基づいて決定され、第1指のアップイベント発生時における第2指の操作位置を始点として操作軌跡B3の描画が再開されるので、操作軌跡B1及びB3と直線B2とを綺麗に繋ぐことができる。
【0046】
また、第1指のアップイベント発生後、第2指のアップイベントを発生させることなく第3指によりダウンイベントを発生させれば、直線を続けて描画させることができる。この場合の第1指と第3指とは同じ指であっても良く、第1指及び第2指を交互にタッチさせることによって、折れ線や多角形を簡単に描画させることができる。
【0047】
図6(a)及び(b)には、第1指のアップイベント発生後、当該第1指により再度のダウンイベントを発生させることにより直線を続けて描画させる場合の操作手順が示されている。図6(a)には、第1指による再度のダウンイベント発生時の様子が示され、図6(b)には、第2指のアップイベント発生時の様子が示されている。
【0048】
第1指のタッチアップ後、第2指をタッチアップさせることなく当該第1指を再度タッチダウンさせれば、直線B2の端点B22を一方の端点として直線B4を描画させることができる。従って、一方の指をタッチアップさせる前に他方の指をタッチダウンさせ、他方の指をタッチアップさせる前に一方の指をタッチアップさせることを交互に繰り返すことにより、直線B2,B4がその端点を離間させることなく連結された折れ線などの図形を容易に描画させることができる。
【0049】
<ダウンイベント発生時の操作位置のブレ>
図7(a)及び(b)は、図1の携帯電話機100における手書き入力時の動作例を模式的に示した説明図であり、第2指のダウンイベント発生時における第1指の操作位置にブレが生じる様子が示されている。図7(a)には、第1指により操作軌跡を描画している際の接触部分が示され、図7(b)には、第1指による操作軌跡の描画中に第2指によりダウンイベントを発生させた際の接触部分が示されている。
【0050】
第1指による操作軌跡の描画中に第2指によりダウンイベントを発生させる場合、第2指を表示パネル11に近づけるために、第1指を中心とする回転運動が生じる。このため、第1指の表示パネル11との接触部分が第2指側に移動するので、当該接触部分の重心位置には、Δxだけずれが生じることになる。
【0051】
第1指及び第2指のダウンイベント発生後、いずれかの指によりアップイベントを発生させる場合にも、ダウンイベントの場合と同様に、回転運動に伴う接触部分の移動により、接触部分の重心位置にずれが生じることになる。指の操作位置は、例えば、この様な接触部分の重心位置に基づいて決定される。従って、ある指による操作位置は、他の指のダウンイベントやアップイベントに伴ってブレが生じることになる。
【0052】
この携帯電話機100では、この様な操作位置のブレにより、直線の端点が操作軌跡の端点から離れたり、直線の端点近傍でヒゲ状の軌跡が生じることのないように、当該直線の端点が決定される。すなわち、直線の一方の端点は、第2指のダウンイベント発生時における第1指の操作位置に基づいて、当該操作位置の近傍に定められる。また、他方の端点は、第1指のアップイベント発生時における第2指の操作位置に基づいて、当該操作位置の近傍に定められる。
【0053】
図8は、図1の携帯電話機100の要部における構成例を示したブロック図であり、携帯電話機100内部の機能構成の一例が示されている。この携帯電話機100は、操作入力部1、描画データ生成部2、描画データ記憶部7、表示制御部8及び表示部9により構成される。
【0054】
操作入力部1は、操作位置を検出し、その検出結果を描画データ生成部2へ出力する操作位置検出手段である。ここでは、操作入力部1として、表示パネル11を検出面とするタッチパネルが用いられるものとする。タッチパネルは、検出面上における指などの操作位置を検出する静電容量式のセンサであり、検出面に指を近づけた際に静電容量が変化する現象を利用して、描画操作を検出している。
【0055】
描画操作の検出は、検出面内の複数の検出点における静電容量に基づいて行われる。例えば、各検出点における静電容量を一定時間ごとに検出し、静電容量の検出値を所定の閾値Th1と比較する。そして、静電容量が閾値Th1を越えている検出点の数を計数し、該当する検出点数が所定の閾値Th2を越えた場合に、描画操作が開始されたと判断される。一方、静電容量が閾値Th1を越えている検出点数が所定の閾値Th3を下回った場合に、描画操作が終了されたと判断される。
【0056】
また、描画操作が検出された場合の当該描画操作の操作位置は、静電容量が閾値Th1を越えている検出点からなる領域を指と検出面との接触部分であると判断して、当該領域の重心位置を算出し、その算出結果に基づいて決定される。
【0057】
描画データ生成部2は、軌跡描画部3、第1端点決定部4、第2端点決定部5及び線分描画部6からなり、操作入力部1からの位置情報に基づいて、操作軌跡や線分を描画するための描画データを生成し、描画データ記憶部7に書き込む動作を行っている。
【0058】
軌跡描画部3は、軌跡描画モード時に、描画操作の開始から終了までの軌跡を示す描画データを生成し、描画データ記憶部7内の描画データを更新する。上記軌跡は、描画操作の開始時における操作位置から、描画操作の終了時における操作位置に至る操作軌跡である。
【0059】
第1端点決定部4は、第1の描画操作の終了前に第2の描画操作が検出された場合に、当該第2の描画操作の開始時における第1の描画操作の操作位置に基づいて、第1端点を決定する。具体的には、第1指によるアップイベントの発生前に第2指によるダウンイベントが検出されれば、動作モードを線分描画モードに切り替える。そして、第2指によるダウンイベント発生時における第1指の操作位置に基づいて、描画しようとする線分の一方の端点(第1端点)を決定する。
【0060】
第2端点決定部5は、第1の描画操作の終了時における第2の描画操作の操作位置に基づいて、第2端点を決定する。具体的には、第1端点の決定後、第1指によるアップイベント発生時における第2指の操作位置に基づいて、描画しようとする線分の他方の端点(第2端点)を決定し、線分描画モードを解除する。ここでは、第1指又は第2指のいずれかのアップイベントよりも前に、第3指によるダウンイベントが検出されても、当該第3指による操作は無視されるものとする。
【0061】
線分描画部6は、線分描画モード時に、第1指及び第2指の操作によって決定された第1端点と第2端点とを結ぶ線分を示す描画データを生成し、描画データ記憶部7内の描画データを更新する。描画データ記憶部7には、軌跡描画データや線分描画データが描画データとして保持される。
【0062】
表示制御部8は、描画データ記憶部7に保持されている描画データに基づいて、表示部9を制御し、操作軌跡や線分を表示パネル11の表示画面上に表示する。表示部9としては、例えば、LCD(Liquid Crystal Display:液晶ディスプレイ)9が用いられる。
【0063】
軌跡描画部3では、操作軌跡の描画を自動的に再開させるために、第1指によるアップイベント発生時における第2指の操作位置を始点として、当該第2指によるアップイベントの発生までの軌跡を示す描画データが生成される。また、軌跡描画部3では、第1指によるアップイベント前に第2指によるアップイベントが発生すれば、線分描画モードがキャンセルされ、第2指によるアップイベント発生時における第1指の操作位置を始点として、当該第1指によるアップイベント発生までの軌跡を示す描画データが生成される。
【0064】
ここでは、線分描画データとして、第1端点を始点、第2端点を終点とし、始点と終点とを結ぶ直線を示す描画データが生成されるものとする。その様な描画データとしては、例えば、直線の向き情報及び長さ情報からなるベクトル情報が生成される。
【0065】
図9及び図10のステップS101〜S118は、図1の携帯電話機100における手書き入力時の動作の一例を示したフローチャートである。まず、描画データ生成部2は、ユーザによる所定の操作により、手書き入力機能が選択されれば、動作モードを軌跡描画モードに切り替え、操作入力部1からの入力信号を監視する(ステップS101,S102)。
【0066】
次に、軌跡描画部3は、操作入力部1により第1の描画操作が検出されれば(ステップS103)、操作入力1から描画操作の位置座標を取得し、操作軌跡を示す軌跡描画データを生成して描画データ記憶部7内の描画データを更新する(ステップS104,S105)。
【0067】
ステップS104及びS105の処理手順は、第2の描画操作が検出されるか、或いは、第1の描画操作の終了が検出されるまで、繰り返される(ステップS106,S107)。また、ステップS103からステップS107の処理手順は、手書き入力機能が終了されるまで繰り返され、手書き入力機能が終了されれば、軌跡描画モードを解除してこの処理を終了する(ステップS108)。
【0068】
第1端点決定部4は、第1の描画操作の終了前に第2の描画操作が検出されれば、動作モードを直線描画モードに切り替える(ステップS106,S109)。そして、第2の描画操作の開始時における第1の描画操作の操作位置に基づいて、描画しようとする直線の始点(第1端点)を決定する(ステップS110)。
【0069】
次に、第2端点決定部5は、第2の描画操作の終了よりも前に第1の描画操作の終了が検出されれば、操作入力部1からの位置情報に基づいて第2の描画操作の位置座標を取得し、第1の描画操作の終了時における第2の描画操作の操作位置に基づいて、直線の終点(第2端点)を決定する(ステップS111〜S113)。
【0070】
線分描画部6は、第1指及び第2指の操作によって決定された始点と終点とを結ぶ直線を示す直線描画データを生成し、描画データ記憶部7内の描画データを更新する(ステップS114,S115)。そして、直線描画モードが解除され、ステップS104以降の処理手順が繰り返される(ステップS116)。このとき、第1の描画操作の終了時における第2の描画操作の操作位置を始点として、軌跡描画データが生成される。
【0071】
一方、第1の描画操作の終了よりも前に第2の描画操作の終了が検出された場合には、直線描画モードがキャンセルされ、ステップS104以降の処理手順が繰り返される(ステップS111,S117,S118)。このとき、第2の描画操作の終了時における第1の描画操作の操作位置を始点として、軌跡描画データが生成される。
【0072】
本実施の形態によれば、操作軌跡の描画中に第2の描画操作を開始させることにより、描画しようとする直線の始点が決定されるので、検出面から指を離すことなく直線描画モードに切り替えることができる。また、第2の描画操作の終了よりも前に第1の描画操作を終了させることにより、描画しようとする直線の終点が決定され、各端点を結ぶ直線が描画されるので、描画操作の操作位置を検出して操作軌跡を描画している際に、2つの端点を結ぶ直線の描画を簡単に行うことができる。
【0073】
実施の形態2.
実施の形態1では、第2の描画操作の開始時における第1の描画操作の操作位置に基づいて、描画しようとする線分の一方の端点が決定される場合の例について説明した。これに対して、本実施の形態では、第1の描画操作の終了前に第2の描画操作が検出された場合に、第2の描画操作前の第1の描画操作による軌跡に基づいて、一方の端点を決定する場合について説明する。
【0074】
図11は、本発明の実施の形態2による描画装置の要部における構成例を示したブロック図であり、携帯電話機100内部の機能構成の他の一例が示されている。この携帯電話機100は、図8の携帯電話機100と比較すれば、描画データ生成部2が操作軌跡記憶部31を備え、第1端点決定部4がタイマー4a、停止判断部4b及び端点算出部4cからなる点で異なる。操作軌跡記憶部31には、軌跡描画部3によって生成された操作軌跡の描画データが保持される。
【0075】
第1端点決定部4は、タイマー4a、停止判断部4b及び端点算出部4cからなり、第1指によるアップイベント発生前に第2指によるダウンイベントが検出された場合に、操作軌跡記憶部31から描画データを読み出し、当該第2指によるダウンイベント発生前の第1指による軌跡に基づいて、第1端点を決定する。
【0076】
停止判断部4bは、操作入力部1からの位置情報と、タイマー4aからの時間情報とに基づいて、第1指による描画操作中に指の移動が一定時間停止したか否かを判断し、その判断結果を端点算出部4cへ出力する。端点算出部4cは、第1指のアップイベント前に第2指のダウンイベントが検出された場合に、操作軌跡記憶部31から描画データを読み出し、第1指による描画操作中に指の移動が一定時間停止していると停止判断部4bが判断した時点における第1指の操作位置に基づいて、第1端点を決定する。
【0077】
本実施の形態によれば、ユーザが、第1指の移動を一定時間停止させた後、第2指によりダウンイベントを発生させれば、第2指のダウンイベントに伴って第1指がローリングした場合であっても、ユーザの意に反してヒゲ状の軌跡が第1端点付近に描画されるのを確実に防止することができる。
【0078】
実施の形態3.
実施の形態1では、第1の描画操作による操作軌跡の描画中に第2の描画操作を行うことによって動作モードが軌跡描画モードから線分描画モードに切り替えられる場合の例について説明した。これに対して、本実施の形態では、線分の線種を変更するための編集用アイコンを当該線分の近傍に表示させる場合について説明する。
【0079】
図12は、本発明の実施の形態3による描画装置における手書き入力時の動作例を示した図であり、直線B2の終点の決定直後に当該直線B2の近傍に表示された編集用アイコン32の一例が示されている。
【0080】
直線描画モードでは、第1指のアップイベント発生時における第2指の操作位置に基づいて、直線B2の終点B22が決定される。このとき、直線B2に隣接させて、線種変更のための編集用アイコン32が表示パネル11上に表示される。
【0081】
具体的には、直線描画モード時に、第2指のアップイベントよりも前に第1指によるアップイベントが検出されれば、当該第1指のアップイベントが検出されてから所定期間、直線に隣接させて編集用アイコン32が表示される。例えば、第1指のアップイベントが検出されてから一定時間だけ編集用アイコン32が表示される。或いは、第1指のアップイベント発生後、第2指の操作位置が、第1指のアップイベント発生時における位置から一定距離以上離れるまでの間、編集用アイコン32が表示される。
【0082】
この様な編集用アイコン32を空いている指、例えば、右手の親指などで操作することにより、線分の線種を変更することができる。具体的には、第1指及び第2指の操作によって決定される第1端点と第2端点とを結ぶ線分として、直線B2に代えて、円弧、波線、破線などを選択することができる。或いは、直線B2の太さを変更することができる。
【0083】
図13(a)〜(c)は、図12の描画装置における手書き入力時の動作例を示した図であり、第1端点及び第2端点を結ぶ線分の他の例が示されている。図13(a)には、線分として円弧が描画される場合が示され、図13(b)には、波線が描画される場合が示され、図13(c)には、破線が描画される場合が示されている。
【0084】
円弧は、第1端点を始点とし、第2端点を終点とする円の一部である。波線は、これらの端点を結ぶ連続曲線であり、破線は、断続的な直線である。本実施の形態によれば、第2端点の決定に基づいて編集用アイコン32が直線B2の近傍に表示されるので、第1指によりアップイベントを発生させることによって自由になった指で編集用アイコン32を容易に操作することができる。
【0085】
図14(a)〜(c)は、図12の描画装置における手書き入力時の動作例を示した図であり、変更可能な線種の他の例が示されている。図14(a)には、第1端点及び第2端点を結ぶ線分が細い線として描画される場合が示され、図14(b)には、太い線で描画される場合が示され、図14(c)には、装飾付きの線で描画される場合が示されている。
【0086】
装飾付きの線は、装飾や模様が付加された線分であり、例えば、地図上で線路を示す図形として用いることができる。第1端点と第2端点とを結ぶ線分としては、この様に線の太さや装飾の異なる線を選択することができる。
【0087】
なお、本実施の形態では、線分の線種変更のための編集用アイコン32を当該線分の近傍に表示させる場合の例について説明したが、描画しようとする線分の線種を変更させる手段としては他の構成であっても良い。例えば、線分描画部6が、操作軌跡の描画中における第2の描画操作の開始時における当該第2の描画操作のタッピング数に基づいて、描画しようとする線分の線種を変更するような構成であっても良い。具体的には、第2指によるダウンイベントが、1回のタッピング、すなわち、シングルタッピングによって行われたか、或いは、一定時間内における2回のタッピング、すなわち、ダブルタッピングによって行われたかに応じて、線分の線種を異ならせることが考えられる。
【0088】
この様に構成すれば、第2指のダウンイベント発生時における当該第2指のタッピング数に応じて、線分の線種を異ならせられるので、線分の線種を変更する際の操作性を向上させることができる。
【0089】
或いは、線分描画部6が、第2端点の決定前における第3の描画操作に基づいて、線分の線種を変更するような構成であっても良い。具体的には、表示制御部8が、第1端点の決定に基づいて、編集用アイコンを表示し、線分描画部6が、第3指による上記編集用アイコンの操作に基づいて、描画しようとする線分の線種を変更する。
【0090】
この様な構成によれば、第2端点決定前の第3指の操作に基づいて線分の線種が変更されるので、第2端点を決定させるまでの間に、空いている指を用いて線種を容易に変更することができる。
【0091】
なお、実施の形態1〜3では、第1指による操作軌跡の描画中に第2指によるダウンイベントが検出されれば、動作モードが線分描画モードに切り替えられる場合の例について説明したが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、第2指のダウンイベントとして、一定時間内に2以上の指が検出された場合、第2端点決定部5が、これらの指のうち、最後に残った指の操作位置に基づいて、第2端点を決定するようなものであっても良い。
【0092】
また、実施の形態1〜3では、手書き入力時に操作軌跡や線分が描画される場合の例について説明したが、手書き入力によって描画された文字や図形の一部を消去する消去モード時にも本発明は適用することができる。例えば、消去モードでは、指の操作軌跡が背景を透過させる透明色で描画される。
【0093】
この様な透明色による操作軌跡を描画させることにより、手書き入力で所定の背景上に描画された文字や図形をフリーハンドで描いた操作軌跡によって消去することができる。その際、第1指のアップイベント前に第2指のダウンイベントが検出されれば、動作モードが透明色による軌跡描画モードから透明色による直線描画モードに切り替えられる。そして、第1指及び第2指の操作によって決定された第1端点及び第2端点を結ぶ直線を透明色で描画する線分描画データが線分描画部6により生成される。
【0094】
この様に構成すれば、背景を透過させる透明色で第1端点及び第2端点を結ぶ直線が描画されるので、背景上に描画された文字や図形を操作軌跡によって消去している際に、上記直線の描画を簡単に行うことができる。また、この様な透明色による直線の描画により、文字や図形の不要部分を除去して、文字や図形の端部を揃えることもできる。
【0095】
また、実施の形態1〜3では、第1指のアップイベント発生時に第1端点及び第2端点を結ぶ線分が描画される場合の例について説明したが、第2端点の決定前に線分を描画させても良い。例えば、第2指のダウンイベント発生時に、第1端点と第2指の操作位置とを結ぶ線分を描画させることが考えられる。
【0096】
また、実施の形態1〜3では、手書き入力された文字や図形を表示する表示パネル11が描画操作の検出面である場合の例について説明したが、描画操作の検出面と、描画情報の表示画面とが異なる位置に配置されるものにも本発明は適用することができる。例えば、手書き入力された文字や図形が表示される表示画面は、表示パネル11として表示筐体10に設けられ、操作入力部1の検出面は、操作筐体20に設けられるようなものであっても良い。
【0097】
また、実施の形態1〜3では、指によるダウンイベント及びアップイベントが検出される場合の例について説明したが、タッチペンなどの入力補助道具を用いて描画操作を行う場合にも本発明は適用することができる。例えば、2本のタッチペンを用い、一方のタッチペンのアップイベント前に、他方のタッチペンのダウンイベントが検出されれば、動作モードが軌跡描画モードから線分描画モードに切り替えられるようなものであっても良い。つまり、本発明は、指やタッチペンなどの操作子によるダウンイベント及びアップイベントを検知して操作軌跡を描画するものに適用することができる。
【0098】
また、実施の形態1〜3では、表示パネル11を検出面とするタッチパネルを用いて描画操作の操作位置が検出される場合の例について説明したが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、赤外線を利用して操作位置を検出する赤外線センサを用いても良い。この様な赤外線センサを用いれば、非接触で操作軌跡を描画させることができる。
【符号の説明】
【0099】
1 操作入力部
2 描画データ生成部
3 軌跡描画部
4 第1端点決定部
4a タイマー
4b 停止判断部
4c 端点算出部
5 第2端点決定部
6 線分描画部
7 描画データ記憶部
8 表示制御部
9 表示部
10 表示筐体
11 表示パネル
20 操作筐体
21 キーパネル
22 方向キー
23 テンキー
31 操作軌跡記憶部
32 編集用アイコン
100 携帯電話機
A1 軌跡描画モード
A2 直線描画モード
B1,B3 操作軌跡
B2,B4 直線
B21,B22 端点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作位置を検出する操作位置検出手段と、
上記操作位置に基づいて、描画データを生成する描画データ生成手段と、
上記描画データに基づいて、画面表示を行う表示手段とを備え、
上記描画データ生成手段は、描画操作の開始から終了までの軌跡を示す描画データを生成する軌跡描画手段と、
第1の描画操作の終了前に第2の描画操作が検出された場合に、当該第2の描画操作の開始時における第1の描画操作の操作位置に基づいて、第1端点を決定する第1端点決定手段と、
第1の描画操作の終了時における第2の描画操作の操作位置に基づいて、第2端点を決定する第2端点決定手段と、
第1端点及び第2端点を結ぶ線分を示す描画データを生成する線分描画手段とを備えたことを特徴とする描画装置。
【請求項2】
操作位置を検出する操作位置検出手段と、
上記操作位置に基づいて、描画データを生成する描画データ生成手段と、
上記描画データに基づいて、画面表示を行う表示手段とを備え、
上記描画データ生成手段は、描画操作の開始から終了までの軌跡を示す描画データを生成する軌跡描画手段と、
第1の描画操作の終了前に第2の描画操作が検出された場合に、当該第2の描画操作前の第1の描画操作による軌跡に基づいて、第1端点を決定する第1端点決定手段と、
第1の描画操作の終了時における第2の描画操作の操作位置に基づいて、第2端点を決定する第2端点決定手段と、
第1端点及び第2端点を結ぶ線分を示す描画データを生成する線分描画手段とを備えたことを特徴とする描画装置。
【請求項3】
第1端点決定手段は、第1の描画操作中に指の移動が一定時間停止したと判断した時点における第1の描画操作の操作位置に基づいて、第1端点を決定することを特徴とする請求項2に記載の描画装置。
【請求項4】
上記軌跡描画手段は、第1の描画操作の終了時における第2の描画操作の操作位置を始点として、当該第2の描画操作の終了までの軌跡を示す描画データを生成することを特徴とする請求項1又は2に記載の描画装置。
【請求項5】
上記線分描画手段は、第1端点及び第2端点を結ぶ直線を示す描画データを生成することを特徴とする請求項1又は2に記載の描画装置。
【請求項6】
上記線分描画手段は、第2の描画操作の開始時における当該第2の描画操作のタッピング数に基づいて、上記線分の線種を変更することを特徴とする請求項1又は2に記載の描画装置。
【請求項7】
上記線分描画手段は、第2端点の決定前における第3の描画操作に基づいて、上記線分の線種を変更することを特徴とする請求項1又は2に記載の描画装置。
【請求項8】
上記表示手段は、第1端点の決定に基づいて、編集用アイコンを表示し、
上記線分描画手段は、上記編集用アイコンの操作に基づいて、線分の線種を変更することを特徴とする請求項7に記載の描画装置。
【請求項9】
上記表示手段は、第2端点の決定に基づいて、上記線分の線種を変更するための編集用アイコンを当該線分の近傍に表示することを特徴とする請求項1又は2に記載の描画装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−100253(P2011−100253A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−253877(P2009−253877)
【出願日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】