説明

換気システムのギア駆動遮断弁

【課題】 原動機付車両の換気システムのギア駆動遮断弁を提供する。
【解決手段】 前記ギア駆動遮断弁はギア列を含む。前記ギア列は、前記遮断弁に連結する従動ギア263と、前記換気システムの吹出し口110に取り付けた吹出し口ノブ250に連結する駆動ギア261とを備える。前記遮断弁は、前記吹出し口110に対して実質的に角度をなす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は原動機付車両(motor vehicles)に関し、特に、換気システムのギア駆動遮断弁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、原動機付車両の換気システム内の気流を止める方法が提案されている。Bauer(米国特許番号第4656926号明細書)は、原動機付車両の換気制御ユニットに関するものである。Bauerには、複数のノブを有する制御ユニットが教示されている。ノブを用いて、暖房、エアコン、換気の各システムを制御するものである。
【0003】
Bauerには、フロントパネルに装備された複数の回転自在の制御ノブが教示されている。これらの制御ノブはベベルギアに直接連結されている。さらに、これらのベベルギアは、従動ベベルギアに螺合されている。上記のギアは、互いに90度の角度を持って配置されている。従動ベベルギアが回転すると調節レベルが移動して、ボーデンケーブルが動く。Bauerには、これらのボーデンケーブルを用いて扇状フラップが動作可能であることが教示されている。
【0004】
Demerath(米国特許番号第6533655号明細書)は換気システムの換気口に関する。Demerathには、導風翼(air guiding vanes)を手動調節するための操作部と気流フラップとが教示されている。気流フラップの位置は調節可能であり、換気口への気流を完全に遮断する位置も含まれる。
【0005】
さらに、Demerathには、回転可能な換気口の外部に配置した操作ノブによって、カルダン軸を回転させることが教示されている。カルダン軸が回転すると、ベベルギアの第1円錐ギアホイールも回転する。ベベルギアは、気流フラップに取り付けられた円錐ギアホイールに係合している。したがって、ベベルギアが回転すると、気流フラップの設定角度が変化する。気流フラップの設定角度を変化させて、換気口を通過する空気の流れを変えることができ、場合によっては、気流フラップを、空気の流れを完全に遮断する位置に調節することもできる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
BauerおよびDemerathの設計では、気流フラップや扇状フラップを換気口の背後に設置する必要がある。さらに、Bauerの設計では、ギアに加えてボーデンケーブルも必要になる。また、Demerathでは、カルダン軸を用いる必要がある。したがって、上記の従来技術の課題を解決するためのシステムと方法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
原動機付車両の換気システムのギア駆動遮断弁について開示する。本発明は、原動機付車両に関連して利用することができる。本明細書および請求項を通じて用いられる「原動機付車両」とは、1人以上の人間を搭乗し、任意のエネルギ形態によって動力が供給される移動車両であれば、いずれであってもよい。原動機付車両には、自動車、トラック、バン、ミニバン、SUN、自動二輪、スクータ、ボート、自家用船舶、航空機などが含まれるが、これらのみに限定されるものではない。
【0008】
一側面において、本発明は、ダクトと;前記ダクトの端部に接続する吹出し口と;前記ダクト内に配置され、実質的に、前記吹出し口に対して角度をなす遮断弁と;前記吹出し口の吹出し口ノブに軸方向に接続する駆動ギアと;前記遮断弁に軸方向に接続する従動ギアと;を備え、前記遮断弁を、前記吹出し口ノブを操作することで開閉するような換気システムを備える換気システムを搭載した原動機付車両を提供する。
【0009】
別の側面において、少なくとも1つの遊びギアを、前記駆動ギアに螺合する。
【0010】
別の側面において、前記吹出し口ノブは、サムホイールである。
【0011】
別の側面において、前記少なくとも1つの遊びギアを、前記駆動ギアと前記従動ギアとの間に配置する。
【0012】
別の側面において、前記駆動ギアは、ベベルギアである。
【0013】
別の側面において、前記従動ギアは、ベベルギアである。
【0014】
別の側面において、前記少なくとも1つの遊びギアは、ベベルギアである。
【0015】
別の側面において、本発明は、ダクトおよび前記ダクトの端部に接続する吹出し口と;前記吹出し口に隣接する前記ダクトの曲部と;前記曲部に隣接して配置される前記ダクトの直線部と;吹出し口ノブを備える前記吹出し口と;前記直線部に連結する遮断弁と;前記吹出し口ノブを、前記吹出し口ノブに連結する駆動ギアと、前記遮断弁に連結する前記従動ギアと、前記駆動ギアと前記従動ギアとの間に配置される遊びギアとを備えた前記遮断弁に接続するギア列と;を備え、前記駆動ギアおよび前記従動ギアの両方を、前記遊びギアに対して所定の角度をもって配置するような換気システムを備える原動機付車両を提供する。
【0016】
別の側面において、前記遮断弁を、前記吹出し口に対して、実質的に角度をもって配置する。
【0017】
別の側面において、前記ギア列を、前記曲部の外面上に配置する。
【0018】
別の側面において、前記駆動ギアを、前記吹出し口ノブに軸方向に接続する。
【0019】
別の側面において、前記従動ギアを、前記遮断弁に軸方向に接続する。
【0020】
別の側面において、前記従動ギアと前記遊びギアとを、略120度の角度をもって配置する。
【0021】
別の側面において、前記駆動ギアと前記遊びギアとを、略120度の角度をもって配置する。
【0022】
別の側面において、本発明は、ダクトおよび前記ダクトの端部に接続する吹出し口と;前記吹出し口に隣接して配置される前記ダクトの曲部と;前記曲部に隣接して配置される前記ダクトの直線部と;前記直線部に連結する遮断弁と;前記吹出し口の吹き出し口ノブと前記遮断弁とを接続する複数のギアを備えるギア列と、を備え、前記ギア列を、前記曲部の外面上に配置し、前記複数のギアの各々を、実質的に、前記曲部の隣接する部位に対して平行に配置するような換気システムを備える原動機付車両を提供する。
【0023】
別の側面において、前記複数のギアは、駆動ギアを含む。
【0024】
別の側面において、前記複数のギアは、従動ギアを含む。
【0025】
別の側面において、前記複数のギアは、遊びギアを含む。
【0026】
別の側面において、前記従動ギアと前記遊びギアとは、互いに所定の角度をなす。
【0027】
別の側面において、前記駆動ギアと前記遊びギアとは、互いに所定の角度をなす。
【0028】
本発明の他のシステム、方法、特徴および特長については、当業者であれば、以下の図面および詳細な記載を検証することにより、明らかになるであろう。追加的なシステム、方法、特徴および特長は、本明細書と「課題を解決するための手段」内に記載され、本発明の範囲内にあり、以下の請求項によって保護されるべきものである。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】換気口を備える原動機付車両の一実施形態の概略平面図である。
【図2】換気口の一実施形態を示す等角斜視図である。
【図3】ギア列の一実施形態の概略平面図である。
【図4】開位置にある換気口の一実施形態の等角斜視図である。
【図5】閉位置にある換気口の一実施形態の等角斜視図である。
【図6】中間位置にある換気口の一実施形態の等角斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明は、付属の図面および以下の説明を参照することで、より深く理解することができる。図面の構成部は必ずしも縮尺通りではなく、本発明の原理を示すことに重点が置かれており、同一参照符号は異なる図面においても同一部品を指す。
【0031】
図1は、車内前方部100を含む原動機付車両101の一実施形態の概略平面図である。一般に、原動機付車両101は、どのような種類の原動機付車両であってもよい。例えば、セダン、クーペ、小型車、ハッチバック車、トラックなどであるが、これらに限定するものではなく、どのような種類の原動機付車両であってもよい。なお、本実施形態では、原動機付車両101の種類はクーペとする。
【0032】
実施形態によっては、車内前方部100にはダッシュボード102を備えていてもよい。場合によっては、ダッシュボード102に1つ以上の機器を備え付けてもよい。機器の例としては、ラジオ、CDプレイヤー、MP3プレイヤー、DVDプレイヤー、ナヴィゲーションシステムなどがあるが、これらに限定するものではなく、どのような種類の機器であってもよい。場合によっては、ダッシュボード102は、グローブボックスなど、非電気製品を収容する構成であってもよい。
【0033】
原動機付車両の車内前方部には、換気の構成を有していてもよい。場合によっては、車内前方部には、1つ以上の換気口を備えていてもよい。場合によっては、換気口をダッシュボードに配置してもよい。この他の場合では、換気口を車内前方部の別の部位に配置してもよい。例えば、別の実施形態では、換気口をドアやシート下部、あるいは車内前方部の中央コンソール内に配置してもよい。また、換気口は、原動機付車両の車内後方部に配置するようにしてもよい。
【0034】
本実施形態では、ダッシュボード102に換気口104を備えてもよい。この場合、換気口104は助手席106の前方に配置する。別の実施形態では、換気口104を運転席108の前方に配置することもできる。一般に、換気口104は、ダッシュボード102の任意の位置に配置することができる。
【0035】
換気口104は吹出し口110を備えてもよい。場合によっては、吹出し口110を、ダッシュボード102の前面部112から後退する位置に配置してもよい。この他の場合では、吹出し口110を前面部112よりわずかに延出するように配置してもよい。一実施形態では、吹出し口110を前面部112と面一になるように配置してもよい。
【0036】
換気口104は、吹出し口110に空気を送るダクト120をさらに備えるようにしてもよい。実施形態によっては、吹出し口110をダクト120の第1の端部に接続するようにしてもよい。本実施形態では、ダクト120の一部のみを図示している。しかし、ダクト120の第2の端部を、暖気、冷気、あるいは暖気と冷気との混合気を供給するシステムに取り付けるようにしてもよい。このようなシステムの事例として、空調システムおよび暖房システムなどが含まれる。一実施形態では、ダクト120を、原動機付車両に搭載する暖房・空調・換気(HVAC)システムに接続するようにしてもよい。
【0037】
実施形態によっては、ダッシュボード102の背後の各部品の梱包物を利用して、ダクト120が吹出し口110に対して直列にならないように構成してもよい。例えば、現在の実施形態では、原動機付車両部品130を吹出し口110の直後に配置する。一般に、原動機付車両部品130は、ダッシュボードの背後か原動機付車両のボンネット下に配置する。図1に示すように、原動機付車両部品130の配置によって、ダクトが直線的にならないようにしている。
【0038】
一実施形態では、ダクト120は曲部140を備えてもよい。場合によっては、曲部140を原動機付車両部品130から遠ざかるように曲線的に構成してもよい。このような構成では、ダクト120を吹出し口110と原動機付車両部品130の間に配置するようにしてもよい。このように構成することで、直線的なダクトを用いるのに十分なクリアランスが得られないような原動機付車両の領域に、排気口を配置することが可能となる。
【0039】
なお、現在の実施形態では、曲部140を左向きに曲げるように構成する。しかし、他の実施形態では、曲部140を右向きに曲げるように構成することも可能である。さらに、現在の実施形態では、曲部140は一箇所のみで曲がる構成としているが、他の実施形態では、曲部140は、さらに数箇所で曲がるような構成にしてもよく、左右両方の向きに曲げたり、上下方向に曲げるようにしてもよい。
【0040】
図2は、換気口104の一実施形態を示す等角斜視図である。前記の通り、換気口104は、吹出し口110およびダクト120を備えるようにしてもよい。本実施形態では、さらに、ダクト120は、吹出し口110に隣接して配置される曲部140を備える。ダクト120は、さらに、曲部140に隣接して配置される直線部144も備える。
【0041】
実施形態によっては、前記の通りに図1を参照しつつ説明したように、吹出し口110を、ダッシュボード102のフロントパネルに取り付けるような構成でもよい。場合によっては、吹出し口110は、第1取付部202と第2取付部204とを備えるようにしてもよい。これらの取付部202および204は、ダッシュボード102のフロントパネル内に挿入するネジを受けるような構成にしてもよい。
【0042】
実施形態によっては、吹出し口110は、原動機付車両101の車内前方部へ気流を方向付けするような構成にしてもよい。本実施形態では、吹出し口110は、各フィンがその水平軸周りに回転するような水平フィン210を備えてもよい。水平フィン210は上下方向に軸回転するため、吹出し口110から吹出した空気を、水平フィン210の向きに応じて上下方向に向けるようにしてもよい。さらに、現在の実施形態では、吹出し口110は、各フィンがその垂直軸周りに回転するような垂直フィン212を備えてもよい。垂直フィン212は上下方向に軸回転するため、吹出し口110から吹出した空気を、垂直フィン212の向きに応じて左右方向に方向付けするようにしてもよい。これらのフィン210および212の向きをそれぞれ独立して変化させることで、吹出し口110から吹出した空気を、吹出し口110から外側に向う任意の方向に向けることができる。
【0043】
換気口は、吹出し口から吹出す空気の流れを遮断する構成にしてもよい。実施形態によっては、遮断弁を用いて、吹出し口に接続するダクト内を通過する空気の流れを遮断するようにしてもよい。場合によっては、吹出し口の真後ろに遮断弁を配置するようにしてもよい。この他、吹出し口の真後ろに曲部を備えるようなダクトでは、この曲部より奥側に遮断弁を配置する必要がある。遮断弁が回転自在に動作できるようなクリアランスを曲部内に確保できない場合では、このような構成が必要になる。
【0044】
換気口104は遮断弁220を備える。実施形態によっては、遮断弁220をダクト120内に配置してもよい。場合によっては、遮断弁220をダクト120の曲部140内に配置してもよい。一実施形態では、遮断弁220を、ダクト120の直線部114内に配置するようにしてもよい。この場合、遮断弁220を、吹出し口110の真後ろや平行な位置には配置しない。その代わりに、遮断弁220を、曲部140の吹出し口110とは反対側に配置するため、遮断弁220は、実質的に、吹出し口110に対して角度をもって配置される。
【0045】
遮断弁220を開閉するように構成してもよい。実施形態によっては、遮断弁220を回転するように構成してもよい。遮断弁220を様々な角度に回転させて、ダクト120内を通過する空気の流れを修正してもよい。遮断弁220の動作の詳細については後述する。
【0046】
実施形態によっては、吹出し口110は吹出し口ノブ250を備えてもよい。この他の場合は、吹出し口ノブ250を円形ノブに構成してもよい。一実施形態では、吹出し口ノブ250は半円形のサムホイール型ノブである。
【0047】
吹出し口ノブ250は第1部位252を備えてもよい。吹出し口ノブ250の第1部位252を、吹出し口110の貫通スロット254を貫通するように設けてもよい。実施形態によっては、さらに、吹出し口ノブ250は、第1部位252と指との摩擦を増大させるためにリッジ部(ridges)256を備えるようにしてもよい。このような構成にすることで、ドライバーまたは同乗者は、この第1部位252を回転させて吹出し口ノブ250を回すことができる。
【0048】
代表的な例として、換気口の吹出し口に配置される吹出し口ノブを使って遮断弁を操作するようにしてもよい。遮断弁を吹出し口の背後に配置する場合では、リンクコネクタを利用して吹出し口ノブを遮断弁に接続するようにしてもよい。しかし、現在の実施形態のように、遮断弁を吹出し口の背後に配置しない場合では、吹出し口ノブを遮断弁に接続するには別の方法を用いる必要がある。遮断弁を吹出し口に対して角度を付けて配置するような場合は、遮断弁を操作する構成を吹出し口に備える。
【0049】
実施形態によっては、吹出し口ノブと遮断弁とをギア列で接続するようにしてもよい。場合によっては、ギア列は、吹出し口ノブと連結する駆動ギアを含んでいてもよい。別の場合には、ギア列は、遮断弁に連結する従動ギアを含んでいてもよい。さらに別の場合には、ギア列は、駆動ギアと従動ギアとの間に配置される1つ以上の遊びギアを含んでいてもよい。一実施形態では、ギア列は、駆動ギアと、従動ギアと、少なくとも1つの遊びギアとを含んでいてもよい。ギアを用いることで、特に、異なる寸法のギアを用いるような場合には、他の種類の駆動機構よりも機械効率が向上する。これにより、ギア列およびギアに連結する部品を介して、回転速度を変化させたり、トルクを変化させることが可能になる。
【0050】
図2および図3を参照しつつ、吹出し口ノブ250と遮断弁220とを、ギア列260に連結するようにしてもよい。実施形態によっては、ギア列260をダクト120の外面270上に配置するようにしてもよい。他の実施形態では、ギア列260をダクト120の内面に配置するようにしてもよい。
【0051】
実施形態によっては、ギア列260は駆動ギア261を含むようにしてもよい。駆動ギア261を吹出し口ノブ250に連結するようにしてもよい。場合によっては、駆動ギア261を直接、吹出し口ノブ250に取り付けるようにしてもよい。一実施形態では、駆動ギア261と吹出し口ノブ250とを、駆動ギア軸271を介して接続するようにしてもよい。このような配置にして、駆動ギア261を吹出し口ノブ250とともに回転させるような構成にしてもよい。
【0052】
実施形態によっては、ギア列260は従動ギア263を含んでいてもよい。従動ギア263を遮断弁220に連結するようにしてもよい。場合によっては、従動ギア263を、直接、遮断弁220に取り付けてもよい。一実施形態では、従動ギア軸273を介して、従動ギア263と遮断弁220とを接続してもよい。このような配置にして、従動ギア263を遮断弁220とともに回転するように構成してもよい。つまり、従動ギア263を回転させることで遮断弁220を回転させるような構成にしてもよい。
【0053】
実施形態によっては、ギア列260は、さらに、遊びギア262を含んでいてもよい。遊びギア262を、駆動ギア261と従動ギア263との間に配置するようにしてもよい。一般的に、遊びギア262を遊びギア軸272回りに回転させるように構成してもよい。このような配置にして、遊びギア262を、駆動ギア261と従動ギア263との間で回転運動を伝達するような構成にしてもよい。
【0054】
図3に示すように、ギア列260を、ダクト120の曲部140に沿うように曲げる構成にしている。本実施形態では、駆動ギア261は、概ね、曲部140の第1部位602に対して平行になるように配置してもよい。さらに、遊びギア262は、実質的に、曲部140の第2部位604に対して平行になるように配置してもよい。同じく、従動ギア263は、概ね、曲部140の第3部位606に対して平行になるように配置してもよい。
【0055】
一般に、ギア261〜ギア263の種類は、いずれであってもよい。ギアの種類の例としては、平ギア、ヘリカルギア、ダブルヘリカルギア、ベベルギア、クラウンギアおよびこの他の種類のギアが含まれるが、これらのみに限定されるものではない。実施形態によっては、ギア261〜ギア263は、各ギアに連結する歯が互いに螺合するものであれば、異なる種類のギアであってもよい。さらに、詳細な説明における実施形態では、ギア全周に歯を備える、あるいは、ギアの周囲の一部のみに歯を備えるようにしてもよい。
【0056】
実施形態によっては、ギア261〜ギア263は同じ寸法であってもよい。他の実施形態では、ギア261〜ギア263の各寸法が異なっていてもよい。前記の通り、異なる寸法のギアを用いることで、他の種類の駆動機構よりも機械効率が向上する。
【0057】
本実施形態では、ギア261〜ギア263は、すべてベベルギアである。このようにベベルギアを配置することで、本実施形態で具現化されるように、ギア261〜ギア263が互いに所定の角度で配置されると、隣接するギアの歯が互いにかみ合う。本実施形態では、駆動ギア261の第1面621は、遊びギア262の第2面622に対して角度A1をなす。同じく、遊びギア262の第2面622は、従動ギア263の第3面623に対して角度A2をなす。角度A1およびA2は、0度から180度の任意の角度であってもよい。一実施形態では、角度A1と角度A2とは略等しく、約120度の値である。
【0058】
図4〜図6は、吹出し口ノブ250を用いて遮断弁220を開閉する態様を示すものである。なお、記載の明確さを目的に、吹出し口110とダクト120を透視するように示した。さらに、以下の詳細な記載では、各種ギアの時計回りおよび反時計回りへの回転について説明する。なお、ギアの動作は、当該ギアの軸に対する回転として説明している。特に、駆動ギア261と吹出し口ノブ250の回転は、駆動ギア軸271に関する回転として記載している。同様に、ギア262およびギア263は、それぞれ、ギア軸272およびギア軸273に関する回転として記載している。
【0059】
一般に、遮断弁220の動作は、ギア列260を介して遮断弁220の動作となる吹出し口ノブ250の動作によって直接制御される。吹出し口ノブ250が反時計回りに回転すると、駆動ギア261も反時計回りに回転する。駆動ギア261が反時計回りに回転すると、遊びギア262は時計回りに回転する。遊びギア262が時計回りに回転すると、従動ギア263は、反時計回りに回転する。
【0060】
なお、上記の動作は、吹出し口ノブ250が時計回りに回転するときには、逆になるようにしてもよい。具体的には、吹出し口ノブ250が時計回りに回転すると、駆動ギア261も時計回りに回転する。駆動ギア216が時計回りに回転すると、遊びギア262は反時計回りに回転する。遊びギア262が反時計回りに回転すると、従動ギア263は時計回りに回転する。
【0061】
現在の実施形態では、従動ギア263は吹出し口ノブ250と同じ方向に回転することは明らかである。遊びギアの数が異なるような他の実施形態では、この関係が逆になることもある。つまり、実施形態によっては、従動ギア263を、吹出し口ノブ250とは反対の方向に回転するように構成するようにしてもよい。このようにギア列を代替的に構成することで、吹出し口ノブを使って遮断バルブを操作することも可能であり、現在の実施形態で説明した同一の基本原理を、ギアの数が異なるような実施形態にも適用することができる。
【0062】
吹出し口110は、吹出し口ノブ250が360度回転するのを防ぐ構成にしてもよい。このような構成では、吹出し口ノブ250が全回転するのを防ぐような機械的なストッパを備えるようにしてもよい。実施形態によっては、吹出し口ノブ250を180度回転するように構成してもよい。一実施形態では、吹出し口ノブ250の回転が180度未満になるように構成してもよい。
【0063】
図4を参照しつつ、吹出し口ノブ250の第1端部302がスロット254から全露出するまで、吹出し口ノブ250を時計回りに回転させることで、遮断弁220を開くようにしてもよい。前記の通り、機械的なストッパを使って、吹出し口ノブ250がさらに時計回りに回転しないようにしてもよい。一実施形態では、吹出し口ノブ250を時計回りいっぱいに回転させると、遮断弁220が開位置に来るように構成する。遮断弁220の向きをこのようにすることで、通常、ダクト120を通過して吹出し口110から吹出す空気の流れを最大化することができる。
【0064】
図5を参照しつつ、吹出し口ノブ250の第2端部402がスロット254から全露出するまで、吹出し口ノブ250を反時計回りに回転させることで、遮断弁220を概ね閉じるようにしてもよい。前記の通りに、機械的なストッパを用いて、吹出し口ノブ250がさらに反時計回りに回転しないようにしてもよい。一実施形態では、吹出し口ノブ250を反時計回りいっぱいに回転させると、遮断弁220が閉位置に来るように構成する。遮断弁220の向きをこのようにすることで、通常、ダクト120を通過して吹出し口110から吹出す空気の流れを防ぐことができる。
【0065】
図6を参照しつつ、遮断弁220を回転させて開位置と閉位置との間の任意の中間位置に設定するようにしてもよい。本実施形態では、遮断弁220の向きを中間位置に設定する。この場合、吹出し口ノブ250の中間位置504が吹出し口110のスロット254から露出するように、吹出し口ノブ250を設定する。「中間位置」とは、詳細な説明と請求項の記載を通じて用いられるように、遮断弁の全開から全閉までの任意の位置を指す。時計回りの最大回転と反時計回りの最大回転との間で、吹出し口ノブ250を調節することで、遮断弁220の向きを各種の中間位置に設定することができる。このように構成すれば、運転者や同乗者は、吹出し口110から吹出す空気の量と方向を制御することができる。
【0066】
本願の各種実施形態について記載してきたが、前記の記載は限定を意図するものではなく、例示として行なったものであり、本発明の範囲内において、さらに多くの実施形態および実装が可能であることは当業者には明らかである。したがって、本発明は、付属の請求項およびその均等物に照らす場合を除いて、制限されるものではない。さらに、付属の請求項の範囲内において、各種の修正および変更を行なうことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
換気システムを備える原動機付車両であり、
前記換気システムは、
ダクトと、前記ダクトの端部に接続する吹出し口と、
前記ダクト内に配置され、実質的に、前記吹出し口に対して角度をなす遮断弁と、
前記吹出し口の吹出し口ノブに、軸を介して接続される駆動ギアと、
前記遮断弁に、軸を介して接続される従動ギアと、を備え、
前記遮断弁は、前記吹出し口ノブを操作することで開閉される
ことを特徴とする換気システムを備える原動機付車両。
【請求項2】
少なくとも1つの遊びギアは、前記駆動ギアに螺合することを特徴とする請求項1に記載の換気システムを備える原動機付車両。
【請求項3】
前記吹出し口ノブは、サムホイールであることを特徴とする請求項1に記載の換気システムを備える原動機付車両。
【請求項4】
前記少なくとも1つの遊びギアを、前記駆動ギアと前記従動ギアとの間に配置することを特徴とする請求項2に記載の換気システムを備える原動機付車両。
【請求項5】
前記駆動ギアは、ベベルギアであることを特徴とする請求項1に記載の換気システムを備える原動機付車両。
【請求項6】
前記従動ギアは、ベベルギアであることを特徴とする請求項1に記載の換気システムを備える原動機付車両。
【請求項7】
前記少なくとも1つの遊びギアは、ベベルギアであることを特徴とする請求項2に記載の換気システムを備える原動機付車両。
【請求項8】
換気システムを備える原動機付車両であり、
前記換気システムは、
ダクトおよび前記ダクトの端部に接続する吹出し口と、
前記吹出し口に隣接する前記ダクトの曲部と、
前記曲部に隣接して配置される前記ダクトの直線部と、
を備え、
前記吹出し口は吹出し口ノブを備え、
前記換気システムは、さらに、
前記直線部に連結する遮断弁と、
前記吹出し口ノブを、前記吹出し口ノブに連結する駆動ギアと、前記遮断弁に連結する前記従動ギアと、前記駆動ギアと前記従動ギアとの間に配置される遊びギアとを備えた前記遮断弁に接続するギア列と、
を備え、
前記駆動ギアおよび前記従動ギアの両方を、前記遊びギアに対して所定の角度をもって配置することを特徴とする換気システムを備える原動機付車両。
【請求項9】
前記遮断弁を、前記吹出し口に対して、実質的に角度をもって配置することを特徴とする請求項8に記載の換気システムを備える原動機付車両。
【請求項10】
前記ギア列を、前記曲部の外面上に配置することを特徴とする請求項8に記載の換気システムを備える原動機付車両。
【請求項11】
前記駆動ギアは軸を介して、前記吹出し口ノブに接続されることを特徴とする請求項8に記載の換気システムを備える原動機付車両。
【請求項12】
前記従動ギアは軸を介して、前記遮断弁に接続されることを特徴とする請求項8に記載の換気システムを備える原動機付車両。
【請求項13】
前記従動ギアと前記遊びギアとを、略120度の角度をもって配置することを特徴とする請求項8に記載の換気システムを備える原動機付車両。
【請求項14】
前記駆動ギアと前記遊びギアとを、略120度の角度をもって配置することを特徴とする請求項8に記載の換気システムを備える原動機付車両。
【請求項15】
換気システムを備える原動機付車両であり、
前記換気システムは、
ダクトおよび前記ダクトの端部に接続する吹出し口と、
前記吹出し口に隣接して配置される前記ダクトの曲部と、
前記曲部に隣接して配置される前記ダクトの直線部と、
を備え、
前記吹出し口は吹出し口ノブを備え、
さらに、前記換気システムは、
前記直線部に連結する遮断弁と、
前記吹出し口の吹き出し口ノブと前記遮断弁とを接続する複数のギアを備えるギア列と、
を備え、
前記ギア列を、前記曲部の外面上に配置し、
前記複数のギアの各々を、前記曲部の隣接する部位に対して、実質的に平行に配置する
ことを特徴とする換気システムを備える原動機付車両。
【請求項16】
前記複数のギアは、駆動ギアを含むことを特徴とする請求項15に記載の換気システムを備える原動機付車両。
【請求項17】
前記複数のギアは、従動ギアを含むことを特徴とする請求項16に記載の換気システムを備える原動機付車両。
【請求項18】
前記複数のギアは、遊びギアを含むことを特徴とする請求項17に記載の換気システムを備える原動機付車両。
【請求項19】
前記従動ギアと前記遊びギアとは、互いに所定の角度をなすことを特徴とする請求項18に記載の換気システムを備える原動機付車両。
【請求項20】
前記駆動ギアと前記遊びギアとは、互いに所定の角度をなすことを特徴とする請求項18に記載の換気システムを備える原動機付車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2011−529168(P2011−529168A)
【公表日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−520087(P2011−520087)
【出願日】平成21年7月13日(2009.7.13)
【国際出願番号】PCT/US2009/050384
【国際公開番号】WO2010/011517
【国際公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】