説明

換気装置

【課題】 ビニールハウス等に設けられる換気装置の改良に関し、窓枠の下辺部を揺動して換気口を閉じるとき、ガタツキが発生することを防止する。
【解決手段】 換気口Cを形成する換気枠1と、換気枠1の正面に下辺部を揺動自在に取り付けられる窓枠2と、換気枠1に架設されてスリット30が形成される支柱3と、窓枠2に架設される支持材4L、4Rと、窓枠2を駆動する駆動手段5と、換気口Cを開く方向に窓枠2を附勢する附勢手段9とを備え、駆動手段5が支柱3の背面に固定されるハウジング50と、ハウジング50に軸支される歯車6と、歯車6に基部70が噛合すると共に基部70に連設される駆動アーム本体71がスリット30を貫通して窓枠2側に突出し歯車6の回転に伴い上下方向に回転する駆動アーム7と、一端側が駆動アーム7の先端部71aに揺動自在に連結されて他端側が支持材4L、4Rに揺動自在に連結されるリンク8L、8Rとを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、農作物や園芸用植物等を育成するために利用されるビニールハウスの妻面、屋根面、側面等に設けられて、ビニールハウス内を換気する換気装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ビニールハウスの妻面、屋根面、側面等に設けられて、ビニールハウス内を換気する換気装置は、ビニールハウス内の温度や湿度等を適正に保ち、農作物や園芸用植物等の生育環境を整えるものである。
【0003】
換気装置は各種提案がなされており、例えば、特許文献1の図1に記載されるように、ビニールハウスの妻面、屋根面または側面に換気口を形成する換気枠と、この換気枠の正面に下辺部を揺動自在に取り付けられて上記換気口を開閉する窓枠と、上記換気枠の上下に架設されて軸方向にスリットが形成される支柱と、上記窓枠の上下に架設される支持材と、上記窓枠を駆動する駆動手段とを備える。
【0004】
この駆動手段は、上記支柱の背面側に設けられ外周に螺旋状のリブが形成される操作ロッドと、この操作ロッド外周に螺合して上記操作ロッドの回転に従い上下方向に移動するスライダーと、一端側がこのスライダーに揺動自在に連結されて他端側が上記スリットを貫通して窓枠側に突出するブラケットと、一端側がこのブラケットに固定されて他端側が上記支持材に揺動自在に連結されるリンクとを有する。
【0005】
上記構成を備えることにより、上記操作ロッドを回転してスライダーを上下動し、上記リンクの傾きを変化させて上記窓枠の下辺部を揺動し換気口を開閉することが可能となる。
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示の換気装置においては、上記操作ロッドを備えることにより、換気装置が大型化して重量が増し、コスト高となる不具合があった。
【0007】
そこで、出願人は、上記不具合を解決するため、上記操作ロッドを設けることなく窓枠を駆動することが可能な換気装置を発明した(特願2010−014386)。
【0008】
この換気装置における駆動手段は、支柱に保持されるハウジングと、このハウジングに軸支される歯車と、この歯車に基部が噛合すると共にこの基部に連設される駆動アーム本体がスリットを貫通して窓枠側に突出し上記歯車の回転に伴い上下方向に回転する駆動アームと、一端側がこの駆動アームの先端部に揺動自在に連結されて他端側が上記支持材に揺動自在に連結されるリンクとを有する。
【0009】
上記構成を備えることにより、上記歯車を回転して駆動アームを上下方向に回転し、リンクの傾きを変化させて上記窓枠の下辺部を揺動し換気口を開閉することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2005−245203号 公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記従来の換気装置において、操作ロッドを設けることなく窓枠を揺動して換気口を開閉し、換気装置を小型化して軽量化することが可能となる点において有用であるが、以下の不具合を指摘される虞がある。
【0012】
即ち、歯車と駆動アームの歯と歯の間には隙間(バックラッシュ)が設けられているため、窓枠の下辺部を換気口側に向けて揺動し換気口を閉じるとき、窓枠の重みで上記隙間分駆動アームが回転し、ガタツキを生じる。
【0013】
そこで、本発明の目的は、換気口を閉じるときに上記ガタツキを防止することが可能な換気装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するための手段は、換気口を形成する換気枠と、この換気枠の正面に下辺部を揺動自在に取り付けられて上記換気口を開閉する窓枠と、上記換気枠の上下に架設されて軸方向に沿ってスリットが形成される支柱と、上記窓枠の上下に架設される支持材と、上記窓枠を駆動する駆動手段とを備え、この駆動手段が上記支柱の背面に固定されるハウジングと、このハウジングに軸支される歯車と、この歯車に基部が噛合すると共にこの基部に連設される駆動アーム本体が上記スリットを貫通して窓枠側に突出し上記歯車の回転に伴い上下方向に回転する駆動アームと、一端側がこの駆動アームの先端部に揺動自在に連結されて他端側が上記支持材に揺動自在に連結されるリンクとを有する換気装置において、上記換気口を開く方向に上記窓枠を附勢する附勢手段を備えることことである。
【0015】
この場合において、上記支持材は、上記窓枠体の内側に左右に配置され、上記リンクは、上記駆動アームの左右に設けられてなり、左側のリンクは、その一端側が上記駆動アームの先端部の左側に、その他端側が左側の支持材に揺動自在に連結され、右側のリンクは、その一端側が上記駆動アームの先端部の右側に、その他端側が左側の支持材に揺動自在に連結されることが好ましい。
【0016】
この場合において、上記附勢手段は、ダブルトーションばねからなり、先端部が左右の上記リンクの上面にそれぞれ引っ掛かる左右一対のアーム部と、これらのアーム部にそれぞれ連設される左右一対のコイル部と、これらのコイル部を連結すると共に駆動アーム本体上面に当接する連結部とを備え、上記コイル部が駆動アームと上記リンクとを連結する連結手段に保持されることが好ましい。
【0017】
この場合において、上記連結手段は、ボルトと、このボルトの外周に遊嵌されて直列に配置される三本の筒体と、同じく上記ボルトの外周に遊嵌されて上記各筒体の両側に配置される四枚のワッシャと、上記ボルトの先端部に螺合するナットとを備え、中央の筒体が上記駆動アームの先端部を左右に貫通すると共に、この筒体の左右に回転自在に装着される左右のホルダに左右の上記リンクの他端が結合し、左右の筒体が左右の上記コイル部内に遊嵌されることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に記載の発明によれば、附勢手段を備えることにより、換気口を閉じるときに発生するガタツキを防止することが可能となる。
【0019】
請求項2に記載の発明によれば、窓枠をバランスよく支え、揺動させることが可能となり、強度を増すことが可能となる。
【0020】
請求項3に記載の発明によれば、附勢手段の構成が簡易で、附勢手段の取り付けが容易に可能となる。
【0021】
請求項4に記載の発明によれば、附勢手段が左右に移動したとしても脱落することがなく、附勢手段がリンクの円滑な揺動の妨げとならない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施の形態に係る換気装置を備えるビニールハウスを示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係る換気装置を示す斜視図である。
【図3】本発明の一実施の形態に係る換気装置における駆動手段周辺部を拡大し、一部を切り欠いて示す斜視図である。
【図4】本発明の一実施の形態に係る換気装置における駆動手段の一部、附勢手段及び連結手段を拡大して示す分解斜視図である。
【図5】本発明の一実施の形態に係る換気装置における附勢手段周辺部を拡大して示す斜視図である。
【図6】本発明の一実施の形態に係る換気装置を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に本発明の一実施の形態を示す換気装置について図面を参照しながら説明する。いくつかの図面を通して付された同じ符号は、同じ部品かまたはそれに対応する部品を示す。
【0024】
図1に示すように、上記換気装置Aは、農作物や園芸用植物を育成するためのビニールハウスHの妻面H1、屋根面H2、側面H3等に設けられて、ビニールハウスH内を換気するものである。
【0025】
そして、換気装置Aは、図2に示すように、換気口Cを形成する換気枠1と、この換気枠1の正面に下辺部を揺動自在に取り付けられて上記換気口Cを開閉する窓枠2と、上記換気枠1の上下に架設されて軸方向に沿ってスリット30が形成される支柱3と、上記窓枠1の上下に架設される支持材4L、4Rと、上記窓枠2を駆動する駆動手段5とを備える。
【0026】
この駆動手段5は、図3に示すように、上記支柱3の背面に固定されるハウジング50と、このハウジング50に軸支される歯車6と、この歯車6に基部70が噛合すると共にこの基部70に連設される駆動アーム本体71が上記スリット30を貫通して窓枠2側に突出し上記歯車6の回転に伴い上下方向に回転する駆動アーム7と、一端側がこの駆動アーム7の先端部71aに揺動自在に連結されて他端側が上記支持材4L、4Rに揺動自在に連結されるリンク8L、8Rとを有し、換気装置Aは、上記換気口Cを開く方向に上記窓枠2を附勢する附勢手段9を備える。
【0027】
以下に、本実施の形態に係る換気装置Aの各構成部品について詳細に説明する。
【0028】
上記換気枠1は、図2に示すように、四本の換気枠体1U、1B、1L、1Rからなり、換気枠体1U、1B、1L、1Rが一本ずつ上下左右に配置されて矩形に形成される。また、換気枠1は、ビニールハウスHの妻面H1、屋根面H2、側面H3等に設けられて各換気枠体1U、1B、1L、1Rの内側に換気口Cを形成する。尚、図示しないが、換気口Cから害虫や害鳥が侵入することを防止するため、換気枠1にネットが展張される。
【0029】
上記換気枠1の正面に対向して下辺部を揺動自在に取り付けられる窓枠2は、四本の窓枠体2U、2B、2L、2Rからなり、窓枠体2U、2B、2L、2Rが一本ずつ上下左右に配置されて矩形に形成される。本実施の形態において、上側の窓枠体2Uが上側の換気枠体1Uに枢着されてなり、窓枠2の下辺部に位置する下側の窓枠体2Bを下側の換気枠体1Bに離着座させる。
【0030】
また、符示しないが、上記窓枠2にはビニールシートが展張されており、下側の窓枠体2Bを下側の換気枠体1Bに当接させて換気口Cを閉じたとき、上記ビニールシートで風雨が換気口CからビニールハウスH内に浸入することを防止することが可能となり、下側の窓枠体2Bを下側の換気枠体1Bから離して換気口Cを開いたとき、換気口Cを介してビニールハウスH内を換気することが可能となる。
【0031】
上記換気枠1には支柱3が、上記窓枠2には支持材4L、4Rがそれぞれ上下に架設されてなり、上記支柱3と上記支持材4L、4Rとの間に窓枠2を駆動するための駆動手段5が介装される。
【0032】
上記支柱3は、上側の換気枠体1Uと下側の換気枠体1Bとの間に架設されて換気枠1の略中央に設けられる。支柱3の略中央部には、軸方向に沿って支柱3を前後に貫通するスリット30が形成されてなる。一方、上記支持材4L、4Rは、上側の窓枠体2Uと下側の窓枠体2Bとの間に架設されて窓枠体2の内側に左右に配置される。
【0033】
上記駆動手段5は、図3に示すように、支柱3の背面側に固定されるハウジング50と、このハウジング50に軸支される歯車6と、この歯車6に基部70が噛合する駆動アーム7とを備え、駆動アーム7がスリット30を貫通して窓枠2側に突出する。
【0034】
上記歯車6は、螺子歯車からなり、外周に螺旋状の歯6aを備え、支柱3の背面に対向して垂直に設けられる。この歯車6の背面側には滑車51が連結され、この滑車51の外周に沿って二条の溝51a、51bが形成されている。そして、これらの溝51a、51bに牽引ロープ52が掛け回され、この牽引ロープ52の両端が滑車51の両側から垂れ下がり、ハウジング50の図中下端に取り付けられるブラケット53によって交差する。
【0035】
上記構成を備えることにより、作業者が牽引ロープ52の端部を引っ張ることにより滑車51を介して歯車6を回転し、駆動アーム7を図中上下方向に回転駆動することが可能となる。尚、図示しないが歯車6にモータを連結してこのモータを操作することにより歯車6を回転させるとしても良く、歯車6を回転するための構成は適宜選択することが可能である。
【0036】
上記駆動アーム7は、支柱3のスリット30を前後に貫通する平板状部材であり、支柱3の背面側に配設されてハウジング50に軸支される基部70と、この基部70に連設されて支柱3の正面側(窓枠2側)に突出する駆動アーム本体71とを備える。
【0037】
駆動アーム7の基部70は、略円盤状に形成されて図中上側外周に沿って歯車6の歯6aに噛合する複数の歯7aを備え、噛合する歯6aと歯7aの間に歯車の回転を可能にする所定の隙間(バックラッシュ)が形成される。
【0038】
尚、図中には、歯車6を図中上側に、駆動アーム7の基部70を図中下側に配置した状態を示すがこの限りではなく、図示しないが、駆動アーム7の基部70の下側外周に沿って歯7aを設け、歯車6を下側にして基部70に噛合させるとしても良く、駆動アーム7の形状を適宜選択することが可能である。
【0039】
また、本実施の形態においては、歯車6と駆動アーム7の基部70とでウォームギヤを構成し、歯車6で駆動アーム7を図中上下方向に回転させるがこの限りではなく、他の歯車機構を選択して駆動アーム7を回転させるとしても良い。
【0040】
上記駆動アーム本体71は、図4に示すように、基部70の正面側の下部から図中上方に向けて延設される連結片71cと、この連結片71cから正面に向けて湾曲する湾曲部71bと、この湾曲部71bの正面側に延設されてリンク8L、8Rに連結する先端部71aとを備える。
【0041】
そして、上記先端部71aに連結されるリンク8L、8Rは、駆動アーム7の左右に設けられてなり、左側(図5中右側)のリンク8Lは、その一端側が駆動アーム7の先端部71aの左側(図5中右側)に、その他端側が左側の支持材4Lの略中央部に揺動自在に連結される。一方、右側(図5中左側)のリンク8Rは、その一端側が駆動アーム7の先端部71aの右側(図5中左側)に、その他端側が右側の支持材4Rの略中央部に揺動自在に連結される。
【0042】
尚、リンク8L、8Rを二本設けて左右の支持材4L、4Rに連結させることにより、窓枠2をバランスよく支えて揺動させ、リンク8L、8Rの強度を増すことが可能となるが、リンク及び支持材を一本ずつ設けるとしても良く、また、リンク8L、8Rを左右の窓枠体2L、2Rに連結させて左右の窓枠体2L、2Rを支持材4L、4Rとして機能させるとしても良い。
【0043】
上記構成を備えることにより、図6中二点鎖線で示すように、駆動アーム7の先端部71aが図中下方に位置するとき、リンク8L、8Rが一端側(駆動アーム7側)から他端側(支持材4L、4R側)に向けて起立するためリンク8L、8Rの傾きが大きくなり、窓枠2の下辺部が換気枠1に接近して換気口Cの開口量が小さくなる。
【0044】
そして、駆動アーム7を図中上方に向けて回転すると、リンク8L、8Rが一端側(駆動アーム7側)を図中上方に押し上げられて倒れるためリンク8L、8Rの傾きが小さくなり、窓枠2の下辺部が換気枠1から離間して換気口Cの開口量が大きくなる。つまり、駆動アーム7を回転してリンク8L、8Rの傾きを変化させることにより、窓枠2の下辺部を揺動し、換気口Cを開閉することが可能となる。
【0045】
本実施の形態において、図5に示すように、駆動アーム本体71とリンク8L、8Rとの間に窓枠2を開く方向に附勢する附勢手段9が介装され、この附勢手段9は、ダブルトーションばねからなる。このダブルトーションばね9は、先端部が左右のリンク8L、8Rの上面にそれぞれ引っ掛かる左右一対のアーム部90L、90Rと、これらのアーム部90L、90Rにそれぞれ連設される左右一対のコイル部91L、91Rと、これらのコイル部91L、91Rを連結すると共に駆動アーム7の連結片71c上面に当接する連結部92とを備える。
【0046】
また、上記コイル部91L、91Rは、駆動アーム7にリンク8L、8Rを揺動自在に連結する連結手段10に保持されながらアーム部90L、90Rで左右のリンク8L、8Rを、連結部92で駆動アーム7の連結片71cをそれぞれ図中下側に附勢する。
【0047】
当該構成を備えることにより、ダブルトーションばね9は、リンク8L、8Rの上面と駆動アーム7の連結片71c上面とを離間させる方向、即ち、リンク8L、8Rの傾きを小さくして換気口Cを開く方向に附勢することが可能となる。
【0048】
したがって、ダブルトーションばね9で窓枠2を開く方向に支えながら換気口Cを閉じることから、換気口Cを閉じるときのガタツキを防止することが可能となる。また、ダブルトーションばね9は、換気口Cを開く方向に窓枠2を附勢することから、換気口Cを開く作業が従来よりも容易に可能となる。
【0049】
また、附勢手段をダブルトーションばね9で構成することにより、附勢手段の構成が簡易であり、附勢手段の取り付けが容易となるが、上記附勢手段及び附勢手段を取り付ける位置は、上記の限りではなく、換気口Cを開く方向に窓枠2附勢し得る限りにおいて、適宜構成を選択することが可能である。
【0050】
上記ダブルトーションばね9を保持すると共に駆動アーム7にリンク8L、8Rを揺動自在に連結する連結手段10は、図4に示すように、ボルト11と、このボルト11の外周に遊嵌されて直列に配置される三本の筒体12L、12C、12Rと、同じくボルト10の外周に遊嵌されて各筒体12L、12C、12Rの両側に配置される四枚のワッシャW、W、W、Wと、上記ボルト11の先端部に螺合して上記筒体12L、12C、12RおよびワッシャW、W、W、Wの抜け止めをするナット13とを備える。
【0051】
そして、中央の筒体12Cが駆動アーム7の先端部71aを左右に貫通し、この筒体12の左右に回転自在に装着される左右のホルダ14L、14Rに左右のリンク8L、8Rが結合する。また、左右の筒体12L、12Rは、ダブルトーションはね9の左右のコイル部91L、91R内に遊挿される。
【0052】
上記構成を備えることにより、ダブルトーションはね9が左右に移動したとしても、左右の筒体12L、12Rの両側に配置されるワッシャW、W、W、Wがコイル部91L、91Rの左右の移動を規制するため、ダブルトーションばね9の脱落を防止することが可能となる。
【0053】
また、中央の筒体12Cの両側に配置されるワッシャW、Wで中央の筒体12Cを区画してコイル部91L、91Rとリンク8L、8Rとが接触することを防止すると共に、中央の筒体12Cと左右の筒体12L、12Rとが相対回転可能であるため、コイル部91L、91Rが縮径して左右の筒体12L、12Rを締め付けたとしてもリンク8L、8Rの円滑な揺動の妨げとならない。
【0054】
次に、本実施の形態に係る換気装置の作動について説明する。まず、下側の窓枠体2Bと下側の換気枠体1Bとが最も離間して、換気口Cが最も開いた状態にあるとき、図6中実線で示すように、駆動アーム7の先端部71aが図中上方に位置し、リンク8L、8Rが倒れてリンク8L、8Rの傾きが小さい。このとき、ダブルトーションばね9は、略伸び切った状態にある。
【0055】
そして、換気口Cを閉じるため、作業者が牽引ロープ52の一端側を引っ張ると、歯車6の回転に伴い駆動アーム7が回転してその先端部71aが図中下方に移動する。このとき、リンク8L、8Rが起立してリンク8L、8Rの傾きが大きくなり、リンク8L、8Rの上面と駆動アーム7の連結片71cの上面が接近するため、ダブルトーションばね9が折り曲げられてはね反力を生じ、換気口Cを開く方向に附勢する。
【0056】
更に歯車9を回転して下側の窓枠体2Bを下側の窓枠体1Bに当接させ換気口Cを閉じたとき、リンク8L、8Rは支持材4L、4Rに沿って略垂直に起立し、左右のリンク8L、8Rの間に駆動アーム7の先端部71aの上部が挿入されて、リンク8L、8Rと先端部71aの一部が重なり、ダブルトーションばね9のばね反力が最大となる。
【0057】
一方、換気口Cを開くため、作業者が牽引ロープ52の他端側を引っ張ると、歯車6が逆方向に回転し、この歯車6の回転に伴い駆動アーム7が回転してその先端部71aが図中上方に移動し、リンク8L、8Rの一端側(駆動アーム7側)を図中上方に押し上げる。このとき、ダブルトーションばね9で附勢されながら、リンク8L、8Rが倒れてリンク8L、8Rの傾きが小さくなり、リンク8L、8Rの上面と駆動アーム7の連結片71cの上面が離間して、ダブルトーションばね9が伸びる。
【0058】
以上、本発明の好ましい実施の形態を説明したが、特許請求の範囲から逸脱することなく改造、変形及び変更を行うことができることは理解すべきである。
【符号の説明】
【0059】
A 換気装置
H ビニールハウス
W ワッシャ
C 換気口
1 換気枠
2 窓枠
3 支柱
4L、4R 支持材
5 駆動手段
6 歯車
7 駆動アーム
8L、8R リンク
9 附勢手段(ダブルトーションばね)
10 連結手段
11 ボルト
12L、12C、12R 筒体
30 スリット
50 ハウジング
51 滑車
52 牽引ロープ
70 基部
71 駆動アーム本体
90L、90R アーム部
91L、91R コイル部
92 連結部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
換気口を形成する換気枠と、この換気枠の正面に下辺部を揺動自在に取り付けられて上記換気口を開閉する窓枠と、上記換気枠の上下に架設されて軸方向に沿ってスリットが形成される支柱と、上記窓枠の上下に架設される支持材と、上記窓枠を駆動する駆動手段とを備え、
この駆動手段が上記支柱の背面に固定されるハウジングと、このハウジングに軸支される歯車と、この歯車に基部が噛合すると共にこの基部に連設される駆動アーム本体が上記スリットを貫通して窓枠側に突出し上記歯車の回転に伴い上下方向に回転する駆動アームと、一端側がこの駆動アームの先端部に揺動自在に連結されて他端側が上記支持材に揺動自在に連結されるリンクとを有する換気装置において、
上記換気口を開く方向に上記窓枠を附勢する附勢手段を備えることを特徴とする換気装置。
【請求項2】
上記支持材は、上記窓枠体の内側に左右に配置され、
上記リンクは、上記駆動アームの左右に設けられてなり、
左側のリンクは、その一端側が上記駆動アームの先端部の左側に、その他端側が左側の支持材に揺動自在に連結され、
右側のリンクは、その一端側が上記駆動アームの先端部の右側に、その他端側が左側の支持材に揺動自在に連結されることを特徴とする請求項1に記載の換気装置。
【請求項3】
上記附勢手段は、ダブルトーションばねからなり、先端部が左右の上記リンクの上面にそれぞれ引っ掛かる左右一対のアーム部と、これらのアーム部にそれぞれ連設される左右一対のコイル部と、これらのコイル部を連結すると共に上記駆動アーム本体上面に当接する連結部とを備え、
上記コイル部が上記駆動アームと上記リンクとを連結する連結手段に保持されることを特徴とする請求項2に記載の換気装置。
【請求項4】
上記連結手段は、ボルトと、このボルトの外周に遊嵌されて直列に配置される三本の筒体と、同じく上記ボルトの外周に遊嵌されて上記各筒体の両側に配置される四枚のワッシャと、上記ボルトの先端部に螺合するナットとを備え、
中央の筒体が上記駆動アームの先端部を左右に貫通すると共に、この筒体の左右に回転自在に装着される左右のホルダに左右の上記リンクの他端が結合し、左右の筒体が左右の上記コイル部内に遊嵌されることを特徴とする請求項3に記載の換気装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate