説明

換気装置

【課題】長期間、ダンパが風路にさらされても、動作不良とならないことを目的とする。
【解決手段】家屋の室内2壁面3に埋め込んで設置する躯体4に、壁面内の風路から空気を取り入れる開口部5と、室内に開口する給気口6と、室内に空気を送り出すファン8と、ファン8を回転させる電動機9と、開口部5にダンパ10と、ダンパ10を駆動するダンパ駆動電動機11と、ダンパ10の開閉状態を検知するリミットスイッチ16と、ファン8とダンパ駆動電動機11の動作を制御する制御部を備え、制御部はリミットスイッチ16の検知した閉から開までの時間を計測し、計測された時間からダンパの固着状態を検出し、固着状態に応じてダンパ開閉動作時のトルクを変更してダンパ開閉動作を行うことにより塵埃を取り除く固着防止動作を実施する固着防止手段20とを備えたことにより、ダンパが長期間、風路にさらされてもダンパの動作不良を防げるという効果が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床下から導入して建築物を換気する換気装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、床下空気を室内へ取り入れて建物内部を換気する換気装置が種々開発されている。以下、その換気装置について図1を参照しながら説明する。
【0003】
図8に示すように、室内壁面に設置する躯体101に、床下からの空気を取り入れる開口部102と、開口部102から室内までの送風路103と、室内に空気を送り出すファン104と、ファン104を回転させるモータ105と、ファン104をモータ105によって回転させることによって発生する風を室内に流入させるための給気口106を備えたことにより、床下からの空気を室内に取り込むものであった(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−139232号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の換気装置では、機械換気による換気を行っていたが、昨今の省エネルギー化のニーズに答え機械換気と自然換気を切り替えて行うものも必要になった。そして、自然換気時の必要換気量を一定に保つために開口部にダンパを設け、温度条件に応じてダンパ角度を自動で調整するという換気装置を考えた。しかし、この換気装置では、ダンパが常に風路にさらされるため、塵埃の影響などによりダンパが固着してしまい、ダンパ角度を自動で調整することができなくなるという課題を発見した。さらに、ダンパがユーザから視認しにくい位置に設置されているため、ユーザが、ダンパが正常動作しているかどうかを確認することが困難であるという課題も見つかった。
【0006】
そこで本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、長期間、ダンパが風路にさらされても、動作不良とならない換気装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そして、この目的を達成するために、本発明は、家屋の室内壁面に埋め込んで設置する躯体を有し、前記躯体には、側面に配置して壁面内の風路から空気を取り入れる開口部と、室内壁面に配置して室内に開口する給気口と、前記開口部から前記給気口までの送風路と、前記送風路に配置して室内に空気を送り出すファンと、前記ファンを強制的に回転させる電動機と、前記開口部には短冊状の板体で縦長に構成されたダンパと、前記ダンパを駆動するダンパ駆動電動機と、前記ダンパの開と閉の状態を検知する開閉検知手段と、前記ファンと前記ダンパ駆動電動機の動作を制御する制御部を備え、前記制御部は前記開閉検知手段の検知した閉から開までの時間を計測する計測手段と、前記計測手段の計測した移動時間からダンパの固着状態を検出する固着検出手段と、前記固着検出手段からの情報に応じて、ダンパ開閉動作時のトルクを変更してダンパ開閉動作を行うことによって塵埃を取り除く固着防止動作を実施する固着防止手段とを備えたものであり、これにより所期の目的を達成するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、家屋の室内壁面に埋め込んで設置する躯体を有し、前記躯体には、側面に配置して壁面内の風路から空気を取り入れる開口部と、室内壁面に配置して室内に開口する給気口と、前記開口部から前記給気口までの送風路と、前記送風路に配置して室内に空気を送り出すファンと、前記ファンを強制的に回転させる電動機と、前記開口部には短冊状の板体で縦長に構成されたダンパと、前記ダンパを駆動するダンパ駆動電動機と、前記ダンパの開と閉の状態を検知する開閉検知手段と、前記ファンと前記ダンパ駆動電動機の動作を制御する制御部を備え、前記制御部は前記開閉検知手段の検知した閉から開までの時間を計測する計測手段と、前記計測手段の計測した移動時間からダンパの固着状態を検出する固着検出手段と、前記固着検出手段からの情報に応じて、ダンパ開閉動作時のトルクを変更してダンパ開閉動作を行うことによって塵埃を取り除く固着防止動作を実施する固着防止手段とを備える構成にしたことにより、計測手段が計測したダンパの閉から開までの時間をもとに固着検出手段がダンパの固着状態を検出し、固着防止手段は、固着検出手段の情報により固着防止動作を実施することとなるのでとなるので、固着防止動作によってダンパ周囲に蓄積している埃等を取り除くことができ、ダンパが固着するのを防ぐという効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の形態1の換気装置を示す斜視図
【図2】同換気装置の上方からの断面構成図
【図3】同換気装置の斜視図
【図4】同換気装置の制御部とアクチュエータのブロック図
【図5】同換気装置の移動時間と固着防止動作要否の関係図
【図6】同換気装置のダンパ移動時間と固着防止動作時トルクの関係図
【図7】本発明の実施の形態2の換気装置を示す斜視図
【図8】背景技術での換気装置の情報からの断面構成図
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の請求項1記載の換気装置は、家屋の室内壁面に埋め込んで設置する躯体を有し、前記躯体には、側面に配置して壁面内の風路から空気を取り入れる開口部と、室内壁面に配置して室内に開口する給気口と、前記開口部から前記給気口までの送風路と、前記送風路に配置して室内に空気を送り出すファンと、前記ファンを強制的に回転させる電動機と、前記開口部には短冊状の板体で縦長に構成されたダンパと、前記ダンパを駆動するダンパ駆動電動機と、前記ダンパの開と閉の状態を検知する開閉検知手段と、前記ファンと前記ダンパ駆動電動機の動作を制御する制御部を備え、前記制御部は前記開閉検知手段の検知した閉から開までの時間を計測する計測手段と、前記計測手段の計測した移動時間からダンパの固着状態を検出する固着検出手段と、前記固着検出手段からの情報に応じて、ダンパ開閉動作時のトルクを変更してダンパ開閉動作を行うことによって塵埃を取り除く固着防止動作を実施する固着防止手段とを備えたことを特徴とする換気装置である。これにより、計測手段が計測したダンパの閉から開までの時間をもとに固着検出手段がダンパの固着状態を検出し、固着防止手段は、固着検出手段の情報により固着防止動作を実施することとなるので、固着防止動作によってダンパ周囲に蓄積している埃等を取り除くことができ、ダンパが固着するのを防ぐという効果を奏する。
【0011】
また、制御部に前記固着検出手段がダンパ固着と判断した場合に、ダンパが固着したことを報知する固着報知手段を備えるという構成にしてもよい。これにより、着検出手段ダンパが固着したこと判断した場合に、固着表示手段がユーザに報知することとなるので、ユーザにダンパが固着したことを認識させ、メンテナンスを促すことで自然換気時の風量制御を行うことができるという効果を奏する。
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0013】
(実施の形態1)
図1に示すように、本発明の換気装置1は、家屋の室内2の壁面3に躯体4を埋め込んだ構成である。
【0014】
躯体4は図2に示すように、壁面3の風路から空気を取り入れる開口部5と、室内2の壁面3に配置して室内に開口する給気口6と、開口部5から給気口6までの送風路7と、送風路7に配置して室内に空気を送り出すファン8と、ファン8を強制的に回転させる電動機9を備える。開口部5には短冊状の板体で縦長に構成されたダンパ10と、ダンパ10を駆動するダンパ駆動電動機11と、ダンパの開と閉の状態を検知する開閉検知手段(後述する)と、ファン8とダンパ駆動電動機11の動作を制御する制御部12を備える。
【0015】
ダンパ10は図3に示すように、一枚の板体で構成され、開口部5に配置される。ダンパ10は制御部12からの命令により、運転停止時は室内2に空気を取り込まないようにダンパ10を全閉とし、機械換気運転時は室内2に空気を取り込むためにダンパ10を全開とするものである。
【0016】
次に、図4を用いて制御部12について説明する。制御部12は室内温度を計測する室温センサ13と、室外温度を計測する室外センサ14と、室温センサ13と室外センサ14が計測した温度差を計算する温度差計算部15を有し、前記温度差計算部15からの情報に応じてファン8の運転と、前記ダンパ10の開度を変更するものである。
【0017】
また、制御部12は図2に示すように、開閉検知手段としてリミットスイッチ16をダンパ10の開度が最小の位置と最大の位置にそれぞれ備えるものである。
【0018】
また、制御部12は、本換気装置に電源投入後、一定時間を計測して一定時間経過後に制御部に一定時間経過したことを伝達するタイマ17と、リミットスイッチ16の信号からダンパ10が閉から開までの時間を計測する計測手段18と、計測手段18の計測した時間からダンパ10の固着状態を、固着防止動作必要、固着防止動作不要、固着防止動作不可、スイッチ故障の4種類に分類して検出する固着検出手段19と、固着検出手段19からの情報と、計測手段18からの時間に応じて、ダンパ開閉動作時のトルクを変更してダンパ開閉動作を行うことによって塵埃を取り除く固着防止動作を実施する固着防止手段20とを備えた構成とする。
【0019】
上記のように構成された換気装置は機械換気運転時、制御部12がダンパ10を全開にし、電動機9がファン8を回転させ、床下と連通した壁面からの空気を開口部5から取り込み、給気口6から室内2へと吹き出すこととなる。さらに、電動機9の回転数を変更することで風量を変更することが可能となる。
【0020】
また、室内温と室外温の温度差がΔT以上になると、空気の揚力が増大して空気が流れやすくなるので、室内空気は部屋の隙間などから室外に抜けていくため、室内は給気口6を介して床下からの温度の低い空気を吸入することとなり、ファンを回転させることなく換気量が確保されるため、温度差検知手段がΔT以上を検出すると、制御部12はファン8を停止させ、自然換気を行う。さらに、この自然換気時の換気量は温度差によって変化するため、給気口に設けられたダンパ10の角度を調節することで、室内外の温度差によらず自然換気時の風量を一定にすることが可能となる。したがって、自然換気運転時は、温度差が大きいと自然換気量が増大するため、制御部12はダンパ10の開度を小さくし、部屋に流入する換気量を抑え、温度差が小さいと自然換気量は減少するため、制御部12はダンパ10の開度を大きくし、部屋に流入する換気量を増やすことができる。
【0021】
しかし、ダンパ10は常に風路にさらされるため、塵埃などの影響により固着してしまうと、換気運転時、特に自然換気時に風量を一定にすることができなくなる。
【0022】
そこで、本実施の形態の換気装置において、換気装置1に電源投入してから一定時間経過後タイマ17が一定時間経過したことを制御部12に伝達し、一定時間経過したという情報を受け取った制御部12はファン8が運転中の場合は風切音の影響を抑えるため、ファン8を停止させてから、ダンパ10を閉動作させ、さらにダンパを開動作させ、制御部12はリミットスイッチ16からの情報によりダンパ閉から開を検知し、計測手段18がダンパ閉から開までの時間を計測する。
【0023】
計測手段18は、閉部のリミットスイッチ16がONの場合はダンパ閉、開部のリミットスイッチ16がONの場合はダンパ開と判断し、制御部12がダンパ10を動作させたときに、ダンパの閉から開までの時間を計測する。なお、計測手段18はダンパ10の閉から開までの時間を計測することとしたが、開から閉までの時間を計測、もしくは開から閉、閉から開などのダンパ10の往復動作の時間を計測することとしてもよい。
【0024】
固着検出手段19の固着検出方法について、図5を用いて説明する。ダンパ10が閉位置から開位置へと移動する移動時間は、ダンパ10の固着度合いによって変化する。同じトルクでダンパ10を動作させると、固着度合いが大きいほどダンパ10動作時にかかる摩擦力が大きくなるため、移動時間は長くなる。例えばダンパの固着度合いが大きい場合は、移動時間は固着していない場合に対して長くなる。逆に、所定の時間よりも短くなることはないため、その場合はリミットスイッチ16が故障していると考えられる。従って、計測手段18によるダンパ閉から開までの時間がts未満の場合は、リミットスイッチ16からの信号が異常であると判断し、スイッチ故障と判断する。ダンパ10の閉から開までの時間がtsからtSまでの間の場合、ダンパ10は固着していないと判断し、固着防止動作不要と判断する。ダンパ10の閉から開までの時間がtS以上の場合、ダンパ10が固着していると判断し、固着防止動作必要と判断する。さらに、計測時間がTm以上の場合、ダンパ10が固着しており、固着防止動作不可と判断する。
【0025】
次に、固着防止手段20の動作について、図6を用いて説明する。計測手段18による計測時間がtS未満の場合スイッチ異常もしくは固着防止動作不要のため、制御部12は固着防止動作を行わない。また、計測時間がtm以上の場合、ダンパ固着動作不可のため、制御部12は固着防止動作を行わない。また、計測時間がtS以上、tm未満の場合、ダンパ10は固着動作必要のため制御部12は、tS以上t1未満の場合、トルクT1でダンパを開閉させ、計測時間がt1以上t2未満の場合、トルクT2でダンパ10を開閉させ、計測時間がt2以上tm未満の場合、トルクはT3でダンパ10を開閉させ、上記固着防止動作後、所定位置に開く。高トルクで固着防止動作を行うことで、固着度合いが大きい場合でもダンパ周辺に蓄積している埃等を取り除くこととなり、長期間風路にさらされてもダンパの動作不良を防ぐことができる。
【0026】
このような構成により、ダンパの固着度合いに応じてダンパ動作時のトルクを変化させることで、ダンパが長期間に渡って風路にさらされてもダンパの動作不良を防ぐことができる。
【0027】
(実施の形態2)
図7において図3と同様の構成要素については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0028】
図7に示すように、制御部12は固着報知手段として報知用LED21を備えた構成とする。制御部12は、固着検出手段19がスイッチ故障、もしくは固着防止動作不可と判断し、固着防止動作を行わない場合に報知用LED21を点灯させるものである。なお、固着報知手段として報知用LEDとしたが、操作部周辺にブザーを設けるという構成にしてもよい。
【0029】
上記のような構成とすることで、ダンパ固着時にユーザに固着を報知することでメンテナンスの必要性を示し、ダンパの動作不良によって風量が確保できなくなるという問題を解決できる。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明にかかる換気装置は、固着度合いに応じた固着防止動作を行うことで、ダンパ周囲に蓄積している埃等を取り除き、ダンパが固着するのを防ぐことを可能とするものであるので、床下から導入して建築物を換気する換気装置として有用である。
【符号の説明】
【0031】
1 換気装置
2 室内
3 壁面
4 躯体
5 開口部
6 給気口
7 送風路
8 ファン
9 電動機
10 ダンパ
11 ダンパ駆動電動機
12 制御部
13 室温センサ
14 室外センサ
15 温度差計算部
16 リミットスイッチ
17 タイマ
18 計測手段
19 固着検出手段
20 固着防止手段
21 報知用LED

【特許請求の範囲】
【請求項1】
家屋の室内壁面に埋め込んで設置する躯体を有し、前記躯体には、側面に配置して壁面内の風路から空気を取り入れる開口部と、室内壁面に配置して室内に開口する給気口と、前記開口部から前記給気口までの送風路と、前記送風路に配置して室内に空気を送り出すファンと、前記ファンを強制的に回転させる電動機と、前記開口部には短冊状の板体で縦長に構成されたダンパと、前記ダンパを駆動するダンパ駆動電動機と、前記ダンパの開と閉の状態を検知する開閉検知手段と、前記ファンと前記ダンパ駆動電動機の動作を制御する制御部を備え、前記制御部は前記開閉検知手段の検知した閉から開までの時間を計測する計測手段と、前記計測手段の計測した移動時間からダンパの固着状態を検出する固着検出手段と、前記固着検出手段からの情報に応じて、ダンパ開閉動作時のトルクを変更してダンパ開閉動作を行うことによって塵埃を取り除く固着防止動作を実施する固着防止手段とを備えたことを特徴とする換気装置。
【請求項2】
請求項1に記載の換気装置は、制御部に前記固着検出手段がダンパ固着と判断した場合に、ダンパが固着したことを報知する固着報知手段を備えたことを特徴とする。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−88022(P2013−88022A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−228596(P2011−228596)
【出願日】平成23年10月18日(2011.10.18)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】