説明

揮散剤装填用のカップ型レフィール容器

【課題】積み上げ状態としても開口部を閉塞しているシールフィルムが捲れ上がることがない揮散剤装填用のカップ型レフィール容器を提案する。
【解決手段】揮散剤VSの設置面底壁部10eと、周壁10a〜10dを備えた揮散剤装填用のカップ型レフィール容器で、周壁に開口部11が形成されて揮散剤を放出するようにされ、開口部は使用前に引き剥がし可能に貼着されたシールフィルム20で閉塞してあり、シールフィルムは、長尺形状で貼着面により前記開口部を塞ぐフィルム本体部21と、その左右の少なくとも一辺に一体的に繋がって前記フィルム本体部を剥がす際に把持される、非貼着の摘み部22とを備え、摘み部22はフィルム本体21側から離れるほどに末端に向けて狭くする傾斜下辺22ULを有し貼着面はフィルム本体部にシール範囲25として設定され、傾斜下辺のフィルム本体部側の起点22R1がシール範囲25内側に配置してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、芳香剤、消臭剤等の揮散する成分を含む揮散剤を内部に充填し、必要なときに開口部を閉塞していたシールフィルムを剥がして使用する揮散剤装填用のカップ型レフィール容器に関する。
【背景技術】
【0002】
芳香剤、消臭等の揮散剤を内容物として充填してある容器は、例えばその内容物が室温程度で気化するものであり口部に揮散器が取り付けてあり、該揮散器を通して内容物を揮散させることが一般に行われている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−131021号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そして、上記よりも簡易な構造で内部に充填した揮散剤を放出させる揮散剤装填用のカップ型レフィール容器も提供されている。図1は、従来の揮散剤装填用容器100について示した図であり、(a)は容器100の正面図、また(b)は空の容器100を互いに積み上げた(スタックした)時の様子について示した図である。
図1(a)で示す揮散剤装填用容器100は上側が開放してある、いわゆるカップ型で、その内部には図示しない揮散剤VS(図2、参照)が充填されている。この揮散剤装填用容器100は上面が開放されたものであるが、揮散剤を充填した後は、密閉用のシート部材101でこの上面が閉塞されて内部空間が閉空間とされる。
【0005】
この揮散剤装填用容器100の周壁102には、内部に収納してある揮散剤VSを放出させるための開口部103が形成してある。ただし、使用前にあってはこの開口部103はシールフィルム110で閉塞されており、使用開始時にシールフィルム110を引き剥がして開口部103を開放することで、揮散剤の放出が可能となる。
【0006】
シールフィルム110は、少なくとも開口部103を塞ぐことができる大きさを有し、接着剤などで貼着される長尺形状のフィルム本体部111、そしてフィルム本体部111の左辺側から延在させた非貼着性の摘み部112により構成されている。このようなシールフィルム110は、図1(a)で示すように、フィルム本体部111と摘み部112を一体とした長方形形状とされるのが一般的である。摘み部112は、開口部103からフィルム本体部111を剥がす際に把持部として使用されるもので、摘み部112を指で摘んで引くことで、フィルム本体部111を開口部103から簡単に剥がすことができる。
【0007】
上記のように、摘み部112を備えるシールフィルム110は、使い勝手が良くなるように工夫されたものである。しかしながら、空の揮散剤装填用容器100を準備し、その内部に揮散剤を充填した製品(揮散剤充填済みの揮散剤容器)を製造する工程では、以下のような不都合が発生する場合がある。この点を、更に図1(b)を参照して説明する。
【0008】
上記のような容器は、例えば揮散剤を充填することなく空容器として利用者(例えば、製品製造者)に提供され、利用者側にて揮散剤をパッキングすることにより最終形態の製品として製造されるという場合が多い。このため、容器の搬送・保管時においては、空容器を互いに積み重ねた状態とすることで、嵩張りを抑制して、省スペース化が図られる。
ところが、空容器を積み重ねしたときに、図1(b)で示すように、上側の容器100Aのシールフィルム110の摘み部112の下端112aが、下側の容器100Bの上端縁に当たる場合がある。このとき、図1(a)で示す従来のように摘み部112の下端辺が水平な直線状であると、摘み部112の下端全体にわたって一度に接触することとなるため、図1(b)で模式的に示したように、下側から捲くれ上がってフィルム本体部111側まで剥離させる場合がある。そして、その剥離部分が開口部103にまで及ぶことになると、容器内部が開口部103を通して開放されるため、使用前の空容器で気密性が損なわれてしまう。このような容器を製造工程で適宜に検査することは手間であり、製造工程が煩雑となる。また、こうした問題は、結果として、製造済みの容器について歩留まり低下を招くことにもなる。
【0009】
よって、本発明の目的は、周壁に形成した開口部を使用前にシールフィルムで閉塞してある揮散剤装填用のカップ型レフィール容器について、積み上げ状態としてもシールフィルムが捲れ上がることがない新規な構造な提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の目的は、揮散剤の設置面を形成する底壁部と、この底壁部の縁部に一体連結して立ち上がり該底壁部と協働してその内側に上向きに開放された内部空間を形成する複数の周壁とを備えた揮散剤装填用のカップ型レフィール容器であって、
前記周壁の少なくとも1つに開口部が形成され、該開口部を介して前記揮散剤を放出するようにされ、前記開口部は使用前にあって引き剥がし可能に貼着されたシールフィルムで閉塞してあり、
前記シールフィルムは、長尺形状で貼着面により前記開口部を塞ぐフィルム本体部と、該フィルム本体部から左右の少なくとも一辺に一体的に繋がって前記フィルム本体部を前記開口部から剥がす際に把持される、非貼着の摘み部とを備え、
前記摘み部は、前記フィルム本体側から離れるほどに、摘み幅を末端に向けて狭くする傾斜下辺を有すると共に、
前記貼着面は前記フィルム本体部にシール範囲として設定されており、前記傾斜下辺の前記フィルム本体部側の起点が前記シール範囲内側に配置してある揮散剤装填用のカップ型レフィール容器により達成される。
【0011】
また、前記傾斜下辺の前記フィルム本体部側の起点が、前記フィルム本体部の角部とされており、前記角部が丸め加工されているのが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、開口部を塞ぐシールフィルムがフィルム本体部と一体的に設けた非貼着の摘み部を備え、この摘み部はフィルム本体側から離れる末端側となるほどに、摘み幅を狭くする傾斜下辺を有する。このような形状であると、空容器同士で積み上げたときに、上側に位置する容器の摘み部の下端全体が下に位置する容器の上端部に一度に当たるということがなく、傾斜下辺の下側から傾斜下辺に沿って下の容器の内側に滑り込むようになる。特に、傾斜下辺のフィルム本体部側の起点がシール範囲内側に配置してあるので、傾斜下辺の下端が周壁に貼着固定されため、確実かつスムーズに下容器の内側に滑り込ませる状態にできる。よって、従来のように摘み部が当たって、シールフィルムが捲れ上がる事態の発生を防止できる。その結果、揮散剤を充填する工程での効率向上、及び容器の製造歩留まりの向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】従来のシールフィルムを用いる揮散剤装填用容器で発生する不都合を説明するために示した図である。
【図2】本発明に従う揮散剤装填用のカップ型レフィール容器の実施の形態を示した図であり、(a)は同容器の平面図、(b)は同容器の正面図である。
【図3】本発明に従う揮散剤装填用のカップ型レフィール容器の周壁に貼着されたシールフィルムの様子を示した斜視図である。
【図4】空状態の揮散剤装填用のカップ型レフィール容器を積重ねたときの様子を説明するための図であり、(a)は積み重ね途中の状態を示した図、(b)は積み重ねが完了した状態を示した図である。
【図5】本発明に従う揮散剤装填用のカップ型レフィール容器を内ケースとして採用する、内・外ケースよりなる揮散剤容器について示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明をより具体的に説明する。
図2は、本発明に従う揮散剤装填用のカップ型レフィール容器10(以下、単に、揮散剤装填用容器10とも称す)の実施の形態を示した図であり、(a)は同容器10の平面図、(b)は同容器10の正面図である。図3は揮散剤装填用容器10の周壁に貼着されたシールフィルムの様子を示した斜視図である。そして、図4は空状態の揮散剤装填用容器10を積み重ねたときの様子を説明するための図であり、(a)は積み重ね途中の状態を示した図、(b)は積み重ねが完了した状態を示した図である。
【0015】
図2で、揮散剤装填用型容器10は、揮散剤VSの設置面を形成する底壁部10eと、この底壁部の縁部に一体連結して立ち上がりこの底壁部10eと協働してその内側に上向きに開放された内部空間SPを形成する複数の周壁10a〜10dとを備えたカップ型の容器である。なお、ここで示す揮散剤装填用型容器10は、底壁部10e側が若干、縮径すると共に、周壁10a〜10dそれぞれの間の接続部分となる角部が丸く形成されているが、大よそ直方体形状のカップ型容器となる。
また、図2の揮散剤VSも一例として示したもので、その形態は特に限るものではない。例えば、固形状の揮散剤を昇華させるタイプ、揮散薬剤を含浸させたシート材を蛇腹状に折り畳んだタイプのものなどを種々、採用できる。さらに、揮散剤装填用型容器10の上縁部12は環状に外側へ張り出したフランジ状としてあるが好ましい形状の一例であり、これに限るものではない。
【0016】
そして、この揮散剤装填用型容器10の1つの周壁10aには、内部空間SP内に充填してある揮散剤VSを大気に放出するための開口部11が形成してある。
ただし、この開口部11は、この周壁10aの外側に貼着されたシールフィルム20によって閉塞されている。シールフィルム20は、公知の接着剤や溶着技術などを用いて引き剥がし可能として、周壁10a上に貼着されている。
【0017】
上記シールフィルム20として、ガスを通さない気密性を備えると共に、適度な可撓性も備えた樹脂フィルムが採用されている。ここで例示するシールフィルム20は、長尺形状で貼着面により開口部11を塞ぐようにしてあるフィルム本体部21と、このフィルム本体部21から左右の少なくとも一辺に一体的に繋がってフィルム本体部21を開口部11から剥がす際に把持される、非貼着の摘み部22とを備えて形成されている。なお、図2では、フィルム本体部21に左辺側だけに摘み部22を設けた場合を示しているが、必要に応じて、左右両側としてもよいし、右辺側だけに摘み部22を設けもよい。
また、フィルム本体部21は大よそにおいて長尺形状であるが、図示のように上下左右の各辺によって囲繞された長方形形状とすることができる。ただし、各辺は直線である必要はなく、僅かに湾曲してもよい。また、各辺の接続点となる角部は丸く形成しておくのが好ましい。
【0018】
また、図2(a)で示すように、フィルム本体部21側には、実際に周壁10a上に貼着されて開口部11を塞ぐための前記貼着面が、シール範囲25として設定されている。このシール範囲25は、フィルム本体部21の外形と略同等に形成すればよいが、例えば接着剤などを塗布した際のズレ代などを配慮すると、図示のようにシール範囲25をフィルム本体部21外形より僅かに小さい面積をもって形成しておくのが望ましい。
【0019】
フィルム本体部21の形状は、従来の場合と同様に長方形状等であるが、例示で左側に延在するように設けた摘み部22は、新規な形状と形成されている。この点について、図2と共に、更に図3を参照して説明する。
本願発明の揮散剤装填用型容器10で採用されている、シールフィルム20の摘み部22は、フィルム本体部21側から離れるほど(例示の場合、左側端となるほど)に、その摘み幅(22h)が狭くなるように傾斜下辺22ULが傾斜させてある。このように傾斜下辺22ULを斜めにすることで、摘み部22が捲れ上がることによって発生する不都合を防止する。
なお、傾斜下辺22UL自体は、直線状でもよいし、外側に向かって湾曲する緩やかな曲線などとしてもよい。
【0020】
図2(b)で示すように、摘み部22の傾斜下辺の前記フィルム本体部側の起点22R1を、前記フィルム本体部の角部21Rと一致させて形成することができる。この場合、摘み部22の起点22R1(フィルム本体部21側の角部21R)は、丸め加工(R加工)しておくのが望ましい。この摘み部22の起点22R1は2つの空容器を互いに重ねたときに、下に位置する容器の上端に最初に当たる箇所となる。このように角の無い様に丸め加工を施しておくことで、摘み部22の捲くれ上がりをより確実に防止できる。このように傾斜下辺22ULの下側となる起点22R1を丸め加工しておくのが好ましいものであるが、摘み部22の上側の起点22R2、についても同様に丸め加工すると更に好ましい形態となる。
ただし、つぎのような変形例も採用可能である。前記摘み部22の傾斜下辺の起点22R1を、上記のように前記フィルム本体部側の角部21Rと一致させず、フィルム本体部の幅方向(図2(b)で上下方向)での途中から左側へ延在するような形態(例えば、傾斜下辺の起点22R1をフィルム本体部の幅方向での中央部として、フィルム本体部21の左上半分に摘み部22を設ける形態)としてもよい。
【0021】
また、摘み部22の傾斜下辺22ULの下側における上記起点22R1は、前述したシール範囲25の内側に配置してあるのが望ましい。より具体的は、シール範囲25とその左外側との境界縦線25LN上、或いは、シール範囲25内(図2(b)で、境界縦線25LNより右側)に、起点22R1が存在するように設定するのが望ましい。これにより、起点22R1が周壁に貼着される領域内に位置することになるので、後述のように摘み部22の捲れ上がり防止を確実にできる。
摘み部22は、そもそも、シールフィルム20を引き剥がすときに、引き剥がしの作業が容易となるように、シールフィルム20の端部を延在させて、舌片状の自由端としてある部分である。これにより、引き剥がしの作業をするとき、その作業者は容易に摘み部22を把持できる。しかし、製造工程などで、空容器を積み上げる状況にあっては、周壁10aに固定されずに自由にたなびく薄い舌状の摘み部22が存在すると、下側の容器の上端部(例えば、上縁部12)に当たって捲れ上がことになる。これが、上掲図1(b)をもって指摘した問題の事態である。
【0022】
上記状況に対して、摘み部22で最初に下容器と当たることになる傾斜下辺22ULの下側起点22R1をシール範囲25内に配置することで、空容器を積み上げた際に、下の容器の上端部と接触し易い下側部分をその傾斜下辺に沿ってスムーズに、下側容器の内面に滑り込ませる構造にできるので、より確実に捲れ上がりの発生を防止できる。
以上の説明から明らかであるが、摘み部22の傾斜下辺22ULを傾斜させことで捲れ上がりの発生の防止に有効である。そして、好ましくは、摘み部22の傾斜下辺の起点22R1をフィルム本体部の角部21Rと一致させた場合は丸め加工をするのが望ましい。また、起点22R1がシール範囲25内に配置する構成を更に採用する。そして、より確実に、摘み部22の捲れ上がり防止のためには、起点22R1の丸め加工およびシール範囲25内配置を採用するのが望ましい。
【0023】
上記のように摘み部22の傾斜下辺22ULについて、新規な形状が工夫されているので、空状態の容器を互いに積み上げる際に、上側のシールフィルム20が捲り上がることが無く、下側に位置した容器の内側にスムーズに滑り込ませることができる。よって、本願発明による揮散剤装填用のカップ型レフィール容器は、シールフィルム20が捲り上げること無く互いに積み重ねられるので、製造工程において順番に、効率的に使用される。また、結果として容器製造の歩留まりが向上することにもなる。
【0024】
図4は、本発明に従うカップ型の揮散剤装填用型容器10の空容器で、積み重ねの様子を示した図である。空容器同士の積み上げの途中(図4(a)参照)で上に位置した容器10Aのシールフィルム20Aが、捲り上がられることなど無く、下側に位置した容器10Bの内側にスムーズに滑り込んで所定位置での積み上げを完了できる(図4(b)参照)。
これは、摘み部22の傾斜下辺22ULについて、前述したような構成を採用しているためである。
【0025】
更に、揮散剤装填用型容器10が備えている好ましい構成について説明する。この揮散剤装填用型容器10は、積み重ねを安定、確実に実行きるよう、周壁の内側に突起部15が設けてある。この突起部15は、図4で示すように、空状態で互いに重ね合わせたときに、内側となった容器10Aの底壁部10Aeに下側に位置して外側となる容器10Bの突起部15Bが当接して、その高さ位置を規制する。すなわち、上側に位置した容器10Aが過度に下がった状態で、容器10B内に嵌り込まないようにしている。
このような突起部15を採用すると、図4(b)で示すように、積み上げを完了の位置で、上下の容器10A、10Bの上縁部12A、12Bが所定間隔を持って積み上げられる。よって、製造工程で、積み上げられた容器10を上から引き抜くときに、上縁部12を持って簡単に取り上げることができる。仮に、図4(b)で、突起部15Bが存在しないと、上縁部12B上に、上縁部12Aが重なり容器同士の分離が困難となる。
【0026】
なお、上記突起部15を設ける位置や数は適宜に選定すればよいが、図2(a)では四隅に設けた場合を例示している。上記突起部15は容器を積み重ねたときの作業性に寄与する構造として理解される。
【0027】
図2〜図4で説明した揮散剤装填用容器10を用いる場合、内部空間に揮散剤を充填したのち、開放されていた上面をシート部材で閉塞すれば、内部に揮散剤を備えた簡易構造の揮散剤入りレフィール容器として製品化できる。この揮散剤入りレフィール容器は、摘み部22を摘んでシールフィルム20を引き剥がせば、開口部11から揮散剤を放出できる。また、上面を閉塞するシート部材を、開口部を設けたフィルム材(窓付フィルム)と、その上を覆う密閉用フィルム材とによるフィルム2層構成としてもよい。このフィルム2層構成の場合、シールフィルム20と共に、密閉用フィルム材を剥がせば窓付フィルム側の開口部を開放して、更に揮散剤の放出を促進できるより好ましい揮散剤装填用容器10にすることができる。
ところで、近年、この種の揮散剤容器については、室内に置いたときの美観などにも配慮した種々の形態が提案されている。すなわち、外観を美的に整えた外ケースに、揮散剤を充填した内ケースを着脱自在に設けて、環境保護と共に室内インテリアにも配慮した揮散剤容器が提供されるようになっている。
上記で説明した本発明の揮散剤装填用型容器10は、このような内外2つのケースで構成される揮散剤容器で、内ケースとして好適に採用できる。本願発明の好適例として、これについて、以下説明する。
【0028】
更に、図5は、上記で説明した本発明に従う揮散剤装填用型容器10の適用例である。本例では容器10は内ケースとして採用され、これに揮散剤VSを充填して揮散剤入り容器とすることで、これを外ケース30内に収納する様子を例示している。この図5では、開口部11を閉塞していたシールフィルム20を既に剥がして、外ケース30内に挿入する直前の状態を示している。なお、この例示の場合、揮散剤VSを充填済みの揮散剤装填用型容器10は、レフィルケースとし、詰め替え可能な内ケースとしておくのが望ましい。
【0029】
また、図5で内ケース10側に設けた揮散剤放出用の開口部11と、外ケース30側に設けた大気放出用の開口部とが、対向するように設計しておくことで揮散剤の放出効果を促進できる。さらに、ここでの図示は、省略しているが外ケース30の内側の所定位置に位置規制リブを配置して、内ケース10が定位置に、確実にセットされるようにするのが好ましい。
なお、符号35は、外ケース30内の空間内に内ケース10を収納した後に、開口32を閉じるための底蓋部35である。この底蓋部35は公知のアンダーカットなどの構造を用いて、外ケース30の開口32を着脱自在に閉じるものである。
図5で示す状態で、外ケース30内に、内ケース10を収納し、最後に底蓋部35で開口32を閉じて、外ケース30を立ち姿勢にすれば、天面の開口部31から揮散剤を放出する美的な揮散剤容器となる。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明によれば、開口部をシールフィルムで閉塞してある揮散剤装填用のカップ型レフィール容器について、空のときに互いに積み上げ状態としても、シールフィルムの捲れ上がり防止できるので、製造工程での効率、また容器の製造歩留まりを向上させることができる。また、本発明は摘み部を有するシールフィルムを周壁(側面)に設けた容器であって、搬送・保管等に際して積み上げを伴う容器であれば種々のものに適用できる。
【符号の説明】
【0031】
10 揮散剤装填用のカップ型レフィール容器
10a〜10d 周壁
10e 底基部
15 突起部
20 シールフィルム
21 フィルム本体部
22 摘み部
22UL 傾斜下辺
22R1 フィルム本体部側の起点
25 シール範囲
30 外ケース
SP 内部空間
VS 揮散剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
揮散剤の設置面を形成する底壁部と、この底壁部の縁部に一体連結して立ち上がり該底壁部と協働してその内側に上向きに開放された内部空間を形成する複数の周壁とを備えた揮散剤装填用のカップ型レフィール容器であって、
前記周壁の少なくとも1つに開口部が形成され、該開口部を介して前記揮散剤を放出するようにされ、前記開口部は使用前にあって引き剥がし可能に貼着されたシールフィルムで閉塞してあり、
前記シールフィルムは、長尺形状で貼着面により前記開口部を塞ぐフィルム本体部と、該フィルム本体部から左右の少なくとも一辺に一体的に繋がって前記フィルム本体部を前記開口部から剥がす際に把持される、非貼着の摘み部とを備え、
前記摘み部は、前記フィルム本体側から離れるほどに、摘み幅を末端に向けて狭くする傾斜下辺を有すると共に、
前記貼着面は前記フィルム本体部にシール範囲として設定されており、前記傾斜下辺の前記フィルム本体部側の起点が前記シール範囲内側に配置してある、ことを特徴とする揮散剤装填用のカップ型レフィール容器。
【請求項2】
前記傾斜下辺の前記フィルム本体部側の起点が、前記フィルム本体部の角部とされており、前記角部が丸め加工されている、ことを特徴とする請求項1に記載の揮散剤装填用のカップ型レフィール容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−41077(P2012−41077A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−185626(P2010−185626)
【出願日】平成22年8月20日(2010.8.20)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】