説明

揮散装置

【課題】空調装置の利用状況に応じた効果の持続時間の変化を抑えることができる揮散装置を提供する。
【解決手段】揮散剤を収容したトレイ21の開口部が揮散面22で閉鎖されたカートリッジ12と、カートリッジ12が装着されるケーシング11とで構成し、ケーシング11をエアコン121の吹出口131より上方の前壁面122に取り付けて使用する。前壁面122に取り付けられる取付面123を、空気の通流を遮断する開口部を不具備な遮断面で構成し、装着状態にあるカートリッジ12の揮散面22と後ケース62との間に揮散空間152を形成する。揮散空間152に揮散された揮散剤を下側へ向けて放出する放出部162を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、芳香剤等の揮散剤を揮散する揮散装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、夏場等空調装置としてのエアコンを使い始める際には、エアコンから出る臭いが気になることがある。
【0003】
これを解消する為にエアコンのフィルタに芳香シートを設け、該芳香シートから揮散された芳香剤をエアコンの吹出口から吹き出す方法が考えられる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような従来にあっては、エアコンを通過する空気によって芳香剤の揮散を促進するため、芳香剤の揮散効率がエアコンの風量によって変化する。
【0005】
このため、エアコンの利用状況によって芳香効果の持続時間に差が生じ、使用状況によっては、芳香効果の低下が早まる恐れがあった。
【0006】
本発明は、このような従来の課題に鑑みてなされたものであり、空調装置の利用状況に応じた効果の持続時間の変化を抑えることができる揮散装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために本発明の請求項1の揮散装置にあっては、揮散剤を収容したトレイの開口部が揮散面で閉鎖されたカートリッジと、該カートリッジが装着されるケーシングとを備えてなり、該ケーシングを空調装置の吹出口より上方の壁面に取り付けて使用する揮散装置であって、前記壁面に取り付けられる前記ケーシングの取付面を、開口部を不具備な遮断面で構成する一方、当該ケーシングに前記カートリッジを装着した状態で該カートリッジの前記揮散面と該揮散面が対向する対向部位との間に前記揮散剤の揮散空間を形成するとともに、該揮散空間に揮散された揮散剤を下側へ向けて放出する放出部を設けた。
【0008】
すなわち、この揮散装置をエアコン等の空調装置で使用する際には、揮散剤を収容したカートリッジをケーシングに装着するとともに、このケーシングを、前記空調装置の吹出口より上方の壁面に取り付ける。
【0009】
このとき、該壁面に取り付けられる前記ケーシングの取付面は、空気の通流を遮断する開口部を不具備な遮断面で構成されており、この取付面が吸気用スリットが設けられた壁面に取り付けられた場合であっても、前記吸気用スリットに吸い込まれる空気の気流による揮散剤の揮散の促進が防止される。
【0010】
また、このケーシングには、装着されたカートリッジの揮散面と該揮散面が対向する対向部位との間に揮散空間が形成されており、前記揮散面より揮散した前記カートリッジ内の揮散剤は、この揮散空間に揮散される。そして、この揮散空間に揮散された揮散剤は、前記ケーシングに設けられた放出部から下方へ向けて放出される。
【0011】
このとき、当該カートリッジは、前記空調装置の吹出口より上方の壁面に取り付けられている。このため、前記放出部より下方へ向けて放出された揮散剤は、前記吹出口より吹き出された空気に混合される。
【0012】
また、請求項2の揮散装置においては、前記トレイを透明性を有する部材で形成するとともに、前記カートリッジを装着した状態で前記トレイの底面が対向する部位に、外側から内部の視認を可能とする覗き窓を設けた。
【0013】
すなわち、揮散剤を収容したトレイは、透明性を有する部材で形成されており、このカートリッジを装着した状態で前記トレイの底面が対向する部位には、覗き窓が設けられている。
【0014】
このため、前記トレイ内の揮散剤が揮散して減少した際には、前記覗き窓から透明性を有する部材で形成された前記トレイの底面を介して、前記揮散剤の残存量を確認することができる。
【0015】
さらに、請求項3の揮散装置では、前記トレイに、前記揮散剤を収容する容器部と、該容器部の開口縁部に設けられた側方へ延出する鍔部とを設ける一方、前記遮断面に対向した対向面に対を成す突起を設け、前記カートリッジを装着する際に前記容器部が通過する通路を前記両突起間に形成するとともに、前記両突起間の通路幅を、前記鍔部の通過は阻止し前記容器部の通過は許容する寸法に設定した。
【0016】
すなわち、装着したカートリッジのトレイの容器部側に位置する対向面には、一対の突起が設けられており、この突起間には、前記カートリッジを装着する際に前記容器部が通過する通路が形成されている。そして、この突起間の通路幅は、前記トレイの鍔部の通過は阻止する一方、前記容器部の通過は許容する寸法に設定されている。
【0017】
このため、前記容器部を前記対向面側へ向けてセットする正常取付時には、当該ケーシング内への前記カートリッジの装着が許容される。一方、前記鍔部を前記対向面側へ向けてセットする逆向け取付時には、前記鍔部が前記突起に干渉することによって、当該ケーシング内への装着が阻止される。
【0018】
加えて、請求項4の揮散装置においては、前記トレイの底面に凹部を設けるとともに、前記ケーシングに前記カートリッジを装着した状態で前記凹部と係合する凸部を当該ケーシングに設けた。
【0019】
すなわち、前記ケーシングにカートリッジを装着する際には、前記ケーシングに設けられた凸部が前記カートリッジのトレイの底面に設けられた凹部に係合する。
【0020】
このとき、前記凸部が前記凹部に挿入される際にクリック感が発生し、このクリック感によって、当該カートリッジの正常位置への装着が確認される。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように本発明の請求項1の揮散装置にあっては、カートリッジを装着したケーシングを空調装置の吹出口より上方の壁面に取り付けることによって、前記ケーシングの放出部より下方へ向けて放出される揮散剤を、前記吹出口より吹き出された空気に混合して室内に広げることができる。
【0022】
このとき、前記空調装置の壁面に取り付けられる前記ケーシングの取付面は、空気の通流を遮断する開口部を不具備な遮断面で構成されており、この取付面が吸気用スリットが設けられた壁面に取り付けられた場合であっても、前記吸気用スリットに吸い込まれる空気の気流による揮散剤の揮散の促進を防止することができる。
【0023】
したがって、空調装置を通過する空気で揮散剤を揮散する構造上、空調装置の風量に応じて揮散量が変化する従来と比較して、空調装置の利用状況による効果の持続時間の変化を抑制することができる。これにより、使用状況によって揮散剤が早く減少し、揮散剤による効果の低下が早まるといった不具合を解消することができる。
【0024】
そして、前記壁面に取り付けられる前記取付面を、開口部を不具備な遮断面で構成することによって、前記取付面を介した前記揮散剤の前記吸気用スリットから吸引を防止することができる。
【0025】
このため、適用する空調装置が、空気中に含まれる成分を吸着する吸着フィルタを備えた場合であっても、揮散した揮散剤が前記吸着フィルタで吸着されるといった不具合を回避することができ、前記揮散剤による効果を維持することができる。
【0026】
また、請求項2の揮散装置においては、揮散剤を収容したトレイは、透明性を有する部材で形成されており、このカートリッジを装着した状態で前記トレイの底面が対向する部位には、覗き窓が設けられている。
【0027】
このため、前記トレイ内の揮散剤が揮散して減少した際には、覗き窓から透明性を有する部材で形成された前記トレイの底面を介して、前記揮散剤の残存量を確認することができる。
【0028】
これにより、前記カートリッジを取り外すこと無く、当該カートリッジの交換時期を判断することができる。
【0029】
さらに、請求項3の揮散装置では、カートリッジの鍔部をケーシングの対向面側へ向けてセットする逆向け取付時には、前記鍔部が前記ケーシングに設けられた突起に干渉することで、当該ケーシング内への装着が阻止される。
【0030】
これにより、前記カートリッジの逆向きでの取り付けを未然に防止することができる。
【0031】
加えて、請求項4の揮散装置においては、カートリッジをケーシングに装着する際には、該ケーシングに設けられた凸部が前記カートリッジのトレイの底面に設けられた凹部に係合する。
【0032】
このとき、前記凸部が前記凹部に挿入される際にクリック感が発生するため、このクリック感によって当該カートリッジが正常位置に装着されたことを確認することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、本発明の一実施の形態を図に従って説明する。図1は、本実施の形態にかかる揮散装置1を示す図である。
【0034】
この揮散装置1は、空調装置の吹出口より上方の壁面に取り付けて使用する装置であり、消臭剤、芳香剤等の揮散剤を揮散するように構成されている。この揮散剤としては、ゲル状の薬剤や液状の薬剤が挙げられるが、本実施の形態では、ゲル状の薬剤が用いられている。また、前記揮散剤としては、防虫剤や殺虫剤を用いることもできる。
【0035】
前記揮散装置1は、図1に示したケーシング11と、このケーシング11に交換可能に装着される図2に示すカートリッジ12とよって構成されている。
【0036】
このカートリッジ12は、前記揮散剤を収容したトレイ21と、該トレイ21の開口部を閉鎖する揮散面22とによって構成されており、該揮散面22は、ゲル状の前記揮散剤は通さず、揮散され気化された揮散剤は透過する不織布によって構成されている。
【0037】
前記トレイ21は、無色透明のプラスチックシートをプレスして成型されており、当該トレイ21には、前記揮散剤を収容する容器部31が横長楕円形状に形成されている。該容器部31の開口縁部には、側方へ延出する鍔部32が全周に渡って形成されており、該鍔部32に前記揮散面22の周縁部が載置された状態で接合されている。
【0038】
前記容器部31の底面41には、図2の(b)に示すように、長手方向に延在する横溝42と、該横溝42に直交する直交方向に延在した縦溝43とが凹設されており、両溝42,43は、その両端部が当該容器部31の周面44に達する長さに設定されている。前記縦溝43と前記横溝42とは、当該底面41の中央部で交差するように構成されており、当該トレイ21の中心部には、前記縦溝43と前記横溝42とが交差した部位に十字状の位置決め凹部45が形成されている。
【0039】
前記縦溝43は、前記横溝42と交差する前記位置決め部45の近傍で途切れており、前記位置決め部45の近傍には、平坦な途切れ部46,46が形成されている。これにより、前記縦溝43は、前記位置決め部45から隔離されている。
【0040】
この容器部31の前記周面44には、各角部に外側に膨出した膨出部51,・・・が形成されており、当該トレイ21の角部が補強されている。
【0041】
前記ケーシング11は、図1及び図3並びに図4に示すように、前面を構成する前ケース61と、後面を構成する後ケース62とによって構成されており、両ケース61,62は、白色の樹脂によって板状に形成されている。
【0042】
前記前ケース61は、図1及び図3に示したように、雲形状に形成されており、その周縁部は、裏側へ湾曲され補強されている。この前ケース61の内側面は、図5に示すように、当該ケーシング11に前記カートリッジ12を装着した状態で、前記トレイ21の前記底面41が対向する対向面71を構成しており、当該前ケース61には、図3に示したように、外側からケーシング11内部の視認を可能とする覗き窓72が、図3の(a)中右下部分に開設されている。この覗き窓72は、大径湾曲部73と小径湾曲部74とによって波形に形成されており、当該覗き窓72は、使用状態で上下方向に延在するように配置されている。
【0043】
この前ケース61の内側面には、図3及び図5に示したように、下縁側の中寄り二箇所に下部円柱部81,81が突設されており、両下部円柱部81,81の先端には、小径の連結突起82,82が一体形成されている(図3の(b)参照)。また、前記前ケース61の内側面には、両側縁側のそれぞれに側部円柱部83,83が突設されており、両側部円柱部83,83の先端にも、小径の連結突起84,84が一体形成されている(図3の(b)参照)。
【0044】
また、この前ケース61の内側面には、図3及び図5に示したように、上縁側の両側部寄りの二箇所に、対を成す突起91,91が設けられており、各突起91,91の高さ寸法と、前記各円柱部81,81、83,83の高さ寸法とは、はぼ同寸法に設定されている。これにより、当該ケーシング11に前記カートリッジ12を装着する際に、該カートリッジ12の前記トレイ21における前記容器部31が通過する通路92が、前記両突起91,91間に形成されている。
【0045】
前記両突起91,91の離間距離は、図2に示したように、前記カートリッジ12の前記トレイ21における前記鍔部32の横幅寸法101より短く、かつ前記トレイ21の前記容器部31の横幅寸法102より長く設定されている。これにより、図5の(b)に示したように、前記両突起91,91の離間距離で構成される前記通路92の通路幅103は、前記トレイ21の前記鍔部32の通過は阻止する一方、前記トレイ21の前記容器部31の通過は許容できる寸法に設定されている。
【0046】
そして、前記前ケース61の内側面には、図5に示したように、その中央部に位置決め凸部111が設けられており、該位置決め凸部111は、山形板状の縦壁111aと横壁111bとが中央部で交差した十字形状に形成されている。
【0047】
これにより、前記カートリッジ12を前記ケーシング11に装着して所定位置にセットした状態において、前記位置決め凸部111が前記トレイ21に形成された前記位置決め凹部45に挿入された状態で係合するように構成されている。
【0048】
具体的に説明すると、縦方向に延在する前記縦壁111aが、前記カートリッジ12底面41の縦溝43に沿って移動することで、当該カートリッジ12の挿入方向をガイドするとともに、前記位置決め部45近傍に設定された平坦な途切れ部46を通過した後、十字状の前記位置決め凸部111が十字状の前記位置決め凹部45に達した際には、前記位置決め凸部111の前記縦壁111aが前記位置決め凹部45を構成する前記横溝42の部位に挿入されるとともに、前記位置決め凸部111の前記横壁111bが前記位置決め凹部45を構成する前記縦溝43の部位に挿入される際にクリック感が発生すると同時に、抜け方向の移動を規制できるように構成されている。
【0049】
前記後ケース62は、図1及び図4に示したように、雲形状に形成されており、その周縁部は、裏側へ湾曲され補強されている。この後ケース62は、図5に示すように、当該ケーシング11に前記カートリッジ12を装着した状態で、該カートリッジ12の前記揮散面22に対向した壁面を構成するように構成されている。
【0050】
この後ケース62の外側面は、図6に示すように、空調装置としてのエアコン121の前壁面122に取り付けられる取付面123を構成しており、この取付面123には、図4〜図6に示したように、上縁から下方へ向けて延在する両面テープ124が中央部に貼着されている。
【0051】
これにより、前記両面テープ124の剥離紙を剥離するとともに、当該両面テープ124の粘着面を前記エアコン121の前記前壁面122に貼着することによって、当該揮散装置1を、図6に示したように、前記エアコン121の吹出口131より上方の前記前壁面122に取り付けて使用できるように構成されている。
【0052】
この後ケース62の内側面には、図4及び図5に示したように、下縁側の中寄りの二箇所に下部円筒部142,142が突設されており、両下部円筒部142,142の先端には、前記前ケース61の前記下部円柱部81,81に突設された前記連結突起82,82が圧入される円形の連結穴が設けられている(図示省略)。また、前記後ケース62の内側面には、両側縁側のそれぞれに側部円筒部143,143が突設されており、両側部円筒部143,143の先端にも、前記前ケース61の前記側部円柱部83,83に突設された前記連結突起84,84が圧入される円形の連結穴が設けられている(図示省略)。
【0053】
これにより、前記前ケース61の前記下部円柱部81,81に突設された前記連結突起82,82を、前記後ケース62の前記下部円筒部142,142の連結穴に圧入するとともに、前記前ケース61の前記側部円柱部83,83に突設された前記連結突起84,84を、前記後ケース62の前記側部円筒部143,143の前記連結穴に圧入することによって、前記前ケース61と前記後ケース62とを連結できるように構成されており、この連結状態において、前記前ケース61と前記後ケース62との間に、前記カートリッジ12が装着される装着部145を、前記各円柱部81,81、83,83及び前記各円筒部142,142、143,143によって確保できるように構成されている。
【0054】
前記カートリッジ12を前記装着部145に装着する際には、前記カートリッジ12の前記鍔部32の周縁が前記両下部円筒部142,142に当接した状態で、その挿入量が規制されるように構成されており、この装着状態では、前記カートリッジ12の前記鍔部32の周縁が前記両側部円筒部143,143に当接した状態で、横ずれが防止されるように構成されている。
【0055】
これにより、前記カートリッジ12が所定位置に位置決めされるように構成されており、この装着状態で、前記前ケース61に形成された前記位置決め凸部111が、前記トレイ21の底面41に形成された前記位置決め凹部45と係合するように構成されている。
【0056】
前記後ケース62の内側面には、図5に示したように、当該ケーシング11内に前記カートリッジ12を装着した状態で、該カートリッジ12の前記揮散面22が対向するように構成されており、この内側面には、図4及び図5に示したように、薄肉の起立壁151が楕円形を成すリング状に延設されている。この起立壁151は、前記所定位置に装着された前記カートリッジ12の前記トレイ21における前記鍔部32に当接するように構成されており、図1に示したように、前記カートリッジ12の前記揮散面22と当該後ケース62の内側面との間に、前記カートリッジ12内の前記揮散剤を前記揮散面22から揮散する為の揮散空間152を形成できるように構成されている。
【0057】
当該揮散装置1を前記エアコン121の前記前壁面122に取り付けた使用状態において、上側に配置される前記起立壁151の部位は、切り欠きが二箇所に形成されており、この切り欠きによって、図1及び図5の(a)に示したように、前記揮散空間152内に空気を流入する流入部161,161が形成されている。また、前記使用状態において下側に配置される前記起立壁151の部位にも、図5の(b)に示したように、切り欠きが二箇所に形成されており、この切り欠きによって前記揮散空間152内に揮散された前記揮散剤を放出する放出部162,162が形成されている。
【0058】
この放出部162,162は、前記使用状態において下方へ向けて開口するように構成されており、前記揮散空間152に揮散された空気より重い揮散剤を下側へ向けて放出できるように構成されている。
【0059】
そして、前記エアコン121の前記前壁面122への取付面123を構成する当該後ケース62は、開口部を不具備な板状に形成されており、外部と前記揮散空間152内部との空気の通流を遮断する遮断面を構成している。
【0060】
以上の構成にかかる本実施の形態において、この揮散装置1を空調装置としてのエアコン121で使用する際には、揮散剤を収容したカートリッジ12をケーシング11に装着するとともに、このケーシング11を、前記エアコン121の吹出口131より上方の前壁面122に取り付ける。
【0061】
このケーシング11には、装着されたカートリッジ12の揮散面22と該揮散面22が対向する対向部位を構成する後ケース62の内側面との間に揮散空間152が形成されており、前記揮散面22より揮散した前記カートリッジ12内の揮散剤は、この揮散空間152に揮散される。そして、この揮散空間152に揮散された揮散剤は、前記ケーシング11に設けられた放出部162,162から下方へ向けて放出される。
【0062】
このとき、当該カートリッジ12は、前記エアコン121の吹出口131より上方の前壁面122に取り付けられている。このため、前記放出部162,162より下方へ向けて放出された揮散剤は、前記吹出口131より吹き出された空気に混合される。
【0063】
これにより、前記放出部162,162から下方へ向けて放出された揮散剤を、前記吹出口131から吹き出された空気に混合して室内に広げることができる。
【0064】
このとき、前記エアコン121の前記前壁面122に取り付けられる前記ケーシング11の取付面123は、空気の通流を遮断する開口部を不具備な遮断面で構成されており、この取付面123がエアコンの例えば吸気用スリットが設けられた前壁面122に取り付けられた場合であっても、前記吸気用スリットに吸い込まれる空気の気流による揮散剤の揮散の促進を防止することができる。
【0065】
したがって、エアコン121を通過する空気で揮散剤を揮散する構造上、エアコン121の風量に応じて揮散量が変化する従来と比較して、エアコン121の利用状況による効果の持続時間の変化を抑制することができる。これにより、使用状況によって揮散剤が早く減少し、揮散剤による効果の低下が早まるといった不具合を解消することができる。
【0066】
そして、前記前壁面122に取り付けられる前記取付面123を、前記遮断面で構成することによって、前記取付面123を介した前記揮散剤の前記吸気用スリットから吸引を防止することができる。
【0067】
このため、適用するエアコン121が、空気中に含まれる成分を吸着する吸着フィルタを備えた場合であっても、揮散した揮散剤が前記吸着フィルタで吸着されるといった不具合を回避することができ、前記揮散剤による効果を維持することができる。
【0068】
また、前記揮散剤を収容した前記トレイ21は、無色透明の樹脂で形成されており、このカートリッジ12を装着した状態で前記トレイ21の底面41が対向する前記前ケース61の部位には、覗き窓72が開設されている。
【0069】
このため、前記トレイ21内の揮散剤が揮散して減少した際には、この覗き窓72から無色透明の前記トレイ21の底面41を介して、前記揮散剤の残存量を確認することができる。
【0070】
これにより、前記カートリッジ12を取り外すこと無く、当該カートリッジ12の交換時期を判断することができる。
【0071】
そして、装着したカートリッジ12のトレイ21の容器部31側に位置する前記前ケース61の対向面71には、一対の突起91,91が設けられており、この突起91,91間には、前記カートリッジ12を装着する際に前記容器部31が通過する通路92が形成されている。そして、この突起91,91間の通路幅103は、前記トレイ21の鍔部32の通過は阻止する一方、前記容器部31の通過は許容する寸法に設定されている。
【0072】
このため、前記容器部31を前記対向面71側へ向けてセットする正常取付時には、当該ケーシング11内への前記カートリッジ12の装着を許容することができる。一方、前記鍔部32を前記対向面71側へ向けてセットする逆向け取付時には、前記鍔部32が前記突起91,91に干渉することによって、当該ケーシング11内への装着を阻止することができる。
【0073】
これにより、前記カートリッジ12の逆向きでの取り付けを未然に防止することができる。
【0074】
また、前記カートリッジ12を前記ケーシング11に装着する際には、該ケーシング11の中央部に設けられた位置決め凸部111が、前記カートリッジ12のトレイ21の底面41に設けられた位置決め凹部45に係合する。
【0075】
このとき、前記位置決め凸部111が前記位置決め凹部45に挿入される際に、クリック感が発生する。このため、このクリック感によって当該カートリッジ12が所定位置に装着されたことを確認することができる。
【0076】
なお、本実施の形態では、当該揮散装置1を空調装置としてのエアコン121に取り付けた場合に付いて説明したが、これに限定されるものでは無い。
【0077】
例えば、室内の空気の温度の他に、湿度を調整する加湿器や、空気を清浄する空気洗浄機などに取り付けて使用しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の一実施の形態を示す斜視図である。
【図2】同実施の形態のカートリッジを示す図で、(a)は斜視図であり、(b)は底面図である。
【図3】同実施の形態の前ケースを示す図で、(a)は正面図であり、(b)は側面図である。
【図4】同実施の形態の後ケースを示す図で、(a)は正面図であり、(b)は側面図である。
【図5】(a)は同実施の形態の平面図であり、(b)は底面図である。
【図6】同実施の形態の使用状態を示す図である。
【符号の説明】
【0079】
1 揮散装置
11 ケーシング
12 カートリッジ
21 トレイ
22 揮散面
31 容器部
32 鍔部
41 底面
45 位置決め凹部
61 前ケース
62 後ケース
71 対向面
72 覗き窓
91 突起
92 通路
103 通路幅
111 位置決め凸部
121 エアコン
122 前壁面
123 取付面
131 吹出口
152 揮散空間
162 放出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
揮散剤を収容したトレイの開口部が揮散面で閉鎖されたカートリッジと、該カートリッジが装着されるケーシングとを備えてなり、該ケーシングを空調装置の吹出口より上方の壁面に取り付けて使用する揮散装置であって、
前記壁面に取り付けられる前記ケーシングの取付面を、開口部を不具備な遮断面で構成する一方、
当該ケーシングに前記カートリッジを装着した状態で該カートリッジの前記揮散面と該揮散面が対向する対向部位との間に前記揮散剤の揮散空間を形成するとともに、該揮散空間に揮散された揮散剤を下側へ向けて放出する放出部を設けたことを特徴とする揮散装置。
【請求項2】
前記トレイを透明性を有する部材で形成するとともに、前記カートリッジを装着した状態で前記トレイの底面が対向する部位に、外側から内部の視認を可能とする覗き窓を設けたことを特徴とする請求項1記載の揮散装置。
【請求項3】
前記トレイに、前記揮散剤を収容する容器部と、該容器部の開口縁部に設けられた側方へ延出する鍔部とを設ける一方、
前記遮断面に対向した対向面に対を成す突起を設け、前記カートリッジを装着する際に前記容器部が通過する通路を前記両突起間に形成するとともに、前記両突起間の通路幅を、前記鍔部の通過は阻止し前記容器部の通過は許容する寸法に設定したことを特徴とする請求項1又は2記載の揮散装置。
【請求項4】
前記トレイの底面に凹部を設けるとともに、前記ケーシングに前記カートリッジを装着した状態で前記凹部と係合する凸部を当該ケーシングに設けたことを特徴とする請求項1、2又は3記載の揮散装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−131429(P2009−131429A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−309757(P2007−309757)
【出願日】平成19年11月30日(2007.11.30)
【出願人】(000102544)エステー株式会社 (127)
【Fターム(参考)】